○今野武雄君 私は、
日本共産党を代表いたしまして、ただいま
議題とな
つておりまする三議案中の、特に旧
軍用財産の貸付及び譲渡の
特例等に関する
法律の一部を
改正する
法律案に対しまして
反対の意を表せんとするものでありま参す。
本案の対象とな
つておりまする旧
軍用財産は、終戰前の価格で実に七十七億円事であります。かりに物価が二百倍であるとしますと、今日の値段は、まず一兆五千億円に上るとい
つてもさしつかえないと思います。これは、もしもポツダム宣言の
趣旨に沿
つて平和的に
使用されておつたならば、
日本の経済を再建する上に最も有力な基礎と
なつたはずのものであります。しかしながら、終戰後後五年以上を経た今日も、私どもは、まだこれらの施設を基礎にして有力な平和産業の起つたことを聞かないのであります。
大蔵省の管財局の資料がここにありますが、これによりますと、たとえば私の
選挙区であります横須賀の海軍工廠、それから海軍航空廠、海軍技術廠などは、いずれも食品加工業とか、あるいは繊維産業とか、そういうような平和産業に
使用されておけることにな
つておるのです。これは配付されたばかりのものですが、そうな
つている。ところが、私どもの事案知
つていることは、これは終戰直後のことであつたのであります。現在では、この
報告は、まつ赤なうそです。実際には、これはアメリカの海軍工廠あるいは第八軍の兵器廠などとして新たな軍事
目的のために復活
使用されているのであります。ここには数万の労働者が、いわゆる進駐軍労務者として、兵器の修理製造、こういうものに当
つているわけであります。
それからまた、これも管財局の、いうところによれば、
全国で北海事適から九州に至るまで十三箇所の旧車施設が警察予備隊の兵舎にな
つているわけでありますが、私の
選挙区にも、その一つがございます。それは久里浜の場合でありますが、これは最初
水産大学に貸與されておつたのであります。ところが、昨年の夏に警察予備隊ができるということにな
つて、ここから学校が追い出されてしまつた。そして警察予備隊に占領されちやつた。その結果、昨年の夏以来、幾度か学生と警察予備隊との間に衝突
事件さえ起
つているのであります。他の予備隊の兵舎についても同様な紛争が起
つております。しかも、この警察予備隊が何ものであるかということは、今日はもう明らかである。昨年の秋の
臨時国会以来、これが実は軍隊であるということは、今日はもう世界中知らないものはないのです。そうしてみますと、
本法案の
趣旨としてうたわれておりまする軍用施設を活用するということでありますが、実はこれは、これらの施設を新たに軍事施設として復活して、
外国軍隊の長、期
日本駐屯と
日本再軍備のために資する、こういうことにほかならないわけでございます。(
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さらに、この拂下げ
並びに貸付については非常に多くの不正利得が行われているという疑いが十分あるのでございます。これも大蔵省管財局の
報告によりますと、今までの拂下げ代金や貸付料金のうち、これは数十億あるわけでございますが、そのうち約十億円が未収にな
つております。そしてその中には、
吉田内閣の有力な閣僚が
関係しておりまする播磨造船の貸付料金三千百万円の未収というものも含まれている。これは会計検査院がはつきり指摘している。しかも前に述べましたように、これは戰前の物価を基礎にしたものでありますから、法外に安い特権的な拂下げ代金であり、また貸付料金であるわけであります。
従つて、このような米収金の裏には、権力者と資本家とが結んだ、実に醜い不正が隠されていると考えてもさしつかえないと思う。この前は、将来の歴史がはつきりと判決を下すことだろうとわれわれは考えております。(
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国民からは容赦なく血の出るような税金を取立てながら、他方資本家に対しては、このような国有財産を、ほとんどただ同様で利用させて、そうしてその代金さえ取立てない。こういう
政府は、
一体だれのための
政府か、決して
国民のための
政府ではない。一部のきたない大資本家のための
政府であることは、もう遺憾なくここに現われております。(
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以上私が述べましたことこそは、
吉田内閣が一枚看板にしている、あの單独講和の具体的
内容にほかならない。單独講和というものが、どんなにきたならしいものか、そしてどんなに
国民を苦しめるものか、これが端的にここに現われている。だから、もしも皆さんが————にしてもかまわないというならば、これに
賛成したらよい。あるいはまた
日本を、戰争でしこたまもうけようとする、きたない———資本家のためのエデンの園にしようとするならば、少くともそうすれば、勤労者のためには、これは地獄ですよ。こういう意味で、私どもは、絶対にこの法案には
賛成できないわけであります。(
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