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1951-02-08 第10回国会 衆議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月八日(木曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君    理事 吉川 久衛君 理事 足鹿  覺君       遠藤 三郎君   小笠原八十美君       越智  茂君    河野 謙三君       中馬 辰猪君    原田 雪松君       平野 三郎君    八木 一郎君       金子與重郎君    山口 武秀君       横田甚太郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         專  門  負 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君 二月七日  委員小林運美君辞任につき、その補欠として金  子與重郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農地調整法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  畜産に関する件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず農地調整法の一部を改正する法律案議題といたします。前会すでに提案理由の説明を聽取いたしてありますので、本日はこれから質疑に入ります。御発言を許します。——質疑もないようでありますから、この程度質疑を打切りまして、あとは討論採決でございますが、これは次会に譲ることといたしまして、今日は次の議題に入りたいと思います。そこで今農林大臣を探しておりますが、まだ連絡がはつきりしかねておりますので、しばらく休憩をいたします。     午前十一時四分休憩      ————◇—————    正午開議
  3. 千賀康治

    千賀委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  畜産に関する件を議題といたします。昨日の畜産に関する小委員会において、最近における飼料問題について事務当局と種々質疑応答があつたようでございますが、本日は農林大臣がお見えになりましたので、大臣に対する質疑を行います。質疑の通告がありますから、これを許します。小笠原八十美君。
  4. 小笠原八十美

    小笠原委員 大臣飼料関係を伺います。きのうも質料に関する小委員会を開いて、各関係局長並びに課長連中お話を承つたのでありますが、どうもみんな徹底しない。結局同じ大臣のもとにあつて、うまく統制がとれていないという欠陥を生するように相なつたのであります。のみならず、御承知通り飼料はどこまで暴騰するか、もう押えきれないよ方な状態に今なつておるのでありますが、その原因を調査いたしますと、商人の手に拂い下げたために、売り惜しみ買いだめというようなかつこうがある。商人がもうけるのはあたりまえで、それをもうけさせるようにするから、こういうことになる。今現に鶏にしても、牛、豚その他一切のものは、もう飼料に行き詰まつておる。それがためにもう一歩行くと鶏方は卵をとるより殺した方がいいという覚悟を持つておるような状況であるのでありますが、これを何とか解決をつけなければならぬ。そこで食糧庁の方の事情を聞くと、今相当手持ちがある。それでも手離せない。これをみんなにほどよくあんばいするには数量不足だから、なお国内分を集荷して相当数量にしてから、まんべんなく商人にも畜産需要者幾らかずつ申訳的にまわそうという答弁なんだ。そんなくだらないことを言わないで、畜産局にやらして、畜産局でみんな一緒にやればいいじやないか。畜産飼料配給まで食糧庁でやらぬでもいいじやないかと言えば、飼料をみんなこつちの方に持つて来られるのでは困ると言うのです。そんな小さなことを考えておる情勢ではないじやないかということを言つたのです。その点は徹底しないで、それじや畜産局におまかせしようというところまで話が行つておるのですが、数量の多いときには商人へでもどこへでもやるのが当然だが飼料の方はどうにか間に合つているのに、動物の方は死活問題だという場合には、一応早くその方に渡るところの処置をとらねば、いつでもこの問題は絶えぬと思います。大臣畜産の方はよくおわかりなんだから、この点は早急に解決をつけるようにして、今は実際に需要者——畜産団体とか組合とかいうものを経由して、その方に急いで配給する段取りをとらなければいかぬ、こう思うのでありますが、大臣の方の食糧庁関係畜産局関係、また課長級においてはまだ徹底しない。それによけいな安本とかいうようなものが横やりを入れていろいろなことをするのだが、そういうことを早く解決してもらわなければならぬと思う。畜産局長食糧庁長官もおられるから、この前ではつきりこれをきめて、われわれがここで決議をやることについて今何かの準備もあるのでありますが、その方のお話によつてこれをとろうということになつておりますから、その点の見解をどうか表明していただきたい。
  5. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 飼料価格が非常に上つて来ており、また実際に不足しておることはよく承知いたしておるのであります。いつも冬場になりますと、自給飼料が足りなくて、値段の上ることはよくわれわれも承知しておりますが、思惑等によつて飼料が出まわらないということは大きな問題でありますので、われわれといたしましては、これについて適当な手を打ちたいと思つております。ただ今食糧庁とうもろこしその他を拂い下げる場合に、まんべんなくだれにでも拂い下げ得るという方針でやつておるのであります。しかしこれも限度がありまするし、特にこの間あたりは、紡績業者等が非常に景気がいいものですから、買占めしたというような例があるのであります。思惑というようなことは非常に遺憾にたえませんので、これを死蔵しておるような方面に対しては適当な手を打ちたいと思います。またこれだけのみでは足りませんので、大豆かすとらもろこし、あるいはまたカナダの五等麦等も買いつけるようにいたしておるようなわけであります。大豆食糧であり、また農民にとつては必要欠くべからざる影響を及ぼしますので、万全の手段を講じたいと思います。  省内において食糧庁畜産局とで意見が合わないというようなことを仰せられるようでありますが、私はないと思います。二人局長がおるのでありますから、これは話合いで私はできると思います。またそうさせたいと思います。決議をなさらなくとも、われわれの方で手を打たなくちやならぬと思つてておりますので、なるべくややこしいことをしないようにお願いいたしま
  6. 小笠原八十美

