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1951-08-15 第10回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月十五日(水曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○一般運輸事情に関する調査の件  (航空事業に関する件)  (港湾ストに関する件)  (貨車増強に関する件)  (国鉄補正予算及び国鉄運賃改訂に  関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 只今から運輸委員会を開会いたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  3. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 速記を始めて。それでは航空事業に関する件を議題にいたしまして、この休会中におきまする航空事業の問題の経過並びに今後の見通しについて運輸次官から御報告願いたいと思います。
  4. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 丁度戦争後満六年になるわけでございまして、その間民間航空のブランクがございまして、七月頃からと言われております民間航空の再開につきましては各方面から多大の関心が寄せられておるのでございまして、私どもといたしましては、一日も早くこれが開始の運びにいたしたい。かように思いまして、鋭意努力をいたして参つた次第でございます。ただ一つ航空会社免許することになつております航空事業免許を、どの会社にするかということはいろいろの問題があつたのでございまするけれども運輸審議会公聴会を開きまして、研究いたしました結果、五月二十二日に藤山愛一郎氏を総代とする日本航空株式会社決定をいたしたのでございまして、爾来発起人一同西銀座創立事務所を設けまして、諸般の準備を進めて参つたのでございますが、丁度責任者藤山愛一郎氏、後に会長に選任されました藤山愛一郎氏が、丁度ユネスコの会議で外遊中でございましたために手続が遅れまして、七月三十一日に創立総会を開いて定款を決定いたしまして、会長藤山愛一郎氏、社長に柳田誠二郎氏、以下諸役員をきめまして、八月一日から発足をいたすことになつたのでございます。他方運航を実施いたしまするのは、現在日本に参つておりまする航空会社の一又はそれの指定する一つ会社となつておりまして、外国会社ではジヤパン・ドメスチツク・エアー・ライン会社日本内国航空会社というものを作りまして、それで共同にこのサービスを提供したい、かような動きでございました。これもいろいろいきさつがございましたたが、ラストン氏というのを責任者に選定いたしまして、そうして航空庁並び日本航空会社に対しまして、いろいろと予備交渉を行なつておるのでございまするが、近日中に、この会社パナマに籍を置くようでございます。パナマ国籍の法人として運航許可の申請をしたい、こういうふうになつておるわけでございます。その許可を待ちましてから、日本営業所を設ける予定だそうでございまして、今両社間にいろいろと予備交渉が行われておりますところの運航契約、或いはチヤーター料の問題、そういつたものが大体の、もうすぐに見通しがつくはずでございますが、その場合にはそういつたものを具しまして、運輸大臣許可を申請いたして参りまするので、運輸大臣はこれを運輸審議会に付議いたしまして、許可を与えるという予定にいたしておるのでございます。そこで一体いつから営業開始するかという問題でございまするが、免許状には三カ月以内に業務開始するようにという条件をつけたのでございまして、その日は丁度九十日と書いてございます。従つて八月二十日がその最終期限に当るのでございまして、関係者一同その日に開始したいという、いろいろ努力をいたしたのでございまするが、実は私どものほうにも若干この遅延の責を負わなければならない事実かございます。というのは、補正予算要求いたしておりました航空路整備費が五月の、一カ月ほど遅れまして、六月の二十二日に決定をいたしましたために、この一カ月間は向う側遅延として責めることは困難であると思うのであります。従いまして、日本航空からも約一カ月ばかりの期間延長を申請いたしておりまするが、これは止むを得ないかと思つております。併し日本航空側は一カ月業務開始を延長するというのでなくして、先ず九月上旬に開始をいたしたいという目標で進めておるようでございまして、二十七日から三十一日に亘りまして、試験飛行を実施したいというような計画をいたしておるような次第でございます。で、これがためにはこのエアー・プールの、飛行場整備が必要でございますが、この飛行場整備運航開始よりも少し前にできなければならん筋合いでございまして、当局といたしましては、これを鋭意進めておりますが、大体殆んど完成いたしておりまするので、それには十分間に合うという考えでございます。それからその次は使用する飛行機の問題でございますが、これも当初からいろいろと新聞紙を賑わしておりまして、まあDC—4型がよかろうとか、或いはコンベヤがよかろうとか、或いはDC—3の三十八人乗りのスーパーというのがよかろうとか、いろいろな噂があつたのでございますが、何分向う側会社にもいろいろ事情がございまして、遂に二十八名乗りのDC—3六機というように内定いたしましたのでございます。航空路はすでに予算で御審議願つておりまする通り東京大阪福岡間、それから東京——札幌間ということに相成つておりまするが、航空の回数といたしましては、大体東京——札幌間を一日一往復、それから東京——大阪間は一日五往復、それから大阪——福岡間は一日二往復ということにいたしたいということで進めておるわけでございます。これはまあその後の業務状況或いは飛行機入手状況によりましてまあ多少の変化があるかも知れないと思うのでございます。なお岩国名古屋に寄航いたすことになつておるのでございますが、これは現在いろいろの空港施設を鋭意設備中でございますので、完成次第寄航することになるのでございまして、どうも一、二カ月は遅れるのではないかと思つておるのでございます。三沢、青森の近くにある三沢でございますが、これは現在補正予算、二十六年度の補正予算といたしまして、空港施設費要求中でございます。そのほか仙台に寄航しようというようなお話もございまして、このほうの予算は大体二十七年度に要求をいたしたいと思つておるような次第でございます。それで次は運賃がどのくらいになるかという問題でございますが、運賃の基礎になりますのは、ジヤパン・ドメスチツク・エアー・ライン、J・D・A・C会社からのチヤーター料、つまり飛行機上料幾らにきまるかということできまるのでございます。当初はこの数字相当の懸隔がございまして、両方で鋭意折衝いたしまして、一時うまくまとまるかという心配もあつたのでございますけれども、最近においては両社納得の行くところへ落ちついて来ておるようでございます。これが大体借入れは時間制になつておるわけでございますが、今のこの程度と予想されておりますところによりますと、これはこの場限りにお願いいたしたいのでございますが、先ず六十五ドル二十四セント、一時間当り六十五ドル二十四セント、規定時間までは六十五ドル二十四セント、それを越すにつき三十九ドル五十セントという数字両方から出ておるのでございます。この数字でございますと、大体平均がまあ六十ドルちよつと以下になるのでございます。この程度でございましたならば、大体国鉄料金一等程度ちよつと上廻りますが、その程度には落ちつくことができるかと思つております。  それから予算措置でございますが、飛行場整備費として、或いは飛行場という言葉は近頃は甚だまずいのだそうでございますが、飛行場又は空港施設費として現在まで予算が成立いたしておりますものと今後欲しいと思つておりますものは次の通りでございます。第一の東京大阪福岡間の空港施設費は五千百九十六万六千円でございます。これは二十五年度補正予算で成立いたしております。次に北海道とそれから中間寄航地名古屋岩国施設費東京大阪福岡施設を若干補充しております経費として八千八百万円、二十六年度予備費使用決定いたしております。それから三沢空港設備費は三千七百三十九万二千円でございます。これは目下二十六年度補正予算交渉中でございます。  それからなお講和条約が締結されまして、我が国が一本立ちになりますというと、空港完成費用でありますとか或いは乗員の養成でありますとかいろいろな訓練費が必要になつて参るでございましようが、これらの点につきましては目下種々研究中でございまして、まだはつきりと数字を申上げるところまで立至つていないような次第でございます。  以上、簡単でございますが申上げます。
  5. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御質問ございましたら順次御発言願います。
  6. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ちよつと簡単ですが、一番最後にあるところの施設、これは国の施設ばかりではないわけなんですね。地方施設もあるのですが、これは国の施設になるのですか、全部。或いは地方施設を兼ねるというようなものもあるわけですね。
  7. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 大体ここに上つております飛行場は全部国有の飛行場でございます。そして施設費というのは通信費が主でございます。
  8. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうじやないのじやないですか。通信だけですか。
  9. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 通信だけでございます。
  10. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 最近鹿児島新聞か何かわからないが、施設調査に来られたということが出ているのですがね。二十六年度に施設費相当かける。今のところの飛行場では少し狭いとか、それを拡張するのに幾らとか予算に見積りをつけたということを言われたということが新聞に書いてあるのですがね。やつぱりそういうような飛行場のいわゆる着陸に要する費用にも使われるのじやないですか。
  11. 秋山龍

