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1951-05-28 第10回国会 衆議院 文部委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十八日(月曜日)     午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 若林 義孝君    理事 小林 信一君 理事 松本 七郎君       柏原 義則君    佐藤 重遠君       高木  章君    東井三代次君       飛嶋  繁君    圓谷 光衞君       井出一太郎君    笹森 順造君       渡部 義通君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 天野 貞祐君  出席政府委員         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (大臣官房会計         課長事務代理) 相良 惟一君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (管理局長)  久保田藤麿君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君         專  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 五月二十五日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  坂本泰良君が議長指名委員に選任された。 同日  委員坂本泰良辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長指名委員に選任された。 五月二十六日  委員前田榮之助君辞任につき、その補欠として  佐々木更三君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十七日  委員岡延右エ門辞任につき、その補欠として  田中萬逸君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員田中萬逸君及び本間俊一辞任につき、そ  の補欠として岡延右エ門君及び佐藤重遠君が議  長の指名委員に選任された。 同日  岡延右エ門君、若林義孝君及び小林信一君が理  事に補欠当選した。     ――――――――――――― 五月二十三日  国旗の祝日並びに国旗憲章制定に関する請願(  村瀬宣親紹介)(第二三一七号)  幼稚園の国費設置に関する請願堤ツルヨ君紹  介)(第二三一八号)  教職員結核対策強化に関する請願岡良一君  外一名紹介)(第二三五六号)  伊豫田與八郎及び西澤真藏両氏の事績を教科書  教材として採用の請願千賀康治紹介)(第  二三五七号)  教育公務員特例法の一部改正に関する請願外十  二件(坂本泰良紹介)(第二三五八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  閉会審査に関する件  文部行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選挙を行います。委員岡延右エ門君、小林信一君、若林義孝君が委員辞任されましたので、理事が欠員となつております。理事選挙はその手続を省略し、私より指名いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長野長廣

    長野委員長 それでは    岡延右エ門君  若林 義孝君    小林信一君を理事指名いたします。  速記を中止してください。     〔速記中止
  4. 長野長廣

    長野委員長 それでは速記を始めてください。  次に、閉会審査に関する件を議題といたします。当委員会といたしまして、教育問題に関し現下幾多の調査すべき事件もありますので、閉会審査申出議長に対しいたしたいと存じますが、申出をすることに決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。  なお審査方針に関しては委員長に御一任お願いいたします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 長野長廣

    長野委員長 これより文部行政に関する件を議題とし、文部大臣に対する質疑を許します。松本君。
  7. 松本七郎

    松本(七)委員 この機会に大臣に明らかにしていただきたいと思いますことは、この前のリッジウエイ最高司令官の声明によつて、今後占領政策というものが、ある程度緩和と申しますか、変更するについて、日本政府相当の自主権が與えられるということでございます。これについて大臣新聞紙上に語られたところその他で、新しい六・三制が相当変更になるのではないかというようなことを、世間一般考えられておりますが、それが第一でございます。  新聞では六・三制の基本線はかえないのだ、特に六・三・三・四の最後の四について、よほど変革があるように伝えられております。その具体的な構想が、すでにおありでしたら、それを明らかにしていただきたいというのが第二点。  それからもう一つは、これもやはり今までの占領政策の、特に文部省関係の重大な改革一つであります教育委員会制度、これが今まで教育委員会をつくつて、いかにして教育委員会を強化するからということが、今まで文部当局考えておられたことであるし、またわれわれとしても、文部委員会制度をりつぱに運営するためには、どうしても財政的な権限というもの、いわゆる予算権というものを教育委員会に與えなければ、これが有名無実なものになつてしまう。一番根本問題が、依然として解決されずにあるわけなんです。ところが今後日本政府が自主的に日本国情合つた制度にやつて行こうという場合に、この教育委員会を強化する方針で進まれるのか。もしそうだとすれば、特に予算の確保の問題を、文部大臣はいかように解決されようとするか、その点を明らかにしていただきたいのであります。それと教育委員会の問題では、町村に設ける教育委員会制度は、今後どうされるか、一応この三つの点をお伺いいたします。
  8. 天野貞祐

    天野国務大臣 第一の点でございますが、この六・三制の本筋は、どこまでもこれをかえないで維持して行かなければならないと思います。しかし、何か修正さるべき点があるならば、自分たち国情に合うように修正すべきである。こういうことは、この国会において私が答弁したところでございますが、今もその通り考えなんです。新聞に出ましたのは、私が談話をしたわけでもなんでもなくして、新聞が臆測をもつてああいうことを書いたわけであります。私は六・三・三・四というものについては、よほど研究を要するものがあると思つてつて、その研究をしておる最中で、まだかえるとかどうするとかいうことは、考えがきまつておりませんということが、第一の質問に対してのお答えでございます。  第二の、教育委員会というのは、おつしやるようにいろいろ不備な点があると思います。財政権の点なども、その一つであると思います。選挙の仕方というものについても、また考慮がいるのではないかと思います。現在そういう点を根本的に研究するために、教育委員会協議会というものを文部省に設けて、そこで研究をしてもらつております。  それから第三の点についても、やはりその協議会において研究を頼んでおるので、まだ成案を得ておりません。
  9. 松本七郎

    松本(七)委員 第一の六・三制の問題ですが、もし悪いところがあれば改めようという漠然とした考えのようですが、新制大学については、いろいろな問題が起つておるようです。最近では、御承知芸術大学音楽部で、何かごたごたしておるようですが、芸術大学については、音楽学校美術学校を一緒にしたことか問題だというようなことも、しきりに言われておるようです。特に教授会の問題は、新制大学一般についても、あるいは言えるのではなかろうかと思うので、お考えを伺つておきたいのですが、特に音楽学校のようなところでは、正式の教授よりも、むしろ非常勤の講師の方にりつぱな音楽家がたくさんいるわけです。そういう人の意見を尊重しないで、普通大学と同じように正規の教授だけがすべての学校の運営をやろうというようなことをやつて来ると、そこに無理が生ずるのではなかろうか。今度の問題も、そういうところから端を発しておるのではないかと、外部から想像するのですが、その問題紛争実情を御存じでしたら伺いたい。それに対して、将来こういう問題が起らぬようにするには、どういうふうにあるべきかということに触れていただければ、この際伺つておきたいと思います。
  10. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、私見としては、芸術大学というものは、普通の大学とは性質の違つたものではないかと思つております。ところが、教授会ということになりますと、やはり教授がその責任を持つておるのですから、教授が主となつて行くということは、当然のことではないかと思いますが、ただ音楽学校においては、たとえば入学の考査などのときには、教授だけではなくして、専任講師といいましようか、そういうおもな講師は、それにあずかつておるというふうに私どもは聞いております。なお局長がおりますから、それ以上詳しいことが必要でしたら局長から……。
  11. 松本七郎