    小笠原委員 輸入とかその他の恒久対策は大いにやつていただかなければなりませんが、今の急場の問題である。何も畜産局食糧庁の対立という、ことを私は申し上げたのではない。かりに申し上げれば、こういうことがある。食糧庁課長連中の話を聞くと、畜産の方はお気の毒であるから、それでは今度は飼料入札しよう、そして畜産関係団体入札に加入することができるような方法でやろう、こう言うのだ。どうです、それを聞いただけで、あなたもあきれ返るだろう。金を山ほど持つて、いる商人と、畜産団体貧乏課で借金ぐるぐるの連中一緒入札させて、どつちに落るか、そんなことはきまりきつている。そういうことを言われるんだ。意見が対立したのではない。畜産ことば食糧庁は知らない。知らない方はやめて、畜産の方に黙つてまわしなさい。畜産局の方がよろしくあんばいをする。私の言うことはこうなんだ。それを食糧庁の方で、制度がどうのこうのと言つてこねまわしておるから、国家のためにならない。りくつ一点張りで、大学を終つて来た課長連中かどうかわからないが、とにかくりくつをこねておつたんでは、鶏や豚は死んでしまう。急場の問題だから、畜産局の方にまわして、もち屋もち屋でやつた方がいいじやないか、こういうことである。もう一つ。われわれの決議しようというのは、畜産局へまわしても、畜産局でも方々から入り込まれて配給するのに雪から、われわれ委員会はつきりした意思——国民の代表の意思を反映せしめたならばやりやすいだろう、よつて今の急場の問題に対しては需要者の方に配給すべし、相当数量が多くなつたならば、商人の方まで手を出してさしつかえないが、今のところ、急場急場として措置をとるべしという決議をするのであります。大臣の最も気に入つた決議に相違ないのだから、ややこしくありません。
  7. 河野謙三

    河野(謙)委員 えさの問題で大臣に、またこまかいことになりましたならば、食糧庁長官なり、畜産局局長から御答弁願いたいと思います。今小笠原委員がおつしやつたように、最近えさが暴騰している。これについては再統制論も出ております。これを統制することはあたかもアスピリン療法のようなものであつて、われわれはどこまでも再統制にあらずして、栄養攝取の面で飼料風情を緩和したい、こう思うのです。そこで伺いたいのは、今の飼料関係は非常に需給逼迫しておりますので、その需給逼迫に備えて、一体輸入飼料はどれくらい手当をしておるか。それから内地飼料給源であるところの製粉精麦方面から、三月なわ四月なり五月、この向う三月の間ぐらいにどれくらいの供給量があるか。私の想像では、最近麦類券の発行のために押麦が多くなつた、そのために三月、四月は、ほとんど製粉会社原麦をまわす余地がないのではないか。粉の方面から言えばそういう結果になりますが、えさの方から言いますと、三月なり四月、五月はほとんど製粉会社原麦がまわらない。まわつてもわずかなものだ。それでふすまの供給量が非常に少くなる。これらにつきまして、内地の三、四、五月におけるところの飼料供給量はどれくらいあるか、また同時に海外からの輸入手当のついたものはどれくらいあるか、その結果飼料需給関係はどうなるかということを、まず伺いたい。これは大臣でなく、政府委員から御説明願いたいと思います。
  8. 山根東明

