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1951-03-13 第10回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十三日(火曜日)     午前十一時五十七分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君       鍛冶 良作君    佐瀬 昌三君       花村 四郎君    古島 義英君       牧野 寛索君    松木  弘君       眞鍋  勝君    山口 好一君       上村  進君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         検     事         (法務法制意         見第四局長)  野木 新一君  委員外出席者         專  門  員 村  教三君     ————————————— 三月八日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として梨木  作次郎君が議長の指名で委員選任された。 三月十二日  裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)(予) 同日  置戸町に釧路法務局支局設置請願林好  次君紹介)(第一一七〇号)  旧陸軍航空士官学校出身者の司法第一次試験免  除等に関する請願川野芳滿紹介)(第一一  七三号)  旭川地方法務局豊富出張所設置請願玉置信  一君紹介)(第一二一七号) の審査を本委員会に付託ざれた。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  参考人招致に関する件  商法の一部を改正する法律施行法案  (内閣提出第四二号)  裁判所職員定員法案内閣提出第六一号)(  予)  裁判所法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)(予)     —————————————
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  日程に入ります前にまず小委員補欠選任に関する件についてお諮りいたします。すなわち戸籍法改正に関する小委員住民登録法案起草に関する小委員及び商法の一部を改正する法律改正に関する小委員でありました梨木作久郎君は、去る八日に一旦委員を辞任せられ、同日再び委員選任せられたのであります。従いまして梨木委員さきに述べました各小委員たるの資格はすべて失われましたので、それらの小委員補欠選任を行わねばなりません。この補欠選任につきましては委員長においてそれらの各小委員従前通り梨木委員を御指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なければ各小委員梨木作次郎君を指名いたします。  それではただいまより本日の日程に入ります。日程中、まず裁判所職員定員法案及び裁判所法等の一部を改正する法律案一括議題とし、政府より提案理由説明を聴取いたします。大橋法務総裁
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま議題となりました裁判所職員定員法案提案理由説明いたします。この法律案は、裁判所職員定員に関する法律の全部を改正するものでありまするが、実質的の改正要点は次の二点でありまして、第一は、事件増加等伴つて裁判所職員定員増加することであり、第二は、家事調査官等定員定めることであります。  以下改正要点について順次御説明申し上げます。  第一点の定員増加のうちで、まず申し上げなければならないのは、判事判事補裁判所書記官及び裁判所書記官補増員でありますが、その大部分は家庭裁判所関係職員であります。家庭裁判所において取扱いまする家庭に関する事件及び少年に関する事件は、現下の社会情勢を反映いたしまして、ますます増加一途をたどり、昨年中に受理した事件は、一昨年に比較して約八%を増加し、家庭事件は三十六万余件、少年事件は九万五千余件の多きに上つておるのであります。  さらにこれに加えまして、本年一月一日から少年法適用されます限界が満二十歳未満まで引上げられることに相なりましたる結果、少年事件につき約一一〇%の増加が予想されまするほか、この新たに加わりました十八歳以上二十歳未満年齢層事件は、その取扱いが特に困難なことが予想されておるのであります。