○平野
委員 米価問題が当面の重大問題とな
つておりまして、熱心な質疑が行われておりますが、重大問題は
米価問題だけではございません。およそあらゆる国政に関する問題ことごとく重要ならざるものはないのでありますが、ことに国土の面積の八割を占めておりますところの林野の問題こそは永遠の重大問題であるのであります。特に
日本の歴史が始まりまして以来、今日ほどこの問題が、国家的に見まして重大なる時期に際会しているときはないと
考えるものでございます。この点につきまして、私は根本新農相にきわめて簡単に御認識と御抱負を伺いたいと思うのでございます。
最近におきまするところの
日本に発生いたしまする風水害その他の災害はきわめて甚大なるものに上
つておるのでありまして、その被害もおそらく年々数千億に達しております。またこれに対する災害復旧費も、予算の面からだけ見ましても、中央地方を通じまするならば、一千億円以上も支出をせられておるというような現況にあるのでありますが、この重大なるところの原因としては、この国土の大半をおお
つておりまするところの森林が著しく過伐せられておるために、それがかくのごとき事態の重大要素とな
つておることは、これはもはや
議論の余地のないところであります。これは実に、戦争中並びに終戦以来木材の需要がますます激増いたしておるにかかわらず、限られた森林資源の成長というものは増加をいたすものではないからであります。すなわちこのアンバランスがかくのごとき結果を来しておるのでありまするが、この傾向は今後ますます強ま
つて行くのでありまして、今やこれに対して何らかの
措置をとらなければ、この国土の荒廃を守ることはとうてい不可能だというような事態にな
つておるのでございます。
国会におきましても、すでにしばしばこれに対するところの決議案が可決をせられ、前
国会におきましても、この国土の緑化に関する何回目かの決議が行われたというような事態であります。ことに
立法措置といたしましても、前
国会におきまして、われわれ議員の提出によりまして、森林法が全面的に改正をせられたのであります。これは明治以来長年の間古色蒼然とした法律でありましたが、
日本の林野に対しまして根本的なる計画性を付与するというのでこの
措置がとられたのであります。今やこれもようやく実施の段階に入らんといたしておりますが、ここで私は新農相にお尋ねを申し上げたいことは、単に森林資源の供給の抑制をこの法律によ
つて規定をいたしましたけれども、これをや
つただけでは、いわゆる頭隠してしり隠さずであ
つて、とうていこの法律の目的を達成することができないのであります。どうしても供給の方を抑制するならば、当然一方において需要の方についてもある程度の
措置をとらなければ、これは成り立つものではございません。
従つてこの際
政府並びにわれわれ
国会においても慎重に
考えておりますることは、森林法の施行に伴うところの今後の
措置については、急速に適切なるところの手を打たなければならないのであります。その前に農相にお伺いいたしたいことは、この森林法を施行する面だけを見ましても、
日本の民有林に対しまして、今後この法律を施行するために、それぞれ林業経営指導員なるものを配置するのでありますけれども、これが現在の
政府案においては、一万町歩に対して一人の林業経営指導員を置くにすぎないのであります。国有林につきましては、御
承知の
通り、非常に民有林に比すれば内容が整備いたしております。わずか千町歩、二千町歩というような小面積に
一つの営林署が設けられておる。あるいは一万町歩の国有林を監督するために実に大きな営林署があ
つて、数百人の人員を配置しておる
状態でありますけれども、民有林については一万町歩にわずかに一名というような
状態で、とうていこの森林法の完全な施行はできないと
考えるのであります。この際
政府においては、
行政整理のお
考えもあるようでございますが、もとより原則的には私どももこれにつきまして同感の意を表するものでありますけれども、しかしながらこの森林法を施行する面におきましては、どうしても民有林に対するところの
行政措置を相当程度にとられなければならない。これはあるいは国有林の方から転換をする
方法も
考えられまするが、この点につきましては、どうしてもこの際特別の
方法を
考えなければならない、かように思うのであります。新農相はいかなる構想を持
つてこの森林法を施行せられるお
考えであるか、まずこれを伺いたいと思います。