    松本(七)委員 それはごく簡単でけつこうですが、何か入学試験のことについても、そういう専任講師を除外して、教授ばかりできめるというようなことを、学長がきめたというふうに聞いておる。そのために講師団から問題が起きて来ておるように聞いているのですが、どうですか。
  12. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はそう聞いておりません。教授だけでなくして、講師の方も中に加わつておるというように聞いております。
  13. 松本七郎

    松本(七)委員 それから第二の教育委員会の問題ですが、これについては、すでに今度の当選された知事の中からも、何か教育委員知事の任命がいいというような意見も、すでにぼつぼつ出ておるようです。この教育委員会制度については、最初から相当無理があつたように考えておりますので、どういうふうにこれをやるのが、一番日本国情合つた行き方になるか。世間では日本自主性を持たれるにつれて、相当改革がなされるのではなかろうか。特に新しく選挙された知事が、そういうことを、少数ながらも新聞紙上に発表するとなると、そういうことが非常に敏感に影響いたしますので、やはり大臣教育委員会制度に対する考え方というものを、ごくあらましでもけつこうです、ただ協議会研究をまかせるということだけでなしに、大臣としての何か御抱負なり、経綸なりがあろうと思いますから、その点を伺つておきたいと思います。
  14. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、やはり私の答弁も非常に影響するところが多いから、軽卒に答弁をするということも、できないように思うのです。要するに、私も自分考えは、協議会の結果を待つてきめたいというふうに思つておるのです。ただここに私見を言うことが許されるならば、財政の問題とか、選挙の問題とか、そういう事柄、また市町村にすべて設けるべきものであるかどうかというようなことは、これはさしあたつて非常に問題になる点だというふうに考えております。
  15. 小林信一

    小林(信)委員 この際二、三お伺いしたいのですが、最初定時制高等学校の問題です。最近これに該当する勤労青年の関心が高まりまして、各所に分校設置が見られて来ておるのでございます。しかし小学校等を利用するような、あるいは中学校を利用するような形で校舎等が置かれておる点から、もう少し青年諸君の熱意に応ずるような誠意が、政府並びに地方自治団体におきましてもほしいような感がするわけでありますが、最近の傾向からしてこの施設あるいは先生というふうなものについて、文部省当局で何か自然の推移に従つて考慮なさつておるような点がありましたら、お伺いしたいと思います。
  16. 天野貞祐

    天野国務大臣 定時制高等学校というのは、私は新学制にとつて非常に重要なものだと思つております。けれども、ただ小林さんも御承知のように六・三建築とか、そういうところに力をとられてしまうものですから、定時制高等学校の方が、ややもすると重点をそれるという、そういう傾きになつて来ておるので、私はこれは非常に重要なことで、ぜひもつと拡充して行きたいという考えでおります。
  17. 小林信一

    小林(信)委員 実際は非常に深刻なものが各地方に見られるのですが、実情等を御調査願つて、これに対しては適切なる御処置をお願いしたいのです。そこで地方学校等から要望する点を二、三申し上げて、もし当局の方でお考えがありましたら御返答願いたいのです。  先生の場合ですが、分校等になりますと、主として主事というのが、その責任を持つておられるようですが、しかし、やはりその全責任権限というものは校長にある。校長は本校におつて監督しておるような状態なんですが、やはり事務的には、もつ主事等権限を持たせてもらわなければならないというようなことが言われておるのです。こういう機構については、どういうふうにお考えになつておられるか。  それから、最近電気料が、市町村等は――市町村ですか、とにかく負担に耐えない、こういうことを言つておるのです。また電気料金が値上げになると、相当長時間、しかも多量に電気を使うのですから、この青年諸君の勉強を、なるべく国家においても誠意をもつて迎えるためには、何とかこれに対して特別な処置をしてほしいというようなことが言われておるのです。  それから役所とか会社等に勤めておる諸君退庁する時間を待つたのでは、学校に行くことができないので、四時半ぐらいを限度にして退庁させてくれということを要望しておる。これは人事院においても、何か強硬なものを持つておられるそうですが、そういうことは絶対にできないというので、始業時間に間に合わないというふうなことがあるのですが、何かこういうことについて特別な御配慮が願えるかどうか  それからこれは私もいろいろな弊害が伴うと思うのですが、学生のアルバイトに対しては、一応税金名所の形がとつてある。しかし、この定時制免除の形がとつてある。しかし、この定時制高等学校に就学する君は、必ず何か仕事についておるわけなんですが、そういう諸君免税というようなことは考慮できないかと言われておるのです。以上の点につきまして何か御考慮されることがありましたら、お伺いしたいのです。
  18. 天野貞祐

    天野国務大臣 主事の点ですが、私はこれは人によることではないかと思うのです。りつぱな主事なら、それでも幾らでもやつて行けることで、私は人によることだと思います。この点はとにかくそこで責任を持つておるのですから、その人を得さえすれば、十分やれるのじやないかという考えです。  それから、二番目の電気のことは、おつしやる通りでございますが、しかし地方庁のことで、文部省からそれをどうということは、むずかしいのではないかと思うのです。  それから早退のことですが、これは中央の官庁では、人事院の了解を得て、やつておるそうでございます。ただ、これにつきましては、私も育英会長の経験があるのですが、とにかく晝間学校に行つておる連中は、夜アルバイトをやるわけですが、逆に晝間仕事をして、夜、学校に行くという人は、ある意味で、人からかつてになりやすいと言われるのです。ほかの人はいつまでも仕事をしておるのに、途中から帰つて行くのですから、よほど注意深くやらないと、ほかの人にさわりを起すというおそれがあります。しかし私は、できればそういうふうに早くしてやる方がいいと思います。  それから、次の免税のことですが、これも今のことと関連して来るのですが、アルバイトの場合とは違うように思うのです。こちらは割合しつかりした俸給をもらつておる、その俸給まで免税せよということはどうか、研究を要する。今自分意見をちよつとここでは述べかねますが、よく研究してもらいたいと思います。
  19. 小林信一

