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1951-04-16 第10回国会 衆議院 本会議 第30号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年四月十六日(月曜日)
議事日程
第二十九号 午後一時
開議
第一
ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
(
佐藤榮作
君外三百九十四名
提出
)(
委員会審査省略要求事件
) ————————————— ●本日の
会議
に付した
事件
日程
第一
ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
(
佐藤榮作
君外三百九十四名
提出
) 午後二時十七分
開議
林讓治
1
○
議長
(
林讓治
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
林讓治
2
○
議長
(
林讓治
君)
日程
第一は
提出者
より
委員会
の
審査省略
の申出があります。右申出の通り決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
林讓治
3
○
議長
(
林讓治
君) 御
異議
なしと認めます。
日程
第一、
ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
を
議題
といたします。
提出者
の
趣旨弁明
を許します。
植原悦二郎
君君。 〔
植原悦二郎
君
登壇
〕
植原悦二郎
4
○
植原悦二郎
君 ただいま上程されました前
連合軍最高司令官ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
につきまして、
提出者
を代表して
提案
の
理由
を御説明申し上げる光栄をにないます。 まず
右案文
を朗読いたします。
ダグラス
・
マッカーサー元帥
に対する
感謝決議
前
連合国最高司令官ダグラス
・
マツカーサー元帥
が、
終戰当時
の
わが国
の
混乱
と
窮乏
とを匡救し、進んで
民主主義
の
確立
と
経済
の
自立
とを
指導
援助し、も
つて
、
わが国独立
の
機運
を促進したる偉大な
業績
は、
国民
挙げて感激措く能わざるところなり。
衆議院
は、特に院議をも
つて
この全
国民
の
意思
を代表し
衷心
より
感謝
するとともに
満腔
の
敬意
を表す。 右
決議
す。
終戰以来
五年有八箇月にわた
つて
、
連合軍最高司令官
として、
敗戰後
の
日本再建
のため、深甚なる
好意
と、その叡知と、卓越せる
識見
とによ
つてわが国
を
指導
され、かつ援助されて参りました
ダグラス
・
マツカーサー元帥
は、去る十一日をも
つて
その任を去られることになりました。この報一たび伝えられるや、全
国民
は悄然として深き思いに沈んだのであります。
元帥
が
わが国
民に注がれました、あたたかい
友情
をしのび、
惜別
の情禁じがたいものあるを覚えられたのであります。今や、
わが国
民はすべて、
元帥
の在任中における偉大なる
業績
に対し
衷心感謝
にたえないところであります。 思えば、
元帥着任
当時の
わが国
民は、破壊と
混乱
と
窮乏
と恐怖の中に立ちあえぎ、行くべき道、たどるべき策をも定めがたく、たださんたんたる様相を呈し、あたかも、かじを失うたるところの
難破船
のような姿でありました。この間に進駐されました
マツカーサー元帥
は、
占領軍
の
峻嚴
な
最高司令官
というよりは、むしろ悩める
敗戰国民
に対する救世主のごとく、深き同情と
好意
とをも
つて
、
窮乏
の中に混迷せる
日本国民
に対して、物心両
方面
にわたり、あたたかき救済の手を差伸べられ、しかも寛容と正義とによ
つて
これを
指導
されたのであります。
かく
て
わが国
民は、ようやく
敗戰
の
窮乏
と
混乱
を脱却し、民生の安定と秩序の維持とを確保することができたのであります。
