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1951-02-21 第10回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席分科員    主査 橘  直治君       井手 光治君    尾崎 末吉君       永井 英修君    川崎 秀二君       川島 金次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山崎  猛君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 荒木茂久二君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     國安 誠一君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  山口  傳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      足羽 則之君         運輸事務官         (自動車局長) 牛島 辰彌君         航空庁長官   松尾 靜磨君         電気通信政務次         官       加藤隆太郎君         電気通信事務官         (経理局長)  肥爪 龜三君         電気通信事務官         (経理局主計課         長)      井田 勝造君  分科員外出席者         海上保安官         (海上保安庁総         務部長)    寺田 新六君         電気通信事務官         (大臣官房人事         部長)     楠瀬 熊彦君         電気通信事務官         (業務局運用部         長)      堀  雄一君         電気通信技官         (業務局計画部         長)      米澤  滋君         電気通信技官         (施設局施設部         長)      平井  始君         予算委員会專門         員       園山 芳造君         電気通信委員会         專門員     吉田 弘苗君         電気通信委員会         專門員     中村 寅市君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年一般会計予算運輸省郵政省及  び電気通信所管  昭和二十六年度特別会計予算郵政省及電気  通信省所管  昭和二十六年度政府関係機関予算運輸省所管     —————————————
  2. 橘直治

    ○橘主査 昨日に引続き、予算委員会第四分科会を開会いたします。  まず昭和二十六年度一般会田邊繁雄君計予算及び昭和二十六年度特別会計予算中、電気通信省所管について審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。井手光治君。
  3. 井手光治

    井手委員 電気通信省関係について、二、三御質問を申し上げたいと思います。先般の予算委員会におきまして、自由党の天野議員から質問がいたされたのでありまして、主として電話架設関係実情について、大体の御質問終つたよう考えておるのでありますが、私はこの問題をもう一歩掘り下げてお聞きいたしたいと存ずるのであります。  昨日の電気通信事業関係政務次官報告によりますると、二十五年度における電話は、大体戰前架設数に達したという御報告があつたようでございます。しかしなお戰災都市方面、ことに大都市関係復旧は、五〇%ないし八〇%しか及んでいないので、戰前に比して著しくまだ遅れておる、この関係を急速に復旧したいという御説明があつたようでありますが、一体二十六年度加入電話増加を、どれくらいに予定されておりますか。またその申込み予定者に対しまする架話予定の比率は、どういう関係になつておりますか。まず最初にそれから承つておきたい。
  4. 加藤隆太郎

    加藤政府委員 二十六年度電話架設計画は、加入者数におきまして大体七万五千を予定いたしておるわけであります。しかし実は終戰前の最高の電話加入者数は百八万程度でありまして、その後鋭意努力をいたしまして、復旧を急ぎまして、現在に及んでは百十三万五千に達しておるのであります。このパーセンテージは一〇五%に相なつておるような次第であります。今年度におきましてはできるだけこの七万五千を完遂するとともに、さらに回線等増設によつて、疏通の向上と、さらに需要の要請に応じたいと考えておる次第であります。
  5. 井手光治

    井手委員 そういたしますると、大体加入申込み架設予算の割合ははなはだしく少い。申し上げるまでもなく電話経済自立計画の遂行上、重大な関係を持つておるのであります。なお今日の日本の文化的な施設の先端を行くものとして、電話架設の不十分だという状況においては、まことに嘆かわしいのでございます。いろいろな雑誌の報告等によりますと、アメリカのごときは架設申込み公衆電話でいたしますと、二時間以内に電話架設されるというようなことまで書かれておる今日、加入申込みの一割にも足らぬような増設では、電話加入権やみ値が最近また非常に上つて来つつありまして、東京大阪のごときは、大体都心部におきまして七万円から十万円以上のやみ値を呼んでおる。これは現実に行われておるのであります。この申込みに応ぜられないという原因について、現在の建設費予算不足から来ておるということは、先般大臣電気通信委員会において詳細に報告されております。この問題は今日物価が上昇しつつあるという状況と、昨年度に比して幾ばくも増加されていないという二十六年度予算との相対的の考え方からいつて、これはなかなか容易なものではない。そこでこの問題を解決いたしまするのには、先般の大臣説明によると、なるべく民間需要者の希望する面から、何らかここに資金の導入をはかるということを考えておる。しかもそれは借入れ等方法による方途も考えられるという御説明を、この聞しておられたようでありますが、いずれにいたしましてもこの問題は、予算不足現状において、申込者の一割程度しか架設できないという現状を打開する具体的な方法を、この際どうしても考えなければいけない。予算の増額が認められなければ、あるいは先般の電話公債の発行といつたようなものも、関係方面了解が得られぬとすれば、何らかこれにかわるべき具体的な措置が講じられなければ、いかに言いましてもこれはから念仏で、問題の解決にならぬと思います。そこで私どもはどうしても、先般大臣が言われましたように、民間業者資金をここに誘導するという具体的な問題をひとつ研究いたしまして、どういう方法が一番いいかということを解決しなければ、電話架設の、全面的な解決はつかぬと思うのであります。今回提出されております有線電気通信法でも、電話施設架設は、電気通信省予算の範囲に限定しておるということでありましても、これについてはいくら論議いたしましても、大体予定の数が架設できない、あるいは物価上昇等によつて、それすらも解決できないということは、常識的に考えられておるのであります。私が申しますように、資金不足民間負担でやるという方法を、具体的に考えなければならぬと思うのでありますが、先般大臣が御答弁をせられました民間資金を誘導して来て、そうしてこれを借入れ方法にとるとか、あるいは電話公債類似方法によるとかいうような問題について、何か具体的な成案が得られておりますかどうか。現実架設費負担が、先般の説明によりますと平均十万円を上まわるということであります。しかしそれほどの負担を直接負担としてかけるということもどうかと思うのでありまして、ある程度負担をかけるということは、国民の常識から言つても、その方をむしろ希望しておるという状況にある。これほど電話架設ということは逼迫しておるのであります。そういう点において、先般の何らかの具体的な方法考えたいという御説明に対して、その後の御研究の結果が一体どういうふうになつておりますか、一応伺つておきたいのであります。
  6. 加藤隆太郎

    加藤政府委員 まことにごもつともな御発言でございまして、実は電話需要が戰後著しく旺盛でありまして、本年度も申込み積滯が六十万を越えるであろうと予想されるときにおいて、わずかに七万五千をふやすくらいでは、とうていこれに対応しることはできない、こういう現状をはなはだ遺憾といたしておるのであります。しかうして現に東京都内のような大都市の事情におきましても、不可能地域というのが多々あるのでありまして、とうてい簡單架設ができないといと現状であります。要するにこれは基礎設備不足であるということから招いておる結果でありますが、これらの基礎設備を充実せんとすれば、相当の資金を要するのでありまして、簡單には参らぬのであります。かような実情におきまして、本年度提出いたしております予算におきましては、その十全を期することはとうてい困難でありまして、当省におきましても、また大臣の御方針にいたしましても、これは要するに民間資金を活用することによつて、これが需要家の要望に即応いたしまして、これが促進をはかろうと実は考えておる次第であります。かような点について、今鋭意事務当局において立案を急いでおりまして、本国会にできるだけ早く法案を提出し、御審議を願うという考えを持ちまして、鋭意進行中でございます。
  7. 井手光治

    井手委員 ただいまの政務次官の御答弁によりまして、大体私ども考えております具体的の方法が、法律案として上程されるということでありますが、これは予算がない、できないという押問答を繰返しておることは、今日の状況においては許せないことでありますので、早急にひとつ具体的の案を御提示せられんことを希望申し上げておきたいと思います。  それから次に、電気通信事業特別会計につきまして、ちよつとお尋ね申し上げておきたいと思うのであります。二十六年度予算を拝見いたしますと、損益勘定におきまして歳出は三百九十四億、歳入が四百八十三億になつておりまして、損益関係から言うと益金が八十九億という数字になつておる。建設勘定の方はどうかと申しますと、歳出は二百二十六億、歳入は百三十八億、不足が八十八億という数字になつております。これはこの予算によりますと、電話料金による利益をもつて建設資金不足分を補つておるのであります。そうしますと、建設勘定歳入における百三十五億の公債收入計上されておるので、これを差引きますと、結局本特別会計は百三十七億の不足になるということが明らかになるわけであります。そこで損益勘定建設勘定を完全にまかなつて行くためには、結局ここに百三十七億の不足を補つて行く何らかの方法考えられなければならないと思います。昨日も郵政省所管におきまして、一般会計からの繰入れが昨年度十二億で本年度は三十五億、二十三億の増加になつておるということを御指摘申し上げたのでありますが、各特利会計不足金一般会計から充当する金額が、年を追うてふえつつある。政府関係機関予算においては、一般会計の繰入れを待たないで、独立してやれるという特別会計一つもない、かような状況にあつて、しかも年々一般会計からの繰入れが増加しておる。このままに推移いたしますれば、特別会計が本来やつて行かなければならない自給自足の態勢というものが総くずれになりまして、国民負担收入から各特別会計を補つて行かなければならないということになり、それが特別会計に及ぶということになりますと、先般来問題になつております公団赤字補填一般会計によつて全部まかなうということと同じような結果になつて一般会計に著しい負担を課することになる。経済原則から行きましても、やはり独立採算制によります各会計は、できるだけ一般会計間接負担によらずに、国民の直接負担によつてやればよい。たとえば郵便関係が足りなければ、潔よく郵便料金を上げる。これは同じことであります。国民全体からいいますと、結論は赤字補填を具体的にどうするかというだけの問題であつて一般会計によつて繰入れをする、いわゆる間接負担によることは思わしくない。一般会計から特別会計補填する額というものは相当の額になつており、これが年々歳々ふえて行く。しかも政府関係及びその他の公団等赤字補填ということが考えられますときに、私ども嚴密に計算すると、大体一千億程度の厖大な赤字補填一般会計背負つて、将来一般会計に重大な影響を及ぼすのではないか。結局これは特別会計本来の建前から、やはりその予算関係の内容において赤字補填に第一に着手する。それがどうしても解決しない、ほかに具体的方策がないというときに、初めて一般会計による歳入補填考える、こういうことでなければならないと思いますが、最近の政府関係機関予算は、きわめて安易な方法をとろうとしている。できるだけ、一般会計の繰入れに求めることが一番簡單でよろしいものだから、一般会計の繰入ればかりに頼つておる。各特別会計とも全体的にその傾向にあることを、私は非常に嘆かわしく思つておるのであります。そうかといつてどもは、電話料金を急速に引上げるというようなことを申すわけではありませんが、ただいまも申しましたような実情で、結局電話料金等引上げるようにして、そうしてまずもつて自主的経営体経済上の問題を解決するということが、まず第一に考えられなければならない。これが国民の精神的、物質的に及ぼす影響等は重大でありますが、これは今日いたし方がない。そこでこの際一般会計から繰入れをするよりも、むしろその経済に参加しておる国民の直接負担によつてまかなうという原則をまず確立する。これは單に電気通信特別会計のみならず、各特別会計に共通する。年々歳々各特別会計一般会計よりの不足補填増加しております。こういう状況でなかなか容易ならぬ問題を将来に提供しておると思いますので、実は申し上げるのでありますが、そこで電通省におきましては、関係方面に御折衝なさつておるようでありますが、この電話料金等値上げにつきまして、一体どういう考えを持つておりますか。これを具体的に申しますと、公衆電話のごときは現在一円であります。これは今日の物価水準から言つて電話使用料の一円は非常に安過ぎる。これをいま少し上げるようにするとか、あるいはこれは好ましいことではありませんけれども一般加入電話料金も現在の二円を三円にする。はがきも大体二円でありますから、電話の方がはがきよりも便利で早い。これがはがきと同じくらいなところでも、決して国民が高いということは言わないと思う。こういうことを考えられて、建設費不足をまず自主的な面から解決して行くことをお考えなつたならばどうかと思うのでありますが、これらの点について、もしかりに公衆電話を一円引上げ加入電話料金を二円から三円に引上げることになりますと、赤字補填の総体の歳入のバランスがどうなるか。このことは電話料金を上げるということを、別に声を大にして言うわけではございませんけれども、これらの特別会計経理不足であつて国民一般負担によりすまる一般会計の繰入れによらざるを得ないという現状を、十二分に国民に納得さすことができますならば、これは喜んで解決できる問題であろうと思うのでありまして、この点、不足をカバーする計数的な根拠というものをお考えになつていることがありましたならば、この際ひとつお教えをいただきたいと思います。
  8. 加藤隆太郎

