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1951-05-25 第10回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)     午後四時十一分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 島田 末信君 理事 福永 健司君    理事 青野 武一君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    佐々木秀世君       佐藤 親弘君    塚原 俊郎君       船越  弘君    松野 頼三君       三浦寅之助君    前田 種男君       今野 武雄君    中原 健次君  出席政府委員         労働政務次官  山村新治郎君         労働事務官         (職業安定局         長)      齋藤 邦吉君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      亀井  光君  委員外出席者         労働事務官         (大臣官房総務         課長)     富樫 總一君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    松崎  芳君         労働事務官         (職業安定局雇         用安定課長)  富山 次郎君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 三月十三日  委員小川原政信君、尾関義一君、玉置信一君及  び中川俊思君辞任につき、その補欠として松野  頼三君、佐藤親弘君、船越弘君及び篠田弘作君  が議長指名委員選任された。 同月十四日  委員川崎秀二辞任につき、その補欠として河  野金昇君が議長指名委員選任された。 同月十五日  委員佐藤親弘君及び河野金昇辞任につき、そ  の補欠として尾関義一君及び川崎秀二君が議長  の指名委員選任された。 同月二十四日  委員尾関義一君及び中原健次辞任につき、そ  の補欠として島村一郎君及び石野久男君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員島村一郎辞任につき、その補欠として尾  関義一君が議長指名委員選任された。 三月二十六日  委員佐々木秀世君、塚原俊郎君及び柳澤義男君  辞任につき、その補欠として坂本實君、益谷秀  次君及び佐藤榮作君が議長指名委員選任  された。 同月二十七日  委員坂本實君、佐藤榮作君、益谷秀次君及び林  百郎君辞任につき、その補欠として佐々木秀世  君、柳澤義男君、塚原俊郎君及び柄澤登志子君  が議長指名委員選任された。 同月二十八日  委員石野久男辞任につき、その補欠として中  原健次君が議長指名委員選任された。 同月二十九日  委員島田末信辞任につき、その補欠として長  尾達生君が議長指名委員選任された。 同日  委員長尾達生辞任につき、その補欠として島  田末信君が議長指名委員選任された。 三月三十日  委員今野武雄辞任につき、その補欠として苅  田アサノ君が議長指名委員選任された。 同月三十一日  委員天野公義君及び尾関義一辞任につき、そ  の補欠として宮幡靖君及び尾崎末吉君が議長の  指名委員選任された。 同日  委員宮幡靖君及び尾崎末吉辞任につき、その  補欠として天野公義君及び尾関義一君が議長の  指名委員選任された。 五月七日  委員井上良二辞任につき、その補欠として赤  松勇君が議長指名委員選任された。 同月十八日  委員尾関義一君及び中原健次辞任につき、そ  の補欠として柏原義則君及び岡田春夫君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員柏原義則辞任につき、その補欠として尾  関義一君が議長指名委員選任された。 五月二十一日  委員苅田アサノ君及び岡田春夫辞任につき、  その補欠として今野武雄君及び中原健次君が議  長の指名委員選任された。 同月二十二日  委員尾関義一君及び船越弘辞任につき、その  補欠として黒澤富次郎君及び、犬養健君が議長  の指名委員選任された。 同月二十三日  委員犬養健君、黒澤富次郎君及び今野武雄君辞  任につき、その補欠として船越弘君、尾関義一  君及び苅田アサノ君が議長指名委員選任  された。 同月二十四日  委員佐々木秀世辞任につき、その補欠として  亘四郎君が議長指名委員選任された。 同月二十五日  委員尾関義一君、亘四郎君、柄澤登志子君及び  苅田アサノ辞任につき、その補欠として佐藤  親弘君、佐々木秀世君、江崎一治君及び今野武  雄君が議長指名委員選任された。 同日  島田末信君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月十六日  大阪市に労災病院建設請願前田種男君紹  介)(第一三一一号) 同月二十二日  緊急失業対策事業日雇労務者生活改善に関  する請願青野武一紹介)(第一五二〇号) 四月二日  緊急失業対策事業日雇労務者生活改善等に  関する請願江崎一治君外一名紹介)(第一七  四四号) 五月十八日  派遣看護婦職業紹介に関する請願倉石忠雄  君紹介)(第一九九六号)  同(前田種男紹介)(第二一二五号)  特需契約下における労働条件改善に関する請  願(土井直作紹介)(第二〇六七号) 同月二十二日  失業対策事業資材費国庫補助並びに労務者基準  賃金増額に関する請願平野三郎紹介)(  第二二〇九号)  労働基準法の一部改正に関する請願田中伊三  次君紹介)(第二二五八号)  派遣看護婦職業紹介に関する請願倉石忠雄  君外一名紹介)(第二二五九号) 同月二十三日  国等相手方とする契約における労働条項に関  する法律制定請願前田種男紹介)(第二  三三一号)  中小商店労働法制定に関する請願川崎秀二君  紹介)(第二三九四号)  派遣看護婦職業紹介に関する請願塚原俊郎  君紹介)(第二四〇二号) の審査を本委員会に付託された。 三月十五日  国際労働知識普及に関する陳情書  (第三九六号)  失業対策事業事務費増額等に関する陳情書  (第四〇五号) 同月二十二日  自由労務者賃金値上げに関する陳情書  (第四  六四号) 四月六日  家族労働従事者労働基準法適用陳情書  (第五七一号)  失業対策事業費賃金單価引上げ陳情書  (第六〇〇  号) 五月四日  日雇労務者賃金値上げ等に関する陳情書  (第六四一号)  失業対策事業割当是正等に関する陳情書  (第六七七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件   請願  一 派遣看護婦職業紹介に関する請願前田    種男紹介)(第四四号)  二 緊急失業対策事業日雇労務者生活改善    に関する請願江崎一治君外二名紹介)(    第二八九号)  三 同外十一件(江崎一治君外一名紹介)(第    二九〇号)  四 失業保險金受給中の日雇労務者救済対策確    立の請願田島ひで君外一名紹介)(第三    〇一号)  五 失業対策事業日雇労務者賃金引上げに    関する請願岡西明貞紹介)(第三六九    号)  六 地方公営企業労働関係法案の一部改正に関    する請願木村榮君外一名紹介)(第七五    一号)  七 失業対策事業予算單価引上げに関する請    願(丸山直友紹介)(第九五七号)  八 連合国関係労務者失業保険法適用に関す    る請願前田種男紹介)(第九六七号)  九 大阪市に労災病院建設請願前田種男君    紹介)(第一三一一号) 一〇 緊急失業対策事業日雇労務者生活改善    に関する請願青野武一紹介)(第一五    二〇号) 一一 緊急失業対策事業日雇労務者生活改善    等に関する請願江崎一治君外一名紹介)    (第一七四四号) 一二 派遣看護婦職業紹介に関する請願倉石    忠雄紹介)(第一九九六号) 一三 同(前田種男紹介)(第二一二五号) 一四 特需契約下における労働条件改善に関す    る請願土井直作紹介)(第二〇六七    号) 一五 失業対策事業資材費国庫補助並びに労務者    基準賃金増額に関する請願平野三郎君    紹介)(第二二〇九号) 一六 労働基準法の一部改正に関する請願(田中    伊三次君紹介)(第二二五八号) 一七 派遣看護婦職業紹介に関する請願倉石    忠雄君外一名紹介)(第二二五九号) 一八 国等相手方とする契約における労働条項    に関する法律制定請願前田種男君紹    介)(第二三三一号) 一九 中小商店労働法制定に関する請願川崎秀    二君紹介)(第二三九四号) 二〇 派遣看護婦職業紹介に関する請願塚原    俊郎紹介)(第二四〇二号)   陳情書  一 失業対策事業費国庫補助に関する陳情書    (第一    号)  二 失業救済事業施行に関する陳情書    (第七九号)  三 日雇労務者に対する冬期間燃料費全額国庫    負担に関する陳情書    (第一三二号)  四 地方労働基準審議会経費増額に関する陳    情書    (第一七〇号)  五 国際労働知識普及に関する陳情書    (第三    九六号)  六 失業対策事業事務費増額等に関する陳情    書    (第四〇五号)  七 自由労務者賃金値上げに関する陳情書    (第四六四号)  八 家族労働従事者労働基準法適用陳情書    (第五七一号)  九 失業対策事業費賃金單価引上げ陳情書    (第    六〇〇号) 一〇 日雇労務者賃金値上げ等にする陳情書    (第六四一号) 一一 失業対策事業割当是正等に関する陳情書    (第六七七    号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  お諮りいたします。理事島田末信君が去る三月二十九日委員辞任せられ、再び委員選任せられましたので理事補欠選挙を行わなければなりませんが、委員長より指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ島田末信君を理事指名いたします。  次にお諮りいたしたいことがあります。国会法第四十七条には「委員会は、各議院議決で特に付託された事件については、閉会中もなお、これを審査することができる。」という規定があります。本委員会は今会期初め国政調査承認を得ましたが、なお閉会中といえども引續き調査を進める必要があると思います。つきましては閉会審査申出をすることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは閉会審査すべき事項は、失業対策労資関係及び労働基準に関する件、閉会審査目的は、失業対策労資関係及び労働基準に関する調査とすることに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければさよう決定いたします。後刻委員長より文書をもつて議長にその旨を申し入れるごとにいたします。  次にただいまの閉会審査申出に関連しまして、失業対策労資関係及び労働基準に関する件について、議院議決で特に付託されました場合において、調査のために委員派遣いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければ委員派遣承認申請決定をいたしたいと存じます。派遣目的失業対策労資関係並びに労働基準調査とし、なお派遣委員の選定、派遣期間及び派遣地決定委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければさように決定いたします。     —————————————
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより本委員会に付託されました請願審査に入ります。本日の日程中第一、第一二、第一三、第一七、及び第二〇の各請願は、いずれもその内容派遣看護婦職業紹介に関する請願でありますから、これを一括して議題に供することといたします。紹介議員説明を求めます。福永健司君。
  9. 福永健司