元帥
は、さらに進んで、人類平和の崇高なる
理念
の
もと
、
人間
の
基本的権利
、自由を
保障
する
日本国
新
憲法
の制定に、諸制度の改変に、
経済
の再
編成
に、諸般の
改革
を断行され、あらゆる
方面
にわた
つて
、
わが国
民の
福祉増進
のために、その
民主化
を企図、
指導
されたのであります。のみならず、
わが国
の
経済再建
のためにはかられた
功績
もまた決して少いものではありません。しかして、百般の
国民生活
は徐々に健全なる
民主化
の軌道に乗り、
国家
の
復興
またその緒につき、
国際信用
も漸次回復することを得、ここに全
国民待望
の
講和條
約の締結、
独立
への進路もようやく
前途
の曙光を見るに至りました。これ実に偉大なる
元帥
の
人格
と、その
指導
よろしきによるものでありまして、われわれ全
国民
の感激おくあたわざるところであります。(
拍手
)
元帥
がわが
日本国
に残されたこの
業績
は、ひとりわれわれ
日本国民
の
元帥
に対する感銘の
象徴たる
のみではありません。
世界人文史上
特に記録さるべき、まれに見る
功績
であることは、われわれ確信するところであります。(
拍手
)今や、
元帥
の不断の
努力
と
好意
とによ
つて
、われわれは、われわれ
待望
の
講和
の日近きを思わしめられるのであります。しかるに、
元帥
とともに
講和條
約の成立、
新生日本
の門出を迎うることを得ずして、ここにその別離に際会することは、生者必滅、会者定離とは申しながら、われわれは、ひとしお、そのなごりを惜しまざるを得ないのであります。 われわれは思います。
元帥
去らるとも、
元帥
がわれ
ら日本国民
の胸底深く植えつけられました
民主主義国家
と人類平和への
理念
は、
新生日本
の
道標
として、とこしなえに
日本国民
の間にその生を保持することを確信いたしております。われわれは、
元帥
とわかるるに臨み、
元帥
に対する
感謝
と
惜別
の意を表現する適当な
言葉
を見出すに苦しむものであります。けれども、われわれは、
かく
申します。われわれは、ここに
元帥
の厚き
友情
にこたうるために、
元帥
がわれわれに與えられました
民主主義
と人類平和の
道標
を、
新生日本
の
前途
の燈明台として、如実に見失わぬよう最善の
努力
を誓うものであります。(
拍手
)われわれは重ねて、全
国民
の名において、
元帥
に対し
衷心感謝
のまことをささげ、
満腔
の
敬意
を表したいと存ずるのであります。
最後
に、われわれは全
国民
とともに
元帥
の御健康を祈るとともに、常に
元帥
が、
わが国
の行手に、従来のごとく、よき、あたたかい
助言
を與えられんことを念願してやまざる次第であります。 以上をも
つて
提案
の
理由
といたします。何とぞ満場の御賛同を願います。(
拍手
)
林讓治
5
○
議長
(
林讓治
君) これより
討論
に入ります。
今野武雄
君。 〔
今野武雄
君
登壇
〕
今野武雄
6
○
今野武雄
君
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議
が、現在の
日本
にと
つて
最も緊急重大な問題であるとしまして、
自由党
、
民主党
、
社会党
の
共同提案
で、わざわざ本
会議
を召集することにな
つたの
でありますが、わが党がすでに指摘しているように、
感謝
の
理由
とされている、
日本
の
民主化
と
経済自立
と
民族独立
を促進したなどとは━━
━━━━━━
━━━━━━
以外の何ものでもないのであります。このことは、これまで
マツカーサー元帥
の
政策
を最も忠実に支持して来た
自由党
、
民主党
、
社会党
の
諸君
の本日の
出席ぶり
を見ても明らかであります。
日本国民大衆
は、三
党幹部
のこの━━━━に賛同する者は、特別の者を除いては一人もいません。わが党は、以下その
理由
を明らかにします。 第一に、
終戰当時
を問題にするならば、
終戰
のどさくさにまぎれて
臨時軍事費
