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1951-03-30 第10回国会 衆議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)  議事日程 第二十七号     午後一時開議  第一 昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算  第二 遺失物法の一部を改正する法律案川本末吉君外四名提出)  第三 戸籍法の一部を改正する法律案法務委員長提出)     ————————————— ●本日の会談に付した事件  日程第一 昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算  日程第二 遺失物法の一部を改正する法律案川本末吉君外四名提出)  第三日程 戸籍法の一部を改正する法律案法務委員長提出)  農産物検査法案河野謙三君外二十名提出)  新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案中山マサ君外三名提出)  日本開発銀行法案内閣提出)  追放解除に関する緊急質問村瀬宣親提出)  資金運用部資金法案内閣提出)  郵便貯金特別会計法案内閣提出)  会計法の一部を改正する法律案内閣拠出)  資金運用部特別会法法案内閣提出)  資金運用部資金法施行に伴う関係法律案整理に関する法律案内閣提出)  納税貯蓄組合法案奧村又十郎君外十四名提出)     午後二時五分開議
  2. 林讓治

    議長林讓治君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 林讓治

  4. 菅野喜六

    菅野喜六君 ただいま議題となりました昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算並びに同特別会計歳入歳出決算につきまして、決算委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず昭和二十三年度一般会計決算の概要を申し上げますと、歳入決算は五千八十億三千七百万円歳出決算額は四千六百十九億七千四百余万円でありまして、差引四百六十億六千三百余万円の剰余を生じております。これは予算額に比較して、歳入においては三百四十八億九千百余万円の増加、歳出においては百十一億七千百余万円の減少となつております。しかして、本年度一般会計の国の債務であり、翌年度以降に繰越したものは、国庫債務負担行為三十五億余百円、公債三千二百九億九千二百余万円、借入金五百三十九億千五百余万円、元臨時軍事費特別会計借入金七十億円、計二千八百五十四億九百余万円となつております。  なお特別会計決算について申し上げれば、各特別会計歳入決算額会計は一兆千四百四十三億余万円、歳出決算額の合計は一兆九十五億九千五百余万円であります。右一般、特別両会計決算額総計は、歳入一兆六千五百二十三億三千七百余万円となりますが、これら一般会計及び各特別相互の間には相当多額重複額がありますので、これらを控除調整した決算総計額を概算すれば、歳入一兆三百五十三億余万円、歳出九千七百八十二億余万円となる計算であります。  以上が決算大要でありますが、本委員会は、第七回国会以来、会議を重ねること十九回、その間、会計検査院検査報告、その他政府提出資材に基いて、政府委員その他から説明を聴取し、あるいは委員を現地に派遣するなど、慎重審議をいたして参つたのであります。昭和二十三年度は、芦田内閣あとを、十月に至つて吉田内閣が継いだものでありまして、国家財政運用の面におきまして、予算執行会計経理処理幾多の困難のあつたことは認めざるを得ません。本委員会においても、このような客観情勢を顧慮しつつ本決算審査に当りましたが、なお将来にわたり政府戒心反省を要すべき問題も決して少なくはないのであります。  ここに、そのおもなる点を申し述べれば、まず第一には、租税徴収に関し処置当を得ない問題であります。すなわち、取扱い過誤により租税徴収不足を来したもの、源泉徴収所得税等の未払いに対し徴収処置当を得ないもの等が審査報告指摘されているのでありますが、これらは一般的に申せば、所得調査または資料整備の不十分、法規適用上の過誤、あるいは事務処理の澁滞等によるものでありまして、徴収上の不手ぎわは直接国民生活に、重大な影響を與えるものでありますから、この改善には、なお各段の努力を要望いたしたいのであります。  次には終戦処理費経理に関し処理当を得ない件であります。本年度終戰処理費出資額は千六十一億五千百余万円によつており、一般会計歳出総額の二十三%を占め、従前に比べますと、この比率は大分下つておりますが、金額上では、なお前年度より四百二十億円を増加しております。しかして、この経理に関しましては毎年幾多不当事項があげられたのでありますが、本年におきましても、およそ次の事項が問題とせられたのであります。  まず、工事施行その他契約締結にあたりまして、見積りその他基礎資料生産がずさんであつたため著しく過払いなつたり、あるいは予定通りのこう事が完成していないものが見受けられることであります。また契約締結の際は相当の注意を払つているが、工事の完成あるいは納入物品受領検収の場合、責任者がこれに立ち合い、件さするということを怠り、請負人の支払い請求書をこのまま容認したため過大な支払いをする結果を招く傾向が、終戦処理費に限らず、一般に見受けられるのでありまして、このため巨額な経費がむだに支出されていることになるのであります。また経理上、過払金の回収あるいは概算払い生産が遅延しているものが多いことであります。  次に、多量の不急不要のもの、または不適格品を購入しその後の管理の十分でないものが見受けられるのであります。すなわち、保有資材在庫量及び需用物品の量並びに規格を的確に把握しなかつたためと、購入後の管理が十分でなかつたために、多額国庫損失を来しているのであります。申すまでもなく、終戦処理費取扱いは、連合国軍に対する関係から幾多困難な事情があることは認められるのでありますが、何分にも膨大な数字を占めていることでもありますし、国民のこれに対する関心がきわめてデリケートなものがありますので、今後の善処を望んでやまない次第であります。  第三には、国有財産管理及び処分について妥当ならさるものが多数指摘せられることであります。終戦後大蔵省が引継ぎを受けた旧運用財産の土地、建物、機械、器具等は、連合軍において使用中のものを除きまして、逐次返還されているのでありますが、その効率的運用をはかつているとは認められない事例が多いようであります。すなわち、国有財産貸付料、売渡し代金収納処置が著しく悪いも、またこれが低価に過ぎるもの、あるいは社寺国有境内地目的外に使用されていたり、特殊の目的の為に特に低価で貸し付けたものが、その目的に使用されていないものなど、処置不当と思われるものが多数あるのであります。  さて、最後に申し上げたいことは、以上の不当事項改善、矯正についての政府当局努力熱意いかんの点でございます。近年検査報告指摘された決算上の不当事項は、二十一年度百七十五件、二十二年度三百七十八件、二十三年度六百十三件と、激増の一途をたどり、これに政府関係機関の分を合わせますと、実に七百五十件に上る状況であります。これは会計監査院における機構、人員の整備に伴う検査能力にもよりましようが、また一面に、行政部面における経理事務改善が依然として思わしくないことを物語るものであります。われわれは、毎年度決算審査し、その都度、政府当局に対して非違指摘し、善処を要望して参つたにもかかわらず、同種の不適当事項が引き続き年々繰返されていることは、まことに遺憾とするところであります。  国家における決算審査は、ただ非違指摘し、不当とするとの決議をもつて能事終れりとするものではなく、将来における予算執行の適正、決算改善向上をはかろうとするものであります。しかも、繰返し繰返し発せられた本院の警告と要望が従来から十分に行われないのは、第一に、事務担当者が奉公の精神と責任観念にかけているのではないでしようか。また従来、その責任者に対する処分も、多くは注意訓告等にとどまつて、何ら実質的な懲戒が加えられていない結果、ひいて一般会計経理上の責任を軽んずる傾向を生じているものと考えられているのであります。この点は、昨年五月から実施せられました予算執行職員等責任に関する法律運用と相まつて政府において、まず官紀の振粛、責任の自覚を促すの処置をとられるよう、特に政府考慮を望んでやまないものであります。  本委員会は、昨二十九日、本決算に対する質疑を終了し、討論に入りまして、自由党渕委員より、会計監査院指摘の、処置等を得ないもの六百四件について、それぞれ政府に対し将来の注意善処を促す旨の動議提出されました。これに対し社会党八百板委員より、おおむねこれに同調する趣旨の御発言があり、次に共産党井之口委員は、政府予算執行処置を全面的に非難し、本決算は承認し得ずとのご意見を述べられたのであります。次いで採決に入りましたが、多数をもつて自由党渕委員動議通り議決いたしました次第であります。  以上、簡単ながら報告を終る次第でございます。(拍手
  5. 林讓治

