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1951-02-10 第10回国会 衆議院 農林委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十日(土曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君    理事 松浦 東介君 理事 吉川 久衛君    理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       小淵 光平君    川西  清君       河野 謙三君    幡谷仙次郎君       平野 三郎君    八木 一郎君       金子與重郎君    八百板 正君       横田甚太郎君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月九日  農業災害補償法第十二條第三項の規定適用を  除外する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号) 同月八日  落花生の統制撤廃に関する請願中馬辰猪君紹  介)(第四二〇号)  豊沢川農業水利事業費国庫補助増額に関する請  願(山本猛夫紹介)(第四三一号)  岩手山ろく開発事業促進に伴うダム建設並びに  事業費増額請願山本猛夫紹介)(第四三  二号)  岩手山ろく国営開発事業進展に伴う開田事業促  進の請願山本猛夫紹介)(第四三三号)  農村振興対策確立に関する請願塩田賀四郎君  紹介)(第四三五号)  川内ケ谷宮ケ平間林道改修工事施行請願(  長野長廣紹介)(第四八八号)  東北地方寒冷地帶土地改良事業救済に関する  請願野原正勝紹介)(第四八九号) の審査を本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  農地調整法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  農林公共事業に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  前会お知らせいたしました以後における請願陳情書付託等につきましては、これを省略いたしますが、昨日内閣より提出になりました農業災害補償法第十條第三項の規定適用を除外する法律の一部を改正する法律案が、本日本委員会付託になりましたので、この際お知らせいたしておきます。なお本案については、次会から審査に入りますから、あらかじめ御検討を願つておきたいと存じます。  次に小委員補欠選任についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、現在肥料対策小委員三名、農林公共事業小委員一名がそれぞれ欠員になつておりますので、この際その補欠委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。よつて肥料対策小委員補欠に     吉川 久衛君  八百板 正君     中村 寅太農林公共事業小委員補欠に     中村 寅太君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  4. 千賀康治

    千賀委員長 本日の議事日程は、農地調整法等の一部を改正する法律案でありますが、前会に質疑を終了しておりますので、これより討論に入ります。
  5. 野原正勝

    野原委員 農調法改正は、かねがね問題になつておりましたが、われわれといたしましては、一日も早く根本的な改正を望んでいるわけでありますけれども、このたび提出になりました議案は、單に選挙期日の変更というきわめて事務的な小さな問題であると思うのであります。従いまして、すでに質疑その他は済んでおりますので、この際討論を省略いたしまして、ただちに採決せられんことを望みます。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 ただいまの動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。  それではこれより農地調整法等の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君起立を願います。     〔総員起立
  8. 千賀康治

    千賀委員長 起立総員。よつて本案は、原案を可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本案に対する衆議院規則第八十六條による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認め、さようとりはからうことに決します。     —————————————
  10. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林公共事業に関する件を議題といたします。まず防災ため池の問題について質疑の通告がありますのでこれを許します。平野君。
  11. 平野三郎

    平野委員 防災ため池につきまして、若干の質疑をいたしたいと思います。実は経済安定本部の方から一応お尋ねいたしたいのでありますが、まだ御出席がないようでございますので、順序を変更いたしまして、まず農林省の方にお尋ねを申し上げたいと思います。  最近の洪水によりまする被害が、全国的に厖大なものでありますことは出すまでもありませんが、特にこの農業関係に対する被害は、近来年々激増いたしておる状況であり、すでにその流失、埋没町歩というものは莫大な数に上つており、農作物の被害もすでに十百万石以上に達するというような状況になつているわけであります。これに対しまして農林省は、昭和二十二年から防災ため池に関する事業施行いたしておるのでありますが、この結果につきましては、先般本委員会におきましても、それぞれ全国各地の調査並びに視察をいたしましたが、各委員諸君の御報告をもつて見ましても、きわめて効果が大である、かくのごとき適切な事業こそは、今後ますます強力に拡充をして遂行すべきものであるという結論が出て、すでに国会に報告もせられておりますので、政府におかれても、十分この点については御了承のことと思うのでございます。しかしてこれは二十三年、二十四年と引続き漸次増加せられて参つておりますが、二十五年度におきましては、何ゆえかこれに関するところの特別の予算科目の中から拔けている。すなわち一般災害復旧事業費の中から、特にこれだけの科目が設られて、二十二年から行われたのでありますが、昨年度に限つてこれに対するところの科目設置が行われていないのでありますが、昨年度におきましては、その内容はどういうふうになつておるのでありますか。また目下審議中の本年度予算内容については、政府はどういうような方針でおられるのであるか、今後この施設につきましては、どのような方針をもつて進まれるお考えでありますか。まずその点を農地局長お尋ねしたいと思います。
  12. 平川守