を濫費し、当時の
価格
でも一千億円に上る莫大な物資を隠匿し、
経済再建
を困難にし、やみと
インフレ
の中に
国民
をおぼれさせ、
財閥
や
戰時利得者
の
財産税
を、
インフレ
によ
つて実質
上棒引き同然にしながら、
他方
新円切りかえによ
つて
、
勤労大衆
を、一人前五百円也の正札で、
飢餓的わく
にしばりつけたその
政治的責任
は、一体だれが負うべきであるか。 第二の、
民主主義
の
確立
と
経済自立云々
の点に
至つて
は、まさに正気のさたではありません。第九
国会
の開会中に━━
━━━━━━
━━━━━━
、われわれ家庭の
電燈
を暗くする電力再
編成
が
ポ政令
によ
つて
実施されたために、憤激して
国会審議権
の尊重を叫び、
決議案
を
提出
したのは、一体どこのだれであ
つた
か。
日本経済
にと
つて死活
の問題である
中日貿易
の
禁止
は
━━━━━━━━━━━━。見返り資金
のみならず、
国民
の血の出るような零細な金を集めた
預金部資金
まで
政府
や
国会
が自由に運用できないのは、どうしたことか。
日本人
にと
つて
耐えがたい税制は
━━━━━━━━━━━━━━。国民
の血税で外国の
作戰費
まで負担しておる
日本
の
国家予算
は
━━━━━━━━━━━━━━。
また
経済民主化
の根本である
帝国主義財閥
の
解体
は実行されておるか。最近発表された
日本
の
長者番付
の筆頭には、三井、三菱、住友、
安田等
の九
財閥
が、
くつわ
を並べております。これは、この問題に対する最も簡明な答えではないか。今や
日本
の
帝国主義財閥
は、
国際帝国主義財閥
の
植民地的買弁
となり、その軍事的、
独占的性格
はますます強化されているのではないか。
━━━━━━━━━━━━━━━━。
次に、
日本民主化
と非
軍事化
の前提として
極東委員会
によ
つて
取上げられた
農地改革
は、いかに実行されたか。
昭和
二十四年の
農業センサス
によ
つて
、
全国農家
の二四%が依然として小作をや
つて
いる事実、
山林地主
が完全に温存されている事実、ジープによる強制によ
つて
、
生産費
以下の低
価格
で
買出し供出
までやらされている事実
━━━━━━━━━━━━━━━━。重税
によ
つて
、働く農民は破滅に陷れられておるのではないか。
かく
して
━━━━━━━━━━━━━━━━━━、他方
において、
労働者
の低
賃金
と、
戰争
に備えての
人的資源
の確保の
基礎條件
を
━━━━━━
いるのではないか。 さらに、
日本民主化
の
主力部隊
として、
極東委員会
の十六
原則
によ
つて組合活動
の自由を
保障
されたはずの
労働階級
は、現在どんな状態にな
つて
いるか。二・一ストが
マツカーサー指令
によ
つて
禁圧されて以来
━━━━━━━━━━━━━━━━━━、
特に
昭和
二十三年七月の
マ書簡
によ
つて
、公務員という名の
もと
に、
官公庁労働者
の
ストライキ権
、
団体交渉権
などを全面的に剥奪した
ポ政令
二〇一号が公布され、翌二十四年には、
定員法
によ
つて
、多数の
官公庁労働組合
の
活動家
を根こそぎ馘首し、さらに昨年は
全労連
を解散し、真に実質的な
労働組合
に━━
━━━━━━
、さらにレッド・パージによ
つて民間企業
の有力な
活動家
が
━━━━━━、極東委員会
の十六
原則
は
━━━━━━政府
並びに
警察
によ
つて
……(
発言
する者多く、
聽取不能
)
労働組合
に対する
支配行為━━━━━━
及びあらゆる種類の━━
━━━━━━
━━━━━━
いるではないか。その上、
軍隊まがい
の……(
発言
する者多く、
聽取不能
)
職階制
が
━━━━━━、労働者
は、再び戰前と同じく
活動
の自由を━━、千数百万人の
失業者
は国土にあふれ、
資本家
は正規の
労働者
を首にして、
臨時工
を低
賃金
で雇い入れ、物価が
上つて
も
賃金
は引下げられる。
まつたく
の━━━━
━━━━━━
いるではないか。特に特需または
軍直営
の仕事に従事している
労働者
は
