運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-16 第10回国会 衆議院 農林委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 野原 正勝君 理事 松浦 東介君    理事 小林 運美君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    小淵 光平君       河野 謙三君    中馬 辰猪君       中垣 國男君    原田 雪松君       平野 三郎君    木村  榮君       中村 寅太君  出席政府委員         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         林野庁長官   横川 信夫君  委員外出席者         議     員 井出一太郎君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部乳肉衛         生課長)    阿曽村万春君         農林事務官         (林野庁林政部         経済課長)   武田 誠三君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 五月十五日  畜犬競技法案原田雪松君外百二十二名提出、  衆法第五四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農漁業協同組合再建整備法の一部を政正する法  律案野原正勝君外二名提出衆法第四六号)  畜犬競技法案原田雪松君外百二十二名提出、  衆法第五四号)  畜産品衛生に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  昨日本委員会に付託になりました原田雪松君外百二十二名提出畜犬競技法案議題といたし、審議に入ります。まず本案趣旨につきまして提案者説明を求めます。原田雪松君。     —————————————
  3. 原田雪松

    原田委員 ただいま議題と相なりました原田雪松外百二十二名提出畜犬競技法案に関しまして、提案者を代表し、提案理由説明をいたします。  今回畜犬その他の中小動物に関する国、地方公共団体の積極的な施策を推進し、あわせて地方財政を改善する目的をもちまして、優勝投票券を発売して行う畜犬競技に関する法律案提出することといたしたのでありまするが、この際この法律案趣旨につきまして御説明申上げたいと存ずる次第でございます。まず畜犬競技收入の一部を充当することによりまして、次のような文化的、社会的、経済的ないしは産業的目的の達成に積極的に寄與することが、本案の大きな眼目とするところであります。すなわち畜犬、特に作業犬その他の中小家畜等血統登録能力登録を通じて、その生産改良の促進、動物愛護精神普及徹底施設整備畜犬その他動物の輸出の振興と外貨の護得に寄與することはいうまでもなく、日本在来特殊犬観賞鶏等の性能を保持助長して、天然記念物としての保全を全からしめたいと存ずるのであります。また近時、狂犬病の続発により、その被害も甚大でありまして、社会生活に重大な脅威を與えていることは御承知の通りでありまするが、戦後狂犬の激増しました原因は、ひつきよう野犬の増加に帰着するのでありますので、先国会に通過成立いたしました狂犬病予防法の運用と相まち、この際畜犬競技実施を通じて、世間の愛犬熱を大いに鼓吹しますると同時に、その收入の一部をもつて野犬狩の励行、その繋留施設整備を行い、もつて恐るべき恐水病の予防制圧公衆衛生向上に努め、文化国家たるの実をあげることに貢献したいと思うのであります。  次に、畜犬競技は、比較的小規模の施設によつて実施することができますので、その收益地方財政の改善に有効であることはもちろん、相当数動物関係者、特に獣医学関係者に新たなる就職の機会を提供することができるものと確信いたしているのであります。  なお、畜犬競技自体の性格に関して一言付言いたしまするが、申すまでもなく、畜犬競技は犬みずからが選手でありまして、不断の訓練を受けた能力最高度に発揮することによつて競技が進行し、その間に不純な要素の介入が絶無に近く、その健全性は他の競技に比儔を見ない点に特色を持つておるのでありまして、興味深い健全娯楽として、必ずや社会生活に少からず潤いを與え得るものと信じてやまないのであり、本法案制定にあたり、立案者の意図が強くこの点に置かれていることを特に闡明しておきたいと存ずるのであります。以下本法案の重要な内容につきその概要を御説明いたします。  まず第一に、畜犬競技施行者でありまするが、これは都道府県といたしておりまするが、その実施は、その議会の議決を経、かつ農林大臣の認可を受けて、当該都道府県に設立する公益法人たる畜犬改良会に委任し得ることができます。  第二に、畜犬競技場の数は、濫立の弊を避けるためにに、都道府県ごとに一箇所とし、農林大臣の指定を受けたものについては、例外的に二箇所まで設置し得ることといたし、また、競技健全性と秩序を保持するために、競技場指導師、及び出場犬に適当な規正、教育、訓練を加え、もつて競技巖正と粛正を期する必要上、これらについてすべての畜犬改良会によつて設立される畜犬改良クラブヘの登録義務を課しておるのであります。  第三に畜犬競技施行者は、一口二十円の優勝投票券を発売し得ることといたしておりますが、その投票方法禁止條項等は競馬と大同小異でございます。しかして優勝投票券売上げ金額のうちから自己の收入として得るいわゆる控除率は、百分の二十五以内とし、この收入の中から、百分の三に相当する金額国庫に納付しなければならぬこととし、政府はこの納付金の中から犬の伝染病予防その他家畜衛生向上動物虐待防止作業犬指導天然記念動物保存家畜登録事業等に必要な経費を支出することといたしております。さらに、畜犬競技施行者は、百分の二十五の收入金額の中から、右の国庫納付金、並びに畜犬競技の開催に関する経費を差引いた残額の中から、その残額の四分の一に相当する金額以上の金額を、さきに掲げました犬の伝染病予防その他家畜衛生向上動物虐待防止作業犬指導天然記念動物保存家畜登録事業等に必要な経費として支出することにしておるのであります。  なお、現下の経済事情にかんがみまして当分の間本法施行後輸入された畜犬は、競技に出場できないことといたしております。  以上がこの法律案の大体の趣旨内容でございます。何とぞすみやかに御賛同賜わらんことをお願いする次第でございます。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 本案に対する質疑次会よりこれを行うことといたします。     —————————————
  5. 千賀康治

