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1951-03-29 第10回国会 衆議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)  議事日程 第二十六号     午後一時開議  第一 議員川上貫一懲罰事犯の件  第二 衆議院解散に関する決議案三宅正一提出)(委員会審査省略要求事件)  第三 吉田外務大臣不信任決議案河田賢治君外二十五名提出)(委員会審査省略要求事件)  第四 競馬法の一部を改正する法律案小笠原八十美君外十七名提出)  第五 不動産登記法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 議員川上貫一懲罰事犯の件  日程第二 衆議院解散に関する決議案三宅正一提出)(委員会審査省略要求事件)  日程第三 吉田外務大臣不信任決議案河田賢治君外二十五名提出)(委員会審査省略要求事件)  日程第四 競馬法の一部を改正する法律案小笠原八十美君外十七名提出)  日程第五 不動産登記法等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案内閣提出)  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  農林漁業資金融通特別会計法案内閣提出)  公庫の予算及び決算に関する法律案内閣提出)  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  モーターボート競走法案神田博君外四十九名提出)     午後三時二十二分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一、議員川上貫一懲罰事犯の件を議題といたします。     〔川上貫一君「一身上弁明を求めます。」と呼び、その他発言する者多し〕
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 川上貫一君から一身上弁明のため発言を求められておりますが、議院運営委員会決定に基き、議長はこれを許可いたしません。(拍手)  川上貫一君の退席を求めます。(拍手)     〔発言する者多し〕
  5. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 川上君の退席を求めます。——衛視、執行。  委員長報告を求めます。懲罰委員長土倉宗明君。     〔土倉宗明登壇
  6. 土倉宗明

    土倉宗明君 ただいま議題と相なりました議員川上貫一懲罰事犯の件につきまして、懲罰委員会審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。  本件は、去る二十四日、川上君が本会議において議決された陳謝文朗読を拒否した結果、院議を無視したものとして議長から懲罰委員会に付託されたものであります。  懲罰委員会は、二十六日委員会を開き、本件審査に当つたのでありますが、本件付託経緯及びその理由は、すでにきわめて明らかでありまして、あらためて議長説明を聞く必要もなく、また川上貫一君自身から一身上弁明を求められませんので、委員会の方から同君の出席を求めて弁明を聞く必要もないものと決定いたしまして、委員長から、当日川上君が院議に従わず懲罰委員会に付されました経緯を、本会議速記録朗読して説明をいたしました後、特に発言もありませんでしたので、本件について懲罰を科すべきかいなか、懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二條に規定するいずれの條項によりこれを処すべきかについて意見を求めましたところ、自由党中川俊思君より、いやしくも議員である以上、院議を尊重し、議院内部の規律に服することは最も重要なことであつて、もし院議が守られないとすれば、何によつて議院秩序が保持できるであろうか、従つて、先日の川上君の院議を無視した行動こそ、衆議院規則第二百四十五條の、いわゆる議院秩序をみだし、議院品位を傷つけ、その情状が特に重い者というべきであるから、川上君に対しては、国会法第百二十二條第四号により除名すべきものであるとの動議提出され、(拍手共産党梨木作次郎君からは、本会議において、さき川上君に対して陳謝決定したことの是非がすでに問題であること、及び同君身上弁明を途中で禁止したことが、院議による陳謝を拒否した理由の一つであつて、決して議院秩序を乱したものではないから、川上君に対して懲罰を科すべきものではないとの動議提出され、なお社会党石川毎次郎君からは、議員は良識によつて逸脱してはならない範囲があるものであるから、院議無視行為は許されないが、川上君の行為は、途中で身上弁明発言を禁止されたことにも関係があるから、この点を考慮して、国会法第百二十二條第三号により七日間の登院停止を命ずべきであるとの動議がそれぞれ提出されました。  次いで、これを一括討論に付しましたが、まず共産党梨木作次郎君より、本件さきの一月二十七日の本会議における川上貫一君の質疑に端を発したものであつて川上君が確実な資料と不動の決意をもつてなした演説をとらえて懲罰に付し、これに従わないからといつてこれを除名するがごときは、除名をあらかじめ計画し、その前提として、さき陳謝懲罰を科したものと見るほかなく、かくては国会における言論の自由の喪失を世界に宣伝するようなものであるから川上君の懲罰反対の旨の意見開陳があり、自由党木村公平君より、川上君の行動共産党国会無視暴力革命是認の思想の現われであつて、(拍手議長宣告に応ぜず、院議を無視し、陳謝文朗読を拒否した態度至つては、前例のない無札の行動であつて議院秩序を維持し、議院品位を保つために断固除名すべきものであるから、中川君の除名動議賛成する旨の意見開陳があり、(拍手社会党猪俣浩三君より、院議を無視した川上君の行動は、国会を尊重し、その権威を保つ上においても懲罰に値することは当然であるが、本件がもともと議院言論に端を発したものであるから、院議無視は許すべきではないにしても、かかることが言論の自由への威嚇となることは避けなければならぬと思われるし、また懲罰段階から見ても七日間の登院停止を妥当と認め、石川君の動議賛成する旨の意見開陳があり、国民民主党大森玉木君より、議会始まつて以来、かくのごとき院議侮辱の事実は初めてであり、尊重すべき議院秩序を乱すこと、これに過ぐるものはないから、最も重い懲罰をもつて臨むべきである、よつて中川君の除名動議賛成する旨の意見開陳がありました。(拍手討論を終り、採決の結果、中川俊思君提出動議のごとく、本件につきましては、国会法第百二十二條第四号により除名すべきものと議決した次第であります。(拍手憲法及び国会法が、おごそかに議院秩序を保持するために自律権懲罰権を特に認めた趣旨にかんがみ、何とぞ慎重御審議の上に、委員長報告に御賛同あらんことを希望いたします。(拍手)以上をもちまして私の報告を終ります。(拍手
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。猪俣浩三君。     〔猪俣浩三登壇
  8. 猪俣浩三

    猪俣浩三君 日本社会党を代表いたしまして、議員川上貫一除名決議反対するものであります。(拍手除名は、議員に対する死刑宣告であります。みだりに適用すべきものでないことは申すまでもありません。明治二十三年、第一帝国議会以来、百二回の国会におきまして、三名の除名者が出ただけであることも、うべなるかなと思うのであります。しかも、西尾末廣氏、齋藤隆夫氏の除名のごときは、軍閥官僚の勢力盛んにして、日本ファツシヨの態勢確立し、第二次世界大戦の準備がなされたときであります。(拍手吉田内閣の施政数年、国際情勢の悪化に便乗した極端な反共政策は、ファツシヨ勢力の台頭を促し、再軍備の声さえ起るに至つた今日、(拍手川上除名問題が発生したことは、一葉落ちて天下の秋を知る、(拍手)なまなましい民主主義興亡歴史を思い起して、われらは歴史の必然の前に憂慮おくあたわざるものがあるのであります。一月二十七日の本会議における川上君の演説は、その論旨においてその表現方法において、われわれの首肯し得ざる点が多くあります。いわんや、保守政党諸君の耳目に快からざるものがあつたことは推察に余りあります。しかしながら、川上君は共産党員であり、共産党を代表しての質問演説であり、その演説の基礎に共産党世界観共産党政策があり、その表現方法もまた共産党らしいものになるのは当然であります。これは懲罰動議提案者たる自由党の佐々木君も、この提案理由説明において、この川上君の演説は「およそ共産主義並びに日本共産党の本質を知る者にとりましては、決して事新しき驚きではなかつたのであります。」と言つておることによつても明らかであります。(拍手)諸外国におきましての共産党議員発言も、そのどぎつい論旨は定評もありますけれども、まだ諸外国におきまして、これによつて除名をされたことは聞いておりません。共産党合法政党として許されておる以上は、この主義主張に基いての発言は、これは十分に許されなければならぬことは、民主政治議会政治の要請であります。これを圧迫することは、百害あつて一利がありません。すでに川上君を懲罰に付したことによりまして、かえつて保守政党諸君の所期したことと逆な効果を来しておるのであります。次に、川上君の演説に対しまして本院において、わが党の反対にかかわらず、多数をもつて陳謝文朗読を命ずることになりました。この院議に反したことによつて、新たに懲罰委員会除名決議をしたのであります。懲罰段階は、国会法百二十二條によつて、まず公開議場における戒告、次に同公開議場における陳謝、次に一定期間登院停止最後除名となつておることは、皆さん御承知の通りであります。陳謝せよとの院議に服しなかつた場合、これを不問に付することはできませんが、懲罰段階を無視して、いきなり除名をもつてするは不当であります。(拍手陳謝を命じて服しない場合は、次の段階である登院停止が至当でありまして、いきなり除名に持つて行くのは飛躍であります。普通の刑罰において、ある事件被告を罰金にすることが相当なりと判決した場合に、それに服さないことによりまして、ただちに死刑宣告をするといこことが許されましようか。(拍手)かような飛躍的な態度をとつたことにつきましては、われわれは疑惑を感ずる。川上君は、その信念に基いて行つた演説であります。登院停止なら服したかもしれませんが、陳謝をするということは、とうていできない相談であることは、本会議において、懲罰委員会において、川上君が一身上弁明を、るるとして言つておる点から見ましても、明らかでありました。それを見越していたものと思われてなりません。(「その通り」「恥を知れ」と呼ぶ者あり、拍手保守党諸君除名したいのであります。その計画を持つてつた。それでは、なぜただちに除名しなかつたか。それは除名に値するほどの客観的事実がなかつたのであり、無理にやるならば、院内における言論圧迫の非難あることをおそれたのでありましよう。衆議院規則二百四十五條によれば、「議院秩序をみだし又は議院品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院は、これを除名することができる。」とあります。「特に重い」というのでありまするので、それには当てはまらない、しかし除名はしたいという反間苦肉の策として、まず陳謝を要求し、これに服しなかつた除名に持つて行こうという計画的なものであつたと、われわれは思うのであります。(「その通り」、拍手)そうして、陳謝文朗読決議をするに際しましても、一身上弁明を十分にさせず、今また死刑宣告をしようとする際に、本人に一言の発言も許さないことは、自由党諸君除名計画を物語つて余りあるものと思うのであります。(拍手人権擁護基本的観念として成立しておりますところの刑事訴訟法におきましても、最後の判決の前には、必ず被告人にその弁明を許すことが原則に相なつております。(「その通り拍手)かような人身保護の規定さえある際に、かようなことを無視するということに対しましては、われわれは反感を持たざるを得ないのであります。自由党共産党非合法化を考えておるそうでありますが、法の制定以前に、すでに院内においてこれを実行しておるのではないかと、われわれは思うのであります。(拍手)これこそ多数党の横暴であり、議決権の濫用であります。(拍手懲罰委員会において除名決議がなされましたときに、自由党委員は、一齊に拍手されました。長らく裁判官生活をしておる人でも、死刑宣告をする際には顔色をかえるというのが、これが人情であります。(拍手)お互いに選挙の苦労は身にしみておるはずであり、何万票かの大衆支持を得て当選した同僚死刑宣告をするというのに、それに対して喜色満面、一齊に拍手するということは何と冷酷無情の態度でありましようか。(拍手)おごる者は久しからず、これは古今の鉄則である。自由党民主党の中にも、必ずしもこの除名賛成しない、明敏の士が多数あると思うのでありますが、日本国憲法の成立以来最初の除名問題でありまするがゆえに、どうぞ悪例をあとに残さないように最善の御考慮を願いたいと思います。そして、フアツシヨに対して毅然たる民主政治の殿堂を守り抜いていただきたいことを懇願いたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  9. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 鍛冶良作君。     〔鍛冶良作登壇
  10. 鍛冶良作

    鍛冶良作君 私は、自由党を代表いたしまして、委員長報告賛成の意を表明せんとするものであります。 (拍手)  そもそも、去る一月二十七日の本会議場で行われた川上君の演説は、日本共産党の本旨である、人心を惑わしめ、これによつて社会を混乱に陷れ、その虚に乗じて、暴力をもつて革命を遂行せんとする底意に出たるものであります。第一、そのことごとくは虚構もしくは誇大な事実を連ねて、日本政府並びに日本国信用を失墜せしめんとしたのであります。(拍手)  第二は、いたずらに占領軍を誹謗いたしまして、ポツダム政令第三百二十五号に違反したものであります。(拍手)第三は、同僚議員に対し重大なる恥辱を與えたものであります。これは憲法第五十八條国会法第百十九條、衆議院規則第二百三十八條並び七第二百四十五條等に違反したものであつて、まことに極刑に値するものであつたことは、去る三十四日の本会議場で私の述べた通りであります。けれども、右の懲罰事犯は、まつた言論そのものが不穏当であるという一事にとどまつておること、並びに現下の国際情勢から考えて、言論によつて傷つけたるわが国の信用は、言論によつてこれを回復せしむることが最も適当であるという、議院における言論尊重の点から、その罪数等を減じまして、国会法第百二十二條第二号による、公開議場における陳謝文朗読という軽い刑をもつて臨まれたものにほかならないのであります。しかるに川上君は、この院議を無視して、これを拒否いたしたのであります。しかも、公開議場において一身上弁明もさせないで、陳謝などとはもつてのほかだ、この陳謝文議長にお返しすると言つて陳謝文案議長にたたきつけたのであります、その言論行動ともに傲慢不遜なること、まことに言語に絶するものと申さなければなりません。(拍手)  川上君は、一身上弁明もさせないで、と申します。懲罰委員会において、梨木君も同様に述べられました。しかし、当日議長同君十分弁明の機会を與え、川上君また登重して、約二十分も、とうとうと演説せられたことは、諸君ごらん通りであります。しかるに川上君は、この一身上弁明を悪用いたしまして、再三にわたる議長の注意にもかかわらず、去る一月二十七日の演説むし返しをやつたのであります。これはまつたく言語道断、議院秩序紊乱日本国信用失墜を加重せしめんとするものでありまして、これを中止すべきは理の当然であるばかりか、われわれをして言わしむれば、この中止はむしろおそきに失した感さえあるものでありまして、絶対に拒否の理由となるものではありません。  かく川上君は、院議無視という重大なる罪科を犯したのであります。いやしくも議員として院議を尊重すべきことは、最大義務と申さねばなりません。議員は、憲法第五十一條によつて院内行つた言論については院外において法律上の責任を囲われないという特権を與えられております。従いまして、その反面、議院内における秩序は絶対に守らなければならぬ義務を負つておるものといわざるを得ません。もし、しからずとするならば、院内においても自由気ままであり、院外においてもその責任を問われないということになりまして、まさに秩序破壊の府と化するおそれがあります。ゆえに、院議に従わないということは、議院品位を傷つけ、その秩序を乱すことの最大のものと断ぜなければなりません。  川上君は、前にすでに除名に値する最悪の罪を犯したにもかかわらず、特に減刑せられて、陳謝文朗読という軽い罰に処するという院議を與えられたにもかかわらず、これを拒否し、あまつさえ無礼の言動をあえてなしたということは、罪を二重に犯したものでありまして、累犯加重原則により、衆議院規則第二百四十五條に規定する「議院秩序をみだし又は議院品位を傷つけ、その情状が特に重い者に相当するものとして、国会法第百三十二條第四号を適用し、これを除名に処すべきものと断ずる次第であります。(拍手)  なお、これに関する前例を取調べましたところ、大正九年、第四十三帝国議会において議員島田三郎君の高橋大蔵大臣その他に対する涜職嫌疑に関する質問が、虚構の言説をもつて人の名誉を傷つけ、議院の神聖を汚したとして、すみやかに引責処決すべしとの院議が可決せられましたところ、島田君がこの院議に応じなかつたため懲罰委員会に付され、委員会において除名決定せられた例があります。もつとも、本件は会期末の決定でありましたがために、時間がなくて本会議決定を見なかつたのでありますが、院議無視に対する厳罰の趣旨は、これによつて十分うかがわれるのであります。いわんや川上君の言動は、日本の国威を失墜せしめ、議院秩序破壊を目的とするものであつて島田君の言論と比較にならぬ重大なものでありまする以上、これを除名処分に付することは、当然過ぎるほど当然と申さなければなりません。  以上によつて懲罰委員会決定に基く委員長報告賛成の意を表明する次第であります。(拍手
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 加藤充君。     〔加藤充登壇
  12. 加藤充

