○池田峯雄君 私は、共産党を代表いたしまして本
法案に
反対するものでございます。
去る五月二十五日の全国
知事会議におきましては、
地方自治の確立に関する声明書というのを出しております。これによりますと
地方自治の本旨は憲法の條章により嚴として保障せられ、
地方自治に関する三
法律とともに我国
地方自治の根幹をなすものである。謂うまでもなく、自治の精神は民主思想の根源をなすもので、生々脈々たる政治形態は自治の政治を除いてはあり得ないと深く確信するものである。然るに最近に於ける
政府の
施策は、
地方財政委員会及び
地方行政調査委員会議等の勧告にもかかわらず、社会福祉
事業法、その地
地方に関する立法において、稍々もすれば中央集権的な色彩が見受けられる。のみならず、
開発事業、その他に関し
政府の
地方出先
機関を強化せんとするが如き
傾向のあることは、洵に吾等の諒解に苦しむところである。こういうのであります。この全国
知事会議には、
自由党の
知事さんがたくさん出席しておる。
自由党の
諸君は、これに対して何とお考えになるでございましよう。(
拍手)また民主党の
諸君は、この
法案に賛成のようでございますが、
北海道の道会副
議長の齋藤藤吉さんは民主党の方だそうでございますが、この
開発庁出先
機関設置
反対道民大会におきまして
反対を表明されております。あるいはまた
農民協同党の方も賛成だそうでありますけれども、農協党の下部
機関であります
北海道農民同盟も、この
法案に
反対だそうでございます。(
拍手)一体これをどうお考えになるのでございましようか。また
増田建設大臣は、
北海道拓殖
行政が従来と異なる方針は
地方分権の精神に逆行することであるという決議を
北海道会がやりましたときに
——昭和二十二年に、
地方分権の精神に逆行するのは
反対だという決議を
北海道会がや
つたときに、
増田建設大臣は
北海道長官であ
つたのでございます。また岡田次長さんも、
北海道庁長官であ
つた時代、中央集権的な
行政に
反対し、すべての
行政を道庁に委任すべしという決議に同様参画しておるのであります。あるいはまた
増田長官は、か
つて北海道知事になろうといたしまして、一説によりますと、
社会党に入党を申し込んだことがあるそうでございます。もし
増田建設大臣が、最初の
公選知事として
社会党から立候補し、当選しておりましたならば、あるいは現在の田中
知事と同じように、この
法案に絶対
反対せざるを得ないようなはめに追い込まれたでございましよう。(
拍手)何となれば、
北海道民は数十年来中央集権に
反対し、
地方分権を主張して来たからであります。この
北海道の
要求を踏みにじる本
法案に、私ども共産党は絶対に
反対なのであります。
増田建設大臣は、
北海道の
公共事業費を増額したと言
つて大いに自慢しております。しかしながら、十三億円の開拓
事業費をも
つて、新規に入植させる開拓農民の
生活を、
政府は一体どれだけ保障することができるでありましようか。
政府の農業政策は、低米価、重税政策であり、高い肥料、高い電力料金、また高い工業生産品を農民に押しつける政策であります。農業の再生産を不可能にする農業破壊政策であります。これに加えて
北海道の開拓民は、
北海道の特殊な気候と地質からして、絶えず自然的脅威にさらされておるのであります。だから、今日まで
北海道に入植した多くの農民は、ま
つたく悲惨な
生活に陥
つているのである。この悲惨な開拓民の現実こそ、十三億円の
公共事業費が一体だれのためのものかということを雄弁に物語
つているといわなければならないのであります。これは明らかに満蒙開拓義勇軍の復活である。全国農村の失業者、土地がない、二、三男の貧農青年を、
北海道へ行けば食えるぞ
といつて、だまして連れて
行つて、そして全国農民の盛り上る憤懣を消しとめ、二、三男の貧農青年の革命化を、はかない希望で防ごうとするものである。そして、一朝有事の際には
——というのは、吉田
内閣の單独講話の政策は、明らかにこれ
————でありますから、そのときには、この開拓民に竹やりでも持たせて、外国の傭兵にしようとする
北海道屯田兵の復活だといわなければならぬ。
北海道開発法とは、実は今回の改悪のあるなしにかかわらず、このような意図を内包したものなのであります。吉田
