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1951-05-24 第10回国会 衆議院 農林委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十四日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 原田 雪松君    理事 松浦 東介君 理事 小林 運美君    理事 足鹿 覺君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       小淵 光平君    越智  茂君       川西  清君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    幡谷仙次郎君       平野 三郎君    八木 一郎君       大森 玉木君    吉川 久衛君       坂口 主税君    井上 良二君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         議     員 渕  通義君         参議院議員   片柳 眞吉君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 五月二十二日  委員越智茂辞任につき、その補欠として大西  禎夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員大西禎夫辞任につき、その補欠として越  智茂君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月二十三日  国有林野法案参議院提出参法第一八号)  国有林野整備臨時措置法案参議院提出参法  第一九号) 二月十九日  野洲川ダム建設附帶工事施行反対請願(河原  伊三郎紹介)(第七二二号) 五月二十二日  国有牧野開放に関する請願松浦東介紹介)  (第二一三三号)  主食配給事務費国庫負担請願平野三郎君紹  介)(第二一八五号)  積雪寒冷單作地帶農業振興に関する請願(小平  忠君紹介)(第二二〇四号)  酒米格差金増額に関する請願塩田賀四郎君  紹介)(第二二四九号) 同月二十三日  大麻栽培許可に関する請願龍野喜一郎君紹  介)(第二二八三号)  競犬法制定促進に関する請願圖司安正君紹  介)(第二三二七号)  酒米格差金増額に関する請願川西清君紹  介)(第二三九二号)  黄海村地内の国有林拂下げに関する請願(淺利  三朗君紹介)(第二四〇三号) の審査を本委員会に付託された。 五月二十二日  もみ種子購入に対し国庫補助陳情書  (第七七〇号)  霜害対策に関する陳情書  (第七七四号)  積雪寒冷地帶指定に関する陳情書  (第七八六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  国有林野法案参議院提出参法第一八号)  国有林野整備臨時措置法案参議院提出参法  第一九号)     ―――――――――――――
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  昨日本委員会に付託になりました参議院提出国有林野法案並びに国有林野整備臨時措置法案の両案を一括議題といたしまして、審議に入ります。  まず両案の趣旨について提案者説明を求めます。参議院議員片柳眞吉君。     —————————————
  3. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 ただいま御審議を願います国有林野法提案理由を御説明いたします。  現行国有林野法は、明治三十二年に制定せられたきわめて古い法律でありますため、諸情勢の変化に伴い、現情に即した国有林野管理処分をなす根拠法規といたしましては、妥当でない部分が生じておりますので、これを改正する必要があるのでありますが、制定以来の一部改正により、削除条文がきわめて多く法律体裁上も適切を欠いておりますので、全面改正をいたすこととした次第であります。以下本法案内容について、その概要を申し上げることといたします。  まず総則におきましては、法律趣旨を定めたほか、この法律適用を受けるのは、農林省の所管する国有林野経営事業に属する国有林野であることを明らかにする規定を設けました。  次に、国有林野境界が不分明で国有林経営支障がある場合に関する規定であります。以前は、国有財産法規定に基き境界査定行政処分によつて境界確定して参つたのでありますが、昭和二十三年の国有財産法改正により該当条文がなくなり、現在のところ、空白状態となつております。しかしながら国有林野は、他の国有財産とは趣を異にし、御承知のような成立歴史からいたしまして境界の不分明な箇所が多く、かくては施業上種々支障がありますので、境界をすみやかに確定し得るため、何らかの措置をとる必要があるのにかんがみ、境界確定に関し四箇条を設けた次第であります。もちろんその構想は、以前の境界査定処分のごとく強権的なものではありません。すなわち境界確定する必要がある場合には、隣接地所有者協議のための立会を求めるのでありますが、相手方の立会いを得られないときに限り、営林局長は、市町村職員の立会いにより境界を定めることができるものとし、その定めた境界隣接地所有者その他の権利者に通知及び公告するのであり、その場合公告後一定期間を経過しても相手方から不同意の意思表示がないときには、相手方営林局長の定めた境界に同意したものとみなし、ここに始めて境界確定するものとするのでありまして、相手方意思いかんにかかわらず一方的に境界確定をする以前の境界査定処分とはまつたく性格を異にするものであります。  第三に、国有林野の貸付、使用及び売拂い並びに部分林に関する規定については、おおむね現行法に定めるところを踏襲しております。  最後に、国有林野経営地元利用とを調整し、土地の高度利用をはかるため農地調整法規定してある農業用林野制度構想にならい、これとおおむね同様の使用収益権利を得させる共用林野制度に関する規定を設けることといたしました。なお従来の委託林制度は、この共用林野制度に吸収することができますので、これを廃止することとした次第であります。  以上が本法案概要でありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に国有林野整備臨時措置法提案理由を御説明いたします。  現在の国有林野のあり方は、その成立歴史から申しまして、国土保安森林資源維持培養その他国有林野事業経営の観点から必ずしも合理的であるとは申せませんので、これが整備をはかる必要が認められるのでありますが、その抜本的な整備林政百年の大計にかかることであり、国有林野の本質に触れるばかりでなく、国土総合利用の問題にも関連いたしますので、軽々に拙速をもつて処理することはできません。関係者及び学識者意見も徴し、しばらくの時をかして、愼重検討の上決すべきであろうと考えます。しかしながら根本の問題は一応別といたしましても、ただちに措置し得る部面も存在しておりますので、この臨時整備基準を明らかならしめ、もつてこれが円滑な実施を促すため本法案提案いたすこととした次第であります。以下本法案内容について、その概要を申し上げることといたします。  まず第一条は、臨時整備対象として売り拂い、または交換すべき国有林野の範囲及びその相手方優先順位規定するとともに、これを円滑に行うため交換に関し国有財産法特例を設けたのであります。  第二条におきましては、国土保安上重要な国有林野及び国有林野経営上必要な施設は、整備対象とはならない旨を明らかにいたしたのであります。  第三条には、代金の延納につき国有財産法特例規定し、先程申し述べました交換に関する特例とともに、整備実施を円滑ならしめる道を開いたのであります。  第四条には、売拂い代金及び交換差金の使途を定め、これら収入金は、これを直接整備に必要な経費に充てるとともに、その資産化をはかる措置を講じた次第であります。  最後に、附則におきまして、本法案有効期限を定めたのであります。  以上が本法案概要でありますが、何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。平野三郎君。
  5. 平野三郎

    平野委員 ただいま御提案の両法案は、ことに整備法の方は、多年の懸案であります国有林野民主的管理目的とする国有林野解放意義があるのでありまして、心から賛意を表するものでありますが、両法案につきまして二、三お尋ねをしたいと思います。  まず政府の方に国有林管理につきまして伺いたいのでありますが、どうも現在の国有林機構というものは、あまりに複雑煩瑣すぎるのではないか、現在営林局が十四あるのでありますが、これはもつと数を少くして、全国的に機構整備する方が、かえつて能率が上るのではないかということを考えるものであります。また営林署のごときも四百ぐらいあるのでありますが、これはむしろ、このうちの大きな営林署と小さな営林署というものを二つにわけるとかいうようなことにした方が、かえつて林政の統一上効果を発揮するのではないかということを考えるものであります。かつて御料林が非常に理想的な経営が行われていたのでありますが、御料林の支局は局長のもとに課長が三人おるだけで、十分あれだけの能率を発揮したのであります。これが今回営林局になつて、しかも全国で十四も今日できておるのでありますが、その営林局が部長が四人あつて課長が十人あるというような今日の複雑な機構であり、営林署にも課長があり係長があるということになつております。これはむしろ簡素化する方がかえつていいのではないか、ことに民有林の方は、先般森林法審議の際におきましても申し上げましたように、いかにもまたこれはみすぼらしい姿をなしておる。国有林の方があまりに内容が複雑重疊をきわめておつて民有林の方はいかにも貧弱そのものであるという点から見ましても、むしろ国有林機構については、この際再検討をすべきではないかと感ずるのでありますが、林野庁長官の御意見をひとつ伺いたいと思います。
  6. 横川信夫

