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1951-03-28 第10回国会 衆議院 文部委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十八日(水曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 佐藤 重遠君    理事 若林 義孝君 理事 小林 信一君    理事 松本 七郎君       柏原 義則君    甲木  保君       鹿野 彦吉君    東井三代次君       圓谷 光衞君    平島 良一君       笹森 順造君    坂本 泰良君       渡部 義通君    小林  進君       浦口 鉄男君  出席政府委員         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (大学学術局教         育職員養成課         長)      玖村 敏雄君         文部事務官         (調査普及局         長)      關口 隆克君  委員外出席者        專  門  員 横田重左衞門君         專  門  員 石井つとむ君     ————————————— 本日の会議に付した事件  教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号)(参議院送付)  教育職員免許法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇七号)(予)  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇八号)(予)     —————————————
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  教育職員免許法の一部を改正する法律案及び同施行法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前会に引続いて質疑を続行いたします。     〔委員長退席、岡(延)委員長代理   着席
  3. 小林信一

    小林(信)委員 施行法の二十五号の問題でありますが、校長仮免許状を与えるにつきまして、いろいろな情勢からして、従来のものが改正されて、そこに、三つの項目で仮免許状を与えるような措置ができたのでありますが、ロの場合に、現在校長にある者に対しては、仮免許状を与えることになつておりますが、これがイに該当しないような場合で、現在仮免許状をもらつてつて、もし校長から下に下るというふうな場合があつたときに、これは既得権としてその者に仮免許状が続継して与えられておるかどうか、そういう点ちよつとお伺いしたいと思います。
  4. 玖村敏雄

    玖村政府委員 御質問の点は、一旦校長普通教員になりましても、二十五号のイのところで、十年以上教育職員の職にあり、二級の免許状を持つているということであれば、続くわけであります。既得権は侵害されていないわけであります。
  5. 小林信一

    小林(信)委員 だから、私はこういうふうに質問したわけです。イに該当しない場合で、該当はしておらないけれども、ロの方でもつて認められたという場合に、それが教員に下つたときに、仮免許状というものは剥奪されてしまうかどうか。
  6. 玖村敏雄

    玖村政府委員 仮免許状を与えておきますから、一旦職を去つてもなれるわけです。仮免許状を持つておりますから……。
  7. 小林信一

    小林(信)委員 そこはたいへんに心配のところだと思うのです。ただいまの御答弁が確実であればいいのですが、一層はつきりしていただきたいと思います。この條項を見ましても、教員配置の問題あるいは立地條件というふうなものが、相当今度は考慮されておるので、やはりこれが地方実情に即する免許法であるというふうに私たち考えるのでありまして、こういう点から、免許法の方で先日も問題にしました聾学校あるいは養護学校教員一級免許状をもらう場合に六單位を加えるという問題と一緒に考えてみまして、これは現在の実情に沿うように、この際文部省としても、英断的に考えていただかなければならぬことだろうと思うのであります。この前私の質問のとき、いろいろと文部省態度等を承つたのでありますが、さらに考慮してみますと、この六單位をとるということは、そのときの説明からすれば、やはり聾学校あるいは養護学校というものは、現在多少軽視されておつて、何か権威がないような形になつておるのであります。そういう点からすれば、やはりこういう單位をとつてりつぱに資格を持つた者がこれに当るということは、重大なことだと思うのですが、しかしまた実際問題から考えてみますと、この学校に該当する方たちは、非常に少いのでありまして、この人たちのために再教育するというようなことになると、相当全国に分散しておる形からして、各府県で行うということができずに、幾つかのブロツク的なものにわけて、そこで再教育するというふうな方途が講ぜられなければならぬと思うのです。そうすると、時間的にもまた経費の上からしても、その学校先生方が再教育を受けるのは、相当苦しいのじやないか。これをどういうふうに文部省の方でもつて措置されるか。その措置が十分できないというふうな場合には、やはり理想であつても、この六という單位は、現状からすれば、なくした方がいいじやないか、こう思うので、その二つの問題から、文部省考えておられるところを、再度承りたいと思うのであります。
  8. 玖村敏雄