    平川政府委員 農林省といたしましては、一面において農地を拡張、改良いたしまするとともに、それが災害によつて壊滅することをできるだけ防いで参るということに力を入れることは当然でございます。お話防災ため池につきましても、年々災害によつて壊廃いたしまする常習地のような所がかなり全国的にございますので、そういうたびたび災害にあいまして、また復旧をいたすというようなことを繰返して参つた地帶におきましては、むしろ事前にその農地保全する程度の簡易なため池をつくるということによつて、この災害を防ぎ、または灌漑水の供給にも便にするという意味におきまして二十二年度からこの種の小規模ため池事業をやつて参つたのであります。それは各地においてその要望が非常に強くなつて来ておるので、今後ともますます拡充して参りたいと考えております。  また昨年度におきましては、深い理由もないことと思いますが、予算面からその名前が落ちております。実際上経済安定本部の方におきましても、一種土地改良事業考えられるものであるというようなことで、公共事業費の中から相当程度に支出して参りまして、二十六年度におきましては、その継続分につきまして、正式に予算に計上いたしておるのであります。今後といえどもますますやつて行きたいと、かように考えております。
  13. 平野三郎

    平野委員 ただいまの御答弁で、二十五年度は引続き相当拡充してやつたし、今後もますますやる方針であるという御説明でありますが、しからば二十六年度につきましては、昨年度の継続中のものを引続きやられるものであるか、さらに当初の既定計画に基いて、新規のいろいろな要望にこたえるところの施設をおやりになるのであるかどうか、その点をもう一ぺん重ねてお伺いしたいと思います。
  14. 平川守

    平川政府委員 二十六年度におきましては、今さしあたり予定されておりますものは、従来の継続事業についてこれを続行するということを予定いたしておるのであります。それ以上のことにつきましては、いまだ決定を見ておらないのであります。なお私どもといたしましては、今後公共事業費の方に余裕ができれば、できる限りそういう方面にまわすようにいたしたい、かように考えております。
  15. 平野三郎

    平野委員 それでさらにつつ込んでお尋ね申し上げたいのは、この事業につきましては、建設省の方でおやりになつておりますところの、いわゆる本格的な河川防災工事というものと、やや競合するというような点があるのではないか、従つてどうしてもこれは農林省のおやりになる範囲と、建設省の大規模工事との間に、何らかの線を明瞭に引かれておく必要があるのではないか。この点について、本委員会としても、先般の視察の結果を見ましても、真の農業保護農地保全という観点から、あくまでもこの施設農林省において行うべきものである。しかしながら両省の間において争奪戰が演ぜられるというようなことになつてはおもしろくないので、この際その内容を明確にいたしておく必要があると思う。それにはどうしても対象となるべきものが、農業に対する利害が圧倒的に大であるというようなこと、あるいはその工事によつてできますところのため池等の貯水が灌漑用水等にも利用ができるというようなこと、あるいはまたこれらを施行する地点についても、できるだけ河川の最上流部であるとか、小支派川であるとかいうことに限定すべきものである。その点において明確なる基準を設けて置く必要があるのではないかということを考えておるのであります。これらの点につきましては、おそらく両省の間におきまして十分お話合いがあり、問題ははつきりいたしておると思うのでありますが、念のためにこの点につきまして、農林省の御見解を伺いたい。そして今までそうした十分なお話合いがあつて、何らかの結論に到達しておるかどうか、建設省河川局長も御出席になつておるようでありますから、建設省の御意見もこの際伺つておきたいと思います。
  16. 平川守

