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政府委員(
西村熊雄君)
厚生省の係官のかたがおられませんので、私が代りまして、
厚生省から頂いております
資料によ
つて説明申上げます。大体の要点は、この
保健機関に加入することによ
つて、
日本は
保健上どういうふうな
実益があるかという点であろうかと思います。第一にこの点から申しますと、疾病が外国から
我が国に侵入して来る虞れがある場合には、早急にそれを知りまして、
対策を講ずる必要がごいますが、この
保健機関はシンガポールに
流行病情報局を持
つておりまして、そこからインド洋、西太平洋に面する
諸国のためのいわゆる
流行病に関する
情報を刻々配布しております。又
保健機関の本部でも、全
世界のために、全
世界におけるいわゆる
流行病に関する
情報を刻々送
つておるのであります。ラジオ、無電、文書によりまして……。従
つて加盟すれば当然その
実益を受ける。これは
保健行政機関としましても、
流行病対策上非常に有益な利益を受ける、こういうことになるようでございます。
それから第二といたしましては、
疫病の蔓延が非常に甚だしい場合、又は風水害、
地震などがありました場合には、それに伴いまして
疫病が蔓延する
可能性が非常に多いのであります。こういうときには
加盟国政府の要請に応じまして、直ちに
保健機関のほうで
薬品、それから医師、
看護婦などを派遣するという
事業をや
つております。又これが例えば
アフガニスタン、
ビルマに発疹チフスの
流行を見たことがあるそうでございますが、そのときに
保健機関のほうから多量のワクチンを
アフガニスタン、
ビルマに送
つておるそうであります。又最近ペルー、エクワドルに
地震がありましたときにも、
薬品を
保健機関から
送付しておるということがあつたようでございます。
第三に全
世界の医学的、
薬学的研究、それから
衛生行政組織に関しまして、最も優れたその業績につきまして
情報を得ることができる。結局それによ
つて我が国の
保健行政研究組織などの点について、有益な刺戟を受けるということが考えられるわけであります。
第四にはこの
機関は
加盟国の
保健技術者養成のための
奨学金の制度を設けております。まあそのほか
技術顧問を派遣する、
加盟国におきます
研究所、
教育施設の助成を行な
つておるようであります。だからこういう部面につきましても、将来
日本はいわゆる技術的な援助といいましようかを受ける
可能性がある、こう言えると思います。最後は、アジア
諸国に対します医
薬品を供給するために、
保健機関から
日本の医
薬品を買いたいというような申出があるということも又予期されるわけであります。この点もそうなれば
我が国の
保健衛生の発展のためにもすばらしいと、こういうことが言えると思います。
それから総括的には、この
保健機関におきましては
保健に関する限り、国際的に適用することのできますような統計方法だとか、又は病気の名前だとか、ペニシリンとかストレプトマイシンなどの
薬品の
基準と申しましようか、そういうものを国際的に制定する
事業をや
つております。で
日本が
加盟しますと、用具だとか薬剤の
基準その他について、国際並みのものが結局作れると、そういうことになれば
日本の
国内だけでなく、国外に対しても信用をそれだけ増して行けると、こういうことになりましよう。例えばこういう例があるそうであります。
日本ではスカンジナビア
諸国と共に、結核予防
対策としてBCGの注射というものを非常によくや
つておる国だそうでございます。ところが
日本の統計方式が国際的方式に則らないが故に、その立派な
日本の業績を海外に紹介するのに甚だ不便を感じておる。
一つこういうふうな
保健機関に
加盟しまして、
保健機関の採用している統計方式というものを取入れて、
日本におきまするそういつた業績を発表すれば、それが直ちに
日本の
保健部面における進歩が同時に国際的に紹介されるということになれば、この面から見ても
保健行政一般に対する非常な刺戟になる、こういうような実利があるのであります。