━━━━━━━━━━━━━━━━
に対して、
政府
は、一旦
占領軍当局
に引渡した以上、その
労働者
がどのように使用されているかは、
政府
としては
責任
を持てない、と答弁しておる。
日本
には
━━━━━━━━━━━━━━━━
ことにな
つて
いることを、
政府自身
が認めているではないか。 さらに
民主主義
の
保障
である言論、出版、結社の自由、
信條
、
思想
の自由はどうか。……(
発言
する者多く、
聽取不能
)濫用によ
つて
朝連、
全労連
を解散し、アカハタの
刊行停止処分
をし、川上君を除名し、ほとんどあらゆる集会、デモの
禁止
、就学、就職に際しての厳重な
思想
の調査などの例によ
つて
も明らかなように、今日の
日本
では、
まつたく
━━━━━━━━━━━━━━━━
が行われておるではないか。 こういう事例は、いくらでもあげることができる。この
決議
のいう、
日本
の
民主主義
の
確立
と
経済自立
とを
指導
援助し、も
つてわが国
の
独立
の
機運
を促進したという
理由
が━━
━━━━━━
━━━━━━
明白である。(
発言
する者、離席する者多く、
議場騒然
)
最後
に、第三の、
国民
がこぞ
つて
感激しているという点である。じようだんじやない。
アメリカ
の
有力紙
であるUS・アンド・ワールド・レポートの
東京特派員
でさえも、
日本
の目的は再び自由な国になることである、多くの
日本人
は、
征服者
に出て行
つて
もらいたいと望んでいる、こういう報道をしています。それゆえにこそ、
警察力
を増強し、
警察予備隊
を創設して、これらに
暴動鎮圧
の演習をやらせ、朝鮮で
手一ぱい
であるにかかわらず、
アメリカ
の州兵二箇師団を
日本警備
のために配置し、さらに……(
発言
する者多く、
議場騒然
、
聽取不能
) 以上のように、事態は明らかであります。
日本
に
━━━━━━━━━━━━━━━━。
あるものは悪税であり、
窮乏
であり、
失業
であり
━━━━━━━━━━━━━━。
しかるに
━━━━━━
満ちた
決議
を
衆議院
の名においてなさんとする真のねらいはどこにあるか。第一に、
世界周知
の通り、
マツカーサー
の罷免は、
極東
における━━━━
━━━━━━
の一環の破綻を示すものである。しかるに、今までこの
政策
に同調し、この
政策
を全幅的に支持して来た
自由党一味
とその
政府
は、この事実に対して何ら反省の色を示さず、かかる
━━━━━━
を
唯一
の正しい
政策
として、
日本人民大衆
に押しつけようとしている。この
感謝
は、その意図を最も端的に暴露したものである。 第二に、この
決議案
は、
終戰以来
……。
林讓治
7
○
議長
(
林讓治
君)
今野
君、
発言
に御
注意
を願います。
今野武雄
8
○
今野武雄
君(続) ━━━を
唯一
の正しい
政治
として……(
発言
する者多く、
議場騒然
、
聽取不能
)依然として
━━━━━━━━━━━━━━━━感謝
の形で表明したものである。 第三に、この
決議
は、以上の
━━━━━━
当然の帰結である
單独講話
によ
つて━━━━━━━━━━━━━━━━━━、マツカーサー元帥
の名によ
つて
強行せんとするものである……(
発言
する者多く、
議場騒然
、
聽取不能
)
国際的帝国主義
の……(
発言
する者多く、
聽取不能
)破砕せんとして戰
つて
いる
全日本人民
と、
世界
十億の
平和擁護勢力
の名によ
つて
反対するものであります。(
拍手
)
林讓治
9
○
議長
(
林讓治
君) ただいまの
今野
君の
発言
中、
占領軍
の
政策
に関する不穏当の言辞があれば、
速記録
を取調べの上、適当の処置をとることにいたします。
三木武夫
君。 〔
三木武夫
君
登壇
〕
三木武夫
10
○
三木武夫
君 私は、ただいま
議題
となりました
ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
に対し、
国民民主党
を代表して
賛成
の意を表するものであります。(