    平川政府委員 お話の点につきましては、これは、治山事業の方に若干建設省の方と境目のところで問題になつてつたような例がありますが、そういうようなものでなかろうかと考えております。実はまだそういうはつきりした仕訳等について、建設省の方とお話合いがついておるというわけではございません。しかしこの仕事は、先ほど申しましたように、従来上流地帶におきまして、しばしば災害をこうむつておりました農地が、そういう災害を受けてはそれを復旧するというようなことを繰返していたのでは、かえつて費用もよけいかかることでありますし、また農家にとつても耐えがたいことでもありまするので、農地保全という程度のものについて、これを防ぐ意味簡單ため池、かつは灌漑用に充てるというような、簡單な小規模ため池をつくる方が、むしろよいのではなかろうかということに考え及びまして、昭和二十二年ごろから始まつたわけであります。やつてみますると非常に効果がありまするので、各地方から非常に要望もありますし、逐年引続いてこれが行われて参つたというような状況でございまして、まだ事業そのものが比較的歴史が浅いわけであります。お話のような建設省との間の問題ということも、私近ごろ若干聞き及んでおりまするけれども、ごく最近の問題でございまして、ここ数年間別に問題も何もなかつたのでございます。大体の私どもの常識的な考え方といたしましては、建設省は、大きな河川につきまして、非常に広範囲にわたる大きな工事による治水事業というものをやつておられるわけであります。これは当然建設省が大いにやられるべきことである。ただ主として農地保全目的とし、あわせて灌漑にも便するというような、従来農林省が手がけておりますような小規模ため池工事によるものにつきましては、農林省で所管してやつた方がいいだろうと私ども考えております。いわゆる農地保全という点については、農林省があずかるべきものであると考えておるのでありまして、目下のところその考え方予算も計上いたし、支障なく運営いたしておるわけであります。しかしながら、建設省の本来の事業であるところの大規模治水事業の方といつかの場面において境を接するわけでありますから、その境をどこにきめるかというようなことについては、今後なおはつきりしたお話合いをつける必要があろうかと考えております。大体の考えとしては、さような考え方でよかろうと私どもは思つておるのであります。現在まではまだ最末端の上流地帶で行われております関係で、最近まではそれで別に問題が起らなかつた状況でございます。今後はさような考え方仕訳をはつきりいたす必要があろうかと考えているわけでありまして、今後そういうことで事務的なお話合いをいたして行きたいと考えております。
  17. 目黒清雄

    目黒政府委員 ただいま農林省の方から答弁せられました通り、この問題は、やはりある点においては競合する問題が起きて参ると思うのであります。しかし、ただいまのところでは、まだその辺の線がはつきりしておらないので、近く安本中心として両省協議して行くという考え方を持つております。従つてその中に当然農林省がやるべき仕事というものがあるのでございますし、また当然われわれの所で所管すべきものもできると思うのであります。いずれにいたしましても、両省でよく協議いたしまして、どちらかでその仕事をやつて行くというふうに持つて行きたいと思つております。
  18. 平野三郎