    議長林讓治君) 討論の通告があります。これを許します。井之口政雄君。     〔井之口政雄登壇
  6. 井之口政雄

    井之口政雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、昭和二十三年度一般会計歳入歳出決算昭和二十三年度特別会計歳入歳出決算に対して承認を與える件について、全般的に反対するものであります。  元来、昭和二十三年度予算執行は、半ば、芦田内閣において行われ、半ば吉田内閣においてその責任が持たるべきものであります。昭和二十三年度予算が上程されたとき、その審議にあたつて日本共産党は、この予算資本家階級の独裁の性格を持つものであり、その歳入においては、結局において勤労大衆━━の上に成り立ち、支出において、勤労者幾分利益になるような部分がかりにあるとしても、それはきわめて僅少なものであるゆえんを指摘したのでありますが、その運用にあたつて、もとよりこの性格は十二分に取入れられて実行されておるのであります。そこで、多数の不当事項不正事項が続出しております。これは二十三年度は、二十四年度のドツジ・ラインによる勤労者━━予算へ移る過渡的な予算で、終戦後のあらゆる財政決算腐敗の暴露した総計的な予算なつております。これを機会に、二十四年度以降は決さんの法制を改めまして、腐敗を合法化し、自由党金融資本家的な━━予算決算あとを引続いておるのであります。  このたび上程された決算からは、腐敗の最もはなはだしい公団や復興金融金庫の総計的な決算がまず除外されております。総じて純計額で言いますと、一般、特別を概算して、歳入一兆三百五十三億、歳出九千七百八十二億円に関與する決算が今日取扱われておるのです。一般会計歳入決算額は五千八十億三千七百万円でありまするが、収納未済額は八百十四億にも達しております。一般会計歳出決算額は四千六百十九億七千万円に及んでおります。翌年度繰越分十六億の主たる部分が、終戦処理費七億、物資及び物価調整事務費五億八千万円に上ることは、概してこれらの進駐軍の費用並びに統制経済の濫費がずさん過大に算定されていたことを意味するのであります。同時に、不用額の百十二億の内訳を見ますと、行政関係費約四十四億、連合軍用賠償施設処理費十二億でありまして、これがやはり、むだな予算を組んでいた証拠であります。社会及び労働施設費十四億の不用額は、労働者のために出し惜しみがされていることを意味します。国債は二十三年度初めに約二千九十四億円ありましたが、これに加うるに約三百億の新規発行がなされ、その他金融機関石炭鉱業損失補助四百四十三億が国民の肩に投げかけられております。会計年度未現在高は二千八百億、約三千億になんなんとする元利払いが国民負担なつておるのであります。国有財産の千二百五十六億、物納された財産税その他によるもの六十一億にもなんなんとしておりますものが、管理当を得ずして、貸付料、売渡し代金も放置されておるのが多いのであります。以上の結果、不当事項は六百二十三件にも及びまして、終戦処理費関係では八十四項目という驚くべき数を教えております。徴税は、人民対しましては強化されて、予想以上の徴税を見ておりますが、資本家金融資本家財閥等が主として納税しなければならない部分は、租税収入で百一億、官有財産収入で十七億、合計いたしまして八百十四億というものが納付されておりません。特別会計にして三百三十八億、これらを合算いたしますれば、約一千億になんなんとするものが収納未済額として数えあげられているのであります。租税の三万円未満の徴収不可分だけでも六千三百九十万円に達し、これらは三菱重工業、東亜鉱業大同製鋼等々の会社、財閥よりの徴収不可分でありますが、滞納、脱税のものについては、五十万円以上の分を発表して人民に明確にせよという要求に対して、政府はこれを拒んでおる状態であります。労働者からは勤労所得税として、また通行人からは通行税として受取つた二億一千万にも上る税金が、会計検査院指摘があるまで放置されて、その中には、通産大臣横尾さんの所管される播磨造船も含んでおるのですから驚きます。国有財産貸付料、売渡し価格は、現物と引きかえに納付せられるべきが原則である。五十万円以上の分を拾つてみましても、三菱重工が四件、またも通産大臣横尾さんの関與される播磨造船吉田首相の女婿の麻生氏の関與される麻生鉱業がこのブラツク・リストに載つておるという状況であります。旧軍用財産であつた鋼鉄船七百四十二隻、これみな国民財産であります。木造船千七百十三隻を、合計たつた二億八千三百万円で売り払つておりますが、物価基準で算定いたしましても、十分の一安値というところであります。支出の面を見てみますと、最も重要な問題となつておるのは、終戦処理費使途であります。終戦処理費は、各年度ごとに一千億以上を使つて泣いておつたところの日本国民が、ようやくその負担を免れたかと思つておると、今度は終戦処理費負担に泣かなければなりません。しかも、その費用使途につきましては、ほとんど半分は土建屋その他の食いものとなつていることは、いまや国民の常識となつておるところである。アメリカ運用ガス代電気代バス代が高く過大に見積もられ、青森の三沢飛行場、山口の岩国飛行場等工事には、砂利食い事件不当運賃の査定等々が、会計検査院によつて指摘されております。三沢飛行場に対しては、西松組に、第二期工事の分だけでも二億五千万円が支払われておりますが、これらの支払いが、元来終戦業務合目的であるやいなやについては、会計監査院としては何ら検査を行つていません。会計検査院は、この点に関する限り、もはや無用の長物となつているのであります。  終戦処理費使途で最も典型的なものは、大橋法務総裁の関與したものとして偽証罪の疑いまで起こつているところの二重衝突事件であります。大橋君は、特別調達庁前身である戦災復興院の次長であつたときに、その後輩の高橋正吉君を通じて、足利板金工業に約一億円以上の二重衝突の注文を出し、すでに戦災復興院をやめて後は、足利板金の顧問として月々三万円の給與を受け、二千万円を特別調達庁過払いさせる橋渡しとなつて、選挙運用二十万円の陣中見舞い板金の重役から受け、あまつさえ、この過払い二千万円のかたに納めた東部電鉄五万株のうち三千五千株と自動車を換金して、雲散霧消させてしまつているのであります。しかも特調は、これらの二重衝突は当初からほとんど必要としなかつたものでありまして、当然契約は解除されるべきものだつたのであります。不要となつた二重衝突が、倉庫に山のように積み重ねられ、保管料だけでも百七十万円というものを支払つているに至つては、特調経理腐敗堕落、ほとんど目をおおうものがあるのであります。一を知つて、他は類推することができます。国民は血税に悩み、━━━━━泣いているときに、こうした予算の遂行は、断然許すべきものではありません。(拍手)  人民は、人民の手でもつてこれを粛正しなければならない。人民は、人民の手によつて人民政府を樹立し、人民のための予算を遂行しなければならない。その段階に今来ている。いかなる政府をもつてしても、この粛正は不可能である。人民政府によつて人民管理なくしては、この粛正というものは絶対に不可能であることを、いまや明らかにしているのであります。そのために、日本共産党は、人民にこの決算の実態を訴えて、承諾を断固としてここに拒否する次第であります。(拍手
  7. 林讓治

    議長林讓治君) これにて討論は結局いたしました。  本件につき採決いたします。本件委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  8. 林讓治

    議長林讓治君) 起立多数。よつて本件委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  9. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第二、遺失物法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。地方行政委員長前尾繁三郎君。     —————————————
  10. 前尾繁三郎

    ○前尾繁三郎君 ただいま議題となりました遺失物法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知の通り昭和二十三年三月、新警察制度が実地せられまして、国家地方警察自治体警察とが設置せられて来ておるのでありまするが、遺失物法取扱いは旧警察制度の当時のままとなつておるのであります。そこで今回、現在の制度に即応して遺失物処理及び帰属を明確にし、その解決をはかるため、本法律提出することといたしたわけであります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。この法案は四つの改正案文及び附則からなつておるのでありまするが、その内容はきわめて簡単でありまして、その主要な点は次の二点であります。  その第一は、現行法によりますると、遺失物拾得者から警察署に届け出られ、一定の期間経過後、なおその交付をうける者がないときは、警察官署のその保管物件は、国がその所有権を取得することとなり、国庫に帰属していたのでありまするが、新警察制度趣旨からみまして、自治体警察に保管しております物件につきましてはこれを当該市町村に、国家地法警察に保管しております物件につきましてはこれを国に帰属させることとするのが妥当であると考えられますので、そのように現行法第十五条の全文改正を行おうとするものであります。  改正の第二は、警察官署の保管する拾得物売却処分に対しては出訴し得ないことに現行法上はなつておりまするが、出訴を禁ずるのは憲法に違反するおそれがあると考えまするので、これを削除することであります。  以上二点のほか、現行法において「警察官署」とあるところ及び特に第十一条第三項にあります「警察官」を「警察署長」に改めて、自治体警察の場合を含めて用語の合理的整理行つたのであります。  なお附則第二項を設けまして、この改正法を公布の日から施行すること及び第十五条改正経過措置についての定めをしたのであります。すなわち、自治体警察設置以後、当該自治体警察署長保管物件及び遺失物法第二条の規定により、売却費用を控除した売却代金を含め、すでに国庫に帰属したこととなつているものについては、その処理方針及び手続きがきまらないため、そのままになつているのでありまするが、第十五条の改正案と同じ考え方で、これらの物件当該自治体に無償で譲渡とすることとし、そのかわりに、保管費その他これに要した費用は国が負担せず、法第三条の規定趣旨により当該地方公共団体負担とすることとしたのであります。  本法案は、二月二十二日、議員川本末吉君外四名から提案せられ、同日地方行政委員会に付託、三月二十九日に提案者より提出理由説明があり、若干の質疑応答の後、討論を省略、採決に付しましたところ、満場一致をもつて可決と議決せられた次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  11. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  12. 林讓治

    議長林讓治君) 日程第三は委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  13. 林讓治

    議長林讓治君) 異議なしと認めます。  日程第三、戸籍法の一部を改正する法律案議題といたします。提出者趣旨説明を許します。法務委員長安部俊吾君。     〔安部俊吾登壇
  14. 安部俊吾

    安部俊吾君 ただいま議題となりました戸籍法の一部を改正する法律案について、法務委員会を代表いたしまして、その趣旨答弁を申し上げます。  現行戸籍法は、第一国会において制定され、民法と同時に施行されたのでありますが、その実施の結果、不都合なところが出て参りました。それは、子供の名につける漢字常用平易でなければならぬとの規定があり、常用平易範囲を、国語審議会の定めた当用漢字表範囲と同じであると認定したことによつて国民の種々の不便を生じました。たとえば無名、無籍の日本人が生じたり、同名異人が続出したり、戸籍事務の窓口で、いざこざを生じたこともありました。これがため文部大臣も、子の名につける漢字の緩和を考慮している旨答弁している次第あります。よつて法務委員会は、文部省国語審議会法務府民事局、民間の経験者等、広く各方面の意向を徴して成案練つたのであります。戸籍法改正小委員会においては、漢字制限を全面的に撤廃し、子の名には自由な漢字を使つてよいという意見も有力でありましたが、慎重考慮の結果、次の通り法務委員会成案を得た次第であります。  第五十条に次の一項を加える。   市町村長は、出生の雇用において子の名に前項の範囲外文字を用いてある場合には、届出人に対してその旨を注意することができる。但し、届出人がこれに従わなくともその届出を受理しなければならない。  右成案を簡単に御説明申し上げます。戸籍法第五十条第一項において、常用平易文字を使わなければならぬとの方針従前と少しもかわりありません。第二項において、条文は少しもかわりありませんが、委任する命令とは、近く国語審議会によつて制定せられるべき人名漢字表を指定する戸籍法施行規則となると期待しているのであります。第三項においては戸籍吏注意権を認めましたが、同時に文字言語政策のごとき文化政策国民の名に強制すべきでないという意味を表しているのであります。  以上で大要説明を終りました。何とぞこの法案につき諸君の御賛成をお願いする次第であります。
  15. 林讓治

    議長林讓治君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  16. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。      ————◇—————
  17. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、河野謙三君外二十名提出農産物検査法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  18. 林讓治

    議長林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  19. 林讓治

    議長林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  農産物検査法案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長千賀康治君。
  20. 千賀康治