    横川政府委員 ただいまお話国有林野管理機構の点でございます。私どももただいまございます十四の営林局の場所あるはい管轄区域等につきましても、必ずしも合理的でないというようなことも考えるのであります。ただいま特に調査の係を設けまして検討をいたさせておるところであります。特に営林署の数は全国で三百三十四ございますが、北海道国有林及び御料林、従来の国有林、三者合せまして、ほとんどその当時の姿のままで管理経営をやつておるような所もございますが、これをあわせ検討いたしておるところでございます。また地方林政の組織につきましては、先日もこの委員会におきましていろいろ御質問いただいたのでありますが、お話のように、国有林技術者地方林技術者の交流をはかり、できるだけ国有林の優秀な技術者地方林政の方にまわすというようなことも、あわせ検討いたしておるところでございまして、近くその調査の結果が出て参ると考えております。
  7. 平野三郎

    平野委員 北海道のごときは、私は営林局一つの方がかえつていいのではないかと思います。北海道は現在三つか四つあるようでありますが、むしろこれは北海道国有林全体を統轄する営林局一つつて、その下に小さい営林局とかあるいは小さい営林署のようなものを置いて、中央と結びついて行くということの方がかえつて合理的である。北海道営林局長が三人も四人もいて、それぞれ地方から出て来て、中央と別個に折衝をするというようなことは、かえつておもしろくないのではないかということを感じますので、その点ひとつ御検討をお願いしたいと思います。  次に整備法につきまして提案者の方にお尋ねいたしまするが、拂下げ対象となります第一の「孤立した小団地」ということになつておりますが、これは大体どの程度の大きさのものを考えておられるか。
  8. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 この小団地の具体的な検討につきましては、別途森林法規定をされておりますところの中央森林審議会で、この法律実施につきましては、具体的な基準をひとつ決定をしてもらいたいというふうに考えておりまして、この点につきましては、政府当局ともいろいろ意見交換しておりまするが、大体現在のわれわれの考えには、最高町歩程度のところではないだろうか、これはまだしかし確定したものではございませんが、提案者としての大体の気持はそんなところに考えております。
  9. 平野三郎

    平野委員 この「孤立した小団地」と申しましても、これは地区によつて非常に考え方違つて来るわけで、内地の場合と北海道の場合とは、すでにその大きさについての構想が根本的に違つて来るのでありますが、しかし大体常識として考えて、特に法律に「孤立した小団地」という「小」という字が入つて来る以上は、まず私どもは五百町歩くらいが標準ではないか、千町歩以上を小団地というようなことは、これは常識上あり得ないのではないか、もちろん千町歩以上のものでも、小団地というような解釈で行くならば、これは北海道あたりへ行けば、そういう所はいくらでも出て来るということになるのでありまして、それはかえつてこの法律の精神に反して、遂には国有林の荒廃を来すというようなことになることもおそれるわけでありますので、やはり北海道とかというような所においては、まず千町歩内地ども大体五百町歩以下を小団地考えるということを、私は希望するものでございます。  次にお尋ねしたいことは、この拂下げ並び交換を行われる場合の価格算定でありますが、これはやはり中央森林審議会においてそれぞれおやりになるのであります。しかし私はおそらくこれは、全国数百件にわたつてこの種の問題が起つて来ると思いますが、それを一々中央審議会調査をされるようなことは、とうてい不可能であつて、実際においてはそれぞれ所轄の営林署ないし営林局で御調査せられたものに基いて、多分中央では盲判を押すことになるのではないかと思いますが、その場合の価格算定については、それぞれ拂下げ対象になるところの地元市町村政府との問の話合いによつてきめるべきものでありますから、その間の価格算定については、相当いろいろな問題が起つて来ると考えられますけれども、そういう点はどういうふうにお考えでございましようか。
  10. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 拂下げ価格につきましては、先ほど申し上げた審議会価格査定までする必要はないと私は思つております。今日でも国有林野会計法規定に準拠して拂い下げておりますから、この場合でもやはり会計法の一般の原則に従いまして、要するに時価によつてこれを拂下げするということでございまして、具体的な価格審議会にまで諮る必要はないと私は思つております。  それから先ほど私の説明いたしました小団地考え方につきましては、私もその最高を申し上げたのであります。決して千町歩までどんどんというわけではないのでありまして、大体の考え方平野委員と同じような考え方をしておるわけであります。
  11. 平野三郎

    平野委員 今の価格の問題でございますが、これはやはり価格埋木調査などをせられる場合は、もちろん政府の方でおやりになるわけでありますが、そういう場合に相手方との間に協議の一致しないようなときは、双方立会いのもとに調査をせられて、協議して御決定になるのであるか、あるいは政府で一方的に調査をしておきめになるのであるか、その点はどうなりますか。
  12. 横川信夫

    横川政府委員 売拂いをいたします場合には、一応の調査はこちらでいたします。それで調査の資料を提供いたしまして、現地で立会いをいたしまして、十分納得の行く了解を得た上での取扱いを進めたい、かように考えております。
  13. 平野三郎

    平野委員 一番重大な点は、今の価格査定の問題でありますが、これはただ普通の民法上の売買契約とかいう場合と違つて政府と国民との間の関係であります。ことに国有林につきましては、御承知の通り多年いろいろな境界、あるいは所有権争いが続いておるのであります。元来国有林というものは、もともとなかつたわけで、全部部落有林であつたものが、時の政治の関係で今日国有林となつておるのでありますから、従つて国有林歴史というものは、ほとんど人民との争い歴史であつた言つてもいいくらいの複雑な関係があるわけであります。今回こういう法律ができる関係上、この機会に、多年の地元要望であつたところの、われわれの山であつたものがわれわれのもとに返つて来るのだというような観念が、おそらく相当起つて来るのではないか、そういたしますと、普通のただ四角四面の価格評価ということだけでなしに、相当今までの沿革なり歴史なりを加味した評価でもつて価格決定する、そうでなければ意味がない。ただ百万円のものを百万円で買うというのならば、地元としては思惑も何もないわけで、百万円のものが七十万円でも八十万円でも、いくらかそこに地元の多年の要望権利が含まれるということにおいて、地方地元が喜ぶというようなことが起るのではないかと私は思います。ことに御料林につきましては、元来まつた部落有林であつたものが、明治維新当時に、ほとんど当時の宮内省の一方的な見解のもとにおいて御料林に編入されたものがたくさんあるのでありますが、しかしそれは何しろ当時の天皇陛下の御所有のものであるということになつた以上は、これに対して異議を申し立てることは不敬にわたるというような観念から、ほとんど泣寝入りになつていることがたくさんあるのでありますが、これが今日は国有林になつておりますから、相手が政府であるだけに、地方としては相当強く要望もし、またそれには相当理由のある所もたくさんあるように思うのでありますが、そういう点については、多少のしんしやくをお考えになるものであるかどうか、ただ国有財産法規定でもつて行かれるかどうか、その辺のところはどういうものでありますか。
  14. 横川信夫

