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1951-05-24 第10回国会 参議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海上運送法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○道路運送車輛法案内閣送付) ○道路運送車輛法施行法案(内閣送  付) ○自動車抵当法案内閣送付) ○自動車抵当法施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今から運輸委員会を開催いたします。  第一に海上運送法等の一部を改正する法律案議題に供します。政府から本案詳細説明を求めます。荒木官房長
  3. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 提案理由説明のときに申上げたような経緯によりまして改正をいたすわけでございますが、その要点をもう少し詳しく御説明申上げますと、第一は従来は定期航路事業とそうでないものと、二つに分けていたわけでありますが、そうして定期航路事業と申しますのは、旅客定期だけであつたわけであります。それを貨物定期に、いわゆる貨物定期に関しましての若干の規定を設けるという建前から、又観念上の分析の自然の姿に従いまして、船舶運航事業定期航路事業不定期航路事業に分けまして、その定期航路事業を更に二つに分けまして、旅客定期航路事業貨物定期航路事業、この二つに分けたわけでございます。定期航路事業のほうは必要上そういうふうに分けましたけれども、不定期航路事業にも又観念上は貨物旅客とがあり得るわけでありますけれども、それはその必要はございませんので、不定期のほうは旅客貨物に分けるという措置を、分けて規定するということをいたさなかつたわけでございます。  第二の点は、補助金交付輸送命令を出し得る範囲国内船舶運航事業者に限定したわけでございます。現在の法律におきましても、補助金交付し得るものは旅客定期航路事業、いわゆる離島航路等であります。国内のいわゆる旅客定期航路事業限つて現に支出しておるわけでございます。昨年度は三千万円、本年度は三千三百万円を予算に計上してあるわけでございまして、外国航路についてこれを支出するつもりということは毛頭ないのでございますが、諸般の事情考えまして、更にこの補助金日本から外国の港に行く場合は勿論、日本船による外国港相互間の航路に対しましても補助金適用しない、補助金交付しない。又同様の趣旨によりまして輸送命令を出し得る範囲国内のものに限るという趣旨を更に闡明に規定した。この趣旨は従来もその通りでございましたが、規定上更に一層明瞭にいたしたわけでございます。  第三はコンフアレンスに関することでございますが、コンフアレンスに入つておるメンバーに対してのみ、荷物を出すということを約束いたしました場合において或る程度運賃割引をいたすということが通常行われておる事柄でございます。ところが現行法によりますというと、独禁法及び事業者団体法嚴格規定によりまして、それに対する例外が極めて嚴格になつておりますために、今申上げましたような事態は違法なことに相成るわけでございます。併し一般に行われておることでございますし、又それが非常に不当な場合は不当競争になりますけれども、リーズナブルである場合においてはこれを認めるのが然るべきことであるということで、公正取引委員会、その他関係当局の了解も得まして、その割引率がリーズナブルである場合においては差支えない。然らばどの程度が大体リーズナブルなものであるかといいますれば、條文には不公正又は不当にと、こういう字句で表現してありますが、その具体的適用においては、大体五%程度で行く場合においては「不公正又は不当」ということに該当しないという解釈で話を進めておるわけでございます。第三番目の後段でございますが、これはエクスクルーシーヴ・コンフアレンスに関することでございまして、現在の規定におきましてはエクスクルーシーヴ・コンフアレンスに入るということが認められていないわけでございます。御存じのようにインドネシア航路許可になりますると、その関係海運同盟はいわゆるエクスクルーシーヴ・コンフアレンスに該当いたしますので、これに加わりまして我が海運が進出するということになりますと、非常な障害を来たしますので、これもその運賃同盟條件が不当でない限りは参加してよろしいというふうに、独禁法及び事業者団体法規定緩和いたしたのでございます。  第四番目の点は、同盟に入りまして、同盟運賃を破るとしいうことは最もいけないことでございまして、戰前において日本海運がさようなことをいたしたというので不信を買つておる。なお戰後日本海運が復活して行く場合において又さような運賃カツトレート・コンペテイーシヨンをやるのではなかろうかという危惧を諸外国から遺憾ながら持たれておりますので、我が国においてはそういうことはいたさないのであるということを闡明すると同時に、又実際問題といたしましてさような不公正な方法によつて競争をするということはいたさないという趣旨の下に、虚偽の運賃請求書を作成したり、不公正な方法輸送を行なつた場合において、定期航路事業者に対して処罰規定を設けましたと同時に、又荷主の側におきましても定期航路事業者と通謀してやつた場合、いわゆる共謀の上でフオールス・ピリングをやつた場合には同様に荷主も処罰するという、いわゆる日本海運においてカツトレート・コンペテイーシヨンというものが不当に行われないことを保障するように規定したわけでございます。  次は第五番目の点でございますが、これは貨物定期航路事業におきまして、不公正な競争をしないということを確保いたしておるのでございますが、その両端における運送取扱業者及びいわゆるターミナルオペレーターの間においてこれを拘束しておかないというと、その間における不当競争によりまして、結局定期航路事業者のほうにおいても、定期航路事業者を通しての運賃諸掛り不当競争ということが起り得る余地がございますので、海上運送取扱業又は上屋桟橋供給業者定期航路事業者同盟が結ばれておる場合におきまして、その定期航路事業と直結しておるような海上運送又はターミナルオペレーターにおいても海運同盟の結成を認めまして、そうしてその不当競争を抑える途を講じたわけでございます。  第六番目は裸用船でございますが、裸用船をするにつきましては、裸用船をしまして、その裸用船をする船の属する国の船舶海運関係法規によつてはできない場合もございますが、そういう法規のルーズな国があつた場合におきましては、その船を裸用船をいたしまして、日本船員を乘つけて当該国の国旗を持つて廻るということができるわけでございますが、そういう場合におきましては、日本船員が乘船いたしますために外交上の問題が起る。又その他の面におきましても国際的不信を招く虞れもあるわけでございます。  なお現在領事館が各地に存在いたしておりませんので、船員保護等に関しましても何ら手段を講ずる手がございませんので、この裸用船に関して運輸大臣許可制をもう一年経続しよう、現在許可制になつておりますが、その許可制をもう一年間延期いたそうというのでございます。なお国内におきまする重要物資輸送命令も又二カ年間発し得ることにいたしたのであります。  以上が改正趣旨でございますが、衆議院のほうにおかれまして、この海上運送法の一部の修正が行われたのでございます。その修正は、内容的には政府の提案いたしたものと何ら変わるところがないのでございますが、ただ表現の点におきまして必ずしも明瞭でないという趣旨において修正されたのでございますが、それを御紹介申上げますと、題名が海上運送法等の一部を改正する法律というのを等を削りまして海上運送法の一部を改正する法律、こういうように直しまして、その一番初めのところの「第一條」とあります「第一條」を削除いたしました。それから終りのほうの第二條を全部削除いたしたのでございます。そうして附則最後の項でございますが、この最後の項の、附則三項の中頃の「十九條の二第一項及び」というのを削りまして、そうして第四項として新たに(船舶借受許可)という見出しの下に「海上運送法第四十四條の二第一項の規定のうち、船舶借受許可に関する部分は、この法律施行の日に再びその効力を発生し、この法律施行の日から一年を経過した日にその効力を失う。但しその効力を失う時までにした行為に対する罰則の適用については、その時以後も、なおその効力を有する。」こういうふうに修正されたのでございます。その趣旨を申上げますと、二條を全部削りましたが、この二條裸用船許可制を一年間延長するというので二條のような表現方法を用いたのでございますが、二の許可制の期間がすでに五月三日を以て切れておる。その規定をただ一年を二年と直すということでは疑問が残り得るからというので、この二條を削除いたしまして、只今読みました附則四項が附加えられてございます。これは却つてそうしたほうが趣旨が明らかであるということで、我我といたしましても賛意を表しておる次第でございます。原案附則末項、いわゆる三項の「十九條の二第一項及び」を削られましたのは、不定期航路事業につきましても現行法の二十三條によりましてすでに届出をとつておりますので、政府としてはその事情を知つておるはずであるから、新たに貨物不定期航路事業というものが法律上新たに規定されても、その貨物定期航路事業に該当する実質のものはすでに存在しておるのであるから、それが貨物不定期航路事業としていろいろな届出をしておるのはそのまま認めてよろしいのであつて、新たにそういう届出をする必要はない、こういう趣旨でございます。我々のほうといたしましては定期航路事業となりますれば届出をしてもらう事項も多少詳細なことを要求したいと思つていたのでございますけれども、大体現在の定期航路事業につきましては政府のほうにおきましても、数も少うございますし、大体内容も心得ておりますので、その規定は削除されても差支えないということで賛成をいたした次第でございます。以上大体の趣旨を申上げました。
  4. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に專門員の報告を求めます。
  5. 岡本忠雄

