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1951-03-08 第10回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月八日(木曜日)  議事日程 第十八号     午後一時開議  第一 公職選挙法の一部を改正する法律案地方行政委員長提出)  第二 国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件  第三 水産業協同組合法等の一部を改正する法立案参議院提出)  第四 昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その2)     昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書     昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書     昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その1)     昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その1)(承諾を求める件)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 公職選挙法の一部を改正する法律案地方行政委員長提出)  日程第二 国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件  日程第三 水産業協同組合法等の一部を改正する法律案参議院提出)  日程第四 昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その2)       昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書       昭和二十五年度日本国有鉄道予備費使用調書       昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その一)       昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その1)(承諾を求める件)  旧軍用財産の貸付及び護渡特例等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  不正保有物資等特別措置特別会計法等を廃止する法律案内閣提出)  国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)     午後一時二十二分開議
  2. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第一は委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程第一、公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします心提出者趣旨弁明を許します。地方行政委員川本末治君。     〔川本末治登壇
  5. 川本末治

    川本末治君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  公職選挙法は、御承知通り日本国憲法の精神にのつとり、国及び地方公共団体公職選挙制度を確立し、選挙の公明かつ適正を確保し、もつて民主政治の健全な発達を期する目的をもつて昭和二十五年四月制定公布せられ、同年五月一日から施行せられたのでありますが、選挙事務執行に当つておりまする全国並び地方選挙管理委員会当局あるいは各政党方面より、本法施行の実際に徴し、かつは本年四月行われることになつておりまする地方選挙、すなわち全国大多数の都事道府県市町村議会議員及び長の選挙を間近に控えまして、さらに本法目的達成の完璧を期するため、その改正要望せられるに至つたのであります。地方行政委員会におきましては、右の要望にこたえるため、昨年十二月十一日、選挙に関する小委員会を設置し、十四名の小委員選任せられ、生田和平君が小委員長に選ばれました。この小委員会は、一月三十一日、第一回の小委員会において、本年四月に得われる地方選挙に直接関係を有する事項についてのみ公職選挙法改正を考究すること及び各政党より改正要望ないし意見を徴することの基本方針を決定し、爾来幾か小委員会を開き、政府関係当局も参加の上、鋭意研究を続け、愼重審議の結果い、二月十九日、ようやく改正試案の成案を得ましたので、翌二月二十日、本委員会において、その結果を小委員会から報告し、委員会はさらに質疑応答を重ね、愼重審議いたしまして、右の案に検討を加えた結果、地方公務員立候補制限の緩和について一段とその歩を進める方向において修正を施し、ここに地方行政委員会改正法律案として、大多数の賛成をもつて議決せられた次第であります。  以下、改正案内容概要を申し上げます。