    加藤政府委員 電話料金の問題につきまして、先ごろ新聞あるいはラジオで報道または放送されまして、お聞きであろうと思いますが、しかしあの報道はまだ省議において決定をいたしているのではございません。ただわれわれといたしまして現下の電話、電信の料金が、公共施設ではありますけれども、いかにも原価を割るような面も多多ありまして、その間調整をはかることによつて合理化をはかり、しこうして仰せの通り今の建設資金面で非常な苦痛をなめている現況におきまして、当然これらは加入者に対し、利用者に対して、均衡を期する意味におきまして、料金の点もせつかく今考慮中でございまして、まだこの間の放送、新聞の記事も、実は確定いたしているわけではないことを御了承願いたいと思います。この点につきましては鋭意研究中でございまして、遠からず御審議を願うことに相なるかと思います。なおその他の点につきましては、経理局長から答弁申し上げることにいたします。
  9. 肥爪龜三

    肥爪政府委員 政務次官からお答えのございましたことにつきまして、多少補足して御説明申し上げたいと思います。  ただいまの御質問は、赤字繰入れが大分あるではないかという意味合いに拝承したのでございますが、実は私ども会計におきましては、いわゆる赤字補填の繰入れはないのであります。建設資金といたしまして、預金部から公債金として受入れておりますのが百三十五億、終戰処理費から占領軍関係の仕事を命ぜられまして、それをやりますための経費が三億五千万円、これだけを受入れておりまして、いわゆる損益勘定におきまする收支が合わないという意味合いにおきましての赤字繰入れは、一文もないのであります。しかしそれで経理状態はいいのかと仰せになりますと、まことに惡いのであります。と申しますのは、一応つじつまを合せまして、なお減価償却といたしまして八十八億を計上いたして建設勘定へ繰入れて、一緒に建設工事をやつておりますが、しかし私どもの財産は、帳簿価格では本年の三月三十一日には五百六十五億になる予定でございますが、これを再評価をいたしますれば千八百億を超過するので、これに適正な減価償却率をかけますと、大体減価償却としてほんとうは百六億くらいを建設へ繰入れるというような経理をしなければならぬと思うのでありますが、それまではできておりません。その意味合いにおきましては、言いかえますれば真実の意味におきましては、赤字経営と申していいのでありますが、しかしとにかく一般会計からは、赤字補填としては繰入れられておりません。しかし十何億の減価償却計上不足額といいますものは、二十六年度はそれだけになつておりますが、たとえば二十四年度に比べますれば、二十四年では八十七億計上すべきものを四十六億しか計上をしてなかつた、四十一億不足しておつたという状態から見ますれば、十何億に減つたわけでありますから、経営状態はやや好転しているということは言えるのであります。しかしさらにここで考えなければならぬことは、御存じのように世の中からいろいろと御非難を受けているのでございますが、保守状態が惡い、何日間も電話が不通であるというようなことをいわれているのでありまして、こういうものに対しましてもう少し適当な補修費計上すべきでないかというようなこともいわれるようになりますれば、財政はまたよくなるのでありますが、一応現状保守運営状態におきましては、減価償却計上不足額が十何億という程度になつているわけでございます。そこでこういう額を補填をして、なおあわよくば建設資金もかせぎ出せるように、料金値上げをしてはどうかという問題は、一応考えられる問題でございます。やがて国会に提出いたす予定であります電気通信事業営業法案におきましては、料金というものは原価を償うべきものであるということを原則として参るつもりであります。それは正当な減価償却をすることと、維持運営の適当ということが原価になるのでありまして、そういう意味からいたしますれば、料金値上げをしなければならぬということになるのでありますが、一方国内のインフレを押えるというような面から行きますと、私どものような基幹的な事業におきまして料金を上げますと、いかがかと思われますので、その点は今のところ遠慮をいたしたいと思つておりますが、政務次官もお述べになりましたように、料金調整をしなければならぬ。今非常に不合理になつておりまして、サービスをよくすればするほど、料金收入は減るというような料金体系になつておりますので、こういう料金体系は根本的にかえなければならぬということで、目下鋭意調整案考えている次第でございます。御了承を願います。
  10. 井手光治

    井手委員 今の御説明でよく了解をいたしました。私はこの不足額一般会計から繰入れていると申し上げたのではないので、各特別会計がこういう状態を続けている限り、一般会計が各特別会計赤字補填不足をまかなつてやりつつあるので、このままで行くとやはりこの建設勘定においても、そういう状況が来ては困るということを申し上げたので、公債費の百三十五億分は現に建設勘定不足という状況にあるから、この機会にそういう安易な方法をとらずに、もつ料金調整その他について国民の納得する線において、具体的な方法を確立してもらいたいということを、さらに申し述べておきたいと思うのであります。  そこで電気通信関係についてはこれで終了するという考え方から、もう一つ、二つお尋ね申し上げたいと思います。現在御承知のように、東京都あるいは大阪方面におきましてもそうでありましようが都心部電話輻湊状況というものは、きわめて言語に絶するものがある。茅場町局のごときは、ほとんど午前中外線を受付けないような状況であります。ことに銀座局でありますとか、霞ケ関局京橋局というものは、非常に輻湊しておる。最近いろいろ電話関係資料等を調査いたしてみますと、マルテイ・ユニツト・システムと申しますか、総合自動式電話局というものが、アメリカあたりでは計画されておる。これは能率の上から言いましても、また経費の点から言いましても、現在のような單独な自動式電話局だけでは間に合わないところでは、非常に能率的だということをいわれておりますが、日本もそろそろ輻湊しておる中心区の電話局あたりは、このシステムを採用する機運に実は来ておるのじやないかと思う。これは技術的、あるいは建設面においても、相当な努力を要すると思うのでありますが、こういうことについて何か技術的な研究、あるいは計画的な御腹案がもしありましたならば、ちよつと伺いたいと思いますし、電話局が焼失をいたしておる、たとえば青山、高輪方面のごときも、これは現に監理局になつておるようでありますが、こういうのも、あわせてひとつ旧電話局復旧をしていただきたいという希望を持つておるのであります。とにかく中心部電話局輻湊は、どうしても技術的な面で解決を要する段階に来ておると思いますので、その点御質問申し上げます。
  11. 平井始

    平井説明員 ただいまの質問に対しまして御説明申し上げます。御指摘の点で、東京大阪等におきまして電話が非常に行き詰つて、現在どうにもならない状態になつておる。これを解決する方法として、アメリカでやつておるようなマルテイ・オフイスはどうかという御質問でございますが、まことにごもつともな御意見であります。われわれといたしましても二十五年度——本年度でございますが、本年度から東京大阪におきまして最初総合局舎をつくるように計画してございまして、一応の計画といたしましては、東京丸ノ内近所に、四万名を收容する局を設計いたしまして、これは遠からずその建物を起工するようにしております。大阪におきましても同じように四万名を收容する局を、大阪中心部船場計画してございまして、これが二十六年度末に一応完成するように今考えております。従つてそれができますと、丸ノ内方面、それから大阪中心部が、相当改善されるものと考えます。なお東京につきましては、丸ノ内近所だけでは解決できませんで、ただいま御指摘のございました銀座京橋方面、あるいは九段方面、こういうようなものがございますが、引続きまして二十七年度以降におきましん、銀座京橋方面を救済しますために、霞ケ関近所に新しい四万台の局をつくり、なお九段、牛込方面輻湊も相当なものでございますので、これを解決しますために、そちらの方面にも計画したい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なおこの機会にわれわれが建設計画としまして、どういう考え方で進んでおるかということを、御参考までに申し上げたいと思います。大都市の通話の状況は非常に惡うございまして、現在のところ東京では十ぺんかけて四へんしかつながらない、六ぺんはだめ、こういうような状況になつております。このおもな原因は何かと申しますと、まず加入者の話中が非常に多い、これが全体の三分の一くらいを占めております。それからあと局と局との間を結んでおります線が、非常に不足しておる。これが全体の一五%くらいを占めておる。それからあとは、加入者電話機のダイヤルの仕方とか、取扱いが惡い、これが大体一〇%強、あとの六〇%が故障とか、そういうもので成り立つております。それで私どもといたしましては、都心部におきまして、局と局との間を結ぶ線を増強いたしまして、まず話中を消す、そして加入者まで到達させる。次に大きな局をつくりまして加入者をふやしまして、現在話中の非常に高い加入者電話機をつけていただいて、それによつて総合的に全体の通話完了率をよくするというような方向で、本年度並びに今後の建設計画を進めて行く所存でございます。
  12. 井手光治