    專門員岡本忠雄君) この法案につきましては、只今官房長から詳細説明がありました上に、更に先般秋山次官から国際的な関係そのほかこの運送法改正を必要とする法文上の明確を期するための必要等詳細にお話もありましたし、そういう説明の下に検討して見たのでありまするが、二、三明確を欠く点がありまして、併しこれも只今補足的な説明がありましたように衆議院において修正を加えられましたので、私どものところとしましては修正案を加えた全体としまして特に指摘すべきものは何ものも発見できない。むしろイギリスそのほかからいろいろの目を以て日本不当競争を警戒する傾向にある際に、この法律改正案のごとく明瞭にして行くことが目下のところ最も必要であるという見解をも持ちまして、極めて適切な立法だというように結論を得た次第であります。以上御報告申上げます。
  6. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に質問に移ります。
  7. 山縣勝見

    山縣勝見君 大体この法律改正法案は結構だと思うのでありますが、一、二御質問いたします。貨物定期航路事業についてはそこに規定がありまするが、国内航路については日程コースというものが、日程表コースというものが非常に困難だろうと思います。外国航路については的確に行くでありましようけれども、国内航路はそう的確に日程表ができないのであるが、政府においては外国航路に比して国内航路日程表については或る程度というか、そう嚴格解釈した意味において考えられておらんと承知いたすのですが、それでよろしいでしようか。
  8. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 日程表は事前において公表されることを要件といたしておりますけれども、その内容が何月何日、何月何日とかいうようなピツクされたものであることを要しないのでございまして、只今山縣さんがおつしやつた程度考えておる次第であります。
  9. 山縣勝見

    山縣勝見君 私もさような意味でお考えになつておると思うのでありますが、従つて何月何日じやなくて、月二航海とか月三航海とか、そういうような意味における日程表国内航路はよろしいと、こう解釈してよろしいでございましようか。
  10. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その通りでよろしいと思います。
  11. 山縣勝見

    山縣勝見君 この二重運賃制の問題でありますが、この「不公正又は不当」というのは大体公正取引委員会あたり認定従つて解釈すべきものであろうと思うのでありますが、具体的には先ほどお話の五%というお話でありますが、要するにこの今回の改正要点は、国際海運慣習国際慣行にこれはコレスポンドするということが重点だと思う。その際において国内的に公正取引委員会認定が、具体的にこれが「不公正又は不当」であると認定するベースのパーセンテージが、国際慣行と或いは合致しない場合も起きると思うのでありますが、その場合においては、大体この法律改正趣旨国際慣行日本海運国際海運に参加するという意味から、国際海運にコレスポンドすることが必要であるという場合において、国際慣行日本公正取引委員会解釈違つた実際の、例えばリベートにいたしましてもそれが仮に一割である、或いは七分である、而も日本公正取引委員会は五分である、こう見た場合に、いずれも勿論国内法的には公正取引委員会認定するパーセンテージに従うべきであるけれども、法律改正趣旨からいうとそうでなくて、国際慣行にコレスポンドするということになれば、この際行政的にどういうふうに運輸省考えて行かれるか。その点を一つお伺いしたい。
  12. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 公正だとか不当とかいうような抽象的観念を具体的に適用する場合におきましては、その社会通念従つてきめられるわけでございまして、その社会通念と申しますのは、当然この海運が団際的なものであつて、特に国際的に活動しておる場合におきましては、当然国際的な慣習、国際的に行われておる事柄を含めて社会通念といいますか、「不公正又は不当」ということをきめるスタンダードがきまるべき筋合だと思うのです。従つてこの「不公正又は不当」の一応の決定権公正取引委員会にございますが、公正取引委員会がその具体的適用をいたします場合には、当然に国際的な慣習を参酌してきめることと信ずるわけでございますが、その点について国際的な実情を十分知らないできまるというようなことが若し万一あるような事態が起きました場合におきましては、運輸省といたしましては十分公正取引委員会と連絡し、国際海運における実情を詳細な資料によつて説明し、不当なる、非常識なる、実際に適合しないような結論を出さないように十分努力いたすつもりでございます。
  13. 山縣勝見

    山縣勝見君 なお船員の問題については他に御質問があると思いますが、一年間許可制をなお実施するということですが、将来の見通しは……何ですか、外地におけるいろいろな機関外交上の機関も整備しないからこういうことになつておると思うのですが、将来どういうふうなお見通しでありますか。一年間許可制をして、その後どういうふうな見通しでこういうふうな一年間と抑えられておるのか。
  14. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) まあ這般の事情につきましては、私たち素人よりは山縣さんがよく御存じであつて、在外、外国におきまする日本人のいわゆる保護ということは領事館がこれに当るということが建前でございますので、講和條約ができまして、日本の船の入るようなところには大体領事館が置かれるという事態が起きました後においては、この許可制を廃止してもよかろうと考えるわけでございまして、なおその一年間といたしましたのは、先ず一年間以内にはそういつた事態が、いわゆる領事館が置かれるときが来るのではなかろうかという予想と期待を以て書いておるわけでありまして、不幸にして一年経過後におきましても現在のような情勢が継続する場合におきましては、或いはこの一年というものを更に延期して頂かなければならないという事態が来るかと思いますけれども、我々といたしましては、そういうときの早く来ることを期待しておるわけであります。
  15. 山縣勝見