    玖村政府委員 校長仮免許状をもらつた者は、その仮免許状有効期間内においては、再び校長になり得ることは確実でありますから、あらためて申し上げてあきます。  それから次に、盲聾学育の方の、新たに六單位現職教育を要求いたしますことは、これはただ盲聾教育だけでなくて、他の普通教員免許状とのバランスの関係を無視するわけには行かないという点を、特にお考えをいただきたいということ、そして従来の盲聾教員は、そのままでほとんど全部有資格者は二級に切りかえられてあつて、この方面専門的な新しい教育を受ける機会がないのでありますから、六單位を要求することは無理でもないし、また必要であると考えておるのであります。  さて、この現職教育は、先日も申し上げましたように、各ブロツク別認定講習なるものをいたしますほかに、各都道府県教育委員会がみずから主催して、適当な専門講師を招いて、県單位講習をやつておる事実がありますし、それから今回新たに盲聾学校先生方のために、通信教育というような特別の講座を開設いたしておりますので、單位の数も少うございますし、決して実現困難なものだとは考えておりません。
  9. 小林信一

    小林(信)委員 県單位ですることが確実であり、通信教育というふうなものがりつぱにできるならば、私もやはりこの六單位をはつきり掲げて、盲聾関係する先生方資質を向上する。またそういう課程をふまなければ一級免許状がとれないというふうに権威づけることはいいと思います。しかし私の心配するのは、県單位でもつてはたして開かれるか、あるいは通信教育によつて、ほんとうに資質の向上ができるかという問題であります。できるならば、理想としましては、やはりりつぱな教育施設がこれは相当必要だと思うのです。そういうところで、なるべく研究心の深い先生のために講習を開いていただくことが、大事だと思うのですが、やはり各府県で五人や六八の先生を集めるというのは実質的の効果があがらないことでありますので、ブロツク別にでも全国をわけて、そこで教育するということになる。そうすると、遠距離に出向くわけでありますから、これを経費の点からしても、またそのために授業等も一部犠牲にしかければならぬので、その際先生を補充するというようなことも考慮されなければならぬのであります。とにかく今御答弁のありましたことが実現されるとしましても、一般先生方に対する講習手当というふうなもの、あるいはそれに要する費用というようなものは、特別に考慮さるべきだと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  10. 玖村敏雄

    玖村政府委員 通信教育りつぱな教育ができるか、都道府県別講習りつぱな講師が得られるかという御質問に対しましては、私は得られるというふうに申し上げたいのであります。通信教育テキストは、今編纂中でありまして、東京教育大学特殊教育学科を担任する方々を主として、専門家で十分親切な、しかも学問的な指導のできるようなものにつくり上げられつつあります。それから、そういう専門家が夏の休みなんかを利用しまして、全国都道府県の招きに応じて講座を開くことになつておりまして、先日来申し上げておりますように、全国に五箇所のセンターがありますから、そこから人を派遣することもできておるのであります。  次に、受講者に対する旅費手当等でありますが、これは全般的な現職教育への国の補助と、都道府県の負担とを合せたものの中から、都道府県教育委員会において、特別な考慮をしていただくというふうにいたしております。
  11. 小林信一

    小林(信)委員 とにかくこの盲聾学校先生方一級普通免許状を与えるに対しまして、六單位を加えたということは、その資質を向上するという点からすれば、非常によいことでありますが、これはその実をあげるためには、相当考慮されなければならぬことと思います。この前も申しましたように、この学校に入つた以上は、やはりこの学校に生きる以外にないのでありまして、もしほかの小、中学校等に行こうとする場合は、その方の免許状もとらなければならぬというふうな状態に今あるので、やはりこの学校に入つた以上は、この学校で生きるというふうな特別な気持でもつて承認されるのでありますから、そういう点を十分に考慮されて、なるべく経費あるいはこれに対する費用等を十分に捻出して、この人たちのこれに従事するその気持を買つてやらなければいけないと思つております。それから「別表の第四の備考に次の一号を加える。」という條項があるのでありますが、その中に「証明すべき所轄庁については、文部省令で定める。」こういうふうにあるのですが、この点をちよつと御説明願いたいと思います。
  12. 稻田清助

    稻田政委員 他省所管におきまして、教護院あるいは少年院等学校類似教育施設がございますので、これらを省令でもつて明らかに定めたいつもりでございます。
  13. 小林信一

    小林(信)委員 これも松本委員の方から質問があつたのでありますが、さらにそれにつけ加えて少しお伺いしたいと思いますのは、例の臨時免許状のところであります。やはり今度の改正案は、非常に地方実情考慮しておるという点に立つておるのでありますが、もう少しこの点についても御考慮されたらどうかと思うのであります。一年を二年にして、一年ごとに更新するということを、その地方実情に即してかえられたのでありますが、さらにこれをもつと地方実情に適応することが、私は必要ではないかと考えるのであります。と申しますのは、辺鄙なところでは、やはり臨時免許状に該当する人を多く採用しなければならぬというようなことがあると思います。そういうふうな場合には、前から申しておりますように、これが單に一時の雇い人であるというふうな気持でなくて、快くその道に努力することができるように、その地方実情においては三年を認めることができるというような、もう少し範囲の広いところを持つようにしたらどうかと思いますが…。
  14. 稻田清助