    千賀委員長 次に農漁業協同組合再建整備法の一部を改正する法律案議題といたし、質疑を行います。中垣委員
  6. 中垣國男

    中垣委員 農漁業協同組合再建整備法の中に林業を加えるという改正案につきましては、昨日の提案者の御説明でよく了承したのでありますが、いま少し具体的にお尋ねしてみたいと思います。  まず第一点でありますが、林業再建整備の必要な現状につきまして一応御説明を願いたいと思います。次にその再建整備方法でございますが、どういう方法でおやりになろうとしているのか、その点を御説明願いたいと思います。
  7. 野原正勝

    野原委員 このたびの農漁業協同組合再建整備のことは、すでに改正前の農漁業協同組合再建整備法案審議の際にいろいろと審議を盡したのでありまして、林業につきましてもまつたく同様な趣旨によるものであります。すなわち今までの協同組合状態というものは、非常に経営が苦しくなつておりまして、これひとり農業協同組同漁業協同組合に限らず、森林組合の方でも同じような現象であつたのであります。ことは終戰後経済混乱期の中に、従来森林組合国家代行機関として、たとえば薪炭等に対する政府事業代行をやつてつたのであります。そういうような政府代行機関として果しておりました仕事が、その後政府薪炭特別会計をやめたという関係で、今までずつと引続いてやつてつた仕事が急に中止になつたというわけで、これまで非常に活発な経済行為をしておつたのがとめられた関係もありまして、そういう混乱期の中に、また特に赤字が非常にできるというようなことになりまして、それに対しまして政府ではいろいろと考慮を加えて、薪炭特別会計の跡始末をしたわけでありますけれども組合にとりましては、それがやかり一種の致命傷のような状態なつたわけであります。その後司令部からの勧告がありまして、昨年の二月十五日に総司令部から、従来のような森林組合を新しい協同組合の方式でよるやり方にすみやかに切りかえるべきである。従つてそれまでは認めるけれども、従来のよう経済行為はなるべく中止するようにという勧告があつたような関係で、引続いて赤字整理あるいはその他のために、組合強化をはかつて大いにやろうとしておつたところが、これまた新しい経済行為が不可能になるというような関係で、ますます赤字がふえるというような段階にあつたのであります。農業協同組合農業会から受継いだ仕事でありますが、森林組合の方は農業会と違いまして、解散ということはなかつたのであります。やはり同じような経済環境のもとに非常に赤字がふえて行く。赤字がふえたなら出資金をふやせばよいじやないかということになりますが、何しろ農山村は非常に経済能力がないのであります。一口わずか三十円の出資で、平均して大体六口くらいを組合員が持つております。これがあのインフレ時代の農村の多少金まわりのよかつた時代ならば、ある程度増資ができたのでありますけれども、何しろ最近は非常に不況でありまして、組合員に対しまして増資をお願いいたしましても、なかなか増資は困難であります。これに対しては政府利子補給をしてやるとか、あるいはまた増資に対して奨励金を拂うというようなことを考えませんと、うまく行かないのであります。そこで農漁業協同組合再建整備と同じような方法で、増資に対しましても補助金を拂う、あるいはまた利子補給もしてもらうということになつたのであります。こまかな数字上のことはここに林野庁経済課長が来ておりますから、経済課長からお話を願いますが、そういう意味合いで、私どもは、大体増資の方は向う五箇年間にすべての増資を終りたい。それからまた利子補給も三箇年内に補給終つて、そうしてそれまでの間ににきれいに今までの一切の赤字を整理いたしまして、ほんとうの実のある組合にして、その強化をはかりたいと考えております。
  8. 中垣國男

    中垣委員 ただいまの御説明で非常によくわかつたのでありますが、内容において、たとえば全額はどのくらいになるか、そういうことをお聞かせ願いたいと思いす。
  9. 武田誠三

    武田説明員 ただいまの御質問に対しまして、具体的な数字に基きまして御説明を申し上げたいと思います。森林組合は、ただいま野原委員から御説明がございましたように、戰争中以来、出資額につきまして増資が非常に困難な状態にあります。さらに終戰後、現在の森林組合統制管理組合であります関係から、団体民主化の線といささか背馳する線がありまして、そういつた意味合いからも、出資一口金額を増加することにつきまして難点があつたのであります。従いまして、今日まで單位組合出資一口金額は、三十円に限定をいたされております。それから連合会の方の出資一口金額も、五百円に限定をいたされておるのであります。かような関係から、現在の事業状態から行きまして、はなはだしく出資額が不足しておる状態でありまして、今回の再建整備の対象といたしまして、資本金を増加する必要があると考えております額は、森林組合におきまして八億五千四百万円程度、それから連合会におきましては二億六千八百万円程度増資をぜひとも必要といたすという状態であります。この増資額は、五年間これだけのものはぜひとも実現をいたしたいという考え方であります。これだけの金額増資いたしますに伴いまして、増資奬励金といたしまして、二十六年以降五箇年間におきまして、合計一億二千二百万円の増資奨励金を必要といたすという考え方をいたしております。なおそれを、昭和二十六年度におきましては三千四百万円余りを予定をいたしております。  増資の方は、以上のような計画のもとにこれをはかつて参りたいと考えるのでありますが、さらに現在の森林組合並びに連合会におきましては、資金が非常に固定化いたしておるものが多いのであります。この固定化資金の内訳といたしまして、一つには固定化しております在庫品と、債権固定化いたしましたものと、二つにわけることができるのでありますが、森林組合系統におきましては、在庫品固定化いたしておるものはほとんどないという状態でありまして、もつぱら債権が取立て困難に陥つておる、焦げつき債権が多いのであります。これが、現状におきまして、森林組合におきましては三億八千六百万円、森林組合連合会におきましては四億二千七百万円余というものが、固定化をいたしておるのであります。これをできるだけ、増資計画を実現いたしますのと並行いたしまして、流動化に拍車をかけて参りたいと思つておるのでありますが、このためにも、この際といたしまして、ぜひともこの固定化資金に対して利子補給をいたしまして、その負担をできるだけ軽減して参りたいと考えておるのであります。その固定化資金流動化いたして参ります計画としては、二十六年度から二十八年度まで三箇年間にこれを実現して参りたいという考え方でございまして、そのために必要な利子補給額は、合計で約五千万円でございます。そのうち二十六年度におきましては三千四百万円程度のものを予定いたしておるのであります。以上の増資奨励金固定化資金利子補給額との合計が、この五箇年計画のトータルにおきまして一億七千万円、二十六年度におきましては約六千万円程度のものを予定いたしておるのでありますが、本年度は、この森林組合が、改正森林法によりまして新しい共協組織森林組合に切りかえられますテンポとも考え合せまして、約五千万円の増資奬励金並固定化資金利子補給額が必要であるというふうに考えておるのでありまして、従いまして法案におきましても、これに要する資金としまして、農業協同組合の場合の六億五千万円を追加いたしました七億円というように、法案改正をお願いいたしておる次第であります。
  10. 千賀康治