    横川政府委員 お話のように、人情といたしましては、沿革もございますので、できるだけ安い価格でというような気持が出て参るのでありますけれども、ただいま国の財産でもありますのでやはり国有財産法規定に準拠して取扱いを進めざるを得ないような状態なのであります。その点はひとつ御了承を願います。
  15. 平野三郎

    平野委員 最後にもう一点伺いたいことは、民間が国から拂下げを受けたところの代金支拂いのことであります。これが十箇年の年賦ができることになつておることは非常にけつこうでありますけれども、この利率が九分というのはいささか高きに失するのではないか、そういう高い利息で行くことになりますれば、せつかく民間所有なつ国有林を、やむを得ず切り拂つて、それを納めなければならぬということに自然なるのではないか。ことに今日窮乏しております地方財政としては、勢いそういうおそれが起つて来るとも考えられますので、その利息の点については、いささか高過ぎるのではないかと思いますが、どうでございますか。
  16. 横川信夫

    横川政府委員 これは大蔵省の取扱いできめている標準でございますが、利益の上るものは九分、利益の上らないものは八分五厘という標準ができておるのでありますけれども、これは法律できまつておるわけでもございません、取扱い基準でございますので、なお折衝いたす余地があるかと存じております。お話のように、森林は非常に低利な事情にもございますので、なお引下げて取扱いができますように交渉いたしたいと考えております。
  17. 平野三郎

    平野委員 いずれにいたしましても、この法律案は多年の国有林解放一つの大きな意義があるものでありますので、すみやかなる成立を希望いたすものでございますが、ややもすれば、これについては利権的な関係が伴うといつたようなおそれがあつてせつかくこの法律りつぱな目的が、運用いかんによつては逆効果を来すというようなこともないとは保しがたいと思いますので、どうかこれを取扱われますところの政府当局におかれては、十分ひとつ愼重運営をしていただきますと同時に、また中央森林審議会委員の構成であるとか、またその運営につきましても、重ね重ね愼重に行われんことを希望いたしまして、私の質疑を終ります。
  18. 遠藤三郎

    遠藤委員 私は本法案に対しまして、これは国有林野関係町村の長い間の要望でありまして、大体の趣旨は非常にけつこうだと思うのでありますが、一点だけお伺いしておきたいと思うのであります。それは、ただいま平野委員からの質問にもちよつと触れておつたわけでありますが、国有林野所有区分をはつきりする際に、従来長い間あるいは部落有林として、あるいは入会山と称して、地元人たちは、その所有権地元にあるということを何人も疑わないような状況の山がたくさんあつたわけであります。その山につきまして、あのときの所有区分をはつきりする際に、地元人たちが、あるいは税金が非常にかかるではないか、官有林にしておけば税金がなくて、簡単にいつでも使えるじやないかというような間違つた考えから、卒先してこれは官のものだというようなことで、一応名前を官のものにするというようなことをやつて来たものが少くないように思うのであります。そういう事例は、国有林の非常に多い東北地方にたくさんあるのであります。そこで、その国有林に編入せられましたあとで、国有林経営が始まつて参りますと、その経営が非常に嚴格な経営をやつて参りまして、民間人たちが山に入ることを一切禁止するといつたような状況になつて参りまして、地元人たちは非常に驚いた。これは間違つてつた、やはり正しい権利の主張をしなければたいへんなことになるというようなことで、その後その所有権の問題についての、請願なり陳情なりがたくさん出ておつたのであります。現在でもその問題が継続しておるものが少くないように私は聞いております。そこで今回のこの国有林野整備法律が出るにつきましては、そういう問題について、何らか救済方法ができるだろうかということを、期待しておる向きが少くないように思うのであります。そこで、なるほど訴訟をやつてつたけれども訴訟がうまく行かなかつたとか、あるいはまた訴訟をしようと思つたけれども、提訴の期限を切られておりましたために、ぼやぼやしておつて提訴することができなかつた。みすみす村のものであるということをだれしもが疑わないようなものについて、現在官の所有になつておるようなものもある現状であります。そういうものについて、何らかの救済方法がこの法律に書いてあるかどうか、それについてどういうお考えであるか、その点を伺つておきたいのであります。
  19. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 遠藤委員の御発言の趣旨は、私もまつたくもつともに存じますが、ただ先ほどお話をいたしましたように、この臨時措置法は三年間の暫定法でありまして、従つてただいまのような問題は、やはり中央審議会で根本的に審議をして決定をしませんと、軽々にはなかなか参らぬと思います。ただこの法案でも、たとえば第一条の第一項の第四号等は、従来から薪炭原木地元に供給しておつた、こういうものを売り拂わせることになつております。この辺に一部の考え方が出ておると考えるのであります。要するに国有林野会計独立採算制という問題が別個にありまするし、また国有林野の全体の経営にも非常に大きな影響を持つて参りますので、今のような点は、この三年間は一応これでやりまして、根本的な整備の方針は、中央森林審議会で抜本的なものを審議して決定してもらいたい、かように考えております。
  20. 遠藤三郎

    遠藤委員 ただいまの提案者の御説明でありますが、第一条の四項には、なるほど自家用に供する薪炭原木を供給する慣行のある山林については売拂い考える。こういうことになつておりますが、たまたま闊葉樹林でありました場合にはその適用を受ける場合も出て来ると思いますが、国有林経営の建前から、針葉樹林植栽をしたとか、あるいは天然更新をずつと続けて行くといつたような場合には、その山は闊葉樹林の今の場合とまつたく同様な条件にありながら、実際その救済は受けることができない、こういう非常に不公平な問題が出て参ります。かたがたただいまお話のように、この権利関係を今持ち出すと、非常にいろいろの問題が出て来ることはよくわかります。この問題は愼重に扱わなければならぬということもよくわかりますが、この国有林野整備法ができるこの際に、一応今までの間違いを間違いとして主張する機会を、民間に與えたらどうか。そしてその主張が正しいか正しくないか、審議会なり何なりの機関で、愼重に御審議願うことはけつこうでありますが、一応主張する機会を與えたらどうか、こういう意見を持つておるわけでございますが、その点についての提案者なり林野庁の御意見を、ここに伺つておきたいと思います。
  21. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 審議会で各地のさような従来の沿革なり、あるいはその他の不平不満を審議の際に聞くということは、私はけつこうと思います。これは政府当局にもさような趣旨で私も連絡をしておる最中であります。
  22. 遠藤三郎

    遠藤委員 審議会におきまして、いろいろな意見、今までの経過などを聞いて、それを加味するという御趣旨のようでありますが、もしそうだということでありますならば、法律にそういう意見を聞いて十分に審査して参る、こういう条項を入れることはいかがでありますか、その点についての御意見を伺つておきたいと思います。
  23. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 中央森林審議会機構は、たしか森林に関する重要事項を審議するということになつておりまして、具体的には書いてないのでございますが、特に具体的に書かないでも、目的は達成できるのじやないかと考えております。
  24. 遠藤三郎