    加藤充君 私は、日本共産党を代表して、議員川上君の除名反対するものであります。  第一に、川上君の除名は、平和と独立を望む人民の声を封殺し、国民の前に真実をおおい隠さんとする、まさに政治的陰謀であります。(拍手川上君の演説は、占領政策基本原則たるポツダム宣言を尊重し、これが厳正実施を要望する立場に立ち、明らかにこの根本原則に逆行する諸政策を、具体的事実に基いて指摘し、これに厳重抗議したものにほかならないのであります。(拍手)しかるに内外反動勢力は、世界人民の前に、この明白なるポツダム宣言違反の事実が暴露され、戦争と奴隷化政策の遂行が不可能になることをおそれたのであります。(拍手)それゆえにこそ、かかる演説を行いました川上君をただちに除名せんことを決意し、計画したのである。しかしながら、この真実を語る、道理に基く正論は、日本のみならず、全世界平和愛好勢力の絶大な支持を受けるに至つたのであります。(拍手)このために、川上君を一挙に除名ぜんとする計画が不可能となるを見てとるや、一党を代表し、かたき信念をもつてなされた質問演説に対し、卑劣にも、耐えがたき屈辱を與える陳謝文朗読を押しつけて、故意に院議無視なる形式をでつち上げ、前代未聞の除名を強行せんとしておるのであります。(拍手)しかも、議員の持つ当然中の当然の権利である身上弁明すら、問答無用として、多数の暴力で押し切るという、残忍非道暴挙をあえてした。これは、わが議会史上のみならず、全世界議会史上にいまだかつて見ざる暴挙であります。議会には、もはや民主主義━━━━━━━━━━━━━━━━ことを暴露したものにほかならないのであります。(拍手)われわれは、この事実を全世界平和愛好勢力に訴え、この暴挙を必ず粉砕するものであります。(拍手)  第二に、この除名川上君個人に対する懲罰ではなく、平和と独立を熱望し、生活事業を守らんとする労働者農民中小商工業者及び民族資本家に加えられたる弾圧であります。(拍手)一体、東條軍閥時代にまさるとも劣らぬ暴挙をあえてしてまでこの除名を強行しようとする真の意図は何であろうか。それは、わが祖国を━━━━━━━━━━とし、人民━━となし、国内の物資施設とをあげて他国の企図する━━━━に提供せんとするものであります。(拍手)  吉田総理は、先般のダレス特使との会談の内容については、国民の前には何一つ明らかにしておりません。だが、内外の諸新聞は次のように報道しております。三月十九日付日本の各新聞は、安全保障協定の構想なる記事の中で、吉田内閣がみずから進んで軍事基地無償提供講和後におけるアメリカ将兵の治外法権、航空機・車両の自由出入軍用物資自由搬入、道路、鉄道の無制限使用等々の権利を認めることを指摘しておるのであります。(拍手)また二月二十六日付日本新聞は、陸海空軍の無制限再建占領軍の無期限駐屯内容といたす米国の対日講和條約草案が、ダレス特使により、すでに日本政府手渡し済みである旨の外電を伝えておるのであります。  かかる━━━━の結果、日本人民生活は一体どうなつているでありましようか。労働者は、エジプト以下の賃銀と、舶来職階制による労働強化のもとに、文字通り━━━━の状態に陷れられておるのであります。農民は、重税と高い肥料、ジープ供出国土軍事化のための土地坂上げ等により、破滅のふちに追い込まれております。中小商工業者は、血税と資金の引締め、原料高製品安締め木にかけられておる。平和産業を主とする民族資本家もまた、産業の軍需的再編成と、アジア貿易、特に中日貿易の不当なる禁止のために、立つあたわざる打撃を受けておるのであります。これが川上除名の真の意図であり、同時にまた単独講和の正体であります。(拍手)  このように、みずから進んで民族独立を裏切り、第三次世界大戦の危機を激成する反人民的━━政策は、国民の圧倒的多数の抵抗と反撃を呼び起すに至つております。人民大衆生活事業を守る闘争は、必然的に平和と独立をかちとる鬪いに発展しつつあります。これに対して吉田内閣は━━━━━━━━━━━━━━━━━を加えておるのではありませんか。(拍手川上君の除名は、この人民大衆に加えられている弾圧と、まさにその軌を一にするものであり、その国会における現われであります。(拍手)  第三に、この除名が強行されるならば、それは日本人民大衆が心から望んでおる、ポツダム宣言に基く全面講和を、国会みずから妨害することになるのは明らかであります。なぜならば、諸君ポツダム宣言は明らかに、日本の非武装化と、民主主義復活強化講和條締結條件としておるのである。川上君は、この精神を尊重すればこそ、あの質問演説行つたのであります。この川上君を除名するがごときは、日本がいまだ民主化せず、非武装化反対であるのみならず、軍国主義化賛成していることを、諸君国会みずからが裏書きするものといわなければなりますまい。(拍手日本のみならず、全世界平和愛好人民は、ポツダム宣言通りの公正なる講和を要求し、そのために断固闘つていることは周知の事実ではありませんか。中ソ友好同盟條約は、このことを明文で規定しているのみならず、二月下旬ベルリンで開かれました世界平和評議会第一回総会は日本問題の平和的解決に関する決議におきまして、日本の再軍備単独講和締結陰謀反対し、アジアアメリカ、大洋州の関係諸国で、これに関する国民投票を行うことを呼びかけ、アジア、太平洋地域の平和擁護会議を開くべきことを決定しております。これに応じて、中華人民共和国を初めとするアジア諸国はもちろんのこと、米国においてすら、日本の再軍備反対全面講和の一大国民運動が起りつつあるのであります。(拍手)  世界人口の大多数は、平和と独立と自由を要求し、単独講和日本の再軍備を断固阻止する決意を固めております。川上君の除名は、かかる内外の輿論に逆行し、日本をして全世界平和愛好人民に敵対させ、わが国の百年の大計を誤らせるものであると断ぜざるを得ないのであります(拍手)  私は、以上の理由によりまして、正義と平和と独立を愛好する人民大衆の名において、この除名案に絶対反対をするものであります。(拍手)  最後に、私は声を大きくして叫びたい。諸君は、院内多数の暴力をもつて、真の愛国者である川上君を除名することは、あるいはできるかもしれない。しかしながら諸君、全日本の、いな、全世界の平和と自由を熱望する十億になんなんとする人々を除名することは断じてできません。(拍手諸君、さばかれる者は、実に川上君ではなくして、このフアツシヨ的陰謀計画し、遂行した者自体であります。歴史は、このことを近く必ず証明するでありましよう。(拍手
  13. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  本件につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。議員川上貫一懲罰事犯の件委員長報告賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  14. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣、開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百十   可とする者(白票) 二百三十九     〔拍手〕   否とする者(青票)  七十一     〔拍手
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 右の結果、出席議員三分の二以上の多数であります。よつて議員川上貫一懲罰事犯の件は委員長報告通り議決いたしました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  議員川上貫一懲罰事犯の件委員長報告を可とする議員の氏名    安部 俊吾君  青木  正君    青柳 一郎君  淺利 三朗君    麻生太賀吉君  有田 二郎君    井手 光治君  井上 知治君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    生田 和平君  池田正之輔君    池田 勇人君  池見 茂隆君    石田 博英君  石原 圓吉君    今泉 貞雄君  今村 忠助君    岩川 與助君  宇野秀次郎君    内海 安吉君  江崎 真澄君    江花  靜君  遠藤 三郎君   小笠原八十美君  小川原政信君    小澤佐重喜君  小高 熹郎君    小淵 光平君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  越智  茂君    大泉 寛三君  大内 一郎君    大上  司君  大澤嘉平治君    大西 禎夫君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大村 清一君    岡延右エ門君  岡崎 勝男君    岡西 明貞君  岡野 清豪君   岡村利右衞門君  奧村又十郎君    押谷 富三君  加藤隆太郎君    鹿野 彦吉君  鍛冶 良作君    角田 幸吉君  風間 啓吉君    柏原 義則君  片岡伊三郎君    甲木  保君  門脇勝太郎君    金光 義邦君  上林山榮吉君    神田  博君  川西  清君    川野 芳滿君  川端 佳夫君    河原伊三郎君  菅家 喜六君    木村 公平君  菊池 義郎君    北澤 直吉君  金原 舜二君    久野 忠治君  倉石 忠雄君    栗山長次郎君  黒澤富次郎君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小玉 治行君    小西 寅松君  小西 英雄君    小峯 柳多君  小山 長規君    五島 秀次君  河野 謙三君    近藤 鶴代君  佐久間 徹君    佐々木秀世君  佐藤 榮作君    佐藤 重遠君  佐藤 親弘君    坂田 英一君  坂田 道太君    志田 義信君  清水 逸平君    塩田賀四郎君  篠田 弘作君    島田 末信君  澁谷雄太郎君    首藤 新八君  白井 佐吉君    庄司 一郎君  周東 英雄君    鈴木 明良君  瀬戸山三男君    千賀 康治君  田口長治郎君    田嶋 好文君  田中伊三次君    田中 角榮君  田中 啓一君    田中 重彌君  田中  元君    田中不破三君  田中 萬逸君    田中  豊君  田渕 光一君    多田  勇君  多武良哲三君    高木吉之助君  高木 松吉君    高塩 三郎君  高田 弥市君    高橋 英吉君  高橋 權六君    高橋  等君  高間 松吉君    竹尾  弌君  橘  直治君    玉置 信一君  中馬 辰猪君    圖司 安正君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  土倉 宗明君    圓谷 光衞君  坪内 八郎君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    寺本  齋君  苫米地英俊君    冨永格五郎君  奈良 治二君    中川 俊思君  中村  清君    中村 幸八君  中山 マサ君    仲内 憲治君  夏堀源三郎君    西村 英一君  西村 直己君    西村 久之君  根本龍太郎君    野原 正勝君  野村專太郎君   橋本登美三郎君  橋本 龍伍君    花村 四郎君  原田 雪松君    平澤 長吉君  平島 良一君    福田 篤泰君  福永 健司君    藤井 平治君  渕  通義君    淵上房太郎君  降旗 徳弥君    保利  茂君  細田 榮藏君    堀川 恭平君  本多 市郎君    本間 俊一君  眞鍋  勝君    前田  郁君  前田 正男君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    松井 豊吉君  松浦 東介君    松木  弘君  松田 鐵藏君    松永 佛骨君  松本 一郎君    松本 善壽君  丸山 直友君    三池  信君  三浦寅之助君    三宅 則義君  水田三喜男君    水谷  昇君  滿尾 君亮君    宮幡  靖君  村上  勇君    村上 清治君  森   曉君   八木 一郎君  藥師神岩太郎君    柳澤 義男君 山口喜久一郎君    山口 好一君  山口六郎次君    山崎 岩男君  山崎  猛君    山本 久雄君  吉武 惠市君    龍野喜一郎君  若林 義孝君    亘  四郎君  小川 半次君    小野  孝君  大西 正男君    大森 玉木君  木下  榮君    北村徳太郎君  吉川 久衛君    小林 信一君  小松 勇次君    笹森 順造君  笹山茂太郎君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    鈴木 幹雄君  清藤 唯七君    高橋清治郎君  床次 徳二君    苫米地義三君  内藤 友明君    中島 茂喜君  福田 繁芳君    船田 享二君  増田 連也君    水野彦治郎君  柳原 三郎君    山手 滿男君  山本 和壽君    吉田  安君  飯田 義茂君    高倉 定助君  寺崎  覺君    中村 寅太君  松本六太郎君    浦口 鉄男君  否とする議員の氏名    石田 一松君  青野 武一君    赤松  勇君  淺沼稻次郎君    猪俣 浩三君  石井 繁丸君    石川金次郎君  稻村 順三君    今澄  勇君  受田 新吉君    大矢 省三君  加藤 鐐造君    勝間田清一君  上林與市郎君    川島 金次君  佐々木更三君    佐竹 新市君  坂本 泰良君    鈴木茂三郎君  鈴木 義男君    田中織之進君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  土井 直作君    中崎  敏君  成田 知巳君    西村 榮一君  福田 昌子君    前田榮之助君  前田 種男君    松尾トシ子君  松岡 駒吉君    松澤 兼人君  松本 七郎君    三宅 正一君  水谷長三郎君    門司  亮君  八百板 正君    山口シヅエ君  井之口政雄君    池田 峯雄君  江崎 一治君    加藤  充君  風早八十二君    上村  進君  柄澤登志子君    河田 賢治君  苅田アサノ君    木村  榮君  今野 武雄君    砂間 一良君  田島 ひで君    田代 文久君  高田 富之君    竹村奈良一君  立花 敏男君    中西伊之助君  梨木作次郎君    林  百郎君  深澤 義守君    山口 武秀君  横田甚太郎君    米原  昶君  渡部 義通君    石野 久男君  岡田 春夫君    黒田 寿男君  中原 健次君    大石ヨシエ君  中野 四郎君    松谷天光光君     —————————————
  17. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 川上貫一君の入場を許します。  ただいまの議決に基き宣告いたします。議員川上貫一君が昭和二十六年三月二十四日の本会議において議決された陳謝文朗読を拒否したことは、院議を無視したものであつて議院秩序をみだし、その情状特に重きものと認め、同君国会法第百二十二條第四号により除名する。(拍手)     〔「反対々々」と呼び、その他発言する者多し〕      ————◇—————
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第二は提出者より委員会審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程第二、衆議院解散に関する決議案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。三宅正一君。     〔発言する者多し〕
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御静粛に願います。     〔三宅正一登壇
  21. 三宅正一

