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1951-06-01 第10回国会 参議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般運輸事情に関する調査の件 ○モーターボート競走法案衆議院提  出)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) これより会議開きます。  先ず運輸一般事情の件につきまして発言の通告がございますので、質問を開始いたします。
  3. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 実は昨日大臣か或いは次官に御出席願うことになつてつたのでございますが、その御都合は一応伺つているか、お伺いしたいと思います。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  5. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。  只今の御質問お答えいたしますが、大臣、政務次官はよんどころない用事のため外出しておりますので、只今即刻登院あるべきよう手配をいたさせます。
  6. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは石井部長にお尋ねいたしますが、先ず第一に一般公務員に対しましての地域給勧告人事院から政府並びに国会になされました。国鉄は勿論これに拘束されるものではございませんけれども、例えば下部へ参りまして、郵便局では同じ町に勤めておつて一割の地域給が付くにも院運輸委かかわらず国鉄は五分というようなことであつたのでは、いろいろの面に、あなたのほうの労働行政の面から考えましても、或いは一般組合員の士気の上から考えましても私は影響のあることは否むことのできない事実だと思うのでありますが、そこで今回出ました人事院勧告国鉄職員に適用するといたしましたら、仮に適用するといたしましたならば予算がどのくらい必要であるか、どのくらい追加せなければならんかという点についてお尋ねいたします。
  7. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 菊川委員の御質問お答えする前に、多少前提として御了解願つておかなければならん点があるのでありますが、それは只今では公務員勤務地手当と申しますか、いわゆる地域給国鉄地域給と率が違つておるのでございます。それでそれは国鉄のほうは公務員のように法律で以てこれが定められているわけではございませんために、給与の全体のべースの中からどれだけを地域給に廻し、どれだけを基本給に廻すかということは、これは国鉄経営者労働組合との話合いできまつて参る筋合いでございます。そこで現在では国鉄のほうが公務員に比較いたしまして、地域給は高いところでは五分国鉄のほうか低くなつております。これは国鉄給与が悪いという意味でなくして、本給に廻すものと地域給に廻すものと、そういうふうに任意に組替えたと、かように私どもは解釈いたしておる次第員会会議録でございます。そこで今回人事院勧告公務員にとりまして相当給与増加になるわけでございます。それが国鉄にアプライ、適用した場合にどれだけになるかという御質問でございまするが、このお答えといたしまして、今申上げましたような国鉄公務員との差異前提といたしまして、つまり言い換えますと今度公務員が現在公務員システムで上る程度に現在の国鉄システムに対して適用した場合という解釈にいたしますと、大体年間で約七億円の給与資金増加を必要とするわけでございます。
  8. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 只今システムが違うというお話で、ございましたが、この点について国鉄労働組合のほうから総裁に対しまして、地域給につきましては同じような段階、又地域差等すべて公務員並にやつてもらいたいと、そうぜんと先ほど私が申上げましたように同じ町で郵便局と駅員とがもらう地域給の率が違うというようでは、それは本俸に入つておるものだからというものの、本俸もうんと開きがあるのであれば別といたしまして、本俸にそれだけ公務員国鉄職員とが開きがあるということは実際現実の面になかなかわからん、もらつている者からいたしまするとわからん。そういう点から不満が各方面に起つてつて組合としてもそういう要求をしているということを私国鉄機関紙で見たのでありますが、そういう要求がなされておるかどうか、この点について……。第二十八号
  9. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) そういう御不満は具体的にそういう地域に当つたところの職員かたには確かにあるだろうと私も思います。お話のように本俸そのものではどれだけ差異があるかということは理窟ではわかつても、事実上これを区別することはなかなかむつかしい問題でございまするから、そういう御不満があろうかと思うのです。併し労働組合のほうから正式に地域給国鉄当局に適用、公務員並改訂しろという要求が出ておるかという点につきましては、はつきりしたことはちよつと申し上げかねるのでございますが、私の聞いておるところでは、まだ正式の要求になつていないように承知いたしております。
  10. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは私の知つておる範囲内におきましては、そういう要求をするものとして、そうしてもらわんと困るというので、来る六月の五日から聞かれます地域大会に、恐らくまあ人事院から地域給についての勧告も出ている際でございますので、決定して要求されることであろう。あなたの今お話通りに、現実の面において給料は高いのだから、本給は高いのだからと言つても、それはわかりつこはないところでございまして、実際にみんな調べて見た場合に、果してそれだけ高いかどうかということもいろいろ私はその対比上の問題であろうと思うのでありますが、むつかしいと思いますので、やはりそういうふうな方法をとらなければならない。一方だけは全然廃止してしまつて、全部本俸にでも組入れてしまうということになれば又別問題でございますが、附ける以上私はどうしてもこの鞘寄せと申しますか、同じような率にしなければなかなか困難な問題だと私は思うのでありますが、でそういう要求がなされた場合には、一応そうした事情を勘案してこれに応えるだけの用意、準備をしておられるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  11. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 菊川委員の御質問が非常に巧妙でいらつしやるもので、ちよつとお答えするのが工合が悪いのでございますが、この地域給の今回の人事院勧告がなかりせば、現在の地域給公務員並みに直すかどうかは、これは国鉄組合管理者側の協議の上きめれば差支ないことでございまして、給与総額内容を増減する問題ではないのでございます。従いましてそのシステムがおおむね妥当なものでありますれば、勿論政府として異存はないのであります。而も公務員並みにおやりになることは、公務員のほうから見ますと誠に結構なのでございます。今までは国鉄のほうが公務員並みにならないので、むしろ公務員を上廻るような点もございましたので、公務員としては非常に工合の悪い点もございました。逆に公務員並みになさることは、政府としては非常に結構だと思うわけでございます。ただ併しながら今度の人事院勧告を現在のシステムに上積みまして、つまり今までいいところをとつたものはそのままにして、更に今度公務員がよくなる部分のいいところだけをとる、それだけ両方認める、こういうお話となりますれば、これはお答えは別で、私どもはやはり現在の公務員がよくなつた程度システムが……現在の公務員が引上げられた程度だけ国鉄の現状を引上げるということについては勿論努力すべき筋合と考えまするが、それ以上のことにつきましてはやはり国鉄内部資金の操作で御処理願わなければならん、こう考えます。
  12. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 実は今回の人事院勧告がなされたにもかかわらず、政府のほうでも相当国会に間に合うようにこれの実現かたについて努力をされたそうでありますが、国鉄が、今言われました七億……やはり政府のほうでも国鉄職員もこれと同じようにしたい、又当然そうあるべきだ、こういう官房長官なんかの考え方からいたしまして、国鉄原資がなくてできないために一般公務員勧告実現できないのであるという回答を岡崎官房長官がいたしておるそうでありますが、実際に給与予算の中にこれだけの、七億を捻出する余裕があるかどうか、それからこの点につきまして運輸省を通じまして大蔵省から調査に来ておるかどうかそれからあなたのほうへこれを捻出するようにというような指令が閣議決定その他で運輸省のほうへ来ておるかどうか、それから又すでに来ておるとするならば、それに基いてあなたのほうも研究を進めておるかどうかこの点について一つお伺いしたい。
  13. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 公務員のほうの折衝は、これは私の所管外でございまするので……。
  14. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはいいです。
  15. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) どういう折衝に相成つておりますか、寡聞で存じませんのでございますが、国鉄に対してこの地域給実施するかどうかという問題は、これはまだ具体的な問題となつておらないのでございます。言い換えれば国鉄といたしまして恐らく公務員のほうが実施せられたならば、それに応じて考究をしなければならないという考え方であろうかと思うのであります。従いまして国鉄ができないという、できないという判定を今日までいたしたこともございませんし、そういう点につきまして大蔵省なり或いは関係方面折衝いたす段階にはまだなつておらないのでございます。  次にできるかどうかというお話でございまするが、只今予算上は、これは給与総額の変更になりますので、予算上はできないと思いますが、併し給与総額を変更しさへすれば可能でございますから、従つて必ずしも原資がなければならないというほどの額ではなかろうかと、かように考えております。
  16. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは次に国鉄の今の営業成績から睨み合わしましてこれだけくらいなものを捻出するのは楽にできるかどうか、その点について一つ
  17. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今国鉄営業成績といいますと、交付予算通り収入見込に比較いたしまして非常に収入増加いたしております、現在の収入は。従いまして年間この調子で参りますれば相当収入増になることはこれは只今でも申上げられると思うのでございます。併しながら一面支出増見込まれます分が非常に多い。殊に物価の値上りは主要資材については殆んど倍になつておるのであります。従つて若し増収分を全部財源といたしましても、損益勘定支出を賄うだけのものはないのじやないか。結局補正予算をお願いいたしまして、何らかの手段一つ手段としてはこれは勿論改正等も考えられるのであります。何らかの手段をお願いしなければならない見込であると申上げねばならないのでございます。従いましてそういう他の要素等を加えまして、国鉄予算やりくりは簡単にできるかと申しますれば、これはできかねるのでございまするが、併しそれはやはりどうしても予算補正等、根本的な対策をお願いしなければならない。従つてその点を外しまして、度外視いたしましてこの人事院地域給改正だけの分につきましてどうかと申しますれば、これは先ほども申上げましたように、年間で七億でございます。実施期日如何によりましてはもつと減ることも考えられる、その程度金額でございまするならば、これはそれだけ原資を何とかして他に求めなければならんということをしなくても、ただ給与総額を殖やして頂ければできるというような考えがたも立ち得るのでございます。従つて甚だお答えといたしましては不満足かも知れませんが、全体の国鉄予算といたしましては到底これだけの金はない、むしろ一文もない、見込はないという言い方もできます。併しどれだけ、どの程度の金が全体としてのやりくりの中において非常に大きな問題かと申せば、それはそうでない、予算総則を直して頂けば必ずしも不可能ではなかろう、こういう意味でございます。
  18. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大体実情はわかりました。次にお尋ねいたしますのは、今の国鉄実施されておりまするベースは御承知通りに第二次裁定に基く実施でございます。これは朝鮮動乱以前の、朝鮮動乱が起つて日本特需景気と申しますか、こうした少しインフレ的な要素帶びた経済情勢にあつて、どちらかと申しますとデフレ的な情勢下において算定されたベースであることは石井部長もお認めになるだろうと思います。従いましてそれが朝鮮動乱が起きましてインフレ的要素を若干帯びて来た現在の情勢下において、このベースでは少し無理であるということだけは、これは第六感的にでも言い得ることと思うのであります。この点につきまして国鉄労働組合から給与ベース改訂国鉄当局要求しておつたことも御存じだろうと思うのでありますが、その点なぜにこれをどういう理由からこのベース改訂要求拒否されましたか、そうして今この問題が、労使紛争が解決されずに調停委員会調停申請しでおる様子でありますが、その調停申請はどちらからしたのであるか、組合側からであるか、国鉄総裁のほうから調停申請したのであるかどうか、いつその調停申請をして、調停委員会が何回ぐらい開かれておつて、今の調停進行状況はどうなつているか、調停委員会としてはあなたがたのほうにいろいろ勧告或いは示唆等もその過程においてあるだろうと思いますけれども、今その経過はどうなつているかという点について一つ御説明願いたいと思います。
  19. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 給与ベース改訂調停問題でございますが、そういう組合から正式の要求が出ております。これに対しまして国鉄のほうに一応これを拒否したという形になつております。これは国鉄当局といたしましては、現在の鉄道の財政上、つまり予算上からは不可能であるということを申しただけでございまして、従つて直ちに組合要求に応じたベース改訂はできないという趣旨かと存じております。これに対しまして調停申請組合のほうからなされたのでありまして、国鉄からなされたのではございません。日時は四月十九日に申請がしてございます。この調停については目下私どもの聞いております範囲では、調停委員会において両当事者を呼んでいろいろ事情を聴取しているようでごございまして、果して何回そういうことをやりましたかは、これは調停委員会事務局のほうへお聞き願えればすぐわかるかと思うのであります。私只今ちよつと即座にお答えできないのでありますが、数回そういうことをやつておるようでございます。まだ正式に運輸省、私どもが招致されて運輸省意見を聽取されるという段階にはなつておりません。
  20. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 第一の拒否した理由としては、予算上は不可能であるという理由拒否したと言つておりますが、これは要求が不当であると言つて拒否したのではないか、その点の経過、幾らの要求をしておつて、その要求が不当であると言つて拒否したのであろうか、その点について……。金額でまとまらなかつたのであるか、予算がなくて、事情は成るほど尤もであるけれども予算がないので、ない袖は振れないと、こういう拒否のしかたであるか、この点について……。
  21. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 正式に今国鉄側から組合に出しました書面はちよつと手許に……、今探しておりますが、組合から調停申請いたしました要求書資料として、組合側が書いてございます当局意見というものは、要求そのものについては改訂の要なしとは言いがたいが、現在の客観的情勢から、或いは国鉄財政見地より問題があるという言いかたをしておると…、これは組合側のほうで調停申請いたしますときの資料として組合のほうで当局意見を要約された中にそういう証言がしてございます。組合の言い分であるからいいところだけとつているのではないかという懸念もございますが、私ども聞いておりますのも大体そういうような趣旨に聞いておるのでございます。
  22. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この点につきまして運輸大臣大臣としての監督権を発動されまして実情調査され、或いは国鉄組合双方を呼んで、組合は呼べないかとも思いますが、総裁を呼んでそうして実情調査され、且つはその実現かたその他について、拒否をしたほうがよいとか、或いはこれは容れてやれというような監督権を発動されたことがあるが、全然無関心であつて調停委員会に行つたものをそのまま放つておいて、すべで他人様任せで今日まで全然その点については何も監督権を発動しておらないかどうかという点について……。
  23. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 国鉄当局組合側要求に対して如何なる取扱をするかという基本的な線については常に運輸省と十分協議してやつております。併しながらまだそういう監督上の強権というような立場から交渉をいたしたことはございません。政府考えかた等十分国鉄当局としては織込んで考える余地があるような措置只今までは常にやつておるわけでございます。
  24. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、今の拒否をした、断るに当りましては、あなたのほうにも相談があつたと、こういうのですね。総裁から相談があつて、よろしい、そういう理由で断つて調停委員会に持ち込め、こういう指示を与えられた、こういう意味ですか。
  25. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 私ども組合要求に対して今直ちに実現することは困難であるという国鉄の見解に、止むを得ないということを申しただけでありまして、調停に持ち込めとか何とかというようなことを指示いたしたことはございません。
  26. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  27. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。
  28. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後に一点お尋ねいたしておきたいのでありますが、公共企業体労働関係法が施行されまして、中央調停委員会が設置されましてから何回となく中央調停委員会に問題が持込まれたのでありますが、公共企業体労働関係法精神というものは、労使双方と申しますか、経営者当事者とそれから労働組合側とが団体交渉によつて円満なる解決をするというのが第一番に望ましいことである。それで若しいかんときには調停委員会調停申請をして、その調停がなされたときには双方がいろいろ不満があつても、できる限りこれを尊重して実現して行くと、その実現努力するということが将来の正常なる労働関係を保持して行く上の、産業の平和、民主化を確保して行く上において極めて重要なることであるというのがその立法の精神だと思うのであります。何回も調停委員会に持込まれたのでありますが、いずれも調停委員会調停というものは単なる形式に終つてつて実現されたものは殆んどないのでございます。これは大きな問題で以て調停委員会調停案がそのまま実施されたということは殆んど今日までないのでありまして、殆んど空文にひとしい、ただ一応世間に何といいますか、単なるゼスチュアを示している。極端なことを言いますと、如何にも調停をやつでいるような形を示しているだけであるという極言さえも私は言わざるを得ないと思う。これはその調停案双方が尊重して、共に実施してこそ、組合側不満であつてもこれに従い、或いは当局においても多少むずかしいことであつても最大の努力をしてこれの実施をしてこそ、私は調停委員会の使命というものは終ると思うのでありますが、相当な経費を使つてああいう組織を持つておりながら、今日まで極めてこの調停委員会が無視されているということが断言できると思うのであります。これは一方民間のほうへ参りますると、調停案なるものは労使双方において極めていろいろのいきさつがあるにいたしましても、何とかかんとかこの調停案というものが一応のまとまりをつけておるのでありますが、にもかかわらず、国鉄中央調停委員会調停案というものは、今日までの経過は極めて不満な状態にあることを私は率直に言わざるを得ないと思うのであります。そこでいよいよ四月の十九日に申請をしたのでありますからして、恐らく調停案も近く示されると思うのでありますけれども調停案が示された場合には、国鉄当局としてこれに対してどういう態度を……先ず私が冒頭に申上げましたように実現努力するように、将来あなたのほうは監督権を最悪の場合は使つてもやつて行くというような方針で以て臨んでおるか、又調停ができても仲裁で、そうして最後国会だ、こういう工合に大体のコースをきめてしまつておると私は見受けられて仕方がないのですが、どちらの途をあなたがたはとろうとしておるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  29. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 公労法趣旨成い調停委員会決定をできるだけ尊重したいというお話、私どもも全く同感でございます。ただ今日までその実効が殆んどなかつたというお話でございますが、これはまあそういう場合もございましたし、そうでない場合もあるのでありますが、調停委員会が十分に機能を発揮されまして、両者とも調停を尊重してそれに服従した例もあります。必ずしも私は調停委員会は無意味だとは考えておらないのです。併しながら今まで給与問題につきまして、殊にベースアップのような大問題につきましては、これは調停委員会との調停だけで事が済まなかつたのは事実でございます。これはやはりまあ当局において公労法の尊重の精神がなかつたということも、成い菊川さんのほうからのお話ではそういうことになるかも知れません。併しながらやはり諸般の事情がございまして、現在までの日本政府立場といたしましては、止むを得ざるものがあつたと思うのでございます。今後調停についてどういうふうに取扱うつもりかということでございますが、これは只今申上げました通り、勿論調停の案に国鉄及び組合双方とも受諾いたそうと思いましても、国鉄当局といたしましては予真上、財政上の見地から受諾が不可能な場合もあろうかと思います。そういうものにつきましてはやはり依然として仲裁裁定に持ち込まれ、延いては国会の御判断になるということに相成るかと思いますが、併し一面又別途予算補正等の場合におきまして十分給与ベース改訂等努力いたしまして、それが補正予算でお認めを願うことができますれば、おのずから紛争内容実現されて行くこともできるかと思うのです。必ずしもこの調停内容を、調停を受諾するという形で実現しなくとも、別途の財政的措置を講ずるように政府として努力をいたしまして解決する方法もあろうかと思います。勿論組合の御要求全部が全部、百%これを御満足を得るというわけに参るかどうかは今後の折衝にかかることでございまして、或いは調停案調停線一ぱいに行けるかどうかということも、今後の財政上の見通しの如何によることであろうかと思いますが、形式的に調停案なり仲裁案拒否というような、或いは国会の御審議を仰ぐというような形になつたからといつて、その要求に対して何ら方法を講じなかつたというお叱りを受けるのは、いささか私どもといたしましては心外な点があるかと思うのでありますが、できるだけ努力をいたしたいつもりは十分あるわけでございます。
  30. 内村清次