改正項目は十九の多きに達し、その内容は、おおよそ選挙技術に関する事務的事項であつて、煩瑣にわたりますので、きわめて簡單にその要綱を列挙するにとどめ、一々その理由を申し上げることは省略いたしたいと存じますが、これを要するに、立候補については無用の制限を緩和し、選挙運動についてはその公正をはかるとともに、選挙公営趣旨を推進し、選挙事務については簡素明確化合理化を期し、さらに選挙告示の時期については、選挙期日までの期間の短縮ないし臨時特例を設けて経費、労力の節減に資するなど、もつぱら選挙技術に改善を加えて、選挙、特に今回の地方選挙執行を合理的、経済的かつ適正ならしめようとするものであります。事  まず改正の第一点は、都道府県議会議員選挙は三十日前に告示することとなつているのを二十日前にすることに改めること。しかしながら、都道府県議会議員都道府県知事または都道府県教育委員会委員選挙を同時に行う場合は従来通り三十日前に告示すること。  次に改正の第二点は、投票所開閉時刻を、特別の事情のある場合に限り、都道府県選挙管理委員会承認を得て、二時間の範囲内において市町村選挙管理委員会がこれを繰上げまたは繰下げることができるものとすること。  改正の第三点は、全国選挙管理委員会の指定する交通至難の島その他特別、の事情のある地域については、同一郡市の区域内においても不在者投票ができるものとするごと。  改正の第四点は、地方公共団体選挙における不在者投票について、投票用紙の様式は当該選挙管理委員会が定める旨の原則を、政令で例外を設け得ることとすること。  改正の第五点は、地方公務員法附則第二十項に規定する公営企業に従事する職員で政令で指定する者、並び臨時または非常勤嘱託員その他これに準ずる職にある者で政令で指定する者及び非常勤水防団員に対し、公務員在職中立候補禁止を解除すること。  さらに改正の第六点は、自動車拡声機及び船舶の使用制限を新たに都道府県議会議員、市の議会議員市長及び市の教育委員会委員選挙についても行うこととし、この場合においては、候補者が乘用するものを含めて、選挙運動用自動車のために要した費用は、五大市市長選挙の場合を除いて選挙運動費用に加算することとすること。  改正の第七点は、都道府県議会議員、市の議会議員市長及び市の教育委員会委員選挙についても新たに一定枚数通常はがきの頒布を認めることとし、その費用は有料とすること。  改正の第八点は、長の決選投票の場合のポスター枚数を限定すること。  改正の第九点は、選挙管理委員会の行う選挙当日のポスターの撤去は、選挙の前日及び当日においてすることに改めること。  改正の第十点は、市町村長選挙について公営立会演説会條例の定めるところにより開催し得る道を開くこと。  改正の第十一点は、五大市市長選挙について、條例の定めるところにより選挙公報を発行し得る道を開くこと。  改正の第十二点は、都道府県議会議員市町村議会議員市町村長市町村教育委員会委員及び長の決選投票の場合の選挙ついでも、新たに候補者氏名等の掲示を市町村選挙管理委員会において行うこととし、その場所は一投票区につき一箇所とすること。  改正の第十三点は、立候補を辞退した場合の燃料用紙返還義務規定無料はがきを追加し、新たにはがき、乘車券、燃料用紙等譲渡禁止規定を設けること。  改正の第十四点は、はがき乘車出券燃料用紙等譲渡禁止の違反に対する罰則を設け、その他罰則規定中所要の整備を行うこと。  改正の第十五点は、五大市選挙管理委員会と、その区の選挙管理委員会との職務権限の限界を、政令の定めるところにより明確化すること。  改正の第十六点は、選挙に関する届出、請求、申出その他の行為は執務時間中にするために、午前八時半から午後五時半までの問にすべきこととすること。  改正の第十七点は、鹿兒県大支庁管内、大島郡、十島村のうち、黒島、竹島及び硫黄島の選挙区の所属についての特例を設けること。  改正の第十八点は、地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律規定により行う今回の地方選挙期日告示は、昭和二十六年四月三日に統一して行うこととすることであります。  さらに改正の第十九点は、その他これらに関連する必要な規定整備等を行つたこと。  以上が本改正案内容であります。  右、本改正案提案理由及びその内容概要を申し上げました。何とぞ御可決あらんことを御願い申し上げます。(拍手
  6. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案は可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  8. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第二、国際捕鯨取締條約に加入することについて承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長守伍郎君君。     〔守島伍郎登壇
  9. 守島伍郎

