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政府委員(
西村熊雄君) 今度の会談の性質それ自身が又ネゴシエーシヨンではなく、コンサルテーシヨンだというようなことを聞いておりますが、併しそのコンサルテーシヨンの中でお互いに取交された
意見などは全くプライベート、團
委員のおつしやる私的のものではないと私たちは
考えますので、その一環としてダレス大使と吉田総理との間に取交されたあの書簡は発表されました原文にもございます通り、総理大臣吉田茂からダレス大使宛の書簡になるのであります。
従つて私
どもは何と申しましようか、オフィシャルな文書であると
考えております。プライべートのものではなく、プライベートに対するオフィシャルという言葉がありますが、オフィシャルなものだと思います。その
内容はあの文書その中にもありますが、
平和條約ができてあと日米の間には
漁業協定をできるだけ早く結びたい、併しそれまでの間、言い換えればその協定ができるまでの間
国際的権利を放棄しないで
云々、一方的にこういうことを自制的に取上げて行こうということが言
つておる事柄でありまして、お読みになりますればおわかりになりますように、いわゆる約束という性質のものではなく、
日本政府が全く自発的に暫定的にアメリカとして関心を持つ漁場に
日本船が出ないように自制いたしますという全く紳士的約束と申しますか、普通紳士協定と言いますが、従前まで移民問題についてアメリカとの間にございましたいわゆる紳士協定というものに当ると思います。尤も紳士協定というと、約束のように思われますが、決して約束ではございませんで、飽くまでも一方的に自制するという
趣旨のものでございまして、そうして書簡の中にありますように
国際的権利は全然放棄しないで、そうして條約のできるまでは自制いたしたいということでございますので、いわゆる将来
平和條約ができたあとの日米間の
漁業協定締結のときの
話合いに対して非常な大きな、何と申しましようか、コミットという字をお使いになりましたが、それになるものとは決して存じませんので、むしろ将来における両国間の漁業に対する
話合いが友好的に
国際協力の精神を以て行われやすいような雰囲気があの書簡によ
つて醸し出されるであろうし、又醸し出されなければならないと、こういうふうに
考えます。