    稻田政委員 お話のように、特殊の地域山間部、離島、あるいは北海道等におきまして、こうした臨時免許状所有者が相当多い現状でございます。私ども教育的の理想といたしましては、教育機会均等という考慮のもとに、教員適正配置を行いまして、そうした地域におきましても、充実した教員組織を求めたいのであります。ただこの理想現実の問題そこに問題があろうと思うのでございますが、原案といたしましてはここに一年延長することによつて、従来の非常にその辺きゆうくつでありました点を一段と改善したい、こういう考えに出ておるわけでございます。また他面、地方によりましては、臨時免許状所有者が多い状況が片方にありながら、新卒の配当も困難いたすというような状況もございますので、全国にわたりまして、臨時免許状所有者有効年限をあまり延長いたしますことは、好ましいことでないと考えた次第でございます。
  15. 小林信一

    小林(信)委員 これは前にお伺いしたがつたのですが、教育審議会の建議、あるいは教育職員免許等審議会ですか、これらの意見が採択されたように聞いておるのでありますが、これらの両審議会が、主としてこの免許法並び施行法改正に対する意見として、文部大臣に建案された傾向というふうなものをお伺いすることができましたら、お聞きしたいのですが……。
  16. 稻田清助

    稻田政委員 第一に、教育刷新審議会でございますが、これはもとよりこの免許法根本義であります大学四年終了者を基本といたしまして、経歴年数あるいは講習その他における現職教育というような学習を勘案いたしまして、免許状資格考えるというその本来の問題につきましては、今後といえども維持すべきものだという精神答申せられております。ただそのうちにおきまして、刷新審議会としては相当経歴年数を尊重しろ、こういうような点を言つておられます。これはごらんのように七の三、七の四の改正等におきまして一部実現いたしているわけでございます。さらに職業課程あるいは芸能関係におきまして、免許状を得やすくする方法考慮しろというような趣旨もございますが、これも実現いたしているわけでございます。ただ校長たるべきものは、免許状を従来持つていない人でも、広く人材を求むるべきであるというような点の御意見がありましたが、これはまだ実現に至つていないのであります。それから教育職員免許等審議会答申についてでありますが、これも本旨といたしましては、免許法立法精神において適当であるという考えのもとに答申しておられるわけであります。大体その審議会答申のうち、ここに現われておりますものは、別科教員養成は原則として認めないとか、あるいは中学校高等学校において、教職課程よりも専門課程の方を当分の間多くとり得るようにするという点及び施行法の第七條の有効期限を延長するというような点につきましては、答申通りここに改正案に編み込んであるわけであります。さらに答申精神を形をかえて表わしておりますものといたしましては、高等学校中学校実業科、あるいは芸能科教職については、特別の免許状を設けろという御趣意でありましたけれども、別の方法をとりまして、こうした教員の得やすい道をこの改正案では考えたわけであります。そのほか、答申案の中で、小学校教員専科教員免許状所有者、あるいは初等科教員免許状所有者について、特別の優遇の方法を講じろという点も、多少かわつた内容で現われておりますが、採用いたしております。それから幼稚園免許状所有者小学校免許状を与えろという案も、この案に採用いたしております。やはり不採用になつておりますのは、校長たるべきものは、免許状を持つていないでも、広く人材を求めろという意見があつたのでありますが、これは今回考慮いたしてないのと、一つ国家試験によつて教員資格を与えろという意がありますが、これはなお研究すべき問題もありますし、予算措置も講ぜらてれいないので、今回の改正案には採用いたさなかつた次第でございます。
  17. 小林信一

    小林(信)委員 なるべくならば、そういうものは詳しく印刷物か何かでもつてお伺いしたいのです。それは何もそれからというわけでなく、どういう傾向にあるかということを、そういう方面からもお伺いしたいのです。最近地方実情をお聞きすると、通信教育というものは、先ほど盲聾唖学校等におきましては、相当内容の充実したものを出すことができるというようなお話つたんですが、一般に行われる通信教育というものは、非常に、何か安易に單位を獲得するために、きわめて形式的に行われているというようなことを聞くのですが、そういう点はいかがですか。
  18. 玖村敏雄