    遠藤委員 私記憶しておるのですが、たしか明治三十二年の法律がありまして、一箇年の間に異議の申立てをしろ、もし一箇年の間に異議の申立てがないときには異議なきものとして扱う、こういう法律が出ておると思うのであります。従つて、明治三十三年以後にいろいろな材料が出て来たり、あるいは三十二年の前に材料を整えることを怠つてつたりした者は、主張するチヤンスを全然奪われておるわけでございます。従つて、この際提案者せつかくの御意見でありますので、もし許されるならば、チヤンスを與えるという意味で、法律に一条入れていただく方が、はつきりするのじやないかという、提案者の方々の御趣旨とちつとも違わないと思うのでありますから、その点を御考慮願いたい。その点についての御意見を伺つておきたいと思います。
  25. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 これは意見でありまするが、特にこの法案の中に書きませんでも、審議会の運用方針として、従来の沿革等についてはできるだけ——あるいは陳情はなくても、全面的に過去の官民区分の関係等も十分審査をすることは、当然だと思うのでありまして、特に書きませんでも目的は達せられると思うのであります。
  26. 野原正勝

    ○野原委員 平野委員遠藤委員から質問がありましたので、重複を避け、別な問題をお伺いしたいと思います。  このたびの林野整備法案はいわゆる林野整備であつて国有林拂下げそのものを目的としたものではなく、新しい事態に即応した国有林のあり方をきめているということにおいて林野整備という名前をつけたものと思うのであります。そこで当然問題になりますのは、国有林売拂いもございます、あるいはまた交換分合という仕事も同時に大きな仕事の一つであろうと思います。それからまた法案を通じて見ますと、消極的には、必要に応じては林野整備によつて得た收入の範囲で民有地を買上げることもできるというようになつておるようであります。一体民有林を買上げることができる、どういうような場合がそれに当るのか、その辺がどうも明らかでないのであります。それに対しまして、できるだけ具体的に御方針をお伺いいたします。
  27. 横川信夫

    横川政府委員 買上げの対象となりまする森林は、第一に国土保安的な機関を持つておるようなものであります。必ずしも保安林とは限りません。保安林でなくとも、国土保安上必要であると思われるような森林は、買上げの対象になります。なお国有林の中に孕在しております民有林等も買上げの対象になります。大体において予算の範囲がございますので、国土保安的機能を持つており、国有林内に孕在いたしております民有林を買上げるという限度になつたと考えております。
  28. 野原正勝

    ○野原委員 御方針はやや明らかになつて参りましたが、その孕在する山林あるいはまた国土保安上必要であるからというので、所有者の希望がない場合でも買うのか、希望があつた場合だけ買うのか、その辺どうですか。
  29. 横川信夫

    横川政府委員 無理に買い上げるというようなことはありません。所有者が希望する場合に限つて買い上げるつもりでおります。
  30. 井上良二

    ○井上(良)委員 売佛い代金の問題について、今平野委員から質疑があつたのですが、これは政府当局と買受けまたは譲り受ける本人との話合いの上で価格をきめる、こういうことですか。
  31. 横川信夫

    横川政府委員 納得をしていただいてきめるということでありまして、当然これは契約でございますので、両方の意思が一致いたしませんければ契約が成立しないわけでございます。さような意味でございます。
  32. 井上良二

    ○井上(良)委員 国の財産を処分する場合に、それが適当な価格であるかないかということは、だれが公正な判定をいたすのですか。
  33. 横川信夫

    横川政府委員 営林局長が一応決定をする取扱いにただいまのところいたしておるのでありますが、その場合に付近の土地の売買価格とか、交通、運搬の状態とか、地味の状態あるいはまた地上物件の採算等、十分詳細な条件をあわせて検討いたしまして、営林局長決定をいたすことにいたしておるのであります。
  34. 井上良二

    ○井上(良)委員 営林局長が、いろいろな資料を整備いたしまして、最も公正妥当なる価格考えておやりになるという御説明でありますが、問題は、それが公正妥当な価格であるかないかという判定は、何を基準にしてきめるかという問題がここに起つて来ます。そこで当然、これは最も公正な第三者の権威ある機関にまかせるという方法をここで講ずべきじやないかと思います。たとえば会計検査院なり、あるいはその他の当該地区の農業委員会委員の中から、あるいは市町村長その他最も公正な立場におられる方を、特別に価格査定委員といたしまして、そういうものを設けて、ほんとうに売拂いまたは譲渡というものが決して不公正なもので行つていないという国民的な、納得せしめる責任機関をもつてやることが、最も妥当でないか、こう私は考えますが、そういうことについて提案者はお考えになつておりましようか。また政府はどうお考えになつておりますか。
  35. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 ただいまの点は、大体長官からお話があつたような線で従来も売却をしておりました。それで私は特段支障はないと思うのであります。従いまして、大体従来通りのやり方でそう不当な結果は起らないというふうに考えております。もしも非常に不当でありますれば、これは問題が爾後になりまして効果はないと思うのでありますが、会計検査院等によつて、その評価が不当でありますれば、一応の監督なり牽制はあると思うのであります。私は大体これでさしたる支障は起らないというふうに考えております。なお政府当局からもお答えがあると思います。
  36. 横川信夫

    横川政府委員 ただいま提案者から御説明がありましたように、会計検査院の審査はいずれにいたしましても受けるのでありますが、この法案提案者と御相談している間に、事前に会計検査院に協議してはどうかというような御意見も出ておりました。なお大きな金額に達するものにつきましては、事前に会計検査院に協議をするという方法も、取扱い上進めて参りたいと考えております。
  37. 井上良二

    ○井上(良)委員 提案者は、従来これでやつて来て別に大した問題もないから、これでよかろう。こういう御説明のようでございますが、とかく国有林拂下げ問題にからんで、いろいろな醜悪な事態をわれわれはたくさん聞いておる。現にまた薪炭特別会計のあの醜状をわれわれ見た場合、一体ああいう行き方でいいかという問題——これは非常に交通不便な、また一般世間にあまり知られない所において問題がとりきめられる関係から、とかく爾後において問題を起すのです。それで会計検査院がその拂下げについて査定をしたしました場合、不当な拂下げだということで、一年もあとで査定をして、もうすでに伐採あるいは売拂いを行つた後において問題が起つて来る。代金支拂いその他についての詳細な、寛大な規定は設けてあるにかかわらず、売拂い代金の妥当な価格評価については、少しも親切な規定がない。これは私は片手落ちじやないかと思うのです。
  38. 横川信夫

    横川政府委員 先ほど申し上げたのでありますが、原則はあくまでも営林局長がきめて運営をいたすのでありますが、特に例外的な場合に、会計検査院にあらかじめ協議をするという意味で申し上げたのであります。誤解をしていただかないようにお願いいたします。
  39. 野原正勝