    山縣勝見君 この定期航路事業に対して海運同盟を認めると、従つてターミナルに対しても一貫性を持つておると私ども見ておるのでありますが、そのためにややもすればターミナルにおけるこういつた船主或いは運送を行わんとする者に対して、非常な不当な率を強要し、独占的になるというようなことについてはお考えになつていると思うのですが、その点についてはどういうふうなお気持でありますか。
  16. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この中にはいわゆる港湾運送業者というのは入つていないわけでありまして、御指摘のような懸念はなきにしもあらずでございますけれども、その点は十分運用によつてさようないわゆるギルドを結んで不当の利益を壟断するというようなことのないようにいたしたいと思いますし、なお且つその点については更に研究をいたして見たいと考えておるわけであります。
  17. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 十九條の三でちよつと伺いたいのですが、括弧の中に、(石炭ばら積の穀類その他大量輸送に適する貨物であつて省令で定めるものを除く。)というこの「省令で定める」というのは、およそ見当がついていると思いますが、どういう……、大量のものなら一切を除くというふうに了解していいのか、何か個々別々に品名でも挙げるというような御意向か、その点を一つ
  18. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この問題につきましては、具体的にどういうふうにいたしますかということにつきましては、船主協会等ともいろいろ相談いたしておるわけでありますが、御存じのように賃率表を公示させまして、それにつて非常に嚴格に縛るということは行き過ぎであると思われます。石炭ばら積とか、いわゆるバラストに該当する大量貨物についてまでこの賃率表規定して縛るということは実情に即しないものがございますので、そういつたものを除くということにいたしたいと思つておるわけであります。この省令では品名数量等について相当詳細に規定いたしたいと思いまして、折角研究をしております。
  19. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 そうすると大体趣旨はわかるようですが、省令できめる場合には、関係業者意見も相当参照して行くのだというその行き方は、大体ばら積はここに列挙してあるような石炭その他の類似しておるようなものを省くのだという趣旨と了解してよろしいですか。
  20. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その通りでございます。
  21. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 もう一つ二十八條の第三号でありますが、大体一般的の御説明でわかつておるような気もするのですが、第三号のこの條文は「当該荷主に対し、その荷物運送を拒絶し」云云というのを「当該荷主に対し、不公正又は不当に、」ということを挿入した。この両方の條文における差違というものをもう少し明確にして頂きたい。
  22. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは二十八條が海運事業というものの特殊性に基きまして、現在まで非常に嚴格適用することを要求されておりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独禁法事業者団体法適用緩和をいたしたのでありますが、それでもなお実情に即さない点がございますので、この現在三号にありますような事態はとにかくいけないということになつておるのでございますが、それがそういう国内海運国際海運を通じました商慣習上リーズナブルなものとして考えられておるようなものは差支ない。不公正又は不当でない限りはそれもよろしいというふうに独禁法事業者団体法適用を更に緩和いたしたのであります。なお御存じのように目下政府において独禁法及び事業者団体法緩和について根本的な研究がなされておるようでございますが、若しそういうことに相成りますれば、その独禁法及び事業者団体法緩和の線に沿いまして更にこの規定改正する必要があるものと思いますけれども、現在の段階におきましては、先ずこの程度緩和して早速実施いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  23. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  24. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて、他に御質問はありませんか……御質問がなければ質問は終了したものと認めて討論に入りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ではさよう決定いたしまして、討論に入ります。それでは御発言のかたは賛否を先ず明らかにしてから討論をお願いいたします。
  26. 山縣勝見

    山縣勝見君 本員は海上運送法等の一部を改正する法律案に対して賛成をいたすものであります。  日本海運が今後国際海運に参加をして、本当に国際信義を守り、そうして国際慣行従つて世界海運の一員として堂々と世界海運に参加しますためには、どういたしましても戰争中その他その後において置かれた日本海運の姿というものを適当に修正しなくてはいかん。そういう点から今回この法律案が提案されたと了承いたすのでありますが、先ず国際信義日本海運が守つて行くという線から見て、この法律の中に、第一に従来日本海運というものがややもすれば政府補助或いはその他保護を受けて、そうして不当に外国海運競争したという姿は今後許さるべきでないし、又日本海運もそういうことを求めてはいかんと思うのでありますが、そういう意味において補助金交付その他については国内船舶運送事業限つて日本外国との間、或いは第三国間の輸送に関してはさような措置をとらないということを明らかにすることもなお又第二には、従来一番問題になつて奉りましたこの不当に運賃率をカツトして、そうして不公正な方法によつて外国海運競争するというようなことにこれ又許さるべきでないということ、日本海運が求めてはいけないのでありまして、さような意味規定を置かれたこともなお又第三には、国際慣行従つた日本海運の姿であるべきであるという点から見て、その前提として、先ず貨物定期航路事業規定を新たに置かれたこと。なお従来のコンフアランス、これを国際慣行従つた姿においてこのコンフアランス法律上認めるという措置をとられたこと。なお又このコンフアランスと最も密接な関係にあるターミナルにおける海上運送取扱業その他の業務に対して海運コンフアランスを認められたこと。なお又現状に即して船員等保護監督に対する措置をとられたこと。なお又国内における重要物資輸送に関して適当な措置がとられたこと。これは現状から見て、又日本海運の将来から見まして当然の措置であろうと思うのでありまして、ただこれらの運営に対しては、先ほど質問の際において申上げたことについては政府において一つ最善の善処をされることを希望いたすものでありますが、総体的に見まして、この法律案は適正であろうと思います。その意味において賛成いたすものであります。
  27. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 討論は終局したものと認めて御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御異議がないものと認めます。それでは採決に入ります。念のために申上げますが、本案衆議院において修正せられたものがこちらに送付され、その送付案原案でございます。この衆議院送付案について御賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手
  29. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 全会一致と認めます。よつて本案原案通り可決すべきものと決定いたしました。爾後の手続一切は例によりまして委員長に御一任をお願いいたします。それでは多数意見者署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岡田 信次  松浦 定義     高田  寛  小泉 秀吉     菊川 孝夫  山縣 勝見     高木 正夫  前田  穰
  30. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題に供します。速記をとめて。    〔速記中止
  31. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。それでは暫時休憩いたします。    午前十一時十五分休憩    —————・—————    午後一時三十八分開会
  32. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今より運輸委員会を再開いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題に供します。專門員の御報告を求めます。
  33. 古谷善亮