    内村清次君 国鉄職員に支給されております地域手当の問題ですが、これは給与総額に対しまして何%の割になつておるか、それから公務員給与総額に対して地域給が何%の割を示しておるか、その点を一つ
  31. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今手許資料がございませんので、早速調べてお答えいたしたいと存じます。
  32. 内村清次

    内村清次君 これは先ほどの菊川君の質問にもありましたように、国鉄職員地域給の%が少ない、勿論公務員関係のその級別に対しても一段階ずつ少ないというようなところが相当多くあるのですか。その点は調べておられますか。
  33. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) それは先ほど申上げましたが、具体的に申上げますと、国鉄特地では二〇%、甲地が一〇%、公務員のほうは現在特地が二五%、甲地が一五%、従いまして持地並び甲地につきまして勤務する職員につきましは、明らかに公務員のほうが国鉄よりも五%だけ地域給は率が多うございます。併しこれは先ほど申上げましたように、給与全体といたしましての中のやり繰りの問題でございまして、そう国鉄のほうが公務員よりも悪いということは断定できないと思うのでございます。
  34. 内村清次

    内村清次君 運輸省といたしまして国鉄給与総額の問題については、今回の二十六年度の給与総額、まあ遡つていいますと、裁定実施後の給与総額というものの決定せられましたいきさつについてはよく御承知のはずと思いますが、いわゆる仲裁裁定を受けてその後の政府の態度、そういうような非常な困難の過程からあの給与総額というものは向上せられたと思うのでありますが、そのうちの一番大きな狙いというのは、国鉄の即ち職員の特異性、いわゆる仕事の重要性というもの、それが大体公務員に対しましての給与に対する考えかたと、これは絶対的明瞭にということは言われませんけれども、大体その点を幾らか途を開いたというところにおいてその給与総額というものが決定をしたといういきさつについては、政府のほうでは、運輸省のほうではどう考えておられますか。
  35. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 昨年年末におきまして裁定実施という問題と年末手当という問題と相錯綜いたしまして、その結果国会の非常な御審議を煩わしたのでございますが、そういたしまして結局昨年度、年末の手当支給の際におきましては、国鉄については裁定実施という形で一般公務員と異る取扱をいたしておることはおつしやる通りでございます。本年度の給与総額につきましては、その裁定実施の線に沿つて、その基礎の上に給与総額を算定いたしておりまして、公務員と別個の計算過程に立つておることは申上げるまでもないことであります。
  36. 内村清次

    内村清次君 その点があなたのほうで明瞭になつておれば、給与の総額、即ち個人給与の総額というものが高いから地域給は即ちこれは一段階下げてもよろしいと、こういう考えかたは私は成立したんと思うが、どうですか。
  37. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 私は国鉄給与総額の中で以てこういう割振りをいたしたとか、こうなつたということを申上げたので、ございまして、国鉄が余計レベルとして高いから特地地域給はこれが低くて差支えないのだということを決して申上げたつもりはないのでありまして、従いまして国鉄のほうもこの地域給をこの公務員並の率にいたしましても、なお本給に比較いたしまして或いは公務員よりも高い結果になる。これは当然のことであろうと思います。
  38. 内村清次

    内村清次君 そうだとすれば、当然これは今回の人事院の調整と申しますか、全般的な即ち物価指数の問題から検討したところの科学的な指数によつて政府勧告した、この地域給の等級地に対しましては、やはり運輸省の方針としてはこれを再検討して、現在の即ち国鉄地域給の問題を再検討して、早くそういうふうな線に合致させようという熱意のあることは我々確認していいわけですか。
  39. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 人事院勧告従つて公務員地域給改訂されましたならば、今回の改訂の結果に基く差異は当然国鉄にも及ぼして然るべきかと考えております。
  40. 内村清次

