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衆議院議員(前田正男君) 公共企業体というもののありかたについてはいろいろと
外国にも例があります。
日本におきましても專売公社の例もございます。いろいろやり方があると思いますが、成るほど今の
お話の
通り監理委員会的なものを設けましてや
つている例もあるようでありますが、実はこの立法当時相当問題がありました
通り、この監理委員会の性格は御承知の
通り業務の運営、指導、構成、権限、責任を持つという非常に大きな性格を持
つているから、又総裁はこの監理委員会の責任を負い、その特別委員に過ぎない、こういうような会社でいえば重役会のような大きな権限は持
つているのでありますが、実は今
お話の
通りこの方面には成るべく各業界の経験者のかたに特にお入りを願いたい、余り慾張
つた考え方でありましたので……御承知の
通りこういうふうな権限を持
つておりまして、而も非常勤で以て兼職を禁じていないというような例は実は余りないのでありまして、この点につきましてこの監理委員会と総裁との間の問題とか、その他監理委員会の機構
内容につきましては非常に議論の余地があ
つたのであります。併しそれと同時に大体司令部からの声明に上りましてできましたところの專売公社のほうの例におきましても、こういうふうな全然監理委員会の組織というものを設けておりません。そうして
政府の監督の下に総裁を置き、その総裁以下の役員がいわゆる民間会社のように責任を持
つて運営している。こういうふうにいたしまして、現在までのところ企業体のもう
一つありますところの專売公社におきましても、專売公社以下私はよく運営されているものと
考えております。併しながら私たちは立法当時から疑問に思
つておりましたその国有鉄道の権限と、責任の問題については、その後の経過を見ましてもその法に書いてある
通り行われておりません。甚だ私遺憾に思
つてお
つたのでありますが、この点につきましては疑問をこの際整理することが当然立法府の責任であると思
つております。なお今
お話の
通り各方面の権威者を国鉄の企業体に入れるということは、誠に私たち望んでいるところでございまして、できましたならば総裁、副総裁、或いは理事、こうい
つた方面にはできるだけ民間のかたに入
つてもらう、権威のあるかたに入
つてもらいたいということを希望しております。併し又
衆議院におきましてもそういうような決議をいたした例もございます。併しながら私たち不幸にいたしまして、現在のようなこういう監理委員会がその上に更にあ
つて、その監理委員会の下に当然服して働いて行かなければならん
現状におきましては、とても総裁、副総裁、或いは理事に民間出の優秀なかたを入
つてもら
つて責任を持
つてや
つて頂くということは甚だ私は困難ではないか、これは民間の企業体というものを見て頂けばおわかりの
通りでありまして、重役会の中には勿論立派なかたが来て頂けますが、その下におきましては職員、つまり重役といいますか、そうい
つた面に第一線級の立派なかたが入
つて頂いて、経験を活かして、創意工夫を活かして頂くことは甚だこれは無理なことではないかと思
つております。従いまして今回はあいまいな権限を持
つておりますところの監理委員会を廃止しまして、
お話の
通り各方面の有識者を迎えまして、この役員の人たちによりまして私はもつと民主的に、自主的に、国有鉄道というものは動いて頂きたいと思います。併し更にそれでも不十分ということならば、国有鉄道自体といたしまして審議会を持つということは何ら
差支えないことでありまして、これは何ら法文に書かなくても、相談役の諮問会みたいなものをおかれることは
差支えないと思います。又公共企業体というものが成るべくならばそういうふうな委員会制度というものを中心にや
つて行
つたらいいじやないかというような議論もアメリカ等においては行われたことはあ
つたようでありますが、実は私たちが專売公社の創立に当りましてこの監理委員会を設けないというときに、なぜそういうようなことを我々は
結論したかと申しますと、アメリカにおきましては、実は公共企業体というものに対しましていろいろと議論がありまして、公共企業体の赤字というものは、結局国民の税金によ
つて賄われる。
政府と密接な
関係にある企業体である以上、
政府の政策と相反することはいけない。或いは又こういうような行政権の首長が公共企業体に対しましては消極的に責任を負います。主務大臣はこの法文に書いてあります
通り監督すると書いてありますが、終局的に責任を負うけれども、現在の
運輸大臣が申しておる
通り中二階的な存在である、こういうことを言
つておりまして、非常にあいまいなことにな
つているのであります。従いましてこの際もう少しく国民の国有鉄道でございますから、国民の代表するところの国会或いは
政府というものが選んだところの役員に全責任を任すというような行き方にすべきではないか、中二階的な存在というものをこの際改めるべきではないか、これは專売公社の例もそうであ
つて、実は專売公社はそういうような
趣旨で以て立法され現在運営されているのであります。私といたしましては、そういうような不明瞭な点をこの際一掃したいというのが私たちの念願とするところでございます。