○林(百)委員 私は
日本共産党を代表しまして、
昭和二十六
年度政府関係機関予算補正(機第1号)に反対の意思を表明するものであります。
これは
池田大蔵大臣は、
日米経済協力とは全然
関係ないと盛んにその点を強調されておるのでありますが、しかしこれがやはり吉田・
ダレス会談後急速問題にな
つて来ました
日米経済協力の一環として、ことに
金融の面で重大な役割を果して行くということは、否定できないことだと思うのであります。御存じの
通りに、
日米経済協力が最近特に問題にな
つて来ましたのは、アメリカの厖大な軍事
計画の下請として、
日本の産業を軍事的に再編成するということが重大な問題になり、さらに新聞に伝えられるところによりますと、三月六日周東、
池田両
大臣によ
つて、
日本経済の調査に関する報告というものが、
関係方面に出されておるということすら報告されておるのであります。また周東安本長官がマ——カツト
経済科学局長と会
つて、その際アメリカ側からニブロー
計画に基く厖大な
日本の産業
経済の
機能の調査を命ぜられておるということは明らかであります。これはおそらく今後の事実が、いかに
日本の国の産業がアメリカの大きな再軍備の
経済の一環として再編成されておるかということを明確に現わして来ると思うのであります。現に吉田
内閣の基盤であるところの資本家の陣営において、これは関西の資本家の陣営においても、
日米経済協力の問題がもう具体的な日程の問題とな
つておる。
第一にはこの
日米経済協力の問題について、
日本の産業の材料、原料をどうして確保できるかという点が第一に保証されなければならないということ、それから施設を拡大した場合、もしその反動が来たときに、
日本経済のこうむる影響はどうなるかということについて、非常な深い関心を持
つておるということ、それから
日米経済協力の一環としての
日本の産業の再編成をする場合に、一体熟練工をどう補充するかという問題、さらには外交的な問題としては、米ソの
関係が立ち直
つてむしろ親善的な
関係に
なつた場合に、アメリカの軍事
計画の一環としての
日本の産業が軍事的に再編成された場合、その影響はどうなるのか、一体アメリカの軍隊はいつまで
日本にいるのか、アメリカが
経済的な倫理をどの
程度守
つてくれるかということについては、関西の実業家としても大きな関心を持
つて、意見書としてすでに
政府に出されておるはずであります。結局腹の減
つた料理人にアメリカはたくさんの肉を料理はさしてくれるけれども、幾ら腹の減
つた料理人に食わしてくれるか、事によ
つたらかすも食わしてくれないではないかというような、たとえをも
つてすら
日米経済協力の問題について、重大な関心を
日本の
経済陣営が現わしておるということは明らかなことだと思うのであります。結局この
日米経済協力の問題としてこれが促進するにつれて、
日本の乏しい資材と製品が飢餓的な輸出を強行されることになり、むしろ掠奪的な輸出が進められる。このために
日本の
経済が非常に破壊されるのではないかということが憂えられる。この
日本の
経済の将来にと
つては、非常な憂うべき
状態を包含しておるところの
日米経済協力の一環として、
金融的な面を受持つ役割を持
つて開発銀行が現われて来たということは、否定できない事実だと思うのであります。しかもこの
開発銀行の資本として
見返り資金が百億投資されるということは、
見返り資金は御存じの
通りに、実質的には
関係方面の支配にある金であるということ、これが全
資本金として投資されることになれば、この
開発銀行が資本を通じて
関係方面の大きな掌握のもとに動かさざるを得ないことになるということ、要するに政治的な隷属をしいられて来るということは単なる杞憂ではないと私は
考えるのであります。ことに新聞紙の伝えるところ、あるいはそのほかの情報によりますと、将来のアメリカからのクレジツトの受入れ
機関として、あるいは将来講和が成立した場合のマーシヤル・プランの
日本版としてのアメリカE・C・Aの協力
機関として、これが一端の役割を果すものであるということは、すでに日常の新聞紙ですらこれが報ぜられておるのであります。こういう
意味におきまして……(「
大臣の
答弁……」と呼ぶ者あり)
大臣の
答弁いかんにかかわらず、秘密外交の一環をにな
つておるところの
池田大蔵大臣は、この点は極力否定しておるのでありますけれども、われわれはこの
開発銀行の設立の経過——
ダレス・吉田会談後突如として、これが具体化され、
予算がすでに参議院を通過しておるにかかわらず、これをあえて通さなければならないということ、しかも一方では
日米経済協力の問題が具体的な日程として上
つて来ている際に、この
開発銀行が
見返り資金を
出資としてできているということについて、明らかにこれは
日米経済協力の一環としての役割を果すものであるということは、おそらく後日私の主張が正しいか、
池田大蔵大臣の主張が正しいかは、明瞭に事実がこれを証明してくれると思うのであります。私はこういう
意味でマーシヤル・プランの
日本版としての、アメリカ
経済協力局の下請
機関としての性格を持つこの
開発銀行の設立については、こうした
日本の産業と
経済を隷属的な地位に追い込む役割をこれが持つという点において、まず第一に反対したいと思います。
その次の問題としましては、
復金との
関係でありますけれども、
復金債の償還は、先ほども私が
池田大蔵大臣に
質問して明らかに
なつたように、やはり
一般会計から、われわれの税金と、一部
見返り資金とによ
つて償還されておるのでありますが、いずれにしてもこれは国民のふところから出ておる金であるということは間違いないのであります。
従つてすでに
復金債の財源がわれわれ国民のふところから出た金で償却されている以上、その
貸付金が
回収された場合には、これがやはり
一般国民の民生の安定、減税だとか、あるいは国民の生活安定の上に還元されるのが本来の立場だと思うのであります。ところが
復金債は国民のふところから出た金で
回収され、そしてまた貨付金が
回収され、それが一部の巨大独占資本に投資されるということになれば、これは
復金債の場合、また
開発銀行の場合、いずれをも通じて人民のふところが犠牲になり、国家財政の保証のもとに巨大産業に資本が投資されるということになると思うのであります。
池田大蔵大臣は口を開けば資本の蓄積、資本の蓄積と言う。
日本の独占資本それ自体が資本の蓄積のできるようなあらゆる保護政策をしておる。先ほどの話にもありますように、
日本の資本家がやつと二葉の芽を出して来た——非常に御親切な
言葉であります。この二葉の間に刈りと
つてはならぬ。やがて枝が出たときには枝を払うくらいのことはしますけれども、まだ二葉の間は保護したければいけないとい
つて、
日本の独占資本の将来について非常に御親切な
言葉を吐いております。しかし
一般の人民の生活の破綻については、何ら心を込めた厚き
言葉は出ておらないのであります。この点私はこの
開発銀行の設立を通じても、やはり
一般人民大衆の乏しい
資金が国家財政の形に吸収され、それが
日本の独占資本に投資されて、国家財政の保護のもとに
日本の独占資本を再び回復させて、それをアメリカの軍拡
経済の一環として使わせようとしていることは明らかなことであります。こういう
意味において、私は
復金との
関係においても、
開発銀行の設立が人民の犠牲のもとに国家財政
資金として独占資本に資本を投入しようという点には、これは賛成できないのであります。
われわれは以上二点、要するに
日本の
経済を
開発銀行を通じてアメリカに隷属的な立場に追い込む
一つの役割を
開発銀行は果すということ、この資本が
復金と結びつくことによ
つて、
復金の
回収金が当然人民の生活の面に還元されなければならないものが、再びこれが
開発銀行を通じて、
日本の独占資本に再投資されるということ、この二つの点において、
開発銀行の設立並びにこの
予算については断固反対するものであります。