    井手委員 大変りつぱな総合的な計画をされておるようで、これは最近の電気通信事業の朗報だと考えられる。せつかくひとつそういう総合自動式の電話建設に一段の努力をされたと思います。  次に、私ども都心部で生活をしておるものでありますが、御承知のように、たとえば東京都の例をとつてみますと、大正十二年の大震災及び今度の戰災にいたしましても、全国的に類例のない災害というものが、ずつと歴史の上において周期的に見舞われておる。安政の大地震以来の災害の歴史をひもといて見ますと、世界に名だたる災害は、必ず東京になつておるという状況になつておる。しかも災害の度が非常にはげしい。そこで私どもは常に考えておるのでありますが、こういう周期的に災害を受けておるという歴史的事実の上にかんがみまして、東京電話架設ということは、よほど技術的にそれらの面を考慮して実はやらなければいかぬと考えられる。これは大都市の復興関係におきましては、單に電話の問題ばかりでなしに、実は相当考えなくてはならぬと思うのでありますが、ことに一時災害に見舞われますと、一番必要になつて参りますのは電話であります。電話がとぎれた状態というものは実に哀れなものでありまして、このことによつていろいろな面に支障が起る。多少のことは災害を受けても、電話だけはしつかりとした都市建設をいたさなければならないと思うのであります。そういう点について、單に従来の架設復旧ということばかりでなしに、もつと災害に対応しますところの、技術的な研究を要するのではないか。あるいはでき得ますならば、一部地下線等の計画もやる。そういう面も十分ひとつ研究をいたしまして、将来の大都市の災害対策に対応し得るような、高度の技術面の研究も必ずお願いを申し上げておかなければならぬと実は考えておるのであります。これは希望であります。  もう一つ都心におきまするローカル線の復旧が、非常に遅れておるようであります。私ども施設局長その他にもお願いを申し上げましたりいたしましても、電話局に折入つて調べさせてみると、ローカル線の復旧がない。ところがふしぎなことに、ローカル線が来ておらぬというが、申込みをした隣の家には電話が来ておるという、何だかわからぬところが非常に多い。聞いてみると、ローカル線が来ておらないので、電話の引込みができないという御返事であります。どうもその点がピンと来ない。こういう点はどこから来ておるか。あるいはローカル線の復旧はどの点まで行つておりますか。ことに本所、深川方面の下町におきましては、うんと復旧が遅れでおるようであります。この点がどうもピンと来ませんから、一応お尋ねいたしたいと思います。  それからこれは町場の声として、私が代表してお話をするということで、ぜひお聞きとめを願いたいのでありますが、先ほどお話がございましたように、電話架設の申込みをいたしましても、大体一割程度しか加入できないという現状にありますことが、実は私がこれから申し上げる重大原因になつておるのであります。国民の側からいいますと、電話がどの程度加入できるものかということがわかつておらない。しかもどの辺ならば加入しても、架設の能力があるのかどうかということが、きわめて不明瞭になつておる。だれもわかつておる者がおらない。そこで電話加入の申込みをいたしましても、申込みをいたしただけでは、架設できるのか架設できないのかわからない。そこで問題は、單なる申込みだけでは解決しないというのが現状で、本来から言いますと、申込みをいたしますならば、電話局の窓口でそれぞれの関係の手続を経て、決定できれば工事へまわつて、工事が行われるという順序になりましよう。そういう形態になつておる。申込みをしても、半年経つても一年経つても、うんだのかつぶれたのかわからない。今日の状況はそうである。でありますから加入の申込みをすると、結局いろいろな手を使つて架設をした者が勝だ、申込みだけでは解決しないというのが、今日の電話状況であります。従つて申込みをすることは、当然の手続によつていたしておるのでありますから、申込みをいたしたらその電話はどうなるか。あなたのところはこういう関係架設できない、できると、あるいはこれは可能区域であるか、不可能区域であるかということを、もう少し加入者に親切に指導されたならば、もつ電話建設は明朗に行くのではないかと思います。申込みだけで解決しない電話は、おそらく日本だけだろうと思います。こういう不明朗なことでは、国民電話行政に対しまする信頼感というものは、低下する一方です。おそらくあらゆる公共企業体を通じまして、電話に対する不信が一番はげしいのじやないか。電話の重要性と、電気通信の重大性を、私ども真剣に考えれば考えるほど、これは遺憾な点だと思う。でありますから、加入申込みだけでは解決しないというでたらめな状況は、今日は放任できないと思う。加入申込みをしたら、その結論はどうだということを明らかにして、もつと明朗に加入の問題を解決するよう、ひとつ申し上げておきたい。電気通信事業関係国民生活の中に飛び込むというふうな、精神的な作用をするくらいな、明朗な行政をやつていただきたい。結局一割程度しか架設できないということはしかたがないのでありますけれども加入申込みだけではいろいろな手を使わないと解決できないということは、国民の側では非常に不可解に考える。それらの点について、今後のお考え方がありましたならば伺つておきたいと思います。
  13. 平井始

    平井説明員 ただいま御質問のございました二点につきまして、御説明申し上げます。初めにローカル線の復旧が非常に遅れておる、この原因はどうかというお話でございました。電話というものは非常に金がかかるものでありまして、実は私ども国民の蓄積されましたお金をお借りしまして、それでやつておるのであります。大体戰災のときに、日本電話の半分近くがやられてしまつたのでありますが、終戰後五箇年間、非常な急ピツチで戰前のレベルまで今復旧したわけであります。それでどういう方法をとつたかと申しますと、まず線なり、設備なりがあいておりましたならば、これにとにかく入れるという方式で、基礎設備増設せずに、どんどん電話をふやして行つたわけであります。それでようやく現在戰前の線まで返つたのてありますが、さてここで振り返つてみますと、すべての基礎設備が一ぱいになつておりまして、どうにもならない。本年度あたりから基礎設備の充実ということに、相当の重点を注いで参つております。従いましてこれには相当の金が投下されなければならないと思います。御指摘のローカル線の方までは、まだ手がまわらない。まず局の中からだんだん始めて行くよりしかたがないということで、もうしばらく利用者の方々にごしんぼうを願わなければ、今のところまだそこまでは手がまわらないということを、われわれは申し上げておるわけでございます。この点御了承をお願いしたいと思います。  次に国民としては、電話架設につきまして非常に不明朗な感じを持つておるという御指摘でございまして、われわれも終戰後そういう声をしばしば聞いたのでございます。それでこういうことではただいま御指摘のように、事業としての信用にもかかわるということになるのでありまして、その後におきましてサービス・オーダー、あるいは優先受理基準というような基準をきめまして、それによつて現場でもつて受付けたものは、その基準に照して架設して行く、こういうふうにきめまして流しております。また昨年におきまして、いかなる人の紹介があろうとも、サービス・オーダーの線は一歩もくずすなというような通牒を現場に流しまして、それによつて事業の信用を高めて行こう、こういうふうに努力しておるのでありますが、遺憾ながらただいま御指摘のようなことを聞くのは、われわれとしましてまことに遺憾でございますが、なお今後とも現場におきまして、一定の基準というものをいつでも利用者にお示しをいたしまして、この基準に照して、あなたの方はこうでございますということを御説明申し上げまして、あくまで納得していただいて、さらにできないものならば待つていただくというふうにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 井手光治

    井手委員 まことにありがとうございました。
  15. 橘直治

    ○橘主査 永井英修君。
  16. 永井英修

    ○永井(英)委員 一点お伺いします。電話加入を申込んでもなかなか来ないということが、通常の状態になつておりますが、ただいまは井手委員から都市中心のお話がございました。いなかにおいても非常に電話がないために、特に農業協同組合なんかで、電話がかからないために、非常な不便を感じておるものがあるのであります。ところがそれが距離でもつて制限をされておる。そして材料を出すからかけてくれないかと言つても、それは禁止されておるからできない。こういうようなことのために、非常な不便を忍んでおるわけであります。個人の家ならばともかくも、一つ公共施設で、どうしてもなければならぬのが、そういう制限のために電話架設ができない。材料を提供しても架設ができないということが、まだ現在続いておるかどうか。それは材料の関係で、材料が統制をされておるために、しかもそれが非常に不足するために、材料を出して架設をするということはできないということになつてつたそうでありますが、現在においてはさような不便もないようでありますし、まだそういう制限をずつと続けて行かれるかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  17. 加藤隆太郎

    加藤政府委員 まことにごもつともなことでありまして、電気通信が公共的施設の立場から、私どもも地方農村、あるいは山村の方々のために利便をはかるということは、当然の心構えでなくてはならぬと思うのであります。現況は確かにそうした方面について、十分な施設ができがたいような現状でありまして、はなはだその点は遺憾といたしております。この点につきまして、御指摘の通りかような申込みの各位から、負担を提供してもというような御要望のある声も聞いておるのでありますが、しかし現下におきましてはさようなことができがたいような実情でございますから、今後この点につきまして、当局として負担のできる、設備のできる程度を越えた遠いところの地に対しましては、申込者の設備の負担金といつたような意味において、御協力を願えるような法律案について、実は今鋭意研究を進めておりまして、近く本国会に提案いたしたいと考えておるような次第であります。この法案が実現いたしますれば、御要望に沿い得ることと考えておるような次第でございますので、しばらくごしんぼうをお願い申したいと思つております。
  18. 橘直治

    ○橘主査 それでは電気通信省はこれで終りました。  次に昭和二十六年度一般会計予算及び昭和二十六年度政府関係機関予算中、運輸省所管について審査を進めます。  この際運輸大臣より発言を求められております。これを許します。山崎運輸大臣
  19. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 一言主査以下委員各位に、特にごあいさつを申し上げておきます。先月の末からはからずも惡質の感冒にかかりまして、一昨日まで病後の静養をいたしており、昨日から登院いたしたような次第であります。本国会における最も重要な法案である予算審議の最中に、長い間欠席をいたしまして、諸君の予算審議の上において少からざる御迷惑をおかけしたことを、胸中はなはだ穏やかならず、恐縮に存じておるような次第でございます。本日からは出席いたしまして、諸君の御審議に政府者としてできるだけのお努めをしたいと考えております。よろしくお願いいたします。一言ごあいさつを述べておきます。
  20. 橘直治