    玖村政府委員 盲聾唖教員通信教育テキストは、先ほど申し上げましたように、自信を持つて出せるものだと信じておりますが、その以外のは、昨年度急速に始めましたために、テキストとして必ずしもよくないものがありますので、これらは今現に改訂に着手中であります。これはもつといいものにしたいと考えております。     〔岡(延)委員長代理退席佐藤(重)委員長代理着席〕 それから安易にとおりしやいますけれども通信教育單位をとることは、非常に困難なこととして、やはり認定講習の方で行く声が簡單ではないかということを言う人の方が、私には多く聞かれております。この通信教育人たちは相当よく勉強しているのであります。レポートというものを書いて、そうして一々、いわば一種の試験を通過して次の段階に進めるようにしてありますので、決して安易ではないと思います。
  19. 小林信一

    小林(信)委員 まじめにやろうとすれば、それは困難だと思うのですが、今のその問題あたりも、十人も二十人もの仕事を一人でもつて引受けて、工作するというふうなこともときどき聞いておるので、やはり何か考えようによつては、安易な方法だというふうなことがあるのですが、やはり今課長さんのおつしやつたように、問題は通信教育に対してもつと嚴格にして行かなければならないのではないかと思うのです。これは去年あたり急速にできた問題であつて、いろいろとまだ文部省としてもそういう点で思うようになつでおらないかもしれませんけれども、私たちが聞くところでは、やはり時間的に制約される、あるいは旅費をかけて行くというふうなことよりも、形式的にそういうようなものをもらつて共同作業でもつてこの仕事を片づけるというふうなことが、往々見受けられるのですが、そういう点、やはり問題はこの前に申しましたように、まじめにこの再教育ができるような魅力を文部省で持たせることが必要だと私は思うのであります。大体私の質問は終りました。     —————————————
  20. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 次に、教育公務員特例法の一部を改正する法律案議題といたし、前回に引続き質疑に入ります。松本七郎君。
  21. 松本七郎

    松本(七)委員 昨日職階制について、再びお伺いしたのですが、あのときの御答弁によつて大学については、特に職階制自身あまり困難がないようなお話で、そのときに教授助教授講師というような職務内容相違に基いてやることが適当ではないかというような御答弁があつたように思うのですが、学校教育法五十八條に「教授は、学生教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。」助教授は、教授職務を助ける。」「講師は、教授又は助教授に準ずる職務に従事する。」とういうふうに規定がありまして、それは旧制大学ではその通り行われておつたわけですが、新制大学の場合は、必ずしもそうなつておらないのではなかろうか。たとえば、東京学芸大学の例をとつてみますると、その教官は、職名教授助教授講師となつておりますが、その職名のいかんにかかわらず、やはり自己の責任と権限において学生教授し、その研究を指導し、單位履修を認定し、または研究に従事する。こういうふうになつておるわけで、職名による職務内容相違は、そこには何らないわけであります。それにもかかわらず、給与の方は級別推定表によつて違つた給与が支給されておるわけですが、この新しい現実状態から考えると、大学においても、やはり職階制をそういう職務区別によつてつて来ることは、困難がありはしないかと思いますが、この点についての御意見をお伺いしたい。
  22. 關口隆克

    關口政委員 お答えいたします。大学先生の場合にも、昔の大学であれば、教授助教授区別がはつきりしておつたけれども、新しい大学は、そうではないのではないか、従つて職階制大学先生に施行することは、無理ではないかというような御質問のように伺いました。恐縮ですが、国家公務員法の二十九條には「同一内容雇用條件を有する同一職級に属する官職については、同一資格要件を必要とするとともに、且つ、当該官職に就いている者に対しては、同一の幅の俸給が支給されるように、官職分類整理がなされなければならない。」と書いてあるのでございます。この言わんとするところのものは、やはり同一内容雇用條件という問題が一つと、それから同一職級という、職級考え方が一つと、それから資格要件ということと、それらのものをはかりにいたしまして、同一の幅に俸給が支給されるように、官職分類整理をするのだというふうに言つておる、こういうふうに読むのでございますが、そうしますと、大学教授助教授につきましては、まず資格要件の点で、大学教授になられる方と助教授になられる方は、資格が違うということが、すぐ出て来ると思います。旧制大学でなく新制大学であつても、やはり教授助教授は、教授審査がありまして、そこで某々の方は教授として認められる、某々の方は助教授として認めらはる資格の問題が出て来ると思います。また責任の問題につきましても、教授でも助教授でも講師でも同じだという御見解でありますが、必ずしもそう言えるかどうか、その点については疑問がある。現在までのところ、やはり責任の度合についても、そこに差等があるのではなかろうか、これが通論であると思うのでございます。
  23. 松本七郎