拍手
)
マツカーサー元帥
が、
昭和
二十年八月三十日
厚木飛行場
に進駐されまして以来、満五箇年八箇月の間に
日本
に残された不滅の
業績
は、そのまま新しい
日本
の育成の歴史でありました。
日本民主化
は、
政治
、
経済
、
社会
の各分野においてその基盤を固め、今やまさに
自主独立
の
日本
が
国際場裡
に現われようとするとき、
マツカーサー元帥
の解任、
帰国
を見ましたことは、
日本国民
のひとしく遺憾にたえないところであります。(
拍手
)もちろん
日本
の
占領政策
は源を
極東委員会
に発するとはいえ、利害を異にする
連合諸国
の
干渉妨害
をしりぞけ、
日本
を
好意
ある立場に終始一貫したものは、実に
マツカーサー元帥
の声望と信念と手腕に負うところ大なりと、
国民
のひとしく感激するところであります。(
拍手
)
マッカーサー元帥
の
業績
につきましては、
提案者
から詳しく申し述べられましたので、これを繰返しませんが、私はこの機会に、一月末
元帥
と会見した際、
元帥
の述べられた
言葉
の一端を、ここに回顧したいと存じます。すなわち
元帥
の
言葉
は、
自分
は
日本
と
戰争
のさ中にあ
つた
ときにも、高貴なヒユーマン・フイロソフイを失
つた
ことはなか
つた
、戰爭が
終つて日本
に来てからは、そのおおい
かく
していたものを表面に出したまでであ
つた
、
従つて自分
は、
日本人
に懲罰を加えるべきだという考え方を一度も持
つた
ことはなか
つた
、
日本
は
敗戰
の恥辱だけで、すでに十分罰せられている、
自分
が
占領政策
の最初から
努力
したことは、
日本人
をして一日も早く
敗戰
の
卑屈感
を捨てしめて、
日本人
としての自尊心と
自信
をとりもどすということが一番
自分
の
努力
したことであ
つた
、
日本
は対等の地位と平等の
條件
で
自由国家
に加入すべき十分の資格を備えて来た、
講和
は三箇年も遅れ過ぎた、今年はぜひとも
講和條
約を締結されなければならぬ、
講和
の
中心課題
は
安全保障
の問題である、
日本国民
の
自由意思
と完全な理解を
基礎
として有効適切なる
安全保障
の道を講ずることが
日本
の急務である、進駐以来、
司令部
はおそらく幾つかの
誤り
を犯したに相違ない、けれども、それは頭脳から来た
誤り
であ
つて
、心から来た
誤り
でなか
つた
、ということを
国民
が理解してもらいたい、これが
元帥
の
言葉
でありました。(
拍手
) この
言葉
の中に現われているごとく、
マツカーサー元帥
の
日本人
に対する
愛情
と信頼は、
日本人
をして、受付けがたい不名誉な
占領
の事実を忘れしめました。そして、
日本人
をして新しい
日本建設
に情熱を振い起さしめて、最も大きな
精神的影響力
を與えたものは
マッカーサー元帥
であ
つた
ということを申し上げても過言ではないと存じます。(
拍手
)われわれは、他の何人を持つよりも、
マツカーサー元帥
を
最高司令官
として持
つた
ことが
日本人
の幸福であ
つた
ことを確信いたします。われわれは、
マツカーサー元帥
が
最高
の
権力者
であるから尊敬するものではありません。一介の
米国市民
となられたとしても、
人間マツカーサー
の高貴な
人間性
に対しましては、
衷心敬意
と
愛情
を感ずるものであります。(
拍手
)
マツカーサー元帥
の残された、
日本民主化
と
経済自立化
への数々の
業績
と、その根底をなしたこの尊い
人間精神
は、
日本民族
の胸の中に永遠に生きて、折に触れ、時に応じ、
日本人
に
自信
と
勇気
を與えることと信じます。われわれは、
最後
まで
元帥
の念頭を離れなか
つた
安全保障
の問題を、
元帥自身
が解決せられないで今般
帰国
をされましたことは、
元帥自身
としても心残りのことであ
つた
と存じます。今後われわれは、
国民的意思
に基いて、この問題に対しても聰明なる解決を與えなければなりません。
元帥
は、今太平洋上を、おそらく無量の感慨をこめて本国に急いでおられることでありましよう。われわれは、ここに