    千賀康治君 ただいま上程されました、河野謙三君外二十名提出農産物検査法案に関しまして、農林委員会におきまする審議経過並びに結果の大要を御報告いたします。  現在農産物検査は、食管法規定に基く買入れ検査が行われているのでありまするが、最近食糧事情の好転と統制の漸減に伴いまして、食糧管理への要請は徐々に変化して参つておりまするので、検査性格もおのずからかわつて参り、農産物の品質改善を助長し、生産者、消費者双方の利益を擁護しまするためには、今後当然農産物についての検査の実施について法制上の根拠を明確にし、よつてつて商品市場における農産物需給の秩序を整えることが必要であります。これがこの法律案提出されたおもなる理由であります。  以下、法律案内容の主要点を簡単に説明いたしますと、第一に、食糧の検査は、従来いわゆる收買検査が行われて参つたのでありまするが、今後は銘柄を設け、等級も増加して、食糧の商品性、市場性を十分に加味した規格を設定することにいたしておりますこと、第二は、その規格の設定にいては、これを民主的に行うこととし、かつ検査の結果についても異議申立その道を開いておりますること、第三は、米麦はその食糧としての普遍性、重要性にかんがみ強制検査とし、雑殻、いも類については原則として希望検査をすることにしておりますること、第四は、検査手数料は政府へ売渡し、または引渡しするとき以外に徴収され、輸入農産物は一トン三百円、その他の農産物は一包装につき二十円以下とし、収入印紙を検査請求書に貼付して納付することにしておりますること、以上であります。  この法律案は、昨二十九日委員会に付託となり、本日の委員会提案者より提案理由の説明を受け、引続き質疑行つたのでありますが、詳細は農林委員会議録に譲ります。  質疑終了後、結論を行いましたところ、国民民主党金子委員より、この法律案内容を検討すると相当の不備があるが、全体的には賛成する、近い機会に再検討せられたいという條件をつけて賛成せられ、次に日本共産党木村委員もまた若干の希望意見をつけて賛成せられました。かくして採決いたしましたところ、全会一致をもちまして、この法律案はこれを可決すべきものと議決いたしました。  以上御報告いたします。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕
  21. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  23. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案中山マサ君外三名提出引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  24. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。内閣委員会理事青木正君。     〔青木正君登壇
  26. 青木正

    ○青木正君 ただいま議題となりました両案について、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず新聞出版用紙の割当に関する法律案について申し上げます。本案は、新聞出版用紙の割当に関する法律が本年四月一日にその効力を失うこととなつておりますが、最近の用紙事情にかんがみまして、その有効期間を一年延長するとともに、用紙割当に関して決定期間たる性格を持つておりまする新聞出版用紙割当審議会を、閣議決定の方針に基き諮問機関に改めることといたしまして、所要の改正を行わんとするものであります。しかして、右審議会は諮問機関たる性格に改組せられましても、用紙割当に関する一般的な事項につきましては内閣総理大臣及び関係各大臣に建議することができることになつており、また用紙の割当に関する一般的な方針及び基準の作成につきましては、内閣総理大臣は右審議会の意見を聞かなければならないこととなつておるのでありまして、用紙の割当に関しましては民意を十分反映せしめることができるものと思料される次第であります。  本案は、予備審査のため、三月八日、本委員会に付託、三月二十九日参議院の送付を受け、あらためて付託され、質疑応答を重ね、三月三十日、討論採決の結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。  次に、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、最近の情勢にかんがみ、引揚同胞に関する原案の解決を急ぐために、引揚同胞対策審議会設置法の有効期間をさらに一億年間延長しようとするものであります。  本案は、三月三十日、本委員会に付託され、提案者説明を聞き、質疑を行い、討論採決の結果、多数をもつて同日原案の通り可決いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  27. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) まず新聞出版用紙の割当に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。太秦を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  28. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。  次に引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  29. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。
  30. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出日本開発銀行法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  31. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日本開発銀行法案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。     〔奧村又十郎登壇
  33. 奧村又十郎

    奧村又十郎君 ただいま議題となりました日本開発銀行法案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  わが国自立経済達成のためには、まずその経済基盤を育成することが根本でありまして、これがため、政府におきましては、重要基礎産業の長期産業資金を確保することの緊要性を認めまして、一面証券市場の育成、証券投資思想の普及などに努力し、企業の自己資本の充実をはかりますほか、他面さきに金融債の発行を認め、預金部資金によるその引受けを行うこととし、これによつて産業資金の供給を円滑ならしむることに努力して参つたのでありますが、これらの施策をもつてしても、まだ十分とは言いがたいものがあるのであります。従いまして、このたびこの法律を制定しまして、全額政府出資による独立の金融期間を設立し、その業務として、わが国の経済再建及び産業開発に必要な長期産業資金で、銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを貸し付けることといたそうとするものであります。その運用資金としましては、昭和二十六年度において、さしあたり百億円を米国対日援助見返資金特別会計から出資いたしまして、これに充てることとするほか、昭和二十六年度中の一定の時期において復興金融金庫を解散し、その権利業務を承継した後におきましては、その回収金は原則として一般会計からの新しい出資金となることとなつておるのであります。そのほか、日本開発銀行の業務の運営に関する基本方針につきましては日本輸出銀行とおおむね同一であり、できる限り無用の拘束を少くし、その能率的運営を期することといたしておるのであります。  この法案につきましては、三月二十八日、大蔵大臣より提案理由の説明を聴取し、爾来今日に至るまで慎重審議を続けたのでありますが、その詳細につきましては速記録に譲ることといたします。  次いで、本三十日討議採決に入りましたところ、奥村委員自由党を代表し賛成の旨、宮腰喜助委員は民主党を代表し、田中織之進委員は社会党を代表してそれぞれ條件を付して賛成の旨、また深澤委員は共産党を代表して反対の旨討論せられました。次いで採決の結果、多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。  以上御報告申し上げます。
  34. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。深澤義守君。     〔深澤義守君登壇
  35. 深澤義守

    ○深澤義守君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本開発銀行法案に対して反対の討論を行わんとするものであります。  本法案提出するにあたりまして、池田大蔵大臣は、この法案の構想は昨年の十月から持つてつたのであるということを言われておつたのであります。しかしながら、二十六年度予算にこれが編入されていない、そうして、休会まぎわの本国会に突如としてこれを出して来たところに大きな伏線があるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。その伏線とは一体何であるか。それは、最近問題になつておりますところの日米経済協力の一環として、この開発銀行が大いにその役割を果すというところにその伏線があるということを、われわれは指摘せざるを得ないのであります。  すでに皆さんも御承知のごとく、ダレス報告並びにアメリカの国家安全保障委員会におきまして、日本を反ソ反共の軍事基地とするということ並びに軍需工場にするということを明確に規定しておるのであります。この開発銀行が、この一環として今後その役割を果すことは、もはや明らかであります。特に見返り資金がこの銀行の資金になつておるということ自体——この見返り資金が一つも日米政府の自主性において運営されていないということは明らかである。この━━━━━政治資金を資金として出発するところの開発銀行が、金融を通じて全日本産業を隷属的な地位に置く役割を果すということは、もはや明らかであります。これがわが党の反対する第一点であります。  提案理由によりますれば、重要基礎産業のための長期資金を供給するのである、こういうことが言われておるのでありますが、この法案内容の中に、開発資金は金融機関から供給を受けることのできない困難なものに貸し付ける、また社債の引受けに証券業者等が応募または引受けることのできない困難なものを引受ける、こういうことが規定されておるのであります。これは一体何を意味するか。これは明らかに危険負担や採算を無視して、日米経済協力の目的のために━━━━な資金を投入するということを明らかにしておるものであるという意味において、われわれは反対であります。(拍手)  第三の理由は、この開発銀行が、復興金融金庫を解散して、その一切の業務を引継ぐということになつておるのでありまするが、復興金融金庫が何ものであるかということは、皆さんすでに御承知のごとく、これが戦後における日本業界の伏魔殿でおつたということは、もはや世間周知の事案であります。われわれは、この産業界における伏魔殿的存在であるところの復興金融金庫を開発銀行が引継ぐというのであるならば、この復興金融金庫状況というものを詳細国民の前に明確にすべきであると考えるのであります。現在、復興金融金庫は八百八十六億の未回収金があるのであります。われわれは委員会において、この八百八十六億の未回収金の貸出先の明細を国会国民の前に明らかにすべきである、こういうことを要求したにもかかわらず、池田大蔵大臣は、これは今後の回收上はなはだ支障を来すから明らかにすることはできないと言つて、これを拒否しておるのであります。この伏魔殿的な存在である復興金融金庫をそのまま開発銀行に持ち込んで、この開発銀行が再び第二復金となることは、もはや明らかであります。この意味において、わが党は、これを第三の理由として反対しておるのであります。   かくして日本開発銀行が、一方においては━━━━━━━━━━━━協力する役割を果すと同時に、一方において第二復金として不正腐敗の根源となることは明らかであります。わが党は、この意味において断固として本法案に反対するものであります。(拍手
  36. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 田中織之進君。     〔田中織之進君登壇
  37. 田中織之進