    三宅正一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、衆議院解散に関する決議案説明いたしたいと思います。  (拍手)  まず主文を朗読いたします。    衆議院解散に関する決議 政府は、速やかに衆議院の解散の助言を為すべし。  右決議する。     理 由   吉田内閣成立してここに満二箇年を経たが、政府の失政相次ぎ、今や人心の離反そり極に達するに至つた。ことに民族の興亡を決する講和会議を目睫の間に控えた今日、国民の輿論に聞かずして独断これを受認することは非民主的態度もはなはだしいというべきである。   よつて政府は、すみやかに衆議院解散の助言をなし、もつて総選挙を行い、人心を新たにするとともにただちに国民外交の実を示すべきであると確信する。     〔拍手〕 われわれが衆議院の解散を主張する第一の理由は、講和條約の締結の時が近づきつつあるということであります。しかして、その内容がきわめて具体的に、かつ詳細に全世界において論議されつつあるのであります。これに対するわが国論の帰趨は、全世界が注視しておるところであります。しかるに、自由党並びに現政府の見解は、決して国民の真の輿論を代表しているとは思われないのであります。(拍手)二年前の総選挙において講和問題が若干議に上つたことは、これを認めるのでありますが、しかし、それはきわめて抽象的であつて、暗中模索の域を出なかつたのであります。当時主として論議の対象となりましたのは経済政策でありまして、国民の大多数は、講和問題についてまで自由党に全権を付與したものとは、とうてい信ずることができないのであります。(拍手)  全世界において論議され、刻々に外電が伝えておる講和條約の内容は、容易ならざる重大な内容を含むものでありまして、国家百年の運命に関するものばかりであります。外電の伝うるところによれば、米ソの対立において、わが国は、はつきり一方の味方となることにきめられようとしておる。さらにアメリカの軍需工業の一分工場とされようとしているのである。(拍手)はなはだしきに至つては、数日前のロンドン電報は、日本に陸、海、空の三軍につき無制限に軍備を許し、国際連合に加入する代償として人的資源の供出を命ずるかにさえ思われるのであります。(拍手)これは、もはや国内治安や防禦的自衛の問題ではないのであります。国家の性格を根本的に変革し、決定づける大問題であるといわなければならぬのであります。(拍手)吉田首相は、この重大危局に当面しながら、なお講和は現内閣で担当し、その批准も現在の国会に求めると申しでおるのでありますが、暴もまたきわまれりといわなければならないのであります。(拍手)万一にも、外電が伝えるごとき内容講和が、総選挙による国民輿論の審判を経ることなく、吉田内閣の独断によつて決定されるがごときこととなれば、国民の平和擁護、戰争不介入の悲願を表徴して成立した非武装、平和の日本憲法は一方的にその改正を強化される結果となり、その責任は実に重大なりといわなければならないのであります。(拍手)また私は、吉田首相の主観的な善意を疑うものではございませんけれども、地に方策があるにかかわらず、一方的に、かかる性格の講和国民にしいることによつて、万々一にも日本の国土が戰場となり、国土と国民が戦火によつて蹂躪されるがごとき事態を招来せる場合、いかにしてその責任を負わんとするかを問わんとするものであります。(拍手)深刻なる国際情勢のもとで、いかにして日本の安全を保障し、民族独立と自立を達成し、進んで世界の平和に寄與するかは、その方途の困難なこと、またその前途の予測しがたいことは申すまでもないところであります。  講和問題は、他の国策と異なり、できてしまつてから国民に承認を求めればよいというものではないのであります。できてしまつてから、これを担当する政権をきめても、意義をなさないのであります。大切なることは、事前にわれわれの要望をその内容の中に取入れさせることであります。相手方も、わが国論の動向に至大の関心を拂いながら、その内容決定しようとしておるのでありますから、わが国論の帰趨を、総選挙を通じて世界に示すのは、まさに今がその時であると信ずるのであります。(「その通り拍手)これこそ、われわれが今ただちに総選挙の強行を求めるゆえんであります。困難にして前途の予測しがたい情勢であればあるほど、講和前の解散によつて国民をして各党の講和政策を十分に吟味し、判断させて、国民みずからが責任をもつて講和に臨む態勢をつくることこそ政治の第一義であると信ずるものであります。(拍手)第二にわれわれが国会の解散を要求いたしまする理由は、吉田自由党内閣の、衆議院における二百八十五の絶対多数は、正確に国民の輿論を反映せざる架空の多数でありまして、民心がすでに吉田内閣を離れている具体的事実に立脚して、国民の輿論に背反する不自然なる自由党の多数と、不自然なる社会党の少数とを修正せんとする点であります。(拍手)すなわち、二年前の総選挙において二百六十七名を確保した議席は、その後民主党の犬養派二十二名をかきとつて合併したことによつて二百八十五名となつたのでありますが、これは不自然にして不当、しかも不合理にふやした擬制の増加でありまして、われわれは、不信任案を提出して臨んだ野党たる民主党を——吉田、犬養両党主間のなれ合いで選挙民を欺き、民主党はもちろん、自由党自身にも不快きわまる混迷と混乱とを與えて議席数を変動させるがごときやり方は、政治道徳上許すべからざるものと考えているのであります。(拍手)やみ取引の張本でありました犬養君が、吉田ワン・マンの威力をもつてしても自由党の受入れるところとならず、政界の孤児としてアメリカくんだりまで放浪せざるを得なかつた一事に徴しましても、この議席の変動がいかに不合理であるかということを証拠立てているものであると存ずるのであります。(拍手)選挙によらざる政界分野の変化が政界の腐敗と混迷の根源である意味において、これを糾彈するとともに、この一事のみによつても当然に国会を解放すべきものと信ずるのであります。  さらに昨年六月の参議院選挙を例にとつてみましても、地方区の得票の合計数は、自由党は千四十一万票であり、社会党は七百三十一万票であつたのでありまして、これを二年前の衆議院選挙総得票数に比較しますると、自由党は三百万票減つておるのであります。社会党は三百二十万票ふえておるのでありまして、これを衆議院の議席数に換算いたしますると、自由党は百五十の議席、社会党は百十六の議席に変化するのであります。(拍手)参議院の選挙は、その性質上、中立議員が多いのでありますが、もし衆議院の選挙が、あの際行われまして、中立議員が少いといたしますならば、あの選挙の結果は、自由党はほぼ二百名、社会党は百五十名の当選者を出す結果となつたと考えられまして、現在の自由党の二百八十五名、社会党の四十五名は不自然な数であり、国民の輿論と議席数の背及せること実にはなはだしきものありといわなければならないと存ずるのであります。(拍手)その後各地の補欠選挙におきまして、たとえば千葉の県知事、参議院議員の選挙、広島の知事選挙等における野党連合ないしはわが党の驚異的な勝利は、明らかに、すでに民心が吉田内閣を離れたことを立証するものでありますとともに、国会の議席がなるべく国民の輿論を忠実に反映する状態が議会民主主義の理想である点にかんがみましても、吉田内閣は当然国会を解散して、国会分野の再調整をなすべきであると信ずるのであります(拍手)第三に、われわれが解散を主張いたしまする理由は、アメリカの対日援助打切りに備えました日本経済自立方策に関しまして、自由党の弱肉強食的な資本主義的再建方策をとるか、社会党の完全雇用、国民生活水準の引上げ、社会保障制度確立に裏づけられたる社会福祉国家的な計画経済で行くかを、国民の審判にゆだねるときであると信じておるからであります。(拍手アメリカの対日援助打切り後の日本経済自立方策に関しましては、一旦方向づけられた方式により、相当年次の努力を継続して初めて自立段階に到達するのでありまして、現に計画のきらいな、行き当りばつたりな自由党内閣すら、経済自立三箇年計画を樹立せざるを得なかつたのであります。わが社会党は、経済再建四箇年計画、農業再建四箇年計画を樹立いたしまして、世の批判に問うておることは、御承知の通りであります。ひとしく継続的な自立年次計画ではありますが、その方式には月とすつぽんのごとき大きな性格の差異がありまして、今こそ各党の経済再建の積極的方策を国民の審判にゆだねて、その総意の上に再建方策を強力に推進する意味においても国会を解散すべきであると信ずるのであります。(拍手)  過去二箇年にわたる吉田内閣の経済施策が、ドツジ・ラインに便乗して、低米価、低賃金、勤労者重税に貫かれました金融資本強化の反動的安定政策であつて、勤労者の犠牲の上に、ようやくインフレを收束し得たのでありますが、今また打出さんとする日本自立の方策が、大資本の強化と、農民労働者、中小企業者の窮乏の上に打立てられんとする旧式な資本主義的方策であり、また日米経済協力のやり方も、国民生活水準の引上げの上に特需インフレを招来する、危険なる買弁資本的な再建方策であることは、あらためて指摘するまでもないのであります。(拍手かくて、政府の三箇年計画の完成年次においても、なお四十五万の完全失業者を数えるという、あきれ果てた自立計画なのであります。かくのごとく多数の失業者と、極度に貧困な国内購買力の上に独占資本を強化する経済政策が、外に現われては侵略主義となり、内には熾烈なる階級対立の激化となり、大衆の不満の激発と、これが彈圧は、自由党みずから国内に三十八度線をつくる結果となるのでありまして、危險きわまりない行き方といわなければならないのであります。(拍手)  資源貧弱にして、人口のみいたずらに多い日本が経済自立を完成するためには、弱肉強食の自由主義方策によらず、完全雇用と生活水準の引上げ、社会保障制度の確立に貫かれた社会的な資本動員、富の再配分、資源の開発等が計画的に行われるべきであります。かつ日米経済協力のやり方も、軍需の下請工場として国民生活水準の引下げ、民需圧迫を来さざる、自主的にして平和的な方式による協力たるべきでありまして、多角貿易による平和産業の発展に自立の基礎を求むべきであると考えるのであります。(拍手)今こそ、日本自立の経済再建施策に関し、国民輿論の審判の前に各党の政策を提示すべき最もよき機会であるという立場に立つて、われわれは強く解散の必要を唱道いたしまするとともに、かつてイギリスにおいて、社会主義か資本主義かを論議の中心にして国民の輿論に問いました、あの十数年前における資本主義的方策による日本の再建か、社会主義的方策による日本の再建かを、今こそ解散によつて国民の審判にゆだねるときであると考えるのであります。(拍手)  さらにこれに加えまして、吉田内閣二年の施政は、民主政治原則を蹂躪し、議会を無視し、法規を逸脱し、フアツシヨ的性格を濃厚にして、国民を失望せしめつつあるのであります。占領政策遂行上、ポツダム政令による措置は、もちろんときに予想せられることでありますが、食確法の改正のごとき、警察予備隊の設置のごとき、電力再編成のごとき、いずれも議会の会期中において法律によらず、政令によつて措置されたことは、吉田内閣議会軽視を物語るものであつて議会の威信はこれがために大いに失墜せざるを得なかつたことは申すまでもないところであります。(拍手)  吉田内閣及び自由党は、絶対多数を頼むのあまり、議会の運営において横暴をきわめ、その審議においても、しばしば少数意見を蹂躪する態度をとり、これがため無用の混乱を招いた事例は、きわめて多いのであります。ことに、その運営に適正を欠く例証といたしまして、超党派的に公平なるべき考査委員会を一方的に利用し、反対党を糾彈する機関化したばかりでなく、自党内における数々の疑獄に類する事件に関しては、多数の力によつて、十分の審議を盡すことなく、うやむやに葬り去らんとして、むしろこれを隠蔽する傾きすらあつたことは、諸君よく御承知のところであります。(拍手)  さらに吉田内閣の独善的傾向は、数数の人事問題の失敗の上に現われておるのであります。齋藤国警長官問題について遂に横車を通し得なかつた政府は、飯山水産庁長官を懲戒免官として、人事院において敗訴する等、黒星を重ね、蜷川中小企業庁長官は、明朗ならざる理由によつて退官を余儀なくされ、最近の木内次長検事問題についても多くの非難を買つたことは、いまだ耳新しいところであります。(拍手)ことに電力再編成における公益事業委員会の人事、そうして再編された電力会社の人事、あるいは開発銀行の人事が、いわゆる吉田首相側近の私事として、きわめて不公平に行われつつあることが天下の怒りを買つていることは、自由党内部においても御承知のところであると考えるのであります。(拍手)また最近における日共非合法化問題を中心とする閣僚と党との不統一問題、大橋法務総裁の偽証問題等、いずれも吉田内閣及び自由党に対する国民の不信を招くに十分下あつて、政府は、これらに対する世評に顧みて、この際あえて国民の批判を問うほどに謙虚であることを希望するものであります。(拍手)  以上は政府の政治運用の面に関する問題でありますが、国民にとつて一層痛切な問題は、政府の政策によつてもたらされた国民経済生活の圧迫についてであります。政府が従来とり来つた低賃金、低米価、大衆課税の諸政策が、ドツジ・デフレ政策の遂行過程において、いかに大衆生活に苦痛をもたらしたかは、すでに申し述べたところであります。ここでは、最近における特需景気の出現と、世界的軍拡気構えの影響とによつて、政府の誤れる政策がいかに大衆に新たな苦悩を與えておるかを指摘したいのであります。  たとえば、昨年六月の朝鮮事変勃発直前に比し、安本発表による本年三月初旬の東京市場物価は、六割という大幅の騰貴を示しているのであります。初め比較的騰貴率の少なかつたといわれる食糧すら四割三分の値上りを示しているのであります。これに対し、昨年の十二月、地域給削減と調整号俸の半減とにより辛うじて七千九百八十一円のベース・アツプを認められたにすぎず、依然として低賃金を押しつけられている労働者を初めといたしまして、鋏状価格差に悩む農民、相かわらず金融難をかこつ中小企業者が、いかに深刻な影響をこうむつているかは、想像にかたくないところであります。(拍手)さらに政府及び自由党は、二年前の選挙当時公約した統制撤廃にこだわりまして、情勢の一変せる経済事情のもとにおいても、党の面子のために適切なる政策の転換を怠り、そのために大多数国民を苦難に陷れて顧みないのであります。同一の期間において、自由経済の本家である米国においてすら、非常事態宣言とともに、いち早く強力な統制に乗り出し、一九%の値上りを見せているのにすぎないのであり、労働党内閣下のイギリスにおいては、わずかに一四%の値上りを示しているだけでありまするときに、吉田内閣の失敗によつて、六割の値上りが大衆の経済生活を圧迫しつつあるのであります。(拍手)すなわち吉田内閣は、たださえ経済的に貧困で、社会的保障のないわが国民に対して、自由経済の美名のもとに物価の自由な騰貴を許し、一方少数の資本家に過大な利潤を與えているのであつて国民を党利党略の犠牲に供していると言つても、あえて過言ではないと信ずるのであります。(拍手)  政府の統制問題に対する偏執的態度は食糧政策の上にも現われ、世論の反対にもかかわらず、麦の統制撤廃を強行せんとしているが、農民は消費者大衆とともに多大の危惧をもつて政府の食糧政策を見守つているのであります。現に本日参議院において、百二十六票対六十四票の大差をもつて食糧管理法の一部改正案が否決せられましたことは、国民有識者がいかに党利党略にこだわる自由党内閣の食糧の統制撤廃政策反対しているかを示すものであると考えるのであります。(拍手諸君かくのごとき一重大なる法案が国会において否決されまする場合は、議会を解散するか、総辞職をすべきが、政治道徳上当然でありまして、(拍手)少くとも廣川農林大臣がその責任を負うて辞職いたしますることは当然の話であると考えるのであります。(発言する者あり)  このように、自由党の統制撤廃は、長く次乏経済に苦しんで来た一部業者や国民に多くの幻影を與えたかもしれないが、今や政府の無鉄砲な自由経済政策のために多大な苦痛を與えられつつある事実を、多数国民は、ここ二年余にわたり身をもつて経験したのであります。しかもなお政府は、その時代錯誤的反動政策をあくまで推進し、依然国民支持を受けていると妄信しているかの疑いなきを得ないのであり、むしろ国会の解散に上つて国民の審判を求むべきであると信ずるものであります。  最後に私は、本決議案法律的立場について申し上げたいと存ずるのであります。われわれが政府に本決議案で要求しているのは、單に解散助言の手続でありまして、解散を必要とする情勢の判断については、もとより衆議院みずからが決定すべき問題なるがゆえに、その討議をこの議場において求めているのであります。先ほどのやじは少し場違いであるとわれわれは指摘せざるを得ないのであります。(拍手)  説をなすものは、新憲法は不信任案成立の場合のほか、政府の独自の判断による解散、または国会の議決による解散等は規定しておらないと言いますが、それは、はなはだしき独断であつて憲法第六十九條は、解散の一つの場合を規定したにすぎないのでありまして、そのほかに、国会みずから解散を決議し、あるいは世論の動向、政局の情勢にかんがみ、政府の判断によつて解散を断行するの自由あることは、当然の話であります。その際、解散の手続として政府が天皇に助言するのであつて、象徴たる天皇に解散権のいなことは明白であり、政府の助言がすなわち解散権の行使であるのであります。英仏その他の多くの立憲国におきましても、不信任案の成立を待たずして、または多数の與党を有する政府みずから解散を実行する慣行が広く行われていることは、周知の通りであります。これによつて政治の運営が円滑なるを期し得るのであります。われわれは、もちろん適当なる時期において現政府に対し不信任案を提出する用意を持つているものでありますが、本決議案は、それとは別に、講和を前にして国会を解散することが真に民主主義の常道であるゆえんを説いて自由党諸君にも、正義の上に立つて賛成されることをお願いいたしまして、私の提案理由説明を終る次第であります。(拍手
  22. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより討論に入ります。倉石忠雄君。     〔倉石忠雄君登壇
  23. 倉石忠雄