元帥
の真情に対して尊敬と
感謝
の念を送り、
元帥
の多幸を祈るものであります。(
拍手
)
林讓治
11
○
議長
(
林讓治
君)
淺沼稻次郎
君。 〔
淺沼稻次郎
君
登壇
〕
淺沼稻次郎
12
○
淺沼稻次郎
君 私は、ただいま
議題
となりました
ダグラス
・
マツカーサー元帥
に対する
感謝決議案
に対し、
日本社会党
を代表いたしまして、
賛成
の意を表明したいと存じます。(
拍手
)
わが国
は、
敗戰
という
冷嚴
な現実の前に、
ポツダム宣言受諾
と、
国民
の
戰争
に対する鋭い批判が相ま
つて
、封建的な、専制的な、軍国的な、独裁的な
日本
の
国家体制
を、真に民主的な、平和的な、文化的な
体制
たらしめるために、偉大なる
変革
を遂げて今日に
至つたの
であります。すなわち
政治
の面においては、新
憲法
の
もと
、
主権在民
の大
原則
を打立て、
政治
の
民主化
を徹底し、また
国際紛争
を解決する手段としての
戰争
は永久に放棄すると規定し、平和非武装の
宣言
を
憲法
においてなしたのであります。
経済
の面では、
財閥
の
解体
、
労働運動
の発展、
農地
の
改革
など、
経済民主化
を遂げたのであります。しかも、この偉大なる
変革
を、われわれは平和と
無血
の間になしたのであります。およそ偉大なる
変革
の中には血がつきまとうものであります。われわれは、この血の道を選ばず、平和と
無血
の間に偉大なる
変革
を遂げたことを記憶しなければなりません。これは
日本国民
の平和への熱願と、
民族独立
への要望から来る自制の上に行われたことは、いなむことのできないことではありますが、
マツカーサー元帥
の
助言
と
指導
によるところ大なるものがあると私は信ずるのであります。(
拍手
)
マツカーサー元帥
が、
連合軍最高司令官
として、
日本国民
に
民主主義
の
理念
を植えつけた
功績
は、大なるものがあると存じます。これと並行して、
戰争
によ
つて困窮
のどん底に陷れられた
国民生活
、
戰争
によ
つて
崩壊した
日本
の
経済
に対し、
国民生活
の安定と
経済再建
のために、食糧並びに二十億ドルに達する
経済援助
のために
努力
せられたことは、
国民
のひとしく
感謝
するところであります。(
拍手
) 次に、
講和会議
が近いということを身に感ずるものがあります。
講和会議
、それは
日本人
及び
日本国
が、
自由国民
として、
自由国家
として
国際社会
に再出発することであります。
戰争
によ
つて
失われたる
国家
の
自主性
を回復することであります。
終戰六年
、ようやくこの道が開かれんとしておるのであります。この道を開いてくれましたのも
元帥
に負うところ大なるものがあるのでありまして、われらの
感謝
するところであります。(
拍手
) 本日、
マツカーサー元帥
が
日本
を去る日にあたり、本
決議案
がこの
会議
に上程されておるということは、
異議
深きものがあろうと思うのであります。この
元帥
の
指導
と
好意
に報いる
ゆえん
のものは、
日本民主化
の徹底、
日本経済
の
自立
、
日本
の平和と
独立
のために
努力
することにあると信じ、われわれは一層の
努力
を拂うことを付言したいと思うのであります。 ここに
元帥
の健康を祈り、本
決議案
に
賛成
の
意思
を表明するものであります。(
拍手
)
林讓治
13
○
議長
(
林讓治
君) これにて
討論
は終局いたしました。 採決いたします。
本案
に
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
林讓治
14
○
議長
(
林讓治
君)
起立
多数。よ
つて本案
は可決いたしました。(
拍手
) この際
内閣総理大臣
から
発言
を求められております。これを許します。
内閣総理大臣吉田茂
君。 〔
国務大臣吉田茂
君
登壇
〕
吉田茂
15
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 本