    ○野原委員 売拂い価格の問題等につきまして、営林局長査定をし、決定をするということ——私はとかくこういう問題は、会計検査院などに相談すべきものでないと考えます。先ほど来平野委員やあるいはまた遠藤委員から質問がありましたが、この国有林野整備で売り拂う山林というものは、地元と非常な長いつながりを持つておる。従つて国有財産規定から言えば、いわゆる公正妥当な価格でなければならぬということは当然でありますけれども、政治的にこれを別な方面から見れば、ざつくばらんに申しますが、なるべく安いに越したことはない。従つてそれはその辺を十分勘案して、地元市町村等になるべく安い値段で処分することを命ずる、これはあまり船頭が多いとうまくない。むしろ営林局長にまかして、味のある処分方式をして、あとから一年なり二年なりたつて会計検査院から少しくらい文句が出たつて一向さしつかえない。高かつた場合には全然文句があるはずはない、むしろ安過ぎたからということで文句が出る場合があるかもしれませんが、これは物価の変動等もあるかもしれません。その拂下げを受けて町村が利益を受けたという場合がありましても、地方財政等が非常に窮乏しておりますので、むしろけつこうなことでありまして、私は政治的にこれを考えてみたいと思います。あまりこの問題については、やぼなことは言わずに、これは腹で押すということでお考えを願いたいと思います。
  40. 井上良二

    ○井上(良)委員 非常に重大な発言を野原君はされたと思います。国の財産の問題について、特定な利害関係者が、問題の本筋に対して議論をされるということは当然であろうと思う。しかしながら、われわれは少くともこの法律をつくるのにあたつて、これがあらゆる国民に重大な関係を持つという見地から検討いたします場合には、一番問題の核心になつております価格の問題について、公正な規定がされていないというところに問題があるのであります。その規定がぼかされておつて、しかも今お話のように、営林局長あるいは営林署長の腹で価格をきめられるということほど危険なことはないのであります。時の権力によつて、どつちにでも動くのであります。これほど危険なことはない、そういうことのないように、できるだけ公正妥当なる価格で、国民が、自分の財産を役人にまかして売つてもらつたけれども、これは当然の価格であつたと納得できる価格をやはりきめてもらうことが必要であつて、農村が非常に困つておる、あるいは農民が非常に困つておるということは、別に考えるべき問題であつて、国の財産拂下げの問題とは関係がないのであります。そういうことを問題に結びつけて、政治的に腹で行けというのならば、こんな法律をつくる必要はない。腹で仕事をすればよいのであつて法律などつくる必要はない。そういう議論はこの際考えてもらわなければなりません。そんなことを言われては、かえつて森林業者と、それから国有林を担当しておる営林局長こそ迷惑な話である。私はこの点については、あくまでも公正妥当な価格審査委員会というようなものを、やはり営林署管内に、局長なりあるいはまた農林大臣なりの任命によつてきめておく必要がある。そういう問題が起つたときには、その委員会の審査にまつて価格をきめて行くということが、最もよいのではないか。それが最も民主的な、最も公平なやり方ではないかと私は思うのです。
  41. 吉川久衛

    ○吉川委員 横川長官が、民有林の買上げの問題について、国土の保全といいますか、保安の必要から買い上げるということをおつしやつたが、そういう場合だけであるか。もしそういう場合だけであるとするならば、これは土地收用法とかいうような法律が発動せらるべきであつて、この法律によつては扱えないのではないかと思いますが、その点はどうなのですか。
  42. 横川信夫

    横川政府委員 土地收用法というような強制権を用いませんで、できるだけ納得ずくで、お互いに話合いの上で買い上げるということで参りたいと考えておるのであります。
  43. 吉川久衛

    ○吉川委員 この法律でそこまでお考えになることも、納得ずくでできるならばけつこうだと思いますが、納得のできない場合に、明らかにこれは国土の保安上やらなければならないというような場合に、この法律ではできないわけでありますね。おのずから限界があるわけでございますね。
  44. 横川信夫

    横川政府委員 さようでございます。
  45. 吉川久衛

    ○吉川委員 そこで所有者の意思がない場合には買い上げない、こう言われるのですけれども、むしろ国土の保安の関係で買い上げるということが、私はねらいじやないかと思うのです。もしそうであるとするならば、納得は私はなかなかできないと思うので、納得させるためには交換分合といいますか、換地でもして納得をさせる方法が、あわせて考えられなければならないと思いますが、そうい点について、別にお考えはあるのですか、いかがでございますか。
  46. 横川信夫

    横川政府委員 この法律に書いてありますが、交換分合の道もあるわけであります。
  47. 吉川久衛

    ○吉川委員 そういたしますと、この民有林の買上げというものは、ほとんど実際上は問題にならないわけですね。できるという規定はあつても……。これはひとつ提案者に伺うのですが、できるようになつておりますけれども、実際上の問題として、さような問題は起きて来ないと思うのです。何か他意があるのではないかと私は思うのです。この民有林までも、規定があるから、納得してもらわなければ買い上げないとは言いながら、これを強行されるようなおそれがなきにしもあらずです。そういうような場合に、山林所有者に安心の行くような、何か規定があるのでありますか。何か御意見がなければならないと思うのですが、その点についてちよつとお聞きしたい。
  48. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 先ほど長官から答弁がありましたように、第四条第二号の買入れは、あくまで民間の希望がなければ、無理には買わないという方針であるのであります。しかも実情を聞きますと、吉川委員の言われましたように、全然希望がないのじやないそうでありまして、むしろ地方によつては、相当国有林に買つてもらいたいという要望もあるそうでありまして、決してこの条文は空文ではないと私は思います。
  49. 遠藤三郎

    遠藤委員 私は先ほどの井上委員と野原委員との議論のやりとりを聞いておつたのでありますが、国有林野拂下げ価格の問題であります。この価格の問題については、最近どういうような声が出ているかと言いますと、すべて競売しなくてはいけない、あらゆる山を、あるいは材木にしましても、競売してできるだけ高く売らなければならぬ、こういうような経営の方針のようであります。ところが実際問題としましては、その山は何百年の昔から、その縁故の村々がこれを保護し、しかもその以前には自分の山として何人も疑わない、自分の物として終始やつて来たものが少くないのであります。それを最近の経営におきましてで、きるだけ高く売る、まるで菜つぱか大根のせり売りをするような気持でやつておる向きがあるようでありますけれども、これはたいへんな間違いであります。井上委員も公正な価格でやれと言われておりますが、公正な価格でやることは当然でありますし、何が公正なる価格かという問題については、そういう地元との関係考えなければ、公正な価格は出て来ないのであります。林野行政について非常に堪能な井上委員が、ただ菜つぱや大根のせり売りをすると同じような意味の経営をするという、そういう趣旨をとられるとは私は思わない。しかし今の発言を聞いていると、公正な価格というのは、できるだけ高く、安く売ることはならぬという意味に聞えるので、その点は間違いだ。昔からの縁故を考え地元の仕活を考え、そして地元民の今までの信念と言いますか、山に対する考え方を十分に考えて、そして法規の許す限り安く、それらの気持考えて、それらの関係考えて特売をして行くというのが、国有林野の本来の趣旨であると、私どもはかたく信ずるわけであります。従つて、公正と思われる価格でやるということに対してはもちろん異議がないのでありますけれども、その公正なる価格というものは、そういう今までのしきたりを考えて、むやみに高く売るということは、公正なる価格ではないのだ、縁故に応じて地元民の納得できるような価格で売つて行くということが、最も正しい公正なる価格であるという意見を持つていることを、この際はつきりと申し上げておきたいと思います。
  50. 千賀康治