しかるに家庭裁判所職員は、現在すでに相当の負担過重の状態にありまするから、このような負担の増大に対処いたしまして、その職員増員いたそうとするのであります。  その他、地方裁判所における各職員増員も含まれておりますが、これは、主として民事事件増加に対処するためのものであります。  次に、少年調査官少年調査官補及び技官の増員でありますが、これも家庭裁判所関係のものでありまして、事件増加等に対処して、その取扱いの遺憾なきを期するためであります。  次に、裁判所書記官研修所教官の若干名の増員がありますが、これは現在不十分な同研修所の機能を一層充実するためのものであります。  次に第二点は、家事調査官及び家事調査官補定員定めることであります。これらの職員は、最近増加しておりまする家庭に関する事件審判及び調停に必要な調査に関する事務をつかさどらせる等のため、別途提案中の裁判所法の一部を改正する法律案により、新たに家庭裁判所に置かれることになつておるのでありますが、本案はその所要定員定めんとするものであります。  以上この法律案内容について大略御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  次に同じく議題となつております裁判所法等の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。  この法律案要点は、次の四項目に大別することができます。その第一は、家庭裁判所家事調査官及び家事調査官補を置くこと、第二は、家庭裁判所成人刑事事件に関する裁判権を拡張すること、第三は、裁判所職員の官の級別を廃止すること、第四は、裁判官以外の裁判所職員に関する事項について規定を整備することであります。  以下各項目について順次その趣旨説明いたします。  まず第一は、家事調査官及び家事調査官補制度新設であります。家事審判及び家事調停制度は、新民法の理念としておりますところの、個人の尊厳と両性の本質的平等とを基本として、家庭の平和と健全な親族の共同生活維持促進をはかるべき重大な使命をになつているのでありまして、この制度の発足以来、家庭に関する事件は年々増加一途をたどり、統計の示すところによれば、その増加の率は毎年前年度の約六割に達している実情であります。しかも、このような現象は、決して終戰後におけるわが国の特殊な社会事情のみに基く一時的なものではないのでありまして、今後国民の日常生活の中に新民法の精神が徹底普及されるにつれて、この種の事件はさらにその数を増加することが予想されるのであります。家事調査官及び家事調査官補制度は、これら家庭に関する事件調査を一層十分にし、その処理を一層懇切適正に、しかも迅速にいたすことを期するものであります。家事調査官は、裁判官の命を受けて家庭に関する事件審判及び調停に必要な調査をつかさどり、家事調査官補は、家事調査官事務を補助することをその職務といたすのであります。この制度は現在の裁判所調査官並びに少年調査官制度が収めております成果にかんがみまして、その将来に大きな期待と希望とが寄せられるのであります。  第二は、家庭裁判所成人刑事事件に関する裁判権の拡張であります。現行制度のもとにおきましては、家庭裁判所は、その取扱う成人刑事事件について罰金刑を科することはできまするが、禁錮以上の刑を科することができず、禁錮以上の刑を科するのを相当と認めるときは、その事件管轄地方裁判所に移送しなければならないものとされております。しかし禁錮以上の刑を科するのが適当かいなかをきめるためには、家庭裁判所でも相当詳細に調査しなければなりませんが、そのようにして調査した結果、約三割強の事件地方裁判所に移送されておる実情であります。これがため、この種の事件は、家庭裁判所地方裁判所とにおいて再度にわたつて審理されることともなり、ために訴訟の遅延を来す結果を招来しておりますので、これが改善をはかり、家庭裁判所は、この種の事件について禁錮以上の刑をも科することができるものとするための改正を行うことにいたしたのであります。  第三は、裁判所職員の官の級別の廃止であります。これは一般公務員については、すでに先般その官の級別が廃止されましたので、これに歩調を合せるためのものであります。  第四は、裁判官以外の裁判所職員に関する事項に関する規定の整備であります。裁判官以外の裁判所職員は、国家公務員法によりまして、昭和二十六年十二月末日まで一般職に属する職員とされているのでありますが、明年一月一日からは特別職となります関係上、現在同法において一般国家公務員について定められているような種類事項は、別に法律をもつて規定する必要があるわけであります。そのため、その趣旨規定裁判所法の中に設けることにいたしたのでありまして、この点についての特別法は、成案を得次第御審議をお願いいたしたいと考えております。  以上この法律案内容の概略を御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  5. 安部俊吾

