○周東国務
大臣 これはざつくばらんに言
つて、中曽根君の
お話の点が首肯できる部分がある
パリテイ計算についてはむしろおかしいということは、去年大分野党の諸君からしかられた。というのは、非常にインフレが高進している場合においては、むしろどんどん軒並に物が上
つて行く。しかも
政府が米を出来秋に買いと
つてしまう。これは普通の場合には出来秋にはあまり売らないで、一年を通じて平均に売るということでありますから、
米価も同じように上り下りするから、おそらく調和をとるということであります。ほかのものはとにかく、米だけは
政府の配給責任において出来秋に買
つてしまう。それではあとで困るというので後にそのようだパリテイ方式をと
つた。それはそのときの
一つの政治的な行き方だと思う。ところが今日のようになりますと、私はいろいろ疑問を持つのですけれども、非常なウエートの問題がやはりあると思う。たとえば肥料のごとき問題につきましては、施肥時期でない時期に非常に肥料が上
つておるということがある。それはすぐに農家の購買という時期とはちよつとはずれているが、あるときには上
つている。それはパリテイによることは事実だ。それからまたみそ、しようゆがめちやくちやに上
つたということ、それの上り方が非常にひどいということで、八%も上
つたことがあります。それもやはりパリテイに響いております。しかしこれがはたして実際の農家の生計にそのまま及ぶかどうかということは、これは議論があると思う。しかし私は議論はいたしませんが、そういうところにやはり
パリテイ計算にも、よほど研究の余地があるなしいうことは、私はあなたと同じ意見を持ちます。これは去年附加率を一五%にきめたときに、
お話の通り政治的なものがあると思う。これは野党の諸君に何だアーテイフイシヤルな、人為的なものを加えておかしいじやないか、何の根拠かと言われてしかられたのですが、これは私は
一つの政治的なあれだ
つたと思うのです。それであなたの最後の
質問の、一体そういう形によらなくて、
米価というものは科学的にきまるべきじやないか、もう議論なくそのきめ方で納得できるような
方法はないかという御指摘に対し、ことにあなたは生産費説が正しくはないかということでありますが、これは私も個人的には生産費計算というものが、ほんとうは一番いいのではないかと思います。ただ
日本のように五百万農家が、ことに立地的に全国的に非常に気候、風土も違うところでの生産費というものは、ピンからキリまで非常にたいへんなものだ。その中で今一部
考えられて、二千戸ぐらい調査して、それで生産費方式できめて行くという行き方は、少し足りぬのではないかということも
考えられます。
従つてこれについても理論的には正しいが、どういうふうにしてこれを正確なものにするかということについて、まだ研究の余地があると思います。比べると一番よいのではないかと思いますが、それがよほど多数の農家をと
つてひとつ生産費計算をやるのが正しかろうと思う。これが今の準備の
関係ではできておりません。今の資料だけでは足りませんというところに悩みがある。そこで私は今のあなたの御心配のような点がありますので、ことし二月ごろでしたか、この前
米価をきめましたときに、ただちに来年は何とかして
米価の算定方式というものをひとつ統一したい、これに対して審議会の学識経験者、実際家を集めて、ともかくも最も妥当だという
一つの算定方式をきめてもらおうじやないか。そういたしますと、その算定方式に合せて出た
米価というものは、一応みんなが納得したものになるのではないか、こういうふうな
考えでそれを立案してもら
つておりますが、そういう形に持
つて行つて、できれば政治的な価格を決定しないで、科学的な方向に何とかして持
つて行きたいと今苦心いたしております。昨年の
米価決定につきましていろいろ御意見がありました。一々もつともな点もありますが、しかしその議論たるや、常にスタンド・ポイントの違
つた計算方式に出ていた。同じスタンド・ポイントに立
つての高い、安いという議論が出なければならないと思います。こういう点は余談だろうと思いますが、あなたの御心配と同じなので、何とか合理的な、科学的な方式による価格算定方式を見出したい。これを委嘱して研究させております。これができ上れば、ことしの
米価の算定については、いいものができるのじやないかと思います。
さてただいまの問題につきましてはそういう形にな
つております。パリテイ方式をとるとすれば、どうしてもそこに生産者価格は当然かえられなければならぬということは先ほど申し上げた通りであります。そこで今の一五%をどうするかということは非常に財政の問題なり、あるいはパリテイ方式で上
つて来た何千何ぼとおつしやいましたが、ある
程度つけて来た、そういうものはいらぬのじやないかという大蔵省の説と、やはり一旦お約束したのだから——お約束というわけではありませんが、ああいう方式をと
つたのだから、その率はかえたくないというような農林省の意見と、いろいろ議論があるようであります。何とか話合いがそのうちにつくだろうと
思つております。両方の話を聞いて私ども最も適当なところへおちつかせたい、かように
考えております。