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天野国務大臣 私はこれは非常にむずかしい問題だと思つております。ですから、諸方の御意見を伺いまして、愼重にこれをきめて行きたい。だから、今私がここで結論的なことを言う時期にはなつておりません。けれども、せつかくのお尋ねでもありますから、大体こういう線がよくはないかという、まだこれからかえ得る余地のある意味において、お聞き取りいただきたい。
短期大学については、私はやはり短期大学というものは必要だと思うのです。人間には、それぞれの性質があつて、学問を一生やることが適した者もあると同時に、早く社会に出て活動することが適しておる人もあります。だから、そういう早く社会に出て活動するという人のためには、短期大学というものは非常にいいのではないか。そうして一ぺん社会に出てそこで働いて、また現場からその人を上の
学校に入学させてくれるというふうにすれば、学問というものと実際というものを媒介することができるのではないか。今のような状態に置いておくと、何か大学というものと実際と離れてしまうという危険もあるし、そういう意味では、一ぺん社会に出た者を再
教育するということを、もつとずつと、非常に大規模にやりたいという考えを、私は持つておるのであります。
ついでにここでつげ加えさせていただくと、現在再
教育ということは、それ、それの省でやつております。御承知のことと思いますが、運輸省であろうと、電通省であろうと、それぞれやつております。けれども、そこへよい教授を集めて再
教育をやるということは非常にむずかしい。どういうところでも、たとえば、哲学なんというものも科目の中に入りますけれども、そういうところへ行つて教える哲学の適当な教授というものが、なかなかいない。それをどつかへ一まとめにして再
教育するということも、非常に必要なことではないか。あるいはまた、
学校の先生なんかについて見ますと、
長野県は留学生を出しますけれども、受入れ態勢がない。それをちやんと受入れる態勢をつくつて、教員の養成をやるということが非常に有利だ。最近では、京都大学はそういうことをやつておりまして非常に効果をあげておる。そういうように、早く
学校を出て、またほんとうに学問をやりたい人間、同時に、もつと進歩したい人間、ただ資格をとりたいためじやなくそういう意欲を持つた人間を集めた再
教育という意味では、上の方をやることもよいことであるから、私は短期大学というものは、そういうふうに発展させたらどうか。上へ行く予備校ではなくて、ここで完結した——最近この国会で問題になつております産業
教育の振興というようなことも、短期大学というようなものを利用すれば非常によくやれるのであります。そういう考えも一方に持つております。と同時に、六・三・三・四という線は、これは先ほど言いましたように、確保する。従つて、
地方にできました大学も、できるだけこれを何とか擁護して、その線に沿うて、伸びれるようにする。一ぺんつくつてしまつたものを、みだりにやめるということは、できる話のものでもないし、またしてはいけないことであるから、これはできるだけ擁護して育てるようにする。けれども、どこの大学もいろいろの科目をみな持つということは、
財政力があつたところで、教授力がないのですから、ある大学はどういう科目を特色にするということによつて、それぞれのブロックがほんとうにみんなが一つの特色があるから、集まつて総合大学になれるというように、この四年制というものを構成して行くことが必要じやないかという考えをもつて、大体においてそういう四年制のできた大学は、これを助成して行こうという考えでございます。けれども、なおよく諸方面の意見を伺つて事をきめたいというつもりでございます。