○中曽根
委員 文部
大臣に
お尋ねいたしますが、現在学校の
先生やあるいは学生、インテリ、青年、こういう人たちが一番思い悩んでおりまする問題は、戰争と平和の問題であります。われわれ
日本国民があの憲法を制定して以来、五年間の日月がたつた。その間において、非常に客観
情勢の変化があつたゆえに、あの五年前に
日本国民が
考えた
思想が、ある
程度修正されなければならないのではないかというふうに、
国民の大多数の者が疑問を持ち始めたのであります。そこで私は、あの憲法に盛られました、ことに
思想に関連いたしまして、戰争と平和の問題について、文部
大臣に御
答弁をお願いいたしたいと思います。私はその材料といたしまして、平和問題を一番
研究している平和問題懇談会、これは
大臣も御所属にな
つておりまするが、平和問題懇談会が「三たび平和について」とい
つて世の中に声明をしておりますこの内容について、私は一々
大臣に
お尋ねいたしたいと思います。私は決してこれは平和主義を攻撃するという
意味ではない。またか
つて戰前簑田胸喜氏一派が自由主義者を攻撃したような、ああいう意図でやるのではない。物事を解明して、不安の気持を去らしていただきたい、こういう
意味で
大臣に
お尋ねするのであります。この平和問題懇話会の「三たび平和について」とい
つて世の中に公表した文章は、非常に胸を打つものがあります。私もこれを大分読み返してみまして、なるほどその
通りだと、人間の純粋性において私は同感するところがあるのであります。しかしこの内容は、時間的なずれと申しますか、時間的な要素というものが、現在としては入
つて来ていない。
従つて大臣も多少のお
考えがあるのではないかと思
つて質問いたすのであります。
まず第一は平和問題懇談会の「三たび平和について」の声明の中に、「平和問題に対するわれわれの基本的な
考え方」という條章がございます。そしてその一番初めに書いてあることは、「戰争は本来手段でありながら、もはや手段としての
意味を失つたこと」こういう見出しで書いてあるが、内容は、戰争というものはあらゆる惡の中で最高の惡である、こういうふうにここに書いてあります。「言いかえれば、今や戰争はまぎれもなく、地上における最大の惡とな
つたのである。どのような他の惡も、戰争の惡ほど大きくはない。」とう言
つておりまして、絶対無抵抗主義的な
思想がこの中に盛られておるのであります。またこう書いてあります。「戰争の破壊性が恐るべく巨大なものとなり、どんなに崇高な目的も、どのような重大な理由も、戰争による犠牲を正当化できなく
なつたという嚴粛な事実にいやおうなく世界の人々を直面させたのは、言うまでもなく第一には、原子爆彈、水素爆彈などのいわゆる超兵器の出現であつた。」こういうふうに書いて、絶対無抵抗主義的な
思想を表明しております。これは一つの見識であります。しかしこの
思想をそのまま持
つて来ると、われわれがわれわれの生活協同体を守ろうとする意思や、あるいは人格の自由を守ろうとするところの意思や、そういう価値までも否定しているのではないか、私はこういうふうに解釈されるのであります。こういう自由なるわれわれの協同体を守ろうとする意思や、人格の
独立性を確保しようとするわれわれの意思と、戰争の惡というものとは一体どういう
関係にありますか、まず
大臣に
お尋ねいたしたい。