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平野委員 それでは先般の御
資料は、一応御破算にしてあらためて出されるという
お話ですが、どうかそういうふうにお願いして、なるべくすみやかに、できるだけ実際の
数字を出していただきたいと思います。
最後に私は大臣に申し上げて
政府の善処を要望いたしたいと思いますけれ
ども、本日大臣の御
出席がありませんので、雑貨局長に申し上げますから、
政府部内においてよく検討せられて、
森林法にマッチした新らしい確固たる
木材政策の樹立をお考えくださることをお願いしたい。
私の申し上げたいことは、
パルプ会社の最近の非常な法外なるところの利潤の問題であります。ここに東洋
経済新報がございます、この中で
——これは雑誌というよりももう会社の考課状で明らかにな
つておるところでありますから、これは明らかな事実でありますけれ
ども、従来成績の不良であつた一つの例として、東北
パルプにつきまして言いましても、この会社は資本金わずかに一億七千万円の会社であるが、本年度の利益金は六億二百万円に達しておるのであります。すなわち利益率は六十九割であります。この会社は四割の配当をいたしておりますけれ
ども、利益に対してわずかに五%、三千四百万円であ
つて、内部保留金だけでも二億五千余万円と、一年で資本金の倍にも達するような社内保留をいたしておる、その他の積立金の累計は三億に上
つておるというふうで、わずかに一億数千万円の会社が、わずか一年間に六億円の利益をあげておるという状態であります。もちろん会社が非常に利益をあげられることはけつこうなことでありますが、まず今日、私は
木材の
関係以外のすべての
日本の産業を通観してみても、かくのごとき法外な利潤をあげる企業というものは、おそらく他にないのじやないかと思います。これらの
パルプ工業が非常な利益をあげ、また外貨の獲得等に活動せられることについては、国家のために大いに慶賀すべきことでありますが、一方において最近における洪水その他の頻発を考えますときに、これは実にゆゆしき問題ではないかと思います。国家の予算をも
つて見ましても、公共事業費一千億と言
つておりますけれ
ども、その半ばは災害復旧費であります。また今日中央、地方の予算を通観しても、おそらく一千億以上の災害復旧費が出ておるのであります。しかも年々発生します風水害その他の被害は何千億と計算をせられておるのであ
つて、その一部を国が千億円以上も出して、かろうじて災害復旧をいたしておるという現状であります。これはもちろん
パルプのみの責任ではありませんけれ
ども、最近の
木材の濫伐が非常に大きな原因をなしておることは、もう
疑いを入れないところと思います。そうして見ますと、これらの会社が利益をあげるということはけつこうであるけれ
ども、一方において国が莫大な災害復旧費を出しておるということは、結局は、国の負担においてこれら一部営利会社が独占的利潤をあげておるというふうに見られるのであります。言いかえれば国がこれらの会社に対して補助をしておるということで、かくのごとき厖大な利益をあげるということは、いかにも何か非常な無理があるというふうに思わざるを得ないのであります、こうした
木材の濫伐を行うということが、結局かような災害をもたらしておる。国がそれを責任をも
つて復旧をいたしておりながら、一方において、一利益会社がかような濫伐をどんどんや
つておるということがあ
つてはならぬ。私は、かような
木材の使用をするというような国家的な使命を持
つておる企業については、国が相当にこれを監督し、また国の責任においてある
程度の指導調整をはか
つて行くことが必要ではないかと思う。これは何人も議論のないところであろうと思います。会社から言えば、ただ
法律の範囲内においてどんどん山を切
つて、もうけさえすればよいのだということでありましようけれ
ども、国家の方はそうは行かない。そういう観点から、今回われわれの方で立案いたしまして、
森林法を
改正して、
森林の
計画について根本的な調整をはかるということにいたしたのでありますけれ
ども、いかに
森林法を
改正いたしましても、この
法律の
罰則等は、先ほ
ども申し上げましたように、なかなか
ほんとうにそれを取締るということもできないいろいろな事情があるのでありますから、ただ
森林法を
改正しただけで
政府が知らぬ顔をしてお
つてはいかぬ。この
法律を確立するように
協力せられることでなければ、とうてい
日本の
林政というものは確保できない。同時に、治山治水という重大な問題の根本的な解決はあり得ないと思うのであります。不幸にして
通産省がこの
パルプ工業を監督するお立場にありながら、
農林省の方との密接なる連絡もなく、かようにただ営利会社の利潤をあげさせることにのみ
協力をせられるということでは、この
森林法をせつかく
改正したところで、国家のために何にもならないということを、私
ども憂慮するあまり申し上げるのであります。一営利会社が、かような法外なところの独占的利益をあげておるという陰には、国が莫大なるところの犠牲を払
つておるのでありますから、
政府はここに何らかの重大なる決意をも
つて、これの調整に当
つてもらわなければならぬ。これは先ほ
ども申し上げたように、どうしても大臣が責任を持
つて解決をはか
つてもらわなければならぬことだと思いますけれ
ども、まずあなた方によく申し上げまして、
政府部内で御
相談を要望するものでございます。特に先般来
安本が
中心とな
つてよく
関係各省協議して、
木材の
政策については遺憾なきを期しておるという
お話であつたが、ただいま
安本の局長の御
答弁を伺いますと、まことにあなたもよく内容を御存じありません。いわばただ
資料をそこで読み上げられるということで、
ほんとうにあなたの頭に入
つておらぬように思うのであります。一々御指摘を申し上げれば、私
どもは専門家でありますから、
造船用材が幾らについておるとか、アラスカからどのくらい持
つて来るとか、あるいは
木材の
利用についてどうのこうのということはありますけれ
ども、それはただ机上の
計画であ
つて、実際上においては、そんなことはまずできることではない。
パルプ会社も認可、許可をとるときには、できるだけ
濶葉樹を使いますとか、クラフト・
パルプによ
つてなるべく針葉樹を使わないようにいたしますということを言
つておりますけれ
ども、実際会社の現場に
行つてみれば、どんどん付近の赤松を切
つて来てたいておるという現状であ
つて、あなた方の
計画と実際とは非常に食い違
つておるということは、ここに指摘するまでもないことであります。どうかその辺をよくお考え願いたい。
農林省と
通産省との連絡もきわめて不十分でございます。ひいてはこれは
安本の責任でありますから、この際ひとつ根本的な方策の建直しをお願いしたいということを、強く要望いたしまして、ひとまず私の
質疑は終ります。