    ○橘主査 質疑の通告があります。これを許します。井手光治君。
  21. 井手光治

    井手委員 それではせつかく大臣がお見えでございますので、一、二だけこまかい質問を申し上げたいと思います。今日私ども日本海運界の進んでおります道を静かに拝見いたしておりますと、大体外航船舶についての新造計画、最近船舶の不足関係から買船、傭船等の計画が具体的になつておりまして、漸次戰前の海運水準に向つて大きな飛躍をしつつあることは、私は日本の海運のために、非常に喜ぶべき状況であると思うのであります。その御努力に対して、最善の敬意を拂つておるのであります。ただここに私ども考えなければならぬことは、日本の海運政策の上において、外航船舶の拡充というような、大企業的な海運政策のみに、少し偏重し過ぎておるのじやないかという気持がいたすのでございます。それと申しますのは、翻つて沿岸輸送の問題にもなつて来るのでありますが、沿岸輸送の問題は、御承知の通り戰争中及び終戰後盛んに活躍しておりました機帆船等が、自然に消滅をいたしまして、この機帆船の沿岸航海はほとんど壊滅の状態になつておる。これは今日の海運事情から言いましても、今後海運界は健全な鋼船の沿岸輸送という、本格的な海運の態勢に切りかわつたという点から見まして、当然帰結すべきところに帰結していると思うのであります。その点について私は異議がないのであります。そこで沿岸関係の海運につきましては、順次機帆船から鋼船に切りかわつておる。しかも百トン以上ないし八百トン以下の船が民間に返されまして、順次鋼船による沿岸輸送計画というものがだんだん拡充されておるのであります。これは海運界から見ますと、先ほど外航を主とする大企業の海運ということを申し上げた反面に、海運界の中小企業の健全な復活の状況になつておる。そこで私どもが見のがしてならぬことは、一面ただいま申し上げますような大規模的な外航船の拡充ということを大きく進めますとともに、海運界の中小企業でありますところの、沿岸輸送の面も見のがしては困る、これも相当力を入れなければならぬ時期に来ておるのではないかと思うのであります。と申しますのは、昨日も運輸省の国鉄関係から、順次輸送力の拡張をして、滯貨の一掃に全力をあげておるというお話でございましたが、最近の情勢から見まして、鉄道輸送だけでは全然解決つかない面が非常に多い。ことに八幡でありますとか釜石でありますとかいうものに、非常にあせり気味で送つております。スクラツプの輸送関係におきましても、鉄道だけでは解決つかない。あるいは石炭でありますとか、油でありますとか、鉄鋼石でありますとかいう問題は、沿岸輸送に全力をあげないと、鉄道の貨物輸送面では解決できないという状況が、日を追つて盛んになつておるのであります。そこで今申し上げましたように、大局的に今日外航を主とする大企業方面には、国家資本あるいは見返り融資等をもつて、非常に建設的な充実方策はとつておりますけれども、海運界の中小企業でありまする沿岸輸送面は、ほとんど海運政策の上に何ら考慮が拂われておらないという状況であります。融資関係にいたしましても、ほとんど中小企業面の海事金融は行き詰つておる。市中銀行は、大体沿岸の方の中小企業の海運融資というものは全然考慮されておらない。そのために機帆船海運はほとんど壊滅状態になつておる。しかも中小企業として沿岸の堅実な鋼船に切りかわるという必死の中小企業者も、ほとんど海運界から抹殺されておるような現状になつておる。こういう点については、大企業的な外航偏重ということではいけないので、日本の海運界に大きく目を向けますと同時に、沿岸輸送にも相当大きな力を入れなければならぬのでありまして、内外相呼応して、日本の海運政策というものが振興して行かなければならぬと思うのでありますが、この海運界の中小企業の振興対策につきまして、一般企業と同様に、海運政策の大きな見地から、何か具体的な方策を持つておりますかどうか。たとえば海運界の中小企業に対する見返り資金の融資については、どういうふうなお考えを持つておられるか、あるいは日銀の融資関係等の操作あるいは連絡ということについて、海運当局は一体どういうふうなお考えを持つて進んでおるか。この点もし具体的な案がありましたならば、この機会にひとつお話願いたいと思います。
  22. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいま井手委員より前提として一般海運政策の建前、ねらいということについての御意見の御開陳があつたのでありますが、それは全然私どもと同感同憂の御意見であつて、私どもも決して沿岸海運事業を軽視しておるという心持は持つておらないのであります。ただ今日の日本の産業復興、経済復興という大きな見地から、日本がまず第一に貿易によつて、この面の大きな役割を果して行かなければならないという事情に追られておることは御承知の通りであります。そういう点から一応外航船の拡充を必要とした次第なのであります。しかしながら昨年の前半期においてはそれにもかかわらず、戰標船のごとき低性能船を抱き過ぎて、もてあましたような状態になつております。これが海運界の健全な発達の上において、いろいろ支障を来すというので、御協賛を得て買い上げた低性能船を、スクラツプにせざるを得ないような上半期の状況であつたのでありますけれども、六月末朝鮮事変の勃発以来、日本経済界は全面的に非常なる衝撃を受けて、ここに予想せざる大きな変革をせざるを得ないような状態になり、せつかく御協賛を得て買上げに決定したる低性能船舶も、その事務的手続を進めておる間に、かえつて逆に拂いもどしをして、売り下げなければならぬかというような意見さえ出るような状態なつたわけなのであります。さらに朝鮮事件の進展の結果は、支那沿岸における貿易は禁止せられて、日本の重要なる鉄鉱石のごとき、産業復興のために必要なる原料資材を、太平洋を越え、あるいはパナマ運河を越えて、大西洋面まで進出して長距離の輸送をしなければならないような事態に、時局が急変したというような状態になつており、むろんわれわれは軽率に次の世界大戰を想像するわけではありませんけれども、世界大戰に至る前にいろいろの国際経済的の変動の影響を免れることができませんので、どうしても将来日本経済的に自立をして行く上において、あるいは食糧の上の安全を確保して行く上において、一層ますます外航船舶の拡充強化ということが、眼前に差追つたような実情にあることは御承知の通りであります。昨年までは日本の持つ船によるところの必要物資の輸入は、わずかに二〇%ないし三〇%くらいの輸入しかできなかつたのでありますが、今申し上げたような国際政治経済の変局に処して、日本の自立経済あるいは食糧の安全を保つて行くということのために、大づかみに一千五百万トンくらいの輸入必要量ありと見て、それに対して少くとも五〇%くらいの日本船による輸入を、一応の目標として確保して行きたいということをわれわれは考えたのであります。こういう点に目標を置き、しかもこれは三年、五年の間に満たすのではなくして、世界情勢の変化に応ずる場合においては、ここ六箇月とか十箇月とか、少くも一箇年くらいの間に、その点まで確保するにあらざれば、日本経済自立あるいは食糧の安全を確保して行くことができないであろうということで、できるだけの力を眼前の重点的の問題に注ぎましたために、ただいま井手委員のお尋ねのごとく片手落ちの、沿岸海運政策を等閑に付したるがごとき、一応の外形を呈したのでありますけれども、御説の通りに日本は四面環海であります。かつまた小さいながらも、不完全ながらも、小さな天然の港湾も至るところにあるのであります。これらの港湾の整備も、船舶の増強とともに行いまして、そうして鉄道によつては不経済な、鉄道によることのできない面を、最も経済的な沿岸海運業によつて埋めて行くということは、日本が当然なすべき地理的状況であり、経済状況である、これは全然御同感の意を表する次第であります。ただ前来申し上げたような国家当面の量点に、力をまずもつて注いだという点でありまして、これはもちろん御賛成を得ることと考えるのであります。続いては機帆船等、問題のあります沿岸海運に充てるところの船舶を、だんだん向上せしめて行くという点においては、全然御同感であります。現状においては資金の面において、簡單率直に申し上げれば、出まわりかねておるのが実情でありまして、そのように復興日本が、あらゆる面においてここも不足、ここも足りないという叫びのあることは、日本復興意欲の旺盛なることを示しておる、まことに瑞兆であると私ども考えたのでありまして、至るところに国民の不満の声があり、要求の声があるということは、伸び上らんとする形そのままの姿であろうかと考えるのであります。これは御鞭撻をまつて、十分にその心持で沿岸の運輸、船舶、港湾、陸運との密接なる関係を保つて、水陸ともにあわせて経済復興、産業復興の面に資したい、こういう政策で進みたいと思うのであります。沿岸機帆船、その他沿岸の船の充実については、政府委員よりさらに詳細にお答えいたすことにいたします。
  23. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 大臣説明に対しまして、補足的に御説明申し上げます。運輸省が外航船に偏重しておるのでないということは、ただいま大臣から説明なつた通りであります。機帆船あるいは小型鋼船等の、いわゆる海運中小企業に対する海運政策はどうかという御質問は、私ども率直に申しまして、まことに海運政策の盲点をつかれたということでございます。私どもずつと長く海運行政にタツチいたしております者といたしまして、特に戰争中いろいろ御無理を願つた機帆船、小型鋼船が、今日非常な凋落状態にあるということは、まことに見るに忍びないと感じておるのであります。何とかしてこれを盛り立てて、みなが安定した生業を営むようにしたい、かように考えていろいろ苦心をしておるのでございますが、事業の実体が現在の日本経済情勢からいたしまして、積極的なる政策をとるのに非常に困難な状態でありますことは、井手委員最もよく御承知と思います。戰争中につくりました統制組合、あるいは最近までありました公定運賃制度、こういうものがすべて戰争中は、業界を統制するための機関でありました。戰後においてはそれが一種の中小企業の保護機関でありましたが、戰後の一般経済政策から、そういう政策がとり得なくなつた。さらに一つの残された保護政策であつた木船保險組合に対する援助ということも、一般的な補助政策の廃止という線から、これも除かれたわけであります。従いまして政府としては、中小企業を積極的に保護するという手段がまつたくなくなつてしまつたので、最後のそういう中小企業海運に対してとり得る方策としては、それらの海運が少くとも自由に働けるように、十分な燃料を供給するということであつたのでありますが、これも一昨年の五月以来大幅な燃料の規正を受けて、活動するにも活動できない、行くにも行けないという状況に追い込まれていたのであります。これに対して、私どもの頭で考え得るあらゆる手段を盡して努力し、また国会方面においてもたびたび決議をしていただき、また直接いろいろお骨折りを願つたのでありますが、遂にその効果を見ずして、昨年の九月まで行つたのであります。幸いにして昨年の十月以降、油については約千七百キロの増配を受け、それが今日まで続いている次第であります。これによつて機帆船はやや愁眉を開いた状況であります。ところで御指摘になりましたように、最近いろいろ陸運送が逼迫し、海上の沿岸においても荷が非常に増加いたしました。汽船並びに機帆船も相当繁忙を来した。荷物の面でも、たとえば関西方面日本発送電の炭切れのために、非常な混乱状況も起つて来た。これに対しては私ども政府部内として、特別の非常手段をとり、何とか危機を切り抜けたのでございます。こういうのを契機にして、さらに積極的に、ただいま申しました機帆船対策の唯一の残されたものともいうべき油の増配について、より一層の努力をいたし、何らか実を結ぶように持つて行きたいというように考えている次第であります。  なお金融のことでございますが、これも対象が非常に小さい、信用のないものですから、実際の効果を見るということはあるいは少かつたかと思いますが、私ども現地海運局としては、その地方の日本銀行、あるいはその土地の一般銀行とも御相談のある場合には、できる限りのお骨折りをいたしているのであります。しかし機帆船業者というのは、非常に信用力の弱いものであります。従つて十分なる成果を上げ得なかつたのではないかと考えるのでございます。なお今後においても、より一層積極的に努力をいたしたいと存じます。  なお一般的に金融対策をどうするかということは、結局機帆船の日本経済におけるウエートの問題になつて来ると思うのであります。今後海上輸送が非常に逼迫し、沿岸輸送も非常に逼迫する。機帆船に対しても、單なる機帆船保護という立場ではなしに、国家全般として何とかしなければならぬという線が非常に強く出た場合に、これに対する一般金融対策も、より一層やりやすくなるのではないか、私どもは何とかそういう口実を見つけたい。いろいろ機帆船について、どうするのだというお言葉が出ました場合に、率直に私どもとしては何とかこれを盛り返したい。しかしその方法ちよつと見つからない。その方法を示唆していただきたいということを、こちらからお願いしているような次第でございます。私どものそういう気持をおくみとりくださいまして、なおこの上とも御鞭撻を願いたいと思います。
  24. 井手光治