政府の
もとにおいての資源の
開発は、少しも
国民のためにならないのであります。平和産業をつぶし、
国民を低賃金でとき使う政策の
もとでは、
開発された資源は、軍事的生産と結びつかざる限り、そのはけ口がないのであります。か
つて北海道で売れないで山と積まれた石炭が、ぼうぼう燃え出したことがあります。この事実こそ、資本主義社会では資源の
開発が少しも
国民の
生活をゆたかにしないものだということを明らかに示しておるといわなければならないのであります。(
拍手)
アメリカの
政府部内で赤だと非難され、攻撃されたりリリエンタール氏によ
つて強力に推進されたテネシー
開発計画も、その電力が第二次世界大戰のアメリカ軍事工業の強力な支柱となり、今やこの電力が、原子爆彈の製造にと
つてなくてならない軍事資源とな
つておるということは、資本主義と戰争との密接な因果
関係を雄弁に物語
つておるのであります。今回の
改正案は、この
開発法の
本質をさらに強力に推し進めるためにつくられたものなのであります。すなわち、
知事にまかしておいたのでは、
北海道の軍事基地化を思う存分遂行することができないからなのであります。
公共事業費の総額百億円のドル箱を
社会党に讓るのはも
つたいないということもありましようけれども、これは動機であり、
本質ではございません。たとえば道路
事業でありますが、今回の
改正案が
通りますと、
北海道知事は道路総延長の三八パーセントを
施行するのみとなり、国道、
地方道、準
地方国道等、総延長の六〇パーセントを国が
施行することになるのであります。しかして、
北海道知事の
施行する三八パーセントの道路工事費は、国庫補助願わずかに一億九百万円、
開発局の
施行する道路
事業費は実に十三億七千余万円とな
つておるのであります。このことは、
北海道大衆の切実に希望しておる道路工事は道の
費用で
知事にやらせ、そうして今までや
つていた
費用を横取りして、軍事的道路の大々的建設に振り向けんとする意図であるのであります。また
開発局は、国の支弁による建物の営繕をすることにな
つておりますが、これまた進駐軍兵舎や、あるいは警察予備隊兵舎等、治山治水などとは何の
関係もない建設工事を受持つことになるであろうことは明白であります。
一方、
北海道住民が最も切実に欲しておる民生施設はどうであろうか。現在
北海道には、三十八箇所の保健所しかない。あの広大な地域に散在する住民十一万人に一箇所である。医者は、実に三万三千七百六十平方キロメートルに一人という割合であります。十万人の結核患者に対して、三千六百の病床しかない。校舎の不足四十万坪といわれるにもかかわらず、総合
開発計画によりますならば、三十一年度までに二十七万坪の仮校舎を建てるわけであるが、これも
地方財政の窮迫で非常な困難に逢着しております。住宅におきましては、最低需要戸数三十七万戸に対し、本年度庶民住宅
予算は、国庫補助類わずかに二億円、低家賃住宅建設予定は、わずか一千百八十戸にしかすぎないのであります。これでも
政府は
北海道民のために力を入れておるということができるでありましようか。炭鉱労働者の
生活を初め、一般勤労大衆の困窮その極に達し、すでにタコ部屋が再び復活しておるではありませんか。
国費で
開発するということを大層強調しておりますが
——国費で
開発する、これを大層強調しておりますけれども、
もともと北海道からしぼり上げた税金ではありませんか。その税金の一部を
北海道に返してやる、あたりまえの話です。そうして教育、文化、保健、住宅等には、国費はすずめの涙で、これは道の
費用で
知事がやれ、道路や港湾は国でやる、但し
地方道路や小さな漁港は道の金で道でやれ、これがこの
法律なのであります。
吉田首相は、
日本をアジアにおける共産主義制圧の一勢力として期待をかけられておることに満足の意を表しましたが、日米経済協力によ
つて━━━━━━━━━━━━━━━━━━、沈まぎる航空母艦にしようとするために、
北海道が━━━━━━━━━━━━━━━とな
つておるということは、周知の事実である。この
法律は、まさにこの
計画をさらに強力に押し進めんとするものであるがゆえに、
日本共産党は、
北海道の平和を愛する人民大衆とともに絶対に
反対するものであります。(
拍手)