○安部俊吾君 ただいま
議題と相なりました
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する
法律の一部を改正する
法律案、提案者
衆議院議員
押谷富三君外二名及び
民事調停法案、提案者
衆議院議員
鍛冶良作君外三名の二
法案につきまして、提案の要旨及び法務委員会における審議の
経過並びに結果を御
報告申し上げます。
まず
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する
法律の一部を改正する
法律案について申し上げます。
現在執行吏につきましては、
一般公務員と同様に、
昭和二十五年十二月三十一日以前に退職した者に対しましては六千三百七円
ベースに基く恩給が支給されておりますが、
一般公務員につきましては、今国会に別途提案されております恩給法の一部を改正する
法律案によりまして、この種の者に対しましても、
昭和二十六年一月分以降七千九百八十一円べ
ースに基く恩給が支給されることとなりますので、執行吏につきましても、これと歩調を合せ、
昭和二十六年一月分以降同
ベースに基き、恩給年額を、八万一千円を俸給年額とみなして算出した年額に改正する必要があるのであります。以上が本
法案提出の要旨であります。
次に、
民事調停法案の提案要旨を申し上げます。
御
承知の
通り、調停制度は、民事上の
紛争につき、公正な裁判所をして当事者間をあつせん、調停させ、当事者の互譲により、低廉、簡易、迅速に、條理にかない、実情に即した
紛争の解決をはかろうとするものであります。現在調停には、借地借家調停、小作調停、商事調停、金銭債務臨時調停、鉱害調停、民事特別調停、家事調停など各種のものがありますが、これらに関する各
法律は、大正十一年以来、いずれもそのときどきの需要に応じて逐次制定せられたものでありまして、かように類似した制度が多数ありますことは煩瑣に過ぎますので、本
法案は、各種調停
法規を整理統合いたし、かつ若干の改正を加え、調停手続に関する單行法を制定しようとするのであります。もつとも、家事調停はこの範囲から除外いたしました。
本案の内容を簡單に申し上げますと、
一、各種調停に通ずる
一般規定と、数種の調停に関する特別規定とにわけ、その重要なものを
法律で規定いたし、他は最高裁判所の規則の定めるところに委任し、運用上の便宜をはか
つたこと。
二、調停は調停委員会で行うことを本則とし、調停委員会の調停に対する裁判所の認可の制度を廃止したこと。
三、裁判所だけでなく、調停委員会も、調停のため特に必要があるとき、調停前の措置として必要な事項を命じ得ることとしたこと。
四、いわゆる調停にかわる裁判は、
異議の申立てによ
つてその効力を失うこととしたこと。
五、調停不成立の場合に、一定期間内に訴えの提起があれば、調停申立てのときに訴えの提起があ
つたものとみなす等、誠実な調停申立人を保護することとしたこと。
六、受訴裁判所は、事件について争点及び証拠の整理が完了した後は、当事者の合意がない限り、職権で事件を調停に付することができないこととしたこと。
七、商事事件及び鉱害事件については、仲裁判断の趣旨を取入れた規定を、設けたこと。等であります。
さて当委員会におきましては、
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する
法律の一部を改正する
法律案に対しては、質疑を省略し、各党から賛成の討論があり、採決の結果、原案
通り全会一致をも
つて可決いたしました。
次に
民事調停法案に対しましては、質疑に入りましたところ、各派共同提案として次の
修正意見が出たのであります。
すなはち第一点は、第十條第二項の調停申立ての手数料は、調停を求める事項の価額千円につき二十円を越えない範囲とあるのを十円に改めました。
第二点は、第十二條におきまして、「現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる
行為の排除を命ずることができる。」といたし、かつこの命令は執行力を有しないという第二項を附加したものであります。
かくて、右
修正案及び
修正部分を除く原案につきまして採決いたしましたところ、それぞれ全会一致をも
つて可決された次第であります。
右御
報告申し上げます。(
拍手)