○横田甚太郎君
畜犬競技法案に対する
反対討論をいたします。
犬をけしかけて寺銭をかせいでもらう。宝くじが売れなくな
つたので、犬にまで手伝
つてもら
つて、ばくちの奨励をや
つておる。よくもこのような
法案を出して、
自由党の多数がはずかしくないものだと私は感心しております。
自由党の一部の議員は、こういうことを言
つております、競輪をや
つておるのだから、犬の方はあいきようがあ
つてよいだろうと、こう言
つておるのであります。その競輪自体が問題であるということを考えてもらいたい。御存じのように、競輪場の開設、経営をめぐ
つて暴露された官公吏、あるいは地方財界、業界ボスから、中央政界にまで及ぶ不正腐敗事件、またレースのやおちようをめぐる不逞ボス、これに結びついた極右
団体の跳梁、あるいは選手の腐敗等は、実にたくさんあります。宇都宮あるいは鳴尾競輪等に見られる放火、殺傷事件、これに対する警官の発砲騒ぎ、あるいは多数の検束騒ぎから引起された社会不安、最近頽廃的な映画の輸入や、これに刺激された淫猥な映画、演劇、小説の氾濫、ビンゴと称する賭博遊技の流行と相ま
つて、これが
国民の健全な文化生活に與える恐るべぎ
悪影響は、単に家庭生活の破壊にとどまらず、民主、独立
日本の将来に重大な実悪となるものであることは、公知の事実であります。この実情は、まつたく————な様相を呈しているのであります。—————————のとらの子であるところのピストルを持つた巡査が、競輪場で何回人騒がせな大騒動をや
つて、新聞のごやつかいになつたかを思い起してみるがよろしい。
提案の
説明理由に、今回畜犬その他の中小動物に関する国、
地方公共団体の積極的な施策を推進し、あわせて
地方財政を改善する目的をもちましてまた畜犬競技の収入の一部を充当することによりまして、次のような文化的、社会的、
経済的ないしは
産業的目的達成に積極的に寄與することが本
法案の大きな眼目とするところでありますと、こういうふうにうた
つておるのであります。ところが、犬のばくちで、どのくらい一体かせがせるつもりか。また犬がばくちで引出せる財源があるならば、
税制をやりがえるべきであ
つて、ばくちで、ちよろまかしてとるが
ごときは、これは政治ではないのでありまして、これは本筋と離れたぺてんであります。これがとれるところから税金をとらずに、享楽階級のために金をたくさん残しておいて、———
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自由党の端的な本質の現われなんです。だから、ほろ酔い列車、温泉行の列車を走らせたり、亨楽、——のために列車を走らせるが、六三電車はそのままで
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自由党の端的な本質の現われなんです。だから、ほろ酔い列車、温泉行の列車を走らせたり、亨楽、——のために列車を走らせるが、六三電車はそのままでておる罪悪の現われなんです。(
拍手)
地方財政の改善は税法でやるべきであ
つて、犬のばくちでやるべきではないということを、
自由党の多数ははつきりと覚えておいていただきたい。それから堂々と税金がとれるのであるならば、またとれるべきものがあ
つて、財源の見込みがつくのであるならば、
税制を改革すべきであるということを考えていただきたい。
提案には、さらにこういうことがうた
つてあります。獣医
関係者もこんなところに就職口を求められるところにいいところがある、こう書いてあるのであります。ところが、こんなところに就職口を求めるべきではないのでありまして、獣を扱うところの、こういうふうな人たちは、
日本農業構造の中に就職口を求めることによ
つて、働く人たちに肉、卵あるいは乳を保障することができるのであります。こういうような、ばくち稼業の中に求めるということは、新宿のボスを再び村にこしらえることであ
つて、暗黒政治以外の何ものでもないのであります。(「その
通り」
拍手)
〔
議長退席、副
議長着席〕
このようなことをや
つておりながら、しかもこれが文化
