○
近藤(直)
政府委員 お答えいたします。ただいまの数字を申し上げる前に、
皇室費の
予算については決して遠慮なしにたくさん
要求したらどうかというありがたいお言葉でございますが、実は
皇室予算をわれわれが確定いたします前に、
皇室経済
会議がございまして、その
皇室経済
会議におきまして、大体の大綱をきめるわけでございますが、その際に、実は経済
会議の各
委員からも、ただいまお尋ねのような御意見がございまして、
皇室に御不自由をかけることなく、必要な
経費は
要求するようにというお言葉がございました。それにつきましてわれわれ宮内庁当局といたしましても、お言葉の線に沿いまして、
昭和二十七
年度の
予算の策定の際には、ぜひともいま少しゆとりのある
予算を
作成したいものとただいまから準備いたしておるのでございます。今回は
内廷費の
予算を二千八百万円から二千九百万円に百万円
増額いたしました。これは
政府職員の給与基準の引上げに伴いまして
増加した分でございます。つまり
内廷に所属しておりまする使用人の給料をベース・アツプしたのみでございます。同様に
皇族費におきましても、お一方の生活費が六十五万円と相
なつておりますものを、今回七十三万円に引上げましたのは、これも
皇族が御使用に
なつております使用人の給与の引上げの
経費でございます。従いまして
内廷費におきまして百万円の増、
皇族費におきまして四十二万円の増という、わずかな
増額に相
なつておるのでございます。ただいま御意見もございましたように、
昭和二十七
年度におきましては、ぜひともいま少しゆとりのある
予算を編成いたしたいものと、われわれただいまら準備をいたしておる次第でございますが、
昭和二十六
年度の
予算はただいま申し上げましたように、
政府職員のベース・アツプに対応しまして、
皇室の使用人の給与を引上げるという程度にとどまつた次第でございます。
次に皇居内の勤労奉仕の御質問でございますが、仰せの
通り、
昭和二十年の十二月に、皇居が相当荒れておりますることを伝聞しました宮城県民の一部が、皇居の整理、清掃を奉仕したいといつて参りましたものが、そもそもの始まりでございました。爾来日々各地方から数箇団体が皇居内に参りまして、たしか三泊四日と思いますが、皇居内に宿泊いたしまして、勤労奉仕をいたし、焼跡の整理、除草、溝掃等に従事いたしておるのでございます。これは宮内庁が決して慫慂しておるのでも何でもないのでございまして、全国の方々が率先勤労奉仕に参られて、実は宮内庁当局におきましては、その整理に困るというような実情でございます。宿泊所の設備の
関係もございますので、一応数を限定いたしておりますが、すでに本年は
予定がほとんど一ぱいに
作成されておるというような
状況でございます。試みに、団体数並びに人員を申し述べますと、
昭和二十一年は百八十九団体、実人員が一万五百二十七名、
昭和二十二年は三百二十三団体、実人員が一万六千百四十一名、
昭和二十三年は四百三十五団体、実人員が一万七千九百四十八名、
昭和二十四年は六百三十九団体、実人員が実に二万六千四百八十三名に上つております。本年は、これは十月末までの数字でございますが、すでに五百二十六団体、一万八千八百七十名というものが目々皇居内の勤労奉仕に従事いたしております。地方からの熱望はこれを拒むというわけには参りませんので、できるだけ御希望をいれまして、清掃その他の仕事に従事していただいておるのでございますが、何分にも設備その他の
関係から、お断りする向きもあるかと存じますが、この後とも勤労奉仕の数はますますふえて行くのではないかと考えております。まことにわれわれといたしましてはありがたいことと考えております。