    内村清次君 わかりました。別な問題ですがね、この厚生車の営業許可の問題あの点の資料の報告を一つお願いいたします。
  41. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 先日内村委員から駅構内における軽車輛、つまり厚生車、人力車等についての営業許可の状況について資料を求められていたのでありますが、大変遅くなりまして申訳ございません。実は全国的な数字がすぐにまとまりかねましたので、東京地方営業事務所管内におきますところの数字をとりまとめたものがございますのでこれを御報告さして頂きたいと思うのでございます。昭和二十一年度以降、駅構内における軽車輛の営業許可の問題でございますが、厚生車はこれは申請件数が三十四件でございまして、そのうち十四件許可いたしております。輛数にいたしますると六十九輛に相成つております。従つて却下の件数が二十件というふうになつております。人力車は申請件数が十九件、許可が十六件、承認輛数は八十二輛従つて却下は三件、それから三輪の小型自動車でございますが、余り見受けない型でございますが、これは申請が一件でございまして、許可が一件、承認車輛が十輛、以上総計いたしますると申請五十四件に対しまして許可が三十一件、結局不許可になりましたものは二十三件ということに相成つております。この却下の理由でございますが、これは第一はこの駅の構内事情でございまして、非常に駅の構内が狭隘でございまして、却つて通行上旅客公衆の危険を増す虞れがある。利便よりもそのほうが多いというところは、わざわざ駅の構内まで入つて頂かないで、駅の近くに一つ営業所なり事業所を設けて頂く、勿請それを利用されるお客さんから見ますれば多少不便の点もございましようが、全体のたくさんのお客の利便という面からそういうふうにお断り申上げたという点が一つであります。それからいま一つ申請者の資力でございますが、御承知のようにこういう車輛がときとしては正常な運営をしないで、何やら風教上も物議をかもすようなこともございますし、又いわゆるもうろうと申しますか、規定料金以外に相当ぼるというような虞れもございます。鉄道といたしまして、駅構内に駐車を申請いたしますからには、規定料金で正確によいサービスをして頂かなければいわゆる鉄道の権威にかかわるわけでございます。従いまして資力、信用等につきましても相当調査を遂げまして、この点につきまして確信が得られないかたにはやはりお断り申上げておる、こういう事実でございます。大体そういう状況でございます。
  42. 内村清次

    内村清次君 そうするとこの申請が今後なされるとすれば、只今の却下條件の適用をしないというようなときは、当然許可をするという方針は動かないわけですね。
  43. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 承認の條件といたしましては恐らくその他に、只今申上げました点以外に需給の問題があるかと思うのでありまして、すでに相当業者がありまするところについては、あとからお受けになつかたにその駐車権をお分けするだけの余裕がないということもあるかと思います。いま一つは非常に利用の少いところ、これはそれだつて入れてくれというからには入れたらよかろうじやないかというような御意見があるかと思いまするが、余りに利用の少いところにおいては却つて手続煩瑣であり、そのために構内営業所とか用地の問題等もございますので、これも一つ研究いたしておりますが、原則といたしましては、只今内村委員のおつしやいましたようにこれは乗客の便利、旅客公衆の便宜になりますことでございますれば、努めて許可をするということが至当と考え、又そうしておるものと信じております。
  44. 内村清次

    内村清次君 これは地方営業事務所長の権限問題になつておりますが、運輸省としては、例えばそこにそういうふうな紛争が起る、或いは又許可申請の前後になつておる関係において地方事務所長の裁断がおかしいというふうな問題が起りましても、深く運輸省は立ち行つてこれを検討するというようなことはなさらないつもりですか。
  45. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) こういう事業のいわゆる免許というような行政行為になりますれば、これは当然運輸省の十分関心を持たなければならないところでございまするが、これは要するに鉄道と業者との一種の私契約の問題で、ございまして、従いまして只今おつしやいましたように非常に細かな問題まで運輸省といたしましては、鉄道の経営の自主性の内容に相成るかと思いますので、タッチは余りいたしたくないと思つております。併しながらこれがいろいろ公共の問題、或いは本当の旅客の利便を増進することを阻害するような重大な問題というようなことに、相成りますれば、当然監督官庁といたしまして諸般の事情について運輸省も介入いたさなければならないと考えております。ただ一般的に承認の内容について、日常の業務としてその内容を精査するというわけに参りかねる問題がございましたら、当然監督官庁の立場から、只今申上げましたような情勢なり問題がございましたら監督といたし監査もいたす、こう考えております。
  46. 内村清次

    内村清次君 それは他の局管内の営業所ですね、これは運輸省としましては全体的に調査を何かの方法で命ぜられておりますが、どうですか。
  47. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 只今まで、実はこれの営業状況につきまして詳細な資料を連続的に求めたことはごございませんが、過日内村委員からの御意見がございましたので、いろいろの問題もあろうかと思いまして、今後はこの資料を整備いたしたい、かように考えております。
  48. 内村清次

    内村清次君 整備したら一つこちらのほうに資料を出して頂きたい。
  49. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 承知いたしました。
  50. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはこの前私も関心を持つてつたのでございますが、やはり免許、許可ということになると思いますので、一応これは大体これに携わる業者にいたしましても、従業員にいたしましても、どちらかと申しますと或いは引揚者であるとか戦災者というような人の一つの失業者等に健全な職を与えるということになりますし、不非常に低廉自動車よりは安い値段で以て旅客に便益を与える、こういう公衆の便宜にもなりますので、成るべくできる限り許可されることは私も望ましいと思うのでありますが、ただそこでこれが競争になつて、甚だしい競争になつたり或いは公序良俗と申しますか、昔の言葉で、これを紊すようなことになつても困ると思いますので、ただ取締りといいますか、これに対する駅長、営業事務所等の監督ということも大事だと思いますので、或る程度の免許の基準或いは若し免許した場合に制服をつけなければいけないとか、料金を届出なければいけない。或いは従業員はそれぞれ身分保証の、身分保証といいましても、原籍のほうからこういう役場の証明書を出さなければならん、或いは保証人を作らなければならん。こういうような細かい取締りの規定を設けられまして、そして広く免許をされるという方針にやつてもらいたい。かように考える次第でありますが、この点についてそういう処置がお考えになられるかどうか。
  51. 石井昭正

    政府委員石井昭正君) 事業そのものは、これは国民の自由権に関する問題でございますので、相当慎重を要し、又法規の根拠がなければこれは束縛できないかと思うのでありますが、この点はむしろ運輸省の所管でございまして、或いは実際の事務は都道府県に委譲されておりますかどうかは別問題といたしまして、その点は御趣旨のようなことは十分考えてやらなければならんかと思うのであります。国鉄の駅の構内に乘入れると申しますか、入つて参るのを承諾することは、これはむしろ私契約、形式的な私契約でございます。併し実質的には確かに一種の行政官庁の許可と相似たような関係になりますので、お話のように、国鉄の駅の構内に乘入れるということにおいてたくさんの乘客その他に対して相当信用度を高めます。その意味におきましてできるだけ監督なり又事業が整備されるように指導する方法は、これは必要かと思います。お話の承諾の基準等もこれもやはり適当に定めて、その基準に則つて行うことが事実上よかろうと思いますので、恐らくそういうふうに指示しておるものとは思いまするが、なお一層よくそういうふうに御趣旨のあるところを伝達して善処して行きたいと思います。
  52. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 大臣がお見えになりましたので、大臣にお伺いいたしたいと思います。  第一点は先般人事院総裁から政府並びに国会に対しまして公務員地域給支給区分につきまして勧告が出されました。そうして今国会におきましてこれが法律となつて実施されるということは、一般にこれは国会議員からもそういう案が出されるであろうし、ということを期待しておりましたし、又公務員も速かなその実施を望んでおつたと思うのでありますが、ところが今や終末に近付きましても未だにその法律案が出されません。でこの出されないことにつきまして、実は公務員の団体である職員の団体から政府当局に対しまして、特に官房長官に面会を求めましてその事情を質しました結果、それは国鉄職員に対してもやはり同じように地域給のこれは多少の引上げになるから、国鉄職員に対してもやはり同じような率で以で上げるような方法をとらなければならないけれども、一般の官庁にはその財源があるけれども国鉄にはないために、この財源がないために実は一緒にやらなければならんけれどもできないのである。このできない一つの障害になつている原因というのは、国鉄職員に対して実施することができないためにこれが障害になつているのであるということを官房長官が公式に答えられたそうであります。従つてこの件につきまして職員の団体から私に対しまして、国鉄の状態を運輸大臣から一つ聞いてもらうように、こういう要請もございまして、私は国民の要請に応えて本日はお伺いするわけでございますが、運輸大臣に対しましてそういうふうな閣議の席上等におきましてこれが問題になつたかどうか。或いは運輸大臣に対しまして国鉄職員地域給与引上げについて御相談があつかどうか。それかこれを実施することの可能、不可能について閣議としてのお話があつたかどうか。この点についてお伺いしておきたい。
  53. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) お尋ね御尤もであります。閣議の内容の点は申上げる自由を許さないのでありますけれども、結局国鉄のために一般公務員かたに累を及ぼしておるというふうなことは、官房長官の説明がどういうふうであつたか、私も立会つて聞いたわけではありませんが、その点は少し運輸大臣としての立場、見解から申せば、或いは話されたほうが間違いだか、或いは聞き取られたほうがそういう点を強く聞き取りになつたかという点もここで明瞭でないのでありますけれども、要するに国鉄に関する限りは国鉄財政状態を基本として、そうして独自の建前で行くべきことが原則であると信じております。併し大きく事務的な見地を離れて政治的の見地から申せば、同じく日本人として公務員たるとたらざるとを問わず、こういう時世にこういう努力をしておる際なのでありますから、一方だけが、一個所だけが殊更によい、一個所だけが甚だ不利であるというようなことは、政治的にはできるだけ調整をとつて、そうして国民全体をして完全なる一致でないまでも、機会を均等ならしめるような線に沿うて進むべきが政治的な手加減でなかろうか。運輸大臣としてはこういうふうに考えますので、原則としては勿論国鉄財政状態自体が基本をなすものではありますけれども、政治的にはそれらも見合つて行きたい。こう考えておるのであります。
  54. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この点についてもう一遍重ねてくどいようでありますが、具体的に申上げますると、例えば成る町におきまして駅と、郵便局と、学校とがあつて、その学校の職員もそれから郵便局職員もそれぞれ一割の地域給が附いております。ところが国鉄職員だけは五分である、こういうような場合、又反対に駅の職員は一割であるけれども、一般の公務員は五分である、こういうような場合には、いろいろの点から考えまして、まあ今日まで大体において多少のそれは職務の性質上開きがございましたけれども、余りに田舎の町に参りましてそういう開きを附けておくということは、私はむしろむずかしいのじやないか、そのままにずつと長い間続けて行くということは極めて困難だと思うのであります。これは本俸に入つておるのだからお前のほうは我慢せいと言いましても、なかなか本俸にそのときにどれだけ入つておるのだかは素人で以て判定はできないのであります。昔のような簡単な給与の組立方でありまして、判任の五級俸は幾らというように一般的にきまつてつた時代でありましたらこれはよくわかるのでありますが、今のような複雑な時代におきましてはなかなか自分が給料をもらつてつても、一体どうしてこうなつたのかということは個人ではなかなかわからないような実情なのでございます、これは卒直に申上げまして……。だからそういう際に五分と一割との開きを同じ町において附けておく、而もそれは地域給という名目で以て附けておくといつたようなことは、私は非常にいろいろな面においてむずかしい問題が起きて来るだろうと思うのであります。従つて成るべく公務員のほうの地域給改正なつた場合にはやはり大体これに見合うように改正をされなければならないと私は思うのであります。この点大臣はどうお考えになりますか。
  55. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 只今お尋ねの点は誠に御尤もであります。私も同感であります。公務員のほうの地域給勧告案或いは勧告通りに、或いはそれに近いものに変えられるという場合には、国鉄の場合にもそれに見合うように、做うようにあるべきであると思いますので、その線に沿うて指示して行きたいと考えております。
  56. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に現在国鉄職員の受けております給与は、大臣も御承知通りに我々も共に本委員会においても何回も論議をし、審議をいたして、そうして実施になつたのでございますが、あれを算定をいたしましたのは、一応基礎は公共企業体仲裁委員会において算定をされたのでありますが、時期は朝鮮動乱が勃発する以前に算定さ…れておつたということは大臣も御承知通りだと思います。朝鮮動乱の勃発に伴いまして日本の経済事情相当大きな変革と申しては語弊があると思いますが、様相が変つて来たことは、これも大臣認めになると思います。従つてその前に算定したやつが今の変つた情勢下においては少し無理があるということもお認めになつているだろうと思いますが、それで今組合側から国鉄総裁に対しましてこの給与改訂要求しまして、その団体交渉が妥結に至らずして、中央調停委員会において調停を受けておるということも大臣も御承知になつていると思うのでありますが、今日までの調停経過等はいろいろ新聞その他で以て大体承知いたしておるのでありますが、四月十九日に調停申請がなされておるわけでありますから、近く調停案が示されると思うのであります。現状に即した調停案が示されると思います。私が先ほど申上げました理由からいたしましても、何らかの処置を講じなければならぬ。これは常識的に考えましでもそう信ずるのでありますけれども大臣といたしましてこの調停案が示された曉には、この線に沿つて努力をされる用意決意がおありになるか、この点をお聞きしたい。
  57. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) さような場合には十分検討して、是なりと思うところに努力したいと考えております。
  58. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 私がお尋いたしたいのは、菊川君の質問に関連するのでありますけれども、今人事院勧告地域給の問題につきましては、御承知のように会期迫りました今日でも依然として政府のほうから案が出ないので、人事委員会でもこれを愼重にしておるのであります。従つていわゆる地域給の関係のあられる官公庁の組合員の諸君が官房長官を中心といたしまして、団体交渉をしておる折に、同じ内閣の要員であるところの官房長官が答える言葉として、先ほど菊川君が言われたように、いわゆる国鉄地域給と全官公の地域給とは少し違うので、これを国鉄地域給まで合せて一緒にさせてやりたいから今勧告実施についての返答はできぬ、こういうことを言われておる。その結果として団体交渉をしてもそうしたことを言われますので、それではどうしていいのだろうかということで、組合関係といたしましては国鉄に聞きに来る。このような状態の結果が今菊川君の質問になつていたのでありますが、私のお尋ねいたしたいのは、先ほどの大臣お答えではこの点を明確になされていなかつたのであります。官房長官が同じ閣内にありながらそういう答えをしておる。それにもかかわらず、運輸大臣はその点については何ら関知しておらなかつたのであるか、この点について先ほど明快にお答えになつておらないので、はつきりと一つお答え願いたいと思います。
  59. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 官房長官組合の諸君に答えられたことは、官房長官からは私には事前に別段話合い、相談を受けておりません。
  60. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そういたしますると問題がちよつと変なことになつて来るのでありますけれども大臣といたしましては、どういうようにお考えになられるのでしようか。勿論所管大臣である、指揮、監督下にある組合地域給の問題については、私ども要求するまでもなく、常日頃御心配になられて、できればそうした点について官公吏と同じようにしてやりたい、又やつてやりたいお気持は常日頃持つておられることでありましようし、又先ほどの石井さんからのお話の中にもそういうお気持が非常にあられるということは窺われるのであります。従つて私は今後若し官房長官が言われた言葉、そのことが本当であるとするなれば、どうか大臣といたしましては率先してこの点について御努力下さつて、そうして官房長官にもむしろ早く国鉄の者に対しまするこの地域給の向上に対して努力するように、そうして又大臣も率先して努力して頂きたいことをお願いするのでありますが、この点につきまして本当にやつて頂くお気持があられるなら御明快な御返答を頂きたいし、そうして又今後の交渉の中において、勿論人事委員会のほうでもこれを問題にしておるようでありますので、いずれは官房長官にも質問も出て来ると思いますが、若し大臣が、官房長官からはそうした事前の交渉一つも受けておらなかつた、それにもかかわらず官房長官団体交渉の中でそう言つてつたということにつきましては、又人事委員会のほうといたしまして官房長官質問してもいいと思いますので、一応その点は確かに事前にはそういう交渉はなかつたということについてはすでにお話をされておる通り、今後につきましては大臣としては十分その点は打合せるか、そうしてでき得るならば、この問題は国鉄に絡んでいるがためにこの勧告政府が立案することができ得ないということをはつきりお答えできますかどうか。この点を伺いたい。
  61. 山崎猛