国家たるの実をあげるのに貢献すると、こういうふうにうた
つているのであります。これは実に厚顔無恥であります。公認ばくちの種類が多くないと、皆さんは文化
国家でないと思
つているのか。
自由党の文化
国家とはこんなものでありますか。町には————————————
—————
がたくさんお
つて、横浜へ
行つて見て来たらいい。——————
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がたくさんお
つて、横浜へ
行つて見て来たらいい。——————画にした
つて、ソビエト映画を見せずに、アメリカの映画ばかり見せている。アメリカの映画にも、たまにいいのはあるが、一ぺん銀座や新宿や浅草へ
行つて見ると、そこにはピストルを持つたアメリカのギャングが、牛をとつたり、あるいは牛を飼
つている人をごまかしだり殺したり、それ以外に、ありとあらゆる悪虐なことをや
つている。殺傷以外の何ものでもない。そんなことをや
つて、一生懸命に
日本の文化
国家の体面を償おうと思
つている。われわれは、われわれの文化を持
つているのであ
つて、アメリカ人にこびた、—————————————————を
日本が模倣して行く必要はないのだと思うのであります。
こういうふうなことをや
つておりながら、これに対する費用をさらにかけると言
つているのであります。ところが、犬の競走場に費用をかけるといいながら、人間の子は、
日本においては馬小屋の中でまだ勉強をして、
日本歴史の事実を忘れさせられている事実があるのであります。子供のためには十二分なるところの施設をせずに、犬のためには費用をかける。自転車のためには費用をかける。ボートのためには費用をかける。馬のためには費用をかける。これでは、
日本中に犬ボス、ビンゴ・ボス、ポート・ボス、馬ボス、こういうようなボスばかりこしらえ、その上に農林、通産大臣が乗つかか
つている。だから
農林大臣は、いつまでた
つても麦の統制撤廃を解決すべきか、すべきでないか、あるいは米の問題、あるいは農業構造の本質の問題は、いつまでた
つてもわからぬのであります。わからぬような人が
農林大臣としてすわ
つておりながら、
自由党はそのままで押し切れるほど—————に対する罪悪を犯しているという事実を、後世において批判される覚悟をしなさい。
特に
自由党の
諸君にはつきりと言うておきたいのは、
自由党の中においても、この
法案に対しては、まじめな立場から
反対せられた人があるのであります。それはここに全文がございます。私は
自由党と名がつけば、みなきらいだと言いたか
つたのでありますが、
自由党の中におられる河野君は、
農林委員会で、実にみ
ごとなものであつた、この事実を、皆さんはもう一回思い出していただきたい。河野君はこう言
つております。上層の者は、競馬には一部おりますけれども、競輪の
ごときは下層階級にきま
つておる、そこから二割五分の口銭をはねる、首つりの足をひつぱるような、きわめて反社会的なことをや
つておる、これがこの種の
法案である、今度の畜犬競技法も、こういうものになりはせぬかということを私は
心配する、(中略)よく共通した問題として、地方自治に大いに寄與する、
学校を建てるというのですが、
学校は教育の手段であります、目的そのものは、どこまでも教育であります、目的を破壊して手段を整えても何にもならない、現にそれをや
つている、
学校はなるほど建ちます、しかし、その町で競輪、競馬をやりますれば、子供というものはその町の影響を受けて、教育そのものが破壊される、こういうことです、これははなはだしくナンセンスですと、こう言
つているのであります。
自由党の人でさえも、この
法案に対して
反対しているのですから、ここで特に
自由党の
諸君にお願いしておくのは、
自由党内でさえまとま
つておらないこの
法案に、
自由党の中の、ごくわずかにせよ、良心を捨て切れない議員は、勇気を奮
つて反対の意思表示をして、この腐つた犬のばくち
法案を否決してもらうようにお願いしたいのであります。これが
反対討論の
理由であります。(
拍手)