    ○守島伍郎君 ただいま議題と相なりました條約案につきまして、外務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、二月二十四日、内閣から国会に提出せられ、ただちに外務委員会に付託されましたので、二月二十八日及び三月七日の両回にわたり委員会を開き、かつ三月七日、外務水産委員会連合審査会を開き、愼重審議をいたしたのであります。  政府側説明によれば、第一、鯨族保護増大目的とする国際協定について、主要な條約として一九三七年の條約及びこれを修正する諸議定書がありましたが、わが国当事国とはなつておらなかつたのであります。戰後、一九四六年12月、ワシントンで国際捕鯨取締條約が締結されました。この條約の趣旨とするところは、従来の捕鯨協定趣旨を一層徹底したもので、各国が競つて鯨を濫獲したため鯨族が死滅に瀕していることを認め、鯨族捕獲を適当に制限してこの増大をはかりながら、長い期間にわたつて最大の捕獲量を維持して行こうとするものであります。これがため、特定の鯨、たとえばこく鯨、せみ鯨捕獲禁止し、また特定の鯨、たとえばひげ鯨については、特定期間特定区域についてのみ、捕獲許可しようとするものであります。これらの禁止または制限は、この條約と不可分一体をなす付表に規定されていて、條約によつて設定された委員会によつで随時変更することができることとなつておりわます。この條約の現当事国は、英、米、ソ連、フランス、濠州、カナダ、フインランド、ノルウエー、スエーデン等十六箇国で、この條約への加入は、條約の條項にまつて、單に米国政府に対し加入通告をすることによつて完了するものであります。第二、今般一月十七日付をもつてこの條約に加入することにつき総司令部正式許可を得ましたで、わが国国際協力の立場からこれに加入したいというのであります。なおわが国は、現在司令部の覚書により、特別の許可特定制限のもとに捕鯨を営んでおるのでありますが、司令部制限は、この條約の制限とほとんど同一のものであり、従つてこの條約に加入しても、現在と違う特別の制限を受けることはないということでありました。  次いで、委員外務及び水産当局との間に質疑応答が行われました。そのうち委員側から、講和條約を待たずに、この條約に急いで加入する特別の理由があるかと事の質問がありました、が、これに対し政府側からい鯨族保護の見地から條約に加入して国際義務を遵守することは、わが国国際信用を得るためにも望ましいことであり、かつ現在南氷洋に操業しておるわが国捕鯨船団等について政治的その他技術的に受ける利益があり、また今後例年開かれる捕鯨委員会日本代表が出席してわが方の主張をなし得る利益等も少くないという趣旨応答がありました。なおその他の質疑などは速記録によつて承知を願いたいと存じます。  次いで賛否の討論があり、採決の結果、本條約に加入することについて承認を與えることに多数をもつて議決い、たした次第であります。  右御報告申し事上げます。(拍手
  10. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本件委員長報告通り承認を與えるに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本件委員長報告通り承認を與えるに決しました。      ————◇—————
  12. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第三、水産業協同組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。水産委員長冨永格五郎     〔冨永格五郎登壇
  13. 冨永格五郎

    冨永格五郎君 ただい議題となりました水産業協同組合法等の一部を改正する法立案につきまして、水産委員会における審議経過並びにその結果を御報告申し上げます。  まず提案理由並び内容について御説明いたします。前の第九国会において、水産業協同組合法の一部を改正して、水産業協同組合共済会が設立できるようになつたのでありますが、その共済会を組織するにあたりましてこれを運営する役員選任ついで協同組合法役員選任規定の準用により行われますので、その選任がはなはだしく困難であり、従つて共済事業に支障を来す結果になるのであります。そのため、協同組合法役員選任規定で、役員の四分三は正会員でなければならないとなつているのを、共済会役員には、特例として、電位組合または同連合会理事正会員と同じく共済会理事となれるというようにいたしたのであります。共済会協同組合またはその連合会で組織されている関係上、協同組合またはその連合会理事共済会理事になれるのは当然であろうと存ずるのであります。また御承知通り水産業協同組合農林中央金庫系統機関になつており、その協同組合一体をなす共済会も、組合と同様に農林中央金庫系統機関として出資者となり、預金をし、あるいは融資を受けることができるように、農林中央金庫法の一部を改正いたそうとするのであります。以上が、提案理由と、そのおもなる内容であります。  本法案は参議院提出法律案でありまして、二月十三日に本委員会に付託になり、その内容協同組合の育成に関係の深い問題であり、共済会運営の円滑、経営の強化等の諸点よリ十分の審議を盡したのでありまして、三月六日の委員会においての討論には、共産党井之口委員より反対意見の発表がありましたが、採決を行いました結果、共産党ただ一入の反対のほか、全員賛成をもつて原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  14. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  15. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  16. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 日程第四、昭和二十四年度特別会計予備費便屋調書(その2)外四件(承諾を求める件)を一括して議題といたします。委員事長報告を求めます。決算委員長菅家喜六君。     〔菅家喜六登壇