    ○倉石忠雄君 私は、ただいま上程せられましたる決議案に対しまして、自由党を代表して反対の意思を表明せんとするものであります。  本決議案を拜見いたしますると、「政府は、速やかに衆議院の解散の助言を為すべし。」という、わが国議会政治始まつて以来の珍無類の決議案であります。私は、社会党の方々が、どういう理由でこれを説明されるであろうかということを、ただいま静かに拜聽いたしたのでありますが、提案者の御説明によりますと、この前の議会解散のときに行われました社会党憲法解釈論をまつたくくつがえして(「その通り」)当時の自由党及び政府が表明いたしたところにまつたく同調せられて来たということは、御同慶にたえないのであります。(拍手、笑声)  あの当時、かつて第二次吉田内閣が成立いたしまするや、当時與党たる自由党は少数党であり、野党は多数党であつたのであります。そのときに、自由党及び野党三派は、総司令部当局者のあつせんにより、一つの協定を締結いたしました。すなわち、追加予算提出後二週間後に、内閣不信任案を野党側より提出してこれを通過せしめ、衆議院の解散を行うことといたしたのであることは、諸君御記憶に新たなところであります。この申合せのありましたときは、三宅社会党国会対策委員長は本国会に議席をお持ちにならなかつたので、そういう方を、わざわざ社会党はここにお立てになつたのでありましよう。(拍手、笑声)その当時、すなわち昭和二十三年の十一月十二日、社会党の片山前委員長が、このことに際しまして、解散はいかなる場合でも憲法第六十九條によつてのみ行われるものであつて憲法第七條による解釈は旧憲法の思想であり、天皇は憲法第四條によつて国政に関與できない規定があるから、七條に先行している、従つて七條は国事または儀礼のみの規定であつて、国政の規定ではない。憲法の解釈は国政と儀礼とをわけて考えるべきである、憲法第四十一條の規定で、国会は国権の最高機関であるから、この趣旨からも、解散は六十九條の規定による以外にはないということを声明しておらるるのであります。(拍手)われわれは、憲法第七条は、天皇の国事に関する行為のうちに、衆議院の解散を掲げているが、その実質的な決定権と責任とは内閣にあるのであつて天皇は、その内閣の助言と承認に基き、儀礼的ないし認証的意味においてこれを行われるのであつて、たとえば国会の召集も同様に天皇の国事に関する行為ではあるが、内閣がこれを決定するものであることは、憲法第五十三條の文意に見ても、きわめて明らかなことであります。すなわち、憲法第七條によつて議院を解散することは、天皇の権能である。しかし、それは内閣の助言と承認によつて行われなくてはならないから、解散を決定する権能は実は内閣の手にあると解されるものであります。そのように解釈するのでなければ、本決議案のごとく解散の助言をなすべしなどという文章は、まつたく無意味であつて、およそこつけいなる要求であります。(拍手)  このように見て参りますと、冒頭に申しましたように、日本社会党諸君も、実質的には従来の憲法解釈論を改めて、われわれの意見に同調して来られたことは、まことに歓迎すべきことではありますけれども、さて今日、国民大衆が、はたして議会の解散を希望しておるでありましようか。社会党諸君が指摘せられるごとく、吉田内閣は、なるほど成立後すでに二箇年をけみしておりますが、新聞その他の言論機関に現われましたる国民の輿論調査は、ことごとく現内閣を支持し、自由党の内閣をして講和條約を締結せしめよとの声は、諸般の手続をもつてつぶさに調査されたる言論機関の統計が、明らかにこれを示しておるところであります。(拍手)正当な手続によつて選挙せられたる国会議員の多数をみずから否認されようとする三宅君の言論こそきわめて非民主的なるものであると断言しなければならないのであります。(拍手)  社会党諸君が本案提出理由書に述べられるように、まことに今日は、民族の興亡を決する講和会議を目睫の間に控えた、重大なる時期であります。この重大時局なればこそ、国民は政局の安定をこいねがい、政府の自重を要望いたすのであります。さればこそ、諸君と同じ野党の立場にある国民民主党諸君は、事一たび外交に関する問題については、党派を越えて政府を鞭撻し、国家百年の大計を誤らしめないように努力せんことを標榜しておるのであります(拍手)私は、この愚劣きわまる決議案に対し断固として同調することを拒まれましたる民主党諸君の堂々たる態度に深く敬意を表するものであります。(拍手)  翻つて社会党諸君諸君のうちには、われわれの平素きわめて敬愛する穏健達識の士も数多くおらるるのでありまするが、今回の、かような決議案提出せられたることは、諸君のために、まことに惜しみてもなお余りあるものがあります。目的のためには手段を選ばず、外国の━となり、国内治安の混乱と破壊とをその生命とする共産党のともがらまで味方にして、破れ去るにきまつたこの愚劣なる議会かけひきをなさんとする社会党の指導者たちの政治的良心を疑わざるを得ないのであります。公党は公党らしく、何ゆえに堂々と政策をもつて争われないか。  またかりに百歩を譲つて、本決議案を尊重して衆議院の解散を断行したと仮定するならば、憲法の條章に従つて、四十日以内に総選挙を行わなければなりません。地方選挙が四月の末日に行われ、これと重複して衆議院の総選挙がこれから行われることを想像いたしてみたときに、いかがなものでありましようか。第一、技術的に不可能であるのみならず、諸君のいわゆる民族興亡を決する講和会議を目前に控え、国をあげて四十日間の政治的空白状態を考えてみたときに、国民はそのばかげたことを想像するさえ憤りを感ずるでありましよう。かくのごとく見て参りまするならば、ただ議会のかけひき以外の何ものでもない、ふまじめきわまる社会党態度に対し、聰明なる国民は、きわめて厳粛なる批判をするであろうことを私は確信いたすものであります。(拍手)  社会党の前片山委員長は、かつて日本社会党は英国の労働党を学ぶべきであると言われておつた。そのイギリス労働党は、一九四八年の二月、━━━━指導のもとに、チエコスロヴアキアにおけるクーデターがありましてから、ソ連の━━政策、その━━政策恐るべしとなして警戒をいたしておるのに、日本社会党は、極東の風雲きわめて急にして、襲いかかるソ連、中共の圧力を前にして、泰然自若として講和の三原則というお題目を唱えておるのであります。  諸君、世の中に無知ほど恐しいものはないという言葉は、今日の社会党を見て思い出す言葉であります。(拍手)ことに社会党の首脳部は、党内の少数の有識者たちが、社会党のいわゆる講和原則なるものがいかに現実離れのした愚論であるかを、声を大にして叫んでおるにもかかわらず、ばかの一つ覚えのごとく、いまだに全面講和や永世中立のお念仏を唱えておることに対し、国民は、遂にその愚や及ぶべからずとなして、あきれかえつておる次第であります。(拍手)  しかして諸君、さらに最近に至つては、ソ連及び中共との間の不可侵條約論などというものを放送してまわる。およそ現代悪党では常識で判断することのできない思想的━━━━━━━━━━━━━━委員長にいただく日本社会党を相手に、この重大時局をともに語ろうなどと考えるドンキホーテは、およそ民主主義諸国の政府はもちろん、日本国民の中においても一人もなくなるでありましよう。  自由党の吉田総裁は、かつて、わが国憲政の発達を希望せらるる大衆的見地から、社会党を育成すべきであると述べたのでありますが、私をして卒直に言わしむるならば、今日の社会党は、頭の三つある、生れながらの━━として、とうてい発育の見込みはございません。(拍手)私は、まじめに議論することすら、いさぎよしとせざる本決議案は、やがて数十分後に、こつぱみじんにたたきつけられるであろうことをこいねがうと同時に、政府は、このことによつて心おごることなく、本案を否決し去つた国民大衆の政府に対する大きな期待にそむかざるよう、ますます自重せられんことを要望いたしつつ、私は本案に反対の意思を表明いたすものであります。(拍手
  24. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ただいまの倉石君の発言中、もし不穏当の言辞がありましたら、速記録を取調べの上、議長において適当に処置をいたします。池田峯雄君。     〔池田峯雄君登壇
  25. 池田峯雄

    ○池田峯雄君 私は、ここに日本共産党を代表いたしまして、衆議院解散決議案に賛意を表するものであります。  吉田内閣の施政二箇年、衆議院の絶対多数を頼むその━━━━━━━━━━は、今や全国民怨嗟の的であり、全世界、全人民の憤激の的となつているのであります。一月二十六日、吉田総理は、この議場において、わが国は極東共産主義制圧の一勢力として期待をかけられていると演説し、きわめて満足の意を表したのである。これは明らかに━━━━━━━━を中外に宣言したものといわなければならない。(拍手)  あるアメリカ人は、最近こんなことを言つております。今西方諸国がなめている最大の苦痛は兵力の不足ということだ、しかし極東には百五十万の潜在兵力が待機している、日本人を武装させ、日本軍にアメリカの装備を供給するだけの時間はまだある、こう語つております。また他のアメリカ人は、莫大な数に上る、訓練された、かつて日本兵士を利用するという考えは、米国にとつていかにも魅力的だ、と語つている。吉田総理演説は、まさにこれに対応し、日本を非武装化するかわりに━━━━日本を民主化するかわりに━━━━━━━━逆もどりさせ、日本人民を反共十字軍の人的資源に使用せんとする国際帝国主義の最も忠実なる━━であることを、全世界に暴露したものであるといわなければならないのである。さればこそ、世界人民大衆は、吉田内閣日本人民の敵と呼び、━━━━━━と呼び、ポツダム宣言の━━━として指彈しているのであります。  第五国会以来、自由党とその政府は、最も露骨な、最も反動的な、そしてその最も忠実な内外独占資本の寵兒、国際反動の手先ぶりを、まことに遺憾なく発揮いたしたのであります。第一に、自由党とその政府は、衆議院に絶対多数を占めたその最初の国会から、定員法、労働三法、国家公務員法の改悪し、労働者の大量首切りをやつたのであります。特に国鉄、全逓から大量の戰闘的労働者を首切り、そして見返り資金をてことして、日本の重要な二つの大動脈を、━━━━━━━━━━━できるようにしてしまつたのであります。続いて、全経営から愛国労働者を次々と追放し、重要産業を完全に━━━━━━━━━━してしまつたのであります。かくして━━━━━━━━━━━━として、低賃金、強制労働による低廉な軍需品生産の基礎を築いたのであります。このためには、実に憲法も、極東委員会決定も、ポツダム宣言━━━━━━し、ヒトラーも顔負けするような━━━さをもつて、ピストルとこん棒、懲役と死刑をすら伴つて民族独立を守る労働者の闘争を彈圧し続けて来たし、今もなお続けているのであります。(拍手)  第二に、自由党とその政府は、農民に対しても、また労働者と同様の政策をもつて日本の農業を破壊しておるのであります。そもそも農地改革が、農民生活の向上、生産力の発展を企図したものではなく、内外独占資本による直接的な農民の收奪を容易かつ徹底的にするために行われたのだということは、現実の農民生活を見れば、きわめて明らかなのであります。かつての小作料以上の重い税金、政府のきめる低農産物価と、独占資本の工業生産物価とのはなはだしい鋏状価格差、そうして飯米も残さない強権供出、この收奪によつて日本農民は驚くべき窮乏の一途をたどつておるのである。しかるに政府は、かかる收奪の当然の結果として起つて来る食糧の不足を——高い外国の余剰食糧を輸入するという政策によつて、さらに農民を圧迫し、その結果、日本の農業はまつたく破壊されつつあるのであります。さらにまた、この政府の食糧外国依存政策は、━━━━━━━━━━━━━━━━━という点で、きわめて重大なる政府の責任を問わなければならないのであります。  さて、かくのごとき農民の窮乏は、農村失業者を増大させ、経営労働者の雇用條件をさらに低下させたのであります。かくして政府は、外国資本の利潤を確保するための低賃金の基礎を政策によつてつくり出したのであります。こうして政府は、日本の農業を破壊し、農民を窮乏化させることによつて、かつて地主の圧制下における日本の農村が天皇の軍隊の供給源であつたように、新しい日本の軍隊、警察予備隊を根幹とする━━━━━━━━━━━━━━━━━の貯水池にしようとしておるのである。これが吉田内閣自由党の農業政策なのであります。  第三に、平和産業、中小企業を統制で押え、資金で苦しめ、税金でつぶすという一切の政策中日貿易の禁止、これらによつてますます失業者を氾濫させ、失業救済と称し、━━━━━━━━━━━━━━━━━という政策産業復興と称して外国の資本を導入し、その結果、石油産業のごとく、重要資源をそつくり外国に奉納してしまう政策、軍需工場を復活し、━━━━━五回国会以来、吉田内閣自由党が一貫してとつて来た政治であります。これが吉田内閣の、いわゆる共産主義制圧の一勢力たらんとしてとつて来た、二年間の現実の政治なのであります。しかもこの間、政府とその與党がしばしば国会の審議権を無視して来た事実を、われわれは忘れることはできないのであります。すなわち食確法の改悪にあたつては、全農民反対を押し切り、衆議院を強引に暴力的に通過させ、参議院で審議未了となるや、国会の審議権を無視してポ勅で公布するという行為をなしました。あるいは地方税法の審議にあたつては、修正を認めずという━━━━━━━━━━をかさに着て、国会の修正権を完全に奪つてしまつたのである。電力分割案のポ政令を初め、政府のたびたびの国会無視行動を非難し、国会の審議権を尊重すべしとする決議案反対したのは、実に自由党諸君であります。これでも自由党諸君は、日本人の自由を守つておる代議士と主張することができるのでありましようか。  さらにまた、自由党諸君に阿諛、追随する民主党諸君は、愛国者川上議員除名するという破廉恥な行為をあえてしておるのであります。後世の日本人が必ずや一読感泣せざるを得ないであろう愛国の言々句々を、虚偽と呼び、欺瞞とののしり、平和と独立をこいねがう日本人の心からの叫びを懲罰にしたのである。(拍手)さらにまた、わが日本共産党非合法化せんとするたくらみも、この国会の中で行われている。これは決して一共産党だけの問題ではありません。全国津々浦々、燎原の火のごとく燃え広がつている全面講和民族独立の運動を圧殺し、━━━━━━━へ有無をいわさずかり立てるためなのだ。そうして、そのために、今や国会をして、━━━━━━━━━━━━と化すべく狂奔しているのである。われわれは、かような絶対多数に毒されている国会の存続を、一日として許すことはできません。(拍手)  自由党諸君諸君は、なるほど国会では絶対多数党である。しかし、民心はすでに離反しております。諸君の絶対多数は、まさに砂上の楼閣にすぎない。(拍手)眼を全世界に向けて見たまえ。諸君の唯一の頼みとする勢力は日に日に孤立し、日に日に敗退しているではないか。(拍手)そうして、われわれの味方である社会主義勢力、人民民主主義勢力、全世界にみなぎる戰争反対の勢力、日独再軍備反対の勢力が日に日に増大しているのではないか。(拍手)停戰を討議するため北鮮軍司令官と直接交渉の用意があると言うマツカーサー元帥の声明を、諸君はどう考えるか。大陸で戰争をやれば、数百万のアメリカ青年を犠牲にしてもなお解決がつかないだろうと言つたフーヴアー元大統領の言葉を、諸君はどう考えるのか。アメリカ国防総省が対日講和を延期せよと国務省に希望したというニユースを、諸君はどう考えるのか。世界の巨大な平和勢力、戰争挑発者と断固として闘う人民の勢力を無視しては何事もできないのだということを、これは物語つているのであります。(拍手)いかなる侵略戰争も必ず敗北するのだということを、これは物語つておるのであります。(拍手)われわれは……。
  26. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 池田君に御注意申し上げます。申合せの時間が過ぎましたから、結論を願います。
  27. 池田峯雄