    專門員(古谷善亮君) 御報告申上げますが、この日本国有鉄道法の一部を改正する法律につきましては政治的に御解決を願わなければならん事項を含んでおりますので、私どもの立入る範囲は非常に少いのでありますので、別に申上げる点等は差控えたいと思います。ただ八頁の四行目でございますが、この点だけは專門員といたしまして少くとも皆さんに御指摘申上げておかなければならない事項と考えますので、この一点だけ申上げておきます。  それは第二十六條第二項中「第十二條第四項」を「第二十一條」に改めるという項でございまして、即ち兼職に関する規定でございます。これは御承知の通り只今両院協議会にかかつております問題でございますので、恐らく私が拝察いたすところによりますというと、衆議院におかれましてもそれはまだきまりませんので、一応この形で以つて御送付になつたものと拝察いたしますことが自然であり、又素直な考え方ではないかと思うのでございますでありますので、そのほうのきまり方に合せてこの項も自然それに合いまするような措置をいたしませんことには、このままで参りまするというと、結局何と申しまするか問題が残りますので、これだけはどうぞ適当に御措置願いたいということを一点申上げておきます。以上でございます。
  34. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 次に質疑に入ります。
  35. 内村清次

    ○内村清次君 提案者にお尋ねいたしますが、先ずこの総体的な問題といたしまして日本国有鉄道法の制定によりまして現在の国鉄機構が公共企業体としての機能を発揮いたして、国民の公共福祉の利便に供して行く、又同時に産業の発展のためにその大きな機能を動員して行くという法律改正趣旨が盛り込まれたわけでありまするが、提案者のお気持といたしましては、この改正によつて企業体自体をどういうふうな性格の下に置替えようとされておるのであるか、その点先ずお聞きしたいのです。
  36. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) 只今の御質問でございますが、日本国有鉄道法が制定されまして公共企業体となり、独立採算制の立場に立ちまして、その後関係者のかたたちの努力によりまして相当赤字も克服され、又いろいろの車輛その他の整備も完全になつて来た。こういう点において相当独立企業体としての実績は挙がつたものと私たちは考えております。併しながらこの法律を作ります当初におきましても、衆議院及び参議院におきまして相当問題になりましたところのこの企業体の一番中心の意思決定機関及び議決機関、或いはその指導統制の問題、こういつた方面につきましては、実は法律を作りますときにおきましても相当問題がございまして、各党ともいろいろと御質問もされ、又討論においても近き将来においては適当な修正をしなければならん、こういうことを話しておられたのでありまして、そのうち主なるところの財政関係のものは先ずその次の第四国会のときに修正されておるのであります。その後約二カ年経ちまして、我々その当時から疑問を持つておりましたところのこの箇所が実は法文通りに行われていないということは明瞭でありまして、特に国家の国有鉄道でございますが、国民の代表であるところの国会或いは政府、或いは又その国有鉄道の幹部、こういう者の間の責任権限の範囲をもつと明瞭にして連絡をよくして行くということは、この機会に改めたほうがいいのじやないかと、こう考えたのであります。そこで改めるに当りましての方向といたしましてどういうふうなことを考えたかと申しますと、私たちといたしましては折角国有鉄道を公共企業体という企業体の方向へ持つてつたのでございますので、何とかもう一歩前進して一般の企業体に近いような方向へ一つつて行くほうがいいのじやないかと、こういうふうに考えた次第であります。皆さん御承知の通り一般の会社におきましては、会社を代表します権限のあるところの者が責任を持つておりまして、御承知の通り株主から重役が任命されて、重役会その他が責任を以て運営をしておるのでございます。然るにこの公共企業体におきましては監理委員会という中間的な存在の機関がございまして、総裁は代表していながら責任を持たない、権限のあるところに責任がないというような法文になつておりまして、これでは代表するところの権限のある人が本当に自分たちの経験を活かして創意工夫、努力いたしまして、能率的な企業体に近い運営というものは甚だ困難である。こういうふうに考えた次第でございます。従いまして、私たちはこの機会に更に一歩一般の企業体に近ずけるという意味におきまして、又国有鉄道を非常に能率化し、又責任と権限とを明瞭にする、こういう点からいたしまして、私どもは更に疑問に思つておりました点をこの機会に修正したらどうか、こういう考え方であまりす。
  37. 内村清次

    ○内村清次君 只今の御答弁の大体の御趣旨といたしましては、提案者自体も、この公共企業体の性格をいま少し強化するような方向へ持つてつて、責任体制を明確にいたしたいというのが御答弁の筋のように承わつたのでありまするが、この改正法律全体といたしまして、折角この改正法律をお出しになるといたしましたならば、いま少し掘下げられまして、ただ権限のみで公共企業体に本当に移行できるかどうかという御判定がなされたのであるかどうか、これが第一点です。質問の重点というものは、やはり独立採算制を国鉄自体に強要されて、経理の独立、こういう問題を中心といたしまして考えないと、独立採算制そのものにつきましても相当無理が生じはしないか。こういう考え方については、今回の改正法律の中にお考えが及ばなかつたかどうか。即ち三十六條以下の経理関係についていま少し自主性を持たせるような方向に対しての改正をお考えにはなぜならなかつたのであるか。その点一つ……。
  38. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) 御意見御尤ものようでございますが、実は私たちもその点につきましてはよく考えたのでございます。併しながら現在までのところ必要な財政方面の修正は第四回国会に行われておりまして、経理の独立の問題その他いろいろと細かい点においては、私も相当まだ今後修正する余地があるようにも思います。併しながらそれをやりますためには、実は先ず私たちといたしましては、一番関係の多い国家と国民の代表であるところの、株主代表といいますか、我々の国会とそれから政府、国鉄の幹部、この間の関係をもう少し明瞭にいたしまして、責任体制を確立して、もつと一歩より企業体に近ずけまして、更にその観点におきましていろいろとこの中の企業体としての不備な点について、そういう責任のある総裁になつて頂いてから、いろいろと意見を述べてもらう、又私たちもそういう体制になつてから、国会からも又国鉄というものを眺める、こういうふうにして更に所要の改正をすべきではないか。又もう一つの観点から見まして、成るほど経済的な独立ということも結構でございますけれども、併し現在の日本の経済情勢におきましては、幾分まだ無理なところもあるのじやないか、これは私の主観的な考えでありますが、我々党の者はそういうふうに考えたのでございます。従いましてこの問題はいずれここで責任体制の関係を明瞭にいたし、お互いに又国鉄の運営いうものをもう一歩企業体に近付けた立場において考え直して行きましたならば、人材を国鉄に集めて、そうして又現在副総裁、理事等の欠員のところもあるようでありますから、そういうところにも民間その他の有識者の人材を集めまして、有為の人を迎えてからよくお互に考え、又日本の講和独立後のそういう機会に、経済的にももう少し独立体制になりましたときに、よくこの問題について更に検討を加えるというような方向に持つてつたらどうか、こういうふうに思いまして、先ずその第一段階といたしまして、今回は責任範囲の確立ということに主眼を置きまして、それに伴う必要な範囲の極く僅かの修正だけをして頂いているわけでございます。
  39. 内村清次