    千賀委員長 ほかに御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  11. 千賀康治

    千賀委員長 それでは、畜産に関する件につきまして調査を進めます。  本日は、厚生省公衆衛生局長出席を求めまして、畜産品、特に牛乳等に関する衛生農家経済との面について、質疑を進めることにいたします。質問の通告がございます。これを許します。河野委員
  12. 河野謙三

    河野(謙)委員 まず厚生省の方に伺いたいのですが、乳並びに乳製品成分規格省令を決定するにあたりまして、学識経験者であるとかまたその他、関係各省とよく御連絡の上になさいましたかどうか、伺いたいと思います。
  13. 山口正義

    山口(正)政府委員 お答えいたします。この省令制定いたしますにあたりまして、ただいまお尋ね学識経験者意見は、いろいろ伺つて制定したのでございます。関係各省との正式の折衝は、当時諸般の情勢で折衝の時間がございませんでしたので、正式の折衝はいたしておりません。関係課でいろいろ打合せをいたしたのであります。
  14. 河野謙三

    河野(謙)委員 学識経験者とお打合せなさつたと申しますが、これを具体的に伺いたいと思います。たとえば生産者団体また篤農家、こういう真の経験者のどういう方々打合せをなさつたか、伺いたいと思います。
  15. 阿曽村万春

    阿曽説明員 生産者側方々のお集まりは願いませんでしたが、主として学識経験者といたしまして、学校関係先生方、あるいは技術関係の、たとえば現在ありますところの乳製品技術協会方々、こういう方々にお集まりを願いまして、いろいろとお打合せをしたのであります。結局生産者側方々のお集まりは願いませんでした。
  16. 河野謙三

    河野(謙)委員 学識経験者、特に学校先生とかいうお話がありましたが、私は名前を伺いたいと思う。同時に、その方々がこの省令について全幅賛成をされたかどうか、これに疑義を持たれなかつたかどうか、この打合せ内容をお伺いしたい。時間の関係上それはあとでよいのですが、もし賛成されたらどういう先生賛成されたか、どうして生産者打合せをされなかつたか、あまりに実情に浴わない省令で、これは生産者意見を聞かれないところに私は出発点があると思う。どういう学識経験者打合せをなさつたか、名前を教えてください。
  17. 阿曽村万春

    阿曽説明員 学校関係では東京大学農学部越智教授、同じく農学部津郷助教授、それから技術協会の方からは守尾さん、それから藤井さん、公衆衛生院松井技官、同じく中野技官、それから東京都の北浦技師、ただいま記憾いたしておりますのはその程度でありますが、正確には後ほど調査いたしまして提出いたしたいと思います。
  18. 河野謙三

    河野(謙)委員 これらの方々打合せをされた記録でもあれば見せてもらいたいのですが、一体これらの方々は、この省令全幅賛成をされましたか、それを伺いたい。
  19. 阿曽村万春

    阿曽説明員 全幅的な賛成はいたされませんでした。
  20. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、これはまつた厚生省独自の立場でおやりになつた、こういうことですか。
  21. 阿曽村万春

    阿曽説明員 その間にいろいろな事情がございまして、実はこの省令制定にあたりましては、関係方面からの技術的な強い指示がございまして、一応の案がございました。その原案に基いていろいろと学識経験者意見を求めたのです。私たちとしましては、できるだけその意見を尊重して、それによつて関係方面折衝いたしたのでありますが、結果といたしましては、必ずしもその学識経験者意見が——一部は取入れられた面もありますが、取入れられなかつた面もあつたということになつております。
  22. 河野謙三

    河野(謙)委員 そうしますと、一口に言うと、関係方面から押しつけられた、こういうことになるのですか、それほど重要な、厚生省すらも納得が行かないような省令を出す場合に、どうして関係農林省とお打合せをされなかつたか、先ほど非公式というお話がありましたが、私は農林省にはあとで伺いますが、農林省となぜ打合せなかつたか、農林省と両方の責任においてあなたの方は受けられたらいいじやないですか。
  23. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、農林省の方と私どもの方と事前に打合せしなかつたということにつきまして、非常に私どもその点申訳ないと思うのでございます。当時、ただいま乳肉衛生課長からもお答え申し上げましたように、いろいろな事情もございまして、業者方方の御意見関係方面でいろいろ直接聞かれ、私どもの方といたしましても、業者方々、あるいは農林省方方と十分に折衝すべきであつたと思うのでありますが、諸種の事情のために、その間時間がございませんでしたので、そういう点不十分な点がありましたこと、まことに申訳ないと思うのでございます。
  24. 河野謙三