    小林(信)委員 御考慮していただいておる点、ありがたいと思いますが、しかし最初主事の問題も、人の問題だとおつしやられるのですが、そこに現在の定時制高等学校に対する見方というものが、問題になつて来るじやないかと思う。やはり高等学校分校というふうなことは、ともすればこれを軽視するきらいから、そういうところにはよい人が得られておらないということが、現状ではないかと思うのです。やはり大臣がおつしやるようなところが問題でありまして、結局そういうところへりつぱな人が行つていただけるようなぐあいに、定時制高等学校を重視する態度が、私は必要だと思うのです。定時制高等学校の現在の授業課程等を見ますと、もつ地方に即した、青年諸君の実際社会活動に直接関係のある指導というものが、もつと重視されなければならぬ。それには人を得ることと、やはり施設等も充実して行かなければならぬ点があげられるだろうと思いますが、結局これをいかに重視するかという問題でありまして、そこに人が得られるんじやないかと思います。人が得られなければ、私が心配するような問題で、どうしてもらちの明かない点が出て来る、こういうふうに思うのであります。それから電気料金の問題を申し上げたのですが、こればかりでなく、いろいろ便宜をはかつてやらなければならぬ点が多々あるように、私は感じております。それから退庁の問題は、これはいろいろ弊害もあることですが、やはり公務員諸君に十分に勉学させる意味からしては、学校官庁との連絡というようなことも、これは教師あたり責任でもありますが、官庁においてもこれに協力するような態勢をとつて、たとい退庁時刻を早くしてやつても、それを放任しておつたらやはりだめなんですから、そういう連絡等も十分とることにして、なるべく授業を十分に受けられるように御配慮願いたいと思うのです。何にしても定時制高等学校の存在というものは、通学距離というものが、ほかのものに比べて相当遠いのですから、先生におきましても、生徒におきましても、そういう点も当局において御考慮願わないと、十分な授業ができない。勢い、学校はありましても、これに対して魅力を感じないような形になるので、十分御考慮願いたいと思います。  もう一つお伺いいたします。これはやはり新聞等で拝見したものですが、オリンピックへの選手派遣の問題でございます。これはすでに正式に招請状が来ておるのかどうか、この点まずお伺いしなければならぬと思うのです。新聞等で見ますと、相当派遣費の問題で心配しておるようですが、中には八千万の国民から一人一円ずつとれば、もう八千万円できるのだ、それくらい今度は熱を入れてやる必要があるということを言つておられるのですが、そんなことをしてまでも捻出する必要があるか。もつ政府におきまして、この問題は重視されるだろうと、私どもは想像はしておるのですが、過去幾つかの選手を外国に派遣した終戦後の実績から考えてみますと、相当国民外交というふうな点からして、実績をあげておるのですから、今回のオリンピックへ正式に派遣できることについては、文部省としては、相当協力していただけると思うのですが、これにつきまして、費用が一億二千万円かかる。しかし一億二千万円でも、十分に選手を派遣することができなくて、ある種目については、残念ながら省かなければならぬというようなことまで言つておるのですが、私たちとしては、できるだけ当局の御配慮によつて協会等希望が達せられるように御努力願いたいのです。とにかく確実であるかどうか、これに対して、文部省当局としましてどんな御配慮をなさつておるか、お伺いしたいのです。
  20. 天野貞祐

    天野国務大臣 先ほどの定期制高等学校についての考えは、私は小林さんと同じです。一体学校のことというと、学校に行ける者のことばかり心配して、行けない人たちのことを考えないというのは、非常にいけないと思う。だから定時高等学校などに対して、大いに力を入れなければならぬということは、私は平素からそう考えておるのです。ただ六・三建築とかいろいろなところで手がまわりかねておりますが、なお注意して研究し、定時制高等学校がりつぱにやれるようにして行きたいと思います。現に長野県などでは、相当りつぱにやつております。  それからオリンピックのことでは、まだ招請状は来ておらないそうでございます。しかし加入は許されておるということでございますから、私たちの方では、それに対する費用は、さしあたつて予備費で出す、その先になれば予算組むというようなことでもつてやりたいと思つております。ただ日本現状からいつて、非常にはなやかなことはなかなかむずかしくはないか。しかし国情に沿うたような線で、できるだけのことをしたいという考えであります。
  21. 小林信一

    小林(信)委員 大体大臣のお考えになつておる点はそれでわかるわけですが、私たち希望するところは、もちろんはなやかな派遣費というのは、私たちも欲するところでありません。が、しかし選手を厳選して、今日の国際情勢下においてできる範囲は文部省が心配するとか、あるいは半額を建前にするとかいうふうな御意中を、私は承りたいのです。
  22. 天野貞祐

    天野国務大臣 今までの例によつても、御承知のように、政府はいつでもそのために心配いたしております。今後のことについても、そういう心配をしたいと思います。
  23. 小林信一

    小林(信)委員 なるべく早く文部省としても、これに対して積極的な援助をするような態度を示していただきたいと思うのです。今のようなお話では、御誠意はわかるのですが、何となくまだ国民としては不安だと思うのです。おそらく選手とかあるいは協会とかいう問題ではなくて、国民全体は、これに対して国民外交として、この際日本もそういう点に復帰できるのだということで、相当希望を持つておるのですが、簡單に選手が跳びつこをするとか、あるいは走るとかいう問題ではないのです。国際的な立場を回復するという点で希望を持つておるのですから、もつ文部省としても、はつきりしたものをお示し願うことが、この際必要だと思うのです。  それから定時制の問題にいたしましても、今大臣が、何か具体的なものをお示しになられるというふうな、構想を練られるようなお話ですが、やはりこれも実際具体的なものを、もう少し明示していただきたいと思います。  この際、もう一つ承りたいのですが、これは学校事務職員です。今度特例法が出されるにつきまして、非常に全国から希望が集まつておるのです。それは事務職員一般教職員と同じように、特例法で身分を取扱つてもらいたい。採用される場合も、採用されてから執務する場合も、みんな教員と同じようにわれわれは取扱われておるのだ。従つてたちについて、特例法によつて一般官庁事務吏員と同じような立場でなくて、教員と同じような取扱いをしてほしいというふうな意向があるのですが、当局としてはどういうふうにお考えになりますか。
  24. 天野貞祐

