○野木
政府委員 復権による前科の
戸籍簿取扱に関する
陳情について申し上げます。
現行法のもとにおいては、
陳情の
趣旨とされるような、前科を戸籍に記載する取扱いは認められておりませんので、さよう御了知願います。
次に強制立退者の
借地権に関する
陳情について申し上げます。太平洋戰争に際し、防空上の必要により、疎開建物が除却された当時におけるその建物の所有者、または借主は、罹災都市借地借家臨時処理法第九條の
規定により空襲による災害のため滅失した罹災建物の借主と同様、同法第二條または第三條の
規定により、同法施行の日である昭和二十一年九月十五日から二箇年以内に、その土地の所有者または
借地権者に対し、建物所有の
目的で賃借の申出をするか、または
借地権譲渡の申出をすることによ
つて、優先的に
借地権を取得する道が開かれていたのであります。従
つて本
陳情において述べられているような、罹災者と建物疎開者との間に異なる取扱いがされたわけでなく、平等の
保護が與えられたのであります。
次に
住民登録制度実施に関する
陳情について申し述べます。すでにこれにつきましては本
委員会において審議を了されておるところでありますから、
政府としては別に申し上げることはございません。さよう御承知願います。
次に
らい患者を対象とする刑務所の
敷地選定に関する
陳情について申し上げます。
本
陳情の御
趣旨は、療養生活の平和を希求する同園癩患者に與える影響から、もつともなことでありますが、また他面癩患者であるところの受刑者、刑事被告人、被疑者に対する適当な収容施設がないところから、往々刑の執行停止、または不
起訴、その他の釈放によ
つて、設備の完備した病院に収容するの事例が多いのであります。このことは、この種犯罪者に対し、癩患者なるがゆえに、刑罰を免れる結果を與えるとともに、癩収容所の平和を撹乱するおそれもあるばかりでなく、将来犯罪を繰返し行うことも予想されますので、まず癩刑務所を設置し、癩受刑者を集禁して、十分な療養を加えつつ、矯正教育を施す方針を立て、厚生省と
法務府との数次
会議の結果、両者共管のもとに癩刑務所を設置する方針をきめ、厚生省、菊池恵楓園長、
法務府、並びに熊本刑務所長とが協定の上、同敷地内の一部に本刑務所を設置することに内定したのでありますが、その後当府に対し本
陳情の
趣旨が園長を通じて申入れがありましたので、さらに別の菊池恵楓園内の大体患者が満足し得る場所に変更して、目下設置の準備をしている次第であります。
次に
最高裁判所裁判官に関する
陳情につきましては、すでに御承知のように後任者が任命せられておりますので、別段申し上げることもありませ
次に
浮遊機雷による
災害補償法制定に関する
陳情について申し上げます。本件
陳情の御
趣旨は、一応ごもつともと拝承しますが、本件立法については、何分予算的措置を必要とするものであり、その他
諸般の観点より十分研究を要するものとし認められますので、御
趣旨はとくと拜承して、今後の参考にいたしたいと存じます。
総社町に
簡易裁判所及び
区検察庁設立に関する
陳情について申し上げます。本件は初めての
陳情でありまして、まだ現地の実情をよく調査ができておりませんから、早速
関係庁へ照会いたしまして
諸般の状況を調査中であります。調査の完了をま
つて、何分の考慮をいたしたいと存じますから、さよう御承知を願います。
第七〇一号、第七四〇号及び第七五二号の
改正商法施行延期に関する
陳情について、一括して申し上げます。今回の商法の
改正が、その規模においてまさに画期的であることは
陳情の
通りであります。この
改正法の
国会における審議に際しましても、この
趣旨の周知徹底を期するよう強く要望せられました。
政府といたしましても、この
法律の重要性にかんがみ、パンフレツトの
配布はもちろん、商工
会議所、弁護士会、裁判所、
関係官庁等に呼びかけ、
全国にわたる主要都市約四十箇所において、普及講演会を開催する等、できる限りの努力を重ねて参
つた次第であります。まえ民間実業団体等においても、すでに一昨年の八月の
法律案要綱発表以来、
改正法について熱心な研究をしており、かつ学者、研究家の