    河野(謙)委員 今お話のあつた事情によつて農林省打合せしなかつた、その事情というものはどういうのです。それと同時に、一番大事な乳をしぼる生産者打合せしなかつた生産者の声を聞かなかつたのは何か理由がありますか、それを伺いたい。
  25. 山口正義

    山口(正)政府委員 当時、関係方面から原案を示されまして、それが先ほども申し上げましたように、時期的にお打合せする時間がございませんでしたので、特別折衝してはいかぬというふうなことはございませんでしたが、時間的に、時間的に余裕がございませんでしたので、十分その時間にお打合せできなかつたというふうな状態になつておるのでございます。
  26. 河野謙三

    河野(謙)委員 くどいようですけれども、時期的とか時間的には私は物理的に不可能と思わない。学識経験者打合せができるならば、農林省と同時に打合せができるはずだ。また生産者とも打合せができるはずだ。何か非常に押しつけられて、農林省と相談してはいかぬとか、生産者の声はうるさいから聞いてはいかぬとかいう話があつたのですか、もし関係方面との関係打合せ内容を公開の席上で公表できないなら、秘密会にしても、大事な問題ですから伺いたい。これをもう少し納得の行くように話していただきたいと思います。
  27. 阿曽村万春

    阿曽説明員 今御指摘になりましたような、生産者側と相談してはいかぬだとか、あるいは農林省と相談してはいかぬだとかいうようなことは、関係方面からは別に指示はありませんでしたけれども、あの原案を示されました当時におきましては、いろいろな関係で、非常にいろいろな伝染病の流行した当時でありまして、できるだけ早くああいうものをつくらなければいかぬという、いつまでというような時期的に制約された一応の口頭的な指示があつたわけであります。それでできるだけ各方面折衝するのがあたりまえなんですが、先ほどから申しておりますように、そのために時間的の余裕がなかつたということになつているのであります。
  28. 河野謙三

    河野(謙)委員 おかしいですね。この学識経験者に聞いても必ずしも賛成されない。従つてあなたの方でもおそらく納得された省令ではないと私は思つ。こういうふうな省令を出す場合に、これが天下だれ一人としてこの省令異論をはさまないというふうな明明白々たる事実の上に立つて省令なら別ですよ。しかしあなた方自身納得が行かない、関係方面から押しつけられた、学識経験者に聞けば異論があつた、こういうふうなものについては、いかに時間的にどうであろうと、当然その関係生産者なり、まず第一に農林省に伺うべきだ。政府においてはおよそ関係省令は、すべて関係各省と相談するということは例外なしにやられている慣例だと思う。特にこの異議のある省令を、関係省である農林省とも相談しない、生産者とも相談しない。これかわれわれは厚生省作為によつてこういうことをやつたという以外に、あなたの今までの御説明では断定せざるを得ないのでありますが、作為でやつたのではないという、何かわれわれを納得させる御説明ができるなら、もう一ぺんやつてください。
  29. 阿曽村万春

    阿曽説明員 御納得が行かないようでありますけれども、別に作為とかなんとかいうことではありませんので、結局時間的に全然余裕がなかつたということが最大原因なのでありまして、いろいろどういう点が非常にいかぬのかということをもしも御指摘願えれば、非常にありがたいと思います。
  30. 河野謙三

    河野(謙)委員 私はそれを今これから聞くのだが、そういうことを聞く前に、あなたにまずこういう異論の多い省令を、農林省となぜ相談しなかつたかと聞いている。もつとこまかく聞きますよ。一体この省令を出すにあたつて、何月の何日からこの省令の扱いを始めて、何日までに決定したかというその日数を言つてください。まさか今日命令があつて今日きめたわけではないでしよう。物理的に相談ができないなんという説明は絶対にできないはずだ。これを説明してください。いつこういう省令をあなたの方で扱い始めて、いつ決定したか、その間の日数を知らせてください。
  31. 阿曽村万春

    阿曽説明員 向らから原案を示されましたのが、たしか去年の六月の初旬ごろであつたと思います。その後向うの方に命ばれまして、毎日各項目ごと向う原案についてこちらの考えましたことを話しまして、折衝を重ねたわけであります。正式にあの省令の出ましたのは十月十六日であります。
  32. 河野謙三

    河野(謙)委員 これは別の機会大臣なり次官なりから答弁を求めることにいたします。  次に少しく二、三伺つてみたいと思います。アメリカの方の考え方が非常に強いと私は思います。あなた方は御存じでしようがアメリカの畜産のえさの事情と、日本のえさの事情とはまつたく違うということがまず第一にある。参考までに申し上げますが、アメリカは穀物の全收穫量の三分の二くらいはえさに使つている。わずかに三分の一くらいを直接人間の食いものとして、アメリカ人の口に持つてつているという関係にある。そういう関係のえさの事情に置かれているところのアメリカの畜産、またそれによつて出て来るところの乳その他の畜産品と、日本のような、濃厚飼料の大部分を輸入してわずかに畜産をやつているところの畜産とは、まつた事情が違うのですよ。食いものが違う。それを、アメリカの畜産をそのまま持つて来て、アメリカの乳製品その他の畜産の技術、畜産品の標準を持つて来て、ただちに日本に当てはめるというところに矛盾がある。あなた方はこの省令を出す場合に、この別表できめられたのはみな実施ができると思つておいでになりますか。これを実施した場合にどういう影響が起るか、これをまず私の方からあなた方に伺おう。それを説明したください。
  33. 阿曽村万春