    天野国務大臣 オリンピックのことにつきましては、私も、ただ個人的に勝ち負けするというふうには考えておりません。たびたび述べておるように、世界がこういうふうに争つているときでも、スポーツについては、すでに平和が来ているような、これは非常にわれわれに将来の世界の平和というものの希望を持たせるような意味があつて、非常に重要なものだというふうに百分は考えております。だからこの点については、はつきり今どれだけということはできませんけれども、できるだけのことはいたしたいと考えております。  それから、今おつしやつた事務職員のことは、実は私も非常に考うべき点であるとは思つております。どういう学校でも、とかくその点について不満足な意見事務当局にあると思うのです。けれども、今さしあたつては、教壇に立つ者だけが、教職員というふうに考えていますから、これは一つの将来の研究問題だというふうに考えております。
  25. 小林信一

    小林(信)委員 ついでに、こまかいことをお伺いしたいと思います。大臣でなくてけつこうです。過日大臣が六・三建築構想として、現在の〇・七坪に満足しているものではない、しかしその〇・七坪すら実現できないのだけれども、もしできるなら、近い将来において〇・九坪までは獲得したい、こういうふうにおつしやつたのですが、地方実情を見ますと、新制中学の方が、一応独立をしておるところが、たくさん出ておるわけなんですが、それがやはり最近の情勢から、教室に挾隘を感じておるわけです。たいがい補助金等の制限がありまして、町村自体で責任を持つてやつたのですが、なお特別教室等におきましては不自由を感じておるし、また生徒の増加の点から、増築しなければならぬような状態になつておるのです。こういう場合に、〇・九坪というようなことが、もし当局の方から予算が獲得されてこれが地方に行つた場合、やはり前と同じように、小学校・中学校を通して、その坪数というものを考えて、そして〇・九坪を基準にして、そこにまた不足の分があるならば、これに対して補助をするというふうな態度をとられるか。一応新制中学は独立したのだから、新制中学が不足の教室を建てる場合には、新制中学自体の中で〇・九坪を考えて行くのか。地方でも相当この態度は――〇・九坪ということを知つているわけではありませんけれども、そういうふうな御処置が願えるかどうかを期待しておるようですから、この点をお伺いしたい。
  26. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 ただいま御指摘のように、中学校・小学校を通じて〇・七ということを申しておりました時代は、ちようど一番最初のドツジ予算で、六・三制の予算関係が全部切られたときの第一の計数であつたわけでございます。その後〇・七の計数が小・中学校、ことに高等学校も、そのときは通算してございましたので、事実上非常に困難な、無理な計数だということを、私どももよくわかつておりましたから、引続いてその補正、修正をいたして来ておりまして、現在は〇・七の計数は、中学校高等学校のごく一部に通じた計数だということになつておりますので、御指摘のように〇・九に持つて行きます時分の計数の立て方は、中学校を独立に計算をして、〇・九という形に持つて行かねば相ならぬと思つております。しかしそれの持つて行き方の具体的な方法としては、先般来御審議願つております産業教育法の趣旨もございますので、それらとにらみ合せて、〇・九まで内容を盛り上げたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 小林信一

    小林(信)委員 それはたいへんに地方は嬉しく思うと思いますが、これと同時に地方では今まで非常に無理をしておりまして、非常に狭隘なところに運動場も狭くとつてあるし、校舎も一ぱいにとつてあるのです。それでこれからおいおい内容を充実して行こうとする際には、やはり一番問題になるのは、敷地の問題なんです。ところが、この敷地が依然として農地法に制約されて困難を来しておるのです。再びここで第二段階に入つて、校舎の整備あるいは運動場の整備ということに、各地方ともかかると思うのですが、この際土地問題につきまして、何とか御配慮ができるかどうか。これはやはり地代において考慮しなければならないものかどうか、お伺いしたい。
  28. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 御指摘の校地の問題は、六・三の最初からからんで来た重大問題でございまして、当初は、予算関係でも、起債関係でもごくわずかの金額で土地問題を見ておつたわけでございますが、御存じの通り、何しろ土地の実際の公定価格と申しますか、農地法の関係から見ますと、公定価格はせいぜい坪一円足らずといつてみたり、場合によつては一円少々出るというようなもので、形式的にそれを出しますことは、むしろ全国の計数から見れば、ある程度の金額を組みながら、単位の学校で見ますと、非常にばかくさい金になつてしまいますので、むしろそれよりは実際問題に合して、当面一番きつい教室の問題に行きたいということのために、土地の関係というものは、予算関係、起債関係から一応はずれた形になつておつたのでございます。ただいま御指摘のように、〇・九の問題を進めて行こうとしますと、土地問題が当然そこに頭を出して来ますので、この〇・九を押し上げて行く一つ基本線になる問題で、従つて、これは何らかの方策によつて、解決して行く一つの曙光を見出さなければならぬと思います。今問題にはいたしておるのでございますが、確かにこれによつてこういう形にいたしますというところまでは、まだ参つておりません。
  29. 小林信一

    小林(信)委員 これは農地法の方で考慮されるか、さもなければ今局長さんがおつしやつたように、予算の方で相当心配をされることが必要だと思うのですが、実際今お話なつたように、いくら学校の敷地であろうとも、決して公定価格で讓つたような実績はないのです。大体一反歩十万円とか、十五万円とかいうようなことで、売買のような形をとられておるのです。こういうところに地方では、六・三予算というものについて目に見えない犠牲を拂つておるのです。こういう点も、今度〇・九坪というような構想がもしあるとすれば、やはり十分考慮していただかなければ、目に見えない大きな障害になつて来るのです。ただいまお話を聞いたのですが、なるべくこの問題は積極的な御研究をお願いしたいと思います。以上です。
  30. 圓谷光衞

    圓谷委員 過日新聞で見たのですが、実は中・小学校校長、教育者に対して、大学あるいは高等学校と同じ俸給を出さなければいけない。これについては今、人事院と交渉しているということが新聞に出まして、地方の中・小学校の教育者は非常に喜んで、実に偉い大臣であるということまで言つておるのですが、これについて、その交渉の結果とか、見通しというようなことは、今どんなふうになつているかお伺いしたいのです。
  31. 天野貞祐