    松本(七)委員 その見解は、どうも職階制を行うために無理にこじつけたような感じがするのですが、これは見解相違ですから、文部当局の御意見を伺うにとどめておきます。  次は、やはり最初に御質問申し上げたことなんですが、きのう渡部委員からもちよつと触れられましたが、第五條改正、今までやつてつた公開審理を禁止する條項、この公開審理については、先般の稻田局長の御答弁では、大学自治ということを尊重してされたというふうに伺つたのですが、昨日、その内容についていろいろ文部当局意見を吐くととは、差控えないという御意見があつたようですが、この改正案を立案されるまでに、今までの公開審理実情というものについて、詳細に御研究されたのか、その点伺つておきたい。
  24. 關口隆克

    關口政委員 この点につきましては、主管局長稻田政委員が、今すぐ参りますので、詳しく申し上げられると思いますが、私どもの承知しているところでも、大学の方から詳しい報告を伺い、なお状況等も順次聴取いたしておつたというふうに聞いております。
  25. 松本七郎

    松本(七)委員 そうしますと、この改正案を立案されることになつたについては、大学側からの要請があつてそうされたのか、それとも文部省独自の見解でやられたのか。
  26. 關口隆克

    關口政委員 この点につきましては、大臣がかつて答弁になつたことがございましたので、多分それは速記録に出ていると思いますが、私の覚えておることを申し上げますと、正式に大学側から、こういうふうな改正をしてもらいたいということを、決議なり何なりで持つて来られたことはなかつた。しかし随時大学長あるいは学部長教授等と、大臣なり次官なり局長なりがお会いした際に、そのような意向のあることは、お話合いのうちにくみとれるというふうな御答弁があつたように思いますが、主管局長が参りましたので、主管局長から御答弁申し上げます。
  27. 松本七郎

    松本(七)委員 主管局長がお見えになりましたから、もう一度詳しくお伺いしますが、第五條改正について先般お伺いしたときに、大学自治ということを建前にこれを改正するんだというようなお言葉があつたのであります。そこで、公開審理をやつたのでは、大学自治が侵されるおそれがあるのかという点について、もう一度詳しく御見解を伺つておきたいと思います。
  28. 稻田清助

    稻田政委員 大体五條精神といたしますることは、ただいまお言葉にございましたように、大学自治を尊重いたしまして、大学自体が最も適正だと考え方法によりまして、十分な審査を行うことが必要だと考え條文だと解釈いたします。あらゆる場合に公開をいたすということにいたしますると、場所が学園でございまするし、教育に関しまする配慮も必要でありまするし、また真実を把握いたしますのに、大学管理機関が必要な場合に公開するという方法を講じておきますれば、それで十分だと考えまして、この改正案では、公開するかしないかは、大学管理機関がみずから定むるところにまかせることにいたしたのであります。
  29. 松本七郎

    松本(七)委員 公開審理して、そのために長くかかるというようなこともあろうかと思いますが、なかなか結論が出ない。しかし結論が出ないのは、それだけの理由があるからであつて大学自治の立場からいつても、やはり公開して、そこで十分な、公平な審理をするということの方が、結局は大学自治を守るゆえんになるんじやないかと思うのですが、その点もう少しはつきりした御見解を伺いたいと思います。
  30. 稻田清助

    稻田政委員 いわゆる争訟法廷等におきまして、当事者訴訟主義に立脚いたしまして、当事者があらゆる方法をとつて、いわば心行くばかり争うということを認める方法も、司法部面においては、もとより適切だと考えていますけれども、この五條の適用のありまするのは、行政手続の一環であります。行政関係におきましては、何と申しましても、能率あるいはスピードというものを考慮しなければならぬ。しかもその場所が学園でありまするので、学園の中において、管理機関あるいは一部の教員の方が対立抗争を露呈するというようなことは、教育上おもしろくない場合も考えられる。そういうようなことで、すべての場合に公開しなければならぬというような規則は不適当だと考えます。また従来の規則が、ややもいたしますれば、そうした司法法廷における当事者訴訟主義の精神で解されがちだというような点もありますので、その点を明らかにする必要があるというのが、改正の理由でございます。
  31. 松本七郎

    松本(七)委員 対立抗争が露呈することはおもしろくないといつても、これは対立抗争の起る種をなくするということが根本であつて、その種をなくさずに、ただ露呈することばかりを防いでおつても、何にもならないと思います。  見解はそこでわかれましたから、次に移りますが、昨日渡部委員からも指摘されておつたアイフエルの問題について、もう少し伺つておきたいと思います。アイフエルの外人講師は、全部本国からそのために来られておるのかどうか、それとも日本に従来からおられる方がそれに参加してやつておられるのかどうか、その人数も、もしわかりましたら……。
  32. 稻田清助

    稻田政委員 アイフエルに参加せられまする外人教師は、その参加のために米国から渡つて来られた方々ばかりでございます。人数は、たしか本年度において二十六名程度だと考えております。
  33. 松本七郎