    阿曽説明員 別表の点につきましては、従来すでに実施されておつた面もあるのであります。そのほかに新しく加えられた面におきましては、いろいろと設備等の関係もありますので、今ただちに全面的に実施されることは困難であろうということを考えまして、ちようどあの省令に殺菌器に自記寒暖計をとりつけるという條文がありますが、そのとりつける期間が今年の四月十五日までになつておりますので、一応その期間を準備期間といたしまして、諸般の設備の改善を行つてもらおうということで、その期間を準備期間として運用して参つたのでございます。しかし省令に示されておりますその自記寒暖計の設備期間、猶予期間というものも現在では過ぎましたので、従来は運営でやつておりましたものを、やはりその運営だけではいかぬというので、それの運営に根拠を置くために、自記寒暖計をとりつける期日をやむを得ない事情のあるものについては、都道府県の承認を得て、都道府県省事の承認した期間に限つて自記寒暖計をとりつけない殺菌器で殺菌してもよいというような條文を設けまして、従来の省令の一部改正をいたして、すでに大臣の決裁を得てありますので、この二、三日中には公布になるはずであります。その時期は四月十五日にさかのぼつて行うというふうにいたしまして、その自記寒暖計をとりつける時期とにらみ合せて、諸般の不備な、つまり省令に合わないような点で合わせるべきいろいろな施設を要するものは、その期間内に施設をするというふうにして、全面的に一定の猶予期間を置きまして、その期間中に改正すべきものは改正していただいて、省令趣旨に沿つてもらおうというような趣旨で今進んでおるわけであります。
  34. 河野謙三

    河野(謙)委員 政治なり、行政なりには、遠い将来、高い理想というようなものがなければならぬことはあたりまえです。われわれもこれに遠い将来、高い理想を掲げて考える場合には、これが全然いかぬとは思わない。しかし今の日本の畜産事情、また乳製品の処理機関の事情、これらの事情から言つて、まつたく一年や二年でこれができるわけはない。一つの例を言えば、「攝氏十八度」云々と書いてある。今日本の乳をしぼつておる人はどうしておるか、冷却装置も何も持つておらない。われわれはこの委員会で、常に国庫から低利な資金を出して、冷蔵裝置をつくらして、国がめんどうを見てやらなければならぬということを言つておる。これはこれからの問題なのです。そういうことを言つておる一方において、同じ政府の内部において、農林省厚生省とでは省は違うかもしれないけれども、同じ政府の責任のもとにある農林省ではそういうことをやつておる。厚生省ではそんなことはおかまいなしに、かつてに攝氏十八度ときめた。夏になつて攝氏十八度以上に温度が上ることはたくさんあるのです。しかもそれが処理機関まで持つて来る間に一時間以内とか何とか書いてあるのです。こういうことができるとあなたは思いますか。もしもできるならば、厚生省の予算でこれから一箇月なら一箇月の間に、冷却装置のその施設整備について、この日本の酪農家に対して、そういうことをやるだけの責任を持ちますか。まずそれを伺いたいと思います。
  35. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまの農業経済との関係でございますが、それにつきましては、私どもの方でこういう省令を出して、今御指摘の通り、そういう設備をいたしますのには相当の費用がかかりますので、その点につきまして、ただいま御指摘のように、厚生省で予算をとつておかるというようなお話もございますが、私どもの方では、ただいまのところでは金融面におきまして、中小企業に融資をしてもらということを、大蔵省あるいは銀行方面折衝いたしまして、この省令に盛られた項目を実施するに必要な経費を融資してもらうという努力をいたしまして、ある程度それが認められて、実現されつつあるのでございます。私どもといたしましても、この省令に盛られました項目を実施してもらうには、金融面で相当いろいろ支障が来るということは、今御指摘のありました通りに考えましたので、一応そういう手を打つて今のところ進んでおるわけであります。
  36. 河野謙三

    河野(謙)委員 あなたのお話を私はそのままとりますが、そうするとその共同施設、その他金融面から、一切の準備ができるまでこの実施を延期する、こういう意味でですか。
  37. 山口正義

    山口(正)政府委員 実際にこの省令が出たあかつきにおきまして、ただいま御指摘のような点がございまして、実際にやろうと思つても、資金その他の関係でできないという点については、行政の運用上できるだけ早くそこに持つて来てもらうということで、関係方面と引折衝する、そういう方針で今進んであります。
  38. 河野謙三

    河野(謙)委員 そこにはつきりしてもらいたいのですが、その共同施設の万般の資金その他設備の準備ができるときまでこれを待つて、この実施を延期する、こういうことですか。そこをはつきりしてください。
  39. 山口正義

    山口(正)政府委員 これは行政上の立場でございますが、省令として出ておりますので、そういうふうにいたしまするには、省令の上でやはりそういう措置をとらなければなりませんので、先ほど阿曽課長からも申し上げました通り、自記寒暖計については省令改正する。その他の点につきましても、今いろいろ各方面から御意見も出ておりますので、省令改正してそういうふうに持つて行きいたということで、関係方面折衝いたしております。それですから、方針といたしましては、ただいま御指摘のように、できるまで今のところ待つておるという方針でございますが、これを法的にはつきりさせますためには省令の上に書かなければなりませんので、自記寒暖計につきましては、すでにその措置が済んだわけであります。そのほかの問題につきましても同じ措置をとらなければなりませんので、そういうふうに進むことにいたしております。ただこれは関係方面とも折衝しなければなりませんので……。
  40. 河野謙三