    ○池田峯雄君 われわれは、この人民勢力に敵対し、ますます孤立する━━━━━━━━━━━━━━━━の道を行かんとする自由党とその政府は、その追随者どもを、日本人民の名において断々固として糺彈するものである。(拍手国会解散の要求は、平和と独立を欲する全国民の要求であり、全アジア民衆、いな、全世界人民の要求である。(拍手日本共産党は、命をかけて、——命をかけて平和と独立を守らんとするその祖国愛に燃えて、この決議案支持するものであります。(拍手
  28. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ただいまの池田君の発言中、不隠事な言辞があつたようでありますから、速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。石野久男君。     〔石野久男君登壇
  29. 石野久男

    ○石野久男君 私は、労働者農民党を代表いたしまして、ただいま提案になつておりまする議会解散の決議案賛成するものでございます。(拍手)  平和と自由を要請しているポツダム宣言に反する講和構想が、自由党及びその政府とによつて国民の意思を無視して行われようとするかに見られております。反動とフアツシヨを反撃して、再建日本の確立、民主政治の確立のために国会解散を要求するこの決議案に、われわれは全幅の賛意を表するものであります。(拍手)以下、その要請の趣旨を、二、三の点をあげて申し上げたいと思うのであります。  第一点としては、吉田内閣及び自由党は、その多数を頼みとして輿論を無視しているのであつて、その失政は数多く重なつているのであります。われわれは、前の弁士と重複することを避けるのでありますが、その一つの失政として、ただいま上程されており、すでに参議院から回付案となつて来ておりまする食糧管理法の一部改正法案それ自体を見ても、すでに国民の意思を無視して、その従来掲げているところの自由政策をのみ固守しようとする自由党のその態度が、いかに国民の意思に相反するものであるかということを、はつきり示していると思うのであります。統制撤廃は、もはや国民の要望しているものではないということは、はつきりしている。それを、今なお自由党は固守しようとしているのであります。われわれは、このような輿論の実態を知らない、ただ多数の上にのみその暴力を発揮しようとする吉田内閣及び自由党は、すでにその命脈を断つているものと思うのであります。これが、まず第一にわれわれが解散を要請する理由としてあげるところであります。  また第二の点としては、自由党がその多数を頼みとして国会を無視しているという点であります。これはすでに食確法の問題、あるいは警察予備隊、あるいはまた電力再編成法案が、それぞれ国会を無視して、政令によりこれを発布されたいということの事実を見れば明らかであります。特に電力再編成の問題は、自由党の内部におけるところの意見対立をも押えて実施された結果として、今日なお多くの問題を残し、それが問題紛糾の種となつている事実を見れば、はつきりするところであると存ずるのであります。(拍手)  第三点としては、多数党の上に乗つかつているところの自由党内閣は、その内閣自体の中に、すでに大橋法務総裁にからまるところの二重煙突事件のごときもの、あるいはまた、さきに五井産業事件のごとく、また自発の含み資産のごとく、その内閣、その政党にからまるところの多くの不正の事実もあるのであります。われわれは、これはすでに国民の信託に沿わないものであると信ずるのである。  第四点としては、われわれは特にこの内閣がすでに退陣すべきであり、しかも自由党がその圧制的な力を持つところの国会の解散を要請する理由として予算がすでに軍事的性格の方向に転移しているという事実にかんがみ、自由党自体の政策は、すでに国民の信託に沿わないものであるという事実をもつてするのであります。まずわれわれは、この予算がすでに平和産業予算から軍事的予算の性格に転移している、かくあらしめた事実こそ吉田内閣の反動的、買弁的性格の上にあつたと断ぜなければならない。(拍手)われわれは、すでにこの予算が補正予算を必要とする事態に直面していること、また新たに新特需が発生することによつて、軍需産業が、日本の全産業━━━━━━━━の性格にまで転移せしめて行くというこの事実の中に、ポツダム宣言日本国憲法の目ざす自由と平和の日本が、もはや自由党の手においては確保できない、確立できないということを指摘しなければいけない。われわれは、日米経済協力あるいは貿易政策等に見られる自由党の諸政策に対して徹底的に反対するとともに、また今日これらの事態がもたらしております物価の騰貴、そうして労働者農民、中小商工業の諸君が、すでに自由党の買弁的独占資本に奉仕する政策の中に、あえなくつぶされて行くという事実の中に、この政府と、この多数党である、與党である自由党を、国民の声に訴えて再び選挙し直すところの時期に到達しておると思うのであります。われわれは、自由党の今日のその政策に対しては、すでに民心が明確に離れておると思うのである。  ことに第五点として最後に言わなければならないことは、講和問題に関するところの国民の声が、二百八十五名を制する自由党に何ら反映していないということである。われわれは、二年前の、自由党が第一党を制したあの選挙、今日講和会議が近しといかれており、しかもそれを、多数講和あるいは単独講和等をもつて、━━━━━━━━━━━の方向に推し進めて行こうとするところの吉田内閣のあり方、自由党の行き方に対して、平和日本建設、ポツダム宣言に忠実に日本民主化をはかろうとする国民の声として、この自由党政策を徹底的に排撃しなければならないと信じておる。(拍手)われわれは、ダレス会談、あるいはまたその会談の中に秘められておる秘密外交の性格を、まさに国民の名をもつて排撃しなければならぬ。人民大衆がこれに徹底的に反撃しているちまたの声を、国会の中に反映させなければならないと信じておるのである。  われわれは、先ほど自由党反対討論に立たれた同僚議員倉石君の、ふまじめきわまるところの反対討論に対しては国会無視態度をその中に見るのであつて、これには徹底的に反対するものである。(拍手)このような議会勢力の代弁者を、徹底的に国民の名において抹消しなければならぬとさえ思つておる。私たちは、このような意味において、今こそ国民に、今日の国会がはたして信を得ておるかどうかということを問う必要があると信じておる。このような意味において、社会党の提案になる国会解散の決議案に対して全幅の信頼を與えるものであり、賛成するものであります。  以上をもつて労働者農民党の本案に対する賛成趣旨弁明といたします。(拍手
  30. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案に賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  31. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立少数。よつて三宅正一提出衆議院解散に関する決議案は否決せられました。(拍手)      ————◇—————
  32. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第三は、提出者より委員会審査省略の申出があります。右申出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程第三、吉田外務大臣不信任決議案議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。米原昶君。     〔米原昶君登壇
  34. 米原昶

    ○米原昶君 私は、日本共産党を代表して、わが党の提案した吉田外務大臣不信任決議案趣旨を述べるものであります。  まず決議案の案文を朗読します。    吉田外務大臣不信任決議  衆議院は、外務大臣吉田茂君を信任せず。  右決議する。  今、日本国民が最も心配し、不安に感じておることは、日本が戰争に巻き込まれるかどうか、はたして平和が保たれるかどうかという点であります。(拍手日本の外務大臣たるものは、この国民の心を心として、何よりも戰争を防止し、平和を守る政治を命にかけても遂行し、国民の負託にこたえなければなりません。(拍手)  思うに、今日の世界政治は、米ソ両陣営、二つの態勢の存在を前提としております。世界の平和は、この二つの陣営の合意と協調によつてのみ保障されるのである。(拍手)これがカイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言並びに国連憲章を貫く根本精神であり、嚴然たる国際的最高規範であります。(拍手)この精神を尊重する限り、当面する日本講和條約は、この二つの陣営、すなわち一方ではソ同盟及び中華人民共和国、他方では米英両国、これら四大国の合意と協調による全面講和でなければならないことは当然である。(拍手)  しかるに吉田外務大臣は、すでに久しきにわたり、国民の総意を踏みにじり、国際條約を無視し、ひとえに特定国との單独講和の方針を進めて来たのであります。(拍手)すなわち、事実上軍事基地の建設に協力し、軍需産業を復活し、遂に国連協力の名のもとに、実質上朝鮮内戰に参加したのである。(拍手)そのこと自体すでに指彈され、彈劾さるべきであります。(拍手)ことに、さきのダレス氏来朝にあたり、吉田外務大臣は、外交は秘密であるのが本体であると公言し、国民の総意を無視し、かつてに驚くべき取引を行い、国民を侮辱し、世界をあざむいたのである。(拍手)その事実は、今や世界の目の前に次々と暴露されつつあります。(拍手)  ポツダム宣言によれば、日本責任ある政府が樹立されたならば、全占領軍はただちに日本から撤退すると規定されておる。(拍手)また極東委員会の対日諸決定は、日本に、いかなる軍事力の存在も認めておりません。まして日本が民主化され、講和條約が締結されたあかつきに外国軍隊の駐屯を許すことは、いかなる国際諸決定も容認せざるところであります。(拍手)しかるに吉田外務大臣は、アメリカの駐兵を日本国民の大多数が心から歓迎しておると称し、これをダレス氏に約束することにより、内外をあざむき、くまでも国際諸協定を無視する意図を明らかにしたのであります。このような侮辱的取引を、一体日本国民が、いつ吉田外務大臣にまかせたことがあるか。そんな事実は断じてありません。今や国民の大多数は、全面講和締結と、全占領軍のすみやかなる撤退を心から望んでおるのであります。(拍手)  さらに日本国民として憤激おくあたわざる事実が、三月十九日の各新聞紙上に一齊に報道されております。すなわち、講和アメリカ軍の日本駐屯に関連してとりきめると称する日米安全保障協定内容が、吉田外務大臣のもとで、ひそかに準備され、それが暴露されておるのであります。それによつて日本は無償でアメリカ軍事基地を提供し、その基地は、将来いくらでも拡張できる。日本人の土地や建物をいくらでも接收できる。これに従わない日本人は処罰されるのであります。これに反し、アメリカの軍人軍属に対する裁判権は日本側にはないのである。アメリカの軍人軍属とその家族は、自由に日本国内に出入し、関税もかからずに物資を持ち込み、それどころか、所得税も住民税も一切かけない。実に驚くべきとりきめを吉田外務大臣はたくらんでおるのであります。  このようなとりきめが、はたして実現されるとすれば、日本は一体どうなるか。かつて日本は満州国の独立を承認すると称して日満議定書なるものをつくり、共同防衛の名のもとに駐兵権を押しつけた事実がある。なるほど、満州国は紙の上では独立した。しかし、その独立は傀儡政権の樹立であり、完全なる植民地化と、大陸侵略の足場であつた。そのために満州国の人民のなめた悲惨と苦悩がいかなるものであつたかは、吉田外務大臣は知らぬはずはあるまい。(拍手)しかるに吉田外務大臣は、日本人民に、かつての満州の人民の運命を押しつけようとしておるのである。日本国民は、断じてこのような取引を許すことはできない。われわれは、かかる外務大臣を信任し得ないのであります。こういう吉田外務大臣のことであるから、対日講和に関するアメリカ講和原則を、国民の総意を無視して、かつてほうだいに承認し、さらにおこがましくも、他の連合国に対し、これを承認すべきことを慫慂しておるのであります。  そもそもこの七原則に対しては、すでに中ソ両国から、対日講和條約に関する国際協定に違反するものとして、重大なる反駁と抗議の意思が表明されておることは、周知の事実であります。ソ同盟マリク国連代表は、昨年十一月二十日付の対米覚書において、この七原則に対し、質問の形で、はげしく反駁しております。第一にマリク氏は、これはアメリカ単独講和をやるつもりであると非難しておる。第二にマリク氏は、これはアメリカがカイロ宣言、ヤルタ協定の決定を無視して領土の問題をむし返し、これを隠れみのにして、琉球と小笠原を日本の領土から切り離そうとする、領土拡張の野望であると攻撃しておる。(拍手)第三にマリク氏は、これによつてアメリカ講和後にも軍隊の駐屯をたくらんでおると追究しておるのであります。さらに中華人民共和国の周恩来外交部長は、昨年十二月四日の声明の中で、アメリカの七原則をまつこうから反駁し、日本アジア人民に対するその野望を暴露しておるのであります。中華人民共和国の参加せぬ対日講和は非合法かつ無効なものであると宣言しておるのであります。(拍手)  これに対し吉田外務大臣は、とらの威をかるきつねのごとく、不遜にも、去る二月二十二日の参議院予算委員会において、日本が單独講和締結した場合、ソ同盟あるいは中国が駐兵を主張すれば、あくまで自衛権を発動する、と公言しました。これは一体日本の外務大臣に許される言葉であるか。これこそ連合国に対する反抗であり、まさに━━━━━━━━━━━━にもひとしい。(拍手)吉田外務大臣、終始一貫、講和問題に対しては言を左右にいたし、あるいは仮定の問題には答えないと答弁しながら、今日みずから進んで、遂に━━━━━━━━━━━單独講和の正体を国民の前に暴露したのである。(拍手)この外務大臣であるからこそ、━━━━━━━━━━━━━━━━━日本産業と経済をあげて戰争の犠牲にしておるのであります。その端的な現われが、さき中日貿易の禁止であり、さらに今回の緊要物交輸入基金特別会計及び外国為替資金特別会計の設置である。これは明らかに侵略のための軍需資材を輸入し、軍需物書を李承晩、蒋介石、バオダイ等に提供するために日本国民を犠牲にするものでなくて何でありましよう。(拍手)吉田外務大臣の眼中には、ただ、━━━━━━━━━━━━━民族の利益も人民の幸福も彼の眼中にはないのであります。(拍手)  私は繰返して言うが、日本人民はあげて戰争をのろい、ひたすらに平和を念願しておるのであります。日本は、いまだ戰争の創痍いえず、戰禍は復旧しておりません。ことに、百方を越える戰争未亡人や多数の孤児はそのままに放置され、傷痍軍人、ちまたに彷徨しております。この━━━━━━━━━にさらそうとするのが吉田外務大臣である。(拍手)かかる無謀、冷酷きわまりなき外務大臣の存在は、一刻も許すことができません。  以上の理由により、わが党は、日本人民の名において、吉田外務大臣の即時退陣を要求するものであります。(拍手
  35. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) ただいまの米原君の発言中にも不穏当の言辞があつたようでありますから、速記録を取調べの上、適当な処置をとることといたします。  これより討論に入ります。本間俊一君。     〔本間俊一君登壇
  36. 本間俊一