    ○内村清次君 この監理委員会の、いわゆる現行法の第九條から第十二條までにおきましての項目といたしまして、監理委員会の性格及び参員の任命と、こういう点につきましては、これは立法当時におきましても私たちも相当意見を申述べた経緯もあるのでありますが、併しもともと公共企業体といたしまして国鉄が経営されて行きます以上におきましては、この監理委員会が先ず大半の責任を持つて行くと共に勿論これは最終的な責任も持つておりますが、この監理委員会の性格といたしましては、やはり広汎な経済部門に関連いたしましての企業の運用でありまするからして、各方面の経験者をここに集めて、そうしてその大きな観点から国鉄自体の経営その他の事業の能率を考えて行くというのが立法の精神でありまして、幾らか公共企業体という性格に合致したような一段階であるという見地に立つて法案の通過であつたと私たちは記憶しているわけでありますが、先ほどの提案者の御答弁によりますると、企業体自体はやはりこれは重要に認めて運行の主体を考えて行くと、そうして今回の改正によつては、ただその責任の程度を、これを国会がこれには承認を経まするからして総裁の任命につきましても……幾らか国会といたしましても関係があるようでありまするからして、そういう点で権限自体を運輸大臣の、即ち相当な権限強化によつてこれを一本にまとめて行くという御答弁であるようでありますが、そうしますとそこに少し性格上において食い違つたような感じがするのでありますが、この点は提案者の御答弁の本体が、本当に確信を持つてのそういう企業体を伸ばさせて行くというお考えであるかどうかということを第一点としてお尋ねいたします。
  40. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) 公共企業体というもののありかたについてはいろいろと外国にも例があります。日本におきましても專売公社の例もございます。いろいろやり方があると思いますが、成るほど今のお話通り監理委員会的なものを設けましてやつている例もあるようでありますが、実はこの立法当時相当問題がありました通り、この監理委員会の性格は御承知の通り業務の運営、指導、構成、権限、責任を持つという非常に大きな性格を持つているから、又総裁はこの監理委員会の責任を負い、その特別委員に過ぎない、こういうような会社でいえば重役会のような大きな権限は持つているのでありますが、実は今お話通りこの方面には成るべく各業界の経験者のかたに特にお入りを願いたい、余り慾張つた考え方でありましたので……御承知の通りこういうふうな権限を持つておりまして、而も非常勤で以て兼職を禁じていないというような例は実は余りないのでありまして、この点につきましてこの監理委員会と総裁との間の問題とか、その他監理委員会の機構内容につきましては非常に議論の余地があつたのであります。併しそれと同時に大体司令部からの声明に上りましてできましたところの專売公社のほうの例におきましても、こういうふうな全然監理委員会の組織というものを設けておりません。そうして政府の監督の下に総裁を置き、その総裁以下の役員がいわゆる民間会社のように責任を持つて運営している。こういうふうにいたしまして、現在までのところ企業体のもう一つありますところの專売公社におきましても、專売公社以下私はよく運営されているものと考えております。併しながら私たちは立法当時から疑問に思つておりましたその国有鉄道の権限と、責任の問題については、その後の経過を見ましてもその法に書いてある通り行われておりません。甚だ私遺憾に思つてつたのでありますが、この点につきましては疑問をこの際整理することが当然立法府の責任であると思つております。なお今お話通り各方面の権威者を国鉄の企業体に入れるということは、誠に私たち望んでいるところでございまして、できましたならば総裁、副総裁、或いは理事、こういつた方面にはできるだけ民間のかたに入つてもらう、権威のあるかたに入つてもらいたいということを希望しております。併し又衆議院におきましてもそういうような決議をいたした例もございます。併しながら私たち不幸にいたしまして、現在のようなこういう監理委員会がその上に更にあつて、その監理委員会の下に当然服して働いて行かなければならん現状におきましては、とても総裁、副総裁、或いは理事に民間出の優秀なかたを入つてもらつて責任を持つてつて頂くということは甚だ私は困難ではないか、これは民間の企業体というものを見て頂けばおわかりの通りでありまして、重役会の中には勿論立派なかたが来て頂けますが、その下におきましては職員、つまり重役といいますか、そういつた面に第一線級の立派なかたが入つて頂いて、経験を活かして、創意工夫を活かして頂くことは甚だこれは無理なことではないかと思つております。従いまして今回はあいまいな権限を持つておりますところの監理委員会を廃止しまして、お話通り各方面の有識者を迎えまして、この役員の人たちによりまして私はもつと民主的に、自主的に、国有鉄道というものは動いて頂きたいと思います。併し更にそれでも不十分ということならば、国有鉄道自体といたしまして審議会を持つということは何ら差支えないことでありまして、これは何ら法文に書かなくても、相談役の諮問会みたいなものをおかれることは差支えないと思います。又公共企業体というものが成るべくならばそういうふうな委員会制度というものを中心にやつてつたらいいじやないかというような議論もアメリカ等においては行われたことはあつたようでありますが、実は私たちが專売公社の創立に当りましてこの監理委員会を設けないというときに、なぜそういうようなことを我々は結論したかと申しますと、アメリカにおきましては、実は公共企業体というものに対しましていろいろと議論がありまして、公共企業体の赤字というものは、結局国民の税金によつて賄われる。政府と密接な関係にある企業体である以上、政府の政策と相反することはいけない。或いは又こういうような行政権の首長が公共企業体に対しましては消極的に責任を負います。主務大臣はこの法文に書いてあります通り監督すると書いてありますが、終局的に責任を負うけれども、現在の運輸大臣が申しておる通り中二階的な存在である、こういうことを言つておりまして、非常にあいまいなことになつているのであります。従いましてこの際もう少しく国民の国有鉄道でございますから、国民の代表するところの国会或いは政府というものが選んだところの役員に全責任を任すというような行き方にすべきではないか、中二階的な存在というものをこの際改めるべきではないか、これは專売公社の例もそうであつて、実は專売公社はそういうような趣旨で以て立法され現在運営されているのであります。私といたしましては、そういうような不明瞭な点をこの際一掃したいというのが私たちの念願とするところでございます。
  41. 内村清次