    河野(謙)委員 それではあなたが万般の準備ができるまで延期するという御意思であるということは、私ははつきりわかりましたが、なおこれは重ねて大臣なり、次官から、あらためて御答弁をいただくことにします。  次にこの別表を見ますと、もう一から十まで何が何やらわからない。たとえば一のところに不健康な牛とかやぎと書いてありますが、一体不健康な牛とかやぎとかいうことはどういうことですか。この委員会の中で健康な人と不健康な人と区別がつきますか。あなた方はお医者さんで専門家だから区別がつくかもしれませんが、一体何が何だかわからない。それから分娩の予定日が三十日以内とか五十日以内とか——一体お産をするのは人間と同じです。予定日というものは大体わかりますが、三十日になるか、三十五日になるか、二十五日になるか、早産することもあるのです。こういうことで一体わけがわからない。一々言えば全部そうです。にういうものを、根本的にもう一ぺん出発点にもどつて——先ほどお話を伺いましたように、農林省とも相談してない。また最も大事な、生産者なら生産者の代表の声も聞いてない。こういうことでありますから、今省令全般につきまして実施できないのであるし、延期すると同時に、その期間に猶予期間があるのだから、生産者なりまたあなたの方の関係官庁の農林省ともよく相談して、もう一ぺん再検討する、あなたの方にこういう用意があるかどうか、これを伺いたいと思います。
  41. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもとして御意見よく拝聴いたしまして、農林省、法務府あるいはその他関係方面とよく折衝いたしまして、再検討いたします。
  42. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 先刻来河野委員から詳しくお話がありましたが、御答弁の方も結局これを再検討するとか、やり直すということになつたから、多く尋ねる必要もなくなりました。ただ大事なことは、一体局長はその当時の局長ですか、課長は、その当時課長としてこの法案関係した人か、引継ぎを受けて答弁しておるのかどうか、そこのところがはつきりしないから、はつきりさせていただきたい。
  43. 山口正義

    山口(正)政府委員 当時の局長は前三木公衆衛生局長課長は当時折衝に当りました阿曽課長です。
  44. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 それでは課長の方にも、あなたには引継いだあととして伺うのだが、一体厚生省というのは衛生関係を十分考慮しなければならぬ。そこで日本の食糧関係から考えてみると、これからやはり畜産食糧によつて、アメリカ式に食糧の質の向上をはかつて行かなければならない日本の立場である。そこで農林省の方では、乳牛でも何でも大いに増産に努めておる。ところが、あなた方が実行できない法律で押えてしまつて、みなやめてしまつたら一体どうなるか。さつき河野委員が言われたように、アメリカの方は蓄生のことに関してはおとななのです。日本はまだ幼稚で子供だ。子供に飲ませる薬とおとなに飲ませる薬とでは、おのずから分量が違うだろう。それなのに、おとなに飲ませる薬を、法律で一回に子供に飲ませて殺してしまうのは、一体どういうわけだ。考えのないこともはなはだしい。こういうことは厚生省あたりでもつとよく考えて、三時間の間に何度まで冷却するとか何とかいうことよりも、少しくらい時間を隔ててもよいから、もつと量を多く国民が獲得できるようにした方がよいか、衛生にばかり注意して——注意することは必要だが、物には限度がある。そうしてこれでほとんど生産できないようにして、量的にこれを押えつけるようにした方がよいか、その辺の関係をよく考えるのがあなたの立場ではないか。農林省に相談するしないは別としても、その研究すらしないで、アメリカがどうのこうのと、向うの方に押しつけられたことばかりで今日の時代に当つてはいけない。かりに五十歩百歩讓つて、そのときはやむを得なかつたとしても、アメリカの事情も今日ではよほど違う。そこでやはり立法はしたが、そのときはそのときの事情であつたが、今日になつて見れば実際これは実行できない。厚生省自体としても実行できないから、今河野委員の言われたように、結論としてはこれを実際に即応するようにやり直さなければいかぬ。こういう結論になつたように思うが、そこにまだ少しあいまいなところがある。あるが、これを一方また面子問題とか、役所の立場がどうのこうのということにひつからめて、こねくりまわして修正とか何とかやらないで、さらりとこれをやり直すというふうに考えて行くならば、何もわれわれが今日やかましく言う必要はないが、これは食糧問題の重大問題だ。また厚生省としても重大なのだ。公衆衛生の面からいつても非常に重大だが、それ自体にこういう欠陷がある。いわんや農林方面の生産に対する関係には重大な影響があつて、実行ができない。またあなたの方でも、実行きない法律を自分から制定して、これをただ見物しておるのではおかしなことである。これをまた強く言えば世論がやかましくなり、結局は自分が水をかぶるようなことになる。そういうことになり、やはりあなた方も実行できないということになると、これまたおかしなことになる。そこをさらりと改めるというのが一番よい方法ではないかということでありますが、河野委員の方に御答弁なされたことには、延期するということが一つあつた。第二番目には、あらためてこれをやり直そうという答弁がありました。そこで特に最後にあなたから聞きたい問題は、ただあなたはここに出席して、方々から詰め寄られて、いよいよやむを得ずそこに至つたような答弁であるか、実際あなたは局長として、責任を持つてこれを関係省にはかつて、省議として一日も早くこれを改めるか。改められる力と決心があなたにあるか、そこをここで明確にしないと、明日大臣なり、政務次官なり責任者を呼んで、あなたと同一の答弁を求めておかないと困るわけだ。しかしこんなことは当然局長におまかせになるだろうから、あなたが責任を持つて、早急にこれの解決をつけるということならば、これでもきまるだろうと思うのだが、一体どつちですか、その関係を明らかにしてください。
  45. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいま御指摘になりました、国民の食糧と栄養と衛生という問題の関係は、御指摘の通りでございます。私どもといたしましては、食品衛生——食品による直接、間接の被害を防止するという観点から、こういう省令を一応制定したのでございますが、しかしこの中には、細菌数のように、やはり絶対的に守つて行かなければ国民に直接害を及ぼすというものもございます。あるいは間接的な部面もございます。その点につきましては、先ほども申し上げましたように、即刻これを実施いたすことについて、いろいろ再検討しなければならない点があることは御指摘の通りで、これは私就任後も、各方面からたびたびいろいろの御意見伺つておりますので、先ほどこの席で河野委員にもお答えを申し上げました通りに、至急に関係方々と御相談をいたしまして、改めるべきものは改めて表きたいと考えております。
  46. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 その当時の関係課長にちよつと伺いたいのだが、ぼくはこれは将来の参考にいたしたいと思うのだ。さつきの御答弁によると、時間的にどうのこうのとか、あるいは向うから突きつけられたような箇條書によつて、毎日折衝した云々というようなお話がございましたが、一体この方の担当者の課長さんというお方は、何か衛生関係の技術的なお方ですか。一体どういう方面の方なのか、ひとつ局長さんからお知らせを願いたい。
  47. 山口正義

