○
野原委員 先ほど来の
平野委員の質問に関連してちよつと
お尋ねしたい。実は私
ども昨年の秋に岐阜県の、特に
農地局関係の
仕事を見る機会がありまして——
委員会として出張したのでありますが、そのとき
防災ため池の
状況をよく見て参りました。なお私の県の岩手県の
方面からも、しばしば
防災ため池をつく
つてくれという話があ
つて、昨年から実は
農林省で
事業を二
箇所ばかり始めておられる。非常に関連の深いことでありますので、今までの
平野君の質問と
政府側の御見解をよく聞いてお
つたのでありますが、どうも妙なことにこだわ
つておるような気がしたのであります。
防災という文字がどうのこうのということは、いやしくも口にすべきことじやない。あまりに小さいことである。そういうことにこだわることはなかろうと思うのであります。昨年私の見ましたところでは、確かに
防災ため池は
下流の
災害を未然に防ぐ甚大なる
効果がある。これはまた
灌漑用水として
下流の水田
地帶に欠くべからざるものでありまして、今の情勢のもとにおいては、まことにけつこうな施策であると同時に、
農地の
保護はもちろん、同じ
工事をしながら一石三鳥、四鳥の
効果を上げるうまい方法はない。だれが始めたか知らぬけれ
ども、
防災ため池という
工事、こういう
考え方を全国に大いに及ぼして行く。どこの省がや
つてもけつこうである。とにかく
仕事というものは、すべからくこうなくちやならぬということを、よくこの目で見て痛感したのであります。先ほど来の
お話で、
建設省も
農地の
保護のためにやらなければならぬというお
考えでや
つておるということを聞きまして、たいへんけつこうであります。しかし大体一石二鳥、三鳥と申しましても、そのねらうところが主として
農地の
保護にあり、また
灌漑用水のための
ため池にあるということになりますと、
防災という
効果があるために、これは
建設省がやらなければならぬということの方が、少々無理でなかろうかと思う。同じ
政府として、今までよくセクシヨナリズムとかなわ張り争いといういやなことを耳にしたこともありますけれ
ども、最近は各省がそれぞれうまく連絡協調して、お互いが譲り合い、むしろ助け合
つて最善を盡して国土の復興に当り、生産の増強に当るというお
考えであろうと思うのでありまして、もしかりにも今度の
防災ため池のようなものが、そうい
つたこだわりのために、せつかくあれほど
効果のあるりつぱな
仕事が、将来思い切
つてできないことになりましたのでは、各県
関係のいろいろな
方面、あの岐阜県下、岩手県下等でや
つておる
防災ため池を見ましても、至るところそういうものの新しい
計画を
要望しておる際でございますので、こうい
つたことのために、その
仕事が将来十分にでき得ないということになりましたのでは、さなきだに食糧の確保に困難をしておるわが国の
農業としましては、国家の発展のためにも悲しむべき事態が起るのではないかと
考えますので、いろいろりくつを並べてもきりのない話でありましようけれ
ども、ここは一番大きく
考えていただきたい。ここに
安本当局や
大蔵省がいないのははなはだ遺憾でありますけれ
ども、もし
大蔵省あるいは安定本部などが、先ほどの
防災という
言葉にこだわ
つてみたり、あるいはまた
災害復旧ということにあまりこだわるということが事実だとすれば、その
考え方を修正していただくよりほかないと思う。いずれ次の機会にあらためてこの問題を明確にしたいと
考えるのでありますけれ
ども、先ほどの
お話では何かまだ釈然としないというふうな気が、聞いてお
つていたしております。
目黒局長にはその点は十分大きくお
考えいただいておると思いますけれ
ども、何としても
農林省にやらせないんだというお
考えでなしに、むしろ
農林省がそれほどのいい
事業ならば、進んで
河川局では
農林省の
仕事に協力をして、
農地の安全、
灌漑用水の確保ということについて御協力いただくことにお願いをしたいので、これに関連して一言私の見解を申し上げて、
農地局長と
河川局長の御意向をお伺いしたいと思います。