    松本(七)委員 私が伺つたところでは、CIEにおられる方が、これに参加しておられるということを聞いたのでありますが、そういう事実はございませんか。
  34. 稻田清助

    稻田政委員 その点でございまするが、アイフエルの講座の構成は、向うからそのために見えまする外人教師と、それから日本側の各大学教授、及びそれを援助する意味において、ただいまお話のCIEの方々も、それぞれ専門関係において参加せられておるわけでございます。
  35. 松本七郎

    松本(七)委員 それから、これは別な問題ですが、先般日本学術会議の会長である亀山直人さんの名で、三月三日の学術会議の第九回総会で、研究者の身分保障について、何か内閣総理大臣に申入れをすることを決定したと聞いておりまするが、この特例法を改正するにあたつて、政府は立案される場合に、日本学術会議と事前に御相談されたようなことがございますか。
  36. 稻田清助

    稻田政委員 今回提案いたしておりまする改正案につきましては、特別に学術会議にお諮りしたことはないのでございます。
  37. 松本七郎

    松本(七)委員 この研究者の身分については、学術会議からそういう申入れになつておりますが、その必要は認められるかどうか。
  38. 稻田清助

    稻田政委員 身分に関しまする規定と申しますれば、一般の公務員、地方公務員に共通いたしまする部面が主体になつておりまして、それに教育者という立場においての特例が開かれております。そうして学術会議の方は、研究者といわれておりますけれども、一面大学の職員等は、教育者としての使命を持ち、また分限も考えなければなりませんので、そういうような意味合いにおきまして、この特例法の改正すべてが、たとい研究者に関連いたしまするとしても、学術会議と御相談しなければならぬ性質のものだとは考えてないわけであります。
  39. 渡部義通

    渡部委員 昨日からの関連と、松本君の質問に関連してお尋ねいたしたい。今松本君の、公開審理大学の不利益処分を受けたものに関してなくすということの理由を、問題が教育に関するから、あらゆる場合に公開することは適当でないという意味に答えられたのだが、なぜ教育に関することが、あらゆる場合に公開するとまずいかという点、その点から聞きます。
  40. 稻田清助

    稻田政委員 大学管理機関が、この審査を行いまする場所といたしますれば、自然学園の中であります。従つて、この審査の間におきまして、一部教授大学管理機関と非常に対立抗争するような形を、学生等の前で露呈いたしますことは、やはり学園という環境を考えますれば、好ましからざる場合もあろうかと考えるのであります。しかしながら、大学管理機関それ自身において、そういうような配慮をいたしました上に、なお公開が必要だと信じます場合には、この改正案においては、公開ができるわけでありますが、そういうような趣旨に解しましても、何らさしつかえないと考えるのであります。
  41. 渡部義通

    渡部委員 これは松本君から反駁されたように、第一には、対立抗争というものが生ずる原因そのものが、問題であるわけであります。そういうことを明らかにすることが、大学等においてはむしろ重要なことになると思います。なぜそのような不利益処分というものが、どういう形で学校内において行われるのかというようなことを、学生諸君なり、その他なりがはつきり知ることが、むしろ問題のあり方と考え方について、正しい常識を得ることにもなるのであつて、あなたの言われたようなことについては、少しも公開審理を禁止する理由にはならない。のみならず、公開することが、教育内容が社会一般に暴露されるというのをおそれるならば、それは国立大学管理法等において、むしろ大学の中に社会人を大学管理等に関連せしめるというような趣旨と、矛盾するのではありませんか。
  42. 稻田清助

    稻田政委員 まあ学生と申しますれば、何と申しましても修養途上の年齢にあるものでありまして、あらゆる問題についての判断も、成熟しておるとは考えられないわけであります。そうした学園において、学生の面前において学校教職員の身分上の問題につきまして、いろいろ審査弁論するというようなことにつきましては、教育上やはり配慮しなければならない場合が多かろうと考えるわけであります。
  43. 渡部義通

    渡部委員 不利益処分をする場合に、学生の前に明らかにしない、言いかえれば、世間から隠れて不利益処分をするというところに問題があるのであつて、その結果不利益処分を受けるものが、学校当局、あるいは学校当局の一部の者の一方的な意思によつて、重大な決定を受けなければならぬという問題が起る。その議論は、私はいずれ大臣が見えられたときに、政府の根本方針をお聞きする場合にさらに述べたいと思いますけれども、次に移りまして、司法関係では、被告発者があらゆる形の方法をとり、合法的のすべての手段をとつて抗争するということが、その人の人権擁護のために必要なことであるが、教育者の場合には、必ずしもそれが必要でないと言われる根拠がどこにありますか。
  44. 稻田清助