    説明員秋山龍君) お答えいたします。ここに上つておりまする飛行場は、現在連合軍におきまして使用中の飛行場でございまして、その一部を使うことの了解を得ております。従つて日本側で必要なのは通信施設だけでございます。併しその他のところに航空路を拡張いたします場合には、やはり飛行場として適当なものに対しましては飛行場の拡張をいたさなければなりませんし、又建物のない場合には建物も建てなければならない、通信施設もしなければならない、こういうようなことになるかと思います。
  12. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういうような場合に、それは無料で提供されるわけですか。
  13. 秋山龍

    説明員秋山龍君) このエヤーポートの経営につきましては、いろいろな種類があるようでございますが、国営で作ります場合と地方費で作ります場合と、或いは地方費に国が補助をして作るといういろいろな場合が考えられるわけでありますが、これを航空会社に持たせる場合は今のところこれは例がないようでございます。それから航空完成と言いまして航空路のいろいろ安全のために離着陸の指図をいたしましたり、或いは飛行機の通過を指図いたしましたり、或いは気象の情報を供給したりするような施設は、これは大体国営でやるようになつておるようでございます。
  14. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それをただで使うのでしようか。
  15. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 国が航空路をこしらえましてその上を飛行機ただで飛ぶと……。
  16. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 施設などですね。施設ただで提供するのですか。
  17. 秋山龍

    説明員秋山龍君) 航空路に関する施設としましては、全部ただで提供いたします。
  18. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 第二次計画というか何かそういうような計画、いわゆるローカル線等計画がおありになるのだつたら御説明を願いたいと思います。
  19. 秋山龍

    説明員秋山龍君) まだ第二次として正確にこれをやるのだということを、まあ庁議なり省議なりとして決定いたしているものはございません。併しいろいろと希望が出ておりますので、例えば先ほど申上げましたように、仙台寄航というようなことも第二次計画でございます。それから航空路としては例えば着陸点鹿児島に伸ばすというような考え方もいろいろ出ております。又大阪、高松、松山別府福岡というようなことを考えているような人もあるようでございます。それから戦争前におきましては、東京、新潟、富山、福井、大阪といつたような支線を大日本航空経営したこともございます。
  20. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 二十七年度分の航空予算につきましては、又適当な時期に委員会を開いて御審議を願いたいと思います。
  21. 小酒井義男