    福永(健)委員 派遣看護婦職業紹介に関する請願趣旨をまず申し上げます。  派遣看護婦職業紹介につきましては、昭和二十三年三月一日職業安定法が全面的に施行せられまして、従来の看護婦会によつて行われておりました看護婦派遣事業は同年二月一ぱいで禁止せられ、その後は公共職業安定所において、従来の看護婦会の寮を委託寮としてみずから行う職業紹介と、職業安定法第三十二条第一項但書に基きまして、施行規則第二十四条によつて有料職業紹介事業として、労働大臣許可を受けて行う職業紹介との二本建をもつて今日に及び、この二本建のために両者の間にことごとに問題が起つておる状態であります。本来看護婦は、他の指定職種に比しまして全国的に若い婦人が多数従事し、日常大衆的に需要があり、国民の実際生活部面関係が深い職種であるにもかかわらず、旧看護婦会禁止後の措置といたしまして、ことに看護婦自体の身上を考慮しての積極的な施策に欠けたと思われるために、派遣看護婦は途方に暮れ、自己の職業を放棄する者も續出し、看護婦としての免許を持ち、働きたいが、納得して働く道が講ぜられていない。すなわち派遣看護婦社会的地位全国的に不安のまま放置せられまして、需要者側すなわち病院一般家庭等におきましても非常に不便を感じておるという現状でありまして、依然としてちぐはぐな状態を續けておるのであります。  そこでまず第一に、職業安定所委託寮看護婦職業安定をはかるため、職業安定所不離一体の態勢をとりつ、求人、求職活動委託寮においてできるようにし、寮長によつて右の取扱いができ得るようにとりはからわれたい。  次に第二として、現行の有料営利看護婦職業紹介業は、封建的といわれている戰前の看護婦会よりも経済的搾取が増大されておるが、地方によりましては、最近職業安定所委託寮をして有料営利への切りかえを奨励しておる県もあるわけであります。これは職業安定法趣旨に逆行するものであると思われますので、あくまで無料紹介の線を増大し、でき得るならば職業安定法施行規則第二十四条の有料営利紹介業制度の中より看護婦職種を削除するか、あるいは制限するような方法を講じていただきたい。  以上が本請願趣旨の大要でありますが、当局の御意見伺つた上で若干の質問をいたしたいと存じます。
  10. 倉石忠雄

  11. 前田種男

    前田(種)委員 ただいまの福永委員説明で盡きておりますが、私も紹介議員の一人として簡單に補足して申し上げておきたいと思います。  重ねて請願書を出しておりますが、最後に出しました本間千代請願書要旨の九百四十二ページの中で、「第三十二条」とありますのは、施行規則第二十四条の誤まりでございますから、この際訂正しておきたいと思います。  実はこの請願に対しましては、委員長初め同僚委員等もいろいろ関係者意見を聞きまして、この内容に対して十分聽取すべき機会も得ましたので、最初に出されましたいろいろな請願書内容は、根本的には安定法改正を要求しておる面もございましたので、そうした重要な問題はなかなか容易ではないという点等意見を述べまして、内容要旨を修正いたしまして、再度請願の形で提案いたしました。このねらいは、今日法に許されております有料制度そのものをなくすとか、あるいは改善するというような根本に触れることを避けまして、有料有料として、法の許す範囲内において運営する、しかもその内容に対していろいろな批判を受けなくちやならない点は、監督官庁として労働省がしかるべく監督をやるべきであると私は考えます。そうかといつて今日の無料制度も、今のような委託寮を対象しての委託という点はいささか姑息すぎるきらいもございますので、過去足かけ四年間実際やつて参りました実績から徴しまして、何とかして新しい観点に立つて、その点に明るい見通しをつけて指導する、あるいはよりどころをこしらえてやるという観点から、施行規則の上において幾らか当局の善処を願いますならば、看護婦あるいは家政婦それぞれの者がみずから会をこしらえて、その会を対象にして安定所が委嘱する。そうしてもし不都合なところあるいは労働省方針に違反する行為がある場合は注意をし、あるいは委嘱を取消してしまうというような監督的な立場を持ちつつ、おのおの会員がみずからそういうよりどころを持ちまして、明るく、有料にたよらずに、今日の無料制度中心にいたしまして会員自身が相互的にみずからの職業を選び、開拓するという道を講じてやる必要があるのではないか。特に二十四時間作業をしなくてはなりません家政婦等の場合を考えてみますと、一々本人が安定所を通じて仕事を委嘱してもらうということだけでは十分ではございませんし、また患者側立場から申し上げましても、一々安定所を通じて家政婦を依頼するということでは、ほんとうにその目的を達することにもなりませんので、そういう点等はむしろもつとすつきりした、民主化されたみずからの団体を認めてやつて、その団体を委嘱して、全体の国民立場から申し上げましても、安心してそうした会を通じてそれぞれのことを依頼する、あるいは仕事の道を開いて行くということにすべき時期が来ていると思いますので、そういう点をつけ加えまして補足説明にかえまして当局のそういう点に対する御意見あるいは今後の方針等をはつきりと明示していただきますならば幸いだと思います。
  12. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります、
  13. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいまの請願につきまして、お答え申し上げます。職業安定法施行によりまして旧看護婦会は自然消滅しましたが、これ以来公共職業安定所の懸命なる努力によりまして、派出看護婦職業紹介はその実績をあげて参りまして、特に広島、熊本、福岡、新潟、青森、山形、岩手等の諸県では、その成果が相当上つているのでございますが、東京都のような多数の派出看護婦紹介を取扱つているところでは、必ずしも適切に行われていないのが実情でございます。これの理由といたしましては、現在の安定所の施設、人員等をもつてしては必ずしも十分でないということも、その一つ考えられるのでございますが、今後とも一層安定所機能を拡充刷新して、紹介を行つて行きたいと考えております。従いまして問題の一つである無給嘱託制度の実施につきましては、以上の精神に沿いまして、安定所機能をあげて看護婦紹介を行つて参りたいところなのでございますから、いろいろ人事上の困難な問題はございますが、看護婦紹介に特別な技術経験を有するものを漸次採用して、働く看護婦のために一層の努力を傾注いたしたい考えでございます。  次に職業安定法第三十二条但書看護婦紹介事業制度を廃止してもらいたいとの趣旨の問題でございますが、職業安定法第三十二条及び第三十三条の法律趣旨は、国以外のものにこれを認める根拠は、現在の安定所能力の点から見て、特殊な紹介技術を有する非常にむずかしい職種、すなわち美術家、音楽家、科学技術者等につきましては、民間が真に民主的に職業紹介事業を運営する能力があれば、これを法は許可して事業をやらすことが社会実情に即するものと考えているのでございまして、働こうとする人が安定所を利用するか、民間許可業者を利用するか、また自分自身で職を探すかはそれぞれ個人の自由でございまして、必ずしも民間の力がかかる業者をただちに廃止する必要はないと考えるのでございます。従いましてその民間事業方式無料実費営利と三段階になつておりますが、かりに営利としましては手数料を徴收していますが、これは業者にとつても営業を十分にやらせることができるように、また求職者にとつても適正妥当な負担を認めているのでございます。従いまして、その許可業者はすべて封建的なものばかりではないのでございます。今後安定所機能を拡充刷新いたしまして監督を巖重に行い、真に民主的に事業が運営できるようにはかり、なおまたこれらの許可制度実費紹介または無料紹介の線に業者を指導して行きたい考えでございます。また働く方々が真に民主的な労働組合を結成して事業を行うことが望ましいので、法第四十四条に無料労働者供給事業許可制度の方途も講じているのでございます。以上当局の見解を申し上げます。
  14. 福永健司

    福永(健)委員 この際明らかにしておきたい若干の点につきまして、御質問をいたします。現在看護婦職業紹介機構並びに委託寮許可団体許可業者等の数につきましてまずお尋ねいたします。
  15. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。現在の看護婦職業紹介機構といたしましては、根本的に国が行います公共職業安定所職業紹介、それを中心といたしまして民間の各般の事業が行われております。すなわち有料無料等がございまして、いずれも労働大臣許可事業でございますが、有料職業紹介事業といたしましては、全国で今日まで百三十三件許可せられております。無料職業紹介事業といたしましては三件許可いたされております。この許可されております職業紹介事業のほかに、労働組合労働者供給事業を行うということも認められておりまして、これは全国に一件行われておる次第でございます。なお一例を東京に引いて申しますと、有料職業紹介として許可されております件数は三十六件、安定所中心として行う業務にお手伝いを願つております委託寮といたしましては、東京では七十六件あるわけでございます。     〔委員長退席島田委員長代理着席
  16. 福永健司

    福永(健)委員 看護婦職業紹介の諸方式の中で、労働省といたしましてどの方式に特に力を入れておられるか、指導方針についてちよつとお伺いしたいと思います。
  17. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 この点については、先ほど政務次官からお話のありましたように、私どもといたしましては、公共職業安定所がいやしくも国の機関として設置いたされておりますので、公共職業安定所中心として、すなわち公共に奉仕する精神に基いて無料看護婦職業紹介をする、これが根本指導方針だと考えております。しかしながら先ほど来お話のありましたように、現在公共職業安定所に勤務しております職員の素質から申しまして、また安定所に勤務しております職員の数から申しまして、はたして看護婦職業紹介安定所だけでやつて行けるかどうか、この点は私もまことに申訳ない話でありますが、安定所だけで何から何までやれるとは考えておりません。その意味におきまして、あくまでもこれは看護婦さんの方々協力を得る、これが何と申しましても一番の根本のことではないだろうか、こういうふうに考えております。すなわち公共職業安定所看護婦方々協力を得まして、その間緊密なる連絡をはかりながら、看護婦紹介を円滑にして行く、これが私ども根本方針でございます。すなわち現在安定所紹介をいたしますときには、東京その他にありますように、委託寮という制度を設けておりますけれども、單に委託寮を設けておるというだけであつてはならない。やはり看護婦の寮なりあるいは委託寮に住んでおられる看護婦方々との連絡をはかりながらやつて行く、そうしてあくまでも無料職業紹介をやつて行く。これが何と言うても、私どもといたしましては一番大事なことではないだろうかと思います。これを中心として、また一面法の許されておる範囲において、有料なりあるいは実費なり、そういう方々がおやりになる分についても——これは法が許可しておりますので、それを私どもは阻害しようという考えは持つておりません。ただその場合に、有料営利につきまして種々弊害が起らないように、そういう有料営利事業を行う民間事業が適正に行われるように、監督をしながら、安定所中心として無料の線で職業紹介を持つて行く。これがやはり私どもとしては一番妥当な考え方ではないだろうか。そんな意味で今日まで指導をいたしておるつもりでございます。なおまた、こういう看護婦職業紹介のような仕事は非常にむずかしい、技術的にもめんどうな仕事でありますので、まだ全国には労働組合組織もあまりできておりませんけれども、将来看護婦方々も、労働組合によつて労働者供給事業としてこれをやつて行くこともけつこうなことだと思います。しかしそれは将来の問題といたしまして、現在のところでは、安定所中心として、看護婦方々との緊密なる連繋のもとに、円滑に無料紹介方式を進めて行く、これが一番妥当な方式ではないだろうか、こんなようなことで目下指導をいたしておるような次第であります。
  18. 福永健司