    井手委員 ただいま運輸大臣から、日本海運政策の重点的に施行される面につきまして御説明をいただきまして、私どもはまつたく同感で、その面につきましては全面的に御賛成を申し上げているのであります。そこでただいま申し上げましたように、外航の充実と国内沿岸も相伴つて海運が振興されなければ、ほんとうの意味の国内産業開発には意味をなさぬという趣旨から、私は申し上げているわけでございまして、ただいま海運局長からもお話のございましたように、掘り下げますと、中小企業である国内沿岸の輸送の関係については、実は問題がたくさんあるのでございます。これは一々申し上げませんが、私どもの今の考え方といたしましては、戰時中にふくれ上りました機帆船の運航が、一応大きな使命を私は果し終つたという考え方でありまして、機帆船が漸次小型鋼船に切りかわりつつある現状でありまして、これは海運界の健全性を物語るものであつて、造船コストの面から申しましても、耐久力の面から言いましても、機帆船はできるだけ小型鋼船に切りかえて行かなければならない。この面について積極的な考慮を拂うべきだと考えております。機帆船が振わないから、往年の統制下における機帆船の殷賑に復活したいということを私は主張するのではなく、機帆船は今日もう自滅に近い状態になつている。これは当然小型鋼船に切りかえて行く。沿岸輸送船もがつちりした海運界に切りかえなければなちぬという気構えでなければならぬという意味から、小型鋼船の充実について、ひとつ特段の考慮を拂つていただきたい。外航につきましては、例をとつて言いますと、輸送関係もだんだんコマーシヤル・ベースに近くなつた。国内は御承知の通り昨年鉄道の運賃値上げに引続きまして、大体九割三分程度のてこ入れを行つております。このてこ入れば少しもきいておらない。大体旧マル公の半額以下で競争している実情であります。そして船腹は不足している。レールの上に乘つている列車だけはてこ入ればきいて、当局はほくほくしているが、海運界は一つも響いておらない。事ごとに海運界の情勢は、非常に困難になつております。そこでどうしても根本的には、機帆船業界は気の毒でありますけれども、やはり時代の波に押されまして、造船コストの面から言いましても、漸次これを小型鋼船に切りかえて、健全な小型鋼船を充実させて、一朝有事の場合におきましては、日本の沿岸業者は微動だもしないという態勢を考えておかなければならぬ、こういう趣旨からお話申し上げているわけであります。機帆船はもうこの辺で見切りをつけて小型鋼船に切りかえる。そしてがつちりした沿岸輸送の職務を遂行するという海運政策に切りかえてもらわなければならぬ時期に来たと思いますので、小型鋼船の建造、あるいは中小企業の海運界の組合結成等の問題、いろいろな面が最近あるだろうと思いますが、これについて一段の御協力と御指導をいただきまして、日本の外航船舶の拡充による海運振興策と相まつて、国内沿岸航路の問題も十分解決できますように、一段の御援助をお願いいたしたい。  それから最近の造船コストの問題でございます。大臣も御承知のように、外航船舶及びただいま申し上げました沿岸の内航小型鋼船等の急速な拡充を要するのでありますが、あらゆる面から言いまして物価の値上りに伴つて造船コストの上つて来ることは当然でございます。諸物価の比率から申しまして、造船コストくらい高いものはない。実に驚くべき單価になつている。大体今日鉄鋼船の政府の見返りによりますコストというものはきめられておりますが、実際にはあれではできない。最近の情勢はトン当り十万円、稼働までにどうしても一トン当り十二、三万円要する。でありますから、驚くべきコスト高で、かりに百トンの鉄鋼船を一隻つくるとして、トン当り十三万円程度の相場で、稼働までの費用を見ますと、驚くべきものである。こういう状況にありますので、これをこの際何とか考えなければならぬ。一面において鉄鋼生産は、戰前のベースを上まわつて来ている。こういう状況に来ておりながら、造船コストというものは下らない。むしろ最近また七、八万円を上まわつて、ほとんど十万円というような状態になつている。これに船具その他の裝備をいたしますと、稼働までにどうしてもトン当り十二、三万円かかる、こういうべらぼうに高価な造船コストになつている。一面においてただいま申し上げましたように、鉄鋼の生産水準が戰前を上まわつていることを呼号しておりながら、造船コストは下つて来ない。これは一体どこに原因があるのか。こういう点を考えてみると、結局海溝界全体の問題として、あらゆる方策が造船コスト引下げというところに集中されていない。造船業者もなかなか苦しいということを言つておりますが、とにかくあらゆる面に比較して造船コストが高過ぎる。本年の鉄鋼生産の指数は非常に上まわつて来でおりますが、最近国内におけるくず鉄はだんだん減つて参りまして、おそらく今後三箇月程度の壽命しかないというような状況であります。従つてただいまくず鉄の輸入とか、鉄鋼石の輸入というものが、急速に行われている。しかし全体から言つて国内に資源がないかというと、ないわけではない。御承知のように戰時中から、日本の沿岸には数百隻の沈艦船が寝ております。この問題はほとんど民間の、つまり一企業家の大小、群小のいわゆる金へんのやみ屋さんにまかしている状態で、驚くべき状況になつております。しかし今日もう上もの式の手にゆだねておくべき時代は過ぎている。ただいま大蔵省の問題になつていて、大蔵省の所管として沈艦船の拂下げが行われておりますが、遅々として進んでいない。行われても現実に船が浮揚されない、くず鉄が上つて来ない。ほんとうにこれは微々たるものであります。そこで鉄鋼生産の面から言いましても、沿岸に埋もれております沈艦船を急速に引揚げて、むしろ私は今日は政府がこれを補助しても、この莫大な資源を国内の逼迫資材に向けなければならぬ状況が来ていると思いますので、沈艦船の引揚げは、造船のコストに今後及ぼす影響、あるいは鉄鋼生産等の今後の状況から見まして、どうしても筋金の入つた沈艦船の引揚げの措置を講じてもらいたいと思います。呉港、あるいは山口県下における状況は、今日まるで海上のどろぼうを放任しているような状況で、日々問題を投げかけております。一面において鉄鋼、くず鉄は三箇月しか、八幡あたりは持たないという状況に来ている。そういう点もいろいろ思い合せまして、どうしても沿岸にあります沈艦船の引揚げの問題をここで筋金を入れて、日本産業のために政府は補助政策をとりましてやつて行かなければならぬことが一つと、この引揚げその他の行政が非常に複雑まわまり、海上保安庁でやる、運輸省でやる、大蔵省でやる、出先機関に行きますと実に驚くべき複雑性を持つている。こういう行政面の統制を、運輸省なら運輸省が大局的見地から、政府機関に呼びかけてとつてもらつて、至急沈艦船引揚げの資材を、現実に早急に使うという手をお考えにならないものかどうか、非常に心配しておるのでありますが、その点につきましておそらくお考えと思いますが、お聞かせ願えば非常に仕合せであります。私の質問はこれで終ります。
  25. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 私どもも非常なる関心を持ちまして、御存じかと思いますが、造艦合理化審議令を昨秋来設置して、たびたび会合を開いて、船価引下げ工作を検討いたしているのであります。当時鋼材二万七千を土台にして船価トン当り、デイーゼル船でございますが、七万二千円くらいが出発当時の考え方でございます。ところがその後鋼材の価格が三万三千円、現在では四万六千円ですが、われわれの方の一応希望といいますか、それよりはもつと下げたいという考えを持つているのでありますが、鉄鋼協会の方では四万六千円ではむずかしい、かりに四万六千円を土台にして考えますと、今の船価がデイーゼル・ボートで十一万円以上になるという計算になつております。これではなかなか今つけられております見返り資金で、二十六年度の前期計画として二十万トンが実行できませんので、何とか一層船価を押えるような措置を講じたいというので、目下検討いたしているのであります。これにつきましてただいま沈艦船の引揚げについて有効なる手を打てということは、まことにごもつとものことでございます。別に権限としては重複しているわけではございませんで、大蔵省はいわゆる国有財産の処分としてやつている。そういう引揚げ、解体の仕事は、航路筋に当りますものは海運局、それ以外のものは運輸省の本省の方で当る、この点がやや重複している点があるかと思います。これは同じ運輸省内部のことでございますから、十分連絡をとつて、それがために仕事に齟齬を来すということのないように、十分注意いたしたい。なお大蔵省ともただいまのお説につきまして、十分緊密なる連絡をとりまして、少しでもくず鉄価格の低下、従つて船価引下げに貢献いたしますよう、十分な努力をいたしたいと思います。
  26. 橘直治