    小酒井義男君 予算措置最後職員待遇費というのがございます。これは職員といいますのは民間航空会社職員を指しているのでございます。
  22. 秋山龍

    説明員秋山龍君) お答えいたします。この職員と申しまのは、航空庁職員のつもりでございます。民間の者は取りあえず入れてございません。   —————————————
  23. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは次の問題に入ることにいたします。港湾ストに関します報告を求めます。
  24. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) 最近におきます港湾労働問題につきまして御報告申上げます。あらかじめお断りいたしておきますが、港湾労働問題は実は労働省の所管でございまして、運輸省はこの使用者側でございますところの港湾運送官業を監督する立場におります関係上、最近頻発いたします労働争議につきまして、労働省方面或いは中央労働委員会方面から、使用者側を納得せしめてもらいたいという要望がよく運輸省側に持込まれます関係上、自然労働争議の中に立入つて行くというわけでございまして、正式の権限は労働省にありますので、その辺をあらかじめ御了承願います。よく船員労働問題を運輸省が所管いたしておりますので、港湾労働問題も運輸省の所管であると誤解されるのですが、あらかじめ御了承を願いたいのであります。  最近の港湾労働問題でございますが、今年の四月の一日に大阪港湾労働者ストライキに入りました。更に四月十五日から神戸港、名古屋港が又ストライキに入りました。それに次ぎまして関門におきましてもストライキに入つたわけでございます。その場合のストライキは、いずれも賃金ベースの値上げと、それから退職金要求であつたわけでございます。賃金ベースは従前は港によつて違うのでありますけれども、港湾労働者は八千円乃至一万二千円だつたのでありますが、これを一様に一万四千円に引上げろという要求と、退職金を支給しろという要求と、二つの要求があつたわけでございます。この要求経営者側といたしましては、到底採算上呑めないというところから、相当深刻な対立があつたのでありますけれども、いずれも、殊に神戸港におきましては外国の船が立往生いたしますし、或いは貿易会社からの、日本貿易商社との契約が船が入らないためにキヤンセルを受けるということから、莫大な損害を受けて参りました。大体のその損害の金額は、詳細な算定は困難でございますが、神戸海運局で調べました損害額は、神戸港におきましては十五日から二十日まで約五日間ストライキをやつたのでありますが、その間の船会社損害が約三億、貿易商社損害が二億程度だという一応の推定を下しております。最近におきましては、そういう神戸港のストライキ神戸海運局調停によりまして、これもそういう深刻な貿易商社或いは外国船主への影響を考慮いたしまして、結局経営者側が屈服いたしまして、労働者側要求を全面的に呑んで解決いたしました。それと同じような歩調で大阪名古屋関門もいずれも労働者側の勝利によつて解決いたしたのであります。ところが最近突発いたしました東京港における艀のストライキは、これは七月十二日に始まりまして、八月二日まで約二十日に亘つて長期ストライキが行われたのであります。これは賃金ベースの問題ではなくて、退職金の問題を闘争目標として掲げた組合要求に対しまして、使用者側はこれを拒否いたしまして、ストライキに入つたわけでございますが、この場合に使用者側が非常に強硬でございまして、今までのストライキと違つて非常に使用者側が強硬に組合側に対抗しておりますゆえんのものは、労働協約の中に冷却期間を争議に入るについては二十日間の冷却期間を置くという協約があつたにもかかわりませず、組合側交渉決裂と同時にその翌日からストライキに入りましたので、使用者側は非常に憤慨をいたしまして、今までの各地ストライキの様相と異なりまして、使用者側は非常な強硬な態度に出まして、労働憲法とも称すべき労働協約を踏みにじるような組合に対しては絶対に要求に応じられないし、相手にもしないという態度を闡明いたしました関係上、容易に解決を見ないで二十日も続いたわけであります。その間に労働省労政局長調停に入られまして、運輸省方面にも協力を求められましたので、我我のほうからも参加をいたしまして、労使双方を宥めて何とかストライキの終結を図つたのでございますが、使用者側は飽くまで協約違反という事実を組合側に認めさして、組合ストライキ中の損害賠償要求し、組合幹部の馘首をするまでは話合いには応じられないという態度に出ましたに対しまして、労働組合側も、組合側はこのストライキは自分のほうでは手続上の手落ちはあつたかも知れないけれども、合法のつもりである。従つて不法ストであるか、でないかということは法廷において決定せらるべき問題であつて、この問題を切離して取りあえず我々の闘争目標である退職手当の支給を考えてもらいたいということでございます。その両者の意見が容易に一致いたしませんで、労働運輸両省におきまして非常に中に入つてつた状況があつたのでございますが、今までの例と違つて非常に強硬な使用者側態度によりまして、又長期間に亘つてストライキのために組合側資金難に陥りまして、又労働省からの勧告もありましたことも加味いたしまして、実は八月二日にじや、ストライキをやめる、そして団体交渉に入つてくれということになつたわけであります。そこで使用者側ストライキをやめた以上は交渉に入ろうというわけで八月の三日に団体交渉に入つたわけでございますが、その結果は退職手当の具体的な金額について組合側使用者側との調停が成立ちませんところへ、実は組合側から長期ストライキによつて資金難に陥つておる関係夏季手当をもらいたい、退職手当のことはあと廻しにしても夏季手当をもらいたいという要求をいたしました関係上、これが又問題を紛糾しまして、使用者側がこれに対して飽くまで退職手当の問題を先議すべきであるということから、ここに団体交渉が決裂いたしまして、目下東京のストは中止はいたしておりますけれども、根本的に解決いたしておらない状況でございまして、目下使用者側労働者側とが睨み合つておるという状況でございます。これに関連いたしまして、我々として考慮しなければなりませんことは、八月一日以来二日、三日横浜港湾労働者が同じく退職手当要求を掲げましてストライキに入つたことでございます。横浜ストライキにつきましては地方労働委員会公益上重大なる支障を起す危険がありということで強制調停に入りました関係上、調停期間ストライキはできないという認定を下されまして、一日、二日、三日だけのストライキで、あとは地労委の手にかかつてストライキ中止の形でございますが、昨日午後中央労働委員会から横浜労使双方に対して退職手当に対する調停案が出ました。これに対して只今横浜労使双方におきましてその調停案審議中でございます。そして若し組合側使用者側のどちらかが調停案を拒否いたしました場合には、再びストライキに合法的に入るとになるわけでありまして、横浜ストライキが起りますと今待機中の東京労働者もこれに呼応する危険があるのでありまして、京浜地区労働者が一齊にストライキに入りました場合には相当に重大な影響日本の、殊に京浜地区の経済に及ぼすのではないかと実は憂慮しておるわけでございます。なおこのほかに北海道地区にも、これはベース・アップの要求によりまして七月三十日、三十一日、小樽港、室蘭港が港湾ストライキに入つております。そのほか七月当初におきまして日本検数協会のいわゆる船側検数人というのがストライキに入りまして、かくのごとく全国各地港湾労働ストライキが頻発しておる状況でございます。運輸省といたしましては港湾運送事業法も先の国会で成立させて頂きましたので、その法律の運用に基きまして健全な港湾運送事業というものを育成する方針であるにもかかわりませず、こういうストライキの頻発によつて港が絶えず不安動揺にさらされておるということ、並びにそのために港湾運送業者経営が絶えず危険な様相を呈しておるということによりまして、折角の法律によりますところの港湾運送事業育成助長ということが阻害されておることを非常に残念に思つておりまして、何とかこの港湾労働争議がかくのごとく頻発しないような根本的な解決を希望しておるわけでございます。  現在の労働組合組織を申上げますと、全国で大体六万人の港湾労働者がおるわけであります。港湾労働者と一口に申しましても、その中には船内荷役労働者曳船労働者沿岸荷役労働者、それから荷物の数を数える検数人、そういうものを含めましての港湾労働者でありまして、その中の三分の一でありますところの約二万人がいわゆる全日本港湾労働組合に加盟しておりまして、あと四万人は総同盟系組合でありますとか、或いは未組織労働者であります。そういう分野でございまして、全日本港湾労働組合というものは、何と申しましても日本港湾労働の三分の一の勢力を持つておりますので、相当な圧力を使用者側に加えておる状況でございます。実は全日本港湾労働組合と申しますものは、戦争中にでき上りました港運会社というものが各地にございましたが、この港運社会が一港一社の独立会社として相当な規模において経営しておりました当時に形成された組合でございます。従つてその当時は相当な財源も組織力も持つていた港運会社が対抗しておりました関係上、相当組合使用者側とがおよそ対等の立場において話をしておつたのでありますが、昭和二十年以後のメモランダムによる京浜港を初め六大港の港運会社或いは船舶荷役会社解体指令によりまして戦時中約百二十社程度会社が戦後におきましてはその十倍でありますところの約千五百社に急増いたしまして、使用者側組織が非常に細かく解体されてしまつたのであります。併しながら組合側従前通り組織を持つております。使用者側のほうは細かく細分されました関係上、労使の話合いをいたします場合にいつでも使用者側組合側に押されて行く状況が続いていたわけであります。そういう結果が例えば先ほどから申しました神戸港、大阪港、名古屋関門各地に波及いたしましたストライキにおいて、東京は例外でございますが、いずれも組合側の勝利にストライキを終結しているという状況の根本的な原因は、使用者側が非常に弱体な企業体に分散されて、昔のいわゆるボス制度に帰りつつあるという状況と、いわゆる近代的な労働組合法による組合との対抗ということからこういう偏頗な解決ストライキの頻発という原因が見られるように見受けられるのであります。こういう立場から我々のほうにおきましては又神戸港のストライキの結果に鑑みまして、この港湾ストライキが勃発いたしました場合に港湾運送業者の受ける損害よりもそれに関連いたしますところの貿易業者、或いは船主或いは電力、石炭、鋼材関係その他の関連産業に重大な影響を及ぼす傾向がございますので、むしろそのほうが大きな損害を受けている状況でございます。従つてでき得ることであれば労働関係調整法第八条によりますところの公益事業に指定して頂くべきではないかという声が神戸港の貿易業者あたりから起つております。又各地港湾業者のほうでも是非公益事業に指定してもらいたいという声が起つております。然るに現在の公益事業の指定を受けております運輸業は国民の日常生活と直接関係のある業態に限られております関係上、港湾運送業というものは離島航路の船を扱つております業者とそれから通運と関係のある業者とそれだけが関連的に公益事業になりますが、それ以外の港湾運送公益事業の指定を受けておりません。従つて法律上は正式には強制調停もできませんし、冷却期間も置けないという状況でございます。そういうことでは先ほどから申しましたごとく使用者側が非常に弱体である上に組合側が非常に何と申しますか大きな組織を持つております。而も組合の内部の構成を分析いたして見ますとまあ従前港湾労働者というものは長い間ボス制度の下に置かれておりました関係上とかく群衆心理によつて盲従するという傾向が非常に強いのであります。この傾向のあります組合員の上に少数の相当尖鋭なる幹部が指導に当つております関係上、余り慎重なる考慮を払わないで何でも実力行使に入るという傾向が非常に強いのであります。而もそれを受けて立ちますところの使用者側が先ほど来申しましたごとく非常に弱体企業である、従つてこういう危険な要素を持つている双方の状況をこのまま放置いたしますと今後も港湾におけるストライキの頻発ということは防ぎ得ないのじやないかということを実は我々港湾運送業の監督の立場にあります者の立場から常に憂慮している次第であります。これは最近のスト頻発に鑑みましてできるならば当委員会におきましても港湾運送事業公益事業に指定することの可否について御討議願えれば結構であると存ずる次第であります。最近承わるところによりますと労働関係の法律も改正をされるやに承わつておりますので、この機会に港湾運送事業の他産業に及ぼす影響の深刻性と、現在の労使双方における、この非常にまだ幼稚なる、而も危険なる状況を御考慮願いまして、この問題をお取上げ願えれば仕合せであると存ずる次第であります。
  25. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 御質問ありませんか。
  26. 小酒井義男

    小酒井義男君 この京浜地区港湾労働者というのは大体全港湾に参加しているのでございますか。
  27. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) 全港湾に参加している部分と参加していない部分とがあるわけであります。
  28. 小酒井義男

    小酒井義男君 ストライキをやつた場合にはやはり参加しておらないものも一緒にやつておるわけですか。
  29. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) それは全港湾に参加しているものだけがストライキに入るわけであります。
  30. 小酒井義男

    小酒井義男君 三分の一だというのですね、全港湾に入つているのは。
  31. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) 全国で三分の一でございますが、東京の場合には三分の二、艀の船頭の三分の二が全港湾に入つております。三分の一が非組合員或いは総同盟系でございます。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから横浜ですか、今調停を受けておりますのは。
  33. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) 横浜地区におきましては地方労働委員会調停に入りまして、退職手当組合要求は十万円でございますが、調停案は、五万五千円を中心に一割上下という調停案を出しております。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 どれだけに対してですか、十万円というのは勤続何年とか。
  35. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) 勤続五年に対して組合要求は十万円でございまして、調停案が五万五千円でございます。それからなお補足いたしますが、東京におきましても、横浜におきましても全港湾加名の組合員はストに入りましたのでありますが、非組合員と、それから機帆船が艀の代りにこれに当りまして、機帆船の乗組員は海員組合に入つております関係上全港湾のストとは関係なしにこれをやつております。機帆船を使うことによつて、特に東京におきましてはストライキによる影響を回避いたしております。殊に夏期渇水期におきますところの東京電力会社からもストライキによる石炭入手難を防止してくれという要求がありました場合は機帆船の供給によりましてこれを切抜けて行つて成るべく他産業への影響は防止しながら組合と対抗するというような方針を東京ではとつておりますが、同時に横浜が入りました場合には到底京浜全地区を機帆船で賄うということはできなくなりますので、相当影響が予想されるわけであります。
  36. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 平均ベースはどのくらいなんですか。
  37. 四方田耕三