  17. 菅家喜六

    菅家喜六君 ただいま上程されました昭和二十四年度特別会計備費使用調書(その2)外四件の承諾を求める件につきまして、決算委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず昭和二十四年度特別会計予備費使用調書について御説明申し上げますと、昭和二十四年度特別会計予備費予算額は二百億二千七百六十余万円でありまして、そのうち昭和二十四念六月十四日から同年十二月九日までに使用いたしました三十億五千八百五十余万円につきましては、第七回国会においてすでに承諾済みであります。その後昭和二十五年一月十七日から同年三月三十一日までの間に、外国為替外十一特別会計において総計九十億四千余万円を使用いたしております。そのうちおもなる事項は、輸出為替等買取りに必理な経費農業共済保険金に必要な経費労働者災害補償保險保險金等支沸いに必要な経費失業保險保險金給付に必要な経費等であります。  次に、昭和三十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書について御説明いたします。予算を超過して支出いたしました特別会計は、電気通信事業労働者災害補償保險の二特別会計でありましてその内訳は、同第六條の規定に基いて電気通信事業特別会計において支出いたしました、事業量の増加に伴う必要な経費十一億三千六百余万円、公債償還に必要な経費十億円と、同第七條規定に基いて労働者災害補償保險特別会計において支出いたしました、保險金支沸いに必要な経費一億六千六百七十余万円であります。  次に昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用の件につきましては、日本国有鉄道法規定に基いて国会承諾を求めるため提出ざれたものでありまして、予算額十億円の全額を、同法第三十六條の規定により退官退職手当使用いたしたものであります。これは、定員法による行政整理に対する退官退職手当は、最低保障を受けたため割高となり、既定予算をもつては、まかない得なくなつたためであります。  次に昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その1)について御説明いたしますと、一般会計予備費予算額は四億五千万円でありまして、そのうち昭和二十五年五月十二日から同年十一日二十日までの間において二億一千五百十万余円を使用いたしました。そのうちおもなる事項は、参議院議員補欠選挙に必要な経費法務局災害復旧に必要な経費出入国管理庁運営に必要な経費災害応急救助に必要な経費等であります。  次に昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その1)につきましては、予算額は三百二十五億三千十万余円でありまして昭和二十五年五月十二日から同年十二月二十六日までの間に、外国為替外十二特別会計において総額百二十一億九千四百二十余万円を使用いたしております。そのうちおもなる事項は、外国為替等の決済及び輸入物資等売拂い収入繰りもどしに必要な経費一般会計及び国債整理基金特別会計へ繰入れ並び貿易公団交付金に必要な経費電信電話施設災害応急復旧に必要な経費等であります。  決算委員会は、以上五件の審査にあたり、政府当局説明を聽取の上検討いたしたのでありますが、三月七日、共産党を除くほか多数をもつて、右五件に対して、すべて承諾を與えるべきものと議決いたした次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  18. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論通告があります。これを許します。井之口政雄君。     〔井之口政雄登壇
  19. 井之口政雄

    井之口政雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ここに提出された昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その2)以下四つの総調書承認することに反対するものであります。(拍手)  決算委員会は、目下まだまだ昭和二十三年度決算の当否を審議しつつありまするのに、この二十四年度並びに二十五年度分だけの予備費使途については、早くもこま切れにされて、もう審議は終わつてしまつているのであります。予備費という小額にすぎぬ枝葉の決算審議は先にしておいて、山ほどの不正事件浪費不当事項に満たされたところの本予算審議はなるべくあとまわしにして、ほとぼりのさめるころまで人民の目から隠してしまおうという、こういうやり方決算委員会審議やり方になつている。(拍手)しかしながら、たとい予備費であれ、二十四年度、二十五年度の分の審議には、今日の国民のぜひ知つていなければならぬいろいろの予算使途のなまな、ましい不当事実の片鱗がすでに現われております。にもかかわらず、会計検査院は、これらの点を委員会にまだ報告しておりません。やがて来る二十三年度、二十四年度、二十五年度決算審議にあたりましては、驚くべき財政の紊乱ぶりが暴露されるでありましよう。  敗戰以来占領軍用終戰処理費四千億以上の中に、千億以上にも達する浪費が報ぜられております。