    ○内村清次君 それから次にこの改正法案の第五十三條から五十四條の、いわゆる運輸大臣といたしましての今後の認可権、こういう問題ですが、五十三條の第五項に、「基本的な業務運営組織の変更、」それから第五十四條の「運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し、左に掲げる事項を命ずることができる。」という項目というものは、これはどういうお考えで、ただ運輸大臣の今までの権限が監理委員会に遮ぎられてしまつて、その権限が及ばなかつたという点において立法がなされたのであるかどうか、どういう目的のためにこの必要を感ぜられておるのか、この点一つその内容を。……
  42. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) 実は今回はこういうふうな改正をいたしまして、民主的に自主的に国鉄は運営すべき時代になつて来ますと、従来は御承知の通り国民の代表であります監理委員会が全責任を以て指導統制しておりましたので、どちらかと申しますと、国会の意思。国民の意思というものは全部に亘つて嚴重にこの国有鉄道を統制、監理するところの責任と権限を持つてつたのであります。併しながら私たちはそれでは本当の企業体としての運営にはならない、この際もつと自主的な責任で以てやれるようにすべきではないかと、こういうことで、今回は極力国家的な干渉、或いは国民の干渉の及ばないようにするという意味から、この際そういう監理委員会を廃止したほうが、考え方の一つとしては大事なことではないかと思つたのであります。先の理由のほかにそういう考え方も一つつたのであります。従いまして今後は若しこの国有鉄道に対しましていろいろと国会或いは国民の意思というものが反映することができるとするならば、大臣の権限の範囲及び任免の場合、或いは予算の場合、こういうように限られた範囲になつて来まして、国民の立場から見ますと、国有鉄道に及ぼすところの権限というものは非常に少くなつて来ると、こういうことになるのであります。従いまして今まで国民の代表がいろんな点について意見を述べておりましたのでありますから、そういう監督、統制、指導がなくなりましたので、それに伴いまして極く必要な範囲だけは、或る程度国民の代表であるところの国会或いは大臣にその権限を與えるほうがいいんじやないかというようなことから、御承知の通りここに二つ許可を追加しておりますが、他の一つは勿論指導その他においても例があることでありまして、これは皆さんが余りしよつちゆう起ることがないから御異存がないと思いますが、その基本的な業務の組織の変更につきましては、実は日本專売公社法、或いは又日本銀行法におきましても、主たる事務所又は出張所、支店等において起る場合におきましては、こういうような国家的なものであつて、而も自主的に経営しているものに対しましては大臣の許可を受けることになつておるのでありまして、その他の例を見まして、この際国民の立場からいろいろと監督する権限というものが減つて参りましたので、必要な範囲だけを一般の例にならいまして加えた次第であります。なお五十四條の命令のことでございますが、これは巷間に如何にも私たちが命令権を強化しているようないろいろと宣伝、デマを飛ばしているような人があるようでありますが、これはその立法当時を全然お知りにならない人のお話でありまして、私は手許に速記録を持つておりますが、これは当時の小澤運輸大臣が、例えばこういうようなことを申しておるのであります。ここに監督上ということは非常に大きな意味でありまして、例えば新生する日本の経済再建のために、或いは国力の充実のために絶対必要であるにもかかわらず、公共企業体が勝手にやらなかつたというような場合には、やはり五十四條の規定でこれを命令するような考えでありますと、こういうようなことを書いておるのでありまして、その他その後のいろいろな委員会におきますところの運輸当局の話を聞きましても、積極的に命令は出せると、こういうように申しておるのであります。従しながら私たちはいつもこの問題におきまして紛糾をいたしますので、この機会に従来の命令しております範囲を明確にしたほうがいいんじやないかということで、この際明確にいたしたようなわけでありまして、何ら従来の範囲を拡大したものでもなければ、又減らしたものでもありません。そういう点でございます。
  43. 内村清次

    ○内村清次君 只今の御説明方聞いておりますると、提案者のお考えになるところの重点というものは、国民の代表は国会である。国会も又内閣というものも、現在の状況からしますと、多数を得たものが内閣を組織するという国会法の條項からいたしまして、即ち国民多数の輿論に従つた政府が権限を持つて国鉄自体を動かすと、こういうことが民主的であり自主的であると、こういうお考えのように集約されまするが、そういたしますると、まあ一方においてはその国有鉄道が即ち国有的であり国営的である点を是認せられておるかどうか、即ち公共企業体として国の所有ではあるけれどもが、その企業全体は一つの企業者自体に委せて行こうというお考えであるかどうか。この点まだ明確になつておらないようですが、この点どうですか。
  44. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) 国有鉄道というものは御承知の通り国民のものでありまして、国家のものでございます。又公共企業体というものは一つの国民の、国有のものを経営して行く経営のありかたでありまして、我々はこれは国家のものであると考えております。従いまして当然国民の意思を代表するところの者が、いわゆる国会が株主の相談所みたいなものでありますが、これがいろいろと手を加えて行くのが当然でありまして、民間の企業におきましても株主がいろいろと意見を述べるのは当然であります。又株主から権限を移讓いたしますところの重役会、これに対しましては勿論株主の代表におきましてはこれを任命しておるのも、これは民間事業において御承知の通りでありまして、私は先ほど申しました通り、今回は国営でありますが、今までは国民の意思を代表するところの監理委員会というものが全面に亘つて指導統制しておつた考え方によると非常な統制指導の干渉を受けるというようなことになつてつたのでありますが、これでは本当の企業体らしくない。そこでこの際は責任のある人、権限のある人、代表者にすべてを任して行く。併しこの代表者を選ぶということは、勿論国会或いは国民の意思でやることであると、こういうように私たちは考えておるのでありまして、先ほど申しました通り、今回は国民の意思が及ぼすところの権限というものは前回から比べますと非常に縮小されたものであると私は考えているのであります。そういう点におきましては、最も民間企業体性に近付き、而も国家のものである、こういうような行き方であると思います。私は專賣公社の例だけではありませんが、日本政府出資のいろいろな銀行でありますとか、或いは昔の日鉄でありますとか、そういつたいろいろな例を見ましても、一番企業的に要望しているのはこういう体制であるように私は思います。
  45. 内村清次

    ○内村清次君 最後に一点お尋ねしますが、そうしますると、その理想形態から出発するといたしますると、内閣が例えば永続するものであるとする仮定の上に立てば別でありますが、内閣が変つて参りますると、その内閣の自体の性格によつてこの国鉄自体の経営というものが、又経営方針というものが変つて来るのだ、同時に又そういう論点が第一に認められるのかが一つと、そういうふうな形に持つて来させないために切離して、公共企業体としての経営をこれを能率的に挙げてもらいたいという趣意で今回の日本国有鉄道の、全体的な企業体としての改革がなされたのではないか、こう思うのでありますが、その点についてはどうですか。
  46. 前田正男