    説明員四方田耕三君) この四月以後のストライキによりまして六大港におきましては一万四千四百円、それから北海道地区では一万二千円ベースを今度のストライキで戦いとつております。
  38. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは次の問題に移ります。それでは貨車増強の現況に関する先ず御報告を……。
  39. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 国鉄の貨物の輸速力の逼迫の問題につきましては、それに対する解決策として、貨車を増強して欲しいという声が、各方面から非常に力強い要望となつて、いろいろ私たち承わつておるのでございますが、この問題につきまして、極めて概略でございますが、御説明申上げたい思います。  御承知のように鉄道の貨物輸送力は戦後相当回復を見たわけでございますが、昨年の六月に朝鮮事変が勃発いたしましてから、一般の経済界が非常に活況を呈して参つて、貨車需要が非常に激増いたしまして、これに対するこの輸送力には非常に弾力性が欠如しておるわけでございます。そのためにこの沿線の滞貨は一時二百万トンを越え、現在におきましても約百七、八十万トンというような状況でございます。朝鮮事変の帰結がどういうふうになりますか、現在のところまだ何とも予断を許さないところでございますが、併しこの貨物の輸送の問題につきましては、現在のそうした状況を打開する必要があり、又そうした状況は、今後日米経済協力の推進或いは我が国の経済の自立というような問題を考えます場合において、なお相当この輸送要請が続くのではないか、こういうようにまあ考える次第であります。従つてこうした輸送情勢に対処いたしまして、国鉄が先ず第一段には、国鉄としての現有勢力による貨物輸送の合理化ということに努力すべきことは勿論でございますが、併し現有施設を以て最高能率の発揮に努めるということも、相当戦後随時高まつてつたこの問題を考えます場合には、これを非常にまあ努力することは必要ではございますが、やはり何と申しましても、それのみによつてこの貨物輸送の増強を期するということは十分でないのみならず、又むしろ根本的なほかの施策も考えません場合には、むしろ輸送力の基礎というものを破壊をする、むしろ非常に無理をい強るという結果になることもあり得るわけでありまして、できるだけ現有施設の活用による、或いは現在のこの貨物の運輸技術による能率の発揮、効率化ということに努めなければならないわけでありますが、同時にいろいろなほかの施策をやつて行かなければならん。まあこういう点で、鉄道の貨物輸送力の強化の問題としていろいろな対策が考えられるわけでございます。その一つとして貨車の増備という問題が、非常に大きな問題として取上げられておるわけでございます。そこで現在どういうふうに我々考えておるかと申しますと、大体今年度の貨物の要請、輸送要請がどのくらいあるかという、こういう問題のようでありますが、年初の予算におきましては、二十六年度当初予算におきましては、今年度貨物輸送を予算面で一億三千四百万トン、こういう数字でいろいろな計画が組まれておつたのでございますが、その後の、只今申上げましたような情勢の変化によつて、いろいろこれに対する見通しが現在までにだんだん変つて参ります。現在のところでは約一億五千万トンから六千万トン、大体そういう数字が議論されておるのでございますが、現在のところ約一億五千五百万トン、こういう需要を想定をいたしまして、それに対して如何なる施設、施策をいたすべきかということで、いろいろ案を検討いたしておる次第であります。そこでその一億五千五百万トンという需要を基礎にして、いろいろ考えます場合に、輸送力としてどういう程度に不足が考えられるかという問題でございますが、これは約九千両の十五トン車の増備を必要とする、こういうふうに、結論を申上げると、現在のところでは考えておる次第でございます。そこでこの二十六年度の当初の予算におきましては、現車にしてたしか四千六百数両、金額で六十億ばかりと思いましたが、これをワムに直して見ますと、約六千両の車ができる、まあこういう計画を立てておつたわけでありますが、それが現在資材値上りのために、その既定の計画が遂行できないわけでございます。従つてこれに対する値上り分の補正をして、そして既定計画を遂行できるといたしまして、九千両でございますから、なお新造三千両の貨車を必要とする、こういうふうに考えておるわけでございまして、車両の新造については今年度の新造を九千両いたしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。次にはその車両の増備に伴いまして、なおどういう点を考えているかと申しますと、貨物列車の増発、それから施設の増強、それから電化の促進、それから要員の確保と、まあ項目的に申上げるとそういう点でございますが、なお内容について申上げますと、車両が相当殖えまして、なお現在の貨物列車では不足をいたすわけでありまして、やはり貨物列車の運転キロを約二十五年度に比較して一割以上増加することが必要になるのではないか。そういう貨物列車の増発、貨物列車をもつとたくさん製造をするということがやはりこれに伴つて必要となる施策と考えております。次には車両が非常に殖えるわけでございますが、これの車の運用に伴つて或いは構内の配線の変更とか、或いは或る線区の線路の長さを延ばして参りますとか、或いは部分的に複線化をいたしますとか、或いは操作場の強化をいたしますとか、いろいろそうした車両の増加並びに列車の増発に伴う、これに附帯しておるいろいろな運転の施設に対する強化ということが、当然伴つて参りますので、そういう点についてもいろいろやつて参らなければならない、こういうふうに考えられておる次第でございます。  なおこの輸送力の増強に重大な効果をもたらす線区について、現在の既定計画の繰上等によりまして、電化を促進をすると、こういう点もその一つの点であろうかと、こういうふうに考えられております。  なお以上申しましたことに関連をいたすわけでございますが、現在鉄道の従事員の問題でありまするが、御承知のように国有鉄道が運輸省から分離いたしたときに、約十万の整理をいたし、その後現在までに欠員不補充という原則をとつて参りまして、約三万人以上の人が減つておるわけであります。従つて現在の人員を以て、そういう方法でやつておりますので、或いは配置転換をいたし、いろいろの人の配置についての工夫を疑らして仕事をやつて来ておるのでございますが、併しやはり列車が殖え、或いは構内のいろいろ貨物の輸送に伴う作業量が殖えて参りますと、それに直接必要な人間の配置というものが、非常に窮屈になり、或いは不足をいたして参ります。従つて輸送量の増加に対応し、列車が殖え、或いは列車の数が殖えるに伴つてどれだけの、非常に切詰めて考えても、やはり最小限度の列車の殖えるに伴う或いは乗務員とか、或いは構内の従事員とかそういつた配置転換なんかの非常にむずかしいもの、或いは作業能力の限度に達しておりまして、これに対して要請を必要とするもの、そういつた職員について増強をして行かなければならない。こういうことを同時に考えてやつて行かなければならない点と、こういうふうにまあ考えている次第でありまして、これらのいろいろな施策をできるだけ強力に実施をするということが必要になつて参る、まあこう考えているわけであります。そこでこれらのいろいろな施策を実施いたすとしますれば、資材の値上りのためのいわゆる工事勘定の経費の財源というものが相当値上りに伴い、又今申しましたように工事が殖えるわけでありまして、それに対して相当な財源を必要といたす。又損益勘定にいたしましても経営費でございますが、増強に要する業務量の増加或いはいろいろな物価の値上り、そういつた点を考えます場合に、相当な赤字が出る次第でありまして、以上それらの諸点について全部これに対しての財政的な措置を必要とする。大体こういうふうに考えている次第でありまして、貸車の増強に関連をして一般の御理解を頂くためにそうした点も併せて簡単でございますが御説明を申上げた次第であります。
  40. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) どうぞ御質問を。
  41. 高田寛

    ○高田寛君 今の貨車の増備の問題はあれです、一億五千五百万トンを輸送するために配車が二千五百両も予定されていて、それで九千両できれば貨車の数の問題から言えば滞貨はなくて済ませられる、大体こういうお見通しなですか。
  42. 足羽則之