    千賀委員長 この際お諮りいたします。議員渕通義君より発言要求がありますが、これを質疑応答を加えて三十分以内でお許しをいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。それでは渕通義君の発言を許します。
  52. 渕通義

    ○渕通義君 発言を御許可になつたのでありますが、三十分以内に限られますと、非常に重大な問題を控えておりますので——いわば私にとつては十三年来研究し、今日あるを予期して参つた重大な問題でありますので、三十分や一日や二日ではなかなか要点を盡せないのでありまして、その点あらかじめ賢明なる委員諸君には、十分御了解いただけると思うのであります。価格の問題はことに重大であります。また遠藤君の言われるように単純な問題ではありません。ことに提案者が参議院である以上は、衆議院はこれに対してはよほど腰をすえてやらなければいかぬと思います。林業議員懇話会で十分意見は盡されたという議論もありますが、林業議員懇話会の議論は速記にも載らない、将来、日本の国会といたしまして、どういうことが論議されたかが全然残つていないということになると、非常な問題だと思います。先ほどの提案者説明によりますと、これは暫定的につくつたのであるというのですが、いわばこれからもう一歩進んで、国有林全体の買上げについても問題があると思います。そういう遠大な理想であるだけに事は重大であると思います。  それでこの国有林野整備法の前段を見ますと、国有林野の収益性ということに非常に重きが置かれているのでありますが、国有林野の収益性ということは、国有林野法制定の国家の基本的意思と、はたして合うものであるかどうか。この草案の前段には、国有林野についても収益性ということは一番大きくうたわれており、収益性以外については非常に簡單にうたつている。この収益性というものは、それほど国有林野にとつて重大なものであろうか、国有林野法制定当時においても、収益性はそれほどうたわれなかつた。ところが最近独立採算性ということがやかましく言われるようになつたから、この収益性というものを強くうたうようになつたのでありますか。
  53. 横川信夫

    横川政府委員 国有林の収益性というものは、非常にこの法案では強く浮び上つているという御観察であります。国有林の使命というものは、もちろん国土保安の維持と、林産物の十分なる供給をはかることが重点でありまして、収益性必ずしも最重点とは申し上げられないことになつているのであります。
  54. 渕通義

    ○渕通義君 そうであるならば、この法案の中に「国が経営するを必要としないもの」ということに限定されていることが私は問題になつて来ると思います。いかなる理由によつて、国が経営するを必要としないものということに限定されておりますか。
  55. 横川信夫

    横川政府委員 その森林のあり方、ある場所、あるいはその森林の姿等によりまして、その国有林国有林野のうちにいつまでも持つていることが必ずしも必要でないというものが、それに当るわけであります。
  56. 渕通義

    ○渕通義君 そういたしますと、実際国が経営いたしまして収益性がないものを、民有にまかしてもらえば、その結果はどうなるかということをお考えになつておられますか。たとえば国が経営する、国のエキスパートが経営して収益性のないものを、民営に移した場合、その結果ゆゆしき問題が起る。従いまして国が経営することを必要としない当該国有林野を適正に経営することができる地方公共団体、国が適正に経営できないものを地方公共団体が適正に経営できるかどうか、そういうことは林業経済学上矛盾している、そんなことは習つた覚えはない。
  57. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 これは第一条の第二項の各号をごらんになりますと、大体御了解がつくと思います。たとえば孤立した小団地等は、あるいは収益性が別途あるかもしれませんが、国が管理しますと、遠隔地等に小さい団地がありますと、管理費用に相当かかるという関係で、彼我相殺しますと、むしろ国としてはマイナスになる。しかしそれを地元がやれば、十分収益性が出て来ることはあると思います。決して私は矛盾はいたさないと思つております。
  58. 渕通義

    ○渕通義君 それは一つの孤立した団地国有林野をさされたのでございますが、少くとも林業経営全体からながめたとき、国が経営して経営の成り立たないものが、民営で経営して成り立つはずはない。たとえ小団地といえども、林業経済学上の立場においては、おそらく成り立たないということは、林業学を若干でも学んだ者ならば、はつきりわかつている。それをできるとお考えになるならば、ぼくは非常におかしい。矛盾と言うか、とんだ議論ではないかと考えております。
  59. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 私は一例として第一条の第一項の第一号の場合を申したわけでありますが、たとえば第二号の施業上孤立という場合におきましてもやはり国がするよりも、直接地元でやつた方がむしろ収益性があがり、費用はかからないという場合もあると思います。あるいは第三号の境界が非常に入り組んでいる場合におきましても、大体同様のことが言えるかと思います。私は公正に考えまして、地元がやつた方が管理費はかからないで、収益が上るという場合は相当あると考えております。
  60. 渕通義

    ○渕通義君 そうであるならば、小団ということは限定されておりますが、しからば国が経営する以上に民間経営するならば利益があがる場合にはどういうことになりますか。たとえば国有林がよく問題になるように、農村においては、農村の庭の先まであるところが九州、中国等各地にある。そういう場合は、むしろ積極的に国有を民営にやつた方が、経営経済学的に利益があがる、こういう場合がある。それを一応この整備法でやつたならば、そこまでうたうべき性質のものではないかと思います。それはどういうふうに取扱われますか。
  61. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 先ほどお話いたしましたように、さような点はなるべく早い機会に根本方針を検討いたしまして、処理を決定いたして参りたいと考えております。ただいまの軒先国有林等はもちろん拂い下げますれば、地元には相当有利になるかもしれませんが、半面冒頭に御指摘のような、国有林野独立採算制ともこれは関連を持つわけでありますから、さような問題はこの臨時措置法ではまだ扱うことは早いと思います。審議会で根本的な検討を進めて行きたいと考えます。
  62. 渕通義

    ○渕通義君 前にもどりますが、先ほど林野庁長官は、別に森林の収益性に重点を置いていない、国土保安上に置いているのだと言われた。こういう考えであるならば、将来国有林野経営のあり方は尋常ならざる姿であるということはだれも知つておる。その問題は、将来政府としましてはどういうふうに改革して行くか。特に例をあげるならば、中国地方のごとく、脊梁地帶にはほとんど国有林がない。しかもそのために今日濫伐されておるという危険な状態に置かれて、今はほとんど裸山寸前だ。こういう場合、国有林野の存立過程を考えて、今後これを収益性から国土保安というものにもつと強くうたつて行く、こういうことに考えるならば、将来の国有林野の計画、国家総合開発の立場上から、そういつた面に対して国有林野を拡大する、あるいは適正配分することまで、おそらく運命づけられておるのじやないかと思いますが、それに対して、林野庁長官は今後いつからそういうことに着手するお考えであるか。
  63. 横川信夫

    横川政府委員 ただいまお話の、中国地方のような脊梁山脈にはわずかに森林がありまして、下の方は全部荒れておる、国土保安上ゆゆしい問題だということは、抽象的には私どもよく了解しております。具体的にいかに取上げて、全国森林、特に国有林などをどういう配分にするかということにつきましては、中央森林審議会にお諮りをいたしまして、十分愼重検討していただくように考えております。
  64. 渕通義