    ○国務大臣(山崎猛君) 実は先刻菊川委員のお尋ねに対してお答え申上げたことを繰返すことに相成るのでありますが、繰返すことはこれを避けますが、官房長官からは先刻申上げた通りに、全然そのような話は聞いておりません。併し私は菊川君にお答えした信念に変りはないのであります。同時に又私としては、国鉄職員に対する問題に重点を置いて、主点を置いて、お尋ねまでもなく最善を盡して善処すると申上げて差支えないのであります。
  62. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御質問は大体これで終了いたしたでしようか、別に御発言もなければ……。  では本件につきましてはこれで質問を打切ります。ちよつと速記をとめて。    午後三時四分速記中止    —————・—————    午後三時四分速記中止    午後三時二十六分速記開始
  63. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。只今より約二十分休憩いたします。    午後三時二十七分休憩    —————・—————    午後四時十九分開会
  64. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今より委員会を再開いたします。  モーターボート競走法案を議題に供します。前回に引続きまして御質疑のおありのかたは質疑を願います。
  65. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私この前の質問の際にも申上げございますが、実は競走会並びにその連合会の構成につきましてまだ十分はつきり、提案者のほうでもどういう構想でこれを組織させるということにつきましては、よく行くことを期待しているのだということだけでありまして、はつきりしなかつたわけでございますが、何と言つてもこれを一歩誤るといろいろ競輪で問題を起したような危険が非常に多いと思いますので、この点についてもつと検討しなきやならんと思いまして、いろいろ実情等も調べたのでございますが、私は冒頭に申上げましたように、この点を一つ明確にして頂きたいと思いますのは、この競走会に入る申込を受けた者は即ち拒否することはできない。資格は勿論いろいろ資格がありましよう。例えば幾ら出資しなきやならんとか、或いは禁治産の処分を受けている者はいかんとか、未成年者はいかんとか、こういうような資格條件はありますが、一般の資格を具えている者が申入れをした場合に、一応或る期間を限つて公募して、その間に申入れを受けて、これを拒否することはしないとか、或いは先着順に何名までで締切るとか、こういうようなことを一応考え、例えばあんまり三万も五万も申込を受けたときには抽籤その他によつてきめるとか、そうしてみんな一人ずつが一票の表決権を持つというのですから、その間で役員を選ぶ、こういうふうに参りますならば、割合にそれから生ずる弊害は少いと思うのでありますが、はつきり政令その他で以てやるというような用意があるかどうか、この点を一つ明確にお答え願いたいと思います。
  66. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 競走会並びに連合会の構成につきまして菊川委員の御指摘の点、又御憂慮下さる点、全く私も同感でございます。従つてこの点につきましてはこの前の委員会のときにも御説明申上げました通りに、都道府県なり或いは出先の海運局なりが十分あらゆる点を検討いたしまして、そうして本省のほうに具申をいたしまして、本省で最後的に決定されるということに相成りますので、十分私は監督庁におきましても御懸念のないような線で私は十分これは検討されて、御趣旨に副うようなことになるのじやないかと、かように思うのであります。更に又この前も同じような質問であつたと思いまするが、申込者を拒否することはできないのでございます。併しながらそれが多数の申込があつたという場合も、やはり出先の海運局なり或いは都道府県の最高の責任者或いはそれに携わる係官が十分検討いたしまして、そういつたそつのないように行なわれるということを期待いたしておる次第でございます。
  67. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私のお尋ねしたのは、競走会を余計こしらえてこれが競合した場合のことを申上げておるのじやなくて、その競走会を県に一つこしらえよう、誰か有志が発起人になつて、坪内さんなら坪内さんが発起人になられて長崎においてやられる、そのときに、じや菊川も申入れをしたいと応じた場合に、お前はまあ長崎県に住んでおらんからだめだと、こういう條件はいいと思う。県内に居住地を有する者というような條件はいいと思うのですが、その他いろいろ條件をこしらえて、或いは会員としての出資は幾ら、それから或いは先ほど申上げましたような一般の資格要件を具えで申込書を出した場合に、丁度株式の公募というような恰好で以ておやりになるのかどうか、その点をお尋ねしておる。競走会結成に当りまして、あなたが長崎県にお帰りになつて、仮にこれの提唱者となつて一つ競走会をこしらえようじやないか、そうして長崎県内において公募された場合に、よその県の者は排除するというようなことは一応成り立つだろうが、その他のことによつて、自由党なんだから社会党はいかんというようなことで、有志だけで以てちやんとこしらえてしまつてつてしまう。それじや俺のほうは民主党でやろうかというようなことになつたのではこれはまずい。どうしても権力を持つている者が強いというようなことになつて来ますると、まああなたは今海運局その他において善処するということを言われましたが、成るほど官庁等におきまして、法律の上においては非常にうまくできておりまして、善処することになつておるのでございますが、ややもするとこれから間違いを起しやすい問題なんでございまして、御案内の通りに、この間の当委員会でも問題になりましたように、海上保安庁のああいう事件も起きておるようなわけでありまして、なかなか法律通りに我々が期待するように運営されるということは極めて困難でありまして、こういうむずかしいときでございますからして、でき得る限りやはりこの法律が通つたら問題が起きそうなところだけはしつかり抑えておかなければならん。政令でできるだけこういうことをきめずに、本当はそんなことをきめなくても問題が起きずにうまく運営されて行くことが最も望ましいのでありますが、遺憾ながらこの前大臣も答弁されておりましたように、これは戦後のいわゆる道義の頽廃によつてどこにでもそういう要素は充満しているのだ、だからしてたまたまこういうことが起きるのだと言つていることは、これは率直に大臣でも認めているわけでありまして、従つてなかなかこちらで期待したようには行かないと私は思うのであります。その点について一つ……。
  68. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 競走会なり連合会の構成について、構成後の点については大体御了解頂いたと思いまするが、構成前の関係においていろいろとトラブルが起きるのではないかというようなお話でございますが、全くその点御憂慮になる点はあろうかと思うのであります。併しながら私どもは、第一條に掲げてありますようなこの法案の目的を達成するには、それぞれその地方々々のこういつた関係に非常に関心を持つておられる方、例えば造船業界とか、或いは金融界のエキス。ハートとか、或いはその他地方公共団体に密接な関係のある人とかそういつた非常にジェントルマンの方々が相会合下さいまして、私はそういつた面が大体懸念なく構成されるのじやなかろうかということを期待しておる次第であります。これはやつて見なくちやわかりませんけれども菊川委員の御指摘の点も十分我々もわかりますので、その点は関係官庁とも十分連絡をとりまして、そういつた懸念のないようにこれが運営の万全を期したい、かように申上げる以外にはお答え方法がないのでございますが、なお又出資問題で御指摘になつたのでありまするが、この競走会なり連合会は財団法人でもないのでございまして、社団法人だから、従つてそういつた出資の問題はないように承つておる次第であります。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 よく私もわからんのでございますが、公益法人というと、一文も出さなくてもただ有志だけでそういうものができるというわけでございますが、そうすると何も元はないわけでございますが、出資もないということになりますと、空手でやろうというわけですが、一体その競走場を設置したりするのをどういうふうにおやりになるのですか。
  70. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 社団法人の設立につきましては民法第三十四條の規定がありますが、設立者は定款を作りまして、その中に目的であるとか名称、事務所、それから資産に関する規定、理事の任免に関する規定、社員たる資格の得喪に関する規定、これらを記載することになつておりますので、発起者がさような競走会を作ります場合には、その人の数といつたようなものも一応内定しております。
  71. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで今私お尋ねしたポイントは、その社員の資格の得喪に関する規定というやつです。それをどういうふうにきめさせるつもりであるか、こういうわけでこの点をお聞きしておるわけです。これをどう指導されるか、社員の資格の得喪に関する規定を坪内さんの今のお話ではこれに利害のある……まあいろいろな事情で抽象的にお答えでございます。併し私ら抽象論は、道義が非常に保持されておるときでございましたらその抽象論誠にその通りに行くのでございますが、なかなかこの間も問題になつたばかりでございまして、私らそれを決して人を疑うという意味ではないのですが、こういうふうにして問題が起きておりますと、成るべく起きないようにしなければならない、こういう観点からお尋ねしておるわけでございます。
  72. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 御指摘の点は十分理解するのでございますが、その具体的な点につきましては、この法案が通過いたしますると、省令を以てそれぞれ細かく規定されるのでございまして、その具体的な点はまだ研究いたしていないのでございます。
  73. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからそういう点を省令できめるのはこの法律の何條でそういうことをやられるんでございますか、どの條章によつて……。それはなぜ申上げまするかというと、人の権利を一応或る程度制限する、こういうことになるわけでございます。成るべく今の立法は、他人の権利を制限するようなことは法律で以てきめなければならんということになつておるのですが、法律が通つてしまつたあとでそれがはつきりしておらないで、あとで省令できめてしまつて勝手にやられたら、国会議員の知らないうちに勝手に運輸大臣がきめるということになりますと、それは或る程度の構想等も聞いて置かなければならないと私は思うのですが。
  74. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点の條項につきましては、第二十六條で省令によつて定められるということになるわけでございます。更に又社団法人の関係につきましてはそれぞれの定款によつて定められて行く、かように考えておる次第でございます。
  75. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 第二十六條は、これは「この法律に定めるものの外、競走の実施の委任に関する事項、」とかで、それは競走会設置についてのことは私は言えないと思うのです。それは実施の細則でございまして、例えば旗を振つてやるとか、号砲はどういうふうにやるとか、これを省令できめる、これは省令できめても他人の権利を侵害するものではないと思いますが、その点今の御答弁はちよつとおかしいと思いますが。
  76. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お言葉でございますが、二十六條の終りのところに「その他この法律の施行に関し必要な事項は、運輸省令で定める。」と、こういうことになつておりますので、これははつきり定まつて行くのではないかと考えております。
  77. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、ここで一応運輸省のほうの係官が見えておりましたらお聞きしたいと思うのですが、一体どういう省令を競走会の設置について……。これはなぜくどく言うかというと、これが一番問題になります。今までも一番これが問題になるのですから、明朗な発足をするにはどうしてもこの点だけははつきりして置かなければならないと思うのですが。
  78. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 菊川委員に申上げますが、その点を政府、説明員が参りまするまで他の御質問に移つて頂きたいのですすが、如何でございますか。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ほかの委員の御質問があればそれでいいのでございますが、私はなぜこういうことをくどく申上げるかと申しますと、従来私は労働組合のほうにおりまして、成るべくそういうことについては、自分個人としましては、極めて世の中のいろいろ問題の起きるところはきれいにしてやるべきであるという主張をしてやつて来まして、今日まで私生活においても続けて来ておるわけでございまして、できるだけ海上保安庁のような問題が起きました場合には、どうしても不明朗で困るんで、折角本委員会がこの法案を審議することにするに当りましても、問題の起きそうなところはできるだけしつかりして置いて、将来問題の起きた場合には、我々はこういうふうに審議をして驚きながら、君たち実際にやる場合にはこういうふうにしてやるんではないかということで、それは当路者の責任であるかも知れないが、我々国会議員の一員としてこういう法案審議に当つて十分にやらなければならない。この法律の一番問題になるのはここでありますから、私は政府委員のお見えにならん間はその点を譲りまして、一応ほかの人に発言して頂くということにして参りたいと思います。
  80. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 菊川委員に御質問がなくて、又他の委員に御質問がおありでしたらばどうぞ御発言を願います。或いは又菊川委員にぽかの御質問があれば……。それでは他に御質問ありませんか。
  81. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 只今提案者側からの説明につきまして私からちよつと補足させて頂きます。私の御説明で御満足行きません点は、政府のほうから御説明することと思います。只今民法第三十七條の定款の記載事項の中に「社員タル資格ノ得喪ニ関スル規定、」こういうものが必要であると申上げましたが、これにつきまして、どういうことをやつたらば権利が得喪するかといつたような根本的な問題は省令できめまして、例えば不正なことをやつた或いはその資格に適さない事態が起つたとかいうようなことは法律できめますが、その他のことはその法律の範囲内におきまして定款で定めることになつております。
  82. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今堤さん言われましたのは得喪に関する規定で、悪いことをやつたとき、例えば競走会の金を使い込んだとか、或いはその他悪いことをやつた場合にこれは失うというのは、これは当然なんですが、私の言うのは、その競走会をいわゆる公募方式によつてやるのか、先ほども具体的にわかりやすく申上げたが、坪内さんが長崎県で発起人となつて競走会を作ろうというときに、ただ有志の、心やすい者だけに当つてこしらえてしまつて、坪坪内さんが発起人となつて運輸省のほうに海運局を通じて申請する、こういう行き方をするのか、或いはそれともこういうのは問題が起りやすいから、それで又希望者も多くあるかも知れない。希望者というのは第一條の目的に賛成してくれた人でありまして、競走会としては大いに歓迎しなければならない人であるから、そういう人に成るべく多く来て下さいといつて門戸を開けて結成してやるというのか、どちらの方式をとるか。或いはそうとするならば、今の坪内さんのお答えでは、第一條の目的に合うようにうまく行くことを期待していると言われてるけれども、なかなかそれはうまく行かんが、その点を省令できめるというが、省令ではどういうことをきめるか、こういうことをお尋ねしておるわけでありまして、ポイントを一つそらさんようにお願いします。
  83. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 只今の御質問は、社団法人を作る場合に一部の有志だけで以てやるか、或いは広く一般に公告してやるかどうか、こういう点であると考えます。これは……。
  84. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これは堤さん、確認しておきますが、将来これをやつて、あなたのこういう方式でやつて、それが実施されなかつたときに、効力を失するというときに問題になるのですから、そのつもりでお答え願いますよ。
  85. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) この点につきましては十分な実は研究をしておりませんので、御満足な御回答はできませんかも知れませんが、公告をして一般にやるというような方式は或いはとらないかも知れません。有志のかたが集まりまして、競走会の結成をやろうと心うことになりますので、或いは各地にいろいろなグループのかたができるということも予想されていることも存じます。
  86. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それがいわゆる私が昨日からくどく質問している一番重要な点なんです。そうなつて来ると二つも三つもできる、ところがこの法律では一つしかできない。その資格要件をどこによつてきめるかというようなことが、そこが問題の種なんです。第一條の目的、目的といつたつてこういう抽象的な目的はどの法律にも書いてあるが、それを具体的にやる場合にはなかなかむずかしい問題でありまして、海運局に任すなどといつたつて、海運局だつていろいろ問題が、いろいろな感情問題を絡み、それから利害得失等の問題を絡みましで、或いはことによるとそれが地方の政治の力まで加わりまして、非常に私はむずかしい問題になつて来ると思うのです。うまくできてしまつて、非常にスムーズに行つた場合にはそういうことはないのですが、別にどこの県でもそういう問題が起きると考えません。併し一部の県におきましてはこれは起きて来るので、従来の競馬にいたしましても競輪にいたしましても、なかなか皆県民知らんうちに……、折角こういういい目的を持つて作られてやつておるのに、有志だけでぽつと内緒でやつてしまう、こういうことはこの法案の趣旨にも反すると思う。そういう意味におきまして、入つて来る者は拒否するのじやなくして、坪内さんの提案理由の中にもあつた通り、むしろ歓迎しなければならないはずです。それをどうも有志だけでやるということになる……、ところがなかなかそのさじ加減というのはむずかしいので、そういう点は明確にしておかなければならんと私は申上げるわけでありまして、特にこの種の何は、勿論競輪のような弊害は起きない、競輪ほどひどいのは起きないかも知れません。併しそれを設置する場合にはいろいろ問題が起きるのでありまして、現に競輪にも起きておるわけでありまして、当然この法案が施行されるということになりますと、各方面でその問題が発生すると思います。坪内さんもその点は先ほどから何回も私が御質問するたびに十分わかると言つておられる通りでありまして、それだけはしつかりしてそうしてやらなければならん、こういうふうに私は申上げるのであります。