    平野委員 ただいまの河川局長お話でありますと、今後協議をしてどちらかでやるというお話でありますが、これにつきまして、農林省が今後引続きやるということであるならば問題はありませんが、建設省の方でおやりになるということになると、非常に大きな問題が起つて参ります。それは、この事業に関するところの地元負担の割合が、御承知通り農林省建設省とでは全然違うわけであります。すなわち農林省の方の考え方で行けば、まつたく日本農民保護という立場から、相当程度国庫補助をもつてこれを擁護いたしておるわけであります。すなわち大体六五%程度でありますが、それの補助率をもつてつておりますが、これが建設省中小河川あるいは特定災害というような方面で、まつたく河川防災という見地からだけおやりになることになりますると、国庫補助が二分の一あるいは三分の一という程度に減少して来るわけであつて従つてそういう行き方では、もうとうてい農民保護という目的は期し得られない、ひいては五百万石以上も現在被害を受けておりますところの、日本食糧行政につきましても重大な関係を持つて来るわけであります。でありますから、どうしてもこれは農業保護という観点において今後やらなければなりませんので、そうした考え方のもとに御協議を進められたいということを、持に要望を加えて念のために強調して置く次第であります。  もう一点伺いたいことは、これは大蔵省及び安本お尋ねしたいのでありますが、どうも安本大蔵省方面において、防災という字句にとらわれて、これはどうしても建設省でやるべきものじやないかというような考え方から、しかしながら今まで農林省がやつて来たものであるから、これを急に取上げたところがそれは不可能である、であるから現在実行中のものは農林省にやらせるが、これが一応終れば、今後はそれは全部建設省に移すのだ。従つて現在まだ手をつけておらぬところの、農林省計画中のこれらの多数の新規施行工事については建設省でやらすべく、それらの予算もまだ安本で握つておるといつたようなことも聞いておるのでありますが、まあそういうことはおそらくあり得ないと思います。私建設省にこの際、念のためにさらにもう一度伺いたいことは、現在農林省計画中のこうした諸計画は、すべて農業保護という観点から出ているものであつて建設省が今までおやりになつておるところの立場とは根本的に性格を異にいたしておるわけであります。従つてもし現在の農林省のやつておられる仕事を、ただちに建設省に移したからといつて、おそらく建設省でこれをただちに実行することは不可能じやないか、そういう準備は全然できていないのではないか、これを府県でもつて当てはめれば、府県耕地課でやつておる仕事府県土木部の方に移すことになるわけでありまして、根本的に性格が異つて来るから、日本農業立場から重大なる関連が起きて参るわけであります。そこでお尋ねしたいことは、建設省としては、現在農林省施行中のものを、かりに所管が移つても、おそらく私はそれを実行することは困難ではないか、おそらくそういう準備はないではないかと思うのでありますが、省内のその辺の御事情はどういうふうになつておりますか、重ねて承りたいと思います。
  19. 目黒清雄

    目黒政府委員 私の方の観点は、やはり治水が主であります。治水と申し上げましても、結局は農地保護なのであります。その点は農林省と何ら目的は違つておらないのでありまして、ただ中心を川に置いてすべて考えておるというところが相違があると思うのであります。御承知通り、最近の河川は、下流が相当改修されて参りまして、だんだん上流地方氾濫防止が出て参つたのであります。ところが下流河川は、依然として上流から流れて来る水を避け得られない状態にあるわけであります。と申しますのは、かつて上流地方に氾濫しておりました時代におきましては十分であつたのでありまするが、上流河川が改修されて参りますると、それだけ余分の水が下流にかかつて来る現状になつて参つたのであります。従つてこの河川改修の行き方を、上流において堰堤調節する以外には方法がなくなつて参ります。従つてわれわれとしては、上流地方堰堤地点を求めているのであります。その堰堤地点を求める場合に、堰堤地点箇所はたいていの場合限定されておりますので、その箇所が往々にして農林省計画と一致するということに相なるのであります。そこでわれわれとしては、その堰堤を利用する程度が、單に灌漑用水のみであるか、あるいはそれをさらに洪水調節使つて下流被害を軽減するかということを考慮しなくてはならぬのでありますが、その場合にもし灌漑用水それ自身でありますれば、何らわれわれはこれには関係がないのでありますが、いやしくも下流洪水調節するという目的がある程度それによつて効果が達せられるといたしますれば、これはやはり河川改修の一環として考えなくてはならぬ見地に立つのであります。いずれにいたしましても、われわれとしては、どこまでも農民保護目的といたしました河川改修でありますので、その点は十分考えて行きたいと考えております。
  20. 平野三郎