    ○本間俊一君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となつております外相不信任決議案に対し反対討論を試みんとするものであります。  提案者は、第一の理由として秘密外交主義をあげておりますが、新憲法によつて外国との間の條約及び協定は国会の承認を必要とすることになつておりますから、秘密外交主義という原則は、すでに打破られておるのであります。過般の吉田ダレス会談にいたしましても、双方からそれぞれ声明が発表され、本議場においても吉田総理兼外相から報告を聴取し、質疑応答がたびたび繰返されておりますから、現内閣の対外方針は明瞭であります。     〔副議長退席議長着席〕 国際間の誓いは、いろいろの経緯を経て実を結ぶものでありますが、ここに至る道程を一々公表することは、各方面にさしさわりを生ずることが多いのであります。従つて従来も、有名なヤルタ会談とか、ポツダム会議とか、その他種々の重要な国際的の会議が行われましたが、その会談の内容が一々公表されたという例は、いまだ一つもございません。ただ、その結果がある結論に達し、または成果を得た場合に、これがコミユニケなどの形で発表されるのでありまして、これは国際間の常識であります。この常道を守つて、国際的の信義にもとらない限度で、できるだけ国会国民報告をして参つた吉田外務大臣のやり方に対し、秘密外交主義などというがごときは、まことに理由なき言いがかりといわなければなりません。(拍手)一体、秘密主義の本家は共産党諸君でありましよう。秘密の御利益を妄信し、これを金科玉條としている諸君が、他人を秘密主義などと攻撃する資格が、一体どこにありますか。(拍手)笑止千万なりといわなければなりません。  第二の理由は、講和問題の処理に関し国民大多数の意見を無視しているというのでありますが、日本には共産党以外の国民はいないという錯覚を起しておるらしい。かようなことを正気で言つているとすれば、なるほど共産党は、精神鑑定を必要とする要注意人物ばかりだということになるわけであります。(拍手)  米原君は、声を大にして全面講和を主張いたしましたが、全面講和は、われわれも希望するところであります。さきダレス特使の来訪に上つて確認されたのでありますが、アメリカ講和方針は、いわゆる対日七原則に集約せられております。その七原則によれば、新しい通商條約まで、日本は最恵国待遇を受ける、締約国は、戰争行為によつて生じた要求を放棄する、紛争は特別中立裁判所で解決するとなつており、しかも締約国は、対日交戰国で、意見の一致を見た基礎のもとに進んで締結の意思あるすべての国々となつておりますから、ソ連邦を故意に除外いたしておりません。従つて、ソ連邦がこの七原則を承認し、進んで講和條約を締結する決意をしてくれれば、初めて全面講和は可能となるのであります。  われわれは、全面講和もけつこう、できなければ、多数講和またけつこうという、きわめて幅の広い方針を立てておるのであります。共産党諸君が、もし真に全面講和を熱望するならば、ソ連邦に向つてこそ、七原則を承認し、対日講和に参加するよう要請すべきものであります。(拍手)いくら日本政府を責めても、相手次第でありますから、どうにもならないことでありまして、これはお門違いなりといわなければなりません。もつとも、共産党諸君が、全面講和でなければならぬを主張して、多数講和の成立を妨害せんとするのは、ようやく高まつた講和を機運を冷却せしめ、わが国を永久に占領下にとじ込めて、対米感情の悪化を策しつつ日本の孤立化を企図しておることは、もはや明々白々なりといわなければなりません。(拍手)  さらに米原君は、しきりと多数講和は戰争をする準備なりと欺瞞宣伝を試みておりますが、講和締結は戰争状態に終止符を打つことであり、平和と国際的対等の地位を招来することを意味するのであります。軍備のない、まる裸の日本が、どこの国と平和な国交を回復したからといつて、それが戰争への道だという結論が一体どこから出て来るのでありましようか。さような道理は、三歳の童子にも明らかなところであります。しかるに、この平和の道をとらえて戰争への道なりというに至つては、これこそ白を赤なりという共産党一流の独断なりといわなければなりません。(拍手)  そもそも世界に戰争の種をまいているのはだれであるかは、明らかなる事実が雄弁に物語つております。いわゆる冷い戰争はいつから始まつたかといえば、第二次大戰の末期、ポツダム会議のときから始まつたのであります。国際共産主義者が━━━━━━━をたくましゆうし、その武力を背景として、世界各地の共産分子を━━━━ながら衛星国家をつくりあげ、その勢力を拡張してやまないところに今日の戰争不安がかもし出されておるのであります。もともと、国家がその軍備を強化することも、これを縮小することも自由でありましよう。それ自身は非難さるべきではありません。ただ、これが侵略戰争を━━するところに問題があるのであります。侵略戰争こそは、今日絶対に排撃しなければなりません。侵略する者さえなければ戰争は起らないのであります。朝鮮の戰争は、だれが起したのでありますか。武力をもつて白晝堂々と南鮮に侵入したのが共産軍でありますることは、明瞭なる事実であります。(拍手)国際共産主義者が、あえて侵略戰争を遂行しておきながら、これを朝鮮の統一などと、へりくつを並べておりますが、これは盗人にも三分のりくつあるのたとえの通り、赤い覆面をかぶつた国際的強盗の三分のへりくつなりといわなければなりません。(拍手)  さらに、われわれは忘れてはおりません。一九四五年八月、日本の戰力がすでに崩壊し、降伏のあつせんを依頼しておるとき、中立條約を破つて日本に官職布告をし、満州に侵入したのは、どこの軍隊であつたのでありましようか。(拍手)弱いときに、弱いところに仮借なく侵略の手を伸ばすのは、━━━━━━━━の常套手段でありますることは、今や国際政治の常識と申さなければなりません。(拍手共産党諸君が、厚顔無恥にも平和を口にするなら、あなた方の同志である国際共産主義者に向つて、侵略の意図を放棄すべしと叫ぶべきでありましよう。しかるに、現実に朝鮮で侵略戰争を起しておきながら、他方において戰争反対なりというがごときは、欺瞞そのものなりといわなけれねばなりません。(拍手)かかる侵略の脅威に備えて。われわれも戸締りを嚴重にいたさなければなりません。しかるに、共産党諸君占領軍の即時撤退を叫ぶのは、日本という、まる裸の赤ん坊を孤立せしめ、━━━━━━━━━━にしようとする陰謀以外の何ものでもありません。(拍手)かかる手は、もう古い。われわれは、朝鮮事変が教える教訓を忠実に守らんとするものであります。  第三の理由として、中国貿易の禁止を攻撃いたしておりますが、商売はお得意先の多いことがいいことは自明のことであります。従つて、中国貿易はある方がいいにきまつております。しかし、隣に━━━━━━が押し入つて、それをだまつて見ておるわけには参りません。秩序と平和と正義を尊重するわが国が、自分の安全のためにも進んで国連に協力することは、最も当を得た方策でありまして、戰略物資の輸出を禁止することは、政治上やむを得ない措置であります。われわれは、隣邦朝鮮における戰闘が一日も早く終結することを切望してやみません。日本共産党が、文字の示す通り日本人でありまするならば、これを非難するのは当らないのであります。  次いで共産党諸君は、占領軍がその必要から種々の施設をしておるのを誇大に宣伝しておりますが、降伏文書によれば、日本政府及び国民は、占領軍施設について協力をする條約上の義務を持つておるのでありまして、何が必要なる施設かは、占領軍当局がこれを決定するのでありますから、これに協力するのは当然であります。国際社会の一員に復帰して、今後自国の運命を開かんとする土が国の外務大臣が、條約なり協定を忠実に守るのは当然のことでありまして、こうも非難さるべきことではありません。これをとらえて侵略の軍備なりというがごときは、牽強附会もはなはだしきものなりといわなければなりません。(拍手)  次に再軍備のことについて一言いたしたい。再軍備は、講和條約ができ上り、わが国の主権が完全に回復し、独立を達成した後において、国民が十分に考慮し、処置すべき問題であるというのが、現内閣の当面の方針であります。しかるに、これと関連して、日本は人的資源を職場に提供するかのごとき事実無根の虚構をつくり上げて、これを宣伝いたしておりまするのは、共産党特有のデマ宣伝なりといわなければなりません。(拍手)一体、わが同胞を拉致し、抑留し、今なお三十余万の同胞を帰還させないのは、これこそポツダム宣言の明らかな違反であります。わが同胞を帰さないのを非難して——これにいろいろと口をさしはさみますのは、一体何を意味するのでありましようか。日本の国籍を有していながら、心はすでに某国に通ずる第五列という事実を証明するものといわなければなりません。(拍手)これを要するに、共産主義者の特徴は、口で言うことと腹とがまるで違つておるということでありまして、全面講和といい、占領軍の即時撤退といい、軍事基地反対といい、これらはすべて、わが愛してやまない祖国を孤立化し、裸にし、━━の前にこれを供さんとするたくらみから出ておりますることは、国民の大多数がすでに道破しているところであります。  私は、ここに不信任の理由を一々反駁し、共産党が、国会における言論の自由をかさに着て、事実を故意に歪曲し、謀略宣伝の具に供しておるものであることを明らかに指摘いたしたのでありますが、かかる虚構と欺瞞は、国民とともに徹底的に糾彈しなければならないものと信じます。今日の時局は、まさに非常の時であります。この難局を切り抜けるのは、尋常一様のことではありません。大局を案じて果断、毀誉褒貶を度外視して責任を重んじ、自分の信ずる道を断固として邁進する勇気と決断が不可欠の要件であります。泰平時の宰相とはその性格を異にしなければなりません。信義を守つて一歩も讓らぬ、剛気果断の吉田首相兼外相こそ、今日の日本が最も必要とする人物でありますことは、大多数の国民がひとしく認めるところであります。(拍手共産党の不信任こそ政府の方策の正しき何よりの証左でありまして、国民の大多勢の信任をますます高めるものでありますことを断言いたしまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手
  37. 林讓治

    議長(林讓治君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします、本案に賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  38. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立少数。よつて河田賢治君外二十五名提出吉田外務大臣不信任決議案は否決せられました。(拍手)      ————◇—————
  39. 林讓治

    議長(林讓治君) 日程第四、競馬法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員会理事野原正勝君。    〔野原正勝君登壇
  40. 野原正勝

    ○野原正勝君 ただいま議題と相なりました、小笠原八十美君外十七名提出競馬法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会の審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。  現行競馬法によりますと、競馬を開催することのできますのは政府、都道府県及び指定市町村となつておるのでありまするが、地方競馬場所在市町村につきましても、地方財政委員会が適当と認めましたものは、一般指定市町村と同様に、年二回以内の開催ができるようにいたしまして、地方公共団体の財政改善と、健全娯楽の振興に資したいというのであります。  本法案は、昨年二十八日付託と相なり、提案者を代表して小笠原八十美君より提案理由説明がなされたのであります。本法案は、地方公共団体の財源の確立強化をはかることが目的でありまして、この趣旨につきましては、各委員ともに異論がございません。また地方林政委員会が指定いたします場合、当該公共団体の財政状況及び地方競馬の開催状況等を十分勘案いたし、いやしくも新たに指定を受けました市町村が、競馬の開催によりまして財政上の均衡を失したり、または競走馬に支障を来たすことのないようにいたしたいというのでありまして、これまた別に異存もございませんので、自由党宇野委員の発議によりまして質疑及び討論は省略いたし、ただちに採決いたしましたところ、原案の通り可決すべきものと議決いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  41. 林讓治

    議長(林讓治君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  42. 林讓治

    議長(林讓治君) 起立者多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  43. 林讓治

    議長(林讓治君) 日程第五、不動産登記法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長安部俊吾君。     〔安部俊吾君登壇
  44. 安部俊吾

    ○安部俊吾君 ただいま議題となりました不動産登記法等の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  不動産登記制度が権利の保護と取引の安全をはかる上にきわめて重要な機能を営んでおりますことは申すまでもないところでありますが、現在の登記簿は用紙の加除ができないことになつております関係上、一個の不動産に関する登記が数冊の登記簿にわたつてなされる等、登記の手続が複雑となり、登記簿の閲覧や、事務の取扱いに多大の不便があります。それとともに、他方において、各不動産の登記事項に関係なく、常に一定の用紙を編綴することになつておりますため、現に使用中の登記薄には、全然記載のない用紙が約三割にも達している状況であります。本案は、これらの点を改善するため、登記簿をバインダー式の帳簿とし、必要に応じて用紙の加除ができるように登記簿の様式及び調製方法を改め、もつて登記手続の簡略化と用紙の節約をはかることを主眼といたしまして、所要の改正を行おうとするものであります。  そこで、本改正案の要点を簡単に申し上げますと、まず不動産登記法につきましては、登記簿には枚数の記載及び契印を要しないものとしたこと、登記番号、登記簿の見出帳、共同人名簿、登記用紙の継続用紙をそれぞれ廃止したこと、閉鎖した登記用紙は閉鎖登記簿に編綴することとしたこと、不動産の表示の変更の登記を申請する場合には、申請者にその不動産に関する所有権以外の権利の登記名義人の承諾書、またはこれに対抗することができる裁判の謄本を添付することを要しないものとしたこと等であります。次に、工場抵当法及び立木に関する法律の改正におきましては、登記に関係のある二、三の規定につき、不動産登記法と同趣旨の改正を加えましたほか、立木に関する法律中、所有権保存登記の申請に関する規定に不備がありますので、その整備を行うことといたしました。  本法案は、三月二十八日、委員会本付託となりましたが、委員より、登記簿をバインダー式にすることによつて登記用紙が紛失したり、または故意にこれを破棄するようなことも考えられるが、その心配はないかという質疑がありましたのに対し、政府から、各帳簿には施錠するようにできているので、その心配はないという答弁がありました。  次いで討論省略、採決の結果、本案は全会一致、政府原案通り可決された次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  45. 林讓治

    議長(林讓治君) 採決いたします。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議ないと認めます。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  47. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  48. 林讓治

    議長(林讓治君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  49. 林讓治

    議長(林讓治君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)を議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長小坂善太郎君。     —————————————     〔小坂善太郎君登壇
  50. 小坂善太郎