改正法に関する著書、論文等もすでに多数に上
つているのでありまして、
改正法運用に必要な知識は一応の普及浸透を見たものと
考えております。なお新たに施行法の立案に際しては、できる限り既存の株式会社がその
改正によ
つてこうむる不便不都合を除去することに努めておるのであります。従
つて政府といたしましては、七月一日より施行してさしつかえないものと
考えておる次第であります。
次に
人権擁護に関する
陳情について申し上げます。
陳情書記載の村八分につきましては、昭和二十四年八月二十三日三重県南牟婁郡新鹿村遊木浜田玉喜、大川奈良一より津
地方法務局に人権侵犯
事件として申告がありましたので、当局においては同局の受理報告に基いて現地に調査官を派遣して調査をなさしめたものであります。この
事件の起りました三重県南牟婁郡新鹿村遊木は戸数百八十五戸、人口一千余名の小漁村でありまして、わずか一日に二回程度の船便によ
つて他町村と連絡しておる状態でありまして、民情はきわめて封建的でありまして、本件の村八分もまことに深刻なものであります。本件は同部落における漁業会長兼敷網組合長たる浜田玉喜が、在職中その
地位を利用して取引先の各荷受所から操作金(やみ代金)を横領した容疑に端を発し、かねて
個人的感情から対立している現組合長畑中幸平、現漁業会長浜口隆治の発議によりまして昭和二十四年六月十四日の漁業会の臨時総会において、前会長浜口玉喜の非行を糾明することが決議された。その結果決議に賛成する者は、全面的に漁業会及び部落区を支持する
趣旨の声明書に署名調印を求められまして、全部落のうち百五十名は署名調印いたしましたが、浜田玉喜外九名はその調印を拒んだために、昭和二十四年七月二十六日の漁業会及び区の臨時総会におきまして、敷網組合の配当金並びに魚類の配給停止、区民との交際禁止の決議がなされ、同月三十日その旨前述の九名の者に通達されました。また九名のうち水産加工業大川奈良一に対しましては、加工用水産物原料の魚類の販売を停止し、敷網組合元会計係大川敏夫に対しましても、漁業会長浜口隆治の再三の呼び出に応じなか
つたことは、漁業組合の秩序を乱る行動として除名処分にすることを決議いたしまして、同会長の名におきましてその旨本人に通達したものであります。当
法務府
人権擁護局におきましては、この決議ないし申合せは、それ自体
個人の自由を侵すものでありまして、
人権擁護上看過しがたい事実であると
考えまして、現漁業会長浜口隆治並びに組合長畑中幸平に対しまして、すみやかにこの九名の組合員に対する人権を侵害するがごとき総会の決議ないし申合せを取消すとともに、該決議等に基く一切の行動を中止して、区民全般の融和のために円満解決するよう善処せられたい旨の勧告をいたしました。その後に至りまして当局におきましては、その勧告がいまた施行されない状況を察知いたしましたので、さらに津
地方法務局から現地に係官を派遣しまして、よく村八分の非を説いて、極力和解を試みたのでありますが、両者の根強い感情の対立から遂に円満解決を見るに至らなか
つたので、機の熟するのを待つことにいたしました。ところがたまたま先ほど申し上げました操作金の横領問題に関連いたしまして、所轄警察を経て津
地方検察庁木本支部に対し、本件両当事者から告訴がされておりましたので、津
地方検察庁検事正におきましても、告訴
事件の処理と並行いたしまして、村八分の紛争を円満に解決すべき旨申出があり、津
地方法務局長は検事正に本件の解決を一任いたし、検事正は現地におもむいて和解を試みましたところ、村八分の加害者たる多数派は検事正の
趣旨を了承いたしましたが、一方被害者たる少数派がこれに応じなか
つたため、全面的な解決を見るに至りませんでしたが、解決の曙光を見出すには十分であ
つたのであります。その後当局から津
地方法務局長に命じ、昭和二十六年五月十日より十四日まで村八分の経過の現状を調査させましたところ、一部の問題を除いておおむね平常に復しており、当初のような深刻な村八分の状況は、すこぶる緩和されておるとの報告を受けております。なお本件については引続き最後的な解決を得べく努力しておる次第であります。