    平野委員 大体わかりましたが、どうもこれは防災という字句がやはり建設省でおやりになつている事業字句にとらわれるということは、これはおとなげない話でありますが、しかしそうは言うものの防災という字句農林省使つておやりになつたことについて、無用なるところの刺激建設省に與えることがあるのではないかと思うのであります。老婆心ながら注意いたすのでありますが、そういう点からいつて、なるべくそういう刺激は避ける意味において、農林省としてはその字句を他の名称にかえておやりになるお考えがないかどうか、農地局長お尋ねいたします。  もう一点つけ加えてお尋ねしたいことは、これは実は大蔵省及び安本お尋ねしたいのでありますが、御出席がございませんので、後ほどお尋ねすることにして、農地局長お尋ねをこの際先にいたします。この災害復旧に対する政府根本観念を承りたい。われわれの考え方とすれば、災害復旧ということは、いわゆる原形災害復旧ではない、原形復旧をするのならば、また同じ程度災害が発生すれば、すぐまたそれは破壊されるわけであるから、同じ程度災害が起つてもそれに耐えられる、少くとも原形よりは補強した形に復旧して行くのでなければ真の復旧ではないのであります。ただ原形復旧主義でやつているならば、これは永久に賽の河原を繰返すだけにすぎないのであつて災害復旧予算をもつて、ある程度こういうふうな防災工事施行しても、それこそ真の災害復旧にはならないとわれわれは考えるのであります。私仄聞いたしますところによると、大蔵省予算査定方針は、災害復旧はあくまで原形復旧である、それより一歩でも出る場合は、会計法の違反であるといつたような解釈さえ行われているということであります。大蔵省安本には頭のいい人がおられると思うにかかわらず、案外安本関係には端的な考え方があるのではないかと思いますが、この点に対して、農林省はどういう考え方を持つておられるか、この二点をお尋ねして、一応私の質疑を打切ります。
  21. 平川守

    平川政府委員 防災という言葉建設省刺激しやしないか、これは建設省にお聞きしませんと、刺激しているかどうかよくわかりませんけれども、先ほど河川局長お話の中に、河川局建設省の任務は治水であつて、これは農地保護することを目的としている、従つて河川治水という見地からして、いやしくもため池災害防止に役立つならば、これは建設省でやるべきものであるといつた意味お話のようにも伺いましたが、私どもはそういうことはないと考えております。建設省治水事業につきましては、私は門外漢でありますけれども、これはひとり農地保全目的としたものではなくて、やはり都会の方も目的にしておられたと思うのであります。農林省関係はもつぱら農地の保金という考え方から来ておるのでありまして、ため池をつくつて、それが灌漑だけの場合はもちろん、これは利水でありますから問題ありませんけれども、それが洪水調節に役立つと、とたんに農林省でやつてはならぬということは、農林省設置法にはないと私は思つております。従つて防災字句刺激しておるかどうか知りませんけれども、そういう意味において、災害を防ぐのに役立つため池をつくることは、農林省設置法には何らさしつかえないと思います。字句刺激を與えるならば、言葉はかえてもよろしゆうございますが、私ども目的農地保全にあるのでありますから、農地保全のためにため池でも何でもけつこうでありますけれども農地保全はやはり災害を防ぐことによつて保全しておるのであつて災害を防ぐことは農林省はやつてはならぬということは、私どもは了承できないのであります。  第二の問題でありますが、災害復旧限度いかんということ、これは大蔵省において原形復旧ということを言つております。私ども原形復旧というのは原則であろうと思いますが、今のお話のごとく、さればといつて、次の災害に耐え得る程度復旧することも、やはり一種復旧でありまして、大蔵省方面がそういう原則を立てておりますのも、災害復旧ということに便乘して、逆に改良事業をやるというようなことを防ぐ意味で申しておるのだろうと思います。従いまして、お話のごとく、災害復旧をする際に、次の災害に備える程度工事をすることは、やはり大蔵省の言われる原則にも合うものではなかろうかと考えておるのでありまして、要は大蔵省の言うのは、災害復旧に名を借りて、災害によらざるそれ以上の改良をやるのはいかぬ、こういうことを言つておるのだろうと思います。
  22. 野原正勝