    福永(健)委員 有料許可業者並びに委託寮につきまして、看護婦の寮費であるとかその他の負担等につきまして、労働省で調べてあることがありましたら承りたいと思います。
  19. 富山次郎

    ○富山説明員 私からお答え申し上げます。法律に規定してありますところでは、委託寮の方は、職業紹介に関する経費は、一切無料であります。すべて安定機関か取扱いますために——安定機関は一切無料でありますから、その線に従つて一切手数料的なものはとらないのであります。それとかわりまして、いわゆる営利業者の方から行きますと、求人の受付及び求職の受付につきましては、一件につき五十円を双方からとります。これは最高であります。それから手数料としては賃金総額の一割であります。これが最高でありますが、それまではとつてもよろしい、こういうふうになつております。それから寮費については、安定法としては特段の定めはいたしておりません。何となれば、寮費は生活するために部屋を借りておる、あるいは下宿をしておるというものでありますために、法といたしましてはそれに何らの干渉がましいことはいたさないのであります。しかし東京都のような例を見ますと、これは部屋もそれぞれいろいろ違いますために、たとえば五百円から千円くらいの差があつたわけでありますが、これも安定機関の方でいろいろそういう人たちと話合いまして、大体協定としては七百五十円どまりというふうな料金になつております。そういうふうなことでありますから、看護婦さんとしては、無料の安定機関を通じて委託寮におる方が、確かに生活的には楽であるということが言われております。
  20. 福永健司

    福永(健)委員 現在の有料許可業者中で、旧看護婦会の寮長とそうでない看護婦の資格を持たない者との数の比率等がわかつておりましたら、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  21. 富山次郎

    ○富山説明員 全国的な数字として私はつきりつかんでおりませんが、大体において、従来の看護婦としての資格を持つた者が非常に多いだろうと思います。しかしその業者としての営業を行いますためには、必ずしも看護婦でなければならぬというような資格と制限はございません。中には看護婦の免状のない方がおやりになつておるところもあろうかと思います。
  22. 福永健司

    福永(健)委員 次に伺いますが、看護婦職業紹介に関しまして、たとえば厚生省などと協議をされて、公益法人の設立を助成して、安定法第三十三条に基いて無料職業紹介事務を許可するというような方法について、労働省で考慮されたことがございますかどうか。
  23. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私ども考えといたしましては、やはり無料職業紹介という線が妥当であるということを考えておりますので、従来とも無料職業紹介事業の申請がありますならば、これを許可することにいたしておりまして、今日まですでに三件いたしておつたのであります。ただここで一つ申し上げたいことは、無料職業紹介事業許可するにあたりましては、労働省の従来の方針が多少きゆうくつな面がないでもなかつたと考えております。すなわち財政的な基礎が相当強固でなければならぬという点で、財団法人ということを中心として物を考えておつたのでありますけれども、最近におきます看護婦職業紹介を円滑に進めますためには、必ずしも財団でなくても、社団的な法人でも円滑に遂行できるものならば、これを許可する方がいいではないだろうかというふうな観点から、多少緩和の措置を講じましてこの問題を解決して行く、こういうふうに考えておる次第でございます。厚生省等に対しましては、私どもの方で積極的にそういう公益法人の設立を勧奬してもらうように依頼をしたことはございませんけれども、厚生省とは、この問題につきましては一般的に常時連絡は緊密にいたしておるつもりでございます。
  24. 福永健司

    福永(健)委員 派遣看護婦は、他の指定職種に比べまして全国的に非常に多数の婦人が従事いたしており、また日常大衆的に需要があつて、従つて国民の実際生活面に非常に関係が深いものだと考えます。従つて他の職種と同一視することなく、旧看護婦会禁止以後におきまして——これは厚生省とも関連することでありますが、積極的の施策を講ずる必要があつたと思うのでありますが、この点につきまして労働省の見解を伺いたいと思います。
  25. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 先般の職業安定の制定に際しまして、旧看護婦会が禁止されることになりました。そのときに一番私どもの憂えましたのは、看護婦が不足するのではないだろうか、また現に当時非常に不足をしておりましたので、そういう意味におきまして厚生省と協議して、できるだけ多く看護婦を養成するようにという面において交渉したことはございます。それと同時に、有料職業紹介制度について看護婦の指定をいたしますときにも、その点につきましては十分連絡はいたしておつたつもりであります。この問題は厚生省の看護婦の養成という問題とも関係がありますので、今日まででも、十分でないかもしれませんが、努力はいたしておりました。将来ともこの点については努力をいたして参りたい、かように考えております。
  26. 福永健司

    福永(健)委員 本年三月労働組合の行う労働者供給事業の新許可方針が示されたのでありますが、先ほどちよつと触れられたのを伺いましたが、この通牒のねらいはどういう職種であるか、看護婦について特にどう考えるか、もう少し伺いたいと思います。
  27. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 ただいまお尋ねの、労働組合の行う労働者供給事業許可方針の問題でございますが、これは労働組合の健全なる発達を期待することを根本のねらいとしているのでありまして、そういうふうな労働組合の、特に日雇い労働者の労働組合の強化ということがねらいでありまして、その意味において、全国的な労働組合の組織を持つているような、相当強力な労働組合労働者供給事業許可して、それによつて労働組合の強化をはかろう、こういうことでございます。従いまして、この労働組合の行う労働者供給事業の対象となります職種については、一切制限はいたしてございません。従いまして、港湾関係の労務もあり、土建関係の労務もあり、あるいはまた看護婦、特に派遣看護婦の労務というものも、当然この許可方針によつて律せられるものと私ども考えております。ただしかし全国的な組織を持つた強力な労働組合ということが許可の対象と考えられておりますけれども、それ以外においても、すなわち公共職業安定所が十分その機能を発揮することのできないような職種については、全国的な組織を持つていない組合についても許可をするという方針もまた別途いたされているのでありまして、その方針に基いて、実は今日まで名古屋に一箇所労働組合労働者供給事業許可しております。これなどは割合によい成績を攻めておりまして、私どもとして、全国的な組織を持たない看護婦組合でありましても、公共職業安定所が十分あつせんすることができないような場合においては、労働組合の強化をはかると同時に、紹介の円滑化をはかるために、看護婦についても全国的組織でなくても許可をするのにやぶさかではないのであります。
  28. 福永健司

    福永(健)委員 職業安定所看護婦の組合の協力によつて円滑な運営を期するような方法はないのであるか、この場合に組合代表者の行う求人行為と関係しての御意見を承りたい。
  29. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、無料の線で参るという方針が最も妥当だと考えておりまして、私ども安定所看護婦の方方の協力の線で問題を解決するように努力をいたしているのでありますけれども、この点については、やはり安定所職員が公務員であるといつたふうな問題もありますので、非常にむずかしい問題があるのでありますけれども公共職業安定所職員の中に看護婦の資格を持つておられる方々、あるいはまた委託寮長と申しますか、そういつた方々看護婦職業紹介に非常な関心と理解を持つておられる方々安定所職員として採用する、これがやはり一つの方法かと考えております。それと同時に、あわせて看護婦の組合の方々の協議会のようなものができましたならば、その協議会と安定所が、看護婦の需給調整について常時緊密なる協議をして連絡して行く、この二つの方法によつてこの問題を円滑に進めるようにしたらよいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  30. 福永健司

    福永(健)委員 いろいろ伺いましたが、右のほかに労働省において、看護婦職業紹介について成績を上げ得るような、何か方法を考えておられましたら、お聞かせ願います。
  31. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私どもの方としては、看護婦職業紹介を最も効果的にいたしますためには、大体以上申し上げましたような線に沿いまして、すなわち公共職業安定所中心として看護婦方々、あるいは看護婦紹介に関心のある方々安定所職員になつていただく方法とか、あるいは看護婦方々と常時緊密なる協議をするための協議会を持つて行くということ、そういうふうな公共職業安定所看護婦との緊密なる連絡のもとに、無料の線で職業紹介を円滑に進めて行く、この線を中心として、さらにまた将来においては看護婦の自主的な労働組合ができるならば、その労働組合の強化をはかつて、これによつて労働者供給事業としての看護婦紹介を行つて行く、その一面において、民間有料の営業を弊害のないように監督して行く、そういう線でやつて行くのが一番よい方法ではないか、こんなふうに考えている次第でございます。
  32. 福永健司

    福永(健)委員 派遣看護婦に対する健康保険とか、あるいは災害補償、こういつたものについて法律がいかように適用されているか、右について伺いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  33. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 派遣看護婦に対しては、現在健康保険法の適用はございません。災害補償についてもない次第でございます。ただ東京都においては、在京臨床看護婦会というものができまして、国民健康組合の許可を受けてそちらでやつている、こういう例はございますが、全般的な問題としては適用がないことになつております。
  34. 前田種男