  87. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 実は菊川君が今御質問申上げましたことに対しまして、提案者であられるかたがこれに御答弁なされないということは、法案を審議する立場からいいまして、非常に私は不快だと思うのです。その程度のことは、そばに専門のかたがおられるのにかかわらず、これに御答弁なされないということは……。従つてこうした状態ではなかろうかということの推測は、過日の私ども質問お答えの中から出ておる。というのは先ず提案者であられるかたが、この間お話になられたその内容を大体取りまとめてお聞きいたしますと、海事普及のために予算相当必要であつた、而もその予算を作るためにこういうものを作りたいという御意見であつた。そういたしますと日本人の習性が、多分に悪い点もあるだろうと思いますが、結局そういう習性を利用して、そうしてそれから出る財源によつて海事普及をするという面に資したいというお心持の発表ではなかつたかというふうに私は聞いたのであります。そうした点から出発しておるというところに……、今まで射倖行為を含めたところの競輪、競馬というものが非常に社会に問題を流しておるのであります。こういう心配から今回のこの法案を若し本当に我々が国会議員として審議する場合においては、必然的に今菊川委員が言つたような質問が出て来ると思います。又これを十分お心得あつて私は今回出されておると思つてつたのでありますが、残念ながらそれに対するお答えが提案者においてはつきりできないということについてはむしろ残念だと思うのであります。それについて引続いて御質問申上げたいのは、例えば、この地方財源云々ということをいろいろこの法案の中に出しておるのでありますが、果してこれを地方から、地方の公共企業体関係、要するに地方財源を云々といつて目標にされる地方の人たちからこうしたものを作つてくれ、財源確保のために作つてくれと言つて来たところがあるかどうか、ありましたらどことどこであるということを先ずお知らせ願いたいと思います。
  88. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 先ず菊川委員のお尋ねの点につきまして更に提案者といたしまして、納得の行く説明ではないかと思いますけれども、一応御説明申上げまして、鈴木委員の質問にもお答えいたしたいとかように考えております。  先ほど菊川委員から指摘されました点につきましては、堤専門員もお答えになつたのでありますが、公募によらずしてやるということについては、私もそういつた形になるのじやないかと思うのであります。併しながらこの競走会を各府県で作る場合に、それぞれこの第一條の目的に合致するような、又この第一條の目的を十分関心を持つて見ておるかたがた、例えば造船業界とか或いは観光方面かた、或いは金融界の人とか、或いは海事思想の普及の面においていろいろ関心を持つておるかたがたが相寄りまして幾つかの競走会が仮にできたといたしましても、それは運輸省の出先機関であるところの海運局の支局で取りまとめ、そういつた競願を運輸省に上申し、最後的には運輸大臣がそれを決定いたしますので、菊川委員が御指摘になつたように、多少憂慮される点もあろうと思いますが、その点は官庁なり或いは最高責任者の運輸大臣を信頼してやる以外に途はないと我々は考えております。併しながら実際問題としてはその点はいろいろと問題もあろうと思いますが、幸いにしてこの法律に御協賛を頂きましたならば、十分そういつた意見を尊重いたしまして、関係省にも連絡を取りまして万全を期したい、かように考えております。只今船舶局長が見えたようでありますから、その点は更にお答えいたしますが、そういう程度一つ御了解を願いたいと思います。  更に又鈴木委員のお尋ねでありまするが、「地方財政の改善を図るために、」というような目的が謳われておりますが、地方公共団体からこれに対して申出があつたかどうかということにつきましての御質問でございまするが、この点につきましては先般の合同委員会におきましてもお答え申上げました通り、大体この法案は発案者があり又我々提案者がこれを提案いたしまして、むしろ地方公共団体に呼び掛けて行くという建前で進んでおるのであります。従つて衆議院をこの法案が通過いたしまして、明日に終る国会の審議を目前に控えて全国各地方公共団体が重大なる関心を持つてこの法律案の通過を見守つてはおるのでございますけれども、今どこの地方から申出があつたということは、まだ法律も通過しないことだし、更に又省令も施行されていないという関係もございますので、そういつた申出は多分にあるかと思いますけれども、具体的にはどこという申出はないのであります。この法案が通過いたしますと、或いは矢継早にそういつた申出もあろうかと考えておる次第であります。
  89. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 坪内氏の今の御説明に関連いたしまして、私の今納得が行くかどうかというお答えがありましたので、それに関連して、それから船舶局長にお尋ねいたします。第一に坪内さんが競走会は公募によらないで、幾つか出て来た場合には、これは海運局を通じて運輸大臣のほうに来たときに運輸大臣がこれを認可すると、こうおつしやつたのですが、そのことについての規定がどこかにあるのですか。実は「競走会は、競走の実施を目的とし、都道府県内に各一箇を限り設立する」と、こういうことはありますが、海運局を通じて手続をして運輸大臣が認可するというようなことはありますか。
  90. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) その点は社団法人に関する省令がありますので、その省令に基いて運輸大臣が許可をするということになつております。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは重大な問題です。法律で何もきめてないのに「運輸大臣が省令で以て権限で認可するということはできない。やはり認可なり免許なりは基準を法律にきめて置かない限り、こういう條件でやつたものには認可をする、これは法律でもこういうものを認可する場合にあるのが当り前ですよ。認可なり免許の基準があるのは当り前なことで、私たちこの間審議いたしました道路運送法においても業界でうこれは公益法人とは違いますが、併し競合するということは当然予想される。その認可なり免許の基準をきめずに、省令できめて、運輸大臣の腹一つできめるというのはおかしいと思う、法律の建前上……。即ちこれは国民の利益といいますか、意思というものを法律では自由にこれはできるような建前にして、省令で縛るのはいけないというので、最近の立法の傾向などは、できる限り人民の権利義務等に関するものはすべて法律で明示してしまう。こういう行き方になつているということをこの間道路運送法のときにもこれはくどくどと政府当局から説明があつた。ところが認可、免許の基準を省令できめようというこの法律は、このままではおかしいと思うのでございますが。
  92. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) お言葉のようでございますが、私の考えでは、この法律に基きまして社団法人ができましたならば、この法律に基いた範囲内で各省に省令があるということを聞いておるのであります。従つてその省令に基きまして法律の範囲内で運輸大臣が省令を定めて許可を与えるということは合法的だと考えております。
  93. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 今のに関連してお答え申上げます。民法第三十四條に「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」という規定がありますので、主務官庁はその権限の範囲内におきまして、法人を認めることができると思います。それに関する手続は各省の省令を以ちましてそれぞれ規定ができております。運輸省にもあるし、ほかの官庁にもあります。
  94. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 わかりました。今の堤君の御説明は成るほど民法とおつしやいますが、それはこういう競輪とか競馬とか、こういつた種類の公益法人が未だ盛んにならないときにおける民法であります。これは新しい情勢です。これは確かに新しい情勢と言わなければならん。この民法ができる頃にはこういうものは想定されなかつた。これは公益法人とはいいながら若干趣きを異にしておるということは、これは提案者の坪内さんもお認めになつておるわけであります。それをこの規定によつて縛ろうというよりも、むしろそういうのはこの法律の中にやはりはつきりしておくべきであるという私は考えを持つておるわけでありますが、堤氏のは民法の規定によつてやるのだ、成るほどそれは公益法人だと言つてしまえば言つてしまえますけれども、ただ普通の常識的に我々の考える公益法人とはちよつととり得ない点がある。というのはすぐ競馬、競輪の問題を持ち出すようでありますが、これが社会の批判の的になつておるから私は申上げるのです。それを坪内さんはそういう免許、許可のことをこの法律の中にきめておかないでもよい、設立とか何とか、それはすべて公益法人のほうに讓つてあると言われるが、それは時代が違うので、法律の今の建前はすべて人民の利益、権利に関することは法律できめて行くということになつておる。そういうことがやかましく言われておる。それを拔かしておるところに穴がある。問題を起す危険性もそれだけ多いということを申上げるのです。それを、それでもよいのだ、何でも昔の通りの民法によつてやるのだと、こうお考えになつておるかどうかそれをお尋ねしたい。
  95. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) この法案の修正なりそういつた点につきまして、国会の御意思がさような修正を決定されるということでありますれば、我々は異存のないところであります。なお甘利船舶局長も参つておりますから、その点につきましてお納得の行くように御説明させたいと思います。
  96. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 船舶局長にお尋ねいたしますが、第二十六條でございますが、第二十六條の「この法律の施行に関し必要な事項は、運輸省令で定める。」この條項を利用いたしまして、例えば競走会の設立方法といつたようなものまでも省令においてきめようとしておられるかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  97. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 設立の方法に関しましても、従来ともこういうことについては前例がありますので、そういう例によつて省令できめるつもりでおりますが、併し今まで省令によつて定めたものについてやつた場合にいろいろな弊害もありましたので、今回はそういう例をいろいろ斟酌いたしまして、そういうことのないようにしたい、こういうふうに考えております。
  98. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どういうふうにしてないようにしようと考えるか、その構想をお持ちですか。例えば具体的な点をお尋ねいたします。勿論抽象的なことではお答えがお困りと思いますので、競走会を設立するに当りまして、例えばまあ僕なら僕がこの法律案が通つたから、早速人のやらない先に一つ家に帰つてやろうというので、休会になつたら三重県にすぐ飛んで帰つて競走会を設立しよう、有志を募つて申請を出そうということにもならんとも限らぬと思います。私はそういう意思はございませんが、そういうものは、これはやるときはどういう形式を以で、この競走会を公募をするとか、或いは條件はどういう條件でしなければならんというようなことも、あなたはこの省令できめるつもりであるかどうか。そうするというと「この法律の施行に関し必要な事項」というものは、そういう競走会設立のことまでも或る程度基準等だけを法律できめておくならいいけれども、そんなことも何もなしに、すべてそういうことまでも競走会が一番中心になつて実権を握つて運営しなければならん、府県はそこまではやれぬ、運輸大臣監督するというと、これを信頼して相当うまく運営して行かなければならん、いい競走会、いい連合会をこしらえさして、立派な役員の人に運営してもらわなければならん。将来仮にこの法律が通つた場合に要するにいい競走会の設立、これが一番私は大事だと思う。将来事故を起したり或いは世の中の批判の対象にならぬようにするのが一番大事だと思います。従つてこの競走会の設立については先ほど申上げました公募をするような方法をとるべきであるかどうかはつきりしない。只今堤君の説明では公募をしないらしい、有志が寄つて、坪内さんの話では今後造船業、金融、観光事業その他の非常にいいかたに集つてもらつてやるんだ。こういうところでいいかたといつたつて、誰でもやるのはいいかたにきまつている、悪いということをしておる人はありません。而もこの法律は、成るべくそういう海事思想の普及ということで、競走会に入いつてもらうのを拒否する理由はちつともない、むしろ一人の人でも……。この間参考人という形で以で発言を願つた、ボート会を長い間やつておられたかたの発言を聞いたのですが、雑誌を出しても三十年か十年のうちにただ四千冊かそこらしか売れていないので、それではとてもだめだからこういう方法を講じた。こう言つておるのですが、この競走会に理解のある人にこれに入つてもらうような形式を講ずるということは私はいいことだと思うのであります。人数等を余り制限せずにそういうことをここできめる、この省令で以てあなたはさめようとしておられるのかどうか、省令できめるとするならばどういうふうにきめられようとするか、どういうふうに構想を持つておられるか、これを一つ伺いたい。
  99. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 省令できめるつもりおりますし、一応いろいろ案を作つております。これは今まで大体似たようなものがありますから、そういうものを参考にいたしまして、先ほど申しましたようにそれで不十分の点がいろいろわかつております。そういう点も考慮いたしまして参考の基準を作つております。それを地方の海運局に一応示しまして、海運局に皆さんから申込があつた場合に、一応地方の事情を知つておる海運局で選考いたしまして運輸省に持つて参りまして、運輸省で又その選考基準に合つてつてもいろいろ見方もありますので、その基準に則つて別個に審議する委員会が構成されておりますから、部内的なものでありますが、従来その委員会にかけてその委員の意見を聞いて判断いたしておりますから、二重、三重に選考の網を設けておりますので、今おつしやつたような恐らく弊害は十分防げるのじやないか、そういうふうに考えております。
  100. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 競走会の二つ三つが設立されると思うのであります。大体いい場所、又適当な県等におきましては二つ三つできるかも知れないと思うのでありますが、この法律では一つより設立しないと書いてあるのですが、たくさんできるわけですが、これをさてそれならどれか一つだけ認可するのだ、認可権というものはこれは誰が持つのだということについては、この法律で運輸大臣が出て来たものを一つだけを認可するというような規定があるのですか、その規定を聞いておるわけです。こう三つできてしまつたという場合に、断るのはどの條章によつて如何なる基準によつてこれを断るか、こういう点について……。
  101. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 第四條に競走会は各府県に一箇を限り設立するものとありますから、これは運輸大臣がさつきの選考基準に則りまして委員会にかけまして、これは部内の委員会ですが、そこで委員の意見を聞いて、これは勿論いずれも選考の基準に則つておりますが、その上又その委員会で十分検討しまして、大臣の判断を待つてそういうふうに決定するわけであります。恐らくできると思います。
  102. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私が言つているのはそこが問題であつて、今幾つもできて皆いいような場合、大体似たり寄つたりのものができる。従つてこれにはどういう方法で以ても基準というものがこれは必ずできなければならんものであつて、これはこの前の法律で言うわけじやありませんけれども、道路運送法なんかできた場合におきましても、免許の基準というものを一応示しまして、この基準によつてこしらえようということになつて、この基準によつて自信のある者は申込めと、こういうことになつておるわけであります。それを何もなしに一つだけこしらえるということになつて、而もそうしてこれは公募しなければならんというふうに政令でも省令でもきめるという……、それははねのけになるということは知らんものだから、これは公募したり……それもなしにどんどん出して、通してしまうという状態にしておいて、而も免許の某準もはつきりしないでおいて、一つだけこしらえる。而もこれは運輸大臣相当強い免許権を持つような條文ならいいが、併しそういう條文はありません。従つて民法の三十四條に基くところの公益法人はこれは自由にできるわけです。ただそれを免許できるかどうかという問題だと思うのです。それに合致した場合は公益法人はできるのです。これは運輸大願一が認可した場合には公益法人は幾らでもできるのです。それを三十四條第一項の規定によつてこれをやろうというのです。これは併し法律として無茶なやり方だと思つておりますが、こういう法律のやり方はないと思います。これはこういうことになりますると、或いは民法学者或いは憲法学者等の意見を私は十分聞かなければならんと思うのです。国会として将来問題が起きる條章であるから私は申上げるのですが、これはどうしても必要であると思いますが、甘利さんその点大丈夫ですか。こんな條章で以て運輸大臣が勝手にできた公益法人を認可するか認可しないというようなことをやり得るか、これは重大な問題だと思います。ただ條文の形式を捉えてこの法律の立案者の考えとするならば、そういう問題は起きないので、即ちこれは同好者だけ集つてずつとうまくできて行くだろう、こういう構想の下に立つておるのです。私が申上げますのは今通しては危険だ、この間から競輪会というものができて、一応あそこまでそれは発展したが、できたときにはあんなにうまく行くとは思つていなかつた。余り不備のままでは問題が起きると……。これも幸いにできまして将来海外発展、海国日本ということになつて来ますと、それが又この法律の目的ではありますが、それは大いにやつてもらわなければならないが、ただ金を儲けるばかりのものでは困る、海事思想の普及ということを大いにやつて従つてどんどん発展するということを、当然通る以上はこれを期待し又祈るものである。併しこれができたような場合には非常に問題が起きるんです。この公益法人は民法でできる、運輸大臣が免許をするというような規定はどこにもない。ただ設立するときに誰が設立するか何も書いてない。これは競走会ができたものを認可するということになると、これを省令できめようということは、これは法律の形式といたしましても私は大きな問題を孕んでおると思うのでありますが、この点について御検討になりましたか。民法学者、憲法学者等の相当の権威者の御意見も御聽取になつたかどうか、この点についてお伺いいたします。
  103. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 只今菊川委員の御質問の中で誤解がおありになるような点がありますので、私がその点を申上げまして、後に甘利局長から御答弁申上げます。社団法人は主務官庁の許可を得て初めて設立することができるのであります。それは民法三十四條にはつきり書いてありましてこれこれは「主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」というのがございまして、たくさん法人ができるわけではありません。主務官庁の許可がなければ法人ができませんから、ですからこのボート競走の法案の第四條によりまして、各府県には一箇しかできないということになつておりますから、その点につきましては……。
  104. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 その点は十分承知の上で、そのできる過程のことを言つているのです。初めから認可しないものを誰が公益法人の登記だけやつて認可を受けてやるという馬鹿な者はないですよ。競走会というものの現実をつかまえて私は言つているので、一般法であつたなら、運輸大臣の認可しないものを登記して、公益法人の登記をするというような馬鹿はないはずです。その認可の見通しのないものを……。従つて競走会をこしらえるのは道府県に一つとするというのであるけれども、競走会そのものをこれを認可する。認めるということはないわけです。ただあなたは三十四條の公益法人の設立という、設立認可で以てやろう、これで縛ろう、こういうお考えですか。
  105. 堤正武

