○金子
委員 この
法律案は、
提出されて
質問の時間もきわめて短かいのでありますが、その
内容を検討してみますと、不備不満な点が見えるのでありますけれ
ども、今この
法律案を本国会で通した方が、全体的に見て不利であるか有利であるかということを勘案したときに、この際通した方が有利だという見解から、私は本
法律案は一応この原案で賛成いたしますが、これについでは強く条件を付しますから、この点を当局の方々はよく守られて、将来この
検査法が全面的に
実施される
ようなあかつきには、農業
生産のためにマイナスにならない
ようにしていただきたいということをお願いするものであります。
それでまず第一の問題といたしましては、この法の
内容については、本来ならばこの際修正したい点がありますが、全部の
農産物がこの
法律によ
つて検査されるというが、現
段階においては、
米麦は收買
検査の
段階にありますから、将来来るべき
機会に修正を願いたいと思うのであります。その数点をあげてみますと、たとえば第三条の三項を見ましても、
検査を受けないものの売買あるいは運搬の例外規定が置いてありますが、もう少し例外規定を多くする必要がある。と申しますのは、協同組合その他の組織体におけるところの、たとえば協同組合なら協同組合におけるところの加工のための運搬、仮取引という
ような場合に、一々
検査を受けるのはまぎらわしい点が起きて来ますので、こういう点もはつきりしておく必要がある。また第六条に「農林
大臣は、
農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目、包装及び品位についての
規格を定める。」とあるのでありますが、これはややもすると一方的な收買
検査に近い
検査が出て参りますので、この決定にあたりましては、あくまで農村の代表者あるいはその他の権威のある
審議会の議を経ましてのちに、これを決定するということでなければならないと思います。それから第二項に「農林
大臣は、前項の
規格を
設定し、変更し、又は廃止し
ようとするときは、その施行期日を定め、その期日の三十日前までにこれを公示しなければならない。」とありますが、この
検査は、包装の
規格と
内容物の
規格の二つがその際には当然出て来るのでありますが、この
規格のうち包装の
規格は、三十日くらい前にきめたのではとうていやり得ない。
従つて包装の
規格を定める期日は
考えなければならぬが、さればとい
つてその
規格をあまりにも早くきめ
ようといたしましても、
内容物の
規格は、その年の豊凶によ
つて検査の程度に手心を加えなければならぬので、
サンプルが届かないうちに
規格をきめなければならぬということも不可能でありますので、現物の
規格を発表する期日と包装の
規格の期日は期限を別にしなければ、実際上やり得ないわけであります。こういう矛盾ははつきりわか
つております。
それからなおあげてみますと、第十六条に「何人も、
農産物の包装又は票せんに、前項の表示にまぎらわしい表示を附してはならない。」とあるのでありますが、今後この
農産物の地域的な特定の市場における真価をより高める
意味においては、当然その産地の特別なマークをつけることが、かえ
つて有利な時代が来るのであります。そのときに、これがまぎらわしいということで一々やかましく言われると、その特産地の産物の販路の上に逆な結果が来るということでありますので、この点を考慮する必要がある。これらの点が今さしあた
つて思いあた
つた内容、条文の不備な点でありますが、これを十分
考えていただきたい。これが第一点であります。第二点は、
検査の性格というものが、か
つては收買
検査——政府が供出を受けるための
検査であ
つたのでありますが、今度は
農産物の
検査いわゆる
農産物の商品
検査でありまするために、これは今までの
ような收買という一方的な形でなく、
農産物全般にわたる一つの
検査の機構でありまするがゆえに、なるべく近き将来において、この
検査機関というものは独立機関にいたしまして、先ほど各
委員からもその
意見があ
つたのでありますが、独立機関として機構を立てなければいけない。
食管特別会計の中に入れておいたのでは、この
法律の
検査を全うすることは不可能だ、
従つて近き将来にそういうことを
考えなければいけない。これが第二点であります。
第三点は、
日本農業の実態というものが、御
承知の
ように、小反別な過小農業
経営では、これを
経営的に見た場合に、企業採算としてとうてい成り立たない、ただ
日本農業というものは自然発生的に生まれ、運命的な支配によ
つて百姓を営んでおるというのが実態であるとすれば、農業政策
全般に対して保護政策をとるということは、政治的に問題でありますけれ
ども、同時にこの
検査ということは單なる自主
検査という
ようなことでなく、この農業の
検査を通して政策の面、あるいは先ほどある
委員からも言われました品種の選択、それから販売品の
規格統一による価格の向上という、広い農政的な補助政策の一環としての国家
検査でなければならない。もしもほかの
工業品の
ような、ただ自主的に商品の価値を高めるための
検査であるならば、何も
国営検査をしなくても、農民自体が金を出し合
つて検査をすればいいのであります。これを
国営検査にするということは、自由販売になりましたあかつきには、ま
つたく
日本農業の保護政策の一環となるのだ。そうしてそれがためには、国家は相当程度の
予算的な裏づけをするべきだ。これが第三点であります。以上三つの点を強く条件をつけまして、賛成する次第であります。