    前田(種)委員 今の質問に関連して齋藤局長にお尋ねします。方針としては無料紹介事業中心にしてやつて行きたいのだ、それから派遣婦の場合も本人を対象にして協力を求める形で行きたいということはよいのでありますが、本人個々を対象とするということは、限られた安定所職員ではどうすることもできないと思いますし、また優秀な者、経験のある者を安定所職員に採用して、緊密な連絡をとらせると申されましたが、そうしたこともおのずから定員その他予算の関係がありますから、なかなかうまく行かぬと思います。またそういう方法をとることはけつこうだと思いますが、要するに看護婦さんあるいは派遣婦、そういう人々を一つの会にまとめて、その会を対象にして安定所が指導育成をやるということが必要であろうと思います。     〔島田委員長代理退席、委員長着席〕  それが自主的に、総合的にやられる場合は、労働組合であろうとも、あるいは何々会であろうとも、そうしたことにはこだわる必要はない。むしろ今日一般的な世相の状態から行くと、派遣婦、看護婦労働組合から来ましたということでは印象が非常に悪い面も出て参りますから、そういう点は、むしろ仕事関係から努めて避けて、実際的には民主的にそうした何ものにもとらわれずに、お互いの福利増進のためにやられることはけつこうだが、そういう点等安定所で気を配つて、ほんとうに現実に沿うようなふうに指導して行く、今最後に福永さんが質問されましたように、災害の場合あるいはその他の事故の場合の派遣婦、看護婦さんなどのそういう救済的な道も全然講じられておりません。要するに雇い主がはつきりある場合はよいのでございますけれども、そうでない場合は、やはりそういう団体中心にして、病気をしたり、あるいはけがをしたような場合でもそういう会でお互いに助け合つて、後顧の憂いのないようにしてやらなければならぬと考えます。そういう意味からいつても、りつぱな団体を育成してやるということは、本人などの立場から申しましても、あるいは安定所が非常に実績を上げる面からいつても非常によいことだと考えますので、そういう点を一歩踏み出して、何か労働省がそういう点に指導的な役割を果して、過去四年間実際にやつて参りました安定法実績が、プラス、マイナスの面から、いろいろの角度より論議されておりますので、そういう面等をここらで清算して、一歩踏み出して、よい指導をしてやる、そうして全国看護婦派遣婦、あるいはそうした者をお願いする、いわゆる患者を抱えている全国の家庭の人々に対しても、ほんとうに明るい道を講じてやる、あるいは信頼のできる家政婦さんを簡單に雇い入れることができるような方法を見つけ出すという面からも、急速にそういう何らかの方法を講じていただきたいと強く要望いたしますし、また局長のこの問題に対するもう一歩つ込んだ御意見等がございますれば、決意のほどを聞かしていただきたいと思います。
  35. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 先ほどの私の答えで多少その点不十分であつたかと思いますが、公共職業安定所職員として採用したときには、安定所の方において個人的にある人を選んで職員にするというやり方は、実はいたさないつもりでおります。すなわち労働組合を結成されているような看護婦会はもとよりのこと、公共職業安定所のおのおのの管内における看護婦のいろいろの代表の方々と十分相談し合つて、その中から看護婦職業紹介に最も適当な方を選んでいただくといつたふうな方式で実は進みたい、こういうふうに考えております。それと同時に、また一面看護婦職業紹介についての安定所との連絡のための協議会の設置にあたつても、組合であろうとなかろうと、看護婦方々の集まり、またそういう方々と十分に相談し合つて、円滑に職業紹介をやつて行く、こういうやり方で進んで参りたい、こう考えております。
  36. 中原健次

    中原委員 ただいまの問題に関連して、当局に寮制度実情の御調査がどの程度であるか、伺つておきたいと思います。ただいま質疑応答の中で伺いますと、非常に民主的な運営が企画され、かつ期待されているというふうなことでありますけれども、はたして実態がそういうふうになつているかどうか、これは非常な疑問点であると思うのであります。ことに寮の管理者、寮主とでも申しますか、それとその寮に寄宿する看護婦並びに派遣婦の人たちの関係がどういうふうになつているか、そういう実情について御調査になられたことがあるかどうか、おありであれば、御調査の結果がどういうふうになつているのかお聞きしたい。
  37. 富山次郎

    ○富山説明員 寮の設置については、大体こういうふうな考え方で発足しているのであります。すなわち安定法以前のいわゆる看護婦会と称するものは、会長に支配従属させられるような形で、労務供給業的な性格を持つていた、従いまして、そのきずなを断ち切ると申しますか、安定法精神にのつとつた最も民主的な雇用形態に入ることを希望いたしまして、今まであつた労務供給業的な実態をなくすることになつたのであります。従いまして、安定所としては、ただ看護婦さんたちのために職業をあつせんするとしても、問題は住居であります。御存じの通り、多くの派遣看護婦さん方は荷物一つでそういうような家にいるのでありまして、ただちにそれを解散することはその人たちの生活の根拠がなくなるようなことになります。従いまして、安定所としては、そういう人のためにそれを寮として行く、いわゆる下宿屋的な寮としてお願いすることにしているのであります。でありまして、今にいたしましても、従来の働いた金額に対してある一定の歩合いで一切をやつて行くというよりも、むしろはつきりした生活体系をつくつて、そこで完全な意味の宿舎を指導して行くというわけでお願いしている次第でございます。最近の調査によつてもその寮主としては、そう悪い、あくどいと言いますか、一旦協定された寮費以外に金をとつているということもあまり聞きませんし、また中にはたくさんある中でありますから、あるいはそれ以上のものをとつているかもしれませんが、今のところでは、大体寮費一本で行つているというふうに考えております。
  38. 中原健次

    中原委員 私の聞いているのでは、なるほど寮の管理者が看護婦あるいは派遣婦の人に対して圧力を加えたり、あるいは支配するというような手續上のことはないが、しかし実際にはやはりそういう関係が織り込まれている。しかもそれはただいま御指摘のように、住居のないために自分の住居を確保する必要から、やむを得ずそれに屈従させられている、こういう関係があるかのように聞くのであります。しかもその部屋代のごときは非常に高いのであります。たとえば六疊一間を三十人ないし五十人で兼用するという事情において、もちろんこれらは派遣された人が、全部の人が全部帰つて来てとまるのではないと思います。しかしもし相当数の人が時を同じくしてそこへ帰つて参りますと、実は眠ることもできないという実情のように承つているのであります。しかもかような関係の中で部屋代は七百五十円くらい徴收しているということも承つているわけであります。もしそういう事情が事実なら、これは一大事であると思います。そういうことでは今後非常に問題が起つて参ります。せつかく御配慮になられて、看護婦並びに派遣婦の自主的な組合を結成させて、その組合を対象として紹介のことを進めて行くというせつかくの構想も、そういうことが障害になつて妙なことになるおそれがあるというふうに思います。従いまして、そういう実情について、さらに一歩突き進んだ御調査をなされる御意思があるかどうか。もう一つは、もしそういう実情が間違いないとすれば、それを救済するために何らかの対策をお考えになる御意思があるかどうか、あるいはすでにそういう御見解があれば、その御見解を明らかにしていただきたい。
  39. 富山次郎

    ○富山説明員 お話の点については、なお十分な調査をいたしましてもしそういう実情がありますれば、われわれとしても寮主なり看護婦方々とよく話合いをしながら、そういう弊害をなくして行きたい、こんなふうに考えております。
  40. 中原健次

    中原委員 それでは最後に希望を申し述べておきたいと思います。実はただいま請願の御説明がいろいろございました。もとよりその請願の御説明の限りにおいては、私どももこれを了承するのでありますが、実情はかなり複雑なものが織り込まれていると承つているのであります。従いまして、これをそのまま簡單に取上げて施行に移されるといろいろ障害が起るのではないか、あるいはそのためにかえつてせつかくのよき意図が曲げられてしまうのではないかということを恐れるのでありまして、従つて一層突き進んで実情調査を行つていただきたい。ことに今度の国政調査等のこともあるようでありますから、国会等においてもそこに心を用いて、ほんとうに実情をそのままにつかむことのできるような調査方法を講じていただきたい。さらにその当事者の看護婦並びに派遣婦の人たちの自主的な運営にまつ組合、この組合をほんとうに自主的なものたらしめるよう御配慮が願いたいし、従つてそういう形でできた組合、その組織を対象として今後の紹介のことをほんとうに取進めて行くことのできるように、そのためには第三者が介在し、第三者が支配し、第三者がこれに強制を加えるというようなことのまつたくないように、そういう完全な民主的な組織体たらしめるような御配慮により、これに付随して期待された結果が出て来るのではなかろうか、こういうふうに考えますので、この点をつけ加えて、私はこの請願に対する御処理の方法について御配慮を願いたいと思う。  なおこれに対しても別の見解を持たれる看護婦並びに派出婦の人たちからも、請願書がいずれ追いかけて出るだろうと思いますが、この点は愼重に実情を御審査の上で御方針をおとり願いたい。このことを要望いたしまして終ります。
  41. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  42. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第二、第三、第一〇、第一一の請願はいずれも緊急失業対策事業の日雇い労務者生活改善に関する請願でありますから、一括して議題に供します。青野武一君。
  43. 青野武一

    青野委員 ただいま議題になりました請願第二、第三、第一〇、第一一の四つは関連しておりますので、一括して御説明申し上げます。この請願趣旨について、特に三月二日に提出せられております東京都千代田区鎌倉町二丁目一番地中央土建一般労働組合の責任者早川君が出しております請願書内容を簡單に御説明申し上げます。  各職業安定所に登録して緊急対策事業によつてその日その日をあえぎながら生き延びておる私たち日雇い労務者は、物価騰貴とそれに加えての賃金手取り二百四十二円のすえ置きとあぶれによつて、生活はもはや人間といわれることのできない実情であります。この実情を十分に御調査の上、早急なる善処方を願いたく請願するものであります。請願の理由といたしましては、前国会において幾度も私たちの生活の改善をはかられたいと請願いたして参りましたが、いまだ何の処置もなく、一日延びるごとに生活の困窮は加わり、一日延びるごとにこのような仲間はふえておるのであります。この請願書で再びここに訴えるのでありますが、仲間の松田一郎君は一週間に一回か二回にわたり二百グラムあての血を日本製薬に売り、あぶれたときには百円か二百円の借金で千葉に行商に行つてどうやら生活を支えておる。このようにして一週間に二回も血を拔く、そういつたからだをもつて、遂に労働に耐えずに貧血に倒れたようなこともあります。具体的に申し上げますと、たくさんこういう実例が、この請願書内容には載つておるのでありますが、結局東京都の労働者の諸君は、今の緊急失業対策事業に就労するにあたつては、手取り二百四十二円ではどうしても人間らしい生活はやつて行けない。月のうちの十五日やあるいは十八日くらい働いたのではどうすることもできないから、第一に緊急失業対策事業に就労する者の日当を手取り三百五十円ぐらいにしてください。第二は国家の負担による健康保険の適用を早急に実施してもらいたい。第三は緊急失業対策事業を打切られないで、もつとこの対策事業費の予算を増額をしてもらいたい。その次は一人もあぶれのないように完全就労のできるような政策を立ててもらいたい。最後に都民のためになるような道路をつくる仕事に私たちを就労さしてください。これが大体今申し上げます四つの関連しております請願の骨子でありまして、今私が申し上げましたのは簡單でございますが、神田橋公共職業安定所に登録しております労働者のつくつておる中央土建一般労働組合の責任者が、多数の組合員を代表して本年の三月二日に請願をしておるのであります。今申し上げましたのが請願趣旨であります。どうぞよろしく御審議を願います。
  44. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  45. 山村新治郎