    ○橘主査 川島金次君。
  27. 川島金次

    ○川島委員 私は最初に運輸大臣に二、三お尋ねをいたしまして、あと二、三点については事務当局にお尋ねしたいと思います。  まず大臣にお伺いいたしますことは、運輸省の今回の予算の中で最も重要な、公共事業費の受入れ及び港湾諸改修等の費用が、相当額に上つておる。この額は相当額とは申しましたものの、実際の必要な額から申し上げれば、きわめて僅少な額ではないかと私は思うのであります。その上に、この予算を編成いたしましたのは、昨年の八月の諸物価を基準として、その單価を積算いたした予算ではないかと思う。しかもその編成当時においてすらも、運輸省が当然に必要とする事業量と対比いたしまして、非常に隔たりのある僅少な予算額であることと私は承知いたしております。その上にその後における国内物価の事情が著しくかわつて参りまして、安本の発表するところによつて見ましても、すでに平均物価は昨年の十一月以来、二〇%の値上りを示しておるという実情であるのであります。こういう一連の物価事情等を勘案いたしてみますときに、はたして運輸省が今回上程されました予算の中で、ことに物件を伴うこれら公共事業、港湾施設の改修、保安、こういう事柄に対する予算においては、運輸省が当初予定いたしておりました事業というものは、おそらく実施不可能の結果になるのではないかというふうに私は考えられるのであります。この点について運輸大臣はいかなる態度をもつて、この僅少な不足予算に対して対処されるおつもりであるか。あるいはまたこの予算を近いうちに補正する必要があるとお考えになつておるかどうか、その点について簡單でよろしいですから、御意見を伺つておきたいと思います。
  28. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。御説の通りに日本物価情勢が、昨年の八月ごろのねらいとしては、想像も及ばざる騰貴に騰貴を重ねて参つておるのであります。八月といえば朝鮮事変後一箇月以上を経た後であり、朝鮮事変の大体のねらいもつけつつ、相当先高を考慮の上に加えつつ基準を置いて編成した予算でありますけれども、その後さらに事変は、まつたく思わざりし中共軍の鴨緑江を越え、さらにまた三十八度線を越えて南下するような情勢となり、これまた世界の政治的にも経済的にも非常な衝撃を與えまして、ことに一衣帶水を隔てておる日本としては、その衝撃が最もはなはだしかつたことは御同様に考えておるのでありますが、こういうふうなまつたく思い設けざりし天災地変のごとき変動が、政治的に国際関係の間に現われて来た。その余波による物価騰貴というものが大なる要因をなしておると思うのであります。もちろんわれわれは港湾の場合におきましても、その他の運輸省関係施設の場合におきましても、今後復興に要する予算をできるだけ得て、国民の希望を満足させたいという気持はあつたのでありますが、一面においては税高の声もあるのであります。税收と支出と、いずれにしても国民に重大な関係を持つものでありますから、それらをにらみ合せつつきわめて不満足ではありましたが、ようやくごらんの通りの運輸省関係予算もできて、ここに参つておるわけなのであります。その上に思い設けざりし国際政治変局が経済上に及ぼして、物価騰貴となつたのでありますから、当初の予算をもつてこれをまかない得ざることは、三尺の童子にもわかるほど明らかなことでありまして、運輸当局者の希望といたしましては、重ねてまた予算の上に国会の御協力を願わなければならないような実情があるのではないかと考えておる次第であります。しかしながら現状はいずれにしても、編成したる予算を提出してすでに御協賛を願つておるのでありますが、願いつつある間にもそのような変局が今後どう進むか、われわれはできるだけ惡化せざることを望むのでありますが、これは今日日本が願つても、日本だけの希望によつては達し得らない国際的の圧迫であります。これに応じて必要な経費を追加せざるを得ないような事態になるかもしれませんが、理状においては、どうかできております予算に対して御協賛を願つて、そうしてその後の変化に応ずる態勢において、さらにまた国会の御協力を願つて行くという段階に進まざるを得ないかと思うのであります。
  29. 川島金次

    ○川島委員 運輸大臣のたいへん正直な所見を承ることができて幸いだと思うのでありますが、それとあわせてついでにお尋ねをいたしておきたいことは、運輸大臣のもとにあります国有鉄道の予算の中で、人件費もかなり多いのでありますが、工事建設等その費用も相当な比率を占めておることも、大臣御承知の通りであります。しかも昨日の委員会における総裁の言明によりますれば、工事中で最も重要な資材の値上りは、今日予算編成当時に比較して七割の値上げを見ておるものすらある、そういう正直な話を実はされておるのであります。そういうことを考えてみますと、国有鉄道の運営の上にも、予算的にきわめて重大な事柄が、予算の執行上に起つて来るのではないかというここが、きわめて明白に予想されるのであります。それに対しての国有鉄道総裁の言葉は、あくまでわれわれ国民に対して、きわめて遠慮がちな言葉である。すなわち物価の著しい騰貴ではあるが、当初の編成予算において何とかやつて行きたい、それ以上のことは今の段階では何も申し上げることはできない、こういうような当局としてはまことに同情すべき言葉をもつて答えられておるのでありますが、私どもから見ますと、ただいま運輸大臣が率直に申されました通り、国有鉄道の総予算の実施の面におきましても、国際情勢の影響による日本物価の高騰に影響されまして、そこに重大な欠陷が生ずることも、きわめて明白な事柄ではないかと思うのであります。そこでこの国有鉄道のことについても、ただいま大臣が率直に申された通りのような心配が十分にあるのではないかと思うのでありますが、その点についてあわせて御意見を承つておきたいと思います。
  30. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 国有鉄道の場合におきましても、物価高の影響を受けて、同様の形をとらざるを得ないようなことになるということは、当然と私は思うのであります。予算は文字通りあらかじめ算出するのでありまして、決算ではないのでありますから、情勢の変化に応じて物価が上つて来れば、当初の予定計画ができなくなることは当然であります。また政治は生きものでありますから、そういうふうなことになつて捨ておけないものが眼前に出て来た場合にも、またこれに対する対策を講じて行かなければならない。しかしそれは政府が專断で行うのではなくて、国民を代表する国会を通じて国論に訴えて、審議を経て、国民負担とにらみ合せて行くべきものであろうと考えるのであります。国有鉄道の場合においては、国有鉄道法によつて独立採算制という、ここに一つの大きな制約を受けておる関係もあつて、国の予算の場合とまた違つた制約の範囲内において運営しなければならない事情があり、昨日国鉄総裁がここでどういうふうに御答弁申し上げたか、私遺憾ながらその席におらなかつたのでわかりませんが、それらの制約の中にあり、かつまた公共の目的を達するという重い負担をになつておりますので、国有鉄道が財源を求めようとすれば、ともかく運賃等を引上げなければ、ほかに收入の道はないのでありますから、それはただちに国民の足に影響し、物の生産の上に影響をする。それらを多方面に考慮しつつ、遠慮がちにお答えしたのではなかろうかと私は想像いたすのであります。しかしながら国有鉄道としてやはり一つ独立採算制をもつて立ち行く以上は、会社経営ときわめて相通ずる点もあるのでありますから、それらは国有鉄道の従業員の責任において、相当の運営上のくふうをめぐらすことであろうと考えて、運輸大臣としてはまた予算、決算の面から、これを監督して行くということで行きたいと考えておるのであります。しかしながら物価が、今のカーブをそのまま四月以降まで持続して行くものやら、将来のことはまつたくわからないと申さなければならないのでありますから、現在の予算に御協賛を願つて、さらにまた政治的の考慮を加え、御協賛を願うという段階に進まなければならないと考えております。
  31. 川島金次

    ○川島委員 そこで私はお伺いを申し上げるのですが、この運輸省予算にいたしましても、日本国有鉄道の予算にいたしましても、常時でありますれば別でございますが、昨年以来今年にかけて著しく物価の上昇傾向がある。そういうことを前提としてわれわれがこの予算に立ち向います場合に、とうていこの予算では当初の計画が満足に実施できないということは、繰返して申すまでもなく明白であると私は信じております。そういう建前におきまして国有鉄道の予算も、運輸省予算等におきましても、これは暫定的な一種の予算であると言つてもさしつかえないのではないかとさえ私ども考えておりますが、そういう建前においてわれわれはこの予算審議にあずかつて行こうと思うのであります。そういうことに対する大臣の率直な御所見を承つておきたい。
  32. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいまのお尋ねの御趣意は、この予算は暫定的の予算なりやというお尋ねのように拝聽いたしたのでありますが、われわれが予算を組んで国会の協賛を仰ぐということについては、断じて暫定予算ではないのであります。これは詳細に申し上げるまでもなく、これをもつてつて行くという建前のもとに御協賛を仰ぐのであります。暫定予算をもつて御協賛を仰ぐというようなことは、議会に対する責任から言つても、はなはだ申訳ないと考えるのであります。でありますから、予算予算として計上し、御協賛を仰ぐのであります。今後事態の変化に応ずる処置は処置として、また別に考慮して行く。かように切り離して考えなければ、責任の所在が明確にならない、かように考えるのであります。
  33. 川島金次

    ○川島委員 大臣の立場上そういう言葉については、私ども一応理解ができるのです。しかしながら物価事情は、繰返し申し上げるまでもなく、突変的な事情ではないのであります。予算編成後ここにすでに数箇月、その後引続いて朝鮮事変の動乱を契機として上昇経過をたどり、なおかつ今後も上昇の傾向をたどるであろうということが、きわめて通念的に予想されているのであります。なるほど予算は出すからには、政府としては形式的にも実質的にも、暫定ではないという建前をとられるであろうということは、私どもも同意ができるのです。しかしながら物価事情はもはや突変的ではなくて、恒常的に上昇傾向をたどつておりますから、大臣もこの予算をもつてしては容易でないという率直なお話があつた次第であります。私が暫定予算という気持でこの予算審議に当つてよろしいかと尋ねましたその真意は、形式的の問題ではなくて、実質的にはそういう形に、もはや政府の予算がなりつつあるという事柄を建前として私は考えておりますので、そういう暫定的な予算考えてこの審議に当つてよろしいかどうか、またなさざるを得ない現状にあると考えましたので、そのようなお尋ねをいたしたわけです。その点繰返してお尋ね申し上げます。
  34. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 私の申し上げておることも、川島委員は御了解になつておるようであります。またあなたのおつしやることも、私は理解が行つておるように考えます。これは質問応答を重ねましても、並行線でいつまでもこれは続くことでありますから、お互いの腹の中はわかり合つておるけれどもも、先ほど私が申し上げたような建前において、国会の御協賛を仰ぐということをはつきり申し上げ、重ねてお答えといたしたいと思います。
  35. 川島金次

