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説明員(足羽則之君) 国鉄の貨物の輸速力の逼迫の問題につきましては、それに対する
解決策として、貨車を増強して欲しいという声が、各
方面から非常に力強い要望とな
つて、いろいろ私たち承わ
つておるのでございますが、この問題につきまして、極めて概略でございますが、御
説明申上げたい思います。
御承知のように鉄道の貨物輸送力は戦後
相当回復を見たわけでございますが、昨年の六月に朝鮮事変が勃発いたしましてから、一般の経済界が非常に活況を呈して参
つて、貨車需要が非常に激増いたしまして、これに対するこの輸送力には非常に弾力性が欠如しておるわけでございます。そのためにこの沿線の滞貨は一時二百万トンを越え、現在におきましても約百七、八十万トンというような
状況でございます。朝鮮事変の帰結がどういうふうになりますか、現在のところまだ何とも予断を許さないところでございますが、併しこの貨物の輸送の問題につきましては、現在のそうした
状況を打開する必要があり、又そうした
状況は、今後日米経済協力の推進或いは我が国の経済の自立というような問題を考えます場合において、なお
相当この輸送要請が続くのではないか、こういうようにまあ考える次第であります。
従つてこうした輸送情勢に対処いたしまして、国鉄が先ず第一段には、国鉄としての現有勢力による貨物輸送の合理化ということに
努力すべきことは勿論でございますが、併し現有
施設を以て最高能率の発揮に努めるということも、
相当戦後随時高ま
つて参
つたこの問題を考えます場合には、これを非常にまあ
努力することは必要ではございますが、やはり何と申しましても、それのみによ
つてこの貨物輸送の増強を期するということは十分でないのみならず、又むしろ根本的なほかの施策も考えません場合には、むしろ輸送力の基礎というものを破壊をする、むしろ非常に無理をい強るという結果になることもあり得るわけでありまして、できるだけ現有
施設の活用による、或いは現在のこの貨物の運輸技術による能率の発揮、効率化ということに努めなければならないわけでありますが、同時にいろいろなほかの施策をや
つて行かなければならん。まあこういう点で、鉄道の貨物輸送力の強化の問題としていろいろな対策が考えられるわけでございます。その
一つとして貨車の増備という問題が、非常に大きな問題として取上げられておるわけでございます。そこで現在どういうふうに我々考えておるかと申しますと、大体今年度の貨物の要請、輸送要請がどのくらいあるかという、こういう問題のようでありますが、年初の
予算におきましては、二十六年度当初
予算におきましては、今年度貨物輸送を
予算面で一億三千四百万トン、こういう
数字でいろいろな
計画が組まれてお
つたのでございますが、その後の、
只今申上げましたような情勢の変化によ
つて、いろいろこれに対する
見通しが現在までにだんだん変
つて参ります。現在のところでは約一億五千万トンから六千万トン、大体そういう
数字が議論されておるのでございますが、現在のところ約一億五千五百万トン、こういう需要を想定をいたしまして、それに対して如何なる
施設、施策をいたすべきかということで、いろいろ案を検討いたしておる次第であります。そこでその一億五千五百万トンという需要を基礎にして、いろいろ考えます場合に、輸送力としてどういう
程度に不足が考えられるかという問題でございますが、これは約九千両の十五トン車の増備を必要とする、こういうふうに、結論を申上げると、現在のところでは考えておる次第でございます。そこでこの二十六年度の当初の
予算におきましては、現車にしてたしか四千六百数両、
金額で六十億ばかりと思いましたが、これをワムに直して見ますと、約六千両の車ができる、まあこういう
計画を立ててお
つたわけでありますが、それが現在資材値上りのために、その既定の
計画が遂行できないわけでございます。
従つてこれに対する値上り分の補正をして、そして既定
計画を遂行できるといたしまして、九千両でございますから、なお新造三千両の貨車を必要とする、こういうふうに考えておるわけでございまして、車両の新造については今年度の新造を九千両いたしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。次にはその車両の増備に伴いまして、なおどういう点を考えているかと申しますと、貨物列車の増発、それから
施設の増強、それから電化の促進、それから要員の確保と、まあ項目的に申上げるとそういう点でございますが、なお内容について申上げますと、車両が
相当殖えまして、なお現在の貨物列車では不足をいたすわけでありまして、やはり貨物列車の運転キロを約二十五年度に比較して一割以上増加することが必要になるのではないか。そういう貨物列車の増発、貨物列車をもつとたくさん製造をするということがやはりこれに伴
つて必要となる施策と考えております。次には車両が非常に殖えるわけでございますが、これの車の運用に伴
つて或いは構内の配線の変更とか、或いは或る線区の線路の長さを延ばして参りますとか、或いは部分的に複線化をいたしますとか、或いは操作場の強化をいたしますとか、いろいろそうした車両の増加並びに列車の増発に伴う、これに附帯しておるいろいろな運転の
施設に対する強化ということが、当然伴
つて参りますので、そういう点についてもいろいろや
つて参らなければならない、こういうふうに考えられておる次第でございます。
なおこの輸送力の増強に重大な効果をもたらす線区について、現在の既定
計画の繰上等によりまして、電化を促進をすると、こういう点もその
一つの点であろうかと、こういうふうに考えられております。
なお以上申しましたことに関連をいたすわけでございますが、現在鉄道の従事員の問題でありまするが、御承知のように国有鉄道が
運輸省から分離いたしたときに、約十万の整理をいたし、その後現在までに欠員不補充という原則をと
つて参りまして、約三万人以上の人が減
つておるわけであります。
従つて現在の人員を以て、そういう方法でや
つておりますので、或いは配置転換をいたし、いろいろの人の配置についての工夫を疑らして仕事をや
つて来ておるのでございますが、併しやはり列車が殖え、或いは構内のいろいろ貨物の輸送に伴う作業量が殖えて参りますと、それに直接必要な人間の配置というものが、非常に窮屈になり、或いは不足をいたして参ります。
従つて輸送量の増加に対応し、列車が殖え、或いは列車の数が殖えるに伴
つてどれだけの、非常に切詰めて考えても、やはり最小限度の列車の殖えるに伴う或いは乗務員とか、或いは構内の従事員とかそうい
つた配置転換なんかの非常にむずかしいもの、或いは作業能力の限度に達しておりまして、これに対して要請を必要とするもの、そうい
つた職員について増強をして行かなければならない。こういうことを同時に考えてや
つて行かなければならない点と、こういうふうにまあ考えている次第でありまして、これらのいろいろな施策をできるだけ強力に実施をするということが必要にな
つて参る、まあこう考えているわけであります。そこでこれらのいろいろな施策を実施いたすとしますれば、資材の値上りのためのいわゆる工事勘定の経費の財源というものが
相当値上りに伴い、又今申しましたように工事が殖えるわけでありまして、それに対して
相当な財源を必要といたす。又損益勘定にいたしましても
経営費でございますが、増強に要する
業務量の増加或いはいろいろな物価の値上り、そうい
つた点を考えます場合に、
相当な赤字が出る次第でありまして、以上それらの諸点について全部これに対しての財政的な措置を必要とする。大体こういうふうに考えている次第でありまして、貸車の増強に関連をして一般の御理解を頂くためにそうした点も併せて簡単でございますが御
説明を申上げた次第であります。