    安部委員長 これにて提案理由説明は終りました。なお両案に対する質疑は、追つて後日に行いたいと思います。     —————————————
  6. 安部俊吾

    安部委員長 次に商法の一部を改正する法律施行法案議題といたします。前会に引続き政府から逐條説明を聴取いたします。野木政府委員
  7. 野木新一

    野木政府委員 それではただいまから前会に引続きまして逐條説明を申し上げます。  第十二條でございますが、新法によれば、株式額面、無額面の別は、株主名簿記載事項でありまして、これを形式的に解しますと、旧法によつて成立した会社についても、額面、無額面の別の不記載は第四百九十八條第一項第十九号に該当するかの疑いを生じますので、本條を設けまして、実務上の煩を省いたわけであります。  次に第十三條でございますが、新法に違反する株主名簿閉鎖期間及び基準日定めにつきまして、実際の便宜から経過的にその効力を認め、新法施行とともに、即時定款変更をする必要がないようにいたしました。すなわち本條によつて一般には新法施行最初定時総会において、この点に関する定款変更をすれば足りることになるわけであります。  次に第十四條でございますが、株券善意取得に関する経過規定でありまして、第二條第一項の原則から当然とも考えられるのでありますが、さきに第十一條について述べたと同様の理由から本條を設けたわけであります。なお本條但書は、本文が新法施行前に一度裏書によつて株券取得されると、その株券裏書による取得については、新法施行後も常に旧法第二百二十九條第二項の適用があるように解せられるのをおもんばかつた当然の注意規定であります。  次に第十五條でございますが、新法によりますと、監査役総会招集権を有しないのでありますが、本條は、新法施行前すでに監査役によつて総会招集通知が発せられておる場合には、その臨時総会については、監査役招集権限を維持せしめ、総会招集適法にする趣旨規定でございます。  次に第十六條でございますが、新法施行前に少数株主による総会招集請求があつた場合に、これによる総会新法規定する少数株主による総会とするための経過規定であります。これによりまして、新法施行後開かれる総会招集費用請求株主負担とすることができないことになるわけでございます。  次に第十七條でございますが、新法施行前に、総会招集通知が発せられ、または公告があり、その総会決議は、新法施行後になされる場合について、その決議の定足数、決議要件等は、新旧法のいずれによるべきかの疑いをなからしむるための規定本條第一項でございます。第二項は、新法施行によつて議決権を有することになつ株主については、右の総会については、招集通知及び公告を要しないこととして、新法施行により経過的な総会の開催に支障なきことを期したわけでございます。  次に第十八條でございますが、新法第二百四十五條第二項の規定は、主として株式買取請求権の行使との関連において、株主利益保護のために設けられた規定でありますから、本條総会招集通知または公告が同項の要件た欠いた場合でも、総会招集を不適法とせず、株主株式買取請求権を行使できるようにしたものであります。  次に第十九條でございますが、総会決議取消し訴え出訴期間の伸長に関する経過規定でありまして、新法施行の際旧法定める一月の期間が経過していない場合には、改正趣旨にのつとつて新法適用することにいたしました。  次に第二十條でございますが、新法施行の際現に在任する取締役任期については、その既得的地位を尊重し、かつ、会社業務運営の円滑をはかるため、新法施行後なお旧法通りといたしました、ただ残任期間が、新法施行の日から二年を越える場合は、新法施行の日から二年を経過した最初定時総会終結の日までとして、新法との調和と実際の便宜とをはかつたわけであります。  次に第二十一條でございますが、新法取締役会制度を採用し、その下に代表取締役なる必要的機関を設けましたが、本條旧法によつて会社を代表する権限を有する取締役を経過的に新法代表取締役とみなすことによつて、新制度への移行を容易にしました。第三項は、その場合における登記便宜的取扱い規定したものであります。  