    ○田中織之進君 私は、ただいま議題と相なりました日本開発銀行法案に対しまして、日本社会党かを代表いたしまして、これに現下の日本経済自立達成のために長期産業資金を確保する方法といたしまして、その基本的な方向においてわが党の方針と一致する意味において、五つばかりの強い條件をつけて賛成する意思を表明するもりであります。  まず第一に私が申し上げたと條件といたしましては、ただいま共産党の深澤君から述べられましたように、この開発銀行によつて構想するところの資金が、現内閣によつて構想せられておりまする日米経済協力の申し子的な役割を果しはせぬかという危険を、いかに除去するかという問題でございます。この問題につきましては、われわれは、見返り資金が百億この銀行に政府出資として出費せられるという面だけはでなく、第四條によりまして、この銀行に資本金の増加が、大蔵大臣の許可さえあれば、いつでもできるという形において、資本金の増加が自由に行われる関係から見まして、少くとも大蔵大臣が、現在程度の資金計画では日米経済協力に使われるというような心配はないと申しますけれども、大蔵大臣と開発銀行総裁との話合いによりまして、資本金がいくらでも増加されて行く、その委任を認める関係から見まして、この危険性なしとしないのであります。われわれといたしましては、第一の條件といたしまして、この開発銀行の資金運用に対するわが国の自主性をあくまで確保するという條件をつけておきたいのであります。  さらに第二の條件といたしましては、この開発銀行が長期産業資金の供給を目的といたしまする関係から、勢い重点的な融資が行われる傾向なしとしないのであります。その結果は、共産党の諸君が心配せられるように、いわゆる軍需的な性格を持つところの産業に重点的、傾斜的に注入せられまして、日本産業の構成の上で重要な部分を占めておりまする中小企業に対する金融圧迫になりはせぬかという危険性を今後の運用いかんによつては持つことに対して、われわれは十分留意すべしとの條件を第二につけておきたいのであります。  第三の問題といたしましては、本銀行の組織についてでございます。なるほど参與制度というものが設けられており、監査制度が設けられておるのでございまするけれども、復興金融金庫当時にありました審議会のごとき民主的な審議機関が設けられておらないということでございます。われわれは、復興金融金庫当時の審議会が官僚によつて運営されておつたところに弊害のあつたことを認めないわけには行かないのでありまするけれども、われわれは、こうした日本の産業の再建並びに、民生安定のための重要なる長期資金の供給にあたりましては、この種審議会、しかも労働者の代表も、農民の代表も、中小企業の代表も加えたところの民主的な審議会をすみやかに今後設置すべきであるということを、組織上の問題として條件をつけておきたいのであります。  さらに、これが復興金融金庫を将来に継承して参りまする関係から、復金あるいは市中銀行の焦げつき債権の肩がわり機関に堕落しないように運営に十分注意しなければならぬという点を、第四に申し上げておきたいと思います。  さらに最後に、この法案がきわめて短い期間にわれわれの委員会審議を要求して参りましたということについて、われわれは一抹の疑惑を持たざるを得ない点があるのであります。さらに、この銀行法案が成立いたしまして後に決定されるべき開発銀行の総裁の人事が、すでに内定せられておるかのごとき新聞の報道に対しまして、ことにその最も有力な候補者として決定されたと新聞が報道しておる小林中氏が、最近に現内閣が決定いたしまするところのあらゆる最高的な人事に候補者として名前が出る。小林氏も、一、二の新聞によれば、総裁就任のあいさつのごとき談話を発表しておるというようなことは、国会審議権に対する一大制限を加えたものであるということを、われわれ見のがすわけには行かないのであります。ことに委員会において指摘いたしましたけれども、小林氏の問題につきましては、現内閣との関連において幾多の疑惑を持たれておるという点におきまして、私は本案賛成はいたしまするけれども、人事の問題につきまして、かくのごとき疑惑を持つところの人選は断じて排撃しなければならないという條件を最後につけまして、本法案に対しまして賛成の意思を表するものであります。(拍手
  38. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  39. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  40. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、村瀬宣親提出追放解除に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  41. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  追放解除に関する緊急質問を許可いたします。村瀬宣親君。     〔村瀬宣親登壇
  43. 村瀬宣親

    村瀬宣親君 わが国民民主党は、公職追放者、すでに五箇年の久しきにわたつて深刻なる精神的、経済的苦難に耐え、ひたすら反省と恭順のまことをささげ来つたことに対し、大幅の追放解除を主張して参つたのでありまするが、昨年十一月二十六日、わが党の河野金昇君の質問に対し、吉田首相は、今後においても訴願委員会にあらざる他の方法で追放を解除したいと答弁せられ、越えて十二月七日、わが党の山本利壽君の質問に対し、時の林国務大臣は、今後も追放解除に極力努力すると答弁せられたにもかかわらず、その後具体的に力を盡された形跡もなく、かえつて追放覚書該当者の特免に関する政令第三十九号を今月限り廃止することに決定せられたので、私は今後における現内閣の追放解除に対する方針に関し若干の緊急質問をいたしたいと存ずるのであります。(拍手)  昨年十月十三日、公職追放者一万九十名の追放が解除せられましたことは、全国民に明朗なる気分を與えたのでありまするが、政府は、十月末をもつて、七人の訴願審査委員のうち六人を解任し、訴願委員会の事務局をして残務の処理に当らせて来たのでありますが、政令第三十九号を廃止するときは、訴願委員会の事務局も当然閉鎖せられ、ここに十九万余に及ぶ公職追放者は、救済を訴える最後のつなを失うこととなるのであります。よつて第一にお尋ねいたしたいことは、今回の政令第三十九号を廃止する理由は、今後追放者は訴願をしなくても、政府責任において追放を解除することができる見通しがついたために訴願を受理する機関を廃止してしまうのであるかどうかという点であります。  申すまでもなく、公職追放は、日本国民を欺瞞し、世界征服の挙に出ずるの過誤を犯さしめたものの権力及び勢力を永久に除去すべしというポツダム宣言の條項に基いてなされたもでありまするが、市町村における形式的追放該当者の大半は、国民を欺瞞したのではなく、かえつて戰時中の為政者に欺瞞されて、地方の翼賛会や翼賛壮年団等の支部長に名を連ねさせられたにすぎないのであります。昨年行われた一万九十名の追放解除者の中には、戰時中の大臣や、翼賛会、翼政会の中央における指導者も含まれていたのでありますが、たまたま町村長であつたがゆえに翼賛会の支部長という名前を貸しただけの者が、いつまでも解除の恩典に恵まれず、依然として追放のまま放任せられることは、何としても納得のできない問題であります。昨年の追放解除によつて、厳密な意味での追放のわくはくずれ、その本質も変化した今日、單に機械的に追放せられた末端の該当者は、この際一律に解除すべきものであると存じまするが、政府は今春の地方選挙前にこれらの追放解除を要請する御意志があるかどうかを承りたいのであります。  次に吉田首相は、先日もシーボルト外交局長やマツカーサー元帥に面会せられて、対日講和の具体的段階に進まれておりますることは、全国民関心の的となつておりますが、講和に臨む日本の国内態勢として、特殊のものを除き、追放の全面的解除を要請することによつて、すべての日本人に自由と発言の機会を與えることが望ましいとお考えになるかどうか。追放の問題が講和会議の前に解決せられるか、講和会議後に持ち越されるかということは、当面の重要な課題であるばかりでなく、民主陣営の強化と日本の将来に重大なる影響をもたらすのと存じまするがゆえに、吉田首相の御所見を承りたいのであります。  質問の第三点は、昨年追放解除なつた者よりも事情の軽徴なる者で、單に時間的に特免の申請ができなかつたために解除の恩典に浴せないものの救済をいかに考えているかということであります。政令第三十九号は昭和二十四年二月八日に発せられ、同年五月八日までを限つて特免の申請を受理したのでありますが、その間、病気、旅行等のため所要の書類を整えることのできなかつた者は、申請書さえ提出すれば当然解除になることがわかつているものも、救済の道なくして今日に至つたのであります。現に、同じ村や町で、同じ事情のもとにある者が、甲は申請をしたために追放解除なつて、五年間の恩給や退職金まで、さかのぼつてつているのに、乙は申請の時期を失したというだけの理由で、今なお恩給は停止せられ、自由と発言の機会を剥奪されていることは、見るに忍びざる不公平の処置といわねばなりません。(拍手)ことに先般、ニューデリーにおけるアジア競技大会へ八十名の選手を派遣するに際し、サッカー、走り高跳び、自転車監督の選手名が、たまたま公職追放者であつたために旅券の交付が認められず、涙をのんでインド渡航を中止せねばならなかつた事実よりいたしましても、これら三名の選手は、特免の申請さえしておれば当然解除せられた軽微なる該当者でありまして、せつかくアジアの青年が交歓する絶好の機会に、たまたま追放解除の手続が設けられていなかつたために、国民外交の実をあくべきサッカーその他、優秀なる選手を補欠で補わねばならなかつたということは、まことに遺憾しごくであります。(拍手)  質問の第四点は、現に訴願委員会事務局で昨年十月十三日以後受理、審査中の七百件に及ぶ請願は、今後いかなる機関で処理するかという点であります。たとえば中共、シベリア等よりの帰還者や、新たに解散団体に指定されたものについては、今後も新たに追放に指定せられるものも生ずるのでありますが、これらのものについては、指定を受けた日から三箇月以内に特免の申請をすることができたのでありまするが、政令第三十九号廃止後は、いかなる機関を設けてこれらの処理をなされるのであるが、昭和二十三年、第一回の訴願審査委員会をとじるにあたつては、総理庁令をもつて新たに五人の委員を設け、内閣官房監査課において訴願の受理をして来たのでありまするが、今回も、政令第三十九号の廃止に伴い、これにかわるべき別の委員を設ける御意思ありやいなや、承りたいのであります。およそ法治国として、人権の擁護に全力を注いでいるわが国が、ひとり追放者に対してのみ人権擁護の機関を欠くことは、はなはだしき片手落ちといなければなりません。訴願委員会のごときは、人権擁護の実質的機関として、追放の全面解除が行われるまで設置せらるべきものと信ずるのであります。  これを要するに、戰争犯罪者といえども、服役の途中において仮出獄の恩典に浴しつつある今日、追放者に対しては、その軽微な機械的該当者にも救済の手を差伸べないということは、自由主義国家の基盤を強固にするゆえんではありません。最近、吉田首相は、愛国心の高揚を説いておられますが、吉田首相の希望される愛国心の発揚を妨げているものは、これら形式的該当者のはてしなき追放と、戦争未亡人、戰傷病者等、戰争犠牲者を捨てて顧みざる政治であります。  以上四点に対し吉田内閣総理大臣の御答弁を要求いたしたいのでありますが、本日吉田首相は外交関係の用務で御欠席でありますから、政府責任ある御答弁を要求し、あわせて、できる限り早い機会において吉田首相御自身の追放解除に関する御信念を承りたいと存ずるのであります。(拍手)     〔国務大臣大橋武夫君登壇
  44. 大橋武夫