    山村政府委員 申し上げます。東京都の日雇い労務者の平均就労日数は、全国平均をはるかに越えて良好でありまして、ほぼ完全就労を見ることができると考えております。最近の傾向を見ますると、一月は二十九日二分、二月は二十四日八分に落ちましたが、三月は二十五日六分となつております。従いましてこのあぶれの問題につきましては、以上のような結果でございますので、ほぼ完全就労の状態であると思います。  なお登録取消しの問題でございますが、失業対策事業は、就労の公平を期するために、就労適格要件を具備する者に限られておりまして、その要件を欠くに至つた者は、対策事業上の就労をすることができないことになつております。この要件は、現在の失業対策事業の運営上やむを得ないかと考えておりまして、これを欠くに至つた者が就労し得ないことはございますが、しかし以上の理由以外で取消しを行うということは絶対にないのでございます。  なおまたこの請願の一部には教育補助の全額国庫負担という問題がございますが、現在のところ全額補助をすることは考えておらない次第でございます。  それから地方税の全免の問題もこの二八九号にはございますが、東京都におきましては、日雇い労務者については民生委員協力いたしまして、生活実態に応じて全免あるいは減免の措置を講じておる次第でございます。  なお賃上げの問題でございますが、この点は現在の財政事情から考えまして少し無理ではないかと考える次第でございます。  それから失業対策事業を道路その他の有効な仕事に用いるという問題でございますが、この点はおそらく実質上実効の上る仕事をやつておるようなことだろうと考えておる次第でございます。
  46. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はございませんか。
  47. 青野武一

    青野委員 政務次官にお尋ねをいたします。これはこれに直接関係するのでありますが、請願の要点は三百五十円の日当にしてもらいたい、これが大体生活改善の基礎になるので、これが請願要旨であります。これに関連して三月の二日と、三月七日の労働委員会質問をしたことでありますが、それに関連しておりますので、お尋ね申し上げたいと思いますのは、昨年の九月の朝鮮仁川上陸作戰の当時には、東京の自由労働者の諸君が相当数その船内作業あるいは運搬等に関係したのでありますが、仄聞するところによりますと、昨年の九月当時は二箇月で三万円、東京の自由労働者は手取り一日二百四十二円でありますが、この仁川上陸作戰当時の関接の作業に従事いたしました東京の自由労働者は二箇月で三万円の給料をもらつたということを、たしか政府委員の方から質問によつて御答弁を得たと思います。最近は百五十万円の生命保險をかけてやつて、一年間の労働期間の契約をして一箇月が三万円ということになつておると聞いております。これは事実でありますか。この東京都の失業関係事業関係しております二百四十二円とつておる自由労働者とでは給料に相当の開きがありますので、念のために承つておきたい。それから今日発表ができますならば、いわゆる朝鮮動乱に関係する船内作業に従事しておる全国の日雇い労働者の諸君はどのくらいおるか、これをあわせて承りたいのであります。
  48. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 ただいま御質問の前段の点でございますが、私どもは全然一月三万円などといつたふうな話は承知いたしておりません。進駐軍労務者につきましては、御承知の進駐軍労務者給與規程がありまして、一般の賃金でありますれば、いわゆる一般職種賃金の規定を受け、その他の危險手当等がきめられておりますので、三万円になるかどうか、その内容につきましては私の方では承知いたしておりません。  第二段の問題でございますが、私どもの現在承知しておるところでは、船員は別でありますが、LRで出ておる港湾荷役はほとんどないのではないだろうかというふうに考えております。問題はPD関係で港湾業者が雇つておる港湾荷役の関係はあるだろうと思います。LRはあまりそうたくさん出ておるようには私は今日聞いておりません。
  49. 青野武一

    青野委員 一括してお尋ねしておきたいと思いまするのは、この請願要旨の中に、脱落しておるのではありませんが、あまり具体的に書いてございませんから、重ねてお尋ねを項目別に申し上げたい。  今政務次官から、地方税の全免あるいは軽減についての御答弁がありましたから、これは省略いたしますが、この緊急失業対策事業関係をしておりまする自由労働者諸君の強い要望は、いくら失業しておる労働者であつても日本の国民にかわりはありません。年末年始の十二月三十日、三十一日と、一月の一日、二日、三日の合計五日間は有給休暇にしてもらいたいということは、この請願内容には書いてありませんが、別の請願にはあるのであります。この点についての御答弁を願いたい。  それから私は福岡県の八幡の出身でありますが、最近八幡にはこういつた労働者諸君のために託兒所を、貧弱な市でございますが、約二百万円程度でつくることに決定したのであります。特に東京あたりでは、主人を戰争に奪われた未亡人の諸君が、子供を抱えておるために十分に働くことができない。そういつた諸君のために、箇易な託兒所を各所につくつてもらいたい。私どもがつくりまするのは、娯楽室もあれば、風呂場も、更衣室も洗面所も一切そろえて、二百万円をもちまして、人口三十万の都市でありますが、これをやることに実は決定したのであります。そういつた託兒所を相当量東京につくつていただける意思が政府側にあるか、この点をお尋ねいたします。  それからこれも年末年始の休暇と同じような意義を持つておりますが、聞くところによれば、公益事業委員会は電気代、電燈料といつたものを五割あるいは七割上げると言つておりますが、この三月二日に請願を出した当時から電気代、ガス代、水道料といつたような料金を、緊急失業対策事業関係しておる失業者のはなはだしく貧窮な人々には無料、またある程度働いておる者には、特に失業者という苦しい立場を考慮して相当減額の処置を政府の方においてとつていただきたい、こういうことを言つておるのであります。  それから特にこれは特需作業に従事する場合において、本人だけでなく、家族にも納得の行くようにしていただきたい。日本の港外に連れて行く際には、本人はもとより、家族の者に二箇月も三箇月も黙つて連れて行くようなことをしないように、関係方面との交渉を進めていただきたい。こういう四つの点について政府側の御意見を承つておきたいと思います。
  50. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 まず最初の有給休暇の問題でございますが、現在の労働基準法の建前から申しまして、日雇い労働者につきましては、こういうことは認められていないと私ども考えております。  第二番目の託兒所の問題でございますが、これにつきましては、御承知のように、国会で成立いたしておりまする国の予算には託兒所を設置する予算はございませんけれども、その必要なことにつきましては私ども十分理解いたしておりますので、その都度市町村あるいは府県においてできるだけつくつていただくようにということは、お願いをいたしております。従いまして、東京都におきましても、その趣旨によりまして、今数ははつきり覚えておりませんが、簡易な託兒所といたしまして、多分十箇所あるいはその上になつておるかと思いますが、十箇所程度の託兒所を東京都におきましても設置しておると承知いたしております。なおそのほかの県におきましても、たくさんはないようでありますけれども、私どもの方といたしましては、託兒所の設置につきましては、将来ともできるだけ努力をしてもらいたい、こういうふうに考えております。  次は電気、ガス、水道料の減免の問題でございますが、これは私の所管でございませんので、お答えすることはできません。  最後の進駐軍労務員を国外に連れて行くときの問題でございますが、これはこの前のときにもお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、司令部の方にも強くこの点は申し上げてありまして、その方の御協力も得まして本人を向うに連れて行きまするときには、その一人々々について海外に行くこと、危険水域に行くことがあるかもしれぬということは、その都度お話をするという建前にいたしておるのでございます。
  51. 前田種男

    前田(種)委員 今の青野君の第一の年末年始五日間の有給休暇に関する質問に対する局長の答弁は、どうも不親切であると思う。もちろん基準法ではそういうものは出せないということは、青野君も百も承知だと思います。実際問題としてそういう規定はないが、公務員には予算で半月分の年末手当を出すことにもうすでに二十六年においてはなつている。民間会社でもそれぞれ手当を出して年を越すのに何とかしてやろうというようなことが、長い間の慣例になつておりますが、ひとり薄給で働いておりまする日雇い労働者は、そういう例がないから、何とか年末年始には、正月を越すのにそれにかわるべきあたたかい贈りものはないかというのが今言つた有給休暇ということになつて参りますので、正式に有給休暇にするといろいろ問題があろうと思いますが、そういうことを労働省が何とか考えてやろうということになれば、方法があるのではないか。その方法を捻出して善処していただきたいというのが、その質問要旨であろうと思いますから、そういう点等については、何とか御考慮願いたいと思います。
  52. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 お答えいたします。有給休暇ということになりますれば、私が今お答えいたしておるようになるのでありますが、年末年始の生活状態につきましては、私どもも実は承知いたしておりまして、別な名目におきまして、それぞれ適切な方途は講じておるものと私ども考えておる次第でございます。
  53. 中原健次