    山根政府委員 飼料輸入の見通しにつきましては、年間とうもろこし九万トン、大豆かす六万トン、合せまして十五万トンの輸入が実現すれば、一応の需給の、バランスがとれるという計画を持つております。これは計画ごありますが、御承知のように飼料輸入自動許可制になつておりまして、飼料資金として幾らというふうに特定はされておりません。言いかえれば、早ければ幾らでもという形になつておるわけでありまして、現状におきましては、輸入商社契約進捗状況を申し上げますと、すでに大豆かすも、豆も、とうもろこしも、それぞれ五万トン程度契約が進行中であります。このことはさきの九万トン、六万トンの計画に比べてみます場合には、比較的順調に実施が行われておるというふうに見ることができると思うのであります。  それからふすまの生産見込みについてのお尋ねがありましたが、実は一月、二月の加工計画が、原麦にいたしまして二十六万六千五百七十五トンの加工計画食糧庁で立てておりまして、これから発生いたしますふすまが五万五千九百八十トン。実はこのことは、私どもが理想として月間欲しい量に対しましては、若干少いのであります。今日の飼料事情逼迫も、小麦需要といいますか、配給辞退その他の関係で、小麦加工計画が、私ども期待しますものを若干下まわつておるということに、今日の飼料逼迫一つ原因があるというふうに考えておりまして、一、二月の間の五万五千九百八十トンの計画では、私どもとしてはある程度不足するわけであります。ただいま食管当局と、何かこの間に臨時にでも増産計画を立ててもらうことができるだろうかということで、相談をいたしておるような事情でございます。
  9. 河野謙三

    河野(謙)委員 食糧庁長官に、私の今お尋ねした三月なり四月なり五月、向う三箇月間ぐらいの加工予定量を伺いたいと思います。これは一番目先の大きな問題でありまして、この予定がついていないはずはないと思います。それをひとつ伺いたい。
  10. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 三、四、五月の加工数量でありますが、今数字を持つて来ておりませんけれども、大体普通の加工計画は立てておると思つております。ただフリー・クーポン実施に伴いまして、押麦需要が多い。その結果小麦粉の需要が若干減退しておるという事情があります。そのためにふすまの生産が若干加工計画の上から減りまして、ふすまの生産も従つて減るという結果になります。その結果、飼料の方に悪い影響が来るという点を御指摘になつたのであります。そこはやはり飼料事情もかみ合せまして、若干の調整はできるものではないかと考えております。
  11. 千賀康治

    千賀委員長 ちよつと河野君にお願いしますが、大臣予算委員会でもすでに待つておりますから、なるべく大臣に対するものだけを先にお願いいたします。
  12. 河野謙三