    野原委員 先ほど来の平野委員の質問に関連してちよつとお尋ねしたい。実は私ども昨年の秋に岐阜県の、特に農地局関係仕事を見る機会がありまして——委員会として出張したのでありますが、そのとき防災ため池状況をよく見て参りました。なお私の県の岩手県の方面からも、しばしば防災ため池をつくつてくれという話があつて、昨年から実は農林省事業を二箇所ばかり始めておられる。非常に関連の深いことでありますので、今までの平野君の質問と政府側の御見解をよく聞いておつたのでありますが、どうも妙なことにこだわつておるような気がしたのであります。防災という文字がどうのこうのということは、いやしくも口にすべきことじやない。あまりに小さいことである。そういうことにこだわることはなかろうと思うのであります。昨年私の見ましたところでは、確かに防災ため池下流災害を未然に防ぐ甚大なる効果がある。これはまた灌漑用水として下流の水田地帶に欠くべからざるものでありまして、今の情勢のもとにおいては、まことにけつこうな施策であると同時に、農地保護はもちろん、同じ工事をしながら一石三鳥、四鳥の効果を上げるうまい方法はない。だれが始めたか知らぬけれども防災ため池という工事、こういう考え方を全国に大いに及ぼして行く。どこの省がやつてもけつこうである。とにかく仕事というものは、すべからくこうなくちやならぬということを、よくこの目で見て痛感したのであります。先ほど来のお話で、建設省農地保護のためにやらなければならぬというお考えでやつておるということを聞きまして、たいへんけつこうであります。しかし大体一石二鳥、三鳥と申しましても、そのねらうところが主として農地保護にあり、また灌漑用水のためのため池にあるということになりますと、防災という効果があるために、これは建設省がやらなければならぬということの方が、少々無理でなかろうかと思う。同じ政府として、今までよくセクシヨナリズムとかなわ張り争いといういやなことを耳にしたこともありますけれども、最近は各省がそれぞれうまく連絡協調して、お互いが譲り合い、むしろ助け合つて最善を盡して国土の復興に当り、生産の増強に当るというお考えであろうと思うのでありまして、もしかりにも今度の防災ため池のようなものが、そういつたこだわりのために、せつかくあれほど効果のあるりつぱな仕事が、将来思い切つてできないことになりましたのでは、各県関係のいろいろな方面、あの岐阜県下、岩手県下等でやつておる防災ため池を見ましても、至るところそういうものの新しい計画要望しておる際でございますので、こういつたことのために、その仕事が将来十分にでき得ないということになりましたのでは、さなきだに食糧の確保に困難をしておるわが国の農業としましては、国家の発展のためにも悲しむべき事態が起るのではないかと考えますので、いろいろりくつを並べてもきりのない話でありましようけれども、ここは一番大きく考えていただきたい。ここに安本当局や大蔵省がいないのははなはだ遺憾でありますけれども、もし大蔵省あるいは安定本部などが、先ほどの防災という言葉にこだわつてみたり、あるいはまた災害復旧ということにあまりこだわるということが事実だとすれば、その考え方を修正していただくよりほかないと思う。いずれ次の機会にあらためてこの問題を明確にしたいと考えるのでありますけれども、先ほどのお話では何かまだ釈然としないというふうな気が、聞いておつていたしております。目黒局長にはその点は十分大きくお考えいただいておると思いますけれども、何としても農林省にやらせないんだというお考えでなしに、むしろ農林省がそれほどのいい事業ならば、進んで河川局では農林省仕事に協力をして、農地の安全、灌漑用水の確保ということについて御協力いただくことにお願いをしたいので、これに関連して一言私の見解を申し上げて、農地局長河川局長の御意向をお伺いしたいと思います。
  23. 目黒清雄