大橋法務総裁が関連ありとされておるところの不要な二重煙突事件、二千万円の過拂い事件特別調達庁の金庫の中から三万五千株の東武電鉄株持ち出し事件などは、今日ただいま予算部分的予備費支出審議するにあたつても忘れてはなちぬことなのである、かように心の中にちやんととめて審議してもらいたい。  昭和二十四年度特別会計予備費は約二百億円組まれております。次の二十五年度の分は三百二十五億円組まれております。そうして、その使途についても、日本共産党がさきに両年度一般、特別両予算編成にあたつて述べた通り資本擁護の性格を、さらに一層予備費使途についても推し進められているのであります。厚生省関係で見ますと、健康保險厚生年金保險、こういうものは、両年度とも予備費がわずかに三億七千八百万円しか組まれておりませんが、それもほとんど使われていない。そのまま置かれている状態であります。国民医療費の高騰に悩み、結核患者は医者よ、薬よ、看護婦よと訴えていたその当時に、国立諸病院の予備費予算が、二十四年でたつた五千万円、二十五年度で半分に滅つてしまつて二千万円、それをする両年度とも使い切らないで、半分は残しているという状態であります。幾らか人民のためになると思われるような費用は、予備費予算においても、しみつたれた組み方をして、さらにその実際の使用にあたつては、不測の事情がたとい起つても、なかなか、出さぬというやり方をやつている。多面において政府は、出す理由のない予備費支出人民のためにならぬのみか、日本政府のすることだろうかと疑われみような支出をやつているのあります。二十五年度はすでに吉田内閣の時代でありますが、一億五千四百二十七万円という金を印刷庁特別会計支出して外国銀行券を製造しているのであります。朝鮮紙幣や軍票を製造したのか、フイリピンや台湾やアメリカの紙幣を製、造したのか、日本印刷庁は、いつからこんな外国銀行舞製造業を始めたの、だろうか、われわれはそのいきさつを知りたいと思つて内容を明らかにせよと要求しても、人民の前に発表できぬという委員会での答弁であります。通産省関係を見ますと、九十二億円からの予備費使つて不用品や不急品の輸入に支拂い、十六億円からの使い込みをして経理の乱派を暴露したあの鉱工品及び繊維貿易公団へ約六億円からの予備費をみついだなど、われわれ、こうしたことは、日本人として承認できることではありません。(拍手)  二十五年度一般会計予備費使用調書(その1)をとつてみましよう。予備費予算額は四億五千万円の少額ではありますが、そのうち約半分の二億一千万円は、五月十二日から十一月二十日までに使い切つております。使い道の内容を調べてみましよう。孝宮さんが結婚されるために政府で出した予備費が四百八十万円、(「安いもんじやないか」と呼ぶ者あり)それに対して、さらに安いのを聞いてください。ジエーン颱風という、それこそ天災を受けて家を飛ばされたり、水浸しにされたり、疊や夜具を失つた、大阪府外五件の罹災者数百万人に対して出した予備費が、たつた七千三百九十万円であります。罹災者で運のいい人でも、ローソクの一本か二本ももらい、むしろの一枚か半枚もらつたくらいのものであつた。あの実情というものは、予備費使途がちやんとその事実を物語つておるのであります。良心のある政治家なら、このさびしそうに並んだ、ほんとうに少い数字を見ただけでも、涙が出なければならないはずです。  一千億以上の大予算を組まれておる終戰処理費で、それでもなお足らず、連合軍労務者のあつせん業務という名前で二千八百万円、今ごろは減らねばならぬ連合軍用労務者あつせん業務が、緊急予備費でなお間に合わせねばならぬというのは、朝鮮事件内容を持つものとしか考えられません。(拍手)それでありますのに、他方で二十五年度の災害復旧費は、その半分よりちよつと多いくらいの千六百万円。ところが、これも罹災民に仕事を與えるためではなく、労働省所管の事務所など諸施設の復旧費に使われている次第であります。  出入国管理庁は三千四百八十万円の予備金を使いましたが、これは主として朝鮮人のいやがる登録制のための費用であります。朝鮮への強制送還のための費用であります。予備費支出からでも、次第に血なまぐさい風が吹き来つているのか感ぜられます。すべての人民は、老いも若きも、男も女も、またまた日の丸のはち巻をさせられ、お宮様参りにかり出される準備が、すでにこの予備費からでもうかがわれるのであります。(拍手)平和を守る人、戰争に反対する人、日本の完全な独立を願う人、前面講和を希望される人ならば、みなこれを敏感に感ぜられねばならぬはずであります。従つて、この予備費使粗を承認できないはずです。  日本共産党は、この理由によりまして、これに明確に反対するものであります。(拍手
  20. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  五件を一括して採決いたします。五件の委員長報告はいずれも承諾を與うべきものと決したのであります。五件は委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。まつて五件とも委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  22. 福永健司