    天野国務大臣 私が人事院に行つたものですから、たまたまそういうことが新聞に出たわけでございますが、私はこういう考えを前から抱いております。それは小学校あるいは中学校でも、高等学校でも、そういう校長さんが、たとえば十二級しかしれないとか、十三級しかし上れないとか、そこに制限をつけてしまうというのはよくない。大学の学長と同じところまで上れるという、そこに可能性をつくることが必要である。すべての小学校長を、それで、待避しよりという考えではございません。それはとうてい不可能だと思います。けれども、ある人はそれになれるのだ。小学校長というものが、社会から尊ばれるようになることが、教育を盛んにする上に非常に望ましいという、そういう考えでございます。どこまでも、そこに可能性を開こうという考えで、すべての校長をそれにしようということは、私は現状においては無理だと思つておりますが、そういう考えを淺井さんによく話しましたところが、非常に同感だ、できるだけそういう線に沿うて考えるということであつて、いつどうなるという御返事は、まだもらつておりません。今後もその線に努力したいという考えであります。しかし、つけ加えて申しますと、校長のことばかり考えて、一般教員のことを考えないのではないかという類の質問をされた方がありますが、決してそういう考えではないので、一般の教員俸給というものは、ぜひよくしたい。そのために教育公務員の俸給の別表をつくりたいというような考えを長く持つておるので、校長についてそういうことを述べたというのは、一般の教員を粗略にするという意味でないということを、つけ加えさせていただきます。
  32. 圓谷光衞

    圓谷委員 まことにけつこうなお考えである。教育者に人材が入つて来ないというのは――もと陸海軍の将兵が、学生、青年のあこがれの的であつたのは、陸海軍の将兵には、下は一兵卒から大将になれる俸給令ができておつた、つまり天井がどこまでも青天井になつておつたというところに、非常に魅力があつたということを、私調査して知つたのです。今回の文部大臣考え方は、非常によろしいと思います。しかしながら、それを実施するにあたりまして、人事院に行つて頭を下げてどうかしてくれ――これは国策として非常にいいことであるが、人事院考慮するということは、私ふに落ちないのです。これは法的措置によつてそういう俸給令の改正ができないものであるかどうか。一切人事院の了解を得て、人事院でわくをきめてやらなければできないものであるか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  33. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、これはやはりやむを得ないと思うのです。人事院がそれをやるように法律でなつておるのですから、人事院の了解を求めないでかつて文部省でやるわけには行かないので、いたし方ないと思う。人事院に了解を求めるということは、何もさしつかえないことだと思つております。
  34. 圓谷光衞

    圓谷委員 現在においては、人事院でそういう問題を取扱つて行くからけつこうですが、結局これは俸給令の改正の問題だと思うのです。それは国会においてできると思うのです。現在のあれは人事院でしようが、しかしこういういいことであれば、立法をいたしまして、それができないかということなんです。文部大臣がそういうお考えを持つておるならば、おそらく野党においても不賛成の方はないと思うが、こういう処置はできないものでしようか。
  35. 相良惟一

    ○相良政府委員 私がかわつてお答え申し上げます。現在の給與は、国家公務員法の規定に基き新給與実施に関する法律というのがございまして、その法律がまた人事院に細則の決定をゆだねております。人事院細則であるとか、あるいは人事院規則によつて俸給の表が定まつておりますので、法律ですぐそれを改正するわけにいかないようになつております。
  36. 圓谷光衞

    圓谷委員 前に社会党内閣のときであつたのですが、あの当時は、文化委員会と文教委員会の二つにわかれておつたのですが、国民の祝日を決定する場合に、もちろん文教委員ともその問題については連合審議があつたように記憶しておるのですが、そのときに、紀元節があれから脱けたのであります。しかし現在日本国民の輿論その他から見まして、日本の国の誕生日である紀元節、これをどうしても祝祭日に入れたいというのが国民の要望であるのです。もちろんその理論とするところは、日本の紀元節の二月十一日ですが、これは歴史的に根拠が薄いとか、いろいろ当時話があつたようでありますが、この紀元節を設置いたしたいということを考えておるのですが、文部大臣としてはこれはどういう方法で行くか。結局国会において文部委員が議員提出か何かの形でやつた方がいいと、自分としては考えておるのですが、これについて文部大臣のお考えを承りたいと思うのです。
  37. 天野貞祐

    天野国務大臣 私も、一つの国が独立して立つて行くのには、何かやはり建国日というようなものが必要ではないかと思つております。ただその日をいつにきめるかということは、これはまた研究を要する問題である。しかし、とにかくそういう建国日というものは必要であろうと思うのです。私もそういうことはよくわかりませんが、議員提出とかいう形が、適当ではないかと思つております。
  38. 圓谷光衞

    圓谷委員 これは文部大臣としてお答えになることは困難かと思いますが、ひとつお伺いしておきたいと思います。実は前国会でありましたか、南原総長にここに出ていただいて、レツド・パージその他の問題について見解をお伺いいたしたのであります。その当時佐藤委員の質問に対して、自分はもうやめたくてしかたがないのだとお答えになりました。要するに、そのとき一番南原さんにお聞きしたことは、全面講和の問題ではないかと思います。南原さんは、学者の意見として全面講和と言うことは悪くない、しかし社会党の言う全面講和とは違つているとおつしやつたのです。ところが、最近大学の卒業式にまた全面講和を叫んだ。いやしくも今吉田内閣において講和を推進しつつあるときに、南原総長として、これははなはだ下謹愼だと私個人としては思つているのです。私は、学生に向つて南原総長があくまでそれを主張されるのは、どうも不愉快に存ずるのですが、これに対して文部大臣は警告か何かを発せられたかどうか、ひとつそれをお伺いいたしたいと思います。この前文部大臣は、個人的には話合いをするということをここでおつしやつたのですが、どうもまだ反省をしていないように見受けるが、これはいかがなものですか。
  39. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は、その問題について、南原総長と個人的な話合いをすると言つたつもりはございません。私の記憶が間違つておるかどうか知りませんが、今度のことについても、別に何ら話合いをしたことはございません。
  40. 圓谷光衞