    衆議院議員(前田正男君) これは先ず初めの任命におきましても同様で、総裁は任命されておるのでありまして、必ずしも一方的な意思によつてやるというわけではありませんが、併しながら私は一度任命された人には、この法律の権限に基いて御承知の通り任期があるのでありまして、従いましてその任期の間におきましては、別に内閣が変りましようがどうしましようが、この任せられた範囲においての役員としての仕事をされて行くのが当然であると私は思つております。併しながらこれは一般の株主総会においても御承知の通り株主総会の意見というものは必ずしも一本のものでないということがたびたびであります。現在は甲の勢力が強いかと思えば、その次には乙の勢力が強いという場合がある。併しこういういつた場合におきましては、少くともこの法律から、若し株主総会である国会その他から政治的に干渉しようといたしましても、今までのような監理委員会とは違いまして、監理委員会のように全面的に立つて指導、統制するという権限は持つておりません、先ほども申しました通り、大臣の権限の範囲とか任免の範囲、予算の範囲、極く限られた……、範囲が縮小されて来ておりますので、私はその範囲におきますところの国民の意思の反映というものは、それは政治力の変りましたときにはあると思いますけれども、併しながらそれは当然のことでございまして、併しこの総裁とかその他の役員は、当然任期を持つておるのでありますから、法律にきめられた権限において私は国有鉄道を代表し、責任を持つて運営して行くということができるのではないかと思います。
  47. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 他に御質問のかたはありませんですか。欠席の委員もおありですから、次回に更に質問を続行することにいたしまして、他の法案の審議に移りたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) では本日はさようにいたします、速記をとめて。    〔速記中止
  49. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それじや速記を始めて、  次に道路運送車輛法案並びにその施行法案、それから自動車抵当法案並びにその施行法案、この四法律案を同時議題に供します。前回に引続き質疑を続行いたします。
  50. 岡田信次

    ○岡田信次君 大体道路運送車輛法というのを通読しますと、道路運送車輛保安法というような感じがするのですが、それで以て自動車運送の完璧を期し得られるかどうか、その点に多少の疑問が感ぜられるのでありますが。
  51. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) この道路運送車輛法案と申しまするのは、現在の道路運送法、それの三章にございます。あと省令に委ねまして車輛規則その他のものでやつておりましたのを、大体これを骨子といたしましてそれを全面的にここに格上げをして来たというものでございまして、大体主体といたしまするところは、只今お話がございましたように一種の保安法規考えられるものでございます。これに登録の問題、検査の問題、それからその検査並びに整備の基準になります保安基準の問題、それと一般の整備事業の問題等を織込みまして、いわば一つの保安法規ともいうべきものと考え差支ないと思います。
  52. 岡田信次

    ○岡田信次君 折角道路運送車輛法案というような名前を銘打つておるのですから、もう少し自動車の本質的なことをきめるようなことはできないのですか。
  53. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) 本質的とおつしやいますと、どういう意味でございましようか。
  54. 岡田信次

    ○岡田信次君 例えば自動車の貨物の積載量に伴う馬力の大きさであるとか或いはタイヤの大きさであるとか、そういつたものですが。
  55. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) それは或いはここに載せるべき問題であるかも知れませんけれども、非常に技術的に細かな問題になりますし、又非常にいろいろ複雑なるケースを孕んで参りますし、又いろいろ進歩発達というものもございまして、予想しない事件にもぶつつかるようになりますので、そこまで法律に書き上げますと、非常に煩雑になりますので、実はここに掲げております保安基準というものがございますが、これに項目だけを挙げまして、その詳細な数字その他は運輸省令によつてきめる、こういうことにいたしておりますので、そのときにブレーキのデイスタンスとか、そういつたものは従来やつておりますものも盛り込むようなつもりでおります。ただ只今お話がございましたからちよつと触れますけれども、自動車の最大積載量というものは非常にむずかしいものでございまして、先ずちよつと考えますと、エンジンの大きさとかタイヤの大きさとかそれからスプリングの強さ、フレームの強さ、荷台の大きさ、言い換ればホイルベース、そういつたものから或る枠が與えられまして最大積載量というものはきまりますものだと思いますけれども、日本の現在におきまして相当これが乱れた状態で社会で用いられておりまして、単なる理窟だけでこれをきめておりますと、社会に非常に混乱を起す虞れがあるのであります。それで私どもといたしましては、こういうことをきめて行くような方向に向いたいと思いまして研究はいたし、又各方面にも御相談申上げてその方向に持つて行くつもりではございますけれども、現在の状況におきましては、それを機械的にきめて行くというところに決定してしまうということは、やや現在の社会状態においてはちよつと無理があると思うのであります。それで現在の建前といたしましては、最大積載量というものは、メーカーのほうの申告によりまして、それを私のほうでチエツクいたしまして、そこに並べてございまする保安基準に照しまして、保安上差支えないと思えばこれをそのまま認めるという建前をとつております。
  56. 岡田信次

    ○岡田信次君 今度別のあれですが、先ほどのお話では大体この法律は今まで省令になつておるのを法律化したのだというお話ですが、それならばいいのですが、これを見ますと大体登録なんか非常にやかましくなつてつて、登録のために人間が殖えるとか或いは検査主任者ですか、整備管理者、そういうのは現実に得られるお見込があるのですが。
  57. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) 登録に関しましては、これは従来自動車の登録というものは、行政目的のためにやつておりました登録に限るので、これを抵当法の実施と絡み合せて私法的な意味を持たせる登記に準じたものにするということにいたしましたので、この登録の手続が多少煩雑化しておることは事実でございます。従いましてそのために多少の余計な手も必要とすることもありましようし、又法律上しつかりした人間を置くということも必要でございますので、そういう方面で多少増強する必要も起るだろうことは考えられますが、私どもの気持といたしましては、できるだけよそのほうから冗員を節約しまして、それに廻して行きたいということを考えております。それからあとのお話の整備管理者とか検査主任者という者は、これは役所の定員の問題ではございませんが、実際問題といたしましては、私どもの整備に関しまする全体の考えかたといたしましては日本の整備の状態は非常によろしくない。むしろやや寒心すべき状態であると思いまするが、ただこれを如何にしてよくして行くかということにつきましては、政府が手を下して引掻き廻して行つてもいけないだろうと思いますので、その意味におきまして軽い意味の規正を加えまして、現状を混乱させることなく、現状をそのままむしろ認めまして、それにやや責任体系をつけたような形をこしらえまして、それによつて自主的に整備が発達して行くようにという根本的な考えかたからこの法律案考えておるのでございまして、整備管理者のごときものは、資格はそうむずかしい資格ではございませんので、現在使つておられる人間で大体のところは殆んど間に合うだろうということを考えておりますし、又施行法におきまして経過規定を一年と置きまして、一年の間は無資格でもそのまま存続しておいてもかまわない、並びにその資格の中に今回のこの法案の中に盛込んでおりますが、現に実施しておりまする自動車整備技能者検定、これをこの法案にも盛込んでおりますが、その検定を受ければそれで資格が付くと、こういう形にしてございますので、現状といたしまして、現在の状態は殆んでそのまま受入れられて、そういう態勢に入り得るというふうに考えております。
  58. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  59. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて下さい。
  60. 高木正夫