    ○福永健司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部を改正する法律案不正保有物資等特別措置特別会計法等を廃止する法律案国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題となし、この際委員事長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  23. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 福永君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部を改正する法律案不正保有物資等特別措置特別会計法等を廃止する法律案国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案、右三秦を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事小山長規君。     〔小山長規君登壇
  25. 小山長規

    ○小山長規君 ただいま議題となりました旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部を改正する法律案外二法律案について、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  まず旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、旧軍用財産、物納財産等の処分を促進するために、まず第一に、旧軍用財産を時価に比べ減額した対価で譲渡することができる期間をさらに三箇年間延長するとともに、その減額割合の限度を二割から四割に引上げ、かつ減額した対価で譲渡し得る範囲を拡張して、公共団体が社会事業施設の用に供する場合及び旧制学校の設置者が当該学校の用に供する場合にもできることといたしております。  第二に、減額譲渡をすることができる場合に該当する場合には、本年三月三十一日現在において貸し付けているものに限り、時価の五割以内において減額した対価で貸し付けることができることといたしております。  第三に、旧軍用財産または物納財産を譲渡した場合における譲受人の売拂い代金の延納期間を現行の三年より五年に延長いたしますとともに、所得税法及び相続税法等による物納財産の場合にも延納の特約ができるということにいたしておるのであります。  第四に、現行法では、国の学校の用に供する目的をもつて地元公共団体等により無償で国の用に供せられた財産を、国がその用に供しないときには、これを当該地方公共団体に無償で返還しなければならないということになつておるのでありますが、これを拡張いたしまして、学校以外の教育施設についても適用することができるまうにいたしております。  この法案は、三月二日、本委員会に付託され、同三日、政府委員より提案理由説明を聽取し、同日よわ本八日に至るまで三日間にわたりまして質疑を行つたのでありますが、その詳細に関しましには速記録に譲ることといたします。  次いで質疑を打切り、討論採決に入りましたところ、成田委員は社会党を代表して賛成の意を述べられ、深澤委員共産党を代表して反対の旨討論されました。次いで採決の結果、起立多数もつて原案の通り可決いたすべきものと決しました。  次に、不正保有物資等時別措置特別会計法等を廃止する法律案について申し上げます。  臨時物資需給調整法に基く命令の規定による不正保有物資及び過剰物資につきましては、国が直接に買取り、売沸いを行い、これに関する経理を一般会計とは区別して明確に行うために、特別会計を設置して経理するとともに、これらの物資を政府が譲り受ける場合には、当該物資の性質にかんがみまして、その対価を登録国債で決済することに関する二法律が制定せられまして、終戰後における当面の経済復興に資せしめられて参つたのでありますが、この法案は、今回これらの物資の処理の進捗状況にかんがみまして、以上の二法律を廃止することといたし、それに伴つて所要の経過規定を設けようとするものであります。  この法案は、三月三日、本委員会に付託され、同五日、政府委員より提案理由の脱略を聽取し、七日質疑を行つたのでありますが、その詳細に関しましては速記録に譲ることといたします。  次に、国家公務員のための国設宿舎事に関する法律の一部を改正する法律案について説明をいたします。  この法案は、現行法施行後の情況にかんがみまして、第一に、宿舎を設置する機関に関する規定を明定いたしました。第二に、公邸及び無料宿舎の設置について予算的制約を明文化いたしますととともに、警察予備隊の設置に伴ない、同本部長官に公邸を貸與する規定を設け、第三には、宿舎の費用及び使用料に関する会計の所属区分を明確にいたしますとともに、会計間の財産整理に関する規定整備する等によりまして、宿舎の設置、維持及び管理に関して完全を期することといたそうとするものであります。  この法案は、三月三日、本委員会に予備付託、同七日、本付託となり、五日、政府委員より提案理由説明を聽取し、質疑に入つたのであります。  以上の不正保有物資等特別措置特別会計法等を廃止する法律案及び国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、本八日質疑を打切り、一括して討論を省略の上採決いたしましたところ、起立多数をもつて原案の通り可決すべきものと決しました。  以上御報告を申し上、げます。(拍手
  26. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 討論通告があります。これを許します。今野武雄君。     〔今野武雄君登壇