    圓谷委員 この問題はこれでやめておきましよう。
  41. 浦口鉄男

    ○浦口委員 六・三教室の建築についてお尋ねをいたします。二十四日の新聞紙の報ずるところによりますと、六・三教室建築費起債の問題で、非常に文部当局は困つているということであります。この六・三教室の建築費は、申し上げるまでもなく、国庫の補助金に対して全額地方起債によつて現在まで進められて来ておりますが、なおそれで足りないで、PTAその他でまかなつて、ある程度の建築が進んで来ておるということであります。その国庫補助金に対する全額起債について、このたび地方財政委員会から、二十二日に文部省あてに、三五%縮小されるということの通達が来ていると報ぜられております。それによりまして、文部当局は非常な窮境に立たれて、衆参両院、大蔵省、安本その他に陳情運動を行う一方、二十五日本省に全国都道府県施設課長を緊急招集、起債問題確保の協議を開くか、打開の道は困難である結果、六・三教室の建築に非常な行詰まりが来たと見られるということが報ぜられておりますが、この点についての経過をお尋ねいたします。
  42. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 ただいま御指摘の、起債の関係が必ずしも従来通り一〇〇%に行つておらないのではないかということと、その新聞記事との関連のところを申し上げたいと思いますが、地財委の方から事務局長の名前でもつて、府県知事に本年度の起債の自分たちの積算といいますが、数字を積み上げました基礎がこういうところにございます。従つて、こういう含みで地方の起債計画を立てて、起債の申請をしてくれんという通牒を出しております。その中に、公共事業の全体の見込みのうち、一般の関係の分は地方費の負担になります分の三〇%、六・三の方は六五%、こうしたところに一応の基礎数を置いて、自分の方のわくの計算が出ておりますから、先ほど申し上げましたような計画をそれに従つて立てるようにしてほしいという意味の通牒が出ておるわけであります。文部省に三五%減らせという通知が来たことはございません。なお日はちよつと忘れましたけれども地方に事務局長が出しました通牒は、よほど以前でありまして、この国会が始まります前、ちようど地方選挙の終了前でございます。二十五日に地方施設課長の集まりがありましたが、これも私どもが招集したものでありませんで、東京都のお世話で、ちようど予算の配分などにからんで施設課長がいろいろな意味の相談をしたり研究をしたりする会合が二十五日、二十六日とあつたわけでありまして、直接その起債の関係のためにやつたわけでもなんでもありません。現に地財委の方と私どもの方と交渉いたしております段取りから申しますと、先ほど申しますように、一応六五%という積算の基礎としての数字はございます。しかしながら、個々の單位の学校について、起債を六五%しか認めないぞという意味ではないのでありまして、昨年までの大体の起債の実績は、地方負担分になります分の八〇%ということになつておるのでございます。それをある単位々々の学校について押えますと、特に三十坪ぐらいの場合には起債をつけないとか、あるいは三十万円の起債の申請のあるものは落すといつたような事実を累積いたしましたものが先ほど申しました八〇%見当におちつく。たまたまその起債の計数を全体から申しますと、六・三の分が大体三十一億ばかり、單独起債と申しまして、小学校の改築をしなければならないとか、高等学校の補修をしなければならぬとかへ火事で焼けたとか、そういう單独起債の分が十五億、別にとつてあるわけであります。それで全体として四十六億という数字ができておりまして、その辺で大体教育関係の起債の分をまかないたいというのが、地財委の大体の腹でありまして、個々の單位のものをまかなうのには、昨年の実績とあまりかわらないところにおちつけたい。但し、どれもこれも六・三建築に関する限りフリー・パスで一〇〇%つけて行くという従来の考え方では、ちよつと納まりにくい部分が出て来た。と申しますのは、六・三の関係を終つたようなところ――これは先ほど小林委員お話にありましたように、完全に終つたというところはありませんけれども、当面補助金とからんで起債関係の問題を処理しなければならぬという面で申しますれば、一応そういうものを引続いて持つていないという実情にある単位の市町村で申しますと、フリー・パスで一〇〇%認めることは、今の自分たち関係では迷惑するという、痛しかゆしの問題が事実ございまして、そのために地財委の方としても、六・三関係は一〇〇%フリー・パスなんだということは言いにくいという状態になつておるのが、事実でございます。ただいま、先生の北海道あたりのあれから申しますと、この起債が六五%といつたようなところに抑えられる悪い方の部類とは思つておりません。これは昨年来、ずつと起債の関係が一番活用されておる地域の一つであります。起債関係がまずく行つておるようなところと全体を通しますと、先ほど申すように、八〇%といつたようなところに行つておりますために、積算の基礎として六五%あたりで押えて、單独起債の方の操作を上手にやれば、大体昨年とかわらないところに行くであろう。また個々の、学校を持つております單位の財政関係を見ました場合に、十分そこらの関係をしんしやくして、必要なものにはもちろん一〇〇%つける。あるものについては、先ほど申すようにごく小さいもの、計画の不十分なものを落して、大体八〇%見当に納まるように、査定の上、実際の操作を進めて行きたい、こういう実情でありまして、地財委からあらためて六五%はこういう意味であつた、これから起債を実際につけて行く場合はこういうふうだということを出してほしいと申しておりますが、まだそういうところまで行きません。今現に査定の進行中でありますから、それらの様子を見て、どうしてもうまく行きませんようでありますれば、先ほど申すようなことも注文しなければなりませんし、そういう意味の解決は、皆さんの御協力を得てしなければならぬと思いますが、今のところの進みぶりでは、必ずしも悲観的なものではあるまいと思つております。ことに小学校の単独起債の関係の扱い方については、次の予算との関係もございますので少し余裕を見て、六・三そのものの建築に支障のないように行きたいと思つております。これから単価の問題が起つて来るわけでありますが、その場合の含みもございますので、今まるまる一〇〇%の線だけを解決することが、次の単価の問題の解決のときにどういうことになろうかというところで、私自身として今苦心しておりますし、また向うとその意味で話合いをしている次第であります。
  43. 浦口鉄男