    ○渕通義君 これは中央審議会審議をお願いするということになりますと、政府は近き将来においては、そういつた方向に国有林のあり方を持つて行く考えなのか。それとも国有林野整備法というものは、国有林のめんどうくさいものは切つてしまう、枝葉を切つてしまうという臨時的のものであつて、国家百年の大計よりするところの大きな国有林経営という主目的と、分離して考えられなければならない状況になつておるのか。要するに国有林野整備法というものは臨時的につくられて、国家百年の大計よりするところの国家総合開発の面からする国有林野というものと別途に、近い将来に必ずおやりになる考えなのか。
  65. 横川信夫

    横川政府委員 御承知のように、この林野整備法は三年を切つて法律でありまして、将来の国有林のあり方、あるいは全国的な森林の配分の状態というものを検討いたしまするには、あまりに時間が短いわけでありまして、再三申し上げておりますように、中央森林審議会におきまして検討していただくのでありますが、どうするかということは、この諮問の結果を待たなければわからないのでありまして、今どうなるであろうということを、ここで申し上げるわけには行かないのであります。
  66. 渕通義

    ○渕通義君 それではその問題は一応打切りまして、次に、この整備法案が実際問題として各地で問題になつておりますが、先ほどから日本の国有林のあり方について、民間との闘争の歴史であるということが議論されておりました。これは明らかなことであります。そういう場合にわれわれがいわんとするところは、特に九州地方のごとく、国有林野が偏在いたしておる所で前々から問題が起つておるが、こういう問題について、中央審議会においては、一応考えられるけれども、この法案自体には全然それがうたわれていない。たとえば第四の「国有林野でその所在する地方の住民に対しその自家用に供する薪炭原木」とありますけれども、こういつた問題では、おそらく地方民の要望は達せられない。この法案では、国有林野において経営が成り立たぬものを切り捨てて国有林はもつと左うちわで行こうというようなかつこうが現われておるのですが、そういうことでは、国有林野の将来の問題について、私は重大な問題だと考えております。今日いなかで一番問題になつているのは固定資産税というものです。税制の改革によつて国有林野の多い所は、民有林違つて、その地方の財政が逼迫しているという実情であります。従つて国有林野に対する国民の考え方も大分かわつて来た。いわば固定資産税を国有林野からもとるという段階になれば、その地方の産業開発にとつてはそう大した影響はないという希望並びに地元民の経済上のあり方について、大蔵当局は、固定資産税に対してどういうふうに考えておるのか、伺つておきたい。
  67. 横川信夫

    横川政府委員 国有林の所在町村に対しましては、固定資産相当額の交付金を出しておりまして、その総額は二億千九百万円であつたかと思います。特に宮崎県には二千万円ほど交付いたしておるはずであります。
  68. 渕通義

    ○渕通義君 固定資産税に相当額とおつしやいましたけれども、固定資産税に及ばざること相当なんです。それを忘れないように考えていただきたい。次に優先順位の問題ですが、第二条二項の三の「その他の者」というのはどういうものをさしておるのですか。
  69. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 これに大体予想されまするものは、当該国有林野の隣接の市町村でありますとか、あるいは学校、法人、部落等を考えておりますが、しかしそれ以外でもこれはかまわないと思います。
  70. 渕通義

    ○渕通義君 それ以外という場合には、たとえば先ほど問題が起つた、長い間訴訟にからんでいるという場合の個人を対象とするのですか。
  71. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 個人でも私は解釈上はさしつかえがないと思つております。ただその場合でも、第一条の本文にありますように、当該国有林野を適正に経営することができると認められるものというとがやはり必要でありまして、この資格に該当しますれば、個人でもさしつかえないと思つております。
  72. 渕通義

    ○渕通義君 適正に経営することができるものということについては、先ほどの中央森林審議会決定を下されるのですか。
  73. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 その点の判定ですが、審議会では私はできないと思うのでありまして、これはむしろ出先の営林局長なり、あるいは営林署長等で判定ができるものと思います。
  74. 渕通義

    ○渕通義君 この交換の場合ですが、たとえば反対に、奥山にあるところの国有林の中に点在しておる民有林交換の面積、これは小団地とすることに規定するのですか、それともそれ以外のものを意味するのですか。
  75. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 これはやはり第一条第一項の適用を受けますから、第一条第一項の第一号から四号に該当しなければならぬわけであります。
  76. 渕通義

    ○渕通義君 そうしますと、国有林内にあるところの原野というものは、この中に該当することになるのですか。
  77. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 原野も含むわけであります。
  78. 渕通義

    ○渕通義君 原野も含むということはどういうふうな法文に当るわけですか。
  79. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 これは国有林野の範疇に入つておりますから、含みます。
  80. 渕通義

    ○渕通義君 国有林野法のどこにありますか。
  81. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 国有林野法の第二条に定義がありまして、「国の所有に属する森林原野」とありますから、原野も含んでおります。
  82. 渕通義

    ○渕通義君 わかりました。実はこの問題について非常に重大な問題と思われますのは、絶えず国有林等の問題で係争事件が起つております。その場合裁判記録によりますと、その中に明治林政史ということが絶えずうたつてありますが林野庁長官並びに片柳さんは、明治林政史というものはどのくらい真実性があるとお考えになるか。
  83. 横川信夫

    横川政府委員 あの資料以外にどのような資料があるか存じませんが、少くとも明治林業資料に載せてあるものは、全部正しいものであると私は考えております。
  84. 渕通義

    ○渕通義君 私は実は明治林政史を研究して参つたのですが、横川長官の発言につきましては、はなはだ重大な問題を発見いたすのであります。と申しますことは、明治林政史の編纂過程におきまして、これは明らかに大学の教授あるいは役所の人、そういつた方々が、官尊民卑のはなはだしい時代において編纂されたのでありまして、当時編纂に当つた人が、最近故人になられましたけれども、はつきり申しておつたことは、この明治林政史というのは、お上に利益になるものだけを取上げて、民に利益なものは全部捨てたのである、現にその書類が残つておるということを言明された。特にまた当時の行政裁判所の裁判官をしておつた、名前は忘れましたが、その人もはつきりかく申しております。ところで問題は、あらゆる国有林野の係争事件で、各地方営林局に参りますと、書類はなくなつた、書類は焼けてしまつた、こう申しております。ところが実際はある。書庫の中に深く隠されておるという事実があるのですが、これに対して、横川長官は絶対に書類は焼けたと言明できるか。もしそうでなければ、国会の権限によりまして、営林局の書庫を調査し、明治林政史の真偽を徹底的に調査するところの機関の設置を要求したい。何となれば、先ほど平野君らによつて問題にされたことは、国有林野成立過程というものはあまりにも一方的であつた。これはもつと根本的な明治林政史にさかのぼつて行かなければならないと考えておるのですが、それに対して横川長官は、はつきり明治林政史は正しいものであるということを確言されますか。
  85. 横川信夫

    横川政府委員 昔から営林局にございました資料が焼けてしまつておりまするか、なお現存しておりまするか、その辺は私詳しく存じないのでありますが、先ほども申し上げましたように、少くとも明治林業資料に載つておりまする事柄は正しいことであろうと、私はただいまのところ考えておるのであります。私は淵議員のように、あれを詳しく検討したわけではございませんので、その辺の判断能力はないのであります。ただあそこに書いてありますことを信用して読んでおるだけのことで、むずかしいことはよくわからないのです。
  86. 千賀康治

