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湯河説明員 ただいま農林省の
塩見官房長より
資料を御配付になりまして、数字を御
説明いただきましたので、私はその余のことにつきまして、
中央金庫において扱
つておりますものとしての経過を御報告申し上げたいと存じます。
長期資金の
扱いは、当初は
趣旨がよく徹底しなか
つたり、あるいは
取扱いがなれません等のために、出足が悪か
つたのでございますが、最近各
地方においてそれぞれ
趣旨をよく御
理解願い、また
金融機関の者も、また特に御
指導あるいは
監督にお当りになる
政府並びに
地方庁の方も、漸次お
扱いになれて来られまして、最近では非常に
貸付の
申込みが殺到いたしておるのでございまして、七月末日現在に、
農林中央金庫だけでございますが、東京の本所に
書類が出て参りましたものが約七十億円に達しておるのでございます。なお
中央金庫の
全国三十二箇所の出先の
事務所で現在
審査中のものが三十億ある見込みでございまして、今日の
段階におきまして、全体として約百億の
要請が集ま
つておるようなわけでございます。
その受付の
情勢等は、ごく概略を申し上げてみますと、七十億のうち
農地関係のものが約三十八億円、それから
林業関係のものが三億円、
漁港関係が一億五千万円、
塩業関係、これは少いのでありますが一億三千万円、それから
共同施設としての
申込みが二十六億ばかりあるのでございます。かように多数の御
要請がございまして、われわれとしてはこのさばきに非常に困難を
感じておるのでございます。
何分にも各
地方の、それぞれの
農山漁村の方方の固定設備的な
事業であります。あまり大きなものはございませんので、日ごろ
書類を拝見しておりましても、平均が大体三、四百万円見当の
金額にな
つております。千万円を越えるようなものが現われて来ると、これで相当かせげるのだという
感じがするくらいでありまして、中には三、四十万円というお
申込みもあ
つたのでございます。これが実情でございまして、
件数が非常に多く上
つておりまして、七十億円で約一千七百件というようなことにな
つておるような次第でございます。これを受付けましてわれわれの
手元でできるだけ急ぎまして
審査をし、そうしてその
審査の終りましたものを
政府の御検討を願うわけでありますが、実はわれわれの
手元まで出て参ります間におきましても、
農山漁村の方がこういうおなれにならないお
仕事をなさいますにつきましては、ずいぶん困難をしていらつしやるのではないかということは重々お察しできます。なお
中金の方にお
申越しがありますれば、われわれの方で一
通り調べました上は、
府県庁の技術的また政策的といいますか、産業振興的な御
審査を受け、その
意見をつけていただいて、それをわれわれの方で検討いたしまして、
政府においてまた御
審査を願うということにな
つておるわけであります。これだけ多数の
件数のありますものを、一々
現地に出向きまして実地で検討するということもできませんので、
書面上の
審査を原則としておるわけでございます。問題がございますものにつきましては、粗漏なきを期して
現地にも出向きますけれ
ども、一々や
つておるわけには参りません。そのために
書類等も、ずいぶんお
申越しになる方にと
つては御苦労と思われるくらいの
書類が
要請されておるわけでございます。しかしこれも
県庁の方あるいはわれわれの
事務所におきまして、よく
お話をし、またしばしば
指導的な御相談にも乗りまして、最近では漸次そういうことのめんどうくさいというような声も少くな
つて来ているような
感じもいたします。そんな様子で先ほど
塩見官房長からお示しのございましたような
金額が、今日
政府の方の御承認をいただきまして、
地方に御通知をいたし、そのお
仕事が始まりますれば、そのお
仕事に応じまして、われわれの方は
資金の交付をいたしておりますような次第でございます。
ところで先ほど申し上げましたように、今日の
段階で百億の御
要請がある、こうなりますと、
予算との
関係はどうなるのかということが切実になると思われます。われわれといたしましては、あらゆる
機会におきまして、
地方の御
要請がかようでございまするから、どうかこの
予算の
増額をできるだけ早い
機会に、できるだけ多くしていただきたいということをお願いいたしております。
政府の御
当局においても、このことについてのある程度の御
理解を持
つてお進めいただいておりますことを、ありがたく
思つておるようなわけであります。今日の
段階は、
地方からの御
要請は、初めのように
理解が届かなか
つたために閑散であ
つたということはございません。問題は、むしろこの
資金が足りないという点におきまして、
地方の御
要請をある程度心ならずもストツプしておる。ストツプしておるということは、われわれの方でも