    ○説用員(足羽則之君) 算定の基礎を申上げましようか。少し細かくなりますが、計算をいたしました基礎を御説明いたしたいと思います。  先ず第一に二十六年度の輸送能力がどうかということをまあ計算いたしたわけでございますが、二十六年度の現在車が先ずどのくらいあるか、これが報告而現在車で九万二千七百両でございます。そこで九万二千七百両の車が大体どういうふうに働いておるかということでございますが、御承知のように貨車の働くのを運用効率という言葉で申しておりますが、これを二七%の運用効率、まあこういうふうに考えているわけでございます。この二七%の運用効率と申しますのは、現在はまだこれより少し上つておるように聞いておるのでありますが、大体昨年の下半期から本年度の初めにかけての大体の数字のようでありまして、これを精一ぱいな数字をとるということにして、実際若干の問題もあり、これは併し相当高い運用効率として見た数字のようでございますが、それから一両に大体どれくらい積むかという数字でございますが、これは二十六年度の一車平均の積載トン数を十四トン六分と、こういうふうに計算いたしております。従つてそれだけの要素が出て参りますと、九万二千七百両の車が二七%の運用効率でございますと一日に二万五千両余の車が毎日積込に使用されるわけであります。それだけの車が一車十四トン六分という数字にいたしますと、一日の発送トン数は三十六万五千四百数トンになるという、こういう数字でございます。そこで年間総トン数一億三千三百七十万トン余とこういう数字になるわけでありまして、これは年間の発送トン数であります。そこでこれをいわゆる輸送トン数に直す必要があるのでありますが、これは一定の乗数を掛けます。九百六分の千という数字でございますが、それを掛けますと今の一億三千三百七十万トンは一億四千七百万トン余という数字になります。これが大体現有の貨車により現在の効率、或いは一車の積載量、これから見た現在の輸送量というふうに考えております。そこで貨車の新造数を出すわけでございますが、一億五千五百万トンの要請がある、そうしますと只今の輸送力の一億四千七百六十万トンと比較いたしますと七百四十万トンの不足が出る。そこでこの七百四十万トンという貨物をどれだけの車を以て運ぶ必要があるかということは、只今の運用効率或いは一車の積載トン数、それから輸送トン数を発送トン数に直す計算、それを用いて逆算いたしまして、そうしてそれの平均トン数を出しますと九千二百九十六両、こういう数字が出て参ります。従つてこれを約ラウンド・ナンバーとして九千両という数字にいたしたわけであります。この中には貨車補充が、計算として現在車を算定いたします場合は二千五百両考慮しておりますので、貨車補充を含めてそうした結論が大体今申上げた九十両という数字になる。こう計算をいたしているわけでありまして、これは相当強い現在の働いている運用効率というものを基礎にした数字でございます。そういう数字で、基礎としては計算をしているわけであります。
  43. 高田寛

    ○高田寛君 わかりました。それから先ほどの御説明の中で貨物列車キロは大体一割殖やす計画だと承わりたいのですが、旅客列車キロのほうはどんなに計画しておられますか。
  44. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 少くとも一割以上には殖やさなければいけまいという結論を私承知しているのでございますが、大体どのくらい具体的にはつきりした数字になるかというのは私実はここに資料を持合わしておりません。御承知のように貨車については相当定期を設定し、或いは不定期も設定して必要なときに起すということもございますので、やはり正確な数字はここで申上げかねます。なお旅客列車につきましては私承知していないのでありますが、極めて概括的な御返答しかできないのでありますが、殖やしたい希望も相当あるのでありますが、実情としては旅客に対してそういう点を大幅にやつて行くということも少し困難がある。補正予算の考えております数字としても旅客収入としては少しの増加は見込んでおりますが、余り見込んでいないという点で特に旅客列車についての正確なる返答はいたしかねますが、特に大きな増発の計画はしてないのでございまするので、そう御承知を願いたいと思います。
  45. 高木正夫

    ○高木正夫君 貨物列車の増強に対しまして、機関車はどういうことですか。余りたくさん要らないというお考えですか。
  46. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 機関車につきましては現在棚上げをして使つていない機関車があるのでございますが、これを起して使用いたす。なおたしか補正予算としては若干の蒸気機関車の新造も考えております。なお補正予算で電化区間の高崎線の計画を繰上げて促進もしたいという計画があるようでございますが、そうしたことによつて電化して置換えた高崎線の蒸気もこれに充当する。従つてまあ結論的に申上げますと、電気機関車と蒸気機関車の若干の増備も計画し、且つ現在の棚上げしている蒸気機関車を起して使うということによつて貨車の増加と対応さしてやつて参りたい、こういう内容のように考えております。
  47. 高木正夫

    ○高木正夫君 この貨車の効率を上げるためにターミナルの作業、主として積卸し作業というものは或いはもう少し機械力を利用すれば貨車足が早くなるような気がするのですが、そういう施設についてはお考えになつておられますか。
  48. 三木正

    説明員(三木正君) 私ども荷役の機械もやつておりますけれども、何しろ腐れかかつたトンネルだとか、落ちかかつた橋が多いものでございますから、危くなくすることが先ず第一でございまして、そういう機械を使うことがいいことはわかつておるのですが、仕事もなかなか手が廻りかねておるような実状でございます。研究、或いはそういうことはだんだんといたしておりますが、十分にはなかなか手が廻つておりません。
  49. 高木正夫

    ○高木正夫君 私はこれは相当大きい効率が上るのじやないかと思うのですが、最近……これは施設をどこでなさつてもよろしいと思いますが、業者がやつてもよろしい、又省がやつてもいいと思いますが、若し業者にやらせるようなら相当大きくして荷物の引取を早くするということによつてもう少し効率が上るのじやないかという気がするのですが……。
  50. 三木正

    説明員(三木正君) 最近船賃と鉄道運賃との比較などをいたして見ますと、石炭においては割合にその開きが少いのですが、木材においては非常に開きが多い。そういう船賃が概してではない、殆んど全部高いというような状態になつておりますが、相当遠距離でありましても、一番大きな原因は私どもはよくわかりませんけれども一つには荷役の機械化というようなものがあるのじやないかというような考えを持つておるのであります。石炭は北海道炭などは、或いは九州炭にしましても積込の設備が割合によくできておりまして、そういう点から機械でやるということは十分研究すべきものだというお説には全面的に賛成であります。
  51. 高木正夫

    ○高木正夫君 この予算的措置についてお伺いするわけには行きませんか、補正予算について。
  52. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) 今日はあとで……。
  53. 岡田信次

    ○岡田信次君 二十七年度の七月末ですか、或いは第一・四半期の貨物輸送量の実績はおわかりになつておるかどうか、それで又若しおわかりになつておるとすれば、それだけの輸送をやつたものに対する貨車の量数並びに各貨車のエフイシエンシイというものはどうなつておりますか。
  54. 三木正

    説明員(三木正君) 四月の発送トン数は本年が千二百八十四万トン、昨年が千四十八万七千トンに比べて一二二%でございます。そういたしますと、五月が千三百五十五万トン、一三三%、六月が千三百三十五万九千トン、一三六%、七月が千三百三十三万六千トン、一二六%、一日平均にいたしますと、発送トン数の一日平均の数字が、四月が三十八万三千六百二トン、五月が三十九万五千二百六十九トン、六月が四十万三千二百四十七トン、七月が三十九万一千四百六トン、八月の上旬は四十万四千九百六十四トン。運用効率が四月二八%、五月二八・三%、六月二八・七%、七月二七・九%、八月の上旬が二八・二%というような数字になつております。
  55. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうしますと、さつき足羽君からお話のあつた九千両ですか、新造するのは大体二七%というエフイシエンシイで計算しておる。ところが今三木君のお話によりますと、大体二八%というのが正常化しておるわけですね。そうするとその関係から言つて九千両、或いは差引六千五百両の新造というものは一億五千五百万トンに対して少し過大じやないかと思いますが、如何でしようか。
  56. 足羽則之

    ○説員明(足羽則之君) 二七%ときめました根拠、計算した根拠でございますが、これは二十五年の十月から二十六年の三月まで六カ月間の運用効率が二六・六%でございます。それから二十五年の十月から二十六年の四月まで、この七カ月間の運用効率が二六・八%でございます。二十五年の十一月から二十六年の四月、この六カ月の運用効率が二七%でございます。それから二十五年の十月から二十六年の四月まで、この七カ月間の運用効率が二七%であります。いろいろ最近の近い、二十六年の三月四月或いは五月までの間の六カ月、或いは七カ月或いは八カ月の間の運用効率をいろいろ取つて平均して見たわけでありますが、大体二七%、若しくはそれより少し下。そこでもう一つ御考慮を願わなければならないのは、非常にまあ運用効率が上つて来ているのでありますが、半面に効率は上つているが、併し貨物場所々々に偏在している。つまり運びやすい貨物が運ばれて、運ばれにくい貨物が運ばれないでいるという状況もかなり耳にする点であります。従つてこういう点から申しますと非常に押しかけが強いので、それを吐くことの要請が非常に強いので、従つて運用効率は上つておりますが、半面には相当な貨物が実状に合わないで運ばれないでいるという実状が考えられるわけでありまして、従つてただ数字の効率が相当つているということに依存して、そうしてその数字を取るということは、相当数字が高くなりますと実際の運用においては実状に副わない場合が相当出て参りますので、今申しましたような二十六年の三月、四月、五月までの間の或いは六カ月乃至八カ月の間のいろいろな場合を取つて比較いたしましてそうして大体二七%、こういうふうに作成と申しますか、計算の基礎をおいたわけであります。
  57. 岡田信次

