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世耕委員 よくわかりましたが、お説に対して少し私の
意見をつけ加えて申し上げます。
講和を開始する場合に
戦争終結宣言をすることがかえ
つてじやまになるというなら、これは考慮しなければならない。けれ
ども講和に先だ
つて戦争終結宣言をするということは、むしろ当然のことではないか。たとえばわれわれが
法廷に出ていろいろの
犯罪取調べの実情を見ました場合に、まず
法廷内においては被告の手錠をはずすじやないか。
戦争状態に置いておいて
講和ということは、理論的に成り立つかということを私は
議論していいと思うのです。これ以上は長くなりますから申しませんが、
もつと
日本政府は
連合国側に対して活発な
意見を発表していいんじやないか。誤
つていたら取消せばいいです。西
ドイツの
アデナウアー首相のごときは実に胸のすくようなことを言うておるじやありませんか。私はこの点についてはなはだ遺憾に思うのであります。今の
戦争終結宣言のごときも私は勇敢に
——例がないと言うけれ
ども、例のないのが今度の
戰争の
状態であります。一例を申しますと非常に
矛盾だとわれわれ
考えることは、たとえば
英国政府は
中共を認めております。そうして朝鮮では
戦争しておる。こんな
矛盾なことは
国際公法上どう解釈していいか妙なことであります。しかも六年間われわれは忠実に
ポツダム宣言を尊重して来た。しかも今なお
戰争終結もしないし、
講和もしないということは、これは
戰勝国の
責任だと思う。こういうことは活発に要求していいのじやないかと思う。
権利の上に眠るような民族は、おそらく
各国は観迎しないでしよう。自分の
権利と
義務を強く主張し、
責任感を持つところに
文化国家としての承認を得られるのではないかと思う。この点をもう少しこの際活発に言うていただいていいのじやないかと思う。なお現在は
停職状態と申し上げることができるしかもしれませんが、停戰して六箇年、事実上
戰争は終結したのと同じであります。この点法理的にも実際的にも明らかにすることを、
連合国側にわれわれは堂々と要求してさしつかえないじやないか、かように
考えます。多数
講和、あるいは
単独講和の
議論があるようでありますが、そういう
議論は別といたまして、
戰争が終結したということだけを
宣言してもらうことは、われわれが要求して少しも遠慮のないことだと
考えます。この点は特に御
研究を願いたいということを御注文申し上げておきます。
次に
お尋ねいたしたいのは、この間私は
岡崎長官にお聞きしたのですが、
追放関係の問題で、
委員会で
審査された、その
審査の内容について、できれば公表されたらどうか。今日は
中共あたりで
人民裁判というものが行われておるが、その
人民裁判ですら公開じやないか。それをわれわれのこの
民主国、
文明国において、
国民の
公権を剥奪する重大な
審査委員会が、どういうふうに運ばれたか、どういう経過であつたかということが、一向に
国民の
得心が行かないということは、これは鉄のカーテンに似たような
態度ではないか、これはむしろ明瞭になさつたらいかがですか、こういうことを
岡崎長官に話したところ、
岡崎長官は、ご
もつともだけれ
ども、
審査委員会は人事に関することだから、あの人がこう言うた、この人がこう言うたということを発表すると、さしつかえがあるから発表しない。しかもそれは
政令にちやんと書いておるからというようなことを言うておりましたが、
政令に書いてあるということは、怪しいと思うのですが、いかがですか。私も
調べてみたけれ
ども、どの辺に書いてあるかわからない。