    河野(謙)委員 これは実に驚き入つた答弁ですね。一体三月、四月、五月にどれくらいの輸入の確実なところがあるかということも政府は発表できない。また内地加工もどれくらいできるかわからないということであるから、えさがどんどん上るのだ。われわれが言うまでもなく、取引は生きものであります。毎日血が流れるように流れておる。だからあなたたちの方で、少くともえさはこれこれこういうふうな順序輸入する、これこれこういう順序加工する、従つて需給関係からいつて安心だということを、まず政府から発表されて、これを徹底させなければ市価は決して安定しない。そういう態度であるから、むしろ私は逆に言えば、今のえさ市価政府があおつておるという結果になると思う。  今委員長から御注意がありましたから、私は大胆に続いてお願いいたしますが、大臣、今お聞きのようなわけで、政府市価の安定について何らの考慮も努力も拂つていないということは現実の問題であります。そこで私は過去を追いままんが、この際に早急にえさ需給関係について、天下の農民によく安心させるような施策を講じ、これを発表していただきたい、かように思います。それでまず第一に、政府ですぐ今日にでもできる問題は、先ほど小笠原委員からもお話がありましたが、政府手持ちえさ拂下げの問題であります。過去の拂下げについてのことは、大臣もたびたびお聞きになつておるでありましよう。重復するかもしれませんが、過日二万一千トンのとうもろこし拂下げをやつたところが、三等分されて、三分の一の七千トンが養鶏方面行つた、三分の一がえさ配合工場行つた、残りの三分の一が商社行つた、こういうことですが、そのうちの最も弊害を生んだものは商社の七千トンであります。七十五円で拂い下げたものが、今百五十円で売つておる。しかもこれはえさのつもりで拂下げになつたものが、必ずしもえさに行つていない。政府が重点的に養鶏飼料として拂い下げたものが、終局的に養鶏に行つていない。そこに非常なロスがあることと、その間に買いだめ売り惜しみがあつたために、非常な暴利をとつておる、拂下げ価格の倍額に上つておる、こういう弊害現実にあつたのでありますから、今回また続いて行われる拂下げ方法につきましては——私が伺いたいのはここでありますが、少くとも直接重点的に畜産飼料として出したものはそれ以外にまわらないように、ロスの出ないような拂下げ方法を、まず第一に考えてもらうこと。第三には、その間にあつて買いだめ売り惜しみ等商人の活動する余地がないような方法をとつてもらいたい。これをもつと具体的に申すならば、農民団体もしくはこれに準ずる団体に限つて随意契約によつてつていただきたい、かように私は思います。それ以外に、過去に起りました弊害を防止する方法はないと思います。これについて、大臣からひとつ見解を承りたい。  もう一つ、最近ふすま、麦ぬか、米ぬかが非常に暴騰しておりましてたとえば米ぬかの例で申しますと、昨日も食糧庁長官に申し上げた場合ですが、米を精白する場合の加工賃をきめるときに、米ぬか価格農林省では二百六十何円かにきめたわけであります。その予定価格の二百六十何円が、現在では八百円しております。それから製粉にいたしましても、製粉加工賃をきめる場合の副産物の、ふすまは三百何円かになつておりますが、それが現在は六百五十円しております。麦ぬかにいたしましても非常に暴騰して三倍近くの三百五十円くらいしております。こういうことは加工賃を逆に上げるか、さもなければ副産物価格を、現在の加工賃をきめた当時の価格に安定させるか、どちらかの方法がとらなければならない。ところが加工賃を引上げるということは非常に食管の会計上ぐあいが悪い、また消費者価格関係もあつてぐあいが悪いので、どうしても加工賃をすえ置かなければならないという前提に立つた場合には、現在の加工賃をきめた当時の副産物価格に、これを安定させる方法政府はとるべきであると私は思いますが、この点についての御意見をひとつ伺いたいと思います。
  13. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 非常に飼料逼迫して、国会の問題になつておることは私も遺憾と思いますが、現在食糧庁の持つておる相当数量のものを放出することについての非難をなくするように、われわれは努力いたします。また方法等については、あなたのおつしやるような点を検討いたしましてなるべく早くこれを放出して全国の家畜を飼つておる方々安心をさせるような方法考えたいと思います。それから加工賃その他についてもいろいろ問題があるよでありますが、なるべく安く市価が安定するように方法を講ずるほか道がないと思いますが、要は放出する数量をなるべく多くいたしましてこれが中間でとまらないように、まつすぐ消費者に行くようにする以外に道はないと思います。これは食糧庁畜産局とよく相談いたしまして、早急に案を立てて具体的なものを示したいと思  います。
  14. 河野謙三

    河野(謙)委員 申された趣旨はよくわかりました。ただこれを至急に具体化するように、しかもこの問題は急を要しますので、一日、二日のうちにひとつ御決定を願いたいということを希望申し上げます。  それから一つ食糧庁長官に伺いますが、昨日か一昨日か、あなたの方から豆かすなどの拂下げをやつたそうであります。その相場はお聞きになつておると思いますが、私の知つておる範囲内では、名古屋で七万二千円、東京、大阪で六万何千円という落札があつたということです。これは一貫目に直しますと百七十円くらい、小麦が百五十円くらいになる。こういうことをあなたの足元でやられて、荒しまわされて、それであなたはどういうような御見解を持つておられるか。この豆かすについても今後どうしたらよいかということの御意見を伺いたいと思います。
  15. 安孫子藤吉

    安孫子政府委員 豆かすはおそらく油糧配給公団の処分のものじやないかと思います。それで先ほど来いろいろ話がありましたが、前に豆かすについて大手筋が買い占めて、それが消費者に渡らないというような非難一つつたのであります。それでその辺をいろいろ検討いたしましてそういうことがあつてはいけないからということから、おそらくその分だと思いますが、今回の入札は小口にわけまして実需者を対象とする、それから最高でも十口しか申し込めぬというような、結果的には数量的に制限をするようにする。そうして転売等はあまり認めないで実需者に行くというような仕組みでもつて相当制限して入札したわけであります。しかし入札はするが、一人が買い占めるような体制はくずして行き、できるだけ大勢の人口均分するような仕組みをされて実行したその分じやないかと思います。ただいまお話のありましたような落札価格がどこまで行つたかどうかということは私は聞いておりませんから、できるだけ実需者に渡りますように、また一部の買占めが行われませんように、入札制度のもとにおいてもそういう方法を講じたいということを考えております。
  16. 吉川久衛