決議
に対しましては、
政府
はまことに同感であるのみならず、本院が本
決議
により
国民
の
意思
、感情を内外に表明せられたことを、まことに喜ぶものであります。
終戰以来
五箇年
有余
、その間数回
内閣更迭
がありましたが、党派のいかんにかかわらず、
内閣首班
に対し常に公平かつ丁重に応接せられ、温情をも
つて
国政の
指導
に当られたることを、私は
感謝
せざるを得ないのであります。 ここに特に全
国民
を代表して
感謝
を表示いたしたいことは、わが
皇室
に対し、
元帥
が特別の
注意
を常に拂われたことであります。(
拍手
)
元帥
は、
日露戰争中
、
父君マッカーサー将軍
とともに
日本訪問
以来、
わが国
に対し非常の関心を寄せられ、
元帥
の
わが国
情に対する造詣、蘊蓄が、
日本国家
の礎石はわが
皇室
にあることを洞察せられ、わが
皇室
に対し非常の
注意
と用意をいたされたることは、
元帥
の対
日識見
のたまものであることは明白なことであります。(
拍手
)私が
惜別
の意を表するため過日
訪問
の際にも、
元帥
は、
今上陛下
ほど民主的の君主は、か
つて
自分
の知らざるところである、
わが国民主化
の大業の容易に
なつ
た
ゆえん
は一に
陛下
のお力であると激賞せられたのであります。(
拍手
)
もと
よりこれは
元帥
の
謙讓
の徳が
かく
言わしめたものと存ずるのでありまするが、同時に
元帥
が、わが
陛下
の御
性格
に対し最も熟知せらるるとともに賞讃しておらるるからこの言のあ
つた
ゆえん
と信ずるのであります。(
拍手
)
元帥
は、
厚木上陸
の際、身に寸鉄も
帶びず
、單機上陸せられたということは、当時言い伝えられておりましたが、その軍人としての
勇気
に対しては絶大の
敬意
を表するとともに、また
わが国
民及び
わが国
情に深き了解のある証拠であると私は存ずるものであります。(
拍手
) なお
元帥
は、
わが国
民が正直にして、勤勉なるがため、わが
復興
もはなはだ迅速で、他にその例を見ないと、始終言
つて
おらるるのであります。ゆえにまた、対
日講和
の一日もすみやかなるべきことを終始主張せられて、今日対
日早期講和
の空気の
世界
に横溢するに
至つたの
は、一に
元帥
のわれに対する
好意
と
努力
がここに至らしめたことは、まことに明白な事実であります。(
拍手
)その
講和
の完成を見ずして
元帥
の
わが国
を去られたことは、
わが国
民あげて遺憾とするところであり、また
元帥
の対
日友情
からも
つて
いたしましても、けだし、われわれと同じく、これを遺憾とせらるることと存ずるのであります。
元帥
の、この限りなき対
日友情
は、過去五年
有余
の間に
国民
の心境に徹底し、
元帥離任
の報を得るや、
全国
津々浦々まで、
元帥
に対し深甚なる
惜別
の情を期せずして発露するに至
つた
ことは、けだし
元帥
初め
米国民
の了解するところと私は思うのであります。(
拍手
)
終戰以来元帥
に親炙いたしました私といたしましては、
感謝惜別
の意を申すのにその
言葉
を知らないのでありまするが、全
国民
が、知ると知らざるとわ問わず、翕然として
元帥
に対し敬愛を表する
国民的運動
とも言うべき形で、実際において、
かく
のごとき
国民的運動
が自然の間に出現いたしたということを見て、私はみずから慰むるのであります。(
拍手
)けだし、これはおのずから
元帥
の
識見
及び有徳の
人格
のいたすところであると、私はかたく信ずるのであります。
元帥
の
わが国
及び
わが国
民に対する絶大なる
友情
、
好意
を長く記念し、
感謝
のため、適切なる方法を今後考究いたして、いずれ
政府
がその構想のなり次第
国会
に付議して、
諸君
の御協賛を得たいと存ずるのであります。(
拍手
)
林讓治
16
○
議長
(
林讓治
君) 次会の
議事日程
は公報をも
つて
通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十八分散会