    ○国務大臣(大橋武夫君) 村瀬君の御質問に対してお答えを申し上げます。  追放の解除につきましては、政府は従来より努力をいたして参つたのでありまして、政令第三十九号も、このために制定いたした次第でありますが、これによります訴願の審査もすでに一段落を見るに至りましたので、今回該政令を廃止いたした次第でございます。しかしながら、今なお追放になつておられる人々につきましては、でき得る限りすみやかな機会におきましてその解除が実現できますよう、今後においても政府といたしましては極力努力をいたす考えであります。  次に、申請期間打切りによりまして解除し得るに至らなかつた人々の処置につきましては、将来の問題といたしまして、これまた十分に努力をいたす考えであります。  最後に、現在受理の七百件につきましては、内閣官房において検証中でございまして、近く何分の解決を見ることができるものと存じておることを御了承願います。(拍手)      ————◇—————
  45. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出、資金通用部資金法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案、資金運用特別会計法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律の受理に関する法律案、右五案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  46. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  資金運用部資金法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案、貸金運用特別会計法案、貸金運用部資金法の施行に伴う関係法律の受理に関する法律案、右五案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長夏堀源三郎君。     〔夏堀源三郎君登壇
  48. 夏堀源三郎

    ○夏堀源三郎君 ただいま議題となりました資金運用部資金法案外四法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  資金運用部資金法案は、預金部預金法にかわるものでありまして、その内容の要点は、国の会計に属する積立金及び余裕金等の政府資金並びに政府に準ずるものの資金を統合管理し、これを確実かつ有利な方法で運用することにより公共の利益の増殖に寄與せしめることを目的といたしまして、第一に、資金運用部への預託金は、常時の拂いもどし資金以外の郵便貯金及び郵便振替貯金並びに簡易生命保険及び郵便年金特別会計契約者貸付金を除いた政府特別会計歳入歳出決算上げ剰余から生じた積立金、その他国庫余裕金等といたし、第二に、預託金は、定期預託金のみといたしまして、その預託條件を決定することといたし、第三に、資金運用の対象は、国、地方公共団体、これらに準ずる法人及びを融資に限定することとし、特に金融債に対する運用につきましては、資金総額の三分の一、同一金融機関の発行する金融債の五割、同一金融機関の一回に発行する金融債の六割を越えてはならないことといたし、第四に、資金の運用を適正にするため資金運用部資金運用審議会を設置することといたし、第五に、簡易生命保険及び郵便年金の支拂いは政府が保証する旨法制化する等、所要の規定を設けておるのであります。  次に郵便貯金特別会計法案におきましては、資金運用部資金法の制定に伴いまして、資金運用部資金の大宗でありますところの郵便貯金の事業につきまして、そり健全な経営をはかるとともに、その経理を明確にいたしますため、新たに特別会計設置いたそうとするもりでありますが、郵便貯金事業の業務は、従来通り郵政事業特別会計において行うことといたしておるのであります。  次に会計法の一部を改正する法律案におきましては、資金運用部資金法施行になりますと、従来大蔵省預金部に預け入れておりました供託金等、国が保管する現金は、国庫の保管金として取扱い、資金運用部に預託しないことになりますので、その利子の支拂いにつきましては、国が日本銀行に取扱わせることといたす等、所要の規定を設けているのであります。  次に賞金運用部資金法の施行に伴う関係法律整理に関する法律案におきましては、資金運用部資金法の制定に伴いまして、各特別会計法その他の関係法律規定整理いたそうとする純技術的なものであります。  以上の五法律案は、いずれも関連するものでありまして、もつぱら資金運用部資金法案を中心として活発な質疑が重ねられたのであります。特に三月十四日には郵政委員会と連合審査を行う等、慎重審議を盡したのでありますが、この詳細に関しては速記記録に譲ることにいたします。  ただ、連合審査会における質疑応答大要を要約して、ここに御報告申し上げたいと存じます。連合審査会における質疑の重点は、主として簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用を資金運用部に統合することに集中されたのであります。すなわち、右積立金は、右事業創始以来三十年間、主管大臣たる郵政大臣が管理して、公共の利益の増進のために運用して参つたのであります。かつ右積立金の運用は、元来事業経営と不可分一体をなし、従つて資金の地方還元、加入者の福利増進を第一義として、事業経営主体たる郵政省がこれに当るべきことは当然の帰結であり、しかもこの趣旨は、第五国会において衆参両院において決議され、右決議に基き、関係方面に対してこれが実現方の懇請に関し閣議決定があり、さらに昨年七月、右積立金を郵政省が加入者からの熱烈なる陳情があるにもかかわらず、これを資金運用部において統合管理しようとする理由はどこにあるか。また、この法案は暫定的なものか、それとも恒久的なものか、またこの法律の実施が従来の志気を阻喪せしめ、事業成績に悪影響を及ぼすことはないか、ドツジ書簡の拘束力いかん、この質疑に対しましては、大蔵大臣より、簡易保険及び郵便年金事業の性質、過去のいきさつ等より、この積立金の郵便省における独立運用に十分に努力して来たが、その後関係方面と予算折衝の過程において、これらに郵便貯金とともに大衆の信託預金であるから、資金運用部の設置を條件とし、従来の国債、地方債のほかに金融債の引受を認められた、わが国の現状は、資本蓄積が貧弱だから、資金量の関係から、これらの資金を合同運用することが国家の資金計画から見て必要であるのみでなく効果的であると考える、これら預託された資金に対しては、今までよりも高い利子を支拂うようになつており、その運用については、内閣総理大臣を会長とし、大蔵及び郵政両大臣を副会長とする審査会を設け、財政、金融及び保健の立場から適正な運用をすることになつているので、大蔵省のために行うものではない、郵政省における独立運用は、戰争中、郵便貯金その他と一緒に運用する方が資金の効果的使用ができるという考えのもとに停止され、しかして終戦後、昭和二十一年一月に総司令部の指令が出て、さらに今日まで停止されており、この法案は、これを制度化しただけであるから、従業員の志気や事業成績にあまり影響するようなことはない、またこの法案は、建前は恒久的な立場をとつており、現在の情勢下では適当と考えるが、将来の問題は将来の事態が発生した場合に考えるべきものである、なおドツジ書簡は、ドツジ氏の意向をはつきりさせたものにすぎず、国会を拘束するものではなく、また金融債を引受げるかどうかは、ドツジ書簡の出る前に決定されたものである、という旨の答弁がありました。  次いで本三十日、以上の三法律案を一括して討論採決に入りましたところ、宮幡委員自由党を代表して賛成の旨、田中織之進委員は社会党を代表して、内藤委員は民主党を代表して、また竹村委員は共産党を代表してそれぞれ反対の旨討論されました。  次いで一括採決の結果、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものであると決しました。  右御報告申し上げます。(拍手
  49. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。これを許します。椎熊三郎君。     〔椎熊三郎君登壇
  50. 椎熊三郎