    稻田政委員 司法部面に対しましては、司法部面の原則で解釈すべきものだと考えておりまするが、この事前審査につきましては、これは行政手続中の問題、しかも事前の審査の問題でありまするので、やはり解釈といたしましては、行政一般に通すべき理念で解釈すべき問題だと考えております。事後審査につきましては、事の性質が事後でもあり、また人事院の公平委員会というような独立の機関において審査いたすわけでありますから、自然さばく者と訴える者と訴えられる者と、この三者の関係が成立いたしまするので、行政部面にしましても、多少司法関係に近い形態で行つて適切な問題だと思うのでございますけれども、事前審査におきましては、大学管理機関と、それからここで審査を受くる者とが、訴訟法廷のように三者対立関係になつていないわけでありますから、なつていないところに訴訟法廷のごとき原則を適用することに、いろいろの混乱が生ずる原因があろうと考えるのであります。
  45. 渡部義通

    渡部委員 私は昨日も申しましたように、東大の現に行われている教員組合指導者たちの不利益処分問題についての特別弁護をやつてつて、その実情をよく知つておるわけでありますが、東大でも、学校当局は、やはりあなたが答えられたように考えておるようです。しかしながら、教育者の場合でも、事はその進行のいかんによつては、教育者の人権にかかわることであり、生活権にかかわることであり、單にそれのみではなくて、教育とか学問とかいうものの自由という根本的な重大問題にかかわることであつて、従つて被告発者が教育者であるということのために、司法関係の場合よりも、その主張する機会が制約されてよいという理由は、少しもないと思うのであります。同時に、公開審理が行われることによつて、非常に被告発者の立場が有利になる、言いかえれば——昨日も申しましたけれども公開審理をしまして、そうしてあらゆる資料を集めたり、さらにまたこれを告発者の方の証人をそこに喚問しまして、被告発者の方からどんどん質問して行きますと、告発者の方の不利益処分をしたところの理由というものが一歩々々くつがえつて来るのです。それが目に見えて明らかになつておる。もしあなたが東大の審査の報告を読んでおられるならば、その根拠がくつがえつて来るという状況がわかると思うのです。東大のプリントは、非常に正確なものですけれども、それでさえも、公平でないということがわかる。そういうふうに、一々くつがえつて来るような根拠によつて不利益処分を受けるというようなことになりますと、これはまつたく不当な処分を受けたことになるのであつて、しかもあなたの方では、最後の決定的なものがその場にあるのではなくて、公平委員会にあるのだからとおつしやいますけれども、大体大学の内部におけるその審理の経過というものが、実際問題として公平委員会の方向を決定するような資料となるわけです。そうしますと、大学内部における審査の過程こそ、最も公平に、最も被告発者の不利益処分を受けた人々の主張を、十分に発揮し得るような條件のもとに置かなかつたならば、その権利というものは守れないと思うのです。その点はどうなのです。
  46. 稻田清助

    稻田政委員 本人に対しまする身分保障といたしましては、やはり法制制度といたしましては、国家公務員法八十九條、あるいは地方公務員法四十九條の、事後の審査に期待すべきものだと考えております。この事前審査は、むしろ本人の身分保護という意味合いよりも、任命権者に対しまして、大学側大学自治を守るといろ意味において、任命権者の処分に先だつて、一応大学の意向を考えなければならぬというところに意味があると考えます。大学管理機関は、とにかくそれ自身の名誉と良識によりまして、また、とにかく同僚を審査するわけでありまするから、本人に対する誠実さというような意味合いからいたしまして、必要とあらば公開もし、必要とあらば証人も呼び、あるいは証拠を調べる。十分大学管理機関それ自身にまかせましてけつこうな性質のものだと考えております。
  47. 渡部義通

    渡部委員 不利益処分に関するこういう問題が起きるということ自体の中に、大学当局と、不利益処分を受けた側とにおける立場及び意見相違があるのであつて、もしもその不利益処分を受けた人たちが、自由にその立場及び主張、あるいは根拠を明らかにする機会が与えられなかつたとするならば、大学当局の方で一方的にこの報告書を書くということになるのであつて、決して大学自治を重んじて公平を期するがゆえにというような形にはならぬと思います。逆の形になると思います。なぜたらば、こういう困難が起ること自体が、その中に相対立するところの立場と意見があるから、起きるのですから、従つて主張すべき機会が十分与えられなければならぬと思う。そういう機会を制限するということは、大学当局の自治という名によつて、実は大学当局による一方的な処置を可能たらしめる結果になると思います。そういうふうに考えられませんか。
  48. 稻田清助