    千賀委員長 淵君に申し上げますが、お約束の時間が来ますから、すみやかに結論に入られたいと思います。
  87. 渕通義

    ○渕通義君 むし返すようですが、しからば明治林政史につきまして、今後政府は、現在書庫にあるすべての文献を一応集めて、再検討する、これが一番必要な問題と存じます。それははつきり各大学の教授諸君も申しておりますが、林野庁としましては、それをやることを明言してもらいたい。
  88. 横川信夫

    横川政府委員 その資料の所在も私どもはつきり確認いたしておりませんので、今ただちにここではつきりとその資料の検討をやるということを申し上げることはできないのでありますが、もしさような資料がありといたしますれば、十分調査をいたしたいと思います。
  89. 渕通義

    ○渕通義君 さような資料があるなしにかかわらず、日本の国有林野の重大問題を担当しておられる方々は、国有林野整備法というものを出しておる以上は、少くとも日本の今日までの林野政史についての再検討を加える意味におきまして、根本的な資料と存じます。従つて林野庁は総力をあげて、再度明治林政史にかわる日本林政史というものをつくるべきだ。これをつくらずに、国有林野整備しようとか何とかいうことはあり得ない。この根本的な資料をつくつてかからなければならない。これが科学的な今後の政治のあり方だ。そのくらいのことは言明してもらいたい。
  90. 横川信夫

    横川政府委員 できるだけ御趣旨に沿うようにいたします。
  91. 大森玉木

    ○大森委員 私は国有林拂下げの問題に対していろいろ問題がある、あるいは入札等の意見もあつたのでありますが、これに関連いたしましてお尋ねをいたしておきたいことは、山は御承知のように、地券面と実際の地面とは大分差があつて、ある地方においては、これを何かの機会にはかつたときに、はみ出て来たものは国有林なりということによつて、今私の地方などでは問題を起しております。これは親の代から百年以上も自分の所有なりとして植林し、育成して来た山林である。それをたまたまはかつて、どこかはみ出たものが国有林なりということになつて、今それを国が取上げて、安い価格で、立木もすべてを売らなければならぬということを言つておるのでありますが、こういう点に対して、林野庁長官並びにこの法案提案された方面の方々はどういうふうに考えておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  92. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 ただいまの実態につきましては、林野庁の長官からお答えがあると思いますが、さような場合に備えまして、実は境界確定の法規も設けたのであります。この法律実施になりますれば、さような際には境界確定をし得る道が開けたわけでありますから、それによつてはつきりラインをきめていただきたいと思います。
  93. 横川信夫

    横川政府委員 そういう事例もあるというようなことを、私昔聞いたことがあるのでありますが、やはり情実というようなものには、沢とか山というようなものが指示してありますようで、大体の地方におきましては、單なる長さだけで処理をするという例はまれなようでございます。さような事例がございますれば、よく検討をいたしてみたいと思います。
  94. 大森玉木

    ○大森委員 実はこの問題に対して、私は国税局の方へも参りましたが、なかなか簡単に話がつかない。そこで原木は全部植林したものである。植林したものは民有、いわゆる村民がやつた。ところがいよいよずつと押してはかり出して行つたところが、結果は——こういうのりがある、それがなんと、この付近はずつと坂なのです。道をつくろうとしてはかつたところがそういうことになつて来た。そうすると、そこに植えてある原木は全部原価価格でなければ売らない、こういうことになつておる。これははなはだ奇怪なことであるというので、私何回も参りましたが、話の折合いがつかない。であるから今長官が仰せられたように、そういうことはないと考えるが、もしもあればということであるならば、これは現在私の地方で起つておる問題でありますから、なお私帰つて、一応実地を検査して、図面等に表わしまして、また林野庁の方へ参り、御相談をいたしたい。これは一つの例でありますが、こうしたものをいよいよ押して行きますならば、日本の全山は、私は国有林が半分になると思う。今実地面積をはかつてみますと、大体出した所は三倍ある所があるし、また二倍ある所は大体多いのである。現実の面積とは絶対に違つておる。それを測量によつて出て来たから、それは国有林であるというような扱いをする、そうであるならば、全国の山の半分は国有林ということに私はなると思われるので、この点を申し上げておいて、私はあらためて図面等によつてまた御相談に参ります。
  95. 千賀康治

    千賀委員長 この際野原委員から発言を要求せられておりますのでこれを許します。野原正勝君。
  96. 野原正勝

    ○野原委員 森林法改正及び森林法の施行法案、あるいはまた森林組合の再建の整備あるいは改造の問題、あるいは今審議中の国有林野整備の問題であるとか、あるいは国有林野法改正等に関連いたしまして、林業関係の立法が今日進んでおるわけであります。現下の日本の国情から見ましても、森林資源に対する諸対策が緊急に講ぜられなければならぬ事態であります。また木材の利用の合理化を促進するとか、その他林業に関する税利問題等もあります。あるいはまた緊急の問題としましては、先般来本委員会で問題になつておりました。パルプに関する問題であるとか、あるいは坑木に対する対策であるとか、その他緊急の問題が山積しておりますので、この際本委員会に、委員十名からなるところの林業対策小委員会を設置せられんことを提案するものであります。
  97. 千賀康治

    千賀委員長 野原君の発言に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。それではさよういたします。  小委員及び小委員長の選任は委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。その氏名は追つて公報をもつて報告申し上げます。
  100. 渕通義

    ○渕通義君 片柳さんにお伺いいたしますが、第一条第一項の第四に、国有林野薪炭原木を供給する慣行、こういうのですが、たとえば具体的に宮崎県の例を申し上げますと、高鍋営林署管内に石河内という地帯がある。その周囲は全部国有林である。国有林内に小さな部落がある。従いましてその石河内村の方々は、生活をするためには国有林薪炭原木拂い下げてもらつて、木炭を生産して生活の用に供している。こういう場合、これは自家用に供するものか、あるいは販売用の適用を受けるものかどうか。
  101. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 第一条第一項の四号は自家用に供する薪炭原木とありまして、さように他に販売するものは、これには一応入らぬのであります。
  102. 渕通義

    ○渕通義君 これは林業議員懇話会でも相当議論の出た問題ですが、そういつた地帯で生活をする、経済の主たる目的国有林野につながつているという場合には、国有林に従属関係がある。従つて全然独立して、その山の薪炭原木拂い下げるために特別なる取扱いが、私は当然認められなければならぬと思うのであります。
  103. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 さような場合には、かせぎ用の薪炭原木地元に対する縁故特売等の方法で、できるだけやることになつております。
  104. 渕通義

    ○渕通義君 それが縁故に行つていれば、わざわざこういうことは申しませんけれども、なかなか縁故に行つていない。従つて境界は非常に窮迫化しておる。そういう場合は、特別な制度を設けて、こういつた臨時措置法の中に入れてよい性質のものではないかと思う。別に大した面積ではないのですから、そのくらいのことは臨時措置法においては考えるべきではないかと思いますが、その点だけお伺いします。
  105. 片柳眞吉

    片柳参議院議員 さような問題もやはり根本的な計画の審議の際十分検討して、なるべく早く考えて行きたいと思います。
  106. 千賀康治

    千賀委員長 次会は公報をもつて申し上げることとし、本日はこれにて散会いたします。     午前十一時三十一分散会