    ○小坂善太郎君 ただいま議題となりました昭和二十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)につきまして、その内容及び委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本補正予算は、今回設立を予定せられておりまする日本開発銀行に関するものでありまして、去る二十七日予算委員会に付託せられたのであります。  この予算に計上せられておりまするのは同銀行の事業損益のみでありまして、資金の貸付回收、余裕金の運用等は收入支出の予算外で経理いたすことになつております。收入は、貸付金利息、余裕金運用利息及び雑收入等を合せまして五億二千六百余万円、支出は、役職員の給與その他の事務費等八千五百余万円、予備費四千万円、合計一億二千五百余万円であります。なお同銀行の資本金は、米国対日援助見返資金特別会計から百億円を出資されることになつております。さらに同銀行は、復興金融金庫の解散に伴いまして、その債権債務を承継することとなり、復金の回收金は、一般会計よりの出資金として逐次資本金に繰入れられることになつております。  この補正予算は、確かに金額においては比較的小さなものでありますが、開発銀行設立の意義はきわめて大きなものがあると思われるのであります。御承知の通り、今日におきましては、旧特殊銀行が普通銀行に転換いたしておりまして、さらに復興金融金庫がその貸付業務を停止しておりますから、長期金融をもつぱら行う金融機関がないのであります。日本開発銀行は、この金融機構の盲点を是正する役割を果すものと思われます。     〔議長退席、副議長着席〕 すなわち同行は、商業的採算に乘りにくい設備資金の需要に対して、直接融資または協調融資の方法によつて資金の供給を行い、さらに普通銀行の長期的貸出しを肩がわりして、その長期金融業務を補完し、普通銀行をして商業銀行としての業務を遂行せしめんとするものであります。さらに、証券業者等が応募または引受けの困難な社債を買い入れることによりまして、過剩な社債発行による起債市場への圧迫を軽減いたさんとしております。かかる開発銀行の設置によりまして、わが国の金融機構の再編成はその緒についたものと考えられるのであります。ここにおきまして、商業金融、貿易金融、不動産金融、商業的採算に乘る長期金融等それぞれの担当金融機関のあり方は、十分にここに明らかにされたものといわねばなりません。従つて、財政資金の動員と、商業的採算に乘らない長期投資を目的とする開発銀行の設置は、証券市場を含む全金融市場機構の整備について重要なる示唆を投げたものといわなければならぬと思うのであります。  予算委員会におきましては、本案につき二十八、二十九の両日にわたり質疑を行いましたが、その詳細につきましては、これを会議録に譲ることといたします。  これにて討論に入り、自由党国民民主党日本社会党の各代表よりそれぞれ本案に対し賛成日本共産党労働者農民党代表よりおのおの反対討論が行われました。次いで採決いたしました結果、多数をもつて原案の通り可決いたしました。  かくのごとく、本補正予算に対しまして自由党国民民主党日本社会党の三大政党が一致して賛成したのでありまして、このまれに見得る事実は、日本開発銀行に対する国民の期待がいかに大きいかを裏書きするものと考えるのであります。かかる期待に沿うためにも、同銀行の業務運営等につきましては、たとえば特別の監査機関を設けて運営の適正化をはかれとの意見もありました点にもかんがみ、真に日本経済の再建に寄與するよう、適正にして効率的な運営が行われますることを要望いたしまして、委員長報告を終る次第であります。(拍手
  51. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 本件につき採決いたします。本件委員長報告は可決であります。本件委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本件委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  53. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  54. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員会理事田中角榮君。     〔田中角榮君登壇
  56. 田中角榮

    ○田中角榮君 ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びにその結果について御報告を申し上げます。  まず、本法案を政府が提出するに至りましたおもなる理由を申し上げます。昭和二十五年度は、一昨年シヤウプ氏の勧告の次第もありまして、公共土木施設の災害復旧事業は、合理的なる恒久的負担制度を確立するまでの暫定措置といたしまして、とりあえず全額国庫負担の特例を設け、実施して参つたのであります。その間、地方行政調査委員会議において、シヤウプ勧告を基礎として恒久的制度を調査審議の結果、昨年十月、国会及び政府に対して、これに関する勧告が提出せられたのであります。政府はこの勧告を尊重いたし、地方の財政能力に即して災害のすみやかなる復旧をはかり得る復旧費の、国家財政の実情を勘案しつつ、国と地方との間における負担関係を合理的に調整したのが本法案であります。  次に本法案の大要について申し上げますと、第一に、災害復旧は施設の原形に復することを原則とし、それが不可能な場合においては、当該施設の従前の効用を発揮するための施設をすることと、かつ原形に復旧することが著しく困難または不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設をすること、すなわち、いわゆる超過事業をあわせ行うことができるものといたしたのであります。また一箇所の工事費は、二十五年度の特例通り十五万円以上としております。   第二に、国庫の負担率は、各地方公共団体の一箇年の災害復旧事業費の総額を当該年度のその団体の普通税の標準税收入見込額と比べて、その二分の一までは三分の二、その二分の一を越え二倍までは四分の三、それ以上は全額をそれぞれ国庫が負担するというスライド方法により、個々の地方公共団体の財政力に適応して算定することとしております。なお昭和二十五年以前の災害、すなわち過年度災害による復旧事業で、主務大臣が決定した国庫負担金の未交付分については、昭和二十五年度の標準税収入を基礎として、各年の災害復旧事業費の総額ごとに負担率を決定し、残事業費の負担をせんとするものであります。  次に本委員会におけるおもなる質疑応答を申し上げますと、第一に、本法案第二條に規定する原形復旧に関する解釈の問題であります。これについては、原形復旧を原則とするが、次のような場合も原形と考え、これを復旧することも考慮に入れる旨の当局よりの答弁がありました。すなわち一、原形の判定が不可能な場合、すなわち水制の形状、橋梁、護岸等の基礎根入れの深さ等が流失によつて判定ができない場合には、その施設の従前の効用を発揮するまでの施設を原形とみなす。二、原形の判定はできるが、原形のみの復旧ではその効用を発揮し得ないものは、その効用を発揮するまでの施設を原形とみなす。三、文字通りの原形に復旧することが技術的に不可能な場合、すなわち基礎地盤の変化により根入れが変化してしまつたような場合、あるいはのり面崩壊の場合の、のり勾配の緩和等の場合、従前の効用を発揮する施設を原形とみなす等の、きわめて注目すべき答弁がありました。  第二に、昭和二十六年度成立予算においては、災害復旧費の国庫負担率は三分の二として計上してあるが、本法案は、三分の二から全額の間を、その地方の税収と関連してスライドさせるようにしたため国庫の負担額は増大する結果となるが、その超過分について予算的措置を考えているかとの質問に対しまして、建設大臣は、極力事業量の減少しないように考慮するとともに、財政関係者に大臣として予算的措置をするよう要望しているとの答弁があつたのであります。  第三は、内地は国庫の負担率は三分の二から逓増しているのに、北海道のみ五分の四から逓増しているのは不都合ではないか。すなわち全国一律であるべきではないかとの質問に対して昭和二十四年以前まで適用されていた府県土木費国庫負担に関する法律においては、内地は三分の二、北海道は五分の四の国庫負担になつてつたので、本法案においても、それぞれ従前の三分の二、五分の四からスライドするとの答弁があつたのであります。  次いで討論に入り、自由党を代表して淺利三朗君より、災害頻発に対処し、地方の標準税収入額に応じたスライド制を設けた本法案は妥当である、但し、附則第三項における北海道に対する「当分の間」の特別措置は、できるだけすみやかな機会に全国一律の補助ですることができるよう善処してほしいとの希望意見を付し、賛成討論があつたのであります。国民民主党を代表して村瀬宣親君、日本社会党を代表して佐々木更三君、日本共産党を代表して池田峯雄君、農民協同党を代表して寺崎覺君よりそれぞれ、地方財政の現状にかんがみ、全額国庫負担法撤廃は時期尚早である旨の反対討論がありました。次いで採決の結果、多数をもつて可決されたのであります。  以上、簡単に御報告申し上げます。(拍手
  57. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。村瀬宣親君。     〔村瀬宣親君登壇
  58. 村瀬宣親

    ○村瀬宣親君 私は、国民民主党を代表して、ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案反対の意を表明するものであります。  昨年、政府は災害復旧事業費全額国庫負担の法律提出せられ、地方財政を充実安定させるためには災害復旧事業費を全額国庫負担とするの必要なるゆえんを力説せられたのであります。その後においても、激甚なる災害の頻発により、地方財政の窮迫は日を追うてはなはだしく、現状のまま放任するときは、地方財政は破綻するのほかなき状態にあるのであります。しかるに本法案は、地方公共団体の財政力に適応するよう国の負担を定めるという目的をもつて提出せられたのでありまするが、地方公共団体の財政力は、決して昨年よりもゆたかになつておらないのみならず、年を追うて窮迫の度を加えているにもかかわらず、昨年度全額国庫負担であつたものが、今年度から工事費の三分の一ないし四分の一を地方公共団体に負担せしめるということは、その改悪のはなはだしさに驚かざるを得ないのであります。(拍手)もちろん私は、地方公共団体の財政がゆたかになり、その標準的な行政事務の遂行を著しく妨げられない程度において災害復旧費の一部を負担することは至当であると存じまするが、昭和二十六年度予算においては、地方財政委員会が最小限千二百九億円の平衡交付金を支出すべきであると要求したにもかかわらず、わずかに一千一百億円を計上しているにすぎず、さらに起債のわくについても、地方財政委員会の要求額六百十五億円に対し、わずかに四百億円を認めているにすぎない状態であります。  昨年政府は、地方税法、平衡交付金制度、災害復旧費全額国庫負担、事務再配分、起債のわくの確保という五本の柱をもつて地方財政を強化し、地方自治の基盤を確立すると言明したのでありまするが、他の四本の柱を強化することなく、災害復旧費全額国庫負担という重大なる柱を取除くことは、地方自治を倒壊に導くこととなるのであつて、地方公共団体は、二十六年度予算の編成に窮した余り、あるいは三箇月の暫定予算を組み、あるいは六箇月の骨格予算を編成するなど、前途の見通し暗澹として、各所に責任問題を惹起しつつある今日、全額国庫負担をやめて、災害復旧費の三分の一ないし四分の一を地方に負担させ、それが地方公共団体の財政力に適応するように改正したのだと放言するに至つては、地方住民を愚弄すること、これよりはなはだしきはないと存ずるのであります。(拍手)  さらに、本法案の内容を検討するとき、災害額の大きさにより、国庫負担の率を三分の二、四分の三、四分の四の三段階にわかつているのでありまするが、この負担率には何らの科学的根拠もなく、地方公共団体の財政力に適応させるためには、これを四分の三、五分の四、五分の五とすることが一層合理的であり、また国庫負担のスライドの限界を、標準税收入の二分の一ないし二倍の線に置いておりまするが、これも一倍の線に置くのが一層実情に合致する方法であります。ことに災害にかかつた施設を原形に復旧することが技術上、経済上困難または不適当な場合、これにかわるべき必要な施設をなしたとき、その超過工事費については、従来三分の二まで国庫において負担いたしておつたものが、本法案によれば、わずかに二分の一を国庫において負担するという改悪が行われておるのであります。(拍手)  最後に政府は、本法案は地方行政調査委員会議の勧告を尊重して提案したと言つておられまするが、地方行政調査委員会議は、災害復旧の完成年度を三年に限定すること及び予算の計上方法、特別会計の新設等についても、勧告しているにもかかわらず、政府は時期尚早としてこれを採用しておらないのでありまするが、地方財政を崩壊の危機に瀕せしめたるまま、昨年実施した災害復旧費全額国庫負担を廃止することは、これこそ時期尚早であつて、真に地方財政が弾力性を持ち、地方自治の基盤が確立せられるまで災害復旧費の全額国庫負担を継続すべきものと存ずるのであります。  以上の理由により、わが国民民主党は本法案に反対するものであります。(拍手
  59. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 瀬戸山三男君。     〔瀬戸山三男君登壇
  60. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山三男君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案につきまして賛成意見を表明するものであります。  諸君御承知の通り、わが国は、地勢及び気象の関係からいたしまして台風その他によりますところの天然災害がきわめて多く、ことに終戦後におきましては連年甚大なる被害を受けまして、さなきだに乏しい国土資源に莫大なる損害をこうむり、政府といわず、地方公共団体といわず、これが復旧並びに防除については並々ならぬ苦労と努力を続けておるのであります。わが自由党及び現吉田内閣といたしましては、深くこの点に思いをいたしまして、これら災害の復旧はもちろん、さらに進んで災害予防の見地から治山治水の完璧を期し、もつて国土の保全と開発をはかることを政策の根本要素として最大の努力を続けておる次第でありますが、いかんせん、貧弱なる現下わが国の財政経済のもとにおいては思うにまかせないことは、まことに遺憾とするところであります。  本法案は、天然現象によつて生じまする災害のうち、河川、道路その他いわゆる公共土木施設の災害の復旧に関しまして、国と地方公共団体との復旧費の負担割合につき、地方公共団体の財政力に適応するように国の負担割合を定めまして、災害のすみやかなる復旧をはかり、もつて公共の福祉を確保しようとするものでありますが、従来公共土木施設の災害復旧につきましては、明治四十四年制定せられました都道府県災害土木費国庫負担に関する法律によりまして、北海道につきましては復旧費の五分の四、つまり八割、北海道を除く他の都府県につきましては、一律に三分の二を国庫が負担することに相なつておりましたが、昭和二十五年度におきましては、御承知の通り地方税法の大改正がありまして、地方財政の状況から見、またシヤウプ勧告もありました関係から、試みに一年を限つて一律に全額国庫負担といたして参つたのでございます。  全額国庫負担によつて災害を一挙に復旧することができますならば、これに越したことはございませんが、現下わが国の財政状況下におきましては、年々数百億、過年度災害千数百億というのでは、とうてい言うべくして行えない実情であります。のみならず、災害の復旧につきましては、地元であり、事業責任者である地方公共団体にその一部を負担させますことが、工事に責任を持たせる意味合いからも、かつまた一日も早く復旧を要しまする工事の分母を増す上からも、まことに適切なる措置であると考えるのであります。この点につきましては、ただいま反対意見を述べられました民主党諸君といえども、必ずや同感を禁じ得ないであろうと拝察いたすのであります。さらにまた、全国一律に三分の二を国庫が負担するということは、地方公共団体の財政力の強弱、災害の度合いから考えて、必ずしも適切な措置ではございません。  そこで本法案は、以上の二つの方策を改めまして、地方公共団体の財政力と災害の額とかみ合せまして、従来の誤りを正さんとするものであります。すなわち、各地方公共団体の災害復旧事業費がその地方公共団体の標準税收入の二分の一に相当する額までは国庫は三分の二を負担し、二倍に相当する額までは四分の三、二倍を越える額については全額を国庫が負担しようとするのであります。いわゆるスライド制をとつた、最も合理的なものであるといわなければなりません。もつとも北海道に関しましては同地方の後進性にかんがみまして、かつまた従来の負担額より減らすことは適切ではありませんので、北海道に関する限り、従来通り当分の間国庫負担額の最低を八割といたしておりますが、この点も当分の措置として適切なものであると考えるのであります。  以上のごとくでありまして、本法案は妥当なるものとして賛成するものでありますが、野党各派の諸君が本法案に反対されるのは、災害復旧を不必要と言われるのではございますまい。全額国庫負担を主張するがゆえに本法案に反対だと申されるのは、国家財政の現状に対する認識を欠かれるか、あるいはまた、ことさらこれを無視して、全額国庫負担の美名のもとに国民の機嫌をとらんとする、きわめてふまじめなる党略だという感じを禁じ得ないのであります。(「その通り」)現下、日本の財政経済の実態に沿いまして、まじめなる政治を、じみにやつて行こうというわが自由党は、本法案に満腔の賛意を表するものであります。  ただ最後に一言——災害復旧をすみやかにする必要があることは全国民の要望であります。政府は、財政上さらにくふうと努力を重ねて復旧費を増額し、国民の要望にこたえられんことを要望して、私の討論を終ります。
  61. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 上林與市郎君。     〔上林與市郎君登壇
  62. 上林與市郎