    ○川島委員 お話はその通りであります。従つて私は、この問題について押問答をいたそうという気持などは毛頭ございません。ただ形式的には、なるほど国家の一年間を通ずる決定的な予算であるということを申すことは、大臣として当然のことである。しかしながら実質的には、これは形式と違つた実情がそこにありましてその実情の前には、あくまでもこれは暫定的に予算に転落しておるということを、私どもは深く感じておりますので、そういうお尋ねをいたしました。しかしもうこれ以上お尋ねを申そうといたさないのでありますが、予算委員会の席上において、大蔵大臣に対して、この問題を私どもは深く追究をいたして来たのです。しかるに大蔵大臣は、ほとんど物価事情を無視された言葉の上において、この予算はこれでよろしいのだ、物価事情は違つて来ても、ほとんど改訂の余地はないのだというようなことで、われわれの警告にもかかわりませず、強気一点張りの答弁で通しております。私は政治家というものは、今の山崎さんのように率直であつてほしいと思うのです。物価の事情というものが現実の問題になつて来て、その影響するところは日本の財政に直接響いて参ります。響いて参りますれば、せつかく苦心をして立てられた各省の予算も、その実施の半ばにおいて改訂しなければならぬということは、これは国民の常識なのです。そうしてそういうことになれば、国民もまたそれに協力することもやぶさかでないということの建前で、私は大蔵大臣に、この問題についてはずいぶん、しつこく感ずるほどまでに質問を重ねて来たのですが、大蔵大臣はすなおな率直な答弁をいたしておりません。同じ閣僚の中にありながら、山崎さんのようなすなおな率直な答弁をもつてわれわれに対していただきますならば、これまたわれわれ野党といえども、これらの予算に対するところの審議、協力の仕方というものが、おのずから違つて参るのではないか、こういうふうに思いますので、これは余分なことでございますが、ついでに申し上げます。どうぞひとつ山崎さんのような、年輩の長老ですから、若い池田君などを十分に今後指導していただきたいということを希望いたしておきます。  次にお尋ねをいたしますが、鉄道の審議会の問題でございます。この審議会をつくりまする場合に、私ども趣旨といたしましては十分に了解し、理解をいたしておつたのでございます。しかしながらその後船船これは人ずてで聞いたことで、真偽のほどはよくわかつておりませんけれども、どうもこの審議会が、何か運輸省大臣の下に隷属した、單なる諮問的な機関、きわめて機動的でない、しかも積極的でない、熱意のどこかに不足した、いわば気の拔けたビールのような感じの審議会になつて来たのではないかというようなことを、実はひんぴんとして私は聞いておるのでございます。この審議会がそういうような形になることも、実は私は、真偽のほどは別といたしまして、当時から心配をいたしておつた審議会の委員の構成が、すでに民主的な形になつておらぬというところにも、審議会の機構、運営、活動というものが、非常にわれわれの期待いたしておりますることに反するような形になつて来ておるのではないかと思うのでございますが、大臣就任以来の審議会の活動、またその効果、またはたしてこの審議会が、このままで運輸省のために、あるいは日本の交通運輸のために、今日どうしても不可欠な、活発な仕事をしてもらえるような形になつておるかどうか、そういうことについての大臣の率直な御感想を、ひとつこの機会に聞かせてもらいたいと思います。
  36. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 私からお尋ねいたしますが、審議会と今おつしやつたのですが、運輸審議会というものが現在あります。それからもう一つ、私が就任以来、この前の議会などの場合に、運輸委員会で発言をいたしたもののうちに、新線を建設する場合の新線の選択についての委員会を設けて、新線のあり方を調整したいということを述べておるのでありますが、現在ある運輸審議会の意味でありますか、あるいはその構想のうちにあつた建設審議会の場合でありますか。
  37. 川島金次

    ○川島委員 現在の運輸審議会です。
  38. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 一応事務当局から答えまして、私が結論的にまたお答えいたします。
  39. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これは運輸省設置法をつくりますときに、いろいろ御説明申し上げましたように、アメリカに州際商業委員会というものがございまして、陸運、海運の関係の免許可事項を扱つておるわけでございますが、運輸大臣の所管におきましては、陸の関係、自動車、鉄道はもちろん、海運の関係、さらに最近は航空事業の免許に至るまでやるということになりましたために非常にたくさんの免許をいたす。この免許ということは、その申請者船船国民に非常に影響の深いことでございます。アメリカ式に、大臣が独断できめないで、広く識見のある人を集めて、そこで十分に審議した結果に基いてきめるという、いわゆる免許その他の重要なる行政処分の民主化という建前からできたものであることは、すでに御説明申し上げました通りでございます。従いまして、その方向に向つて逐次効果を上げて来ておると考えるわけでございます。御存じのようにその委員の任命につきましては、国会の同意を得て任命された識見と経験のある方々でございまして、これについてはいろいろ批判があることでございますが、現在までの状態におきまして、また将来を見通しましても、いわゆる重要な行政処分を民主的に行うという方向に、逐次効果を上げて来ておるものと考えておるわけでございます。
  40. 川島金次

    ○川島委員 運輸省のお方に、私が審議会のことを批判して、それに答えろというのは、大体無理だと思つておるので、それはわかつた。運輸審議会の目的、運答というものは、仰せになるまでもなく私どもよく存じております。ただこの審議会の構成の上について、何かもつと積極性を注入できるような構成の仕方というものは、考える必要があるのではないか、私は実はこういうように考えた、そのようなお尋ねをいたしたのであります。たとえば、この審議会の中に、国鉄労組の代表者を当然に入れるというようなことも、その一例であります。そういつた人的構成において、最も積極性をあらしめるという形にし直す必要があるのではないか、こういうふうに私は考えておるのでありますが、その点は考えたことがありますか。
  41. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 御存じのようにこの委員の構成は、資本家の代表とか、労働組合の代表とかいうような見地から選んでおるのではありませんので、運輸に関する事業につきまして、広い経験と高い識見を有する人を、国会の同意を得て任命するということに相なつておるわけでございまして、そのために限定をして、労働組合の代表を入れるべきであるというよう規定を書くことは、この委員会の本来の趣旨に沿わないかと思うのでございます。そうかといつて、労働組合の代表を排除しておるわけではありませんで、いわゆる年齢三十五歳以上で、高い識見と広い経験とを有しておる人に該当されるならば、労働組合の代表であるという資格ではなく、今申し上げました條件に該当される人があつて、政府が選び、国会の同意を得られれば、当然任命される道が開かれておるのでございまして、現在の構成をかえなければならないということは、目下のところ考えてはいないわけであります。
  42. 川島金次

    ○川島委員 そういう事柄にこだわつておらないといたしますれば、この際にお尋ねしておきますが、運輸審議会の今後の人選の場合に、国鉄労働組合のしかるべき代表者を推薦するという、政府に今後の考えと用意があるか、それをついでにお尋ねいたします。
  43. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 今ちようど任期が来ておる人もございませんので、人選をいたしておりませんから、具体的にどうこうお返事を申し上げるわけには参らないわけであります。
  44. 川島金次

    ○川島委員 事務当局に聞いておるのではない、こういう問題はひとつ大臣から御答弁を願います。
  45. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 ただいま事務当局より事実についてお答えをいたしておつたのでありますが、その通りでありまして、多くこれに言及する余地がないのでありますけれども、いずれにしても、国をあげての民主化ということは、われわれはあらゆる機会にこれを拡充し、充実さして行きたいという気持でおるのでございますから、法律の建前に基いて、できるだけ民主化的運営をして行こうという点には、やぶさかなる考えは持つておらないのであります。従つてさような機会がありまして、そうしてこの人こそ適任者となるというような判断を下し得る場合には、その道をとりたい、かように考えるものであります。
  46. 川島金次

    ○川島委員 次に、運輸大臣に最後のお尋ねとしてお尋ねいたします。そのあとは、二、三ありますが、事務当局でけつこうです。  本日の新聞を拝見いたしますと、国内民間航空許可の政令が決定をしておつて、そうして各紙ともそれぞれ大小はございますが、それぞれなりの報道をいたして、国民の非常な注目を集めております。ことにこの政令の決定にあたりまして、運輸大臣の談話が発表されておるのです。私は何も運輸大臣にけちをつけようというさもしい根性で、こういうことを申し上げるのでは決してございませんが、たまたま国会は開会中でございます。ことに大臣もからだがせつかくなおられまして、きのうから登庁というお話も承つておる。しかもきのうたまたまこの問題が決定して、きのうからは分科会が開かれ、運輸関係の分科が開かれておる。こういうときに——国会の閉会中でありますればまた何をか言わんやでありますけれども、いやしくも国会の開会中に、このような重要な新しい問題が一応正式に決定して、そうしてその内容についていろいろ具体的な事柄が定まつたといたしますれば、まず私は、運輸大臣がきのうの分科会に出て来て、その旨を国民の前に、国会を通じて報告されるということが、しかるべき道ではなかつたかと思うのであります。しかるに私どもは、けさ新聞を見て突然に、この航空の問題について初めて知つたというわけであります。これは私は、大臣の山崎さんにしては、珍しくエラーがあつたのではないかというふうに思うのです。そのことは私は議論を申し上げるつもりはございませんから、その程度にとどめるのですが、国会の開会中に、少くとも国務に関する重大な決定をいたしました場合——それを新聞に発表することも御随意ですが、しかしそれと相呼応して、それぞれの大臣が、国会の権威を尊重されまして、国会を通じて重要なる発言をされるということが、私は国民に対するところの一つの信義でもあり、大臣としての責任でもあろうかと考えますので、この私の意見を大臣についてに申し上げまして、御参考にしていただきたいと思うのであります。  そこでお尋ねをいたすのでございますが、新聞を拝見しておりますと、私どもにはまだよくわからないものがございます。新聞によるとかなり詳しいものもあるし、新聞によつてはきわめて簡單なものもある。そうして新聞によりましては違つた事柄が書かれておりますので、この機会に、来るべき二十二、三日に政令をもつて正式に公布するであろうと伝えられておりますところの、国内の民間航空の概要について、——きのう発表をして、また国会でお話をするということは、たいへんおつくうなことでございましようが、ぜひわれわれに正式にお聞かせを願いたいと思います。またこまかいことにつきましては、事務当局説明さしていただく、こういうふうに思います。
  47. 山崎猛