次に第二十二條でございますが、取締役新法施行前における行為責任について、第二條第一項の新法遡及原則を貫くことは、取締役にとつて酷な結果を生ずるきらいがありますので、本條第一項は、かような行為責任については、新法施行後も旧法によることを明らかにしました。ただ第二項及び第三項において、この旧法によつて発生した責任を、新法施行後に免除し、または追及せんとする場合には、いずれも新法定める方法によらしめることとして、新法施行後における免除及び追及について、新法取締役責任強化趣旨を貫いたわけであります。  次に第二十三條でございますが、新法旧法第二百六十七條第一項または第二百六十八條第一項の取締役に対する訴えにかえて、いわゆる代位訴訟を認めましたが、本條新法施行前にすでに取締役に対する訴え提起があつた場合には、第二條第一項但書趣旨従つて、その訴えについては新法施行後も旧法によることにいたしました。訴え提起請求した株主責任についても同様であります。  次に第二十四條でございますが、新法旧法第二百七十二條の認めた非訟事件手続による取締役職務執行の停止、または職務代行者選任制度を廃止しましたが、新法施行前に、すでに同條によるその請求があつた場合には、前條と同様の趣旨から、新法施行後も同條の適用を認めたわけであります。  次に第二十五條でございますが、本條新法施行の際に現に在任する監査役任期についての経過規定で、その趣旨は第二十條において述べたところと同様であります。  次に第二十六條でございますが、監査役新法においては、一時取締役職務を行う権限を失いましたが、新法施行前すでにかかる監査役定められた場合には、新法施行後もその権限を保持せしめることにいたしまして、新法施行によつて生ずる摩擦を避けた規定であります。  次に第二十七條でございますが、新旧両法は、会社取締役との間の訴えについて、会社を代表する者を異にしていますが、本條新法施行前にすでに訴え提起があつた場合には、新法施行後も旧法定め代表者代表権を存続させ、ただ会社新法によつて会社を代表すべきものを定めた後は、そのものをしてかわつて訴訟を追行せしめることといたしました。  次に第二十八條でございますが、新法による監査役権限縮小に伴う経過規定でありまして、新法施行前に監査役がその権限に基いて訴え提起等をしてやる場合には、新法施行後も引続きその手続を追行せしめんとするものであります。  次に第二十九條及び第三十條でございますが、これは取締役に関する経過規定中、必要なものを監査役に準用したものでありまして、監査役に対する訴えに関する規定を第二十九條に別條としておきましたのは、商法規定の体裁にならつたにすぎません。  次に第三十一條でございますが、第三十九條の規定により、日法によつて資本増加する場合において、株式発行費用の額の経理上の処理については、新旧法のいずれによるべきか、多少の疑いを生じますので、この額については、新法第二百八十六條ノ二を適用することを明らかにしたものであります。  次に第三十二條でございますが、第五條規定により新法施行後に成立する株式会社、または第三十九條の規定により新法施行旧法によつて資本増加する株式会社額面以上の価額で株式発行する場合の額面超過額について、前條と同様の理由から、新法第二百八十八條ノ二の適用を明示したものであります。  次に第三十三條でございますが第一項は、旧法によつて積み立てた準備金は、準備金に関する旧法における法律上の取扱いを参酌して、新法利益準備金として積み立てたものとみなしました。しかし会社によつて経理上の必要により、新法資本準備金にあたるものを区分し得るようにすることが適当と考えられますので、特に第二項を設けたわけであります。  次に第三十四條でございますが、新法授権資制度の採用に伴い、いわゆる建設利息に関する規定について、所要改正を加えているが、本條旧法により建設利息に関する定めをしておる場合に、そのまま新法に移行し得るための経過規定であります。  次に第三十五條でございますが、新法第二百九十三條の五の規定は、いわゆる附属明細書について毎決算期から四月内に作成備え置きを命じております。その期間起算点を明らかにしたものであります。  次に第三十六條でございますが、本條もまた監査役権限縮小に伴う経過規定であります。  次に第三十七條でございますが、新法社債発行取締役会決議事項としましたが、新法施行前にすでに社債募集決議がある場合には、その総会決議を尊重する趣旨において、その社債募集については、新法施行後も、旧法適用することにいたしました。  次に第三十八條でございますが、社債権者集合株主総会決議に関する第十七條第一項を準用した当然の規定であります。  