    ○椎熊三郎君 私は、ただいま委員長から御報告になりました安全運用部資金法案、そのほかこれに関係する四法案について、国民民主党を代表いたしまして反対の意見を述べます。  簡易保険及び郵便積立金の運用に関する修正案が、われわれの意思通りに通過しなかつた以上、われわれは本法案の成立に賛成しがたいのであります。その理由を簡單率直に申し上げておきます。  第一、簡易保険及び郵便年金積立金は、その本質上、事業主体が直接これを運用することが原則であるにかかわらず、本法案はこれを否定し政府資金統合運用の原則を確立せんとしておるのであります。これは両事業創始の趣旨に反し、従来の本積立金の運用の沿革を無視するとともに、事業経営の自主性を奪うことによつて事業の将来を不安に陥れ、ひいては国民の大半を占める契約加入者の利益を侵害する結果を招来するのであつて、断じてわれわれは容認しがたいのであります。(拍手)  第二は、われわれ議員として最も重大なる問題である。本法案は、過ぐる第五国会におきまして、当院においても、また参議院においても、院議をもつて満場一致の決定をして、この資金の運用は郵政省に帰属すべしということを決定しておるのであります。われわれは、常に議員として院議を尊重いたします。議会政治の本質をなす本会議における院議の尊重なくしては議会政治は行われない。昨日、現に院議を侮辱したる川上君が除名処分というがごとき重大なる罰を受けるに至つておりますのも、国会の権威を保持し、国会の自主性を守り、院議を尊重するという点にあるのである。われわれは、現にこの議席において、このことを決定したのであります。しかるに、自由党諸君も出たこの議決に参画しておりながら、しかもこの法案審議の過程におきましては、自由党諸君のほとんど全部もこの法案には反対なんだ。しかるに、政府との関係において、最後の段階では賛成しておるという、実に大政党として、與党として、国会の権威を保持せんとする民主的国会内部における大政党として、醜態もその極に達しておるのであります。(拍手)  第三に、本法案は、衆参両院に対する請願及び陳情として表明せられた、本積立金の運用に関する国民の熱烈なる世論に反するということである。諸君の手元にも参つておるであろう。毎国会ごとに、この資金運用の問題でわれわれに陳情せられておる点、あるいは請願のごときは、毎国会において、これを私どもは満場一致で議決しておるのであります。この世論に反する点。  第四に、本法案を提案された経過は大蔵大臣の説明によると、関係方面の一方的意向によるものでなく、二十六年度予算の折衝過程における大蔵大臣の積極的なる提案に基くものであり、国内の世論を封殺するために関係方面の圧力を借用せんとしたことが、委員会審議によつて明らかになつておる。このようなやり方は、政治の自主性、政治の目的達成ためには最も陋劣、不明朗なる手段であつて吉田内閣のことごとくに用いるところの常套手段である。実に私は、国会権威のためにこのことを遺憾に存じます。われわれは、待望の講和会議を目前に控えておる。講和会議を待望するということは何か。民族の自主性を要求することだ。日本の独立を要求することだ。いわんや、国会ですでにこのことについて多くの討論、多くの言説が行われておる最中に、なおも関係方面の威力をかんで砂独善の野望を達せんとするがごとき大蔵大臣の行動は、しかも大蔵大臣は本院に議席を持つ議院の一人として、はなはだ遺憾にたえない点であるのであります。  第五、本法案は、政府資金の現状に重大なる変革、改善を加える軍要法案のごとく見せかけてはおる。しかし、その真の、そうして唯一のねらいは、簡易保険、郵便年金積立金の運用を法制的に大蔵省に吸収せんとする謀略的な法案なのであります。(拍手)すなわち、本法案の重要なる骨子をなす政府資金の統合管理の点については、新たに本法案を提案するまでもなく、すでに統合せられておるのであります。しかも、預金部資金を構成する各預金は、従来とも十分その安全が保証せられておるのでありまして、何ら不安がないのであります。唯一の変革である預金部資金による金融債の引受けに至りましては、現行預金部資金法の一部改正によつて、十分その目的を達するはずだと私どもは信じます。しかも、預金部資金中に占める簡易保険、郵便年金積立金のウエートは、わずかに一〇%すぎないのであります。本積立金の帰属いかんは、預金部資金による金融債引受けとは、理論上も実際上も何らの相関関係がない。かく考えれば、本法案の唯一の目的は、政府資金の統合管理法律化することによつて簡易保険、郵便年金積立金の大蔵省からの分離を防止せんとする謀略的のもりであつたということは明らかでございます。  反対理由の第六、政府資金の統合管理という抽象的なスローガンは、事情に通じない俗耳には響きやすい美名である。しかし個々の各政府資金は、必ずしもすべて同一の性格を存ずるものではない。大部分政府資金は、統一管理することが効率的であるととは異論がない。しかし、資金の性質によつては、統合によつて縛らるる利益よりも、失わるる損失の方がさらに大なるものがあるのであります。個々の資金の性格を無視して統合に走ることは、統合のための統合であつて、簡易保険及び郵便年金積立金がその顕著なる一例なのでございます。問題はここにあるのであります。すなわち、簡易保険の性質、郵便年金積立金の性質のごときは、政府資金の統合によつて得るところははなはだ小にして、失うところは膨大なるものがあるということを、私どもは記憶しなければならぬのであります。  反対の第七の理由は、政府資金の運用にあたつては、効率的運用を旨とし、かつ財政金融政策遂行上の必要に順応せしむべきであり、そのためには総合管理を最も適当とする、これは原則的には正しいのです。しかし、簡易保険及び郵便年金積立金の特殊性は、事業主体によつて事業自体の利益のために運用さるべきことを要求するのであつて、この要求もまた原則的には正当なのであります。しからば、この相背反する二つの原則を調和する方法はあるのであろうか。これには二つの方法があり得ると私は信じます。第一は、統合管理せずんば国家の財政金融政策遂行上重人なる支障を生ずる場合、すなわち一種の非常事態におきましては、国家主体の利益が個々の事業の利益に優先する意味において、事業の利益を犠牲にしても統合管理すべきであることは疑いをいれないのであります。すなわち戦時中におきまして、二十年にわたる歴史を顧みつつも、国家の利益のためにこれを大蔵省に統合したのは、これによつたのであります。  第二は、しいて統合管理の方法をとらず、事業主体に直接運用せしめて、その資金の特殊性を活用するとともに、財政金融政策遂行上の要請をその運用面に反映せしむるをもつて足り得る場合があるのであります。しかして、よほどの緊急事態でない限り、このやり方の方がさらに有効適切で、正しいと私は信じます。しかるに本法案は、現在がいわゆる非常緊急の事態なりやいなやについてさえ幾分の疑問を持たざるを得ない。さらに進んで、資金の統合管理を唯一最善の方法なりとしていることは、本末を転倒したものといわなければならないのであります。  反対の第八、政府資金の統合管理の必要については、抽象的にその是非を議論することはきわめて危険でおります。具体的に、実証的にその必要が示されなければならない。しかるに、提案者たる大蔵当局は、簡易保険及び郵便年金積立金の運用について、過去において、二十数年の長きにわたつて、事業主体が直接これを担当していた実績について、財政金融政策上いかなる重大なる弊害があつたというのでしようか。またそのことに、われわれ委員会において質問するといえども、何ら答弁ができないのである。すなわち、弊害がなかつたということなのであります。全然具体的な説明がない。まことに不可解であります。さらに不可解なのは、本法案の根源であるはずのドツジ書簡なるもの、この書簡の内容にも全然触れておりません。この一点が明らかにされない以上、何人も本法案賛成しがたいはずなのであります。現に第五国会におきましては、満場一致をもつて、この資金を郵政省に返還すべしとして決議を見たる本国会としては、当然過ぎるほど当然にこの法案には反対せざるを得ないのであります。(拍手)  最後に私は、本法案の成立によつて最も懸念せらるる問題は、政府資金を大蔵省が独占することによる弊害であります。何事によらず、独占には弊害を伴うことは自明のことであります。まして資金の蓄積について、直接労苦をわかたない大蔵省が、運用に関する独占的地位を利用して、いわゆる官僚独善に流るるおそれが多分にあるのであります。この点について、運用に関する諮問機関や国会が十分監視すべきことはいうまでもない。根本的には、独占的地位を與えないことが最良の方策であると私は信じます。(拍手)わかる見地からするも、簡易保険及び郵便年金積立金については、郵政省をして運用の任に当らしむることが最も適切であると考えます。  さらに最後にもう一点つけ加えたいことは、この問題審議の過程において、大蔵大臣みずから弁明していわく、自分はそもそも地方の郵便局長のせがれであつて、郵政行上の内容は熟知するところである。今四十何万の従業員が血の叫びをもつて反対しておるこの問題に、父を郵政局長に持つたる大蔵大臣が、その内容を知りつつも、あえてこの法案を提案するその心事に至りましては、私は了解に苦しむのであります。委員会におきましても、私はこの点について、直接大蔵大臣に論争したのであります。大蔵大臣に郵政関係の血潮が流れておるとするならば、まさに大蔵大臣、今月の法案提案のこの考え方は、郵政省にとつては不肖の子を生んだといわなければなりません。私は、日本郵政行政上り観点から、かくのごとき大蔵大臣を郵政省に関係ある者の子として生み出したことを、まことに残念しごくに考えるのであります。この際、もはや事ここに至りましては、あまりふがいない話ではあるが、大多数の自由党さえ不当だと思わるる法案に、あえて賛成するがごとき態度を一応したのでは、この瞬間ではどうなるかも存じませんが、しかしながら、この案の将来については、まだ私は望みを託しておる。すなわち参議院におきましては、おそらく衆議院のごとき、ふがいない感度を示すものではないかろう。第五回国会における参議院の決定は必ずこの法案の上に反映するであろうことを私は確信いたしまして、この法案に反対するものであります。(拍手
  51. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 宮幡靖君。     〔宮幡靖君登壇
  52. 宮幡靖