    ○高木正夫君 この二十八條の自動車登録番号標交付代行者、これはどういう人なんですか。
  61. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) 只今の状態におきましては車輛検査が済みまして、車輛のナンバーを上げますと、そうしますとそのナンバーをもらわれたかたは、大体その車検物のそばにナンバー・プレイトの販売をしておる者がおりまして、そこに行つてナンバー・プレイトを買つておられるのであります今回の法律によりますと、車輛のナンバー・プレイトというものはその者の登録番号を表示するものということになつておりまするので、今までのナンバー・プレイトとちよつと観念が変つておるのであります。これは外国の例を見ましても、政府が支給しておるのが本当なんであります。これは本来政府が支給するのがいいと存じますけれども、予算や何かの都合で非常に急にはむずかしい点もあるだろうと存じますので、これを大体今までのような形のやり方にいたしたいと考えたのであります。又その場合に今までのナンバーとはちよつと意味が違いまして、重大な意味を持つことになりますので、その販売をいたしまする者を運輸大臣が指定して、こういう名前を付けたというのでございます。実際問題といたしましては、現在そこで販売しておりまするのは、まあいわば自然発生的に大体一軒くらいの、各県によつて違いますが、大体一軒くらいでやつておるようであります。それは整備業者がやつておる場合もございますし、それを專門にやつておる者もありますし、又何かの協会や組合なんかが店を出して商売しておられるところもございますし、いろいろございますけれども、私どもの現在の考え方といたしましては、混乱を起すということをしないために、一応特に支障のない限りは今までやつでおつた者をそのまま認めて行こうという気持でおります。
  62. 高木正夫

    ○高木正夫君 それからもう一つは手数料ですね。これはどの程度ですか。
  63. 佐竹達三

    政府委員(佐竹達三君) 手数料は第百二條にいろいろの場合の手数料が書いてございまして、これは最高価格でございますが、その範囲内で別に政令できめるということになつております。大体実費をカバーする程度と思います。
  64. 岡田信次

    ○岡田信次君 この車輛抵当法案ですが、バス会社なり或いはトラツク会社、多数自動車を所有している場合に、一々これに抵当権を與えるということは非常に煩わしいと思うのですが、一括して財団か何か作つて、これに抵当権を與えるということはお考えになられましようか。
  65. 齋藤博

    政府委員(齋藤博君) お答え申上げます。只今質問の財団抵当の問題につきましては、前の自助車交通事業法に自動車財団抵当権規定がございましたが、この前の昭和二十三年の道路運送法の際にはこれを削除しておきました。最近の金融状態からいたしましてこの必要性を痛感いたしております。実はこの自動車抵当法を制定いたします際に、これと併せて財団抵当についても研究をいたしたのでございますが、現在のところ日本の財団抵当は工場財団抵当の制度とそれから鉄道財団の制度と二つ大体体系がございまして、それぞれ工場財団は選択主義、それから鉄道財団は所属主義という制度を採用いたしておりますが、在来の自動車財団はその中間的な性格を持つておりまして、いろいろその本質的な問題に研究すべき点がございまして、又手続も割合煩雑でございましたので、より簡單にいたしたいというふうにいろいろ研究いたしたのでございまするが、今日まで間に合いません。早速この抵当法が若しも制定せられました後におきまして併せて財団抵当についても研究いたしまして、できるだけ早い機会に御審議を願いたい。こういうふうに思つております。
  66. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 自動車抵当法につきまして、この三法案のうちやはり一番新らしい思想と申しますか、考えかたの上に立つて出されているものはこの法案かと思うのであります。そこでこれは自動車運送業者の金融の途を開くと同時に、又金融業者に対してその債権を確保する。この二つの目的があると思うのでありまするが、そこでこの法律が通つた場合どういう利益があるかということを先ず我々は考えなければならないと思うのであります。従つて現在の自動車運送業者がどういう方法によつてこの抵当法に相当するような金融の途を講じているかという状態が、これは自動車局においては御調査になつているだろうと思いますが、今はどういう方法によつてつているかということを一点と、次に当然この自動車のようなものが、物件が抵当権の対象になるような場合には、これは危険性が非常に伴う物件である。ガソリンがそばにあるというような状態、或いは常に高速度で以て運行されているというところから危険を伴う物件であるが、その保証をどういうふうに考えているかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
  67. 齋藤博

    政府委員(齋藤博君) 第一の御質問の現在の自動車運送業者に対する金融措置についてお答え申上げます。  大体二つございまして、一つは車輛を販売いたします場合、生産者、或いは販売業者が運送業者に対して自動車を販売いたします場合に、いわゆる月賦販売の制度を採用いたしているわけであります。この場合の担保制度は、いわゆる所有権留保という形式をやつており、で自動車を買手に引渡しましても、現実には法律的には所有権は売手に残しておく。こういう制度を採用いたしており、それでいざ回収できません場合には、直ちに所有権はこちらの売手にございますので、当然回復できるという制度を採用いたしております。併しこの方法によりますると、自動車は動産でございまするから、いわゆる即時取得なり、或いは專有の規定が働きまして、対抗要件となります場合には、單なる所有権を持つているだけでは対抗要件になりませんので、非常に売手にとりまして不安な状態にございます。  それから第二番目には、この自動車所有権が売手にございます関係上、税法上その他の関係におきまして財産が売手に存続するというような関係から、現実には買手のほうにあるにもかかわらず、法律的に売手にございます関係上、税が売手にかかつて来る、こういう弊害がございます。第三番目には現行の道路運送法におきましても登録は車輛の所有者が登録をしなければならないわけでございますが、その見地から申しますと、売手である販売会社が登録をいたさなければならないわけでございますが、これが現実には買手である自動車運送業者が登録をいたしているということにおきまして、道路運送法違反をあえて犯しているわけであります。このような見地から今の月賦販売の制度は非常に法律的にも又事実的にも債権者である販売会社を非常に不安な立場に陷れております。それから逆に今度は自動車運送業者が自動車を持つておりまして、それを担保に供しまして銀行その他から融資を受けます場合には、いわゆる讓渡担保の方法をとつているわけであります。これも形式的には債権者に所有権を讓渡する恰好になりますので、やはり只今申しました所有権留保と同じような弊害が発生するわけでございまして、この見地から是非自動車を所有者に利用させつつ而も金融の目的を達成するためには、現行一番発達した抵当制度が一番よろしかろうというように考えて自動車抵当法を採用したわけであります。  それから御二点の御質問の自動車の危険性につきましては、またその保証については抵当法には何ら規定しておりません。これは現実には恐らく大部分の場合、担保に供する場合にはそういう危険性を考えまして債権者は保險証券を質に入れておくのが大体の取引だと考えております。なおその関係から自動車に保險を付することを強制することがいいかどうかという問題につきましては目下研究中でございまして、いずれ研究の成果が挙りましたら何らか法制的な措置を講じたいと考えております。
  68. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記をとめて。    〔速記中止
  69. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて、それではこれで散会いたします。    午後二時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            山縣 勝見君            内村 清次君            菊川 孝夫君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            松浦 定義君            鈴木 清一君   衆議院議員            前田 正男君   政府委員    運輸大臣官房長 荒木茂久二君    運輸省自動車局    長       牛島 辰彌君    運輸省自動車局    整備部長    佐竹 達三君    運輸省自動車局    総務課長    齋藤  博君   事務局側    常任委員会專門    員       岡本 忠雄君    常任委員会專門    員       古谷 善亮君