    ○岡田信次君 二十六年度の予算をお組みになる場合にはそれで結構だと思うのですが、最近とにかく本年度に入つてからの実績がそういうふうに厳として二八%以上を示しているというのだつた補正予算に対してはそれをお考えになるのが至当じやないかと思います。それからもう一つ……そういたしますと今年の、今年度に入つてからの貨車の殖え工合は四、五、六、七にどうなつておりますか。
  58. 三木正

    説明員(三木正君) 足羽さんのお話がありましたので最初の御質問にお答えになるのではないかと思いますが、結局二八%を運んでいるということは事実でありますが、それは非常に荷主さまに御迷惑をかけて、遮二無二、閊えて来てしようがない、運びやすいところから手当り次第に運んで来ているという実状であります。それを一番はつきりと示しますものは、在貨等の比較を見ればいいと思いますが、四月は二八%でございますが、月末の在貨は百八十五万三千トン、五月は二八%でありますが、非常に効率が上つたと同時に、月末の在貨は二百五十万六千トンでございます。それから六月は二八%七、これも相当つておるようでございます。在貨が百九十一万トン、少し在貨が下つておりますが、非常に押しかけが強いのであります。七月は二七%九と運用効率は下つておるのでございますが、月末在貨も百五十七万八千トン、こういうふうに下つております。八月が二八%台に下つております。在貨はこれは百五十万トン、これがどこに一応きまるかということは非常にむずかしいと思いますけれども、二八%というような効果を上げました場合には荷主様の御迷惑というものは相当なものであるということだと思います。それで貨車を作るといつてもいつも只でできるわけじやございませんししますから、二七%くらいの運用効率なら荷主様にも御辛抱願えるのじやないか、二八%以上になるということは非常な無理であるということで、いずれもそれは完全な輸送じやございませんけれども相当無理が来ておるのじやないかと、こういうことで二七%という数字運輸省でも御指図がありまして補正予算にも使つておるのでございます。御意見のように、いや金がないから二八%にしろと言われるのもこれは本当の御議論だと思います。要するに二八%というような数字は能率の上りにくいところでは余り上りにくいというように思われる数字に私どもは考えるのであります。それから貨車の新造の落成の様子を申上げますと、六月に二百二十五両入つております。七月には七百一両入つております。八月に六百九十九両入る予定であります。それ以後は予定はございますが、現在までのところそういうような数字で推移いたしております。
  59. 岡田信次

    ○岡田信次君 もう一つ大体今年度の四月、五月、六月の実績から申しますと、年間の輸送量はどのくらいになるのか、一億五千万トンなのか、或いは一億五千三百万トンなのか、この点を一つさつき足羽君の御説明の中に貨物の輸送力の増強のために有効長その他を殖やせばというお話がありました。何か大単位の列車を動かそうと二千トンなら二千トンという御計画のために有効長を殖やさなければならないのか、その点をちよつと……。
  60. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 一億五千五百万トンの約どのくらい要請があるのかというのを一億五千万トンといたしましたのは、個々の品目についての輸送要請について生産指数を考慮しながら安本と協議をしてきめた数字のようであります。どういうふうにしてその生産指数との関連において輸送要請を個個の品目についてきめたかという点につきましては、私ちよつとここで御説明できませんので申上げかねますが、要するに生産指数を考慮して安本と打合せてきめた数字のようでございます。
  61. 岡田信次

    ○岡田信次君 ちよつと私のを聞き違えておられるようですが、二十六年の四月以降七月までの実績から推して行くと、このまま輸送状態が進むとすると、二十六年度は一億五千万トンになるのか、一億五千三百万トンになるのか、一億六千万トンになるのかという点をお伺いしたい。
  62. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 只今申しましたのは、輸送要請の一億五千万トンのことで、御質問は現在までの年頭からの輸送力を延ばすとどのくらい本年度に輸送力があるかという御質問かと思うのですが、これは季節的ないろいろなこともありましようし、その計算はなかなかむずかしいと思うのでありますが、先ほど申しました極めて概括的な説明を申上げておりますが、それでは現在の二十六年度の平均報告面、現在車、その廃車補充を考え、それから先ほど申しました運用効率、積載トン数を考え、一日の輸送力を考えてそれから年間の輸送トン数を出しまして、出たわけであります。それで四、五、六、七の実績だけを基礎にして、それをそのまま延ばして出したというそういう想定をいたしておらないのです。
  63. 岡田信次

    ○岡田信次君 延ばしてやつた場合どのくらいになるでしようか。
  64. 三木正

    説明員(三木正君) 一億五千万トンちよつとくらいになるそうでありますが、恐らく併しそういう想定の仕方は危険なんじやないかと私思います。而もそういう方法はとらなかつたと考えております。それから有効長の延伸のお話でありますが、これはちよつと長大の列車を運行するとかどうとかいうための計画でなくて、現在いろいろ延伸をしたいところの工事や何かをこの際どうしてもやらなければならん、こういう工事の集積だろうと思います。
  65. 岡田信次

    ○岡田信次君 待避線のほうは貨物列車キロを殖やすという関係で一応あると思うのです。有効長のほうは特に長大列車を動かさない限り必要がないように思うのですが……。
  66. 三木正

    説明員(三木正君) 東海道線なり、山陽線の千二百五十トン牽引に必要な、全部ではありませんが、待避駅の複本線の有効長の延伸であります。列車回数を想定いたしまして、予定の待避駅を作りまして、そこの五百メートルでしたか、六百メートルでしたか、それに、それよりも現在短かいものがあつて、その制限のために列車回数が殖えて来て、これまで待避しなかつた駅にも待避させなければならないその複本線の待避線と申しますか、複本線の有効長の延伸でございます。
  67. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは本日の最後の案件でありますが、国鉄予算の現状と補正予算、これは運賃の問題もからみますので、両方一緒にして先ず報告を願いましよう。
  68. 三木正