    ○衆議院専門員(堤正武君) 私の説明が悪いために或いは御理解にならなかつたかと思いますが、例えば競走会は主務官庁の許可がなければ法人として存在することができません。つまり許可があつて初めて法人となる。その点でちよつと誤解があるのではないかと思います。
  106. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはわかつているのです。その認可までの……。
  107. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 その点は菊川さんの言つているのはわかつているのです。ただそれでは第四條によつて……、いわゆる三十四條の公益法人の設立の規定によつて作る、それで主務大臣がこれを認可する、そういうことばかりであれば、今まで非難を受けた問題も何ら非難もなく行つただろう。そういう方法で今までは作られておる、競輪でも競馬でもそういうふうに作られているから。併し我々の言いたいのは、先ほどから甘利局長にお伺いしているのは、然らば認可するまでの間、省令の基準によつて主務大臣が認可するという結論が、三十四條の問題となつて来るのです。従つて私のお尋ねしたいのは、その省令というものを、道路運送法案においては法律に書いてある。そうした間違いが今まであるから、なぜその省令の大綱のことまでも法律の中に書かないかということの疑念が一つと、そうして甘利局長にお伺いいたしたいのは、適格審査委員会というものが勿論あるということを言われておるけれども、その委員会なるものの性格というものが、この問題が出て来てこれに対しまする委員会である限りにおいては、その構成も初めであるために、従つてこの構成内容についても或る程度我々が何するというところまで行かんでも、その審査委員会の構成如何によつては我々としても考えなければならんと思います。そういう点御親切に言つて頂ければいいので、それ以上のことは追及しているのではないのです。
  108. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) モーターボート競走会の設者の基準を変更するために、わざわざ委員会を設けるのではなくて、従来とも運輸省所管のこういう法人の審査にはしよつちゆう利用しておりますところの委員会がありますから、その委員会を利用するつもりであります。特に作るつもりはないのですから、この競走会のために特別に作るならば或いはいろいろな弊害があるかも知れませんが、そうじやなくて、一般のものと一緒にこの委員会で審議するつもりでおります。
  109. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 甘利君は一般のものを適用すると言つているのですが、先ほどからも議論の中心になつているのは、一般公益法人と違うようです。運輸省の中に今まであつた公益法人、弘済会はどうか知らんが、そういつたような消費者の団体という公益法人はあるが、それと競走会と同じように考えるところに無理があつて、むしろ新らしく考えなければならんと思うんです。その審査会にいたしましてもそうでしよう。先ほども坪内君からも説明があつたことくに造船業、或いは金融業その他の人々によつてやる。而もそれはたくさん出て来る、それを審査するのに今までの公益法人を審査するような適格審査委員会の規定で、そのメンバーでやらうというそこに大きな無理がある。そこを私は申上げておるんです。それは全然性格は違う。全然といつては余り極端であるかも知れませんが、大きな性格の相違を来たしておるということだけ言い得ると思います。あなたもお認めになると思う。それと同じようなものでやつで行くということの無理がある。だからしてそのままそういうことでやろうとするならば、この法律の根拠の基準というようなものを必ず設けなければいかん。それがない、全然なしにしておいてこの三十四條、民法の規定だけでやつておるんだ。而もどういうことで運営するかというと、適格審査委員会が従来のやつを……、従来のやつというのはそれは従来の公益法人、こんな性格の公益法人を扱つた例はないでしよう。恐らくこういう性格の中には……、商工省なんかでは競輪会等を持つておる、農林省は競馬会を持つておる、相当それに造詣の深い者を例えば入れるとするならば、この間証言されました、ボートについて長いこと自分の私財まで出してやつて来たというような人も入つて行かれるということになりますと、相当その性格もよくなつて来ると思います。ああいう人を入れるとか、坪内さんのような国会議員の人、非常に理解のある人を入れるというようなことになりますと、一応性格は変つて来るが、従来の運輸省のそう言つちや何ですが、官僚の人たちで審査委員会を作るというのは私は無理だと思います。そういうものが新らたに出て来るからこれはもつと検討しなければならん。私はこう思うが、甘利さんそれでいいと思いますか。
  110. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) その点は十分わかりますから、そういう御趣旨に副つで、勿論必要があれば委員のメンバーを変えてやつても結構でございます。御輸旨に副うつもりでおります。
  111. 岡田信次