    ○山崎国務大臣 民間航空事業の大体の内定の模様が新聞に先に出てしまつて、ただいまなるほどごもつともな御注意と考え、私としてはたいへんけつこうな御忠告としてお受けいたす次第でございます。いい機会でありますからとの機会に申し上げますが、今お言葉にあつた通りに、近く公式に公布されるのでありますけれども、内容を新聞記者からせかれたりなどしたものですから話をしたような次第であり、従つて新聞社の方もこれに対して、あるいは詳しく、あるいは簡單に、その探訪力によつてそれぞれの記事が出たことと考えるのであります。きようは御注意を受けてたいへんいい機会でありますから、概略私が申し上げて、さらに詳細を事務当局から申し上げることにしたいと思います。  民間航空の開設ということについては、日本人全体が熱望し、待望し、一日も早くこれのできることを望んでおつたと申してさしつかえないと思うのであります。ただ極東委員会の議決の制約等もありまして、連合国側の制約のもとに、今日までわれわれはその待望を押えて忍んでおつたような状態であつたのでありますが、幸いにして連合国側との折衝等も順調に進みまして、急に今朝の新聞に出たような線まで参りました。すなわち日本側の資本により、日本側の法人によつて日本人によつて組織された会社によつて、地上の一切の設備をなし、運営をなすことをその会社が行う。そして今日許されない飛行機の製造、あるいは飛行機を持つこと、あるいはこれを運転することというようなことは、その外にあるのでありますから、これは料金によつて請負、あるいは雇い入れて、その会社が運転するような形になつて、民間航空事業が運営されるわけに相なるのであります。もちろんそれには重役あるいは資本の半ばに達せざる程度までは、外国の資本も外国の人も入り得るのであります。最後の実力は、日本側が資本の面においても重役の面においても過半数を制して、実際上の実力は日本が把握する。そして向うの飛行機を借りて、向うの運転手を雇つて運転をさせるというふうな形にまで進んで参つたのであります。これは実はどうせできることならば、最大限に日本の力で行けるようにと念願をし、望んで、その線に沿うて連合国側との連絡をとつてつたのでありますが、ようやく最高限度の線まで参つて内定をいたした、こういうふうな形に相なつたわけなのであります。その実際の運営についての事務的あるいは組織的のことについては、事務当局から御説明申し上げます。
  48. 松尾靜磨

    ○松尾政府委員 ただいま大臣から御説明がありました通り、昨年までは日本に乘り入れております外国の組織した会社が、日本の国内航空を経営し、運航をやるということになつておりましたけれども、客観情勢の変化で、一歩前進しました今度の形になりたわけであります。それでこの日本の資本でできました会社が、運航を担当する外国の会社と、マイル当り幾らということで契約をやる形になると思います。運輸当局として考えております路線は、東京大阪間を一日に三往復、東京大阪・福岡を一日に一往復・東京・名古屋・大阪・広島・福岡を一日に一往復、それから北の線といたしまして、東京・仙台でありますが、これは松島であります。仙台一審森の三沢、札幌を一日に一往復、こういうぐあいに一応考えております。  なおこれに要しまする政府としての予算は、今までこの路線なり、回数な旬が、関係方面と交渉中でありまして、はつきりしておりませんでしたので、私どもの本年度予算には、ごくわずかしか計上されておりません。それで今日新聞にどう書いてあるか知りませんが、莫大な予算が書いてあつたようでありますが、まだ各飛行場におきまする、あるいは航空路におきまする施設の概要が、はつきりしておりません。それは大部分の飛行場が極東空軍が施設しておりますので、その施設のうちどれだけわれわれが使えるのか、どこの面だけわれわれが負担するかということが今折衝中でありまして、二十六年度の補正予算としてこれが判明次第、大蔵省と折衝いたしたいと考えております。
  49. 川島金次

    ○川島委員 そこでお尋ねするのですが、この民間航空ができた場合、今のお話のように、たとえばこれには北の方、あるいは南の方、それが国内航空によつて、あるいは郵便、あるいは旅客、荷物はもちろん運ぶのですが、それらと外国航空との関連性は持たないのか。国内は国内だけの独立したものであつて、関連性を持たない航空施設であるか。それはどういうことになりますか。
  50. 松尾靜磨

    ○松尾政府委員 もちろんこれは国内航空でありますけれども、旅客あるいは外国行きの郵便物あるいは貨物等は、やはり連絡すると思つております。
  51. 川島金次

    ○川島委員 それはきまつておりますか。
  52. 松尾靜磨

    ○松尾政府委員 そこまではとりきめをしておりませんが、そういう場合には当然やると思います。
  53. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、この問題は料金等の問題ですが、たとえば旅客の場合において、まだすつかりきまつたわけではないから、一例をあげてお伺いすることは筋が違うかと思いますが、大体目途といたしましては、一マイル、あるいは東京大阪間はどのくらいとかいうような、旅客の運賃などの見通しがついておりますか。それによつて国鉄の旅客輸送にも相当影響があるのではないかということも、一説にはいわれておりますが、その点についてわかつておりましたら、お示しを願いたい。
  54. 松尾靜磨

    ○松尾政府委員 運賃は、旅客にいたしましても、貨物にいたしましても、郵便物にいたしましても、この航空会社にとりましては唯一の收入源でありますので、非常に重大な問題だと思います。なおわれわれのところでも、これをいろいろ研究しておりますけれども、まだ結論にも達しておりません。それはいろいろ原因がありまして、たとえばガソリンの輸入税、あるいはこれの消費税の問題等もありまして、こういう点がはつきりしませんと、輸送についてもはつきりしません。なおまた航空郵便にいたしましても、これは郵政省との関係もございますので、まだ結論に達しておりません。それから鉄道の輸送力及び鉄道の收入影響がないかというような御質問でありますけれども、今度使用いたします飛行機は、大体二十人から三十人乘り程度の飛行機でありますので、大した影響はないのではないかと私ども考えております。
  55. 川島金次

    ○川島委員 これまた今日の新聞に出ているのですが、外国船の傭船の問題でありますが、五月三日で許可制が失効になり、今後はその許可制をはずして自由にするというような意味の事柄が報道されております。この点の真偽のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  56. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 外国傭船には、二つの種類が、ございまして定期傭船と裸傭船とがあります。定期傭船は、現在でも許可制ではございません。裸傭船は、昨年の国会で許可制にいたしたのであります。これは一年限りということにいたしましたので、それが五月三日に失効することに相なるわけであります。現在の情勢から申しまして、別に失効してもさしつかえない、かように考えております。
  57. 川島金次

    ○川島委員 参考のために、この機会に伺つておきます。沈船の引揚げということが非常にいわれておるのですが、一体この沈没船はどのくらい日本の領海にあつて、今日どのくらい引揚げられておるか、将来どういう形でこの引揚げ事業を続けて行くかというようなことについて、わかつておりましたならば、この機会に伺いたい。
  58. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 本日担当官が来ておらないので、詳しい数字は、あとから届けさせるようにいたします。
  59. 川島金次

    ○川島委員 それではあとでひとつ何か書いたものでもよいのですから、持つて来てもらいたい。  もう一つは、海上保安の問題に関することですが、昨年でしたか、私も頼まれまして四国の方に参りまして、初めて機雷の掃海操作をしているところなどを実際に見て参つたが、まだこの日本の領海内に相当数の機雷がある。そうしてこれが海上航路の上に危險を感じさせておるのであります。この機雷はまだどのくらいあると推定されておるのですか。そうしてまたこの機雷の掃海といいますか、取片づけといいますか、そういつたことに対する計画は、どういう形になつておりますか。
  60. 寺田新六

    ○寺田説明員 投下された機雷の数は、大体におきまして一万個くらいであります。そのうち未処分のものは、五千二百有余という推定であります。従来処分いたしました機雷の数は、五千四百余りになつております。昨年一箇年についてこれを見ますと、八十五個一箇年で処分しております。なお触雷の隻数は、昨年一箇年で十二隻という数になつております。
  61. 川島金次

    ○川島委員 大分未処分の機雷が残つてつて、聞いただけでもちよつと危險を感ずるような感じなんですが、この機雷が投下されていると想定される地域は、一体どの辺か、おもな所だけでよろしいのです。
  62. 寺田新六

    ○寺田説明員 大体瀬戸内海が主であります。
  63. 川島金次

    ○川島委員 瀬戸内海のほかはどこですか。
  64. 寺田新六

    ○寺田説明員 この機雷の性能といたしまして、深い所にあるものは、全然効果がないのであります。たとえば三十メートル以上の深度の所に投下されているものは、全然船舶には危險はないわけであります。従いまして日本の沿岸のうち、南の方からこれを投下しておりますので、紀州の熊野灘とか、別府の方の豊後水道とかいう方面及び瀬戸内海が主であります。
  65. 川島金次

    ○川島委員 まだこまかいことでお尋ねしたい点がありますが、分科会審議に協力する意味におきまして、この程度で私は質問を打切つておきます。
  66. 橘直治

    ○橘主査 他に御質疑はございませんか。——それでは本分科会審議されまする分の全部についての質疑は終了いたしました。
  67. 井手光治

    井手委員 この際動議を提出いたしたいと存じます。本分科会において審査いたしました昭和二十六年度一般会計予算昭和三十六年度特別会計予算及び昭和二十六年度政府関係機関予算中の運輸省郵政省及電気通信省所管についての討論採決は、これを予算総会に讓られんことを望みます。
  68. 橘直治

    ○橘主査 ただいまの井手光治君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 橘直治

    ○橘主査 御異議がなければ、さよう決定いたします。よつて分科会で審査いたしました部分についての討論採決は、予算委員会に譲ることに決しました。  なお予算委員会における本分科会主査報告につきましては、主査に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 橘直治

    ○橘主査 御異議がなければ、さように決します。  この際ごあいさつを申しL上げます。きわめてふなれな主査でありましたが、幸い委員各位の絶大な御協力をいただきまして、昨日、本日と第四分科会を無事終了いたしましたことを、御札を申し上げたいと存じております。本日はこれで散会いたします。     午後一時十八分散会