    山口(正)政府委員 阿曽課長は獣医の専門家でございます。
  48. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 獣医の専門家ならば、ぼくはこのやり方には実に驚くのだ。獣医の専門家ならば相当の経験があられるだろう。こんなへまなことをやつて、あんなものを向うから押しつけられて、その辺にたくさん余つている学者だなんていう連中をひつぱつて来て、ちよつと聞いて反対されたが、それでも向うに屈服しなければならぬということ、日本の事情に合致しないものに屈服するいうようなことは、農林省ともよく相談しなければならぬ。その他のほんとうの権威者と、ほんとうにこれを実施する農家、生産者との間の事情をよく調べないで、向うが直接事情を調べたとかどうとかいうようなことで、こんなうかつな法案を出すことになつては、将来どうかと思うのであります。商売人でなければ、しろうとならばやることもあるのだが、そこをちやんとわかつておる獣医がこんなことをやつてつて、百姓はどうして実行ができるか。できるかできないか、わかりそうなものじやないか。それをまたそのままやつてしまつて、百姓におつかぶせて来て、奥行ができないというと大騒ぎをしている。予算がどうのこうのとどういう騒ぎをしているかわかつておりますか。きようの答弁を聞いてみると、大分うろたえておられるようだから、たいていおわかりの上で御出席のこととお察し申し上げるけれども、とにかく事が起きてからこういう騒ぎをしないように、こういうことは前もつて相当準備をしなければ、あなたの専門的な立場としては、どうもはなはだ欠陷があるように思われるのだが、これからその点は十分御注意なすつてください。
  49. 山口正義

    山口(正)政府委員 ただいまいろいろおしかりをこうむりまして恐縮でございます。先ほどから申し上げました通り、当時いろいろ事情がありまして、おしかりを受けるようなことに相なつたのでございますが、いろいろ御意見伺つてもおりますので、先ほど申し上げましたように、至急各方面折衝して、改むべきにとは改めて行きたいと考えております。
  50. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 今までの議論で大体盡きておると思いますが、私はただ一点だけ、少しはつきりさせておかなければならぬと思うのであります。先ほど来の御説明によりますと、GHQから非常に強く要望されたということを言つておりますが、GHQはしばしばいろいろなことを要望するのです。そして日本の政府の役人が、GHQの要望と称してそれに便乘する場合が非常に多い。この場合はまさにその便乘だと私は思う。それはなぜかといいますと、ほんとうのGHQの要望というものはデイレクテイブの形で出ておるはずだが、この問題について、デイレクテイブが出ておるかどうか。もし出ておるとすれば、ひとつそれを見せていただきたい。
  51. 山口正義

    山口(正)政府委員 この問題につきまして、正式のメモランダムは、出ておりません。先ほど課長からも申し上げましたように、いろいろな項目について箇條書きにして向うから手交されておりますが、私どもといたしましては、当時決して便乘するというふうな気持でやつたのではございません。
  52. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 今私がデレクテイブが出ているかどうかということを伺いましたところが、メモランダムも出ておらない、こういう御答弁です。メモランダムとデレクテイブとは非常に大きな差があるわけであります。メモランダムさえも出ておらないようなGHQの需望を、関係者との間の相談もなくしてやつて来たということは、どうしても厚生省としては得たりかしこしとして、これに便乘したと思う以外に私はないと思う。メモランダムが出ても、日本の国情に合わない場合はがんばつて、これではだめですと言えば、GHQはそうかと言つてよく理解してくれる。なぜそれをやらなかつたか。今御承知のように、二百万の畜産農民というものは非常に苦しんでおります。事実問題としてできやしない。できもしないことを、わかりもしないでいきなり省令を出す、まことに行政としてはこれほど無責任な行政はないと私は思う。それに対して厚生省が、もうてんとして全然生産者の意向をくまないような態度をとつておることに対して、はなはだ私どもは不満であります。今河野委員や小笠原委員から、用意ができるまで待てという意見がありました。私はもうすみやかにこの省令は撤回すべきである、廃止すべきである。これは私一個の意見ではない。二百万畜産農民の全部の意見である。すみやかに廃止をして、さらに再検討するがよろしい、このことを私は強く要望しておきます。
  53. 原田雪松