    目黒政府委員 何か私の方から横やりを入れて取上げるというふうに曲解されておるようでありますが、そういう野心は毛頭ないのであります。もちろん農林省事業もわれわれのためになる仕事でありますれば、大いに仕事をしてもらうということも、われわれ常に考えておるのであります。ただ今までの例をとりますと、こういうふうに相なつておるのであります。一つの事業——農業用水と治水効果をねらうという事業をやつておる。これは農林省もやつておりますし、こちらでもやつておりますが、その場合に、費用負担の関係が協定されてあつたのであります。ある特定のものでありますが、これが二省にまたがつて、一つの事業を両方の負担でやつておるということは、言うことはいいんですが、実行はなかなかうまく行かない。連絡がうまく行かないということから、かえつてこれは事業それ自身をどちらかでやつて、費用はその省の負担にしておいた方がいいのではないかというような考え方も、最近持つて来たのであります。そこでその目的治水をねらうものであるが、あるいは灌漑用水をねらうものであるか、その辺のところはけじめがはつきりいたしません。多少ダブつておりまするが、その目的の大きい方にこれを持つて行くべきではないかというふうにわれわれは考えておるのであります。これは個々の問題として、じつくり相談し合いませんと確定しないのであります。近く相談しようといつておりますのはその点なのであります。将来、この程度のものは農林省でやるべきだ、あるいはこの程度のものは建設省でやるべきだという一つの線を引きたいというふうに考えておるのであります。
  24. 八木一郎

    ○八木委員 関連して……。私はこの際農林公共事業小委員長の名において要求いたしたい事項があるのであります。それは来る十五日午前十時半から農林公共事業の小委員会を開くことになつておりまするので、当日までに次にあげますような事項についてプリントをもつて資料を用意いたし、あわせてこの対策に関する主務局長の方針、腹案をもたらして説明に当られたい、こういうことであります。  その第一点は、見返り資金打切りの結果といたしまして、農林公共事業に対する見返り資金の融資問題、これに伴う事業関係、特にその資金対策をどうしようとするのか。また災害対策費の一部をさいて、この方に振り当てて行こうとする方針であるやに聞いておりますが、その結果は災害経費の方が減少して参るが、その補填の資金計画はどうするか、こういう点であります。  第二点は、調べによりますと、農業公共事業関係災害費は、過年度災害として累積しておる額が、農業において四百八億、林業において九十三億、水産業において二十三億、合計実に五百二十五億円に及んでおるということでありますが、これはどうするおつもりか、その内容であります。  第三点は、ないそでは振れないとの理由から、小規模土地改良事業に関しまして、方針をかえられておるようでありますが、この小規模土地改良こそ非常に必要性は高まつておるのでこの問題。  第四点は、土地改良の十年計画は、既定の一応の方針でありますが、最近経済自立審議会の答申によりますると、三箇年計画をもつて千二百万石の増産計画を立てておる。この計画内容についての説明資料。  第五点は、開拓、開墾、干拓事業につきまして、経済効果のない方面は思い切つて打切つて、経済効果のある方面に集中的に施策を盡せという国論はげしいものがあるのでありますが、これに対する内容資料。  第六点は、本日問題に出ておりまする建設公共事業農林公共事業の分野において、競合のおそれありとせられておる事項が幾つもあります。この問題を具体的に取上げて、その対策を考えるに足る資料。  第七点は、農林公共事業費の予算配分予定表であります。これは三月末にならないとなかなかきまらないというのが従来の例でありますが、私ども予算の審議とあわせて、農林関係の国権の最高審議機関と自他ともに許しておる当委員会において、アメリカが法律できめておるところまでは行かなくとも、その予算配分の細目については、相当に堀り下げて審議を盡したいという意図を持つておりますから、その意味において資料の提供を要求いたしたいのであります。  第八点は、その他細部に関しまする事項は、農林專門員を通じて事務当局に要求させておりますからして、これらについて、できる限りざつくばらんに対策を考えるに足る資料を整えて、御出席あらんことを要求いたします。
  25. 千賀康治

    千賀委員長 次会は公報をもつてお知らせすることといたしまして、  本日はこの程度で散会いたします。     午後十一時四十七分散会