    ○岡田信次君 この法案につきましてはすでに長時間に亘つて審議をいたしましたので、大体御質疑も盡きたと考えられるのでございます。直ちに討論採決に入られんことの動議を提出いたします。
  112. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは一応質問者が納得すればいいけれども、まだ納得していない、明確にされていない、私の尋ねんとするところは明確にされていないから、討論を打切りされるということは私は強引過ぎると思います。もう少しこの点につきましては、私も納得しさえすれば決して無理に固持しようと思いませんが、我々もこういう法律の問題については素人でありますから、こういうことになりますと、やはり立法するということになつたら、これは責任があるわけです。併しこれが大夫丈かということについては、私は権威者の意見を聞く必要があると思いますが、すべでの点におきまして間違いの起らんようにしたいという念願からこう言うのでありまして、今の意味から行きまして、私は只今の岡田君の動議はちよつと早過ぎると思いますので、もう少しやつて頂きたいと思います。
  113. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  114. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を再開して。只今から懇談に移ります。    午後五時二十一分懇談会に移る    —————・—————    午後五時二十一分懇談会に移る    午後五時三十一分懇談会を終る
  115. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 懇談を閉じて議事を再開いたします。
  116. 岡田信次

    ○岡田信次君 先ほどの動議は、諸般の情勢を察して一応撤回いたしますが、一つ皆様にお願いいたしたいのは、大分長いこと質疑をやつておりますので、一つ質疑を成るべく簡単にお切上げ願いたい。この点を希望いたします。
  117. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは岡田委員の御発言を尊重いたしまして、質問を続行いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) さよう取計います。
  119. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで一つ委員長にお願いしたのでございますが、私はこの第四條の規定と民法の三十四條の関連につきまして、一応私もいろいろ考えたのですが、ちよつとこれは無理だと思いますので、院内の法制局の局長といいますか、部長というのですか、これは時間がそうかからないと思いますので、呼んで一応確めたいと思いますので、一つ出席を求めてもらえんでしようか。
  120. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 承知いたしました。
  121. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 坪内さんにお尋ねしますが、第二十五條ですが、「施行者から、競走の開催、終了及び会計その他必要があると認める事項について届出又は報告を求めることができる。」、こういうことになつておりますが、この施行者というのは、委任した場合におけるどちらのほうを指すのであるか、例えば府県が施行者になつてそれを委任することができるということになつているのですが、この報告を求めることができるということはどちらに求めるのですか。
  122. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) これは地方公共団体のいわゆる施行者であります。結局いわゆる競走会ではございません。
  123. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、委任をした競走会には、或いは連合会に対しましては報告を求めることはできないわけですか、運輸大臣から。
  124. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 競走会は、先ほど御説明申上げました通り、省令によつてそれぞれの基準によつてこれらが設けられますので、その点は省令でそういつた報告を求めることができると思います。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それが問題なんで、ここでは施行者には一応法律で以てきめておるんだから、省令で以てやるというのは、それなら二十五條は要らん。省令で以て何でもやるということになりますから、連合会に対して報告を求めるのは……一々これを法律できめておるというのはやはり権利で、これは若し報告しなかつた場合には何らかの制裁を加えることになる。而もそれを省令で以てきめるということは、そういう権利を侵害するといいますか…、財産の報告や会計報告を求めるということになりますると、これはやはり求めない場合に或る程度の制裁を加えなければならんと思います。省令の場合には、そんなものは省令できめたんだから知らんと言つてつてしまえば、何らそこに制裁を加えることはできない、これは一つの問題だと思いますが……。
  126. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 申すまでもなくこの施行者は第三條に謳つてあります通り、施行者が施行するのが建前でありまして、競走会にそれを委任することが第三條で謳つてあるのであります。従つて第二十五條におきましては施行者がこれを施行することが建前でありますので、こういつた條文となつて現われるというふうに考えております。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとこの競走会の連合会の監督ですね。これは競走会の監督については運輸大臣はいわゆる証明書を持つて立入検査を認めておるわけです。ところがこの競走会の連合会、これに対する監督権をどう考えておるか、場内の取締りという点があるのですがね。
  128. 坪内八郎