  27. 今野武雄

    ○今野武雄君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする三議案中の、特に旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして反対の意を表せんとするものでありま参す。  本案の対象となつておりまする旧軍用財産は、終戰前の価格で実に七十七億円事であります。かりに物価が二百倍であるとしますと、今日の値段は、まず一兆五千億円に上るといつてもさしつかえないと思います。これは、もしもポツダム宣言の趣旨に沿つて平和的に使用されておつたならば、日本の経済を再建する上に最も有力な基礎となつたはずのものであります。しかしながら、終戰後後五年以上を経た今日も、私どもは、まだこれらの施設を基礎にして有力な平和産業の起つたことを聞かないのであります。  大蔵省の管財局の資料がここにありますが、これによりますと、たとえば私の選挙区であります横須賀の海軍工廠、それから海軍航空廠、海軍技術廠などは、いずれも食品加工業とか、あるいは繊維産業とか、そういうような平和産業に使用されておけることになつておるのです。これは配付されたばかりのものですが、そうなつている。ところが、私どもの事案知つていることは、これは終戰直後のことであつたのであります。現在では、この報告は、まつ赤なうそです。実際には、これはアメリカの海軍工廠あるいは第八軍の兵器廠などとして新たな軍事目的のために復活使用されているのであります。ここには数万の労働者が、いわゆる進駐軍労務者として、兵器の修理製造、こういうものに当つているわけであります。  それからまた、これも管財局の、いうところによれば、全国で北海事適から九州に至るまで十三箇所の旧車施設が警察予備隊の兵舎になつているわけでありますが、私の選挙区にも、その一つがございます。それは久里浜の場合でありますが、これは最初水産大学に貸與されておつたのであります。ところが、昨年の夏に警察予備隊ができるということになつて、ここから学校が追い出されてしまつた。そして警察予備隊に占領されちやつた。その結果、昨年の夏以来、幾度か学生と警察予備隊との間に衝突事件さえ起つているのであります。他の予備隊の兵舎についても同様な紛争が起つております。しかも、この警察予備隊が何ものであるかということは、今日はもう明らかである。昨年の秋の臨時国会以来、これが実は軍隊であるということは、今日はもう世界中知らないものはないのです。そうしてみますと、本法案の趣旨としてうたわれておりまする軍用施設を活用するということでありますが、実はこれは、これらの施設を新たに軍事施設として復活して、外国軍隊の長、期日本駐屯と日本再軍備のために資する、こういうことにほかならないわけでございます。(拍手)  さらに、この拂下げ並びに貸付については非常に多くの不正利得が行われているという疑いが十分あるのでございます。これも大蔵省管財局の報告によりますと、今までの拂下げ代金や貸付料金のうち、これは数十億あるわけでございますが、そのうち約十億円が未収になつております。そしてその中には、吉田内閣の有力な閣僚が関係しておりまする播磨造船の貸付料金三千百万円の未収というものも含まれている。これは会計検査院がはつきり指摘している。しかも前に述べましたように、これは戰前の物価を基礎にしたものでありますから、法外に安い特権的な拂下げ代金であり、また貸付料金であるわけであります。従つて、このような米収金の裏には、権力者と資本家とが結んだ、実に醜い不正が隠されていると考えてもさしつかえないと思う。この前は、将来の歴史がはつきりと判決を下すことだろうとわれわれは考えております。(拍手国民からは容赦なく血の出るような税金を取立てながら、他方資本家に対しては、このような国有財産を、ほとんどただ同様で利用させて、そうしてその代金さえ取立てない。こういう政府は、一体だれのための政府か、決して国民のための政府ではない。一部のきたない大資本家のための政府であることは、もう遺憾なくここに現われております。(拍手)  以上私が述べましたことこそは、吉田内閣が一枚看板にしている、あの單独講和の具体的内容にほかならない。單独講和というものが、どんなにきたならしいものか、そしてどんなに国民を苦しめるものか、これが端的にここに現われている。だから、もしも皆さんが————にしてもかまわないというならば、これに賛成したらよい。あるいはまた日本を、戰争でしこたまもうけようとする、きたない———資本家のためのエデンの園にしようとするならば、少くともそうすれば、勤労者のためには、これは地獄ですよ。こういう意味で、私どもは、絶対にこの法案には賛成できないわけであります。(拍手
  28. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  ただいまの今野君の発言中、不穏当な言辞淡あれば、速記録を取調べの上、適切の処置をとることといたします。  三審を一括して採決いたします三。案の委員長報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成起立
  29. 岩本信行

    ○副議長岩本信行君) 起立多数。よつて三案とも委員長報告通り可決いたしました。  これにて議事日程は議了いたしました。本日はこれにて散会いたします。     午後二時十八分散会