    中原委員 先ほど青野君の質問の日当の問題に対して、ただいまのところ予算がないから、この日当額の引上げはできないという御答弁であつたように思います。しかしこれはちようど今のお話と同じようで、もう少し私は当局考えなければいかぬじやないかと思う。この二百四十円の日当というのは去年きまつたのではない。ずつと前からそういうことになつている。そうしますと、朝鮮動乱から今日までの間に物価がどういうふうになつたかということは、今さら申し上げなくてもはつきりわかつておる。いずれにしましても何とかしなければならない。再三そういう機会が訪れて、そのままにいわばたな上げになつておるのであります。二百四十円の日当では、かりに二十五日働いても一体幾らになりますか。この計算をしてみても、それで労働者の生活がいくら低くても、ささえられないことは常識上明らかであります。政府としてはあらゆる努力をそこに傾けて、そういうやむにやまれない要請に対して、誠実なる答えを出すことが必要ではないか。従つて予算がないと言うのではなくて、何とかしてこの予算をつくるように要求もし、また賃金の額についても、妥当な額は一体どれくらいであるかについて研究ができておらなければならぬと思う。その点について、すでに研究ができておると思いますが、できておるとすれば、大体どれくらいまでに引上げなければならぬという御見解であるのか、あるいはそれを実施するためにはどういう努力をしておるかということを、この際承つておきたい。
  54. 山村新治郎

    山村政府委員 確かにお説のように、日雇い労務者方々の生活状態につきましては、現在の日当をもつていたしましてはお気の毒な点があることは、了承いたしておる次第でございますが、御存じのような財政下におきまして、なかなか失業者にまで十分余裕のある日当を差上げるということは許されない現状でございますので、完全な、満足の行く金額ではございませんが、ただいまの金額をもちまして予算を計上しておるのであります。なお朝鮮事変を契機として物価が上つておるじやないかという御指摘がございましたが、物価につきましては、すでに上つた物も反落をしておるような現状でございます。もちろん日当を上げる面から日雇い労務者の生活を向上させるという点もございますが、その他政府の経済政策全般の面から物価を安定せしめまして、その生活を向上せしめるというような点も考えなければならぬ問題であろうと思います。政府といたしましては、なるべく惠まれない失業者方々の生活を向上せしめるにつきましては、皆様とかわりなく熱意を持つておるわけでございます。
  55. 中原健次

    中原委員 物価を安定させて、その他の施設云々ということになると、非常に大きな問題が起つて来る。そうなるとあらためて開き直らなければならぬと思います。そういうことでこの場を糊塗されるのではなくて——実際満足どころではない、十分どころではない、もうこれは生きて行く線じやないのです。かりに二十五日働きましても、手取るところが五千円前後なんです。そういう金では満足だなどという言葉の出る金額じやないと思う。もちろんわれわれは満足であるとか、十二分だとかいうことを期待して申し上げておるのではない。少くとも次の労働力を回復させるための最低線だけは考慮しなければならぬのじやないか。ことに国の予算というものは、初めからわくがきちんときまつておるものではない。やはりわれわれは、お互いに努力してわくをきめなければならぬ。そうすると賃金の水準は、これを確保すべきだという線はどうしても出さなければならぬ。それを基礎にして予算を考慮するということに努力しなければならぬ、こういうふうに思います。私は十二分なことを申し上げておるのではない。最低さえ保障されない現状です。この点をほんとうに考えていただきたい。失業者といえども、やはり人間としての基本権を持つておるはずである。また自分の好むところによつて失業したのではありません。これはある意味では、国策の災いしたところであるとわれわれはいわなければならない。従つて国は、失業者に対する基本線を維持するための給與の点は、当然早急に考えて行かなければならない、かように思います。この点についてもう一度御説明を承りたい。
  56. 山村新治郎

    山村政府委員 政府といたしましては、もちろん日雇い労務者方々に対しては十分同情いたしまして、実質の手取りを多くせしめるためには、この請願にもございましたように、何といたしましてもあぶれをなくすることが大事なことだと考えておりまして、昨年度の予算におきましては、総額約五十三億の予算を、今年度の予算におきましては七十七億五千万円に増額いたしたような次第でございまして、その点につきましての努力はいたしておるつもりでございます。従いまして、このあぶれが東京都においては、先ほど御説明申し上げましたごとく、なくなつて来ておるという問題につきましては、あるいは完全な満足の点ではないかもしれませんが、去年よりは相当実情がよくなつてつておると考えております。     —————————————
  57. 倉石忠雄

    倉石委員長 次に日程第四、失業保險金受給中の日雇労務者救済対策確立の請願、文書表番号第三〇一号、紹介議員今野武雄君。
  58. 今野武雄

    今野委員 本請願は、愛知県自由労働組合連合会の代表者、岡田勝君外二千百六十名の日雇い労働者の諸君から出されておるわけであります。その要旨は、日雇い労働者のうちの八割までは、終戰後困難な社会状況に押しつぶされて失業いたしました中小商工業者や、その使用人、戰争未亡人、遺家族等が多くて、失業対策事業か、軽労働以外には働けない人々が多いわけで、従つてそういう人は低賃金で雇われ、かつあぶれで仕事につけない場合や、雨の日は、生存を維持することも困難な状態になつておるわけであります。ところがそういう人たちからも、毎日毎日の賃金の中から失業保険の掛金が、若干でありますが、とられておる。しかるにその失業保險の受給には、労働省ではよく御承知のような条件があるわけで、そういう待期期間というものがあるために、実際には掛金をかけていながら、ほとんどその恩惠にあずかつていないという実情であります。そうすると雨の日あるいはその他の事情であぶれると、家に帰らなければならない。家で待つているこどもたちのせがむものに対して何と答えていいかわからない。こういうような状態でありますから、そういう待期期間というものをやめて、あぶれた日にすぐに保險金を現金で受取れるように、救済の道を講ぜられたいというのであります。この点は前々から問題になつておつた点でありまするが、困つている人たちであるということを念頭に置いて、大した改善でもないわけでありまするから、そういうような生存上の改善をはかつていただきたい。また少しずつでありますが保険金の掛金をとつておるが、掛金の收支関係は一体どうなつておるか、はたしてそういうものが特別に扱われておるか、あるいは一般の失業保險の掛金の中に溶け込んで、わけのわからないことになつておるのではないかというふうにも考えられるわけでありますが、その点もあわせてお答え願いたいと思います。
  59. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  60. 山村新治郎

    山村政府委員 本請願趣旨につきましては、その御趣旨はごもつともでございますが、現在の保険経済の関係からいいまして、待期連續四日間、断續六日を廃止することは許されない状態にあります。なおまた保險金を納めた会計の扱い方でございますが、これは別個に扱つておりまして、大体経営状態はとんとんの状態でございます。
  61. 今野武雄

    今野委員 その收支の状態がとんとんだということでございますが、その点についてはなおあとで資料で教えていただきたいと思います。しかしこの問題も、先ほど青野さんが出された請願の問題も、やはり同じように非常に困つておる人たちの問題でありますが、先ほど三百五十円にしてくれぬかということについて、いろいろとお答えがあつたと思いますが、中原さんも十分には御了承なさらなかつたようでございますけれども、私ども聞きたいと思うのは、政府で賃金を上げてやらなければならないから、どのくらいに上げたらいいかということを計算し、またその旨を大蔵当局やその他にいろいろと交渉なすつておるかどうか、またそういう交渉の準備をなすつておるかどうか。初めから今の状態ではしかたがないからといつて、ほうつておかれるのはどうか。また交渉しても、なおかつそれが得られないのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  62. 山村新治郎

    山村政府委員 賃金を三百五十円に上げろという問題につきましては、先ほど中原委員にお答えした通りであります。なおまた政府といたしましては、始終一般経済状態その他を調べておりまして、間断なく注意は拂つておる次第であります。
  63. 今野武雄

    今野委員 どうも御説明がよくわからないのですが、私どもが聞きたいのは、労働省は上げたいけれども、上げられないのか、それともやはり上げる必要なしという見解を持つておられるのかどうか、その点を伺いたいのです。
  64. 山村新治郎

    山村政府委員 大体現在のところでよろしいと思つておる次第であります。
  65. 今野武雄

    今野委員 この賃金問題は、非常に重大な問題であります。また自由労働者の生活向上というものを目ざして、自由労働者の人たちが、たとえば東京などで、今度の選挙に自分たちの代表を幾らかでも自治体の議員に送ろうということで、たしか区会には二人くらい出ました。それから都下の町会にやはり二人ばかり出たのです。区会の方は大して問題はないのですけれども、町会に出た人は、町会に出たからといつて、すぐ手当がもらえるわけでもないのに、そういう者は当選したということで、自由労働者になる資格はないといつて、就労を拒否され、一人は手帳も取上げられておるというわけなのでありますが、この点は、しかも東京ではそれが労働省の指示によつてやつたということを申しておるわけでありますが、そういうことでありますと、労働者が自分たちの地位を向上させるために、自分たちの代表を議員に出そうということが、初めから問題にならなくなるわけであります。こういう点はいかなる根拠に基いてやつておられるのか、選挙法とかその他の法規にはそういうことはないと思いますけれども、その根拠を伺いたいと思います。
  66. 山村新治郎

    山村政府委員 都会議員並びに町村会議員等に日雇い労働者が当選した場合に、失業者として扱わないという問題でございますが、これはすでに町会議員とか、あるいは都会議員とかいうりつぱな役につかれる方は、失業者とみなしておらない次第であります。
  67. 今野武雄

    今野委員 簡單過ぎてどうも不明瞭でありますが、ただいまのお話ですと、町会議員というような肩書きがつけば失業者ではないと言いますけれども、町会議員というのは嚴密な意味で職業ではない。第一金をくれない、何でも話によると、六箇月先になつたら、一月二千円の割で金をよこすということで、別に職業でもなんでもない。それがりつぱなそういう地位についたのだから、失業者ではないという認定をされることになりますと、どうもたいへん実情にそぐわないように思うのでありますが、その点はどうですか。
  68. 山村新治郎

    山村政府委員 町会議員につきましても、すでに公職選挙法によつて出た議員でございまして、公職でございます。なお一般社会通念から見まして、町会議員等に出られる方は失業者ではないとみなしております。     —————————————
  69. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは日程第五、失業対策事業日雇労務者賃金引上げに関する請願、文書表番号第三六九号、紹介議員がおられませんので、天野公義君。
  70. 天野公義