    説明員(三木正君) それではあの国鉄予算の現状と補正予算という文章でお出しになりました縦書のこういう資料がございますが、これを読みながら説明さして頂きます。  一、二十六年度当初予算、先に成立し現在実施中の国鉄予算は損益勘定千三百九十一億四千七百万円、工事勘定三百十二億七千四百万円であるが、これは昨年八月頃の情勢を基準として編成せられたものであつて、当時朝鮮動乱勃発直後であつたために、その影響は殆んど考慮されていない。従つて収入において動乱の影響による収入の増加、特に貨物輸送の甚だしい増加を見込んでいないと共に、経費の面に於ても物件費の著しい値上りを考えに入れておらず、其の骨格において若干の収入増加と仲裁裁定実施に伴う人件費の一部増加を除いては二十五年度の予算に比して大差ないものであり、貨物の輸送量も一億三千四百万トン程度を想定するにとどまつた。二十六年度の当初予算にも、ここに書いてあります通りベース・アップを考慮に入れた二十五年度予算と殆んど同じであります。人員が幾分減つておりますことと、人件費において定員が一万数千減つておりますことと、ベースが八千四百円ベースになりましたことと、それから十月国会提出直前に貨物輸送の勢いがなかなか強いので、少し、四百四十億くらいの増加を見て編成され、そのほかは殆んど、石炭の節約等にいたしましても二十五年に非常な猛烈な節約をやりましたその実績を入れてありますし、炭価も九月に契約しました下半期の炭の値段そのままである。こういうわけで二十五年度と殆んど同じような考えで作られておつたのでございます。然るに動乱勃発以後月を重ねるに従い、資材の値上り、輸送量増加は著しく、すでに年度初めにおいて予算は実状に副わざる点が認められるの止むなき状態に立ち至つた。即ち貨物の輸送量は当初の予想を遙かに上廻り、現在においては年間一億五千五百万トン程度が予想せられる実状であり、貨物の滞貨は常時百七十万トンから二百万トンを上廻る状態を示し……現在では百五十五万トン程度に落ちております。貨物輸送力の増強は衆参両院の決議にも現われて、これが打開を強く要望せらるる状況なつた。又資材の面においても、六月においてすでに予算編成当時の価格に比し、鋼材一二〇%銑鉄一九%、枕木一五〇%、セメント七〇%、銅一〇〇%、木材一二〇%、石炭(上半期分)一六%、石炭(下半期分予想)三九%の値上りを示すに至つている。これは値上り率でございます。だから一二〇%は二倍二分ということ……この物価騰貴の傾向は最近一部頭打の様子とも見受けられるが、経営費物件の大宗である石炭においては下半期分においては更に上半期を遙かに上廻る価格を予想するの止むなき状態である。又従事員の給与ベースについても、これが改訂を考えねばならぬ。先に労働組合よりの要求に対し調停委員会は一万八百二十四円月額の調停案を提示しており、国鉄当局よりこれが実施に努力する旨を回答しているのである。  二、二十六年度補正予算、以上の諸条件を考慮するとき、国鉄経営の合理化を今後とも推進せしめることは勿論とするも、資材の高騰による経費の膨張、従業員給与ベースの改訂及び増大する貨物の輸送量に対し、この際予算的措置を講ずると共に事業費を償うに足る最小限度の国鉄運賃の引上げをも考慮しなければならぬ段階に立至つた。イ、運賃、先に述べた資材の騰貴による損益勘定経費の増大は、最近における購入価格を基礎として計算して三百五十四億八千三百万円、給与ベースの増加は年間調停案通り実施するとなれば一人月額二千四百円の増加となつて総額百六十三億一千百万円、輸送量の増加により現在極度に逼迫した輸送関係従事員の増加その他直接経費の増加九十三億九千百万円、石炭カロリー上昇並びに消費節約による節減十八億二千五百万円、経営費計五百九十三億六千百万円に達する次第である。この他利子の増加十三億四百万円、及び物価の値上りによる特別補充取替費の増加額七十四億六千四百万円を加算すれば総支出の増加は六百八十一億二千八百万円と計算される。勿論一方においても貨物輸送量が増大し、旅客収入も若干の増加が予想されるので、これらによる収入の増加百四十七億八千六百万円を考慮に入れねばならぬが、なお平年度における不足額は五百三十三億四千二百万円に達し、自動車を除く運輸収入千四百六十六億七千三百万円に対比すれば、おおむね三六%に相当する。従つて採算上事業費は事業収入を以て賄うの趣旨を貫けば、少くも三割五分程度運賃の値上げを考慮しなければならない。ロ、損益勘定、運賃の計算としては上述のごとく平年度を基準として考えねばならないが、現実の二十六年度補正予算の問題としては四月以前に購入した価格の低い貯蔵品があるので、それだけ経費は少くて済み、四百万円となる。併しこの場合においては、一方運賃の値上げは十一月からと予想されるので、三割五分の値上げをするとしても、なお二百三億三千四百万円の不足となり、これに対して一般会計よりの繰入れ等、何らかの措置を要求しなければならない。ハ、工事勘定、工事勘定においても所要資材の値上りは顕著であるが、その他に前述の輸送力増強の措置を必要とする。前述一億五千五百万トン輸送に要する貨車としては二十六年度における廃車数二千五百両として約九千両(十五トン用)の新造を必要とする。又停車場設備等においても所要の施設工事を行わねばならない。工事勘定における所要資材の値上り影響は百六十億九千七百万円に及ぶが、極力計画変更によつてこれを圧縮して経費増加を百八億九千二百万円に切り詰めるとしても、なお上述の輸送力増強に要する経費百一億三千二百万円、工事勘定における給与ベース改訂に要する経費八億五千三百万円、高崎線電化を今年度中に完成し、東海道浜松、米原間の電化促進に要する経費十八億九千三百万円、新線建設に要する経費に一応二十億百万円として約二百五十七億七千百万円の不足を生ずる。これが財源とし、二十五年度における剰余金三十九億一千百万円、及び特別補充取替費の増加を運賃の値上りの財源により約半年分を見込んで三十七億三千七百万円を充てるとしても百八十一億二千四百万円の残額については、一般会計又は資金運用部等よりの外部資金に待たなければならない。  以上に要約した数字でございますが、工事予算の、補正予算の骨子はこういうことになるのではないかと思うのであります。
  69. 前田穰

    ○前田穰君 ちよつとお伺いしたいのですが、この説明の一番最後の頁に約二百五十七億というのはこれはどれとどれを寄せてこうなるのですか。
  70. 三木正

    説明員(三木正君) 物価値上りの百六十億から五十二億の工事の繰延べを行いますと、前の頁のしまいから二行目に書いてあります通り、百八億九千二百万円になるわけでございます。物価値上りが百六十二億くらいあるのでございますが、いろいろな工事を繰延べにいたしまして、五十数億円繰延べをいたしまして、どうしてもやらなければならない工事の物価値上りが百八億九千二百万円であります。その次に輸送力増強に要する経費百一億三千二百万円、これは前に説明しました貨車で九千両作る、或いは非常に行詰つた停車場設備を作る、有効長延伸をする、或いはその他の工事をやるのに要する経費がこれだけある。更にこれに加えて工事勘定で支弁いたしております従事員給与ベース改訂に要する経費が八億五千三百万円、それに加えること高崎線の電化を今年中に完成する経費が八億九千万円、約九億円、来年に一部竣工を延ばす予定でございましたけれども、非常に輸送が逼迫して参りまして蒸気機関車を新造しなければいけないという状態になりましたので、今蒸気機関車を作るということは非常にまずいので、高崎線を早く電化して、蒸気機関車を新造して、高崎線に使つていた蒸気機関車を蒸気運転区間に廻そうと、こういうことで工事の繰上げをやる経費九億、更に東海道浜松、米原間当初予算においては五億円を見込んでおつたのですが、それでは遅いから、十億追加して十五億に見て、五億工事値上りを含んだ分に更に十億を追加して完成を早めたい。そういう電化に要する経費が十八億九千三百万円、それから新線建設に要する経費これはまだ建設審議会でも現実にそういうものの御審議がまだのようでございますが、一応二十億計上した、それの金額でございます。
  71. 前田穰

    ○前田穰君 わかりました。更にお伺いしたいのでずが、物価の騰貴率のところには石炭を三割九分と書いてあるのがすが、この表のほうでは三割六分五厘と計算して書いてあるようにも見えるのですが、それから最近の新聞には四千三、四百円くらいで買うのじやないかということが出ておつたようですが、そうするともう少し値上率がもつと減ると思うのですが、どういうことですか。
  72. 三木正

    説明員(三木正君) 一部自分の山で掘つておる炭は、志免という鉱業所を持つておりまして、これは直接自分の経費で掘つておりますので、それを平均しますと、約四十万トンの炭を掘つておりますが、それを平均すると予算数字としての売買単価が出るのだとこういうことでございます。現在買つております値段は山元で買つておる分が多いのでございますが、それで現在三千八百円程度だと思います。平均いたしまして、それに船運賃港湾荷役料というものを加えたものが石炭費として、つまり勘定として計算されるわけでございますが、下半期の三九%の見積りをいたしましたのは、船運賃及び石炭の値を合せまして約八百円ぐらい上げればこうなると、こういう勘定でございます。
  73. 前田穰

    ○前田穰君 そうすると、この表の経費の説明のところに十八億とありますね、これとの関係はどうなりますか。
  74. 三木正

    説明員(三木正君) 二十六年度の予算を編成しました当時は、ここに書きましたように二十五年の八月でございます。それまでの石炭の消費の実績を基礎にして予算はできております。その数字を基礎にして値上りを見てこう見ておりますけれども、現実には昨年ベース・アップをして頂きます際に石炭の節約から主として出したのでありますが、二十数億の節約をいたしましたのは、単位当りの石炭の消費量が減つたからそうなつたわけでございます。その後の減つた分を入れまして二十五年度の実際に使つた消費量を基礎にして弾き直しますと十八億、この値段にして十八億の節減ができる、こういう数字でございます。
  75. 前田穰

    ○前田穰君 もう一点、特別補充取替費について伺いたいのですが、これは費目の性質は減価償却のようなものでございますが、計算方法は減価償却とは逆に補充工事を予定してそれの費用を集計して計算するのですか。
  76. 三木正