    ○宮幡靖君 ただいま議題なつておりまする資金運用部資金法案関係法案につきまして、私は自由党を代表して賛成の意を表明するものでありまして、以下その理由を申し述べ、全国民の意思を代表する議員各位の御賛同をこいねがうものであります。  すでに御承知のごとく、従来の預金部預金法を廃止して、新たに資金運用部資金法を制定するゆえんは、政府資金並びに準政府資金統合管理し、これら資金を確実かつ有利な方法をもつて運用し、公共の利益の増進に奇與せしめんとするものでありまして、見返り資金及び国債整理基金特別会計における国債の保有等の資金を除く資金を統括運用して、昨年来産業経済界を悩ました金詰まり経済を打開して、銀行の貸出し超過、企業の借入れ超過の変態情勢を是正し、かつ企業の正常な長期資金の調達を容易ならしめんとするものであります。しかも一面においてはインフレ抑止の安全弁的役割をも果し得るものでありまして、現下日本経済の実情とにらみ合せまして、まことに当を得た立法と申すべきであります。  顧みれば、戦後の混乱の中に激化した悪性インフレは恐るべき様相を呈し、日本経済の自立達成の希望もおぼつかない状況に追い込まれましたが、第二次吉田内閣の成立を見るや、まず悪性インフレ収束に志し、第三次吉田内閣なつては、第五国会を通ずる超均衡予算の編成、デイスインフレ政策を主軸とする経済安定諸施策を強行し、悪性インフレを克服して、国民経済を安定の起動に乗せ、わずか一箇年有余にして国際信用をかち得、国際経済へも参加し、自由民主主義国家とともに世界平和に貢献し得る資格をも備え得るに至りました。この間、統制経済より自由経済へと順次移行する過程において金融政策にも画期的な変更が加えられ、財政資金と産業資金との区分を明確にして、産業資金は市中銀行融資を原則とし、みずからの信用と努力によつて調達することとなり、いわゆる思惑資金、見込み資金の調達は容易ならざる状況となりました。通俗的に金詰まり経済と呼ばれる時代となつた上に、昨年六月二十五日勃発した朝鮮動乱の影響をも反映いたしまして、輸出貿易は急激に上昇し、多額の外貨を保有することになつた反面には、国内の円資金不足の過渡的現象を示すに至りまして、輸入円資金の不足を償うため、日銀ユーザンス制度実施による対策等も講ぜられましたが、昨年十月ごろは実に金詰まり経済の様相を呈するに至つたことは、御記憶に新たなるところと存ずるものであります。  時あたかも政府当局は、昭和二十六年度並びに昭和二十五年度補正予算の問題でドツジ氏と折衝を行つていた当時でありまして、大蔵省としては、ただに予算面の検討だけでなく、広く日本経済全体を検討し、当面の貿易の正常化を中心とする生産と金融の問題を取上げ、いわゆる金詰まり経済の問題となつている銀行のオーバー・ローンの解決と、企業の長期資金調達をめぐることに折衝の重点を置いて、その解決策として、日銀、市銀の固定貸しを正常な長期資金に転換させる方法、つまり預金部資金と見返り資金の動員にしわ寄せを行つて、資金運用の質的な転換を行うことをこれが対策として見出し、これを折衝の目標とせられたものと推測せられる次第であります。  当時、金融産業界に現われている特異な現象としては、銀行は貸出し超過、産業界は借入れ超過であつて、銀行の貸出し超過は、單に預金に対する貸出し比率の増大だけでなく、投資勧定の中に現われている保有有価証券のアンバランスの問題、つまり資本構成上の銀行経理の異常化を究明して、オーバー・ローンの限界について根本的な検討を行うことが必要であつた。貸出し超過を是正するには、当時半ばこげついている短期資金の固定化を流動化しまして、本来短期資金であるべき性質の金が長期化している部分を、正常な長期資金に置きかえて行くことが必要でありました。一方事業会社から見れば、銀行の貸出し超過を是正するには、自己資本調達の面で弊害策が加えられなければならないのでありまして、当時の企業は、自己資本に対する他人資本の比率が大き過ぎる実情でありました。これは日本の資本市場の狭小と貧困が大きな原因であつて、株価対策という意味ではなく、広く資本調達の打開策として、たとえば株式の保有会社案や、たな上げ株資金の構想をも再検討を加えなければならないときになつておつたのでありました。しかしこの考え方は、見通しとして株価対策とみなされる面も多く、急速な具体化は困難であり、また信用造出となる金融政策は避けなければならないので、結局産業資金調達の打開策は預金部資金と見返り資金の円滑な活用をはかり、これによつて日銀貸出し、市銀貸出しという形で、固定化している資金の質的転換をはかることが急務となつた次第でありまして、金融債の引受けによつて預金部資金の流入を見れば、長期設備資金の調達が促進せられ、ゆがめられた銀行の過重負担が軽減されまして、さらに有効需要の喚起に伴い円滑な資金循環が行われるわけであります。  この観点において、大蔵省はドツジ氏との間に折衝を進め、この結果として、昨年十一月二十一日、ドツジ氏より池田藏相あての覚書が総司令部を通じて手交せられたものでありまして、いわゆる日本政府の金詰り経済の打開に努力した結晶であります。しかるに、野党各派の中には、大蔵大臣がドツジ氏の覚書に、理由なく、もろくも屈したりと難じ、さらには日本政府の自主性の乏しきをも非難する向きもありますが、それはあまりにも真相をきわめない、軽挙、浅薄の議論と断せざるを得ないのであります。しかして、この結果として、郵政省所管の簡易生命保険の積立金等の運用は、現段階においては資金運用部に専属することになつており、第五国会当時、衆議院において議決せられたる、簡易生命保険積立金等の独立運用へ復元する要望の達成は見送りとなつたわけでありまして、このことのみを取上げて勘案するときは院議無視の議論も生じ、ことには一度閣議決定を見て、昭和二十六年一月一日より郵政省の独立運用が再開せられる報道さえ伝わつた事情から見て当てを失する措置の避難がありますが、前段申し述べた通り、目まぐるしい変転する国際経済の動きに順応し、日本経済の自立を達成するための、いわゆる金詰まり経済を正常化せんとする措置と比較考案するときは、その軽重はおのずから明らかであつて、従つて原案に反対すべき理由の乏しきを私は断ぜざるを得ません。  しかも、簡易生命保険積立金等の独立運用は、戦時中停止せられ、今日となつたものでありまして、現に独立運用中の資金を、資金運用部にあらためて集中するものではなく、従つて郵政従業員の待遇その他に格段の変化あるべしとは考え得られないのでありまして、本法案に反対せんとする郵政従業員等の心情は察知するにやぶさかではありませんが、経済自立の過程における基本的な構想とその措置を意義あらしめんがためには、やむにやまれぬ立法であることを了とせられたいと存ずる次第であります。  思うに、現在の財政資金と準財政資金の合計額の中に占むる簡易生命保険積立金等の資金ウエートは重く、これを一元的な国家の金融政策と切り離して運用することは、功罪にわかに決しがたいものがあるのでありまして、安定経済のもと、正常な財政金融政策のベースに乗つて、簡易積立金等の資金ウエートも軽くなり、あるいはこれが運用を郵政省独自の構想にゆだねても、金融混乱のおそれ等なき見通しとならば、すみやかに郵政省の独立運用に移管すべきものであることは議論の余地のないところでありまして、本法案が恒久的生命を有するかのことく見受けられますけれども、その実績は、金融情勢とにらみ合わせ、簡易保険事業運営の本質にかんがみ、当然近き将来において郵政省に復元さるべきものであることを強く認識すべきであります。  なお、本法案の急速なる成立を必要とする反対的理由としてこれを配慮に加えますならば、もし本法案が三月末日までに成立を見なかつた場合における支障として予見せられる点は、第一に金融債運用の中絶であります。金融債に対する運用は、関係方面との交渉経過において、本法案通過を条件とするものであつて、本年度二百億円のわくは、四月以降資金運用部を改善することを見越して、特に政府が懇請して承認を得たものでありまして、二百億円わくのうち、十二月以降二月までに百三十三億円許可を得たが、許可は一箇月分ずつ切り離して行われることになつておりまして、現に三月分の金融度運用予定額六十七億円は本法案通過まで保留されているので、四月一日から資金運用部新発足がなかつた場合には、従来経緯にかんがみまして、三月分六十七億のみならず、四月見込み額三十三億円も御破算となり、合計百億に達する長期資金の供給が中絶し、債権発行銀行の融資計画に重大な変更を来し、目下緊急を要する造船、買船資金その他の需要産業の長期資金調達面に深刻な影響を與えることは必至であり、これによる国家損失も少なくないとおもわれるのであります。  第二は、資金運用特別会計予算執行不能の問題であります。すでに衆参両院を通過成立した昭和二十六年度予算においては、資金運用部の設置を前提として同特別会計予算が組まれておりまして、預金部としての予算は組まれてありません。従つて、預金部としては予算が全然なく、歳出の権限がなくなるので、暫定的に他会計の資金を繰りかえ使用することもできないことは当然であつて、まつたくの状況となりまして、四月早々要求されている地方債の前貸や、地方公共団体に対する短期融資も停滞することになり、地方財政にも悪影響を與えるのであります。この場合の対策としては暫定予算を組む必要が生じまするが、昭和二十六年度予算の組み方から見て、数々の財政技術上の困難が伴うもののごとく推測せられるのであります。のみならず、関係方面との折衝、承認、閣議決定、国会の議決という手続には相当の日子を必要とするのでありまして、空白をなくすることは困難であると思われる次第であります。  第三は郵便貯金関係予算の空白でありまして、この法案として新たに設けられる郵便貯金特別会計は、そのほとんど全部が資金運用部から支拂わるべき利子でありまして、この利子収入がまつたくないことになるので、支払いの点において停滞を生ずることは必然となるものであります。  以上のような問題がありまして、その障害が尋常一様のものではなく、簡易生命保険積立金等の運用の問題に籍口して審議遅延となつた場合の社会的責任は、だれが負うべきものであるか、愼重に考慮すべきものであります。しかも予算審議の過程において、野党各派は、この特別会計予算についてなんら反対の意思をなくして、その裏づけとなる法案提出された場合、ことさら反対の意思を表明せられることは、国会審議過程において、私は不思議に思うのであります。(「反対したじやないか、速記録を呼んでみろ」と呼ぶ者あり)  わが自由党としては、如上の事由によりまして、單なる議論せんがための議論でなく、国の金融政策よりする大衆的見地より三法案賛成の意を表するものでありまして、郵政関係者の切実なる声は十分脳裡にとどめ、他日の善処を期する次第であります。  以上をもちまして私の賛成討論を終ります。(拍手)     〔発言する者あり〕
  53. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 林君——林君、静粛に願います。     〔受田新吉君登壇
  54. 受田新吉