    ○衆議院議員(坪内八郎君) 船舶局長にお智惠を拜借したのでありますが、その点は省令で十分監督するようなことが習慣だそうであります。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 これはどうも甘利さん、何でもむづかしいことは省令できめるのだ、省令できめるのだと言つて、こつちを素通りしてやつてしまおうというのは、これは今の法律の建前からいつて非常にいかんのです。そういうやりかたは、今までの私は経験からしまして、どの法律をきめるときもそれはいかんというので、皆法律できめて来た。これだけで以てそれを省令省令と言つて逃げてしまわれるのですが、特に問題なのは、これはすぐよく対象に出すのは、競馬会にしましても競輪会にいたしましても、通産省なり農林省がこれに対して或る程度監督権を持つておらない場合においては非常に言うことを聞かない。例えばこれで施行者と競走会との対立したような場合には、あなたのほうでは施行者に対しては報告を求めることはできます。併し競走会に対しては何ら指示もできない。従つて非常にこれは強いことになつてしまう、こういうことになるわけでありまして、公益法人というだけの民法の一般法によつて監督を受ける、一般法の規定による監督は受けます。これは勿論民法の規定による公益法人の監督制裁は受けまするけれども、この特別の制裁監督というものは何らないわけです。そこに非常な無理があると思います。それをあなたは省令できめるのだ、そういうのをやるときは、やはり法律できめてないものは省令できめて、そういう団体を抑えようといつたつてそれは無理だ、私が言うたのは新らしいこの公益法人は普通の公益法人と少し性格が違うということを申上げたのでありまして、あなたはこれは一般公益法人としてやつていたら問題は起きないということの前提の上に立つておられる。併しながらこの競走会、連合会そのものは、なかなか一般の公益法人とは少し性格の違つた、やはり特別の法で以て或る程度監督権を持つておかないと、将来において必らずこれは問題が起ると私は思うのであります。この点についてあなたがたはどう考えるか。今は成るほどまあ一応競走会を作るというようなおかたがたは、あなたのところでこれを通すために非常に今のところは統制がとりよいのです。一旦できてしまつて大きな力となつてしまうとなかなか統制はとりにくいと思うのです。
  130. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 従来ともこういう法案に対して相当厳重な監督権を設けてあるのです。併しこれは実際の面においてその通りやるか、或いはそれを実際やらないかという点にいろいろな弊害が起るのだろうと思うのでありますが、一般の取締規定を厳重にやることによつて私はそういう弊害を防ぐことができると、こう考えております。ただどの程度にやるかという程度如何によるのではないかと考えております。
  131. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 法制局長に対して説明を求めますが、只今当委員会において審議されておりますモーターボート競走法案の第四條についてちよつと説明をして頂きたいと思うのでありますが、それは第四條の第一項に「競走会は、競走の実施を目的とし、都道府県内に各一箇を限り設立するものとする。」と書いてあります。このほかに一箇を限り、一つ以上は認可をしないというような、まあ一つだけは認可をするとも何とも認可規定というものは全然ないのです、この條文以外には…。ただ第四項におきまして民法の三十四條の公益法人の設立、ここで以てこの一般規定を延用して、延用といいますか、この一般規定によつて、設立をたくさんして来ましても、みんなそれを一般規定でふるい落してしまう。そうして認可のところで以ては民法の三十四條で以て設立をさせ、一つより設立させんということにしてふるい落してしまう。こういう法律であります。で私考えますのに、モーターボート競走会が各県に一つずつと言つておりますが、それでまあ立案者に聞いたのですが、競走会をこしらえる場合に、今回のこの法律の目的からいたしましても、海事思想の普及だとか又観光事業の発達とか、いい目的を掲げておるのです。従つて極力たくさんの競走会の当事者当事者といいますか、社員を集めるようにするのがまあ望ましいと思うのであります。ところが公募をしないのである。ただ有志が寄つてこしらえて行くのである。そうすると有志の中には意見の合わない者もありまして、この県内には二つ三つこしらえられるだろうと思うのであります。その選考をするのは、海運局から申請して運輸大臣のほうでふるい落してしまつて一つにしてしまうのだということになつておるのですが、この民法の三十四條の規定によつてそうしたようなものを、出て来たやつをふるい落すということを、簡単にやつてしまつていいのであるかどうか。而もこの特別法において、こういう基準によつていわゆる審査をしてきめるということをきめておかなければ、私は民法の一般規定で以てこうした特別の法人の認可を運輸大臣が勝手にきめるというようなことは少し無理じやないか、こういうふうに思うのですが、法律の建前から、これは純粹な立法技術から行きまして一つ説明願いたいと思います。
  132. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) この法律を見てみますと、競走会というのは民法第三十四條の公益法人として設立されるべきものであるという建前をとつておるようでありますけれども、そしてこの設立の許可を与えるかどうかということは、やはり民法三十四條以下の規定によつておのおの定款を作り、設立の認可を申請することになろうと思うのであります。そしてこの本法によりますと四條第一項で各都道府県内にただ一箇限り設立するものとするというふうに、法律によつて県内に一箇しか設立できないというふうに規定いたしました以上は、主務大臣が設立の許可を与えるのに対しては、最も趣旨に適つた、適当であろうと思われるものだけに設立の許可をするということになるものと思います。
  133. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでその行きかたはよくわかるのでありますが、要はそういう法律を四條で以て……、民法の三十四條で行くと、公益法人の設立のいろいろ定款その他の規定がございます。それでやつて行くわけでありますが、この三十四條の一般の公益法人というのは、例えばモーター・ボート競走会だとか或いは競馬会だとか、競輪会とかいうものとは、少しその法律の出た当時とは、新しい性格の法人だ、公益法人だと私は思います。公益法人とは申しながら、それだけは私は言い得ると思うのであります。そういうものだけ考えるにおきましては、競争というものも相当起り得ると思うのであります。一般公益法人とはちよつと違いまして、たくさん許すものであつたならば私はそれでよろしいと思う。たくさん許されない、県で一つであるから競争が起り得る可能性が極めて強いものである。こういうふうに考えなければならんと思うのであります。従つてその意味から言つて、この特別法の中に免許の基準という、大体の運輸大臣がそれによつてやるにいたしましても、基準というものをきめておくのが、これが新しい今の法律の條文の立てかたから考えまして、当然そうしなければならないように私は思うわけでありますが、この点につきまして新しい法律をいろいろまあ立案されておるので、法制局長は今の法律の行きかたからそれでも一向差支えないかどうか、この点について一つ伺いたいと思います。
  134. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 今の二つの免許等についていろいろ條文なり基準を設けておる理由は多々あるのでありますが、法人の設立自体についての基準ということは余り例がないと思います。御指摘のようにこの民法三十四條ではいろいろ宗教、慈善、学術、技芸その他公益に関する云々ということで、或いはこういうものを予想はしなかつたと思いますが、この法律でこの競走会というものは民法三十四條の規定によつて設立されるものであるということを書きまして、よつてこれが同時に公益性を持つものであるという法的解釈をこの法律の上において明らかにしておるものというふうに見られるのではないかと思うのでありまして、主務大臣といたしましては、やはり民法のいわゆる定款等を見て、最もこの法律の趣旨に適合したものと思われるものを一箇設立するということで、これは必ずしも違法な法案であるようには考えない。
  135. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこで重ねてお尋ねしますが、民法三十四條の何は、運輸大臣が、主務大臣が認可をする場合に、許可を与える場合にいろいろ條件があるのですが、それはただ定款、役員その他書いてあるだけでございます。それでこれは場所をどこにするとか、それから事務所とか定款というだけではなしに、これは一つの大きな事業をやつて行くことになるわけでありますが、定款や役員だけで以てそれでそういう免許の基準となり得るかどうか、この点について大丈夫であるかどうか。今出して来ているものだけで以て、ほかのもので以て基準にするのじやないのであつて、ほかの書類を求めようとしたつてこの競走会はこれを拒否することができる、法律にきめられていないものをすべてこういうものを出せ、こういうものを出せといつたつて拒否して差支えないと思います。それにきめられておるものだけ出せばいいと思うのであります。公益法人の免許を受けるだけであつたら。そういう場合にほかのものを取るわけには強制的に行かん。それだけで以て十分免許の資格條件を審査できるかどうか。この点をやはり考えて置かなければならんので、これを普通のものとはちよつと違うために、その点大丈夫ですか。
  136. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 成るほどその定款等附けて申請する、その定款には事務所であるとか資産のことというふうに一般的なものでありますが、それだけではどれを選びどれを認可しないという基準は必ずしも明白ではありませんが、とにかくこの法律によつて各県に一箇ということに法律で限定いたしますと、主務大臣もこれによつて限定されて、どの申請のうちから一箇を許可するかということになりますと、最もこの法律の趣旨に適合したと思われる條件のある、事務所の関係とか或いは資産の関係等を勘案して、最も法律の趣旨に合すると思う一つに設立の許可を与えるということにならざるを得ないのではないかと思います。    〔委員長退席、理事岡田信次君委員長席に著く〕
  137. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 その法律的な解釈から行けば、我々もそれにはさほど何しておるのではないのでありますが、ただ一番懸位するのは、確かに第四條の第一項によると各都道府県一箇に限るということになる。而もその申請が、要求をする者が、許すのは一箇ではあるけれども、A県では一箇しか当らなかつた申請がなかつた、ところがB県、C県になつたら三箇も五箇も出た、そういたしますると、今のお話合いで行くならば、その民法の三十四條で定款を作つた、法律的にその定款を見て一番いいならば認可するのだという考えかたで行けば、一箇出たところと五箇出たところとおのずから違うのであります。それにもかかわらず、これは御承知のように非常に今まで悪例を残したものであります。でありますからいわゆる一箇のところも五箇のところも同じような一つのルートによつて例えば持つて来ても、これだけの定款でこれだけのあれがなければこれは許せないというところを、或る程度法律に盛つて置かなければ、そうなつて来たときにはどうして認可するかということになります。そうしませんと、運輸省の資格審査委員会あたりで認可するにいたしましても、それは或いはいやな言葉でありますけれども、数箇の競争、競合日になれば利権的なものを伴わざるを得ないという懸念が起るのじやないか、こういう心配もありまするので、法律的には確かに第四條の第一項から、それから民法の社団法人を許す一つの性格的な三十四條を利用すれば直ちにできることでありますけれども、そういう弊害を除くために新しい立法の形式の上には、いわゆる定款的なものに対する認可申請を許可する主務大臣一つの枠、基準というようなものが新しい法律として盛られなければいけないのじやないか。こうしたことを載せる……、或いはあなたに言わせると、載せることも自由であり載せないことも自由であるとお答えになるかも知れないけれども、少くとも新しい法律の性質としては、そういうことを載せるべきだというお考えは持つておられるだろう。こういう点について聞いているわけです。
  138. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 私は勿論そういうようなことをいろいろ詳しく認可の標準を規定することも結構なことであろうと思います。
  139. 岡田信次

    ○理事(岡田信次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕    〔理事岡田信次君退席、委員長着席〕
  140. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時に会議開きます。    午後六時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            金子 洋文君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            松浦 定義君            鈴木 清一君    衆議院議員   坪内 八郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 山崎  猛君   政府委員    運輸船舶局長  甘利 昂一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  石井 昭正君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   衆議院事務局側    常任委員会專門    員       堤  正武君