    天野委員 ただいま議題となりました請願趣旨を申し上げます。  この請願請願者は、長崎県議会議長岡本直行でございますが、本請願要旨は、長崎県における失業対策事業就労者の平均賃金は百八十五円となつているが、一般諸物価の高騰に伴い、一般労務者の平均賃金は相当引上げられたにもかかわらず、失業対策事業労務者賃金のみすえ置かれている。しかもデフレ政策の強行による経済界の不況のため失業対策事業に就労する日雇労務者の稼働日数は激減し、彼らの生活は餓死の寸前にある。ついては、労務者の生活状態を向上せしめるため、現行平均賃金ベースを大幅に引上げられたいというのであります。
  71. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  72. 山村新治郎

    山村政府委員 長崎県における失業対策事業は、賃金は今まで百五十八円だつたのが、百六十一円に引上げられた実情であります。なおまた実情において改訂すべき必要があれば、改訂いたすつもりでおります。なお長崎県の平均就労日数は、二十五年十月が一七・八、二十六年一月が一九、本年三月で二三・二と向上いたした次第でございます。     —————————————
  73. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは日程第六、地方公営企業労働関係法案の一部改正に関する請願木村榮君外一名紹介、文書表番号第七五一号、紹介議員がおられませんので、今野武雄君。
  74. 今野武雄

    今野委員 この請願は、島根県の松江市の日本自治団体労働組合山陰連合会執行委員長の大木喜義君から出ておるわけでありますが、本請願要旨は、地方公営企業労働関係法案が近く上提されるにあたつて地方公営企業における労働関係の公正な調整を期するため、同法案を左の通り修正されたいというのであります。(一)第五条第一項を削除すること、第二項を労働協約に抵触する条例及び規則並びに地方公共団体の機関の定める規定はその労働協約の有効期間中効力を停止するように修正して第一項とすること。それから第六条の第三項の末尾にあります「地方公共団体の長は賛否の意見を付することができるものとすること」というのを削除してもらいたい。それから第三には、第六条の第四項を削除する等のことを要請して来ておるわけでございますが、まだ労働関係法は上程をされておらないので、こういうものが出されます際に、そういうことを考慮していただきたい、こういうことになると思うのでありますが、よろしくお願いいたします。
  75. 倉石忠雄

    倉石委員長 本案は、政府の御意見を承るまでもなく、地方公営企業労働関係法という法律がございませんので、審議の対象になりません。     —————————————
  76. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第七、失業対策事業予算單価引上げに関する請願丸山直友紹介、第九五七号、紹介議員がおられませんので、天野公義君にお願いいたします。
  77. 天野公義

    天野委員 ただいま議題になりました請願は、長岡市議会議長の田村仁之助氏のものでございますが、その要旨は、長岡市における日雇い労務者の数は、昨年十二月末で約八百名増加し、このうち大部分は失業対策事業に従事しているが、現在の失業対策事業予算の單価は百六十二円であるため、これら日雇い労務者は生活の安定をはかることができない状態である。ついては、同事業予算單価を引き上げるとともに、もし不可能なときは地域的に予算單価に段階を設けるよう法律上の措置を講ぜられたいというのであります。
  78. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば伺いたいと思います。
  79. 山村新治郎

    山村政府委員 新潟県の失業対策事業の予算單価は百六十二円でございましたが、現在では百六十四円となつております。なお地域の賃金実情に応じまして、地域を指定して、賃金予算單価を決定することにつきましては、現行法上可能でございまして、現に実施いたしつつございます。     —————————————
  80. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは日程第八、連合国関係労務者に失業保險法適用に関する請願前田種男紹介、第九六七号、紹介議員の御説明を願います。前田君。
  81. 前田種男

    前田(種)委員 本請願は、御承知のように連合国関係労務者に対するところの失業保險法の適用に関する請願でございますから、説明するまでもございません。労働省の御意見を承り、ぜひ適用できるようにしていただきたいと思います。それとあわせてお願い申し上げたい点は、近く講和の実現が具体化されつつありますが、そういうことになりますと、なおさら進駐軍関係労務者の前途は不安なものがあるわけです。国際情勢その他から勘案して、そう簡單に大量失業というようなことはないだろうということは予測はできますが、いずれにいたしましても非常な不安がございますので、こういう点について、政府は少くとも安心を與えなくてはならぬと思います。保険法の適用を急速に実現するというのも一つの方法でございますが、万一大量失業等のいろいろな問題等を予測いたしますと、そういうものに対しましては、絶対に不安のないような処置を、当局は今から準備をいたしまして、少くとも二十五万のそうした進駐軍関係労務者に対しましては、そういう不安がないということを、今から意思表示をすべきであろうと私は考えますので、そういう点に対する労働省方針を示していただきたいと思います。
  82. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見がありましたら承ります。
  83. 齋藤邦吉

    齋藤(邦)政府委員 私からお答え申し上げます。進駐軍関係労務者の失業保險法の適用の問題でございますが、この問題につきましては、一般の国家公務員法との関係もありまして、進駐軍関係労務者につきましては、首切られましたあとの失業中の差額手当の支給という問題が解決されておりませんので、それがむしろ先決の問題でありますから、目下調達庁が中心になりまして、私どもも一緒になりまして、関係方面と具体的に折衝いたしておるような次第でございます。  後段の問題につきましては、講和後の進駐軍労務の形態がどういうことになるか、予測はつかないのでありますけれども、私どもといたしましては、そういう状態を予想して、それに対する何らかの案をつくりたいということで、目下検討を加えておる次第でございます。
  84. 前田種男

    前田(種)委員 後段の点につきましては、政府として特にGHQとの関係もございましようが、そういう方面に対してはできるだけ早く、何らの心配がないというような意思表示、あるいはそういう点に安心感を與える処置を急速にとつていただきたいということを、強くお願いいたしておきます、     —————————————
  85. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第九、大阪市に労災病院建設請願前田種男紹介、第一三一一号。紹介議員前田種男君の御説明を願います。
  86. 前田種男

    前田(種)委員 すでに労災病院が九州にできておりますし、東京にもできておりますので、地域的に見まして、次に関西に設立しようというのが当局の御意思のようでございますが、そういう関係から、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、大阪産業復興会議、いわゆる大阪中心にするところのそうした各種公的団体が、こぞつてこの実現方を要望しておるわけでございます。本請願は、大阪市会議長名にて提出されておりますが、すでに大阪府におきましても、大阪市におきましても、適当な土地も物色いたしまして、地元といたしまして、この実現のためには陰に陽に、できるだけの協力を惜しまないという熱意をもちまして提案いたしておりますので、ぜひその希望が達せられるように、当局のこの問題に対する熱意ある善処を要望申し上げておきます。
  87. 山村新治郎

    山村政府委員 大阪市に労災病院建設の問題につきましては、労働者の利便をはかるように、諸般の事情を勘案いたしまして、十分考慮いたします。     —————————————
  88. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第一四、特需契約下における労働条件改善に関する請願土井直作紹介、第二〇六七号、紹介議員がおいでになりませんので、青野武一君。
  89. 青野武一

    青野委員 これは簡單でありますから、読み上げます。請願者は、東京都千代田区西神田二丁目二十三番地、特別調達要員労働組合連盟佐藤敬一郎君であります。ただいま委員長がおつしやいましたように、紹介議員が欠席しておりますので、私から請願要旨を簡單に申し上げます。  本請願要旨は、特需契約下における労働条件は、ややもすれば労働基準法が無視されがちであり、そのために連合軍への協力に支障を来す懸念があつたが、本年一月の一般職種賃金並びに公務員の給與ベース改訂により、いよいよ明らかになつた。ついては、関係労務者の不満を起させないよう、連合軍の目的達成のため、次の事項に努力されたいというのである。一、特需契約下労働条件は一般的水準以下でないこと。二、労働賃金は適正な一般職種賃金により支拂われること。三、労働問題はすべて国内的に解決されるべきこと。四、そのために中央に労働者の参加する特需労務対策審議会を設置し、常に適切な処置を行うこと等。これが本請願要旨であります。この点について政府側の御意見を承りたいと思います。
  90. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  91. 亀井光

    ○亀井政府委員 第一の、特需労務につきまして労働条件の一般的水準を維持するようにという御趣旨でございますが、特殊契約のもとにおきまする労働条件につきましても、一般の民間の労働水準と、労働基準法の適用において何らかわるところはございませんので、労働基準法の線内におきまして十分維持されることになると思います。またもし労働基準法違反の事実がありますれば、それに対しましては当然監督の作用が行われることになります。  それから第二の、適正なる一般職種賃金の支拂い制限でございますが、これも一般の民間産業の労働者と同様でありまして、労使双方におきまする賃金に関する協定によつて定められて参るものと思います。  第三の労働問題の国内的解決、この問題につきましては、申すまでもなく労働問題はすべて国内的に解決されるという建前でございます。労働基準法の適用につきましても、同様に日本政府の責任において処理されるようにいたさるべき性質のものと考えます。  第四の、特需関係の労務対策審議会を設置してはどうかという問題でございますが、現在基準法の施行につきましても、労使双方からなりまする審議会がございまして、そこにおいて種々の問題が検討されております。特に特需関係の問題をとらえましたこういう審議会は必要ないのではないかという見解でございます。
  92. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はありませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  93. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは日程第一五、失業対策事業資材費国庫補助並びに労務者基準賃金増額に関する請願平野三郎紹介、第二二〇九号、紹介議員がおられませんので、天野公義君に御説明を願います。
  94. 天野公義

    天野委員 ただいま議題となりました請願請願者は多治見市議会議長長谷川亮三氏であります。  本請願要旨は、失業対策事業に対する資材費補助は、昭和二十六年度より労務者一人に対し資材費補助金十円の交付であるが、建設的な経済的効果のある事業を実施するには相当の資材を要するから、これが資材費に対し三分の二を補助されたい。また労務者賃金昭和二十五年度に定められたもので、その後物価は高騰し、現在の賃金では最低生活すらできないから、労務者基準賃金に対しても増額されたいというのであります。
  95. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見でもあれば承ります。
  96. 山村新治郎

    山村政府委員 資材費の補助につきましては、昨年度まではなかつたものを、本年初めて十円の補助を加えることに相なつた次第であります。  なお賃金の問題につきましては、先ほどお答えいたした通りでございます。
  97. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  98. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第一六、労働基準法の一部改正に関する請願田中伊三次君紹介、第二二五八号、紹介議員がおられませんので、天野公義君の説明を願います。
  99. 天野公義