    説明員(三木正君) 後のほうじやございませんので、減価償却費そのものでございます。計算の仕方は昭和二十二年度に財産の実態調査をいたしまして、帳簿記載のものを元とはいたしましたけれども、記載漏れの分も勿論上せましたし、更に現実の施設を技術的に精密に調査いたしまして、経年の年数そのものでなしに非常に保守の状態がよくて、実際の帳簿経年年数よりもよいものはよしとし、悪いものは悪しとして一応の当時の時価を出したわけでありますが、それをその後の物価指数、再評価法に用いておりますまうなああいう物価指数を取りまして再評価いたしました分の昨年の末におきまする価格に対する国有財産法に基く耐用年数を基礎としました定額法による減価償却額、再評価いたしております減価償却額でございます。それから簿価によるものを減価償却費として除いたものを特別補充取替費と、こういう名前にいたしております。それを更にこれだけ増額したと言いますのは、その後の、昨年の三月末から今年の三月末までの物価の値上りを更に加えたものが七十四億になる、こういう数字でございます。でありますからこれが現在の法律で認められておりまする減価償却の額よりも評価額が高いということになるので、これは非常に議論の余地があると思うのでございますけれども、一方から言いますと非常に我々の資産は状態が悪いのでございまして、而もそれは廃棄するようなものでなくて、皆維持して運転して行かなければならない財産ばかりでございますが、それを取替えて行く。これは取替えで、新品価格じやございません。補正価格でございますから、現在の衰耗状態を維持するのにこれだけ要るとこういう数字でございます。更にもう少し更新して行かなければならないわけでございますが、併し更新する費用までこの経費で持つことはこれは許されんことだと思うのでございますので、借入金によらなければならないが、借入金の枠というものは非常に少い。併し実際は工事勘定とか借入金、この二つによつてつておるので、これが余りに減ることは運転の安全性を確保するゆえんでないので、これだけは経費として見て盛つておいてもらいたいと、こういう数字でございます。
  77. 前田穰

    ○前田穰君  そうしますと、これは年年の物価指数によつて増減して行くわけなんですか。
  78. 三木正

    説明員(三木正君) 再評価を又更にもう一遍やつたと同じような、再々評価法が出たと同じような効果を持つておる数字と御承知願いたい。
  79. 前田穰

    ○前田穰君 私の質問の趣旨は、物価指数は増のときもあるが、同時に減のときもあるわけです。そういう意味でございます。
  80. 三木正

    説明員(三木正君) 再々評価法をしたと同じような計算をしたとこう……。
  81. 前田穰

    ○前田穰君 特に本年だけ再々評価をやつたと、こういう意味ですか。
  82. 三木正

    説明員(三木正君) 現在の物価を基礎にして、法律は昨年の三月でありましたか、そういうものができておりますものを、それは今年の予算に上つておる額でございますが、更に工事勘定の財源の点を考慮いたしまして財産の実態には当然それだけのものは、法律はそうなつておりませんけれども、当然再評価して行くべきものだという考えの下にそれだけを加えたという意味でございます。
  83. 前田穰

    ○前田穰君 それで私のお伺いしたのは、来年の若し物価が上れば又これを再々評価する、物価が下れば再々評価して減らすのだと、こういう特別の御方針ではないが、本年はとにかく評価し直したと、こう解釈していいのですか。
  84. 三木正

    説明員(三木正君) その通りでございます。現実には全然再評価いたしておりませんが、ただ再評価すればこれだけになるという額を出しまして、更に昨年から今年一年の値上りを一応見ればこれだけ増額しなければならんと、こういう数字でございます。
  85. 前田穰

    ○前田穰君 その点わかりました。
  86. 岡田信次

    ○岡田信次君 この損益勘定と工事勘定を合せますと約四百億近い不足がある。それで今運輸省を通じ大蔵省といろいろ話をされておりますが、その進捗状況、特に衆参両院の運輸委員会に助言を求められる意思ありやなしや。
  87. 三木正

    説明員(三木正君) 大蔵省の省議はまだのようでございます。御承知の通り、やはり予算につきましては私どもから出します文書を通じて大蔵省に出しまして、大蔵省から内示と申しまして査定された額が示されるわけであります。それに対して増額と言いますか、そういう折衝、交渉を続けるわけであります。現在の段階におきましては運輸省説明をした範囲に止まりまして、大蔵省の省議による内示というものはございません。ただ担当者からの大体こういうふうになるであろうという意向は幾分聞いておりますけれども、正式にそういう内示がございませんので、私どもも正式にそういうことはやつておらんのでございますが、担当者の意見としては、まあ損益勘定における二百億の赤字というようなものは、これは到底補填することはできない。だから昨年度の余剰金三十九億円、更に減価償却費に若し運賃値上げが認められて、減価償却費に特別補充取替費に充てるべき費用は全部これを経営費に廻わしたらいいだろう。工事勘定としては、自己資金による繰入れの増はなしにして、全部借入金でやる。借入金の額はまあ到底多くを望まれない。約五十億だ、こういうような話を聞いておりますが、正式の何は一向聞いておりません。
  88. 高木正夫

    ○高木正夫君 これは参考までに伺つておきたいのですが、公債ですね、あれの発行の政令はもう出たのですか。或いは又その必要なときにやるつもりでいるのですか。
  89. 足羽則之

    説明員(足羽則之君) 公債発行についての政令は、今までたびたび何かの機会でお話したと思いますが、行き悩んで、今まで出さなかつたのでありますが、実はまだ出ておりません。ただ我々としても、早く手続を完了して、出すような態勢にいたしたいと思いまして、大体成案を得まして、近く関係方面に折衝をいたしたいと、こう考えております。
  90. 岡田信次

    ○岡田信次君 この資材の物価値上りのあれを見ますと鋼材が一二〇%、枕木が一五〇%、セメントが七〇%になつているのですがね。今後枕木がますますこれは上る。枕木、恐らく木の枕木だと思いますが、木の枕木はますます上る傾向にある。一方セメントのほうは原料が相当無尽蔵であるから、そう上らない傾向にある。こう考えられるのですが、そうすると国鉄の枕木をコンクリート枕木に転換するほうが得策じやないかと思うのですが、そういうふうにお答えになつておるかどうか。
  91. 三木正

    説明員(三木正君) 枕木の耐用命数は非常に短いのでありまして、又それに使います経費は、非常に多いので、枕木の合理的な使用ということは、我我としては、最も力を入れなければならん点だと思つております。コンクリート枕木につきましては、御承知の通り、長年研究を続けておるのでございますけれども、まだ十分なところまでは行つておりません。更に研究を続けて行かなければならんと思います。現在一番力を注いでおりますことは、防腐でございまして、殊にぶな材の防腐、針葉樹がだんだんと資源が少くなつて参りましたので、闊葉樹を使わなければならん。闊葉樹の防腐ということにもつと真剣にならなければならんだろうと考えております。現在昨年からとつております方法は、切倒すと同時に、予備防腐と申しますか、一応薬を上に塗りまして、水の浸入を避けて、クレオソートの注入工場、防腐工場まで運ぶまでの痛み、あれを防ぐというのをやつております。これが費用相当かかるのでございますが、結果は非常に良好でありまして、又注入の圧力というようなものも十分考えれば、これで防腐枕木が約七年とか、短いのはもつと短いような、平均七年か八年を出でなかつたような寿命を、二十年は持ち得るのじやないかというような考えをいたし、その方面に力を入れております。この枕木につきましても、御承知のように、真中に鉄棒を入れて、両端だけコンクリートというのが非常に結果がいいようでございますが、そういうものも今後研究を続けて行きたい、こういうふうに考えております。
  92. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではお諮りいたしますが、この委員会はかねて休会前に御決議になりました通り一般運輸事情調査を進めて、本日その報告と質疑を行なつたのではありますけれども、本件は広汎多岐な諸問題に亘つておりまして、未だ調査を完了するに至つておりませんが、参議院規則の第五十五条によりまして、閉会中の調査未了報告書を提出いたすことになつておりますから、これを提出いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。未了報告書の内容については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それではさよう決定いたします。委員長の提出いたしまする報告書には、あらかじめ多数意見者の署名を附することになつておりますので、御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岡田 信次  小泉 秀吉     高田  寛  仁田 竹一     内村 清次  小酒井義男     高木 正夫  前田  穰     村上 義一 前之園喜一郎     鈴木 清一
  95. 植竹春彦

    委員長植竹春彦君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     植竹 春彦君    理事            岡田 信次君            小泉 秀吉君            高田  寛君    委員            仁田 竹一君            内村 清次君            小酒井義男君            高木 正夫君            前田  穰君            村上 義一君           前之園喜一郎君            鈴木 清一君   説明員    運輸事務次官  秋山  龍君    運輸省鉄道監督    局長      足羽 則之君    運輸省港湾局港    政課長     四方田耕三君    日本国有鉄道経    理局長     三木  正君