次に第三十九條でございますが、新法施行前にすでに資本増加決議がある場合に、その後の手続新法新株発行規定によらしめることは、株主の所期するところと反するとも考えられるので、この場合には、新法施行後も旧法によることにいたしました。ただ登記については、第五條但書について述べたと同趣旨で、旧法登記にかえて新法による新株発行登記をするものとしました。かように第一項によつて資本増加旧法によるのでありますが、ただ新法第二百八十條の三に規定する新株発行條件に関する均等の原則は、かような経過的な資本増加の場合においても、これを無視するのは妥当でないので、第二項は、特に株金の拂込み期日が、新法施行後であるような資本増加については、新法第二百八十條の三の規定適用することといたしました。第三項は、第一項の資本増加の場合には、第六條の規定によつて定款定められているものとみなされた会社発行する株式の総数が、当然増加するものとみなすこととしました。第六條とともに定款変更を要せずして新法に適合させるための規定であります。  次に第四十條でございますが、新法施行前に、会社が特定の者に将来の増資の場合に新株引受権を與うべきことを約定している場合に、新法施行によつてその者の利益が害せられることのないように、新法によつて要求される新株引受権定めをする場合には、その者に新株引受権を與える旨を定めねばならぬことといたしました。  次に第四十一條でございますが、第三十九條に規定する資本増加の場合の取締役填補責任について、設立における発起人と同様に取扱つたものであります。  次に第四十二條でございますが、新法施行前に、すでにいわゆる転換株式発行定めた場合は、旧法による資本増加の場合であるから、本條第一項は、発行手続転換請求及び効力発生等旧法によることといたしました。第二項は、新法施行転換があつた場合、それによつて生ずる各種株式の間の数の増減を、第六條によつて定款定められているものとみなされた会社発行する各種株式の間の数の増減とみなすことによつて旧法による転換株式転換新法授権資制度に適合させたものであります。第三項は、転換があつた場合の登記新法下登記に適合させるための規定であります。  次に第四十三條でございますが、本條は、いわゆる転換社債に関する経過規定であつて、立案の趣旨は、大体において前條について、述べたところと同様でありまするが、ただ転換株式の場合と異なり第二項において、新法施行転換によつて発行すべき株式数をあらかじめ第六條の規定によつて定款定められているものとみなされる会社発行する株式数に加えるものといたしまして、第三項においてその数は転換に備えて留保せしめることといたしました。いずれも授権資制度に適合させた規定であります。  次に第四十四條でございますが、本條は、新法株式会社に関する規定を根本的に改正しておるので、本條は、合併後存続する会社または合併によつて設立する会社株式会社である場合について規定したものであります。第一項は、合併の一方の当事者たる会社について新法施行前に、すなわち旧法による合併契約書承認があつた場合には、相手方の会社は、合併契約書承認新法施行後にする場合でも、その合併については旧法適用することとし、ただその登記は、設立及び資本増加におけると同趣旨で、旧法登記にかえて新法登記をすることといたしました。しかし株主の権利を強化しようとする新法の立場から見て、新法施行後に合併契約書承認する株式会社については、株主株式買取請求権を認めるのが妥当と考えられますので、第二項の規定を設けたわけであります。  次に第四十五條でございますが、本條はこの法律中の必要規定清算人に準用したものであります。  次に第四十六條でございますが、新法株式合資会社制度を廃止しましたが、本條はこれに伴う経過規定であつて、第一項は、新法施行前に成立した株式合資会社には、新法施行後も旧法株式合資会社に関する規定適用することとし、ただ第二項において、これらの株式合資会社新法施行後に合併するときは、存続会社または新設会社株式会社でなければならないとして、第一項の規定に制限を設け、さらに第三項において、新法施行の日から五年を経過したときに、現存する株式合資会社は、そのときに法律上当然に解散するものとしました。すなわちこれらの規定によつて、これら企業形態として存在価値に乏しい種類会社の整理をはかつたものであります。  次に第四十七條でございますが、新法により日本において継続して取引しようとする外国会社は、営業所を設けてその登記をしなければならないこととなつたのでありますが、本條はこの登記に関する規定で、第一項は、新法施行前にすでに支店設置登記の存する場合、第二項は、支店設置登記のない場合について規定したものであります。  