○横田
委員 政府委員より早いですよ、探すのは。ここにあります。一九四五年に
アメリカは九百五十億
ドルの予算であ
つたのです。そのときの税金は四百五十億
ドルだ
つた。一九五二年には七百十六億
ドルの予算なんです。これがほとんどが税金なんです。現在の
アメリカの公債は二千五百六十億
ドル出ているのです。
国民所得というものが二千七百億
ドルなんです。平時予算が四百億
ドルといたしまして、八十億
ドルの増税をやる。そういたしますと、百六十億
ドルの税金をとりまして、結局今度の場合におきましては、公債の関係におきまして増税の余地がない。それが
国内において初めから
アメリカがああいうような形に出ているのだと、こう思うのです。だから、その国から援助を受けておりますということは、今申しましたように、納得しないところの値段で
日本に入れられて、そうして払えない形においてだれかが背負
つてしま
つたところの借金を
日本の農村から払え、
労働者から払えと言
つたところが、
日本の農村を搾取し切
つておいては蓄積がないから払えないのですよ。資本というものは国際的な、非常な売国性を持
つておりまして、
日本の資本家はそれこそ
アメリカであろうと、ソビエトであろうと、中国であろうと、そんなことはどこでもいい、もうかる所にいつでも逃げて行く。それがソビエトとか中共においては資本にか
つてをさせないで、いわゆる人格を尊重いたしますから、この点におきましては向うに逃げて行けない。だから私の言いたいことは、
アメリカの援助は
けつこうでございますというような気楽なことを
言つておりますと、国の政治がもつと大きな民主的な民族的な
国民運動が台頭したときに、踏み倒されては困るというので、
アメリカの人たちが借金を返せと言
つたときに、多く集めなければならない農民が疲弊し、
労働者が疲弊していると、一体だれが払うか。こういう
意味で、援助物資を受けてその金を返すのも農村の
労働者であり、町の工場において働いている
労働者です。
労働者、農民の労働が安く買われている。これでは
日本が困
つた結果になる。だからかような
意味におきまして、農林
大臣はもつと大きな立場から、援助というものはありがたいというようなことを言わないで、こういう援助に対してはこれはあかん、援助を受けてお
つたんではいつまでも
日本は立てぬ、こういうような見地から予算を見てもらいたい、農政を見てもらいたい。その見方があなたの農政には、ほとんど馬力が認められません。予算面から見て、山は四万町歩も焼けている。あなたの言うだけで四万町歩。このように山が焼けて、しかも材木の需要は一体どうなんです。製品が安くて、山元においては木材の方が高い。このくらいの木材が必要であるというのにかかわらず、予算がないから焼けた山をほつとけというような、こういう予算の組み方を大蔵省の連中にされて、そうして大蔵省の連中につつ込んで行けば、これはドツジ予算だ、こういうようなことを言われて黙
つているということはないじやないか。こういうときに、
アメリカには偉い人がいる。アブラハム・リンカーンも偉いでしよう。ワシントンも偉か
つたでしよう。こういう人が偉いというのは、一国の利益を代表して、自分の先祖が生れた国である英国に対してさえ対等の立場において権益を主張したからワシントンは偉か
つたんじやないですか。われわれは
アメリカから分家して
日本に来たんじやないですよ。あなたの論法から言えば、われわれは高天原の民族だそうですが、この高天原の民族が、英国から来たところの
アメリカ人が、先祖に対してまで堂々と同等の立場で言
つたと同じように、
アメリカに対して、われわれが同等の立場から——何も武器に訴えなくても、農村の収奪がひどいんだ、あなたのところの援助物資は農民が借りたんじやない、
労働者が借りたんじやないと、こういうようなことを大きく意思表示してもらいたい。幸い
ダレスさんが来て、もう帰るそうですが、それまでに
日本の農民が大きな大会を開いて、各村々からこういうような
講和に対する論議、あの主張をつぶさに聞きまして、そうしてよくまとめて出すような習性を持
つていただきたい。しかしそれが持てない。持てないというところの原因は、米価はか
つてにきめて、代議士を選んで東京に出してあるのに、代議士が自分の米代について熱心に論議できない。食確法は国会で審議未了にしたにもかかわらず、これがポ政令で通
つてしま
つた。これでは農村は非常に
日本の政治に対して冷淡に
なつて、責任観が冷淡になる。この冷淡にな
つたところに、いわゆるあなたの党の党首たちが困
つて、愛国心というような妙なことを
言つているんです。私はそう思うのです。だからこういうような
意味合いにおきまして、もつと
日本人的な気概を持ちまして、
アメリカにもいい人がおりますから、いい人にほんとうの
日本の
意見を代表いたしまして
日本の窮状を訴える、こういうような
考えに
なつていただきたい。そうしてあなたの削られましたところの予算は、この数字はあとで必要だ
つたら申し上げますが、削られた予算でもさしあたりと
つていただきたい、こういうように思うのですか、そういうような予算はと
つていただけないのですか。