    ○浦口委員 財政上の操作の点については、大体それで了承できます。ところで、私の承知するところでは、今年は大体三万教室のうちの三分の一、約一万教室を建設するというふうに承知しておるのでありますが、結論的に申し上げますと、それが大体予定通りに行くことにそう大きな障害はない、こういうふうに承知していいかどうか、その点をお尋ねします。
  44. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 先ほどもちよつと触れましたが、一応配分の上では、予定通り納まつておるわけでありますが、単価の問題が一番のがんになつておるわけであります。ただいま私ども承知しておりますところでは、鉄筋関係で七割見当、木材関係で五割見当という単価増を見ております。これは六・三制だけの問題でなく、全体の問題にも相なるわけでありまして、どうきめられるかわかりませんが、事実このまま単価の増を見ないで建築の工事を測定いたしますと、それに当ります分だけの工事量の減少ということにならざるを得ぬと思つております。従いまして、大蔵省はいつその査定をやり、いつその決定をやつてくれるか、まだはつきりしたことはわかつておりません。あるいは臨時国会があつたかもしれませんが、その時期をねらつて、補正予算の問題として、まず何よりも單価の問題をきめてもらつて、ことに六・三建築のような、工事量をある程度節約したり、手かげんしたりするということのできない性質の事業でありますから、ぜひ実現したいということで、努力しておるわけであります。
  45. 浦口鉄男

    ○浦口委員 資材の値上りその他については、大蔵省当局と折衝の結果、そのよつて来る下足分は補正予算で補いたい、こういうふうに了承しておいてよろしゆうございますか。
  46. 久保田藤麿

    ○久保田政府委員 お説の通りでございます。
  47. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その次に、大臣にひとつお尋ねをいたします。それは児童あるいは生徒の政治活動という問題であります。あるいはこの言葉は、たいへん不適切かと思うのでありますが、事実はこういうことであります。今国会に提出されております利根川開発法案というのがあるのであります。この法案について、選出の議員に対して、その土地の小学生あるいは中学生が、相当陳情のはがきをよこしておる。この利根川開発法案をぜひ通してほしいというはがきが、非常に殺到しております。実はこれは児童が自発的にやつたことであると、われわれは一応解釈をいたしますにしても、はたして小学生あるいは中学生が、利根川の開発に対して、一体どれだけの認識を持つておるかということを考えると、われわれはそこに非常に大きな疑問を持たざるを得ないのであります。それからいま一つは、このたびの選挙についての問題であります。徳島県の例を聞きましたところが――これは社会党の方がおいでにならないからというわけでもございませんが、はつきり申しますと、社会党の知事をお父さんやお母さんが支持してくれなければわれわれは学校へ行かない、また学校へ行つてもお掃除もしないし、勉強もしないということで、両親に泣いて頼んだという実例が報道されておるのであります。私は、これは何も社会党あるいは自由党、民主党という党派には格別のこだわりを持つつもりはございませんが、どの党でありましても、これまた先ほどの例のように、小学生あるいは中学生が、社会主義とか資本主義とか、そうしたものにどれだけの認識を持つて行動できるかどうかということも、われわれとしては大いに考えなければならないと思うのであります。そこで教職員組合の根本的なものにつきましては、また別に申し上げたいと思うのでありますが、とりあえずこういう事実が起きておる現状にかんがみまして、文部当局、とりわけ大臣は、どういうふうなお気持を持つておりますか、それをお伺いしたいと思います。
  48. 天野貞祐

    天野国務大臣 私もそういうふうなことは非常に困つたことだと思つております。その他にも、いろいろ学童をそういう政治運動に使うというようなことは、どうかやめなければならないと思つております。そういう考えを抱いております。直接文部省がどうということはできませんが、地方教育委員会に対して、そういうようなことがないように、私はこちらの考えを述べてやりたいと思つております。
  49. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一応表面的には、児童あるいは生徒が自発的にやつたという理由は立つと思うのでありますが、どういうことでそういうことが行われたか、文部省としては、現在のところまだお調べになつていないかどうか、そのことをお尋ねいたします。
  50. 天野貞祐

    天野国務大臣 選挙について児童が関係したということは、聞いておりますが、利根川開発のことは全然承知しておりません、ただいま承つたところであります。よく調べさすようにいたしたいと思います。
  51. 浦口鉄男

    ○浦口委員 大臣はいつも教育というものは人格を完成する一つの過程であるということをおつしやつておりますが、これは私も実際その通りだと思います。教壇からいろいろな主義その他を先生が教えることは、私はいいと思うのでありますが、しかしそこに何か一つの方向に無理に持つて行こうというような形がもしあるならば、それは非常に教育上困ると思うのであります。またこれは非常におそるべき結果が来るのではないか、こういうふうに考えるのであります。それがたとい社会主義であろうと資本主義であろうと、それは一向かまわないのであります。まだ全然そういう思想というものに白紙である子供に対し、なおかつ社会の経験その他を積まないこういう子供に対して、そういう行き過ぎがあるということは、文部当局としても、常に重要なる御関心を持つていただきたい、こう思うのであります。  それからそういうことに関連いたしまして、これは教職員組合そのものに対する根本的な考えに触れて行くわけですが、私は現段階において、教職員組合が、一般の労働組合その他と同じように、一つの経済闘争をして行くということは、必ずしも否定するものではないのではないのであります。しかし私は、根本的に教職員と警察官だけは、いわゆる労働組合というふうな形でもつて、とりわけ経済闘争――闘争といつたふうな形でもつてみずからの生存権を主張するという形は、非常に本質的に好ましくないということも考えております。しかしそれに対しては、もちろん警察官あるいは教職員が、少くとも経済闘争というふうなことをしなくても済むような国家的の裏づけが前提になることは、申すまでもないのであります。なぜかと申しますと、教育は申すまでもなく一つの新しい人格をつくつて行くものだと考えます。哲学者であられる文部大臣にそういうことを申し上げるのは、たいへん恐縮でありますが、人間の性善説、性悪説というものを、一体大臣はどういうようにお考えになつているかしりませんが、私は、少くすも人間はその教えによつて、ある程度人格がつくられる。その教えが正しけれは正しい方へ行こうと努力し、またその教えが間違つておれば、間違つた人格がつくられて行く。それが児童とか生徒とかのようにまだ白紙の時代には、根本の色合いに非常に染まりやすいのではないかと考えております。それから警察官は教育を受けて社会に出た国民を、教育通り間違わないように社会に処して行かせる道を指導して行く、あるいは間違わないように道を案内して行くものだと私は考えております。でありますから、教職員と警察官に対しては、国家としては特別なる待遇をすべきである。その結果として、いわゆる他の労働組合のような経済闘争――少くとも闘争という形をもつてつてもらいたくない、こういうことを考えておりますが、大臣はそういう根本的な問題に対して、どういうふうにお考えになつておられますか、それをお尋ねしてみたいと思います。
  52. 天野貞祐