    稻田政委員 大学管理機関それ自身の構成でございまするが、教授たちから選挙せられまして教授会が構成せられて、選挙せられました部長及び教授会から選挙をせられた方々が評議会として大学管理機関を構成する、申すまでもなく非常に民主的な構成で成り立つておりまする大学管理機関でありまするので、大学管理機関自体の活動につきましては、その成り立ちの性質から考えまして、大学の職員等と、本質的に対立すべきものだとは考えられないわけでございます。
  49. 渡部義通

    渡部委員 現に本質的に対立しておるのです。対立しているからこそ問題が起きているのであつて大学の評議会というものが選挙によつて構成される。確かに形の上ではそうですけれども、しかしながらそこには教授助教授、それからできれば講師等をも含めたより広汎な人々によつて選挙されるならば、ある程度民主的になされ得るけれども、実際問題として現在はそうはなつていない、従つて一部のいわば学内における保守的な教授が、大体においてそういう位置につくわけなんです。大学関係におけま封建的な、学界におかる封建的な状態というものは、あなたも御存じでしようが、現在非常に根強いのであつて、決して大学の内部のいわゆる選挙というような形によつて、ただちに現在民主的な構成ができておるというような状態にないことは明らかであるわけです。それは実情を見られれば、すぐさまわかることであつて、そういう関係の中でこそ、現在この不利益処分という問題についての動きが、非常に紛糾化しておるわけです。だからこそ、この対立というものが起き、その対立の中で、今申し上げたような問題の処理をしなければならぬというような場合に、公開審理等まで制約されるということになると、不利益処分者の利益というものは、少しも守られない結果になるわけです。そういう実情考えられなければならぬと思うのです。
  50. 稻田清助

    稻田政委員 今日評議会として大学管理機関を構成せられております教授の方々は、多年、戦前あるいは戦時中を通じまして風雪の中に大学自治を守つて来られた教授方だと考えております。これらの方々が評議会を構成いたしまして、互助の精神によつて大学自治を守る意味において任命権者と対立する、その形において審査するという形であります以上は、やはり大学管理機関の良識と善意に信頼してよろしいのではないかと、私ども考える次第でございます。
  51. 渡部義通

    渡部委員 私は昨日から稲田政府委員とはずいぶん議論しましたが、やはりこの問題は、非常に重大な問題でありますから、大臣の出席を願つたときに、根本的に触れて行きたいと思いますので質問を保留しておきます。
  52. 松本七郎

    松本(七)委員 議事進行——これは委員長にお願いしておきたいのですが、先ほど政府当局に対して私から質問いたしました日本学術会議との関係ですが、政府の方では学術会議研究が主である、大学はもちろん研究とは関係があるが、教育の方が重要で、必ずしもこういう法律案改正に連絡をとる必要はないという御見解のようでありますが、私どもはやはり日本における研究ということは、大学が非常に重要な任務を果しておると考える。もちろん教育が重要でありまするが、それと同時に、大学における研究ということは、日本の学術にとつては非常に重要な中心になつておると思うのです。それでありますから、こういう重要な教育者の身分に関連したものをきめる場合には、やはりある程度の——せつかく学術会議というようなものが新しくできておるのですから、これとの関係をもう少し密接にして行くべきだろうと思います。政府もそうあつてもらいたいとわれわれは思うのです。そこで日本学術会議では、会長の亀山直人さんから内閣総理大臣にそういう申入れをされておると同時に、衆議院議長あてにも、三月八日付でそういう申入れが来ております。研究者の身分保障について下記のことを議決したから内閣総理大臣に申入れをしているが、国会においてもひとつこの学術会議の、本会議のあるところを了とせられて考慮してもらいたい。どういうことかと申しますると、研究者の身分保障に関連する法律を新たに制定し、もしくは既存の法律を改正する場合には、あらかじめ日本学術会議意見を徴せられたい、こういうことであります。それでありますから、この委員会としては、愼重審議を期する上から、やはり学術会議と非公式でもけつこうですから何か懇談の機会を持つていただきたい。それをひとつ委員長のおとりはからいをお願いしたい。
  53. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 ただいま松本委員からの御発言にありましたことは了承しまして、さような方針で行くことを皆さんにお諮りいたしますが、御異議ありませんですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員長代理 それではさように決定いたします。  なお重要な議案が残つておりますことでありまするし、休会期も切迫しておりますので、委員諸君にさらに一段の御勉強をお願いしとうございますから、どうか万障お繰合せの態勢を維持されることを望みます。それでは午前中はこの程度にして休憩に入ります。午後一時半から再開いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた