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1951-07-13 第10回国会 衆議院 農林委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十三日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 河野 謙三君 理事 野原 正勝君    理事 小林 運美君 理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       川西  清君    中馬 辰猪君       原田 雪松君    平野 三郎君       八木 一郎君    大森 玉木君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       木村  榮君    横田甚太郎君       高倉 定助君  出席国務大臣         農 林 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         農林政務次官  島村 軍次君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         農 林 技 官         (食料庁総務部         検査課長)   白井  勇君         林野庁長官   横川 信夫君         農 林 技 官         (林野庁林政部         林産課長)   藤本 和平君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 七月十三日  委員山口武秀君辞任につき、その補欠として木  村栄君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事原田雪松君の補欠として河野謙三君が理事  に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事補欠選任  派遣委員より報告聽取  米価問題に関する件  林業に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  井上良二君より発言の要求がございますからこれを許します。井上良二君。
  3. 井上良二

    井上(良)委員 先般鹿児島宮崎地方を襲いました台風によつて農業関係被害、または関係県民の罹災が非常に大きいことはすでに御存じの通りでありますが、また去る十一日、十二日近畿地方に未曽有豪雨がございまして、このために特に被害中心地京都府のごときは、行方不明、死者ともに百四、五十名の被害者を出しておるようなわけでございまして、各農産物の被害並びに農林関係被害は実に大きなものがあるということが新聞で報ぜられております。なおこの被害は隣県の滋賀県、岐阜県、大阪兵庫の各範囲にわたつておりまして、地元民の困苦まことにはなはだしきものがあろうと思います。この際国会が開会をされておりませんので、これに対して国会として慰問あるいは見舞電報その他の処置がとれませんので、本委員会におきまして、委員会の議決をお願いいたしまして、先般の台風による鹿児島宮崎両県に対する見舞電報、同時に今回の大豪雨により被害を受けました京都滋賀岐阜大阪兵庫等の各府県に対しての被害見舞電報を発せられ、かつ必要がございました場合は、委員長を初めといたしまして、数名の者を被害調査に派遣されるよう、この際動議を提出いたします。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 井上君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 井上良二

    井上(良)委員 そこで見舞電報等の案文は、委員長の手元でおつくりを願いたいと思います。なお被害の実地の視察につきましては、委員長の方でそれぞれ御計画をされるようお願いをいたしておきたいと思います。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 これについて一言申します。電報の方はもちろん御動議通り委員長はとりはからいますが、委員派遣の方は予算が伴いますので、それぞれのポストとよく協議をいたしまして、できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。     —————————————
  7. 千賀康治

    千賀委員長 次に派遣委員より調査報告聴取の件でありますが、四国及び九州地方報告原田雪松君にお願いいたします。
  8. 原田雪松

    原田委員 私ども九州四国班に関する国政調査の概要を報告いたしたいと思います。  本調査班は私ほか坂口、井上委員並びに岩隈専門員の四名をもちまして編成、六月の二十六日高知市に集合いたしまして、愛媛県、大分県、熊本県、長崎県、佐賀県、福岡県の各県にわたりまして、七月六日まで十日間、折からの梅雨期にもかかわらず、天候に恵まれまして、熱心にかつ能率的に予定の計画従つて調査行つたのであります。この間の調査日程は、四国九州各地農林一般事情に関しましては、時間の都合もありますのでこの際省略することといたし、それぞれの地域が今日の問題といたしまして、これらの解決に追られておりまする案件を、われわれが法律案予算案ないしは国政を審議しまする上において重要な参考とすべき点に関連せしめつつ、御報告してみたいと存ずるのであります。  まず災害復旧事業についてでありまするが、四国九州は常時台風の通過するコースに当つております関係上、年々大小数回の被害をこうむり、住民に対して宿命的な脅威を与えておりますことは、すでに御承知の通りでございます。四国四県の国有林被害について見ますると、二十三年度末において要復旧面積が五百八十九町歩であつたものが、二十五年度末におきましては、さらに拡大して六百六十五町歩となつておるにもかかわらず、復旧面積はわずかに七十町歩にすぎず、差引二十五年度末において五百九十五町歩が残ることになり、進捗率はマイナス〇・六%で、逆に年々累積しているありさまであります。しかも二十六年度においてわずかに復旧二十三町歩が予定されているのでありますが、二十五年度以降特別会計のわく内ではどうしても律し切れず、一部一般会計が負担するように聞いておりますにもかかわらず、治山事業災害の発生に追いつかないありさまであります。国有林のみならず、国費をもつて行う民有林治山事業について見ましても、ようやく二割程度復旧しているにすぎないのであります。  さらにこれを九州地区について見ますると、元来九州は北部に花崗岩地帯、中南部は火山灰地帯でありまして、山地のエロージヨンが著しく、治山事業を積極的に推進する必要があるのでありまするが、中央より遠隔の地にあつて実情の把握が不十分であり、また地勢上大河川が乏しいために、政府が現にとりつつある重要河川重点主義山地砂防予算の配当をもつてしましては、とうていその需要に応ずることはできないのであります。たとえば昭和二十五年度予算におきまして、林地荒廃復旧費として、全国のわずかに四%が九州に配付されているような実情であります。地形的に、地質的に、気象的に災害を受けることが多く、しかも過去において大災害をしばしば受けたので、地方財政も民力も著しく枯渇している四国九州地域については、今後政府は格段の考慮を払うことが必要ではないかと痛切に感じた次第であります。これを耕地及び農業施設災害復旧について見ましても、まつたく同様であります。たとえば高知県を例にとりますると、二十三年度以降について見ましても、六回の水害、高潮、地盤沈下による災害をこうむり、総復旧事業費十一億円のうち、六六%以上が二十七年度以降に持越されるありさまであります。愛媛県も二十五億のうち二十億以上、大分県も六億以上、福岡県も五億円以上、熊本県も三億六千万円以上が来年度以降に残されており、地方行政当局被害農民は、そのために塗炭の苦しみをなめていると言つても過言ではありません。  この際私は特に四国における地盤沈下の問題に触れておきたいと思います。これを高知市のみに例をとつてみましても、沈下のために排水を要する面積は千八百町歩、反当最高電力料金三千七百五十円、平均六百九十円であつて全国平均二百円ないし三百円に比しておそろしく割高であります。市内に六十四台の排水ポンプが設置され、年間一千三百万円の電気料金を支出しているのであります。その負担区分は県、市、個人三分の一ずつということになつていますのを、今年度以降県は負担の割合を六分の一に引下げましたので、末端はいよいよ困却しているのであります。ただいま問題となつている電力料金の値上げが原案のまま実施されるといたしますると、実に反当一万円近くを負担するものすら出て来ると思われ、ために耕作を放棄する者が生ずるとせば、今日までに投資せれた十二億円以上の経費は、はなはだ意味のないものとなるのであります。われわれはしさいに現地を視察いたしたのでありますが、何らか抜本的に法的基礎を持つ諸方策を用意するにあらずんば、その窮状を打開することはできないように感じた次第であります。この地盤沈下ひとり高知のみに限らず、紀伊水道並びに瀬戸内海東部に沿う一帯がその被害を受けておるのでありまして、われわれが高知の次に現地調査を行いました愛媛県におきましても、臨海農地並びに農業施設が潮害または排水不良により年々莫大な損害を受け、復旧費十三億円を要するという報告を受けたのであります。  次に先国会において成立いたしました森林法並びに同施行法に関連いたしまして、今後の林業政策問題点となるべき事項について、現地官民との接触によつて知り得たところを御報告いたします。  今次の改正については、国有林民有林を通じて一貫した指導方針のもとに森林経営計画が樹立されることになり、治山治水その他公益関係におきましても、また林産物の生産保続の点においても、林業の本質上必然の型が再確認せられたものとして、一般に歓迎せられているところでありますが、同時に同法の運営上、今後の施策をまつて価値判断すべき点の多いことを感じた次第であります。すなわち一、伐採調整資金の貸出が、真に必要なる者にかつ十分行われるかいなか、またいかなる伐期齢級に適用を見るか。二、林力の培養をはかるためには、利用合理化、消費の節約はもとより必要であるが、里山を休養せしめて奥地林を開発することが一層大切であつて奥地林道の開設を積極的に推進する必要がある。しかしながら福岡県を一例にとれば、現行予算計画の二割を充すにすぎない有様であり、また長崎県のごとく海岸線長く、短距離に無数の林道を開設しなければならぬところでは、国または県の助成対象もしくは長期資金融資対象とならず、困却しているような実情にあるのでありまして、この際政府は、林道、開拓道路一般道路を総合的に取上げ、道路網計画を促進する必要はないかどうか。三、森林実施計画について、伐採の許可は年一回となつているが、これを二回ないし三回にわけて許可する方が適当ではないか。特に九州のごとく、年中伐採作業の行われやすい地域では、その気象條件より言つても一層適当と思うが、しかしそれがためには、森林区数、経営指導員の増設、増員を行わぬと、法の実施に円滑を欠くから、そのための財政措置を講ずる要はないか、以上のような諸点が各地で盛んに論ぜられ、要望せられたのであります。  また森林組合に関して、各県の実情を聴取したところによりますと、各地とも予想以上にその経営内容は弱体でありまして、今後新たなる構想をもちまして再出発すべき組合が、はたして民有林施業経営主導力となつて活躍し得るかいなか、心もとない次第でありました。戦争中、木材、薪炭の供出に協力して参つたが、戦後その機能は逐次減退し、特に組合費収入の大部分であつた立木販売手数料の減少、あるいは直営事業不振等に伴い、一応組合は結成されたが、組合中枢機構さえ未完備のまま今日に至つたもの、現に未登録のもの、出資組合なるに出資を欠けるもの、いまだ経済事業に未着手のもの等々、概して有名無実のもの、不活発のものは、各県とも大体においてその全体の三分の二にも達し、赤字を持つていても再建整備計画すら立たぬ現況であるようであります。政府は思い切つて物心両面より強力なる指導態勢を樹立するにあらずんば、森材法の制定も画竜点睛を欠くうらみを免れないと思うのであります。すなわち一、できるだけ仕事を与えて経営基盤を確立すること。二、施業案の検訂費を増額すること。三、森林組合技術員制度を復活すること等はさしあたつて考慮すべき点ではないかと思われるのであります。  なお緊急開拓による林野開放の行過ぎ是正について高知、大分、福岡等において強い要望が聞かれたのでありますが、できるだけ早い機会に政府において善処せられんことを、この際切に望んでやまないのであります。  次に九州における坑木パルプ需給事情について報告いたします。  まずパルプについて言えば、九州におけるおもな木材パルプ並びに製紙工場は、十條製紙の八代、坂本、小倉の三工場と、福岡製紙、高千億製紙、日本パルプ日南工場その他若干の小工場でありまして、パルプ生産能力十四万トン、所要原本二百十八万石でありますが、現在興国人絹パルプ会社が大分県佐伯市に人絹パルプ二万トン工場新設準備中で、この所要原木四十万石といわれております。所要原木の対種は松八九%、杉、ひのき一〇%ですが、もちろん九州のみからの集荷は困難であつて、中国、四国より移人をはかつておるのであります。一方坑木におきましては一、パルプとの競合、二、坑木代金支払い遅延坑木価格引下げ、四、森林法の改正等々の原因によりまして、その入荷状況が著しく悪化しているのは事実でありまして、これが対策としては、大手筋炭鑛会社では前渡金を坑木業者に渡して入荷を督励するとか、三井炭鑛のごときは、第二会社をつくつて努力しているようですが、現在平均一箇月程度のストツクにすぎずと言われ、資金力の弱い中小炭鉱は相当苦境に立つている模様であります。  九州における昭和二十六年度の木材生産見込み量は、およそ一千万石と推定され、そのうち福岡通産局の調べによると、坑木四百三十七万石、パルプ二百十八万石といわれているので、本年度の需給バランスはどうやら保持されるとしても、九州の松の蓄積高一億石と見ると、十数年にして消費され盡す計算となり、植伐の均衡はこの点よりも強く要請されるのであります。従つて坑木側としては、鉄柱、カツペ使用、利用の合理化等行つて原単位の引下げに努めており、またパルプ側としては杉、ひのき間伐材の使用、広葉樹の使用奥地林の開発、備林の造成を行つて将来に備えているが、漸次窮迫する当面の事態を緩和する決定的な対策とはなつておらず、従つて坑木パルプとの競争は、今後ますます激甚をきわめるものと思われるのでありまして、不利な立場に立つ坑木に対しては、坑木面から出炭減を防止しまするためには、森林側におきまして次のような措置をとる必要はないものかと存ずるのであります。すなわち一、集荷地域の割当。二、坑木備林よりもむしろ貸付資金のあつせん。三、パルプは大径木、坑木小径木というごとく使用区分の指示。四、伐採許可回数の増加。五、坑木に関しては特に適正伐期齢級引下げ等であります。なおパルプ会社は、九州地区、中国、四国地区において幼壯齢林の短伐期買付数量が三百万石以上に上ると称せられているのでありまして、これの処置は今後注目すべき問題となるのではないかと思うのであります。  以上をもちまして、林業関係を終り、次に農業関係公共事業について御報告いたします。  公共事業費画期的増額が年々主張され、しかも逆に予算総額において占める比率が逐次縮小され、本年度においてわずかに増額せられたことについて、当委員会が強く遺憾の意を表明していることは、すでに説明の要を見ないのでありますが、四国九州地区を歩いてみて、公共事業に対する財政需要がいかに熾烈であるかをあらためて認識した次第であります。冒頭において災害復旧の問題に触れましたので、以下その他の事項についておもなるものを拾つて実情を御報告し、あわせて政府の注意を喚起したいと思うのであります。  土地改良事業については、今後九州で国営、県営、団体営をもつて改良を要する面積は四十万町歩に及んでいますが、特に九州では国の助成は低調をきわめており、たとえば鹿児島、宮崎のしらす、ぼら、こら等特殊土壌改良について、しばしばその対策の確立が叫ばれているにもかかわらず、一向実現の運びに至つていないのであります。その早急なる改良による生産の増強と民生の安定は、積雪寒冷単作地帯対策に劣らず重要なものと考えられる次第であります。また九州には小規模土地改良の要求がきわめて多いのありまして、国庫補助の道が開かれればまことにけつこうでありましようが、農林漁業資金融通のわくも、九州に対しては実需の十分の一の四億円程度といわれ、かような遠隔地に対してこそ思い切つた手当をいたすべきものと思われるのに、事実はまさに逆であります。また県営土地改良事業基準面積が三百町歩ということになつておりますが、四国九州は比軽的小面積のものが多数あるので、全国一律とせず、地域的な基準を設定すべしという要求が随処で聞かれたのでありまするが、これについての政府の所見を伺いたいと思うのであります。  四国九州なかんずく南伊豫瀬戸内海島嶼地域四国山脈山麓地域等にわたつて一万数千町歩に及ぶ段々畑のありますことは、すでに御承知の通りでありますが、これらの特殊地域に住む農民も、まことに不幸なる宿命を持つているものといわねばなりません。国家といたしましても、当然農地保金経営改善、農道、索道の敷設等、強力な指導態勢をもつて臨むべきものと考えられるにもかかわらず、若干のモデル地区の改善が行われているほか、ほとんど放任の状態にあるのでありまして、無責任のそしりを免れません。すみやかに研究調査を始められんことを望むものであります。  次に、九州における干拓について一言述べておきます。九州において、二十五年度末において工事中のものは、国営十地区、代行二十一地区面積七千五百町歩、総工費六十二億でありますが、九州はその地形上至るところに干拓の適地が散在しているのでありまして、干拓一般工事単価が高いということで積極的に推進されぬうらみがありまするが、無から有を生ずる新耕地の造成、既耕地改良災害の防止、失業の救済等一石数鳥の効果を持ち、外に失つた領土を内に獲得する意気込みをもつて、今後大いに推進すべきものと痛感する次第であります。従来すでに認証済み地区すら予算の配付が少く、遅々として進まぬ状態でありまして、いわんや新規地区は容易に認められないでおるのであります。たとえば有明干拓は着工以来すでに十数年を経過しており、長崎の諌早干拓も総工費十六億に対して、二十二年着工以来一億一千万円程度予算が配当されたにすぎず、遊休設備が相当あるように見受けられたのであります。三池干拓、小倉の曽根干拓、門司の地蔵面干拓等、われわれの視察の結果によるも完全な干拓適地でありまして政府がこれに対して何ら手をつけていないのは、むしろ怠慢といわざるを得ないのであります。  次に特に福岡県に多い鉱害地について申し述べますると、その面積一万一千町歩にわたつて水田価値完全喪失または減少しているのでありまして、県下生産高の一割に当るといわれております。しこうして特別鉱害復旧臨時措置法によりまして、七十五億円の復旧費が認められておりますが、本法に該当する地域は全体の三〇%程度といわれ、残余は農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律によつて一般鉱害として復旧することにはなつていても、われわれの見聞したところによると、これまたほとんど放任状態であるのであります。はなはだ不公平な措置であるのでありまして、至急対策を講ずべきものと考える次第であります。  なおついでに長崎県の南高来郡小浜町別所ケため池工事について、御報告かたがた政府の意見を伺いたいのでありますが、この地区は雲他の上水道に水をとられ、下流の水田四百七十町歩が旱害の危険にさらされ、水騒動を起し訴訟問題にまで発展しているのであります。その救済策としてダム工事行つて旱害防止電源開発観光資源の造成という一石三鳥の効果をねらつた計画を立てておるのでありまして、地元よりしばしば国会に陳情請願し、われわれもこれを実地踏査いたしまして、この計画のおおむね妥当なことを認めたのであります。これに対する政府の所見を伺いたいと思うのであります。  次に、農林漁業資金融通の件について現地の声を伝えますが、結論からいつて、たとえば災害復旧を除く農地関係四十億の融資わく中、九州は十分の一にすぎず、関東、東北に比して相対的に少いということでありまして、各県とも、わくに比して五倍ないし十倍の申込み希望があるようであります。金融機関があまり積極的でないこと、事務手続がやはり煩に過ぎる等の声が至るところで聞かれたのであります。  次に、麦の統制存廃問題について、現地農業団体の意見を徴しました結論を申し上げますると、統制撤廃を否とする意見は、一、麦秋において農家は一部の大農を除いては換金を急ぐために穀物の価格引下げる。二、撤廃になつても有利な換金作物もなく、価格が下ると農家経済を圧迫する、というのでありまして、これに対して可とする意見は、一、農家の希望する保有量が認められず、価格が適当でない今日の供出制度生産意欲を阻害する、二、国際情勢が安定して来たので、むしろ自由がよい、というのでありまして、結局生産費を償う価格保障があれば、統制にはあいているのでむしろ撤廃した方がよい、というように私い聞いて参つたのであります。熊本県におきましては、統制存廃の問題より、むしろ五等麦をぜひ買い上げてもらいたいという要求が強く叫ばれたのであります。  最後に、私は各地畜産政策に関する輿論の動向を察知することに努めたのでありますが、その結果をかいつまんで申し上げますと、一、農家生産する家畜取引の公正を期するために、一方では家畜市場法の制定が望まれ、他方では、家畜商の素質を向上するために、試験制度免許期限等について家畜商法の改正を行うこと。二、有畜農家創設に関する画期的措置を講ずるため、家畜導入法のごときものを制定すること。三、各税務署によつて畜産課税のための所得標準率が相違するので、是正してこれを必ず安心するような方法に改めてもらいたい。飼料価格は目下小康状態であるが、今後の騰貴に備えて要綱統制または法律統制を実施されたいということ、食品衛生法の緩和、簡易屠場の設置、国の種牡畜貸付制度の拡充、改良増殖法牧野改良法家畜保健衛生所法家畜伝染病予防法等の法制化された家畜振興対策に十分な予算が伴わず、地方財政を圧迫するので、ぜひこれらのものに予算の裏づけをすること、畜産手形制度を創設すること、大体以上のごときものでありまして、特に設備資金長期融資のわくよりも、むしろ導入資金を一日も早く全国民に貸し付け、もつて有畜農業助成のために努むべしという声が、各県至るところ盛んに叫ばれたのであります。  なお私どもは門司におきまして動植物検疫所並び輸出品検査所の支所の視察を行いましたが、いずれもその機構、機能とも、今後の対外活動に対処するには貧弱過ぎるといわざるを得ないのであります。彦島にある動物検疫所はまつたく荒れ果てており、まことに惨憺たる状態を呈しておりました。輸出品検査所輸出品取締法に基いて検査をいたしておりまするが、同法の建前上、無検査品が三〇%以上輸出される有様で、やがてはクレームの原因ともなるので、むしろ全輸出品を強制検査する必要がないか、また農林物資規格法による登録格付とはまつたく別個の形で検査が行われているが、検査行政を統一して効率化する必要がないかというような点が感ぜられたのであります。  以上をもちまして私の報告を一応終ることといたしますが、非常に広い地域を短時日に歩きました関係で、これらの地域が当面する広汎多岐な問題を一々詳細に調査するいとまもありませんでしたが、これらのいわば辺境地域に対しましても、適正安当農林行政が滲透することを政府に対して特に希望しておく次第であります。なお報告中において述べました問題点に対しましては、政府より適当な回答が寄せられんことを希望して報告を終ります。
  9. 千賀康治

    千賀委員長 次は平野委員報告を願います。
  10. 平野三郎

    平野委員 それでは中国班国政調査の結果につきまして御報告を申し上げます。中国班は私のほかに木村委員が前半参加せられ、去る七月二日から同九日まで、鳥取、島根、山口、広島各県の農林関係事情につきまして調査をいたしたのであります。その概要を簡単に御報告をいたします。  まず鳥取県の会議におきまして問題となりました点は、一、農林漁業資金融通法につきましては、現在のところ全国的にきわめて申込みが低調であつて、特に鳥取県におきましてはきわめて申込みが少い状態であり、これにつきまして種々論議をいたしました結果、一般に対する趣旨の徹底をきわめて欠いておるという点に原因が多くあることが発見せられ、この点について特に格段の努力を要することを認めたのであります。  二に、麦の統制撤廃につきましては、同県の代表的意見としては、農民経済並びに消費者の生計費を考慮の上で、さらに麦価を調整し得る方法を講じて統制撤廃すべしとの要望がありました。  三といたしまして、畜産特に本県の和牛いわゆる因伯牛は、本県の最も誇る特色でありまして、ブラウンスイスを交配して従来の和牛を改良し、粗食にたえ、性温順にしてまことに同県農業の根幹をなすのみならず、広く全国的に分布し得る盛況でありまして、将来一層の改良増殖普及のためには、十分なる国の助成施設、特に導入資金融通の措置を要望するのであります。ことに農林漁業資金融通法におきまして、家畜の導入資金に対する要望は、本県のみならず全般にわたつてきわめて強いものがありましたが、これにつきましては特に大家畜である同地方の牛につきましては、今後何らか法律改正いたしまして、これらの資金を融通するという方法を講じなければ、真に畜産の振興ははかり得ないということを痛感いたしたのであります。なお中国山脈地帯には霧酔病と称する牛の特殊の疾病がありまして、これの予防治療法等未解決の状態にありますので、国の試験機関等も協力し、すみやかに適切な対策を講ずる必要があることを痛感いたしたのであります。さらにまた飼料対策といたしましては牧野の開放を非常に希望しておるところでございます。  四として林業関係について申しますならば、パルプ用材の手当のために、鳥取県だけに出張所を設けておる工場は大小十五に及んでおる。なかんずく日本パルプ米子工場は明年には操業を開始する予定をもつて着々進んでおるのであります。本県はきわめて財政難の折から、木材価格の値上り、税収入の増加等の見地から、極力工場誘致に努めておるのであります。しかして将来の需給計画の方針としましては、県内工場に重点を置きまして、約一万町歩の県行造林を設け、四割を国の補助、六割の手入費を会社負担として、生産物は二、三割を県収入、残りを会社に供給するというような案を立てておるのであります。また本県は坑木も供給しておるのでありまして、県では用途指定を希望しておりました。  次に島根県におきましては、これまた同様、ほとんど県の収入の八割は国に依存しておるような状況でありまして、これらは一般的な問題でありますけれども、地方税法の改正によりまして、県自体の財政的裏づけを強化することを要望するものがございました。  本県の農林漁業資金融通法の成果につきまして申しますならば、すでに本県は割当の六割くらいは申込みがあり、特に山間部地帯の水田は、道路が悪いために農道の希望が多い状況であります。本県についてはどうしても融通資金手続の簡素化、同時に一事業当りに対する貸出し最低限度が三十万円となつておりますけれども、十万円に引下げるならばさらに申込みが増加するであろう、特にこの点の要望があつたのであります。  第二に麦の統制撤廃問題につきまして代表的本県の意見としては、麦の統制は継続いたしまして、統制方式については事後割当の制度とし、農業生産に必要な自家保有量価格とを保証するということも要望があつたのであります。  第三に積雪寒冷単作地帯法に関しましては、本県は特に県独自の審議会をつくつて、目下着々とその法律実施に伴いますところの具体案を検討準備中でありまして、なおまた本県の宍道湖畔の出東村外六箇村の農業水利改良事業を視察いたしましたが、この一帯約三千町殆はまつたくの濕田でありまして、従つて高畦をつくつて、かろうじて麦作を実施しておるというような特殊な地帯でありますので、今後この地帯の排水工事を推進することによりまして、本県が二毛作に転化し得る可能性のあることが認められたのであります。島根県はほとんど麦の生産はないような状態でありますが、この工事実施いたしますならば、今後相当程度の二毛作の美田になし得ることの可能性が認められたのであります。  第四に林業関係につきましては、最近本県の鉄道輸送がきわめて悪く、滞貨が激増しておるような状態でありまして、滞貨一掃のために特に増配車の要望がありました。次にパルプ用材等につきましては、本県もまたきわめて製造会社が多数入つておりまして、新たにパルプ工場の建設計画もあり、需要はきわめて増加しつつある状況であります。  第五に、本県におきましては、農業倉庫がきわめて腐朽はなはだしく、従つて農業倉庫の建設並びにこれの補修に対しまして、国の特段の助成を要望いたすものがありました。  次に山口県でありますが、本県は前の鳥取、島根両県とはきわめて状況がかわつております。特に本県は工業がきわめて盛んでありまして、農業に対しましては比較的他府県に劣つておる感があるのでありますが、しかしながらその山口県でさえも、依然としてやはり中央に依存する度合は七〇%以上の多きに達しております。これまた地方財政制度の根本的改正を大いに望んでおるものがありました。  農林漁業資金融通法の本県の事情につきましては、これまたきわめて不徹底なものがありまして、現在のところの申込みは、はなはだ少いものがあるのであります。これにつきましても、さらに周知徹底方につきまして一段の努力の必要が痛感されたのであります。  次に本県におきましては宇部興産株式会社並びに山陽パルプ岩国工場等を視察いたしましたが、特に木材利用合理化の見地から、現在使用いたしておりますところの坑木を鉄、セメント等の使用に置きかえるということにつきまして、相当研究が進められておることを見たのであります。その坑木にかえるに鉄柱及びカツペをもつていたしましたのは、宇部炭鉱に隣接いたします大浜炭鉱がわが国における最初のものでありまして、相当の成果をあげておるように見受けられましたが、この方法が九州、北海道とすべての炭鉱に一律に行い得るやいなやにつきましては、なお大いに研究の余地があるように感じたのであります。  次に宇部興産会社の硫安の製造状況を視察いたしましたが、きわめて順調に進んでおるのでありまして、その工場には滞貸がきわめて増大いたしておる状況であります。工場の倉庫はほとんど一ぱいでありまして、会社の説明によりますれば、現在の在荷数量は二万数千トン、価格にして約五億円に近いものがあつて、しかもなお製造は極力進められておりますので、会社としては、かような状況下におきましては今後早急に輸出を望むというような要望があつたのであります。これは本委員会におきましても、先般来肥料問題をきわめて重視いたしまして種々論議を加えました結果、政府におきましても肥料の増産に極力努力をし、また各工場ともこの点につきまして特段の努力をいたした結果であると思うのでありますが、現在かくのごとき工場全国的にかような状況にあるとするならば、政府としては、これらの滞貨するところの肥料をすみやかに買い上げて貯蔵するか、あるいは何らか肥料の需給調整に関しまして特段の措置を講じて、もつて春肥に対しますところの肥料価格の確保をはかるために、処置を講ずる必要があるということを痛感いたしたのでございます。  また岩国におきます山陽パルプ会社木材使用量は年百万石以上でありますが、現在その貯木場には四十万石から五十万石程度の貯材が滞貨せられておるのでありまして、まことに壮観なるものがございました。なおまたこのほか国策パルプ会社の防府工場設立の計画もありまして、各会社とも資材の収集に大わらわの現状であります。また炭鉱会社坑木の収集に全力を傾注いたしておりまして、その競合状態は深刻なものがあり、今後需給がいよいよきゆうくつになることは明らかであります。同社としては、原料対策の一つとして、宮崎県において三千六百町歩の山林を所有し、造林等につきましても若干の努力をいたしておるとのことでありました。しかしながら同社としては、製品には人絹用パルプをおもにいたしておる関係上、ほとんどこれを針葉樹のみに依存し、また将来もその方針でおるとのことでありました。  広島県におきましては、農林漁業資金特別融通法の関係につきましてはこれまた同様の状態でありまして、現在決定いたしました貸出しの実績は、きわめて僅少のものであります。本県の林業関係につきまして申しますならば、本県の蓄積は約八千七百万石、うち利用可能のものは七千六百万石でありまして、そのうち約三分の二は針葉樹であり、三分の一は濶葉樹であります。しこうしこうして生長量は三百六十万石でありまして、このうちには利用不可能のものを含んでおりますが、これに対しまして消費量は七百三十万石以上、うちパルプ及び坑木用として百万石ないし百四十万石の利用があるのであります。従つてこの需給状態が続きますにおいては針葉樹は十五年ないし十六年をもつて三十年以上のものはほとんどなくなり、濶葉樹も十年くらいでなくなるのでありまして、本県には最近さらに東北パルプ会社が呉に進出することになつており、パルプ年産一万トン。なお近い将来におきましてはこれを二万トンに拡張する計画であり、現在建設工事はほとんど進捗いたしておりまして、その工場の運転も十一月一日に予定されておるような状態でありましたが、本工場につきましては、先般本委員会におきまして通産省雑貨局長の説明によりますれば、いまだまつたく計画中のものであつて、敷地もまだ確定していないというような答弁であつたことを考えますときに、事実といかにも相違いたしておりますので、一驚を喫したような次第でございました。  次に広島市におきまする山陽木材防腐工場視察いたしました。当会社全国に五つの工場を有し、年間約六十万石の木材の防腐、ことにまくら木、電柱を主として行つておりまして、この防腐を実施いたしますならば、その木材の耐久力は約三倍になります関係上、木材利用合理化の見地より、国家的にきわめて必要な事業であります。しかしながら遺憾なことには、原料でありますところのクレオソートがきわめて騰貴いたしております関係上、防腐に要します経費が石当り千三百円の高価につきまするのが欠点でありまして、今後これらの代用品として、他の安価な油を使用する等経費低下のくふうがまず必要と考えます。  以上きわめて簡単に申し上げましたが、詳細につきましては、専門員室に参考資料等が整理してありますから、ごらんを願います。  今回特に重点を置きました林業関係につきまして考察いたしますれば、需給の調節をはかるためには、パルプ会社の設立等に関しましては、通産、農林両省緊密な連繋のもとに政府がこれを監督する必要がありまするとともに、一面奥地林の未利用資源の開発木材利用の合理化並びに造林計画等の施策を強力に推進する必要があることを痛感いたした次第であります。  以上簡単でありますが、報告を終ります。
  11. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの両君の御報告を、農林委員会を了承するのに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  12. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。了承に決しました。     —————————————
  13. 千賀康治

    千賀委員長 次に昨日に引続きまして、林業に関する問題について質疑を行います。  この前にちよつと申し上げます。追つて林野庁長官も出席をされる予定でありますが、ただいま出席をされておるのは藤本林産課長であります。
  14. 平野三郎

    平野委員 政府は最近木林のアンバランスを調整するために、物資需給調整法を発動いたしまして、種々の経済施策を実施いたし始めておりますが、そのうち特に建築制限に関しましては、最近大ビルデイングの使用するところの木林の使用制限を行つておるのであります。これにつきましては、私は日本の森林資源の根幹を管掌しております農林省として、当然安本、通産と協議のもとにこれらの施策が実施せられておることと信ずるのであります。はたしてこの点につきまして十分なる打合せのもとに行われたものであるかどうか。特にもう一点お伺いいたしたいことは、これらの施策を行いまするためには、ただビルデイングの使用木林の制限をするというような姑息な手段だけではとうてい満足しかないのであります。当然木林の制用全般にわたつて一貫したる施策をとるべきである。しかるにただ単にビルデイングの使用木林の制限をするというような、ほんの一部の制限のみを行うというようなことは、まことに片手落ちではないかという印象を強く受けるのであります。これにはどうしても木林の大消費者でありますところのパルプであるとか、坑本であるとか、あるいは一般建築であとかいうような、全般にわたつての施策が必要であると思うのであります。ことにこの施策によりまして節約されるところの木林は、わずかに七十万石程度にすぎないと予想されておるときに、かくのごとくほんの一部のもののみに制限を加えるということは不公平であると同時に、全般の施策の実施をも誤らしめるものであると思われて、どうも政府の行われところが、まことに一貫性を欠いたような印象を強く受けるのでありますが、この点につきまして、林野庁当局の方々は十分安本、通産とお打合せがあつたかどうか、あるいはこれらの施策について、農林省としては満足しておられるのであるかどうか、あるいは今後はどういうお考えであるか。これらの点について伺つてみたいと思います。
  15. 藤本和平

    ○藤本説明員 建築材の使用制限について安本、建設と連絡があつたかというお話でございまするけれども、事務的にはあの新聞の発表にありましたことを私たちは承知いたしておるだけでございまして、あの原案が作成せられるときには、農林省といたしましては関与いたしていませんでした。ただあの問題が新聞紙上に発表せられましてから、建設委員会の小委員会のときに、初めてそういうものを安本で考えておるということについて承知したわけであります。  その問題につきまして農林省はどいうふうに考えておるかというお話でございますけれども、われわれといたしましては、利用合理化を推進して行く立場において、木材が節約されるという観点からのみ考えまするならば、あれによりまして私が大体推定いたしておるところによりますと、建築材の約二百万石程度のものが節約されるというふうに考えておりまするので、この観点から参りますれば、農林省としては賛成することにやぶさかできないというふうに、そのとき申し上げております。  それからほかの方の問題につきましては、どういう物調法を出してこの用使制限をさせて行くかというようなことにつきましては、時折経済安定本部とは連絡いたしておりましたけれども、目下のところ、具体案は作成されておりません。
  16. 平野三郎

    平野委員 これは委員長にお願い申し上げたいと思うのであります。先ほども調査報告の中にも申し上げたのでありまするけれども、このパルプ工場の完成の問題につきましては、先般の本委員会におけるところの通産省側の説明と事実がまつたく違つている。これは議論の問題ではなくして、事実の問題であります。通産省においては、まだ敷地もきまつておらない、また目鼻もろくにつきかけておらぬという説明があつたにかかわらず、現場へ行つて見ると、工事はほとんど完成して、操業に近づいているというふうな状況でありますることは、政府としていかにも無責任きわまることであると思います。この点は、次の委員会において通産省の当局を呼んでいただいて、糾明をお願いいたしたいと思います。さらに意外なことは、各パルプ工場とも、いずれも通産省が監督権はないとは申しておりまするけれども、通産省に密接な連絡をとつて、十分な理解の上に進めておるのだということを言うておりまするが、いよいよもつて奇怪しごくであると考えまするが、この点につきまして、重大問題でありまするから、特に委員長におきましておとりはからいをお願いいたしたい。なおいろいろ林業関係についてお尋ね申し上げたいことがありまするが、林野庁長官御出席の上でさらにお尋ねいたしたいと思います。
  17. 千賀康治

    千賀委員長 長官が出席をするまで平野君の質問は保留していただきます。     —————————————
  18. 千賀康治

    千賀委員長 昨日に引続き米価問題もこの際上程をいたします。遠藤委員
  19. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 米価問題については、大臣の出席を求めてここでいろいろ議論することになつておりましたが、大臣が見えないようであります。ちようど私きのう出席を求めておりました検査課長が見えておるようでありますから、食糧検査の問題について特に価格面と非常に大きな関係がありますから、この際食糧の検査の問題について、二、三の点をはつきりお尋ねしておきたいと思うのであります。  昨日も本委員会で長官に概括的な質問はしておつたのでありますが、きようその細部の問題について、非常に重大な問題でありますから、なお確かめておきたい。それは来るべき麦の供出が完了した後に、麦を自由販売にするという問題が今目の前にぶら下つておるわけでありますが、自由販売になりました場合に、食糧の検査制度というものは、すなわち銘柄格差をどうきめて自由販売の麦を政府が買い上げるかという問題は、麦の生産者すなわち全国農民からいたしますと、きわめて重大な問題でございます。この買上げをする場合の銘柄格差の問題、それから一般取引として自由取引場裡に商品として流通する場合の銘柄格差の問題、その問題についてだんだん準備をしておるという長官のきのうの言明ではありましたけれども、どの程度に準備をしておるか、実際の具体的な案がすでにできておるとすれば、その点をこの際はつきり御答弁願いたい、こう思うわけであります。
  20. 白井勇

    ○白井説明員 お答え申し上げます前に、去る三月の国会におきまして、農産物検査法が皆さんの格別な御協力によりまして通過をいたしましたことを、この機会をかりまして私からも厚くお礼を申し上げたいと思います。  ただいま御質問ありました点につきまりては、もともとこの検査関係統制があろうがなかろうが、必要な問題でありますので、私の方におきましては、食糧事情の推移にかんがみまして、できるだけその取引関係に即応いたしまするような検査の標準を設けるような考え方で進めて参つておるわけでありまして、過日幸いにも法律が通過いたしまして実施になりましたので、従来いろいろ準備いたしておりました資料に基きまして、とりあえず麦の検査基準となります規格、銘柄というようなものにつきまして、ほんとうを申しますれば、できるだけ関係者にお集まりを願いまして、審議会等によりまして決定をしたいという考えでおりましたが、四月の十日本法が公布になりまして、五月の二十日から実施になりまして、その五月の二十日までに規格を公布しなければならないというような非常に取急ぎました関係もありまして、今回はとりあえず麦に重点を置きまして、その他のものにつきましては、字句の修正というような考え方で規格を公布いたしたのであります。その場合におきまして、麦の規格には、今回初めて従来ありませんでした銘柄というものを新たに取入れました次第であります。御承知通り、等級によりましてある程度の仕わけをいたしますわけでありますが、やはりそれにのみによりましては仕わけが困難な部面があるわけであります。大体等級と申しますれば、いろいろ條件がかわります。たとえば耕種のやり方でありますとか、あるいは生産後におきまする処理過程でありますとか、そういうようないろいろの條件の違いの結果、品質の差が出て参ります。仕わけが大体等級に現われるわけでありまして、條件がほとんど同じであるというような場合におきましては、やはりそこに差が出て参りますような面を銘柄におきまして補つて行く、こういうような必要がぜひ出て参るわけであります。ただ長い期間にわたりまして、統制が継続されておりましたので、ここに銘柄をにわかに設定をいたしますることは、いろいろの面におきまして支障があろうかと思いまして、今年度はとりあえず銘柄を設定する糸口をつくつたというような程度の、まあ言葉をかえますれば、昔のようなほんとうの銘柄というような意味合いでない大わけをいたした次第であります。銘柄を設定いたしまする場合におきましては、申し上げるまでもないわけでありますが、従来の自由取引時代におきまするいろいろな要素を加味されました総合的な結果がそこに生まれます銘柄というようなものとは違いまして、とりあえず現在の事情におきましては、やはり麦を白にいたしまして、あるいは製粉をいたしまして、その場合の歩どまりがどうなるかということが、まずとりあえず現在の事情におきましては重点になりますので、私どもにおきましては、いろいろ搗精試験等をやりまして、品種、あるいは産地の麦をいろいろ試験やりました結果、その資料に基きまして、大麦におきましては大体四階級、裸におきましては三階級、小麦におきましては、品種別に多少の銘柄を設けるというようなぐあいにいたしたのであります。大麦に例をとつてみますと、四階級にわけまして、大体歩どまりにおきまして、その間におきまして二%くらいの差をそこに考えまして、二%くらいの差のありますものを規格といたしまして、一類、二類、三類、四類というようなふうにわけました。御承知かと思いますが、普通の場合におきましては、大体七三%どまりと申しますのが、押麦にいたしました場合の製品の原麦に対します歩どまりであります。そこでその上に七五%程度のものを二類設けまして、さらにその上に七七%までもとまり得るというものを一類設けまして、さらにその下の方に、七三%にとまらない七一%くらいにしかとまらないものを四類というように大わけをいたしてつくつたのであります。そういうふうにいたしまして、従来何もかもつつ込んでおられましたものを、できるだけよいものはよい価格で売買されるようなかつこうにいたしたい、こういう考え方でいたしました。かりに供出をされます場合におきましても、やはりよい品物を出しました者に対しましては、それに相当の報いが行くというような考え方できめらるべきものでなかろうかということで、価格関係の方にも連絡をとりまして、そういう措置をお願い申し上げることになつております。さらに等級区わけの問題につきましては、従来は大体政府で買い入れますものにつきましては、四階級ぐらいの、つまり一等、二等、三等、四等というような四階級に区わけをいたしておつたのであります。ただ特殊の災害等がありました場合におきましては一階級増設をいたしまして、四等の下に五等を設けた、こういう例が昨年、一昨年あたりにあるわけであります。建前といたしましては、大体四等くらいまでのものを従来買つてあつたわけであります。従いましてその規格に合いませんものは、まず農家の消費量になる、やむを得ない場合におきましては、一定の鑑査率のもとに悪いものも取入れておるわけでありますが、そういうようなかつこうになつております力今後統制緩和等の点もありますので、表につきましては少くも生産者が取引市場に出しまするようなものを、それぞれの品質に応じまして仕わけをして参るということが、どうしましても必要になつて来るわけでありますので、今回お手元に差上げてあります規格でごらんになりますればおわかりになりまする通りに、従来の四階級のほかに、さらに五等というものを設けまして、その下にさらに等外というものを設けたのであります。そういうふうに五等、等外というふうに六階級にわけましたほかにただ一部の條件におきまして、たとえてみまするならば、網の目にかかりまして、麦の品質におきましてはあまり影響ありませんけれども、水分だけにおきましてその五階級に入らないというようなものが、実際の生産におきましては多少出て来るわけであります。そういうものもやはり市場には出ます。その場合におきましては規格外というような一つの仕わけを設けましてやつて行く、こういう措置を講じまして、少くも農家が手渡します場合におきましては、検査官が、これは検査の階級から申しまするならば、少くもこういう程度には該当するものであるというような保証をいたしまして、そうして農家の取引の便宜に資したい、こういうような考え方で麦の規格を制定いたしておりますので、かりに今後統制が緩和されまして、自由市場に出るというようなかつこうになりましても、少くとも検査の面におきましては、農家あるいはその後の取引状態におきましては、関係者に御迷惑をかけるようなことはなかろう、こう考えておる次第であります。
  21. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私が再三くどく申し上げますのは、農村の方ではタバコの収納の問題につきまして非常に苦い経験をなめておるわけであります。それは昨年のタバコの収納の場合には、価格を五分の値上げをするということであつたのでありますが、農村では非常に喜んでおつた。ところが実際は、等級格差の問題で非常に買手の都合のいいような等級格差をつけてしまつた。実際の農家の手取りはどうかというと、ほとんどふえなかつた。これはもう農村のタバコ耕作をしておる人たちがひとしく怨嗟の声を放つております。その同じ轍をこの麦の問題についても踏まないように、今伺いますと、非常にこまかな科学的な研究によつてこまかい等級格差をつけておるということでありますが、そのタバコの轍を踏まないように、特に買手本位の考え方でもつて運用しないように、この点はお願いしておきたいと思います。  そこで私はこの際伺つておきたいのは、そういうふうに四等、五等ないしは等外まで等級をつけておられるということは、非常にけつこうでありますが、本年の麦の買上げについて五等麦を買い上げるかどうか、この点は御承知のように、昨年も非常に大きな問題になりました。農村の方では五等麦のやり場に困つたわけであります。今年もこの五等麦の問題は非常に大きな問題になると思うのであります。この五等麦は、取引の慣習からいつて必要がないとか、政府が買い上げるには不適当だ、こういうようなことを昨年も言つておつたわけでありますけれども、それは農村の事情からいうと非常に困つたことであります。昨年はこの委員会でも一致した要望でもつて、五等麦を買い上げるようにということで、政府もその措置に出ておつたのでありますが、今年も買い上げるかどうか、もし買い上げないとしますと、農村の生産者の最低の生産費を償う価格でもつて政府が引取るという建前が、その五等麦の一角から崩れて行くと思うのであります。その点についての政府の方針を伺つておきたいのであります。
  22. 白井勇

    ○白井説明員 この点につきましては、後ほど長官が見えると思いますから、そのときひとつ……。
  23. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 五等麦の買上げの問題については、長官が見えられてからお尋ねすることといたします。そこで私ども今非常に問題にしておりますことは、食糧の国営検査機構におきまして、独立採算制を非常に強調しておられるということを聞いております。これは一応理論的にはもつとものように聞えますけれども、これは私どもに言わせると非常な誤りだと思うのであります。独立採算制でやつて参りますと、すべて農家負担するということになります。これは国営検査のときにさんざん議論になつた点でありますけれども、この国営検査農家のためにのみやるのではないのであります。広く一般の消費者のためにもやり、国家的な目的のために検査をやるのでありますから、それをすべて検査を受ける農家負担させるという建前は、私はどう考えても誤りだと思う。そこで独立採算と称してすべての農家負担させるということに対しては、私どもは絶対反対でありますが、その点についての食糧庁の見解を伺つておきたいのであります。
  24. 白井勇

    ○白井説明員 ただいまの点につきましては、私たちも筋といたしましては、お説の通りに、農産物の検査農家のみならず取引業者さらに消費者全般に好感をもたらす筋合いのものでありますから、この経費はやはり一般会計負担させるべきものと思いますが、ただ事務当局におきましては、今の財政状態から申しまして、少くも大蔵省に折衝するような場合におきましては、これも事務的には一般会計負担をしてもらいたいというような要求はなかなか困難でありまして、今後皆様方のお力によつて、その方向に出ますればまことにけつこうなことと思いますが、私たちといたしましては、事務的にはやはりどこまでも現在は、できるだけ少い経費をもちましてやつて行く、その最小限度におきまして必要な経費は一応手数料でとつて行く、こういう考え方で今やつておるわけでありまして、これは今お話のように全部が全部農家に還元をされる、こういうふうにも必ずしも言い切れない面があろうかと思いまして、これはもちろんそのときの物の需給の関係もありましようし、場合によりましては、農家の強い場合においては、結局取引業者なりあるいはそれをまわりまして、消費者に結果においては負担をさせられる、こういう場合もあろうかと思いますが、とにかくさしあたりの問題といたしましては、私どもにおきましては、できるだけ独立採算という見通しのもとに進めておる次第であります。政令で決定をいたします手数料が五月の二十日ごろに公布になつたわけであります。そのときも実は取急ぎまして、相当関係方面からあまり高過ぎるというような非難をあびておりますような手数料を政令できめておる次第であります。とりあえず問題になりますのが、統制のはずれました雑穀類あるいはいも類が問題と相なりまして、実は雑穀につきましては、米同様法律できめられました二十円ということにおしなべてしておりましたので、それでは非常に高い、こういう非難をあびまして、実は当時はもちろんこういう雑多なものにつきましては、昔から手数料というものは安いものでありまして、米麦に比軽いたしますれば、その生産奨励というような面も加わりまして、割合に安い手数料で雑穀なりいも類というものをやつておつたわけであります。それが今度は米麦と一緒にいたしましたので、いろいろ非難を浴びました。ただ当初は御承知通りに、法律におきましては、米麦だけが強制検査でありまして、雑穀、いも類は一応希望検査ということになりました。これが事情に応じましては、県の條例で強制するようなことができるかつこうに相なつておるわけであります。当初は、おそらく大部分が希望でもあるだろうから、多少手数料が高いことはかまわないだろうということで出したわけでありますが、実際その後の模様を見ますると、各県におきまして、菜種でありますとか、あるいは雑穀、いも類というような農産物につきましては、品種の改良の問題、あるいは生産増強の問題等がありまして、どういたしましても検査は強制でやつて行きたい、こういう御希望が非常に多いのでありまして、強制しまする條例の制定をいたしまする場合におきまして、やはり雑穀の二十円というようなものでは、なかなか地方の農業委員会におきましては納得が行きません。こういうような問題が出て参りまして、非常に事務的には不手際でありましたが、実はきのうの次官会議におきまして、二十円の手数料は大体半額の十円、菜種は二十円でありましたものを五円に、いも類は五円でありましたものを二円に減額をいたしましてやるような措置を講じまして、おそらくきようの閣議で決定するのじやなかろうか、こう考えておりますので、その点をあわせてお答えいたします。
  25. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 私はただいま最後に説明になりました検査の手数料の問題を今問題にしようと思つておつたわけであります。検査手数料が一応法律では二十円ということになつておりますけれども、二十円フルにとるという考えではなかつたのであります。できる限り少くする。いまの説明を伺つておりますと、雑穀が二十円と予定しておつたものが、いろいろ関係方面の強い要望があつて、それを半分にしたということでありますけれども、雑穀は十円でも私は非常に高いと思うのです。さらにまたとうもろこしが十円とか、五円とか言つておりますけれども、とうもろこしなどはほとんどただでもいいくらいだと私は思う。国営検査の建前上、それくらいの奉仕はしても当然だと思う。こういうものについては、ある程度強制をしなければ検査ができない、農村が強制を希望しておるというようなことを言われますけれども、なるほど強制はある程度やむを得ないかもしれぬ。しかし強制をする限り、手数料等については、ほとんどただに近いような手数料でやることが望ましいことでありまして、このことはおそらく農村の方でも何人も疑いをさしはさまない要望だろうと思うのであります。そこでこういう問題のよつて来るところはどこかといえば、独立採算制というものにとられるからであります。この点をはつきり反省をし、そうして一般会計から相当の負担をして行く、そういう建前をとらなければ、この問は解決して行かないのであります。この点は検査課長にやかましく申し上げても、それは無理かと思いますから、長官なり大臣なりにまたあとの機会でお尋ねしようと思つておるわけでありますけれども検査課長としましても、大蔵省との折衝等におきましては、この独立採算制の誤りであるということについて、農林委員会から強い要望があつた、そのことをよくひとつ伝えていただきたいと思います。  その次に、私はさらに根本の問題として、現在の検査機構に非常に大きな誤りがあるのではないか。それは現在の検査機構は、食管の特別会計検査をすることになつておる。これは現在食糧の統制をやつておる建前上、やむを得ないという議論があるかもしれません。しかしこの問題は、食糧管理特別会計は明らかに一方の買手であります。買手の都合のいいような検査をするということは、建前上どうしても許されない。ことに近い将来に自由販売が認められるような状況になつて参りますにおいては、どうしてもこの検査機構を食管の特別会計から離して、独立したものにしておいて、そうして何人からも制肘を受けない、買手と売手との中間に立つて公平な検査をし、その公平厳正な検査の上に食管の特別会計というものが買手に立つて買う、そういう建前にすることが最も正しいと私は思うのでありますけれども、この点についての食糧庁の見解を一つ伺つておきたいと思う。
  26. 白井勇

    ○白井説明員 お答え申し上げます。独立採算の問題につきましては、御注意の通り、私もそう考えておるわけでありますので、できるだけやはり一般会計に多少でも負担してもらうという方向に、大蔵省や関係方面に対して努力をいたしたいと思います。その方向に御協力をぜひお願い申し上げておきます。  機構の問題につきましては、私ここで食糧庁の意見ということでは多少差控えたいと思いますので、私個人の考え方なり、あるいは関係方面の意向をお伝え申し上げるだけで、お許し願いたいと思います。御説の通りでありまして、私も個人的には当然そうあるべきものであろうと思いますし、外国の例を見ましても、そういうものにつきましては、独立の、いわゆる売手、買手というふうな機関でない別個の機関によりまして、公正な検査をやる、これが建前のようであろうと思います。検査の本質から見ましてその通りであろうと思います。実は昭和十七年から検査関係の費用は国で全部持つておりまして、機関だけが地方々々にありまして、二十二年に検査所と食糧事務所というものが合体をいたしたのであります。その前から私が検査関係を担当しておりまして、その合体の場合におきましても責任者であつたわけであります。当時の考え方といたしましては、やはり検査は、これは統制の有無にかかわりませず、常時基本的な機構といたしまして必要なものでありますから、これと食糧管理の現業業務を担当いたしますものと合体をいたしますることは、これは本質的に間違いである。むしろ食糧管理の面からそういう機構利用しなければならないような社会状態にありまする場合は、検査機構はそのままにしておきまして、そうして必要でありまする食糧管理の現業業務をその機関にやらせますることが最も適当であるという考え方が非常に強かつたわけであります。私たちも理論的にはその通りだと思つたわけでありまするが、ただ当時いろいろ事情がありまして、まず食糧管理を強化するためにはそういう必要があるのだということで、とりあえず一本にいたしますことが最も適当である。その便宜の措置といたしまして、当時食糧管理業務をやりますものと、基本的の検査業務をやりますものとが合体をいたしたのであります。その当時からすでに今御説のありましたような問題が、将来の問題として残つて来ておるわけであります。方向といたしましては、やはり検査と申しまする一つの基盤というものがありまして、その基盤をそのときどきの食糧管理の必要に応じまして活用して行く、こういう行き方が最も適当であろうという見方が一般にされておるようであります。この点を御紹介申し上げておきます。
  27. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 その機構の問題について特別会計から分離するがよろしいという検査課長の個人の意見はよくわかりました。私どもまつたくそうなくてはならぬということをかたく信じております。  さらに私は検査機構の問題といたしましては、農林水産物の規格法に基く一般農林水産物の検査の問題があります。これは食糧庁から現在離れて、別の機構でやつておりますけれども、これは農産物の総合した検査機構にまとめて、そして農林省全体にまたがる検査機構として確立すべきである、こういう意見を私は持つておるわけであります。その理由は、県において規格法に基いて検査をしておりますけれども、この検査国営検査と相表裏するものであつて、両々相にらみ合い、助け合い、しかも県で検査できないものは国に委託をする、そういう場合におきましても、検査機構が総合され統一されておることが非常に農村のためには都合がいいのでありまして、私どもはすみやかに農林物資の規格法に基く農産物の検査機構と、主要食糧の検査機構とを統合して、一つの強力な検査機構を農林省内に確立されて、それは食糧庁にも属さない、農政局にも属さない、そういう独立した検査機構をつくることが最も適当である、こう私は思つておりますが、その点についての見解を伺つておきたいと思います。
  28. 白井勇

    ○白井説明員 御承知通り農林物資規格法におきましては、主要農産物のみならず水産物あるいは林産物というような、広い意味合いにおきまする農林物資につきましての規格法であるわけであります。あれにおきましては、ただ規格をきめるというだけでありまして、実施の方法というものは何ら規定がないわけであります。林産物あるいは水産物の加工品というようなものにつきましてまで、全部一本にいたしますることが適当であるかどうかということは、多少問題もあろうと思いまするけれども、方向といたしましてはやはり御説の通りでありまして、できるだけ統合的の、そういうお考えのような方向で将来は運行すべきものではなかろうか、こう私も考えます。
  29. 千賀康治

    千賀委員長 ちよつと遠藤君に申しましげすが、政策に関することは、なるべく長官以上のときにやつていただきたいと思います。技術的な面で願います。
  30. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 いろいろ政策問題を検査課長に申し上げることが非常に無理だということはよく知つております。しかし私の今言つておることは、五等麦の買上げの問題、それから独立採算制にとらわれて非常に検査手数料を高くしちやいかぬということ、それから検査機構の根本的な確立をはからなくちやいけない、この問題を私は強く要望しておるわけであります。お帰りになりましたら、午後大臣や長官が出られるときに、こういう非常にやかましい議論があつたということを、よくお伝え願いたい。
  31. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は検査課長にひとつお尋ねするのですが、検査の場合の包装、荷づくりの問題です。現在指導の程度を越えて、強制力を持つて、たとえば俵の場合には複式三本編みでなければいかぬとか、もしくは二重でなければいかぬとか、縦なわが何本であるとか、横なわが何本でなければいかぬとかいうことをやつておられるようですが、これは私は、まだ現在では、農林省の検査課長としては指導の意味で、将来そこに目標を持つて行きたいという意味だと思うのですが、それとも現在ただちに強制力を持つてこういうふうな検査、やかましい包装の検査をやられるのか、これをひとつ伺つておきたいのであります。
  32. 白井勇

    ○白井説明員 どこまでも私どもにおきましては農家相手の仕事であるわけでありまして、申し上げるまでもなしに、農家に今までやつております措置をすぐかえろということはなかなか困難でありまして、できるだけ私どもにおきましては早目に、包装でありますればこういうものが最も適当であるというような考え方で、一つの目標を示しまして、順次その方向に向いますように指導をいたしておるわけであります。決してそういうものが出ましたから、必ずそれでなければいかというふうに、強制して縛るというような考え方は持つておりません。どこまでも指導を先にやりまして、それになれましたときにその方向に向けて行く、こういう考え方でおる次第であります。どうか御了承願いたいと思います。
  33. 河野謙三

    河野(謙)委員 よくわかりました。そうしますと、その御趣旨に沿つて全国農民に、もつとその趣旨が徹底するように、県の段階を通じて何か手段をとつていただきたいと思います。実はあなたのお耳にも入つておると思いますが、あたかも嚴格な強制力を持つたかのような宣伝をしまして、その間に機械屋さんが乗じて、笑い話のようですが、私の県は神奈川県ですが、マツカーサーの命令だからというようなことで、複式三本編みの機械を数百台売りつけたという例もあるのであります。でありますから現在なおそういうことが全国的に、機械屋さんの口から、もしくは機械屋さんと抱き合つたところの検査官の口から宣伝され、農民がいたずらなる負担をしておる、かように思います。でありますから、検査課長のこの趣旨を何かの方法でよく徹底していただきたいと思います。  それからもう一つ伺いたいと思いますのは、現在の段階では、指導の目標として複式三本編みとか、二重俵とか縦なわということをやつておるのだ。しかし将来一年先なり二年先には、検査課長の気持としては、全国的に包装、荷づくりは統一される。ある時期を見て、時間的にある期間を置いて、二年なり三年なり、もしくは一年先に、今度は強制的に全国の米なり麦なりの俵は一本にするという時期をねらつておられるのか。それともまた、将来当分の間こういうような指導の域を脱しないで行かれるつもりでおるか、これをひとつ伺いたい。
  34. 白井勇

    ○白井説明員 今の前段の趣旨の徹底につきましては、十分私も注意いたしまして、御迷惑のかからぬように措置をいたしたいと思います。なお将来の問題につきましては、包装となりますと、なかなか地方の従来の慣習というものが非常に強いものがあるわけでありまして、場合によりましては、その地帯の取引の状況といたしましては、たとえてみますならば、縦なわがなくてもさしつかえないというような情勢の場合もあり得るわけでありますので、私どもにおきましては、一応大体理想的の包装という指導目標は示しておりますけれども、近き将来において全国がその通りになるというふうには私は考えておりません。できるだけ地方の特色を生かしまして、さしつかえない限りにおきましては、あまり農民負担のかかるようなことはしないという考え方で行きたいと思います。その点御了承願います。     —————————————
  35. 千賀康治

    千賀委員長 平野君に申し上げます。林野庁長官が出席しておりますから、あなたの質問の結末をつけられたらいかがですか。
  36. 平野三郎

    平野委員 政府は最近物調法を発動いたしまして、稀少物資の使用制限を行われたようであります。この中に木材が入つておりますけれども、これはビルデイングに使用する部分に限つておるのでありまして、まことにかくのごとき中途半端な使用制限というようなことは、むしろこれはやらぬ方がよろしい。少くもこれらの点については、農林省が安本と十分協議の上で行われるべきものであり、もしそうであるとするならば、かようなばかげたことをされるはずはない。新聞などによりますと、安本、通産両省の協議によつてとありますので、農林省がこれに加わつていないじやないかということを疑つて、先ほど林産課長にお尋ねをいたしたのでありますが、はたせるかな農林省は何ら協議にあずかつておらぬという御答弁であつたのであります。実に意外に思つたのでありますが、これらの木材の問題、昨日の委員会においても、先ほどの国政調査の結果の御報告の際にも申し上げたのでありますけれども、いまや日本の森林資源は重大な枯渇の段階に来ておるのであつて、これらの施策につきましては、農林省を主体としたところの政策でなければ意味がない。しかるに政府のやるところは、まつたく農林省を無視したようなやり方にのみ終始いたしておるように思われるので、真にこれは遺憾にたえないのであります。林野庁の長官横川さんは非常に大きな顔をしておられますけれども、安本や通産省の方では、その大きな顔が目に入らないかのごとくにやつておるということにつきましては、実にどうも不可思議にたえぬのでありますが、森林資源を担当せられる林野庁長官として、さような姑息な手段が農林省の知らない間にどんどんやられて行く、むしろやらぬ方がいいような、中途半端なことがやられて行くということについては、どう思つておられるか。これをまず伺つておきたいと思います。
  37. 横川信夫

    ○横川説明員 いろいろ御鞭撻をいただきまして、感謝にたえないのであります。ただいまのお話の、物調法を発動いたしまして、木材等の使用制限をいたしておるということは、何か誤解をしておられるのではないかと存じます。一応経済安定本部で草案をつくつておられるようでありますけれども、まださような処置は実現をいたしておりません。一応草案につきまして相談と申しますか、こういうことを考えておるというお話は受けましたのですが、私どもこれにつきましては、不要不急の施設と申しましても、いろいろ考え方によつて大分つて参ると思いますので、それらの点につきましてまだ結論を得ておりませんし、従いましてそれを実施するという運びにはまだなつておりませんようであります。
  38. 平野三郎

    平野委員 まだ実施になつていないということを承りまして、それならば一応安心をいたしましたが、これはまあ釈迦に税法でありますけれども、ビルデイングに使用する木材というものは、おもに米材などを主体とする長大物であつて、決してこういうものを制限したところで、日本の森林資源にはさして影響がない問題でありますから、かような問題については、とうていこれは取上げるに足らぬ問題であると思うのであります。しかしながらまだ実施になつておりませんけれども、そういう草案が安本で研究されれおる。それについて一応相談があつた程度というようなお話でありまするが、それならばそのこと自体については、ほんとうにまだ十分にしつくりした話合いが行われておらないのじやないかという印象を受けますけれども、かりにこれらの制限を行つて行くにつきましては、抜本的に森林資源全般の立場から行わなければならない、かように思いますが、林野庁としては、現在のところどの程度のお考えのもとに、今後実施するとするならばどういうようにやられるのでありますか、構想をひとつ伺いたいと思います。
  39. 横川信夫

    ○横川説明員 ただいまのお話の森林資源の状態から考えてみまして、不要不急の建築物等につきましては、その使用を制限すべきであるというようなお話のようでありますが、先ほども申し上げましたように、これは不急と申しましても、それぞれ考え方によつて違うのでありまして、ただいまどういうふうにして制限をするかということにつきましては、まとまつた構想を持つておりません。ただ木材使用方法を合理的にして参りたい。できるだけ使用を節約いたしまするとか、ただいま申し上げました利用合理化をいたしまするとか、あるいは急速に造林を推進いたしまして、資源の造成をはかる、あるいは奥地林開発をいたしますとか、技術の浸透によりまして土地の生産力を増加する、さような方面に重点を指向して参つておるのでありまして、不要不急の建築物に対する木材使用制限をするというような考え方は、ただいま持つておりません。
  40. 平野三郎

    平野委員 時間の関係上重点的に結論的に伺いまするが、ただいまお話の木材利用合理化の点については、これは非常に私は所管の問題が大きくなると思います。これは林野庁長官のお話を承りたいことは、昨日来私が報告申し上げましたことによつて森林資源の立場から森林法制定いたしましても、どうしても木材使用をする方面、一例をあげれば、大使用者でありますパルプ工場等の設立認可については、当然これは政府が監督権を持たなければならない。そうした立法的処置が必要であると思うのでありますが、その際の主務大臣というものは、どうしても私ども農林大臣でなければならないと思う。単に木材利用の合理化によつて能率を上げるとかいうようなことが主眼ではなくして、この問題こそは森林法実施を確保する、森林資源の基礎を守るということが主眼になるのでありますから、当然これは農林大臣でなければならない。少くとも肥料と同様に通産大臣であつても、農林大臣との協議の上において初めて行わるべきことであります。肥料のごときも、先般来しばしば本委員会で問題になつておりまする通り、農林大臣の所管であるべきだという結論になつておりまするが、いまだこれが実施になつておりませんのははなはだ遺憾であります。少くとも肥料に関しましては両省共管の建前になつておりますが、この木材の問題につきましても、当然これは、少くとも肥料と同様に両省共管であるべきであると考えまするけれども林野庁長官とせられては、パルプ工場に対して政府が監督権を持つ必要があるかないかということをまず伺うとともに、あるとすれば、どうしても農林省として少くとも協議を受けなければならないという立場をおとりになるかどうか、これらについて、強力にひとつ農林省の立場を主張せられる御決意があるかということを承つておきたいと思います。
  41. 横川信夫

    ○横川説明員 パルプ工場等の設立の際に認可制度を置くべきであるという御意見に対しましては、私まつたく同感でございまして、この場合の主務大臣を農林大臣にせよというような御意見でありまするが、やはり工場建設ということに相なりますると、通産省と農林省との共管事務と相なりまするのが、従来のこの種の事務の取扱上筋の通つたことに相なるのではないかと思つております。当然さような制度のできまする場合には、私ども共管という考え方で強力にその実現をはかりたいと考えております。
  42. 平野三郎

    平野委員 林野庁長官の御意思よくわかりましたので、まことにけつこうでありますが、先般来長官自身もしばしば申しておられる通り、どうしてもこの際木材利用合理化について強力なところの措置が必要であるのでありますが、これはややもすれば通産省の方においても、木材利用の能率の向上という観点からやはりそうしたことが考えられておつて、両省それぞれ見たところ同じような案であつても、本質が異なつているというような二つの案が衝突をする危険がないと言えないと思うのでありますが、これはどうしても根本的に趣旨の違うものでありまするから、農林省の立場において、強力にひとつ農林省の方の意思を反映したところの案の設立に向つて邁進してもらわなければならないと思うのでございます。ややともすれば各官庁のなわ張り争いのために、当然なさるべきことがなされなかつたり、あるいはその実現が遅延をするというようなことがままあることでありますが、この緊急を要しますところの森林法施行に伴う森林資源の確保について、万一さような官庁のセクシヨナリズムのために国の大本を誤るようなことがあつてはならないと思いますので、その点重大決意を持つてひとつやらなければならないと思いますが、重ねてその点についての長官の信念を伺つて、私の午前中の質問は終ります。
  43. 横川信夫

    ○横川説明員 木材利用合理化の立案につきまして、官庁同士のなわ張り争いというようなことを極力避けよという御注意、御意見でありますが、私どもも、さようななわ張り争いをする気持は少しもございません。先般の国会でも御報告を申し上げましたように、去る四月から木材利用合理化の協議会を需要官庁を中心といたしまして、私どもが幹事役となりまして進めて参つております。ただいままでに六、七回その会合をいたしておるのでありますが、私どもは幹事役といたしまして、仕事の性質上経済安定本部を中心といたしまして、円滑に、できるだけ一日も早く効果を上げますように努力をいたして参つておるのであります。昨日も御報告申し上げましたように、代燃車の切りかえというようなことも実現をいたしておるのでありまして、本年中に約四万台の代燃車を液体燃料に切りかえるというような見通しもついておりますし、また包装用材といたしましての段ボールの使用普及というような点につきましても、着々実現をいたしておるのでありまして、通産省、経済安定本部、その他の官庁も、このことにつきましては快く協力をいたしていただいておるのでありまして、御懸念のような、なわ張り争いというような点は少しもございせん。御安心を願いたいと思います。
  44. 平野三郎

    平野委員 よくわかりました。しかしながらどうも一通りの御答弁で、各官庁きわめて密接な連絡のもとにというお話であるけれども、具体的の問題にぶつかりますと、決してそうではない点が、今までしばしば見受けられるわけであります。先般本委員会におきましても、全然両省の意見が対立しておる。しかも何ら連絡のないということが暴露されておるような次第であります。どうか今お話の通りに今後お願いいたしたいということを強く要望いたして、さらに最後にもう一点伺いたいことは、造林の推進ということが根本でありますけれども、たとえば国会におきまして、緊急造林措置法を通過成立せしめて、すでに相当実施の時期も過ぎ去つておるのでありますが、これの効果たるや、まことに今日まで成果が上つておりません。先般各府県をまわつてみましても、ほとんどこの法律の効力というものは現われていない。なぜならば、造林地を知事が指定しようといたしましても、造林に対する補助金というものが当然伴つて来て、この補助金が予算に縛られるために、造林地を指定したくてもできないという関係で、補助金の範囲だけでしか指定していないということで、この法律がほとんど空文に終つておるのであります。どうしてもこれは、このような手ぬるい手段ではとうていこの重要なる造林問題を解決することはできませんから、何らか強力な、適切手段をこの際講ずる必要があるということを考えます。林野庁長官は造林の推進について、具体的にどういうことを考えておられるか。  さらにもう一点は、造林に対する融資が——造林ばかりではない、林業関係の全般の融資が三千万円ということになつておりますが、これをさらに引下げるようなお考えはないかどうか。これは部分的な問題でありますが、今の根本問題とあわせて伺つておきたいと思います。
  45. 横川信夫

    ○横川説明員 造林の推進のために造林臨時措置法の制定をお願いいたしまして、着々実施をいたしておるのでありますが、本年度のそれに要しまする予算は事務費でありますが、二千百万円を獲得いたしまして、十万町歩について指定を行うという計画を立てておるのであります。約五万町歩の指定を了したような次第でございまして、大体計画に対しましては、約半分の成績ではございますけれども平野委員のおつしやいますように、成績がきわめて不良だと言いきるほどのことではないのじやないかと私は思います。なおこの点等につきまして、十分検討を続けて参りたいと思います。造林推進のために、現在各地に造林会社等の設立の奨励をいたしておりまして、青森にはすでに相当規模の造林会社の設立を見たのであります。福島県等におきましても、実施の運びになつておるのでありまして、さらにパルプ会社等に対しましても、でき得まするだけ造林をするように勧奨をいたしておりまして、各社とも相当な熱意をもつてその実施を進めておるような次第であります。全国的な造林会社を設立して強力に推進をしたらどうかというような御意見もあり、またかつて朝鮮のはげ山を解消いたしまするために造林会社を設立いたしました事例等もありますが、やはりわが国の現状から考えますると、全国的な造林会社を設立いたしまするために、朝鮮のような措置をとることは非常に困難ではないかとも考えられるのでありますが、なおこの点については、ただいま担当者が研究を進めておるところでございます。それからもう一点三十万円というお話がございましたのですが、これは伐採調整資金の貸出しを三十万円といたしておりまするが、それは限度でございまして、平均いたしますると五万円程度になるのではないかと考えます。何分にも四分の利率でございまするし、年限も二十五年というようなことを定めておりますので、あまり金額を多くいたしますることは弊害が伴うおそれもありますので、最高の限度を三十万円と決定いたしたのでありまして、お話のように、それ以下であればいかほど少額でもよろしいわけであります。
  46. 原田雪松

    原田委員 林野庁長官に一言お尋ねしておきます。先ほど私ども四国九州の調査をいたしまして、一応の報告をいたしておりますが、内容の一部についてはなお重ねてお尋ねいたしたいと思うことは、パルプ坑木の競合の問題で非常に摩擦を生じておることであります。特にパルプ会社の諸君は、非常に利潤が多いのと、資本的裏ずけが豊富であるために、すでに山の買付をやつておる。これがだんだん調べてみますと、一箇年の需給度の少くとも半数以上を山によつて買い占めをするという計画を立てておる、こういうことを聞いておるのであります。ところが経費が安い方に安い方に流れて、ブローカーが入り込み買いあさりをするという傾向がたくさん生じておる。これは森林法の施行を現在目の前に控えまして重大な問題と考えます。このままに放置すれば、半数以上というのが七割になるかもしれない。恐るべき問題じやないかと考える。林野庁としては、この買付に対してどう考えておるか、お伺いしておきたいと思います。
  47. 横川信夫

    ○横川説明員 パルプ会社が非常に山を買いあさつておるということは、私どものところにも情報が入つておるのであります。その山の取扱いにつきましては、やはり森林法の規制を受けるのでありまして、適正伐期齢級以下の森林に対しましては、やはり許可を受けさせて伐採することになりますので、さような著しい濫伐というようなことは起き得ないのではないかと考えております。なお年間のパルプの消費いたします用材は、現在のところで約千百万石程度であります。その半年分を山で持つといたしましても五、六百万石でありまして、全体の木材の消費量からいたしますと、さして著しく心配するほどの問題ではない。買い取りましても、ただちに自由に切れるというものでもございません。ただお話にもございましたように、パルプ用材と坑木用材というものが真正面に競合いたしておるのであります。この調整は、特に北九州等におきましては、十分考慮してやらなければならぬのではないかということを考えております。先般係官を派遣いたしまして、一部実情を調査させたのでありますが、そのうちに私も伺いまして、よく実情を調査の上、むだのないようなふうに、両者とも資材の入手をできるだけ確保できるように処置いたしたいと考えております。
  48. 原田雪松

    原田委員 現在伐材適齢期というものでなくて、将来を目指して山の買付をやつておる。これが一つ。と同時にパルプ会社の蓄積をしております量と、炭鉱地帯をつぶさに見たのでありますが、炭鉱地帯は、大きな地帯で一箇月くらいの保有量しか特たない。小さい炭鉱になりますと、ほとんどその日暮しというようなかつこうになつておる。将来炭鉱の出炭に影響があることは、国策に非常な響きがあるので、パルプと石炭との見方を、国としてどう見られるかということは、これは重大な問題で、もちろん坑木を保護せられると考えるのですが、事実は相反しておるというのです。もう一つは、こういうことは調整できないかということは、炭鉱に行つてみますと、使鉱に行つてみますと、使用坑木の寸法はほぼきまつておる。三寸から五寸以内が適材だということがきまつておる。それに一尺も一尺二寸もあるものは実は困るのだ。しかしながらどうも山で買うのであつて、そういうものはいけないというわけには行かないから、引取つておるのだが、あれは困つておるのだということです。だからこの点は、パルプはなるべく腐れかかつた大きいものがいものがいいということでありますから、何とかこの面も調整でき得ないものであるかどうか。これに対して確かに適材適所ということは、私はこういうところから出て来たのじやないかと思う。この適材を炭鉱に使用することと、適材外のものはパルプの方に流すことを、物々交換でもいい何かの名目において、この交換というようなことについていろいろ手があると思います。それに対するお考えはどうですか、これもお伺いしたい。
  49. 横川信夫

    ○横川説明員 ただいまお話のように、従来坑木に不適格でありまする曲つた材とか、太過ぎる材というものを、無理に炭鉱で入手をしておつたような実情もございますようで、森林法を御審議願います際にも申し上げたのでありますが、先ほど申し上げましたように、炭鉱業者あるいはパルプ業者、互いに話合いをいたしまして、それぞれの適材を入手するように協議をさせるように、ただいま処置をいたしておるところであります。
  50. 千賀康治

    千賀委員長 この際御報告を申しておきます。先ほどの農林委員会の決議によりまして、災害地に対する見舞電報委員長に一任されておりましたが、御参考に内容を申し上げます。電文、  今回の災害による被災者各位に対し、衆議院農林委員会は深甚なる同情を寄せるとともに、復興のすみやかならんことを祈る、農林委員長千賀康治  なお、本見舞の電報被害を受けた府県の知事宛発信致すことにいたします。
  51. 小林運美

    ○小林(運)委員 その問題で、長野県も被災があるので、それも加えてもらいたい。
  52. 千賀康治

    千賀委員長 入れましよう。  午後は二時から再開することにいたします。休憩いたします。     午後一時五分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議
  53. 千賀康治

    千賀委員長 午後中に引続き会議を開きます。  議事に入る前に理事補欠選任についてお諮りをいたします。現在理事が一名欠員になつておりますが、この際この補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、河野謙三君を理事に御指名いたします。  これより米価問題に関して質疑を行いますが、その前に新任農林大臣より発言を求められております。これを許します。
  55. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 このたびの改造によりまして、不肖私が農林行政を担当することに相なりました。  御承知のように、農林行政はわが国の自立再建の一番の基盤の問題として最も重要なる部門であるのみならず、しかもこの農林行政の諸問題は、政治的に最も複雑なる要素を持つておるのであります。後ほど米価の問題でいろいろ御質疑があると存じまするが、米価の問題一つを取上げましても、生産者の立場からするならば、できるだけこれは高い米価で、農地の収入を上げるようにとの要請が当然起つて来るのであります。他面消費者の立場からいたしまするならば、できるだけ米価を低くし、生活費を低減し、それに基き生産物一切の物価の低減を来せという要請、すなわち二律背反の要請がここに出て参ります。従いまして、この問題は一方的な立場においてのみ解決し得ないという要素を持つております。また林産の問題においてもその通りございまして、一方において治山治水の観点からいたしますれば、できるだけ山を切らさずに、山を撫育するという点に政策が集中されなければならぬという要請がありまするが、他面日本の自立経済の確立のために、木材をできるだけ価値あるものとしてこれを使うという観点からして、化繊の原料としての森林伐採量の要求が増大して来る。かような意味におきまして幾多の矛盾した問題が出ておるわけでございまして、これらの問題を解決するにあたりましては、総合的な観点に立つて、国全体の発展のために、しかもその間において相矛盾するいろいろの要求を調整するという点にあると存ずるのであります。農林委員の各位におかれましては、この二つのむずかしい問題を、国会の最高の機関として、農民の代表たるとともに、他面においては、国家全体の経済復興のためという観点に立つて御審議くださると信じまするが、いずれも非常にむずかしい問題でございます。しかしこれらの諸問題を解決することなくして、日本の農村の振興も、また日本の自立経済の発展も不可能でありまするがゆえに、私も全力を傾注し、そうして私の信ずるところをここに申し上げ、皆さんからの御批判と御鞭撻を得まして、農林行政の万全を期したいと存ずる次第であります。  就任早々でございまするので、はなはだ不行届きの点が多々あると存じまするが、謙虚な気持で研究いたしたいと存じまするから、どうか今までのよしみをもちまして、格段の御声援を賜わらんことをお願いいたします。はなはだ簡単でございまするが、ごあいさつを申し上げる次第でございます。
  56. 千賀康治

    千賀委員長 それではこれより質疑を行いますが、根本農林大臣は三時半には退席をしなければならないそうでありまするから、お一人十分以内で質問が完結するようにお願いいたします。野原正勝君。
  57. 野原正勝

    ○野原委員 この際私は根本農林大臣に対しまして、米価の問題に関しましてそのお考えを伺いたいと思うのであります。今日米価の決定がどこにおちつくかということは、全国農民の非常なる関心事となつておるのであります。その米価の問題に関連し、麦の値段に対するバツク・ペイは、はたして支払われるのであるかどうかというような不安もある。あるいはまた従来早場米奨励金をいただいている積雪寒冷単作地帯等では、早場米奨励金があるいは打切られるのではないかというような心配までもしている向もある。また最近の新聞紙上では、パリテイ指数が非常に上昇している今日において、昨年設けられました特別加算の率が著しく引下げられるのではないかというようなことが、さまざまにとりざたされまして、農民は、政府は日本の国民食糧の自給に対してどれほどの熱意を持つているのか、われわれは生産者として、真に安心して国家の政策としての食糧の自給問題解決のために増産を続けることが、はたして可能であるかというような、いろいろな不安を持つているのであります。たまたま農林大臣に御就任されましたが、まだ新農相として米価問題に対する御見解の発表がないようでありますので、あらためてここに農林大臣の米価に対する御決意と、真に農民を納得させ、進んで食糧増産に感奮興起せしめるごとき御決意を伺いたいものである、かように考えます。まず農林大臣の御決意を伺いたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問は非常に広汎な要素を含むのでありますが、まず第一に、今次米麦価の決定が非常に遅れておるということは、まことにわれわれも遺憾に存じておる次第であります。御承知のように、この問題につきましては、すでに前農相時代、安本長官並びに大蔵大臣といろいろと構想を練つて政府の一応の案ができ、これに基きましてその筋と折衝を重ねておるわけでありますが、いまだにこの折衝が妥結に至つておりません。かなりその間いろいろの困難な問題に逢着しておるのでありまして、今その内容を発表し得る段階に至つていないことは残念でございます。但し今御質問のバツク・ペイをするかということについて、これははつきりと政府は、米麦価の算定がパリテイ方式によつて計算されておる以上、当然バツク・ペイはいたさなければならぬ、いたすという決意をもつて臨んでおるわけであります。  なおこれに関連いたしまして特別加算の問題でございますが、この点は、特にその筋との折衝において難関は逢着しておることは、皆さん御承知通りでございます。パリテイ計算方式を厳密にとる限りにおいては、特別加算というものが理論的に必要でないじやないかという意見もあるようでございますが、しかしわれわれといたしましては、御承知のように、昭和二十二年以来日本の食糧が非常に窮乏を来し、しかも海外からの輸入食糧が必ず期待通り来ないという困難なときに、農村の方々が非常な努力によつて生産した。しかも自家保有米をすら供出していただかなければ食糧危機を突破できなかつた。この努力にこたえるために、特別加算、いわゆる奨励金を出して参つたのでありまするが、漸次経済並びに生産力の復興とともにこれが少くなつて来たのは、これまたやむを得ないといたしましても、今にわかにこれを全面的にやめるということは、農民に対する政治的な道義の立場から見てもわれわれは忍びない。この加算額の率についてはいろいろ議論のあるところであり、また財政上の理由もたくさんありまするけれども政府といたしましては、特に農林大臣としては、特別加算は必ず実現するという決意をもちまして、今非常に難関の状況にありまするけれども、これは私一人のみならず、総理もこの問題について重大なる関心を持つて、この問題の解決のために努力しておる。不日そう長い期間はかからないと思いますが、近い将来においてこの問題が解決を告げるであろうと信じまして、実は御承知のように新聞で一部報道されたごとくに、すでに本月の十日には最終的な回答をしなければならぬという最後のどたんばになつておりましたにもかかわらず、われわれは衷情を訴え、そうして政府が全体として、今このための渉外折衝をいたしておるのであります。現在占領下でありまするために、この渉外折衝が非常にデリケートな問題でございまして、今その折衝の内容を申し上げることは非常に困難でございます、またもしこれを漏らすことによつて不測の状態になりますれば、かえつて農民の利益にならぬと思うのでありまして、この点は何とぞ御了承のほどをお願いいたします。  次に早場米奨励金を今回打切るのではないかという御質問でありまするが、予算の範囲内において早場米奨励金も必ず実施いたすつもりでございます。但しただいま申し上げましたように、早場米奨励金は、昨年に比して予算の面において減少されております。しかも早場米は主として単作地帯米作地に問題がありますので、御指摘のように、寒冷単作地帯の特別措置法において、さらに総合的施策をもつてその面をカバーし、そうして単作地帯の安定をはかりたい、かように思つておる次第であります。ごく大要でありまするが、以上お答え申し上げました。
  59. 野原正勝

    ○野原委員 ただいまの農林大臣の非常なる誠意のある御決意を拝聴いたしまして、はなはだ欣快に存ずる次第であります。バツク・ペイに対しましても、パリテイ方式を採用しておる以上は必ずこれをやるという御決意で、安心をいたしました。特別加算の問題に関しましては、目下折衝中である。渉外折衝中の過程においてその内容をつまびらかにすることは、いろいろな面でかえつて困る場合があるということでありますので、この点は農林大臣の誠意を信頼いたしまして、私はそのことに触れないのでありますが、ただこの際農民の気持を伝えておきたいと思います。どうしても一五%の特別加算はほしいという気持は、全農民の一致した要望であります。しかしながら財政的の問題その他で、この一五%という率を実現することは容易でないということも農民はある程度想像もし、また納得もしておると思います。しかし政府の非常な努力にもかかわらず、これがまつたくなくなつた、あるいはまた非常に極端に減つたということになりますと、農民はこれまた納得をしないと思う。ある程度少くなるかもしれぬということはすでに想像はしておりまするけれども農民をして十分納得せしめる、そうして再生産に対して勇気を失わしめないで希望を持つて行けるように、農林大臣は最後の瞬間までこの問題に対してはがんばつていただきたい。また最後の問題として、早場米の奨励金に対しては、農林大臣のお話で安心をいたしました。特に積雪単作地帯に対する振興法もすでに制定を見ております。将来は寒冷地帯に対する法案の中で、農業の各施策を凝らして、特に明年度予算措置においてはこれを大きく取上げてもらいたい。また現に近く問題になりますが、補正予算等においても、可能な限度においてこれを計上するように、御奮闘願いたいと思います。私はあえてこの問題に対しては御回答を要求いたしませんが、以上申し上げまして私の質問を終ることにいたします。
  60. 千賀康治

    千賀委員長 次は大森玉木君。
  61. 大森玉木

    ○大森委員 追加払いの問題に対して、今や全農民あげてこの問題に集中いたしておることは、御承知通りであります。そこでこの間新聞を見ますると、何か追加払いの金額が六百四十八円というような数字が現われておつたと思うのでありますが、これらはいかなる方法によつて算定されたのか、承りたいと思います。それを聞いてまたあとで質問をいたします。
  62. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 はつりいたしませんが、六百何十余円というのは、あるいは特別加算額の予算に計上した金額ではないかと思うのであります。バツク・ペイの金額は、去年の米価は九月できめておりますが、九計のパリテイ指数だけで最終的に価格をきめますことは、一年間の価格の変動が織込みになりませんので、一箇年間のパリテイ指数の総平均をとりまして、九月のパリテイ指数との差額を追加払いとして払うという建前になつておるわけであります。
  63. 大森玉木

    ○大森委員 そこで今大臣の御あいさつの中に、農民は米の値段を上げよ、また消費者は安くせよという非常に相反したものがあるというお話があつたのであります。しかし今の御答弁の中にまたどういうことを申されたかというと、大体バツク・ペイの問題に対してもその筋と折衝いたしておる、しかしそれはまだはつきりいたさないのだから、それを申し上げる時期に至らぬことは遺憾であるというような御答弁のようであつたが、私が聞いております範囲においては、六月二十一日の農民代表の席上で、経済科学局のハツチンソン課長がこの問題について申されたのは、それは政府の責任である。もう六箇月先に警告を発してあるのである。こういうことを言明しておられたのであります。今大臣から仰せられたことを聞きますると、それは今折衝中であつて困難が伴つている。しかしながらこれは実行したいというようなお話であつたのだが、いかなる点が困難でありましようか。今申し上げたごとく、ちようどハツチンソン経済科学局の課長のお話から申しまするならば、そこまで先方が言つておる。しかるに現政府の農林大臣がこの問題をかれこれ言うことはならぬというような御意見があつたようでありますが、これはいかなる理由でありますか。またそういうことがあつたのでありましようか、お尋ねをいたしたいと思います。
  64. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 大森さんは国会に長いのでありまするから、その事情は十分おわかりの上での質問だと思いますが、御承知のように、最終的には政府の責任において決定しなければなりません。しかしこのような予算の伴う問題につきましては、その筋との了解の後初めてこれがなし得るというような現状でございます。この意味におきまして、総司令部当局の方々は、当然それは日本がきめることである、こう公式的に言われることは、いずれの問題においてもさようであろうと存じます。問題点を具体的には申し上げられませんが、このバツク・ペイの問題にしましても、特別の加算の問題にいたしましても、考え方にいろいろあるわけであります。今問題になり得ると思いますのは、この加算の計算方法を、輸入食糧をも含めたものに加算するのか、あるいはまた国内生産のものに加算するかによつて予算上並びに消費価格に及ぼす影響が非常に甚大であります。こういう考え方において問題点が含まれておるという程度までは申し上げることができましよう。さらにはまた、その時期あるいはその率という点は、これは皆さん御想像の通りでございます。しかしどういうケースにおいて今折衝し、どういう経過になつているかということは、先ほど申し上げたように、現在の段階においては申し上げられない点遺憾とする状況でございます。
  65. 大森玉木

    ○大森委員 そこで米価の問題に対して大臣の所信を伺つておきたい。なるほど米価を上げてくれというのが農村の希望である。しかしながら、米価を上げれば消費者が困るというような点に対しては、それならばいかなる方法をもつて農村のいわゆる生産費がまかなつて行けるか、生産費がこれで十分であるかということに対して考慮をせられなければならないのじやないかと思う。今ちようど物価の騰貴によりまして——あるいは肥料の値上り、電気料の値上り、こういう点から考えまするならば、農村の生産費というものは、現在新聞等に発表いたしておられ、またこの間政務次官がここで答弁になられたように、七千四百九十何円とかいうようなことではどうしても採算がとれないという現状になつておるのであります。そこでこれらに対して、農村はどういう状態であるかと申しますと、農村は、米をつくると何月の何日までには納めよ、渡せという強制力——統制によつて納めなければならない責任を持つておる。しかるに政府においては、その価格も米を納めてしまつたあとでなければ毎年これを決定されない。私はこういうところに矛盾があると思う。さらに今申し上げましたように、米価を上げて消費者にさしかえがあるならば、この生産費をどうして農村だけの負担にまかしておくのか、あるいは農村の負担の軽減に対してはどういうふうにするかというようなことに対しまして、農林大臣はいかがな考えを持つておられるか、これを承りたいと思います。
  66. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど私があいさつに申し上げたのは、そういう意味において申し上げたのではございません。この米価の問題で、国民の各階層において相対立したところの要請がある。それだけ政治的にむずかしい問題であるということを申し上げたのでありまして、その点は御了承をお願いいたします。  なおただいまの大森議員のお説の中に、農業再生産を可能にする米価でなければならないという言葉がありましたが、これはすべての農民がそのような要求であると存じております。但しこの生産費というものは、御承知のように各地区、厳密にいいますというと、一枚々々ずつこれは違いまするので、理論的には生産費ということは非常に公平なようでありますけれども、現在のように全国平均をして買い上げなければならぬというような場合においては、実際上生産方式というものは非常に困難であります。それでパリテイ方式がより妥当でかつ公平なものということで採用しておる次第であります。従いまして、他の物価が上昇いたしますれば、農業生産費農民の消費する物資の指数上昇に従いまして、これまたあとで米価に加算されます。そのためにバツク・ペイの問題が出て来ると存じております。しかし日本の農業の特殊性は、企業的な、資本主義的な経営でありませんので、農村問題をすべて価格の問題で解決するということは不可能であるのみならず、農村自身にとつてこれが非常な利益とならないのであります。その意味におきまして、あるいは土地改良にあるいはその他いろいろな助成をするほかに、大きな問題としては金融問題が上つて参りまする。この意味におきまして、今の米価の問題と相関連いたしまして、すでに制定を見ております農林漁業金融特別会計、これの増額をはかるほか、あるいは肥料の安定をはかるために肥料自給に関する制度も確立いたしたい。また農村におきまして、非常に大きな打撃を各個々の農家に与えるのは災害でございます。一たび災害にあいますと、生産費だとか、あるいはパリテイなどと言つておる。そんな状況ではなく、破滅的な状況に陥るために、これまた、個人経営であるから個人負担という言葉だけではできません。そこで農業共済の制度も、法制上これが皆様の手によつて制定されておりますので、これらに対する基金を政府から財政支出をしてやりたい、かように私は思つておるのであります。なおまたこれは広汎な問題となつておりますが、ただいま申された税制の問題りでありますが、これはすでに前々国会から継続いたしまして、農業所得に対する租税の軽減は画期的に実行されて、これは農民から喜ばれておるところでありますが、今依然として大きな問題として残つておるのは地方税の問題でございます。次の国会におきましては、政府といたしまして、特に農林大臣といたしましては、この地方税に関する、特に農業に関する軽減方策をぜひとも樹立したい、かように思つております。  なおまたこれといたしまするが、森林法の制度に件うところの伐採の制限、こういう問題等を勘案いたしまして、森林の相続税に対する課税の改正、あるいは富裕税に対するところの考慮、かような措置をも講じたいと思い、目下検討中でございます。以上のような諸施策をもちまして、米価の問題はもとよりのこと、総合的な施策によりまして農業の振興と安定をはかりたい、かように思つておる次第であります。
  67. 大森玉木

    ○大森委員 そこで今幸いに農民負担の軽減の問題も承つたのでありますが、実は米価を上げることによりまして、農家のあるいは三割ぐらいというものは、非常に困る農家が出て来る。これはどういう者であるかというと、転落農家であります。その転落農家は自分の飯米だけしかつくらない。しかし米価を上げることによつて一反歩の所得幾らと、こうなる。そうなりますと、米価を上げてもらつたために自分の食べる米が高くなるのである。この点は今農村にとつて大きな問題となつております。でありまするから、一面から申しまするならば、この米価を上げることばかりでなく、上げればいわゆる消費者も困るのであるから、上げることばかりでなく、生産費を安くして、あるいは肥料に対するところの助成金を出して、肥料を安くして御承知のように、統制時代の硫安は四百四十円であつたものが、今農村は八百円で買うておる。そういたしますると、ここに十貫目で三百六十円高いものを使つておる。飯米農家もやはりそれを使わなければならない。でありまするから、私は全体にこういうような生産コストに対して考えていただく。そうしてある程度の——もつとも農村も成り立たないことはできませんが、しかしながら今申し上げましたように、あるいは肥料の補助を出して安くする、あるいは農機具に対しましても相当安いものを買わせて生産さす、こういうような行き方で行きまするならば、米価を無理から上げなければならないものではないではないか、こういうことを私は考えておるのでありまするが、なお今問題といたしましたこの飯米農家に対して、この税金に対しては、大臣はいかなる考えを持つておられるか、ここで承つておきたいと思います。
  68. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいまの御意見は、全面的に私も賛意を表する次第であります。今の過小農、特に供出いたさない農民の所得問題が、米価とともに、逆に自分の税金を高めるという結果になる。従つて農民所得が逆に下つて来る、こういう問題は非常に重大な問題だと考えております。全体的に所得の軽減をはかるという場合において、この問題は慎重に研究いたしまして、その御趣旨に沿うように立法いたしたいと考えております。
  69. 千賀康治

  70. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣にお尋ねをいたします。先ほどの質疑応答におきまして、現段階においては折衝の内容について発表できないということを、特に特別加算額の問題についてお答えがあつたのでありますが、大体当初私どもが特別加算額の問題について、いろいろと関係筋の意向を新聞紙上あるいは政府等からお聞きした際に、特別加算額そのものがまずいのである。特別加算額は理論的にも現段階においては支出の必要がないのであるというふうな、関係筋の意向であつたように政府も言われ、またさように伝えられておりました。ただいまの御答弁を聞いておりますと、特別加算額の問題については、大体において政府のお考えを受入れられるかのごとくにわれわれは聞き取つたのでありまして、問題は率の問題にかかつておるように聞いたのでおりますが、さようでありましようか。この点、麦のバツク・ペイについては、ある程度御自信があるような御答弁でありましたので、まず当面農民が一番案じておりますものは、本年度想定米価及びこれに基く新麦の問題をバツク・ペイに次いで案じておりますので、その点いま少し具体的に御所見を承つておきたいと思います。
  71. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほどの言葉に若干足らない点があつたと思いますが、特別加算については、先ほど申したように、理論的にも難点を示しておりますけれども政府といたしましては、ぜひこの特別加算は出したい、かように思つて折衝しております。従つてわれわれとしては、特別加算は何とかして貫こうという決意で折衝しておる、こういう意味でございます。従いまして、われわれは特別加算について引くという態勢ではない、こういう気持でございます。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、政府の御決意のほどはただいまのお話で大体わかつたのでありますが、問題の難点はどこにあるのでありますか。理論的には、先刻の農相の御答弁にもありましたように、かつて食糧難当時の農民供出に対する熱意にこたえた。これは非常にいい制度であるから存続して行かなければならぬ。かような意味の御答弁であつたと思うのであります。われわれが現在知つておる範囲におきましては、問題は、結局財政的な面からこの問題が困難をきわめておるように、私どもは大体聞いておるのでありますが、問題はバツク・ペイにいたしましても、加算額の問題にいたしましても、財政上の問題は大蔵当局がお言いになることであつて、少くとも農林大臣としては、いわゆる農民の意思を代表して御善処願わなければならぬと思うのであります。先刻もいろいろと農相の御答弁に力強い点もあつたのでありますが、大蔵省なり安本がおいでになつておりませんから、ただいまのお考えを政府全体の意見として聞いていいのか悪いのか、この点についても若干疑念がないわけではございませんが、一体この特別加算額がさように困難をきわめておる根本的な原因というものは、どこにあるのでありましようか。またその解決策としては、大蔵当局に言わしめますならば、減税措置というようなことによつて、一応解決をして行きたいというふうな意向もあるように聞いておりますが、その点について御所見をさらに承りたいと思います。
  73. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは先ほども申し上げたことでありますが、足鹿さんが今御指摘のように、理論的にも向うは難点を示しておりますけれども、われわれとしては、農村問題は、先ほど大森委員その他から御意見がありましたごとくに、単なる理論だけでやるべき問題ではない。すなわち農民が納得し、協力し得る態勢でなければ、これは非常に困難な問題でございます。この意味におきまして、われわれは特別加算というものが、理論的には向うの方から難点を示されておるけれども、政治道義としては、これは今回はぜひ存続したい、こういう観点で政治折衝をしております。なおその加算額の問題につきましては、向うの方は、超均衡予算をかたく堅持するよう強い勧告がありますので、その点において難点もあることは事実でございまするが、農林当局といたしましては、でき得るだけこの加算額も多くしたい、こういう気持のために今折衝を続けておる、こういう現状でございます。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 加算額の問題は、これ以上お尋ね申し上げても、はつきりとしたお答えがいただけないと存じますので、次に本年産の想定米価、それに引続く新麦の価格の構成の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。巷間伝えられるところによりますと、本年度をもつてパリテイ方式を打切つて、従つて二十五年産のものについては、バツク・ペイは一応継続するけれども、二十六年産のものについては、バツク・ペイを継続しない。前年度をもつて打切るというような説がなされておるのでありますが、これは政府の大体の方針でありますか。米価審議会においてはすでに小委員会ができ、その小委員会からさらに斯界の権威者が集まつて、現在パリテイか、生産費か、あるいはまた他の価格の決定方式によるかということが、数箇月前から熱心に論議をされておる。この問題に対しては、米価審議会に対しても何ら意見を、まだ本年産の麦価なり米価については徴しておられないにもかかわらず、すでにバツク・ペイは打切るというがごときことは、一面においては生産費説を政府はおとりになつたかのごとき印象も受けるのでありますが、少くともこのような大きな問題について、もう少しはつきりとした、まとまつた政府としての御意見があるのではないかと私どもは考えるのであります。この点について明確な御答弁を煩わしたいと思います。特に新農相は自由党の政調会長として、自由党の政策について、現内閣を事実上において、与党の立場からお動かしになつた立場にありますので、この点については農相としての御所見を、特に徹底した御所見を承りたい、同時に主食の管理方式について、昨日も政務次官と委員との間に質疑応答が行われたのでありますが、麦、米ともに供出完了後においては統制撤廃自由販売にするのであるというような意見も、昨日島村政務次官から御所見がありました。この点について新農相はいかような御見解を持つておられますか。この際明らかにしていただきたいと思います。
  75. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 米価の算定方式につきましては、現在のところ、われわれはパリテイ方式を継続するつもりでございます。ただし米価審議会のいろいろの御意見は尊重してやりたいと思つております。なおこの問題については、食糧庁長官から具体的に御説明申し上げさせます。
  76. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 ちよつと一言、バツク・ペイの問題でありますが、これは供出制度をとつて、パリテイ方式をとつておる以上、私どもとして、当然二十六年度のものについてもさよう考えるべき筋合いだと思つております。ちよつと速記をおとめ願います。
  77. 千賀康治

    千賀委員長 速記をとめて……。     〔速記中止〕
  78. 千賀康治

    千賀委員長 速記を始めて……。
  79. 足鹿覺

    足鹿委員 統制問題についての御答弁をお願いいたします。
  80. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 統制問題につきましては、これは現情の状況においていろいろの点を考えなければなりません。輸入食糧の見通し、増産の問題、こういう問題を見きわめて、最後的に、具体的には決定しなければなりませんけれども、わが党内閣としては、漸次統制を解除して行きたい、こういう基本原則をを持つておることは事実であります。しかし今ただちに米麦を全面的に統制解除するというところまで私は考えておりません。
  81. 千賀康治

    千賀委員長 足鹿君、なるべく簡潔に願います。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの食糧庁長官の御答弁をもつて農林大臣の御所見と承つてよろしゆうございますか。
  83. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 よろしゆうございます。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 了承します。さらにもう一点お尋ねしたいのでありますが、先刻も私はバツク・ペイの問題といい、特別加算額の問題といい、あるいは新麦価、新米価の算定の問題といい、すべて財政的な面から非常に圧迫されて来ておる。農林大臣はやはり価格政策の面からお考えになつているようです。安本長官は賃金べースの物価対策の面からお考えになり、大蔵省はただ単にこれを予算上の面からお考えになつておるようであります。農林当局の御意見を聞いておりますと、いかにも農民の気持が通じておるかのごとく一見聞えるのでありますが、実際ふたをあけてみますと、ほとんどこれらの農民の希望にはかない幻滅を感じさせるようなことが非常に多いのであります。今までの農相の誠意のある御答弁につきましては、ある程度了承できるのでありますが、ことほどさように大蔵省当局からの財政的な理由によるいろいろな困難性が、今日までの農政を挫折せしめておると思うのであります。この点について農林大臣は、今後の農政の推進の上において、このような従来の欠陥をどういう所見によつて、これを打開して行かれようとお考えになつておられますか。これは非常に私ども農民として聞きたいところであります。どうも今まで農林当局のお考えになつておることは、絵に描いたもちとは申しませんが、それに近いような結果に、ややもすれば押されぎみである。この点について新農相はいかような御所見を持つておられるか、特にこのバツク・ペイや加算額の問題と相関連いたしまして、特に消費者価格と食管特別会計をめぐつて、問題は発展して来ると思うのであります。すなわち今のお考えでは、あくまでも独立採算制を堅持しておいでになろうとする、そこに財政的の悩みがあるように思われるのであります。しかし現段階においてバツク・ペイを具体化し、また加算額を農民への公約によつて実現されようといたしまするならば、二重価格制度をおとりにならざるを得ないと私は思う。これ以外に実際上の打開策というものはないと思うのでありますが、これまた一つの財政上の難関に逢着して、非常に問題がむずかしくなつて来ると思うのであります。この点についてどういうふうにお考えになつておるか。たとえば全面的な二重価格制度が困難であるならば、中間経費を一般会計にある程度まわして行く、このことによつて六十億内外の金が浮いて出るはずなのであります。そこにはいろいろ問題がたくさんあろうと思います。手持食糧の調整の問題もあるのでありましようし、いろいろ問題が出て来るのでありますが、基本方針としては、農林大臣は、食管特別会計はどこまでも独立採算制を堅持してお行きになるのであるか、現在の状況から見て、やむを得ざる場合は、二重価格制度は、一般会計からのある程度の繰入れあるいは中間経費の振りかえということでこの問題を解決せざるを得ない。今までの御答弁を具体的に実行なさろうとすれば、そういう形が出て来ると思うのでありますが、この点非常に重要であろうと思いますので、御所見を承つておきたい。
  85. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 お説の通りであります。この問題は全面的な二重価格制度という点までは言いませんが、しかし今の特別加算の問題、その他バツク・ペイの問題も、現在のところある程度まで一般会計からの繰入れをしなければならないという現状にあるので、問題が非常に困難な折衝段階に入つておるという点があるわけであります。しかし原則として、全面的にこれを二重価格制度として、従来の安定物資制度のような、ああいうふうなところまでは現在超均衡予算の建前上とり得ないので、中間経費はできるだけ少くするほか、やむを得ない場合だけは、一般会計からの繰入れによつて消費者価格の上昇を防ぎつつ、しかも生産価格を高めることに努力したい、かように思つておる次第でございます。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、大体明らかにされたのでありますが、委員長非常にお急ぎのようでありますので、明日も農林大臣がおこしになれば、この程度で終りたいと思います。  最後に一点お伺いいたしたいのは、消費者価格の構想についてどういうふうなお考えを持つておられますか、この点を一つ明らかにしてもらいたい。と同時に、先刻も農業政策の基本を、農家経済の安定方式を価格問題にのみたよつて解決することは誤りであるという御所見ごもつともであり、私もある程度これを肯定いたしますが、しかし現在において農業用電力は、一般電力料金の値上げよりも、三割の政策料金が否定されたことによつて、さらに大きな値上りを受けます。そして各電力会社地域差によつて、米価は全国一本できめられるにもかかわらず、その地域差によつて地方々々の農民電力料金に大きな高低ができ、その及ぶところは生産費にも大きなはね返りが来ると思う。こういう点で、一方電力料の値上げとの関係において、価格面でカバーできない点は、一般政策においてカバーするのであるという御答弁でありましたけれども、事実はこれと逆に、電力料金の値上げという一面をもつて論断することは早計と思いますけれども、御所見とは別な政策が現に動きつつある。電力料金が上れば、ただちに肥料へのはね返りは、これにもう明らかである。といたしますと、農林大臣のただいまの御所見とは、事実上において、現内閣の施策というものは別個な方向を歩んでおるのではないかというふうな印象を多分に受けるのであります。ただ単に価格問題だけで農政問題は解決されない。従つて土地問題である、あるいはその他の一般農業施策が展開されて行くということは、私どもはもちろん期待しておるのでありますけれども、事実はこれと逆へ逆ヘと動いておる現実でありますが、この点について電力料金の値上げとの関係、またそれが肥料へのはね返りの関係、そういつた問題と、一般消費者価格とこのたびのバツク・ペイ及び特別加算額の問題について、農林大臣はいかようにお考えになつておるのでありますか、この点を最後にお尋ね申し上げて、私の質問を打切りたいと思います。
  87. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいまの御質問は、先ほどお答えしたうちに大部分含んでおるわけでありますが、但し電力料金が上りますれば、肥料その他の調製費、その他に関係して参りますので、これはやはりパリテイ方式をとる限りにおいては、次年度のパリテイにこれが反映して参ります。その限りにおいては、価格政策のうちにおいてパリテイ方式でこれは吸収する方法が一つあります。それからもう一つ肥料の問題については、現在硫安は自由にしておりまして、従つて補給金がございませんが、過燐酸には補給金がついておるという関係で、今統制をしておる。しかしこれも漸次補給金は切るという方針になつておりますので、今後さらに過燐酸もかなり問題になります。さらにまた肥料の輸出との関係をも考えてみますと、肥料の自給と同時に、どうしても価格調整の措置を講じなければいけない、かように思いまして、今肥料の調整機構並びに方式について研究中でございます。
  88. 井上良二

    井上(良)委員 私がこの際議事進行に関して発言を求めましたのは、実は農林委員会は、現下当面しております米価問題について委員会を招集されまして、この委員会は昨日から本日にかけて開かれておりますが、この委員会が招集され、しかも当面の非常に大きな問題であり、全国農民がかたずをのんで待ち受けております米価問題の審議をやるということは、農林当局も御存じの通りであります。しかるに農林大臣は昨日本委員会に出席せずして、アメリカのお客さんを、農村の方かどこか知らぬが、御案内をしていたそうです。これは関係筋の特別やむを得ない性質のお仕事ならば、私どもも、占領下でありますから文句は言いません。ところがあなたが御案内されたお客さんは、日本を視察に来ておる人なのです。あなたは国会が大事か、その人が大事か、どつちが大事とお考えにになりますか、しかも全国三千万の農民がこの問題をかたずをのんで待つているのです。そういう重大な問題で、国会が休会中特に委員会を開いて、あなたの出席を要求しておるのに、それをほうかむりしてよそへ行くというのはどういうことです。承れば、本日もこれからさらにまたその人の関係において外相官邸へ行かれるという、私は不見識きわまると思う、どういう御都合でお行きになるか存じませんが、そのために次官もおれば、政務次官もおる、あなたのかわりにその人をおやりになつたらいいのです。あなたは国会が大事か、その人が大事か、どうですか。その点もつとはつきり政治的に責任を持つた行動をしてもらいませんと、国会の権威というものは、まつたくあなた方のために踏みにじられているのです。これだけの大事な問題であつて、安本長官から大蔵大臣から関係各省の局部長を呼んでおるのにかいもく出て来ない。いかに政府がこの問題に対して不熱心であり、不誠意であるかということを爆露している。私あえてあなた方にいやみを言うわけではりませんけれども、実際その審議が進みません。これはやはり全国農民に対して不信を来す一つの原因になります。そういう点を静かにお考になつて、できればこれからでもあなたの隣におる島村さんに、国会が開かれていつ遅てれるから、君先に行つて一ぺんあいさつしておれ、私はあとから行くからということでやれぬことはないでしよう。そういうことで、この問題は非常に大事な問題ですから、十分論議を盡し、農民にも政府の苦衷のあるところを十分知らす必要があります。そういうぐあいにあなたの方でお考え願えませんか、これは特に私からお願いしたい。
  89. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御趣旨のほどたいありがたく感謝いたします。実は御承知のようにデユーイ氏が参つたのでありますが、天然資源局並びに農業関係の諸君が、講和後の日本の食糧関係並びに日本農業との関係において、非常に重大な関係があるから、スケンク氏から、一諾に行つて——現在はアメリカの政局を担当しておる人ではないけれども、アメリカの政策樹立に対して重大な力を持つている人であるから、ぜひ行つてくれという要請もありまして、そのときにはまだ昨日委員会を招集するという報には実は接しておりませんでしたので、私は約束した。さような状況で実は昨日行つてつたのであります。決して私は議会を軽視しておるという考えは毛頭ございません。このような状況で昨日行つて参りました。きのう出るときに初めて聞いたのであります。その点御了承を願います。
  90. 井上良二

    井上(良)委員 ただいま伺いますと、農林当局は、農林委員会がいつ開かれるのかわからなんだという話である。こういうだらしがないことでは実際たよりがない。そこで大蔵当局も安本当局も農林当局も、どこからいつ通達されたか、事務系統はどこがやつておるのですか、委員会を開くときの事務手続はどこでやつておるのですか、はつきり御答弁を願いたいと思います。
  91. 千賀康治

    千賀委員長 答弁の要を感じません。  明日は先ほど理事諸君の申合せで成立いたしましたが、一日会期を延長することにして、午後一時から開会をいたします。   本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十五分散会