第四十八條は、外国会社支店閉鎖命令に関してこの法律解散命令に関する規定を準用したものであります。  次に第四十九條でございますが、第一項は新法施行前にした行為に対する罰則適用について、施行法一般則によつたものでありまして、第二項は新法罰金及び過料の額を引上げたこととの均衡上、この法律において旧法適用するとしている場合において新法施行後の行為旧法罰則規定適用すべきときは、旧法罰金及び過料の額を新法と同額に引上げ適用しようとする規定であります。  次に附則でありますが、附則第一項は、この法律施行期日に関する規定で、附則第二項及び第三項の規定を除く他の規定は、商法の一部を改正する法律施行期日たる昭和二十六年七月一日から施行することといたしました。  次に第二項でありますが、新法施行前に成立した株式会社について、新法施行前にあらかじめ新法施行の日に効力を生ずる定款変更をなし得るかにつきましては、理論上多少の疑義を生ずるおそれがあるので、本法は、新法施行前に成立した株式会社新法への移行を円滑にするため、かような定款変更を認めることを明らかにしたのであります。  次に第三項でありますが、第五條経過規定によつて旧法によつて設立手続中の会社について、その設立の経過において、新法に適合するよう定款変更することを認め、実際の便宜のために第五條規定に弾力性を與えた規定であります。第二項及び第三項は、右に述べたように、既存のまたはすでに旧法によつて設立手続中の会社について、新法施行前に新法への移行のための準備を可能にする規定でありますから、その施行をこの法律の公布の日として早めているわけであります。  次に第四項及び第五項でありますが、商法施行前に設立した合資会社は、商法施行法明治三十二年法律第四十九号第三十八條によつて商法施行後も存続を認められたものでありますが、商法の認める種類会社とは、一種別な構造を持つ会社でありまして、現在はほとんど絶無に近いと思われますが、今後そのままこれを認めることは必ずしも適当でないと考えられますので、今日株式合資会社と同様これを整理することといたしました。すなわち第四項は、他の種類会社への組織変更の道を開いた規定であり、第五項は、新法施行の日から五年を経過したときに現存するこの種類会社は、そのときに解散するものとした規定であります。  以上をもちまして簡單ながら逐條の説明を終ります。
  8. 安部俊吾

    安部委員長 これにて逐條説明は終りました。これより本案に対する質疑に入ります。御質疑はありませんか。——御質疑があれば本案に対する質疑は省略いたしまして、今日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  9. 安部俊吾

    安部委員長 参考人招致に関する件についてお諮りいたします。  猪俣浩三君より、明十四の日本委員会におきまして、犯罪捜査及び人権擁護に関する件について、田中警視総監及び古屋警視庁刑事部長を参考人として招致し、その意見を聴取いたしたいとの申出があります。  なお司法書士法改正に関する小委員長北川定務君よりは、同小委員会におきまして、司法書士会連合会の代表として、佐藤連合会長及び福家東京会長並びに相原名古屋会長を、また弁護士法改正に関する小委員長山口好一君よりは、同小委員会におきまして、弁護士会の代表として、有馬連合会長及び江川事務局長を、なおまた商法の一部を改正する法律改正に関する小委員長押谷富三君よりは、同小委員会におきまして、経済団体連合会事務局長の堀越禎三君、日本化学工業会長の原安三郎君、東京商工会議所の高瀬調査部長、全国新聞商法対策委員会の横田委員をそれぞれ招致して、意見を聽取いたしたいとの申出があります。以上の申出の通り、本委員会並びに各小委員会におきまして、それぞれの参考人を招致して意見を聞くことと決するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めまして、そのように決します。  なお、本委員会において意見を聞きまする参考人招致の日時は、明十四日午後一時といたしたいと思いますが、各小委員会において意見を聞きまする参考人招致の日時につきましては、委員長及び当該各小委員長に一任を願いたいと思いますが、このようにとりはからうに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認めます。よつてそのようにとりはからうことに決します。  本日はこの程度において散会いたします。次会は公報をもつてお知らせをいたします。     午後零時三十五分散会