    ○上林與市郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案反対し、政府に対しまして、本法案を撤回して、現在実施されておる災害復旧費全額国庫負担法の継続法を提出すべきことを要求するものであります。  まず第一に、この法律案は建設行政の反動的な改悪であることであります。すなわち、現在施行されておる災害復旧費全額国庫負担法は、自然の災害に対しまして、災害地の特定地域のみにその犠牲を押しつけることなく、国家社会全体がこの責任を負担するという、いわゆる社会保障制度的考えの上に立つてつくつたものでありますことは、政府の説明があつた通りであります。この事情は、今日ますます深まつておるのでありまして、政府と與党とが、事業量をふやすという美名のもとに、再び特定地域の負担重加政策に逆転させるこの法案は、吉田内閣の反動的建設行政の暴露であるというべきであります。  第二の理由は、この法案は地方財政に対する過重な圧迫であつて、今日窮乏のどん底にあえぐ地方自治体の、とうてい耐えることのできないところであるからであります。今日地方財政の窮乏は、いまさら数字をあげるまでもないところであります。しかも予算において、政府は極端に地方財政平衡交付金を削減しておるのであります。それをこの上に、従来全額国庫負担のものを、再び三分の一を地方財政に負担せしめるこの法案は、地方自治を尊重し、育成すると宣伝する自由党並びに政府が、事実は過重な災害復旧の負担をせしめることによつて地方財政を破綻せしめる、すなわち羊頭を掲げて狗肉を売る欺瞞政策といわなければなりません。(拍手)  第三に、この法案はきわめて不公平なものであることであります。すなわち、この法律案は、地方財政の実力に相応して国庫補助費を増加する、すなわちスライド制をとつておるのであります。しかるに、北海道だけを五分の四として、他を三分の二にしたことは不公平であつて、われわれ北海道の五分の四に反対するものではありませんが、逆に他の部分も当然五分の四に引上ぐべきことを主張するのであつて、これは明らかにこの政府の党利党略政治を表明するものといわなければなりません。すなわちこの法律は、来るべき地方選挙において自由党を有利に展開せしめる意図が含まれていると疑われるものがあるのであります。その事実としては、関係筋に提出した。最初の政府案は、北海道も含めて三分の二国庫負担を規定していたものを、選挙期日の切迫にあわてた吉田内閣は、あわててこれをもらい下げ、開発途上の北海道を擁護するためとして、特別に北海道を五分の四に引上げた事情が最も雄弁に物語つているものといわなければなりません。  しかも、この法律には、まつた予算的措置の裏づけがないのであります。すなわち、このスライド制によつて既定の事業計画量を遂行するためには数十億の補正予算を必要とするのであるが、これに対する建設大臣の答弁は、国家の予算上、資金上可能な範囲で増額することを折衝中だというのであります。従つて予算上の保障がない以上は、結果においては既定計画事業量の縮小を来すものであり、建設大臣も、かかる結果になることを認めており、このことからも、いかに政府が災害復旧に冷淡であるかがわかるのであります。  以上の諸点から見て、わが社会党は、委員長報告の原案に反対し、政府がすみやかにこれを撤回して、全額国庫負担の現行法を継続する法律案をこの議会提出すべきことを要求するものであります。(拍手
  63. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  64. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  65. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案郵便法の一部を改正する法律案、右四案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  66. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案郵便法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。郵政委員会理事風間啓吉君。     〔風間啓吉君登壇
  68. 風間啓吉

    ○風間啓吉君 ただいま一括議題と相なりました郵便法の一部を改正する法案郵、郵便貯金法の一部を改正する法律律案、便振替貯金法の一部を改正する法律案及び郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並に結果を御報告申し上げます。  まず各法案に関する政府提案の理由並びにその内容について、ごくかいつまんで御説明申し上げます。第一に郵便法の一部を改正する法律案についてでありますが、現行郵便法は、新憲法の制定に伴い、その内容を新憲法の精神に即応せしめることを主たる目的として制定せられたもので、郵便取扱い制度の内容の改正につきましては、單に短時日で成案を得られたものにとどめられた関係上、政府は現行法につき種々改正の要あることを認め、郵便サービスの改善等のために本法律案提出するに至つたものであります。その改正の要点は、おおむね次の通りであります。  まず新たに取扱い制度を設けようとするものとしては、小包はがき及び料金受取人拂い制度を新殺したこと、速達小包制度を復活したことであります。これらの改正により、小包に添付して荷札を兼ねて同時に送達される小包はがきの制度を新たに設け、速達小包の取扱いとともに利用上の便益をはかり、また一定の條件を具備した書状及び郵便はがきに対し料金の受取人拂い制度を認め、商業活動の利便と負担の軽減とをはからんといたしておるのであります。  次に現行取扱い制度の内容を改正しよりとするものとしては、小包郵便物の容積及び重量の最高制限を緩和して利用上の利便を増進しようとしたこと、同じく小包郵便物について料金体系の合理化をはかつたこと、書留と保険扱いの両制度を統合して書留制度一本とし、制度の簡素化をはかるとともに、賠償最高額を現行制度の十倍に引上げたこと、第三種郵便物の認可につき事務処理の明確化と迅速化を期したこと、代金引換金額の最高制限を十倍に引上げたことのほか、料金後納の担保の減免、郵便私書箱の短期使用の制度を規定したことなどが、取扱い制度の改正のおもな点であります。なお右のうち、小包郵便物の料金体系につきましては、小包の取扱い経費が、その送達距離の大小によつて多大の差異があること、小包と同種の鉄道小荷物の運賃が距離制をとつていること等の事情を考慮して、現行の全国均一制を地帯制に改め、制度の合理化をはかるとともに、全体として平均的に現行料金による收入と大差なからしむるよういたしているのであります。  最後に、郵便事業の円滑な運営を確保するための改正について申し上げます。第一は、信書送達の独占に関する規定を明確にいたしまして、従来法の不備に乗じて行われていた独占権の侵害行為に対し、その取締りに備えたことであります。第二は、罰則中罰金の金額を、他の一般刑罰法令の例にならつて十倍に引上げたことであります。第三は、郵便を不正に利用する罪を新たに規定したことであります。犯罪の目的で郵便を利用することを許しておくことは、事業の性格に反するばかりでなく、郵便に対する国民の安心感を失わしめる結果を招来いたしますので、詐欺、脅迫等の目的で差出された郵便物で、住所、氏名または内容等につき真実に反する記載をなした場合には、刑法上の犯罪が成立するに至らない場合でも、その不正記載の点で処罰できるようにいたしておるのであります。  以上で郵便法関係を終り、次に郵便貯金法の一部を改正する法律案について申し下げます。本法案は、郵便貯金の預金者の利便を増進し、その利用を容易にして貯蓄の吸収に資する一面、現在利用度の少い制度、または利用のまつたくない制度を廃止して、事業の簡素化をはかるとともに、社会諸事情の変化に伴う規定の整備を行い、もつて事業の発展に寄與しようとするものでありまして、その内容は、おおむね次の通りであります。  第一の改正は、定額郵便貯金の利率引上げであります。定額郵便貯金の現行利率は、銀行の定期預金利率に比し、税引きの関係を考慮してなお低位にありますので、その利率を最低年三分、最高年四分に引上げて長期預金者の利便をはかり、長期資金の吸收に資せんとするものであります。なお右利率の引上げに関連し事業收支の均衡をはかるために、一方通常郵便貯金の利子計算方法を改め、各月の十六日以後の預入金に対してはその月の利子をつけないことに改めるとともに、通常郵便貯金及び積立郵便貯金の十円未満の端数の預入金にも利子をつけないことに改めようといたしておるのであります。  第二の改正は、預金者の請求によつて取扱郵便局を特定し得る道を開き、通帳盗難等の場合における詐取の防止に備える一面、郵便貯金本人票の発行を実施し、これを呈示した場合には、全国どこの郵便局でも無制限に貯金の拂いもどしができる道をも開き、これらの預金者の利便及び貯金の安全をはかろうとするものであります。  第三の改正は、すえ置き郵便貯金、特別すえ置き郵便貯金及び預金者の請求による証券保管の各制度を廃止することであります。これらの制度は、現在利用度が少いか、またはまつたく利用がなくなつているものであるばかりでなく、将来もその利用を期待することができないので、この際すべてこれらを廃止して事業の簡素化をはかろうとするものであります。  その他の改正といたしましては、郵便貯金の元利金の支拂いを国が保証する旨の明文を設けたこと、郵便貯金の貯金総額の制限を受けない法人または団体の範囲及び団体取扱貯金の取扱い対象団体の範囲を拡張したこと、通常郵便貯金の一部拂いもどしの場合の金額の端数制限を円位以上に引上げたこと等でありますが、これらの改正は、預金者の利便をはかり、または経済事情の変化に伴い規定の整備を行おうとするものであります。  次に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法案制定の理由は、郵便貯金法の改正の場合とまつたく同一の趣旨でありまして、その内容とするところは、代理署名人の権限を拡張したこと、公益事業、すなわち電気及びガス事業の料金納品付のために、公金の例に準じ特別取扱いをする道を開いたこと、郵便振替貯金の口座の現在高が十万円を越えた場合に、その超過額に対しても利子をつけるようにしたこと、債券の募集、売出し、買上げ及び元利金支拂い制度を廃したこと等であります。  最後郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案におきましては、本法施行後の状況にかんがみ、従来預金者の請求によつて、証券整理貯金の金額を、その組み入れられた通常郵便貯金等の通帳に記入していたのを、預金者の請求を待たず、積極的に右通帳に記入し得ることに改め、整理の促進をはかるとともに、従来特別に定められていた証券整理貯金に関する権利消滅の規定を改め、預金者の権利を保護しようといたしておるのであります。  以上、諸法案の概要を御説明申し上げたのでありますが、本月一日付託を受けまして以来、委員会はしばしば会議を開いて愼重審議を重ねたのであります。それらは会議録によつて御承知を願います。  次いで採決に入り、まず郵便振替貯金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便貯金法に基いて保管する証券の整理に関する法律の一部を改正する法律案につき一括賛否を諮りましたところ、大多数をもつて可決、次に郵便法の一部を改正する法律案に対する修正案を、引続き右修正案の修正部分を除く原案を、それぞれ同じく大多数をもつて可決いたしました結果、右原案は修正議決を見た次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  69. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 四案を一括して採決いたします。四案中郵便法の一部を改正する法律案委員長報告は修正でありまして、その他の三案の委員長報告は可決であります。四案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて四案とも委員長報告通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  71. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、内閣提出農林漁業資金融通特別会計法案、公庫の予算及び決算に関する法律案、  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  72. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  農林漁業資金融通特別会計法案、公庫の予算及び決算に関する法律案国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員西村直己君。     〔西村直己君登壇
  74. 西村直己

    ○西村直己君 ただいま議題となりました農林漁業資金融通特別会計法案外二法律案について委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  農林漁業資金融通特別会計法案については、今回政府におきまして、農林漁業の生産力の維持増進をはかるため、農林漁業者に対し長期かつ低利の資金を融通する目的をもつて、別途農林漁業資金融通法案を提出せられておるのでありますが、この場合、一般会計と区分してその経理の状況を明確にいたしますため、新たに農林漁業資金金融通特別会計を設けることにいたそうとするのであります。この会計におきましては、一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計からの繰入金に相当する金額をもつて資本とすることにいたし、二十六年度は六十億円を融通することと予定いたしておるのであります。この法案につきまして、特に農林漁業貸金融通法案ととも農林、水産の両委員会と連合審査を行うなどして審議いたしました。その詳細和は速記録に譲ります。  次いで本日討論採決に入り、竹村委員共産党を代表して反対、小山委員自由党を代表して賛成の旨討論あり、次いで採決の結果、起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。  次に公庫の予算及び決算に関する法律案について申し上げます。この法案は、国民金融公庫及び住宅金融公庫の予算及び決算に関しましては、従来公団等の予算及び決算の暫定措置に関する法律が適用されていたのでありますが、これら公庫の業務の特殊性にかんがみ、今回この法律を制定いたし、業務の円滑な運営に資し、かつ予算の執行を適正ならしめようとするものであります。  この法案に関して各党共同の修正案が提出されたのでありますが、その内容は、国民金融公庫法に準じ、住宅金融公庫法についても必要な改正規定を挿入いたそうとするものであります。  本日、討論を省略の上、修正案及び修正部分を除く原案に対して採決いたしましたところ、起立総員をもつて修正議決すべきものと決しました。  次に、国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律は、本年三月三十一日限りその効力を失い、昭和二十六年度以降においては、別に法律をもつて新たな恒久的退職給與制度を制定実施することになつているのでありますが、とりあえず同法律の効力を一年間延長するため提出されたのであります。この法案に関しましては自由党より修正案が提出されましたが、その第一点は、政府案によりますと、今回の改正により、二十六年度において有利な退職手当を支給されることになる職員の対象を拡張いたして、二十六年度における行政機関職員定員法の実施に伴う人員整理による退職者にも及ぼそうとするものであります。第二点は、政府案においては、改正法の施行期日は公布の日となつておるのを、改正法施行前においても適用せんとするものであります。  次いで本二十九日、本案及び修正案を一括して討論採決に入りましたところ、田中委員社会党を代表して、希望條件を付し賛成の旨討論せられました。次いで修正案及び修正部分を除く原案について採決の結果、起立多数をもつて修正議決すべきものと決しました。  以上御報告申し上げます。
  75. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) まず農林漁業資金融通特別会計法案につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  76. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。  次に公庫の予算及び決算に関する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告通り決しました。  次に国家公務員等に対する退職手当臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  79. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、神田博君外四十九名提出モーターボート競走法案議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  80. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  モーターボート競走法案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員会理事坪内八郎君。     〔坪内八郎君登壇
  82. 坪内八郎

    ○坪内八郎君 ただいま議題となりましたモーターボート競走法案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本法案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。本法案は、ボートまたはボート用モーターを製造する事業を振興し、あわせて観光事業に寄與するとともに、地方財政の改善をはかるために、地方公共団体に勝舟投票券を発売して行うモーターボート競走を行う道を開こうとするものであります。  次に本法案の内容のおもな点をあげますと、まず第一点は、競走施行者は競走の実施を競走会に委任することができることであります。第二点は、競走の実施を目的として、都道府県内に各一個に限り競走会を設けることであります。第三点は、競走場、選手、ボート、モーター及び審判員の登録並びに競走日程の作成、その他競走の実施に関する指導調整等をはかるため全国競走会連合会を設けることであります。第四点は、競争の公正を期するため、必要な事項につきましては運輸大臣の監督を受けることであります。第五点は、施行者の収支につきまして、その扱い方並びに率を明らかに規定したのであります。  本法案は、三月十三日、本委員会に付託され、翌十四日提出者より提案理由説明を聴取し、三月二十四日参考人の意見を徴する等、愼重に審議を行つたのであります。次いで質疑に入りまして、施行者が国庫に納付する金は、これを船舶、船舶用機関の性能の向上、海事思想の普及等の支出に充てるべきではないか、また競馬、競輪、オートバイ競走並びにモーターボート等の競走が各省区々に監督され、その実施の統一あるいは調整がとれない段階に立ち至ると思われるから、政府にこれら競走を一元的に監督する機関を設ける意思はないかなどの質問に対し、それぞれ答弁がありました。その他詳細は会議録に譲ることといたします。  かく討論を省略いたしまして、ただちに採決の結果、起立全員をもつて本法案は原案通り可決いたしました。  右御報告いたします。
  83. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  明三十日は定刻より特に本会議を開きます。本日はこれにて散会いたします。     午後七時六分散会