    ○受田新吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程せられております資金運用部資金法案並びにこれの関連諸法案につきまして、絶対反対の意思表示を試みんとするものであります。  第一、われわれは、大蔵省の預金部資金というものが従来いかなる運用をされておつたか、これを考えまするときに、ほとんどが地方債の発行等に振り当てられたにすぎないで、地方還元の趣旨に合致していなかつたのであります。今回の、これらのあらゆる資金を、国家資金統一の美名のもとに資金運用部資金として吸収をしようとするこの法案は、特に従来地方財政、特に地方公共団体その他にとつて最も潤いあるオアシスであつたところのこの簡易保険積立金並びに郵便年金積立金を、一括してこの資金運用部資金に吸収を試みんとしておるのであります。この法案がもし実施されたならば、われわれは、零細なる大衆の吸収黄金であるこの簡易保険積立金並びに郵便年金積立金が国家目的のために運用せられ、特に簡易保険そのものの本質的な性格、すなわち保険事業の主体性を著しく損傷し、特に極端に申し上げるならば、保険事業そのものの本質を破壊する結果になることをおそれるものであります。何となれば、保険事業そのものは、官営であろうと、また民営であろうと、死亡率あるいは運用比率もしくは事業比率の三着勘案のもとに、この三つのかなえがよく結んで初めてそり運用の妙を得るのでありまして、この中から運用の面のみを抜き出した場合に、事実保険事業そのものの運営が可能でありましようか。世界の保険事業界をながめてみましても、保険事業の本質的な立場からこの運用面を適用したところは、一国もないのであります。今ここに、大蔵省は敢然政府原案として、歴史的に見て保険事業界にいまだかつて見ない、事業主体者の経営のうちから運用面だけを抜き去ろうとしたのであります。私たちは、まずこの点から見まして、著しく本質的なものを破壊しようとするこの資金運用部資金法案のうちで、特に左の二、三点についつて重大な考え違いのあることを指摘したいのであります。  第一、簡易保険積立金そのものは、大衆の零細な、すなわち加入者の零細なる保険料を吸収して、そうしてその中から死亡者とか満期者に対して支払いをするという、いわば国民そのものの福利増進の目的のために使わなければならない運用面を持つておるのであります。この大事な、事業経営の中心をなす運用面を取去つたときに、保険加入者が当然受くべき保健衛生施設とか、受入れ監査とかいう便益が著しく損傷されまして、これら保険加入者自体の福利増進が特に大きな圧迫を受ける。われわれは、その面から、国家資金統一の美名のもとに、一般国家目的にこれが流用される結果となることを非常に憂えるのであります。特に保険加入者は任意加入であつて、決して社会保険のごとく強制加入でないという点をお考えいただくならば、これに賛同せられようとする自由党諸君も、よく御判断ができると思うのであります。この任意加入によるところの保険加入者自身の福利増進の両を失わしめないように、過去三十年間、保険事業が運営されて来たのであります。国銀経営であります簡易保険事業が今日の大をなし、五千万人の加入者と、二十六万分の全従業員及び郵政職員が一致してこの発展を企図しておるゆえんのものは、すなわち民間保険と同じ本質的な立場に立つ官営保険事業の正しいあり方が失われなかつたからであります。われわれは、まず社会政策的立場より、この簡易保険積立金そのものは当然郵政省所管であるべきことを主張して参つたのであります。  次に、一般国家資金、すなわち大蔵省預金部が従来取扱つた資金と、保険事業から得るところの零細なる大衆資金とが本質的な相違を持つておることも、おわかりであろうと思います。なお五千万人に及ぶ加入者たちが念願をしておるところは、この資金が当然加入者の地方へ返されるものである、地方還元の本質を十分顕現されるということであります。この期待のもとに、かくも多数の国民、すなわち八千万国民の七割近い者がこれに加入しておるのであります。しかるに、保険事業そのものが、この法案の成立によつて、いまだかつて世界に試みられなかつた本質的破壊が行われようとすることを、まずもつて憂えるものであります。次に、この法案提出されまするや、第一にわれわれが憂えましたことは、国会審議権無視であります。新しくできるこの運用部資金として吸収されようとする簡易保険積立金並びに郵便年金積立金は、これは当然郵政省に所管さるべきであるということが、国民代表の府たる国会において、去る第五国会において決議を見ておるのであります。また、去る二十四年の九月及び昨年の七月には、閣議において、これまた当然郵政省所管とすべきであるという決定を見ておるのであります。国権の最高機関である国会における決議、政府全体の意思決定である閣議決定、こういう二つの決定があるのに、これがわずか四箇月か五箇月後にドツジ書簡出たという、その哀龍のそでに隠れて、どうしてかくも一辺倒を試みたものでございましようか。私は、この間の事業については、おそらく政府においては、大蔵大臣が強力なる威圧のもとに郵政大臣に圧力を加え、そうして内閣をリードしたことは、十分察知して余りあるのであります。しかして、全通二十六万の従業員、郵政職員及び五千万保険加入者たちがこぞつて請願をし、嘆願をし、陳情をされた大運動が、ここに政府の独断的措置によつてひつくり返されようとすることに対して、実に憤りを感じてやまないものであります。私は、国会の決議を尊重し、閣議の決定を尊重する立場から、何ゆえに政府が勇猛果敢に本案提出することを拒否しなかつたか、また差迫つた第十国会の休会直前の今日、突如として、強力な與党を頼んでこれを強引に通過せしめようとする魂胆が那辺に存するかということも、十分察知して余りあると思うのであります。すなわち、国民代表の国会において、われわれが国民全体の意思を決定した。これを與党の諸君が、政府となれ合いをして破壊し、閣議決定の本格的な筋を、これまた圧力を加えて転倒せしめようとした、與党の諸君のその変節ぶりには、まことにあきれて物が言えないのであります。  諸君、最後に私は結論として申し上げる。今やわが国は、経済的にはほとんど安定の域に達したと、大蔵大臣も総理も言つておられるのであります。国家資金の統一を、大衆の零細なる資金の吸収である簡易保険にまで、なぜ手をつける必要がございましようか。大衆の零細なる資金は、大衆のその利益、福利増進になぜ振り当てないのでございますか。われわれは、あくまでも地方還元の貸金である、この資金運用部資金に振り当てられようとする簡易保険積立金を、郵政省所管に温存することを徹底的に念願をしてやまないのであります。われわれは、あくまでも簡易保険法第六十九條の削除をはかつた政府並びに自由党諸君と闘いを続けて、少くとも本質的立場より重ねて申し上げる。郵政職員、二十六万人の全逓職員、五千万人の保険加入者のほんとうの願いをかなえるために、なぜ與党の諸君努力しなかつたかという重大なる注意を促したいのであります。  ここに、簡単でございまするが、以上掲げましたるところの理由によりまして、資金運用部資金法案に対する政府並びに與党諸君の強引なる通過作戦に対して断固反対の意思を述べるものであります。(拍手
  55. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 竹村奈良一君。     〔竹村奈良一君登壇
  56. 竹村奈良一

    ○竹村奈良一君 私は、日本共産党を代表いたしまして、資金運用部資金法案外四法案に対して反対するものであります。  本法案は、郵便貯金、簡易保険及び郵便年金等、国民大衆の零細預金及び他の二十数種の特別会計の積立金、余裕金を集中統合して、予算上は一千五百億といわれておりますけれども、これらを合せますと実は二千億以上になる厖大な資金、これを大蔵省が━━━━のもとに運用しようとする画期的な制度の確立を目ざしているといわざるを得ないのであります。  そもそもこれらの金は、本来この資金の根源たる国民大衆の生活の向上と発展のために使われねばならないものであります。しかるに内外の独占資本は、二千億に達するところの預金部資金並びに政府管理する一切の資金を独占いたしまして、これをあげて━━━━━━━━しようとする、これがこの法案の第一のねらいであります。(拍手)郵便貯金、簡易保険等が預金部へ統合されたのは、実に昭和十八年、日本帝国主義が、戦争遂行上、大衆の零細預金を戰費に投入するためであつたのであるが、かかる歴史を見ても明らかなように、独占資本によるところの資金の集中独占が、いかに彼らの思うままに戰争のために運営されたかを、われわれは忘れてはならないのであります。  反対の第二点は、国会審議権が無視されている点であります。これは各氏によつて述べられたので簡単に申しますが、すなわち、第五国会においてなされた決議が、何ら政府において取上げられることなく、一片の━━━━━覚書によつて、たちまちくずされておるという点であります。もちろんわれわれは、敗戦国民の悲哀ということも考えられますけれども、それは少くとも国会が存在し、国権の最高の機関として承認されておる以上、国会審議権が政府において尊重されることなく、一片の覚書によつてこれを無視されるということは、一体どこに日本民族の独立が保障されているといわれるのでありましようか。これこそ日本が植民地化しておるところの完全なる証拠であるといわざるを得ないのであります。一体、この覚書が出されたのは、政府部内の対立を、よろいのそでに隠れて解消しようとするところの政府━━━━がこの覚書を出させたといわれているのであります。  国会審議権を無視してまで、しからばこれを行わなければならなかつたというのは、一体なんでありましようか。つまり、このようにしてまで政府がこれを強行しようとするのは、敗戦後、民主的日本の再建を口にしながら、経済面においては、それに逆行するところのいろいろな形において資本の集中が行われて来たのであります。たとえば派閥解体において見られるごとく、その解体は、事実妨げられて参りました。集中排除法が現存しながら、これからの除外を受けたものは数多くあります。とともに、一切の資金は大企業へ、すなわち軍需的な基礎産業へ━━━━━が強化されて参つたのであります。  朝鮮も火ぶたを切りましたところの国際独占資本の軍備拡張計画は、ひしひしとして日本をも国際独占資本の一環として、その━━━━━をはかろうとしているのであります。それがすなわち、日本政府をして金融面におけるところの独占への方向へかり立てているのであります。  国民の血税になる予算の使用はどうか。あるいはまた見返り資金の運営等を見ましても判然とするように、一切はあげて━━━━への方向を示しておるのであります。この法案もまたその一環として、国会審議権を無視し、郵政省管下の地方諸組織の反対、自由党議員すらもの反対を押し切つて、これを行おうとしているのであります。これは結局において、日来経済協力の一環として、内外独占資本の思うままに、一切の金融態勢を、資本主義最後の段階たる帝国主義態勢強化に移そうとするものであります。このために、中小企業や平和的民族産業は資金の道を閉ざされ、この結果、労働省は首切られ、失業者はますます氾濫し、大衆の窮乏と━━━は促進されるでありましよう。われわれは、日本人民の生活の安定と向上のため、平和産業の確立と日本民族独立のため、一切の中小工業を組合発展させるために、これを阻害する金融独占態勢の確立に対しましては断固として反対するものであります。(拍手
  57. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  五案を一掃して採決いたします。五案の委員長報告はいずれも可決であります。五案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  58. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて五案とも委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  59. 福永健司

    福永健司君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、奧村又十郎君外十四名提出納税貯蓄組合法案議題とし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。     〔「定足数がない」と呼び、その他発言する者多し〕
  60. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  納税貯蓄組合法案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事奧村又十郎君。     〔奧村又十郎登壇
  62. 奧村又十郎

    奧村又十郎君 ただいま議題となりました納税貯蓄組合法案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法案は、租税滞納が巨額に上つている現状にかんがみまして、別途国税徴収法の改正による徴税制度の合理化の措置と粗まつて、現在すでに存在するような納税貯蓄団体に一定の基準を與え、かつ若干の助成措置を講じて、その活動を活発ならしめ、もつて租税の容易かつ確実な納付に資することを目的といたしまして、第一に、納税貯蓄総合は、一定の地域または勤務先を單位として任意に組織された民主的組合で、税務官公署に対してその規約を届け出たものといたし、第二に、組合の業務は納税資金の貯蓄のあつせんその他の貯蓄業務に限られ、かつ貯蓄は必ず組合員別の口座によつてなすべきものとし、理事者がその資金を不当に運用し、あるいは資金が亡失しる等の弊害をなからしめることといたし、第三に、この組合を通じて行つた預貯金を納税に充てる場合の利子に対する所得税及び当該預貯金通帳等に対する印紙税を課さないこととするとともに、組合の事務費の実施を補償する意味において国及び地方公共団体が補助金を交付し得ることといたす等の規定を設けているのであります。  この法案は、本三十日、提出者奧村又十郎より提案理由の説明を聴取し、質疑を行いました後、討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  右御報告申し上げます。     〔「定足数がない」と呼び、その他発言する者多し〕
  63. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) この際暫時休憩いたします。     午後四時三十四分休憩      ————◇—————     午後五時十二分開議
  64. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 休憩前に引続き会議を開きます。  納税貯蓄組合法案につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  65. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  明日は定刻より本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後五時十三分散会