    天野委員 ただいま議題となりました請願請願者は京都商工同志会の亀井辰次郎氏外二名であります。  本請願要旨は、労働基準法は、資本、物資、設備の完備せる国の模倣にすぎず、敗戰、困憊、復興途上にあるわが国においては、すみやかに業者をまじえた委員会を設け、実情に即する改革を行う必要がある。ついては、同法を改正されたいというのであります。
  100. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。
  101. 山村新治郎

    山村政府委員 労働基準法施行以来四年になつております。この間各方面からこれが問題になりまして、種々の意見が出されており、労働省といたしましては、この問題は愼重に考慮しなければならぬ問題でございまして、いろいろ各方面の意見は聽取しておりますが、まだ最終の結論には到達いたしていないのであります。  なお委員会を設置して云々のお話がございましたが、これも中央基準審議会がありまして、労使双方と公益委員で構成された委員会でございまして、当然この委員会において審議さるべき性質のものでございます。特別そういう委員会の設置は必要ないのではないかと考えております。
  102. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はありませんか。
  103. 中原健次

    中原委員 労働基準法改正の御請願のようでありますが、ただいま政府の答弁で伺いますところによりますと、いろいろな方面から意見を聽取しておるということでありますが、それではその意見聴取の対象は大体どういう方面に求めておいでになりますか。もちろん労使双方にそれぞれということであろうと思いますが、労働組合側に対する意見の聽取の事実があれば、どういう方面に意見を聽取しておいでになるのか、あるいは今後しようとしておいでになるのか、それをこの場合伺つておきたい。
  104. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま基準法の改正についての意見をどういう方面に聞いておるかという御質問でございますが、労働省といたしまして積極的にあつちこつち聞いて歩いておるわけではございません。盛り上る声といたしまして、各方面から意見を聽取いたしております。
  105. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はないようでありますから、次に移ります。     —————————————
  106. 倉石忠雄

    倉石委員長 日程第一八、国等相手方とする契約における労働条項に関する法律制定請願前田種男紹介、第二三三一号、前田種男君、御説明を願います。
  107. 前田種男

    前田(種)委員 本請願は特別調達庁関係労働組合連盟の委員長名義で出されております請願でございます。これは前の議会からも労働省の内部において提案の準備が進められておつた問題でございます。四九年の国際労働機関の総会においてもそうした勧告案が勧告されまして、その勧告案に基きまして政府はそれぞれ準備されましたが、いろいろな事情で本国会に提案されないことになつて、なお検討を續けておられるというのが今日の状態でございます。これのねらいは、いわゆる特調関係に働いております従業員の労働条件に関するいろいろな不安から来ております点が中心であろうと思います。もちろん法案の制定にあたりましては、広汎な国等を相手にする特需契約一切の問題に触れて、いろいろ内容は審議されておりましたが、請願者が要望しております中心の題目は、労働条件の確保の点でございますから、こうした法律案を制定して、法規の保護のもとに安心できる労働条件のもとに働きたいという熱望にすぎないと私は考えます。その面に対する労働省の見解、あるいは法律制定に対する経過、あるいは今後の予測——もしそれが困難でございますならば、請願者が要望しております労働条件の確保向上の面に対して、労働省はいかように善処されようとする気持でありますか、その辺お聞かせを願いたいと思います。
  108. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいまの請願趣旨につきましては、いわゆるPWの法案制定の問題でございますが、この点は目下労働省といたしましては愼重検討中でございまして、まだ成案を得ておらない次第でございます。
  109. 倉石忠雄

    倉石委員長 他に御質疑はありませんか。——それでは次に移ります。     —————————————
  110. 倉石忠雄

    倉石委員長 なお日程第一九の審査に都合により延期いたします。     —————————————
  111. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより陳情書審査に入ります。日程第一ないし第一一を一括議題として、まず濱口專門員より順次その趣旨説明いたさせます。
  112. 濱口金一郎

    ○濱口專門員 日程第一、失業対策事業費国庫補助に関する陳情要旨は、秋田県南秋田郡北浦町は、地形的から見て農耕地の局限を受け、それに加え人口の自然増加及び北海道方面への漁業労務の出かせぎの制限のため、はなはだ憂慮すべき失業状態に到達している。同町としては、これが対策として前年度まで種々改修工事等を施行して来たのであるが、町財政としては、現在最も窮乏の極にあつて、とうていこれ以上の失業救済はできない状態であるから、昭和二十五年度第二・四半期以降の失業応急事業を国庫補助をもつて実施されたいと希望しているものであります。  日程第二、失業救済事業施行に関する陳情要旨は、近時失業者は日増しに増加しつつある現状であつて、この失業対策はきわめて重大であり、迅速に措置すべき問題である。しかも失業者は不均衡に都市に集中される傾向にあるので、その事業も円滑に遂行できないのみでなく、各都市ともその負担の増大に苦慮している。ついてはこれが解決策として、失業救済事業に要する経費は全額国庫負担とすることを陳情しているものであります。  日程第三、日雇労務者に対する冬期間燃料費全額国庫負担に関する陳情要旨は、日雇い労務者は、まことに困窮しており、ことに冬期間の燃料購入費の暴騰は、物価の上昇と相まつてとうてい日雇い労務者の賃銀では捻出できない状態で、このままに放置しておくならば、社会不安は助長の一途をたどり、まじめな労働者までも動揺せしめる結果となることは明らかである。しかしこの救済対策としての燃料費の支出は、現在の地方財政ではとうていまかない切れないので、日雇い労働者に対し国庫による冬期間燃料費の負担を実施されたいとするものであります。  日程第四、地方労働基準審議会経費増額に関する陳情要旨は、経済界の行き詰まりにより、中小企業は賃金の不拂い遅拂いを初めとして、幾多困難な労働問題を引起しており、適正な労働基準の運用の必要性をますます痛感せしめるに至つておる。しかるに地方労働基準審議会の年間予算ははなはだ少額であつて、旅費の配賦もなく、年二回の会合をなすにすら十分でない実情であるから、同会合を年四回開催するに必要な諸経費の予算措置を講じられたいというのであります。  日程第五、国際労働知識普及に関する陳情要旨は、一国の労働条件改善には、国際的協力を必要とするが、それには国民一般が国際労働事情に関する正確な知識を持つことが先決問題である。ついては、これが労働条件改善に万全を期するために、学校教育、社会教育並びに社会厚生各般の施策において、ILOその他の国際労働の正確な知識が国民一般に普及するよう、すみやかに特別の措置を講ずることを希望しているものであります。  日程第六、失業対策事業事務費増額等に関する陳情要旨は、現在失業対策事業費は、認定事業に要する労務者一人につき一日百五十八円の三分の二を補助し、事務費は延人員に対し一人一日十一円二十五銭の三分の二の補助であるが、資材費は全然考慮されていない。しかし資材費が事業費の五割程度を占める場合もあるので、資材費も補助対象とし、また事務費は一人一日十五円程度に増額することを希望しておりまする  日程第七、自由労務者賃金値上げに関する陳情要旨は、昨今の市場物価の高騰により、自由労務者は現行の賃金ではとうてい生活することが不可能である。ついては、国家公務員、地方公務員の賃金ベースが、この物価高騰により引上げられたことを考慮し、自由労務者にも最低生活が堅持できうるよう、適切なる措置を講じてほしいというのであります。  日程第八、家族労働従事者労働基準法適用陳情要旨は、労働基準法第八条の適用を除外されている家族労働による機業場が、最近の人絹景気その他によつて續出し、なお一途増加の傾向にあり、福井県下産業界に占める比重も少くない実情にあるが、基準法の適用外にあるため、一般に労働条件、安全衞生施設においてはなはだ劣悪な状態にあり、特に労働者災害の原因になりやすい機械、電気、アセチレン溶接裝置等の安全裝置も考慮されず、またこれらに対して取締りの現行法上措置の方法なく、従業者は危険に放置されている現状である。ついては、これら従業者を危害疾病から守り、国家経済再興に寄與せしめるためにも、災害防止並びに健康保持の最低基準確保の措置を講ずるは当然のことであるから、すみやかに関係条文の改正または基準法に準ずる法令の制定等を実施されたいとするものであります。  日程第九、失業対策事業費賃金單価引上げ陳情要旨は、鳥取県における失業者は、漸次自由労働者として固定化し、現在すでに千五百名を越えているが、同県に適用されている失業対策事業賃金單価は、重軽労働を合せて平均百五十八円という、他府県に比して著しい低額なものである。ついては、現行の平均賃金單価を二百円に引上げられ、同県の平均が労働日数を全国平均稼働日数二十日間並に稼働できうるよう、政府の失業対策事業のわくを拡大されたいとするものであります。  日程第一〇、日雇労務者賃金値上げ等に関する陳情要旨は、朝鮮動乱の余波を受け、物価等の急騰の中に、日雇い労働者は依然として低賃金に縛られているが、特に島根、鳥取地方全国最低地として特別扱いであるため、同地の日雇い労働者は、生きる権利をも奪われているほどである。これらのほとんどは戰争未亡人、復員者、引揚者等であり、悲惨な生活の中に自力で生きる喜びを知つており、また社会への復帰を念願しているもので、去月二十六日より人権主張無期限ストに突入したのであるが、これら日雇い労働者の現状を理解され、次項のすみやかな実施を考慮されたい。一、日雇い労働者に男女平均賃金一日二百五十円を與えること、二、完全就労をはかることを希望しております。  日程第一一、失業対策事業割当是正等に関する陳情要旨は、失業対策について次の事項の適切なる措置を講ぜられたい。一、北海道に対する失業対策事業の割当は、他府県に比較して小いが、これは冬季対策を軽視した措置であるから、全国的に均衡のとれた適正割当を実施すること、二、失業対策事業による労銀は全国画一的に二百九円となつているが、北海道のように燃料、衣料等の生計に多額の費用を要する地帶では、不公平きわまるものであるから、これを特殊事情に応じた賃銀に引上げることを陳情しております。
  113. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側に御意見があれば承ります。——それでは本日はこれで散会いたします。     午後六時八分散会