審査を進めておりますが、
政府の御
審査の方でも、お金がないということのようでございまして、
地方の方にそういう面において御迷惑をかけておるような次第であります。
なお特に
共同施設等の御
要請が相当多いのであります。これなどにつきましても、この
農林漁業資金融通の御
趣旨からいいまして、いろいろ御議論もおありかと思いますが、
地方の方としては、相当急いでおられます。これをあまりにわれわれの方で野放しにお受付けいたしますと、どうもむしろ
地方の方がお
仕事をお始めにな
つてしまいはしないかと懸念する次第であります。われわれといたしましては、何といたしましても
補正予算等の
機会に、この
金額の
増額をぜひこの上ともや
つていただきたいと
思つております。
それからこの
要請は
全国一画というわけにも参りませんので、
地方によ
つていろいろ
事情も異な
つておるようでありますが、一番多いのは
北海道、その次は
宮崎、新潟、宮城、
和歌山、
徳島、岩手、静岡、福島、茨城というふうな順序に、
書類がたくさん
金額において出ておるのであります。これらはその
地方のそれぞれの
事情を反映しており、
北海道なんかは広いのでありますから多いのも当然でありますが、また
一般に
單作地帶の方においてこの
資金の需要が多い。また
宮崎のようなものは
災害が起
つたために、特に出ておるのではないか。
和歌山、
徳島な
どもそういうことではないかというふうに思われるのであります。しかし
地方によりましては、隣りがそういうことであれば当然もつとそういうものが出て来そうなところが出て来ない。これはまだ
趣旨が徹底を欠いておる、あるいは取扱
つておる
金融機関、ないしは
指導を担当されておる
地方庁におきましての
努力なり熱心が、まだ少し欠けておるのではないかという感を持
つておるのであります。われわれは
全国的な
バランス、あるいは
事業別の
バランスというようなことについても、気を配りつつ、
審査を進めておるようなわけであります。大体さようなことでございます。
扱
つております私
どもとして感想を申し上げますれば、従来
農林中央金庫の
金融は
中央機関といたしまして、大体
府県單位にいろいろ
資金のお
貸付をしておりました。しかもそれが特に
短期資金と申しますか、流動
資金的なものでありまして、
販売購買事業あるいは
信用事業資金等に出ておりまして、われわれ雲をつかむような
感じがいたしておりましたのですが、最近この
農林漁業資金融通の
仕事をおあずかりしてみますと、
書類を拝見しながらも、
書類によ
つてどの県のどの村に何ができるということがはつきりわか
つて来るのであります。そうしてこれこそその
地方で熱望されております具体的な
農林漁業の
施設がそこに生れるのだということを考えまして、われわれは
書類をおあずかりいたしましても、まことに
地方の方としつくりしたような
感じがする。またこれこそ
農林漁業を興すための
施設をされて行くのだという
感じを非常に深くしておるような次第であります。今後わが国の
農林漁業の振興のために、なおなおこの
仕事を大きくしていただきたいということを考えております。それと同時に、現在の制度がこのままでいいかどうかということにつきましても、いろいろ考えておりまして、ただいま申し上げました
資金の
増額、ないしはわくの
資金を
施設の範囲を大きくし、多様にするということが必要かと思われます。なお
資金の
貸付の單価なり、あるいは金利なり、期間なり、こういうものにつきまして、はたして現在のままでいいかどうかということも、実際のお
扱いを通じまして、もしも何かかえていただく必要があると思えば、それを申し上げたいと思いますが、現在のところはまだそこまでは至
つておりません。もう少ししてみなければわからぬ。それとともに、この
資金は非常に零細であり、個数も多い。そしてこれが
地方の
なかなか目の届かぬところに
仕事がされておりますので、われわれとしては
資金を御融通することだけが役目ではございませんので、この
事後管理ということがこれからたいへんな問題にな
つて来る。
政府の方において調達された
資金ではございますが、われわれ
金融機関としてお
扱いしておる以上、若干の
責任はわれわれにも帰属するのでございます。またこのお
仕事がうまく行きませんときには、
地方の方に非常な御迷惑をかけることになりますので、われわれといたしましては、この御
融資の
事後管理ということにつきまして、今後十分気をつけて行かなければならぬ。これは
ひとり金融機関ばかりではなく、
指導監督のお
立場に立つ県あるいは
政府の方においても、何かこれについての御
指導なり、御
処置をいただきたいというふうな
感じを持
つておるような次第でございます。
ごくあらましでございますが、一応御報告申し上げます。