    原田委員 大分委員から論議し盡されたと思いますが、私は根本的な問題でひとつお尋ねしておきたいと思います。  この全国に非常に大きなシヨツクを與えた、酪農振興地帯を阻害するような政策を、農民は非常に恨んでいる。これらはむしろ厚生省が独自の立場で、農林省に何らの関係をつけなかつたというところに一大原因がひそんでおると考えます。同時じ、今遠藤委員がおつしやつた通り、理想的にはGHQ言うことを聞かなければならないが、国情にこれが順応しない、守ることのできないような法律をつくることはけしからぬという意見に、私も同意するわけです。この際、厚生関係者は局長だけでありますが、幸いに農林次官がおいでになりますから、お尋ねしておきます。  従来乳牛衛生というものは、厚生省の一偶に押し込められて、非常に差別待遇のようなかつこうに、私は専門的立場から見える点が多分にある。そういうような関係から、むしろ畜産局とマツチしない点がある。厚生省が独自の立場で、あたかも昔の内務省のような性格をもつてつている。しかも生産の奬励は農林省であります。農林省でやつて厚生省の方はその製品を取扱う。この間にみぞがあつては、絶対に酪農振興に災いをなすのであります。この点から考えまして、どうしてもこの点にはつきりしないところが、現在まだ残つていると思う。これは少くとも畜産関係方々がその管理をやる以上、日本の農業経済、養畜農民の経済復興に寄與するものでなければならない。国民の師表である官吏としては、この点に当然責任を負わなければならぬと思う。そういう意味から考えまして、この問題はこの際、連絡しないでこういう失敗を招いたと思いますので、厚生省の養畜行政はすべからく主管局に併合して、少くとも畜産のほんとうにすつきりした一本の姿で、全国の畜産農民のために、ずつと推し進めて行くことがよろしいと思う。この際厚生次官は見えておりませんが、農林次官がおいでになりますから、この点について政府との折衝、つまり厚生省との折衝によつて、そういう考えを農林次官は持つておられるかどうか、この点についてお尋ねします。
  54. 島村軍次

    ○島村政府委員 私も実は、この問題をここへ出まして初めて聞いたようなわけであります。皆さんと同様に選挙に没頭しておりまして、その期間の繋ぎを実は不勉強で、十分承つていないのでございます。しかしただいま承りますと、これは非常な大きな問題だと考えます。かつまた原田委員お話の点は、従来の経緯から見ますと、いつもトラブルが起きて、われわれも当時ある事情でこういう問題に関係したことがありますが、義憤を感じておつたような場合もあり得るのであります。御趣旨に沿うようにひとつ研究を進めまして、善処いたしたいと思います。
  55. 原田雪松

    原田委員 今次官の答弁でやや安心をいたしましたが、まだ不十分だと思います。これはぜひそういう線に持つて行くように御努力を願いたいと考えます。次にいろいろここに問題が起こつておりますが、これは、内容について一々申し上げることはもう盡されておりますので、申し上げませんが、結局角をためて牛を殺すような法律であることが事実問題であります。なおこの別表の問題で河野委員からお尋ねがあつたのでありますが、どうせ一応省令で定められた以上は、実行するに間違いないと思うのであります。先ほど取消しというお話もあつたが、どうも不安定である。どうせ何かの形で現われて来るに違いないと思います。  この際私は専門的に一、二部分的に伺つておきたいと思う。従来分娩前の期日というものはあまりなかつたのであります。分娩後の搾乳というものは市販に供さなかつたのであります。今度新しく、予定日がはつきりしないにかかわらず、三十日前からいけないというようなことを専門家がつくることは、私はけしからぬと思う。しかもこの法の内容をよく検討してみますと、養畜農民のためでなくて、むしろこれは練乳会社のひいきをしていたもののように考えられます。こんなできないことを押しつけてやつて、そして理想的にやられても——市乳には特別牛乳と普通牛乳とある、その当時でさえ、別に衛生上故障はなかつた。ただ最近ビタミンがどうだとかいう科学的なものにとらわれて、養畜農民の苦しみを織り込んでいない。こういうところに非常な矛盾がある。だからこういう規則をつくるのに、専門的に考えられても、アメリカ式にやられることは、まだ日本には早いと私は思う。この点は、少くともこの三十日というものは、これを十日か二週間以内というようなことに、専門的に改められるべきものだと考えます。  なおまた、この夏の攝氏の十八度の温度であります。この温度をずつと繰返して、始終モーターでやつているといけません。もしこれが高まると酸度が高まつて来ることになる。これは技術的に皆知つておられるはずなんで、氷を使つて冷却する——そんなむちやなことをさせることは法外である。そういうできないことを法律で定めることは、けしからぬと私は思う。この点もぜひ改めてもらいたいと思います。  なおおかしなことは、乳幼兒に使うところの衛生乳は、昔から病人と乳幼兒用であつた。ところが健康体の者が飲むのがだんだんふえている。ただ病人なり乳幼兒のみをねらつたこの法の制定は、まことに不完全である。少くとも酪農の仕事というものは、一般国民の食糧に肩がわりしてこれを消費することが生産意欲を高める一つの原因にもなるし、また販路の一助にもなる。これを小さいところに局限して縛ると、生産者は悲鳴をあげうる。こういうことでは、乳牛の奬励は、規則だけはアメリカ式であつて、飲むものはアメリカ式でないことになるわけであります。この点をぜひ当局は意を注がれて、少くともこの問題を解決してもらわなければならない。なおかつ攝氏七十五度以上で十五分間加熱殺菌するということが書いてある。これも技術上非常に困難な問題で、機械を備えれば問題外であるが、農村に機械を買う金がないのにこういうものをしいてやるということは、この際どうかと思う。この点について改正する意思があるかどうか、一応専門的にお尋ねをしておきたい。
  56. 阿曽村万春

    阿曽説明員 ただいま御指摘の点につきましては、たとえば十八度の温度あるいは分娩予定日前三十日までというふうなきめ方に対しましては、常に研究をいたしておりますので、こういうような点、たとえで分娩予定日前三十日にしたというようなことは、御承知のように、ある程度初乳と同じようなものが出て来る。御指摘のように、日にちが三十日であつたということは、あるいは長過ぎておるかもしれない。これは一応十五日が最低限度であるということが大体出ておりますので、結局一番衛生的な最低限度のプラスの面をとりまして、それで一応あれは三十日ということにきまつております。そういう技術面については、再検討いたしまして、改むべきものは改めたいというふうなことはすでに考えておりますが、先ほど局長から御説明申し上げたように、やはり全般的に再検討いたしまして、すつきりしたものにしたいということを考えております。
  57. 千賀康治

    千賀委員長 今日はこの程度で散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時五分散会