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井手委員 ただいま運輸
大臣から、
日本海運政策の重点的に施行される面につきまして御
説明をいただきまして、私
どもはま
つたく同感で、その面につきましては全面的に御賛成を申し上げているのであります。そこでただいま申し上げましたように、外航の充実と国内沿岸も相伴
つて海運が振興されなければ、ほんとうの
意味の国内産業開発には
意味をなさぬという趣旨から、私は申し上げているわけでございまして、ただいま
海運局長からもお話のございましたように、掘り下げますと、中小企業である国内沿岸の輸送の
関係については、実は問題がたくさんあるのでございます。これは一々申し上げませんが、私
どもの今の
考え方といたしましては、戰時中にふくれ上りました機帆船の運航が、一応大きな使命を私は果し終
つたという
考え方でありまして、機帆船が漸次小型鋼船に切りかわりつつある
現状でありまして、これは海運界の健全性を物語るものであ
つて、造船コストの面から申しましても、耐久力の面から言いましても、機帆船はできるだけ小型鋼船に切りかえて行かなければならない。この面について積極的な考慮を拂うべきだと
考えております。機帆船が振わないから、往年の統制下における機帆船の殷賑に復活したいということを私は主張するのではなく、機帆船は今日もう自滅に近い
状態にな
つている。これは当然小型鋼船に切りかえて行く。沿岸輸送船もがつちりした海運界に切りかえなければなちぬという気構えでなければならぬという
意味から、小型鋼船の充実について、ひとつ特段の考慮を拂
つていただきたい。外航につきましては、例をと
つて言いますと、輸送
関係もだんだんコマーシヤル・ベースに近く
なつた。国内は御承知の通り昨年鉄道の運賃
値上げに引続きまして、大体九割三分
程度のてこ入れを行
つております。このてこ入れば少しもきいておらない。大体旧マル公の半額以下で競争している
実情であります。そして船腹は
不足している。レールの上に乘
つている列車だけはてこ入ればきいて、当局はほくほくしているが、海運界は
一つも響いておらない。事ごとに海運界の情勢は、非常に困難にな
つております。そこでどうしても根本的には、機帆船業界は気の毒でありますけれ
ども、やはり時代の波に押されまして、造船コストの面から言いましても、漸次これを小型鋼船に切りかえて、健全な小型鋼船を充実させて、一朝有事の場合におきましては、
日本の沿岸業者は微動だもしないという態勢を
考えておかなければならぬ、こういう趣旨からお話申し上げているわけであります。機帆船はもうこの辺で見切りをつけて小型鋼船に切りかえる。そしてがつちりした沿岸輸送の職務を遂行するという海運政策に切りかえてもらわなければならぬ時期に来たと思いますので、小型鋼船の建造、あるいは中小企業の海運界の組合結成等の問題、いろいろな面が最近あるだろうと思いますが、これについて一段の御協力と御指導をいただきまして、
日本の外航船舶の拡充による海運振興策と相ま
つて、国内沿岸航路の問題も十分
解決できますように、一段の御援助をお願いいたしたい。
それから最近の造船コストの問題でございます。
大臣も御承知のように、外航船舶及びただいま申し上げました沿岸の内航小型鋼船等の急速な拡充を要するのでありますが、あらゆる面から言いまして
物価の値上りに伴
つて造船コストの上
つて来ることは当然でございます。諸
物価の比率から申しまして、造船コストくらい高いものはない。実に驚くべき單価にな
つている。大体今日鉄鋼船の政府の見返りによりますコストというものはきめられておりますが、実際にはあれではできない。最近の情勢はトン当り十万円、稼働までにどうしても一トン当り十二、三万円要する。でありますから、驚くべきコスト高で、かりに百トンの鉄鋼船を一隻つくるとして、トン当り十三万円
程度の相場で、稼働までの費用を見ますと、驚くべきものである。こういう
状況にありますので、これをこの際何とか
考えなければならぬ。一面において鉄鋼生産は、
戰前のベースを上まわ
つて来ている。こういう
状況に来ておりながら、造船コストというものは下らない。むしろ最近また七、八万円を上まわ
つて、ほとんど十万円というような
状態にな
つている。これに船具その他の裝備をいたしますと、稼働までにどうしてもトン当り十二、三万円かかる、こういうべらぼうに高価な造船コストにな
つている。一面においてただいま申し上げましたように、鉄鋼の生産水準が
戰前を上まわ
つていることを呼号しておりながら、造船コストは下
つて来ない。これは一体どこに原因があるのか。こういう点を
考えてみると、結局海溝界全体の問題として、あらゆる方策が造船コスト引下げというところに集中されていない。造船業者もなかなか苦しいということを
言つておりますが、とにかくあらゆる面に比較して造船コストが高過ぎる。本年の鉄鋼生産の指数は非常に上まわ
つて来でおりますが、最近国内におけるくず鉄はだんだん減
つて参りまして、おそらく今後三箇月
程度の壽命しかないというような
状況であります。
従つてただいまくず鉄の輸入とか、鉄鋼石の輸入というものが、急速に行われている。しかし全体から
言つて国内に資源がないかというと、ないわけではない。御承知のように戰時中から、
日本の沿岸には数百隻の沈艦船が寝ております。この問題はほとんど民間の、つまり一企業家の大小、群小のいわゆる金へんのやみ屋さんにまかしている
状態で、驚くべき
状況にな
つております。しかし今日もう上もの式の手にゆだねておくべき時代は過ぎている。ただいま大蔵省の問題にな
つていて、大蔵省の所管として沈艦船の拂下げが行われておりますが、遅々として進んでいない。行われても
現実に船が浮揚されない、くず鉄が上
つて来ない。ほんとうにこれは微々たるものであります。そこで鉄鋼生産の面から言いましても、沿岸に埋もれております沈艦船を急速に引揚げて、むしろ私は今日は政府がこれを補助しても、この莫大な資源を国内の逼迫資材に向けなければならぬ
状況が来ていると思いますので、沈艦船の引揚げは、造船のコストに今後及ぼす
影響、あるいは鉄鋼生産等の今後の
状況から見まして、どうしても筋金の入
つた沈艦船の引揚げの措置を講じてもらいたいと思います。呉港、あるいは山口県下における
状況は、今日まるで海上のどろぼうを放任しているような
状況で、日々問題を投げかけております。一面において鉄鋼、くず鉄は三箇月しか、八幡あたりは持たないという
状況に来ている。そういう点もいろいろ思い合せまして、どうしても沿岸にあります沈艦船の引揚げの問題をここで筋金を入れて、
日本産業のために政府は補助政策をとりましてや
つて行かなければならぬことが
一つと、この引揚げその他の行政が非常に複雑まわまり、海上保安庁でやる、
運輸省でやる、大蔵省でやる、出先機関に行きますと実に驚くべき複雑性を持
つている。こういう行政面の統制を、
運輸省なら
運輸省が大局的見地から、政府機関に呼びかけてと
つてもら
つて、至急沈艦船引揚げの資材を、
現実に早急に使うという手をお
考えにならないものかどうか、非常に心配しておるのでありますが、その点につきましておそらくお
考えと思いますが、お聞かせ願えば非常に仕合せであります。私の
質問はこれで終ります。