    天野国務大臣 私はただいま承つた限りでは、大体において御意見同じでございます。国家がいい待遇をして――教職員と警察官については、特にいい待遇をして、いわゆる労働組合がするのとは同じ仕方をしないでいいように、国家がするよう努めるということは、重要な点だと思つております。
  53. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは今日は時間がないそうですから、あとの質問は保留しておきます。
  54. 長野長廣

    長野委員長 それでは渡部君――ちよつと渡部君に申し上げますが、実は本日は午後一時から他の委員会がこの部屋を使うことになつております。今国会中に、いま一度一般質問の機会をつくりますので、本日の御質問は、どうか五分間程度にお願いいたしたいと思います。
  55. 渡部義通

    ○渡部委員 大臣に対する質問は、山ほどたまつておりますが、次の機会に私は一般質問をしたいと思つております。というのは、大臣に対してほんとに根本的な諸問題について御意見を伺つたことがあまりありませんし、それこが大臣文部行政の上の根本的な考え方を決定するものと思いますので、それについては、次の機会に讓りまして、この前私時間の関係上中途はんぱでよしておつた問題、つまり教職員の追放解除の問題について、若干お尋ねしたいわけであります。  第一は、追放解除を行うべきものについては行う、そういう段階であるというふりにお答えがあつたように了解しましたか、追放解除の進行状態を、どのように認められるか。またどのようにそれをやりたいと思われて大臣としては推し進めておられるのか、その点をお聞きします。
  56. 天野貞祐

    天野国務大臣 御承知のように、公職追放の方もありますので、そちらの進行と、こちらも関連させて、今研究をしてもらつております。
  57. 渡部義通

    ○渡部委員 大臣を中心とする文部当局自身の方では、そういう問題について、何ら準備的な研究というものは、はされておらないのですか。
  58. 天野貞祐

    天野国務大臣 それを研究しております。私の方でも。
  59. 渡部義通

    ○渡部委員 そういたしますと、大体予想さるべきものが、ある程度まで推定されると思われるわけですか。解除さるべきでないというふうに考えられるような人たちは、あるわけですか。
  60. 天野貞祐

    天野国務大臣 私は全部解除ということはできないのではないかと思つておりますけれども、どういう程度までとかいうことは、まだこれを発表する時期に至つていない。
  61. 渡部義通

    ○渡部委員 それでは、この研究の過程において、どういうものが解除さるべきでないかというふうな、大体の基準的な方針といいますか、そういつたものを、当局としては研究されておりますか。
  62. 天野貞祐

    天野国務大臣 つまり極端な軍国主義者、そういうふうなものは、講和後といえども、解除してはいけないという考えでございます。
  63. 渡部義通

    ○渡部委員 かつて極端な軍国主義者あるいは極端な国家主義者という意味で追放されたわけでありますが、こういう極端な人たちが、その後においては変化しているように見えるが、実際的に本質的に変化しているのかどうかというようなことを、それぞれについてはつきり研究された上でされるのか。あるいは何らか追放の場合におけるABといつたふうな、いわば段階的なものがあつて、そういうものを標準にして今日でも考えられているのか、どちらの場合をとられる御方針ですか。
  64. 天野貞祐

    天野国務大臣 そういう具体的なことは、今はまだここで発表する時でないと思います。しかし私どもは、できるだけ公正にやりたいと、省内でよく研究してもらつております。
  65. 渡部義通

    ○渡部委員 追放された者の中にも、かつては極端な国家主義あるいは軍用主義のゆえをもつて追放された、しかしその後において、非常に軽微な状況であつた者が情勢の変化のために――情勢の変化といいますと、情勢がむしろ政治的には反動化したがために、その後進歩的な活動を積極的に行つて、実践の上ではつきり民主主義的な状態を示しているというような人たちが、逆に過去のきずが非常に軽微であつたにもかかわらず、追放されているというような例が若干あります。これは当時公論的に、一般の輿論的に、明らかにそういう理由によつて追放されたんだということを言われた人があるわけです。というのは、以前には追放されていなくて、ずつとあとになつて政治的な反動が強化されたときに初めて追放になつたというような人があるわけです。とういう人に対して、解除の場合における考慮の仕方は、どういうふうに考えられますか。
  66. 天野貞祐

    天野国務大臣 要するに、渡部さん、文部省内では、非常に詳しく研究しております。私はそういう不公平なことなんぞ、全然する考えはありませんから、できるだけ公平に研究に基いてやろうという考えなんです。一党一派に偏した考えは持つていない、できるだけ公平に愼重な研究をしておりますから、それによつてやろうということを今日は申し上げる以上、この問題に立ち入つてお答えする時でないということで、御了承いただきたいと思います。
  67. 渡部義通

    ○渡部委員 その点は、もう少し研究が進み次第、私たちはやはりその公平な追放解除というものが、どういう姿であるかということを、政治的な立場から明らかにする必要があると考えますので、その都度進行状態に応じてお聞きすることにしますが、今日追放されている教職員の数は、大体どのくらいあるのですか。
  68. 天野貞祐

    天野国務大臣 五千三百ということでございます、大体の数字は。
  69. 渡部義通

    ○渡部委員 そうしますと、五千三百のうち、ぎりぎりのところでどのくらいの人たちが追放解除ができないというようなことは、まだ研究されていないのですか。
  70. 天野貞祐

    天野国務大臣 まだ決定しておりません。
  71. 渡部義通

    ○渡部委員 決定でなくして、研究もされていないわけですね。
  72. 天野貞祐

    天野国務大臣 だからそれを研究している、研究中だと言うのであります。
  73. 渡部義通

    ○渡部委員 そうすると、大体基準というものは、公平とおつしやる、公平たるべき基準というものが、一応はつきりしているんだろうと思うわけですが、その点について、大臣考え方を明らかにしておいてくださることは、非常に政治的な意味でもまた一般輿論の上でも、重要な意味を持つと思いますので、いわゆる公平であるとおつしやるところの基準というものは、すでにきまつていると思いますが、その点はどうですか。
  74. 天野貞祐

    天野国務大臣 基準は大体きめる方向になつておりますけれども、それはまだここで述べる時でないと自分思つております。
  75. 渡部義通

    ○渡部委員 それではこの問題についてはさらに保留することにして、きようはこの程度にしておきます。
  76. 長野長廣

    長野委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後一時十九分散会