    吉川委員 先ほど小笠原委員の尋ねられたことについて、大臣は両局長が話合つてできるということでしたが、そういうことでは今までのやり方で非常にむずかしいと思うので、大臣に一骨折つていただいてはつきりと数字を立てて仕事のできるようにしていただいた方がいいのではないかと思う。  それから同僚委員からも問題が出されておりますが、飼料問題は確かに政府やり方がよくないと思う。そういう点も改めなければならないと思いますが、朝鮮動乱を契機として一ぺん衰微した畜産が盛んになつて来まして、最近は政府の指導がよろしいというの  ではないが、動乱影響食糧関係思惑から、家畜の頭数が非常にふえて来ております。これは需要増ということもあるのですが、それに対する対策は、ただいま同僚委員が要請されたような問題をすみやかにやつていただくと同時に、そのほかの飼料問題についてのお考えも、あわせてやつていただかなければならないと思うのです。本年度農林省の要請された予算は、初め牧野改良だけを見ましても二億とか言われておりましたが、予算面を見ますと、わずか八百万円になつている。こういうようなことで一体飼料問題が解決するか。廣川農林大臣大蔵大臣と非常にお心安くてこの予算の問題については、政治的な偉力を発揮していただけるということで、農林省も、また農村の諸君も非常な期待をかけていたが、二億の予算が八百万円になつた。こういうことで日本一体飼料問題が解決するかどうか、これはひとつ真剣に考えていただかなければならぬと思います。十九世紀の末葉、ヨーロツパを襲つたところの第一次農業恐慌のときに、英国はその打撃を受けて大衆零落というのにあつたそうでありますが、デンマーク飼料問題で畜産農業といいますか、酪農経営に転向して、あの資源の乏しい、小さな恵まれない国が、あれだけのりつぱな国になれたという歴史を振返つて見ましても、日本の今置かれている状態は、大いに学ばなければならない状態にあると思うのです。こういうときに、この畜産問題に対して非常に政府は御熱意が足らないように考えるのでございますが、この点について、大臣はどういうようにお考えになつておいでになるのか、伺つておきたいと思います。
  17. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 飼料の問題について、期待に反していることは先ほど申し上げました通り、率直に直しまして皆の満足行くようにいたしたいと思います。  それからデンマークの例を引いての畜産関係お話でありましたが、予算面において足りないところは、農林中金の中短期資金等を放出いたしたいと思つております。そうして飼料の一般的な問題も解決するようにはからいたいと考えております。
  18. 原田雪松

    原田委員 大臣お急ぎのようですから、お帰りにならないうちにお聞きしておきます。家畜人間も生物であり、動物である。これは申し上げるまでもないことでありますし、人間の方の食糧需給は確保して、一人でも飢える者を出さないようにという施策をします。ところが家畜も同様でありまして家畜飼料はもちろん劣等のものだから、食い物はどうでもいいというわけには行かぬと思います。飼料の中でもでも粗飼料濃厚飼料とあるのでありますが、粗飼料のみで養われる動物と、濃厚飼料をやらなければどうしてもいけない動物とがある。そういう意味からいたしますと、少くもこの飼料政策というものをいまだに政府が樹立していないということが、私は根本の誤りではないかと思うのであります。少くも今農業経営の上に有畜営農合理化をはかれということが大分叫ばれております。のみならず、畜産が個人の生活に必需なものであるということも一般が認めております。畜産はどうしても奨励しなければならぬと言う口の下から、何らこれに対する行政措置が打たれていないということは、まことに私どもは寒心にたえない。これは財産に評価すると国の財産は大したものである。たとえてみますと、牛が二百三十万頭おる。それも乳牛を含む。馬が百万頭、その他の中小動物が八十万頭おる。これを評価してみたらたいへんな金になると私は思う。それが日本農業にとつてなくてもいいようなものならば別でありますが、どうしても切り離すことのできない、密接不可分の関係にあるものである。そうしますと、今ごろこの飼料問題を右往左往することがあやまちである。大臣はその方面に非常に理解のある方であるが、この飼料対策を根本的に考える御意思があるかどうか、そうしてこれに対するところの大きな手を打つていただけるかどうか、これは畜産家としてぜひお尋ねしておかなければならぬ重要な問題と考えるのであります。  第二点は、今申し上げましたように飼料調整の問題でありますが、現在までは機構、制度の欠陥のために、畜産局飼料課というものを設置しておりますけれども、これは何ら手を打つことがないのであります。むしろ食管法によりますところの食糧庁のこぼれものを哀願して流してもらつたものを飼料にかえてやる、この程度のものなのです。昨日も私どもは小委員会でいろいろ相談を申し上げたのでありますが、これは機構がそうなつておりますので、ただちにそれを把握して——しかしこれは大臣の所管内に入りますので、飼料にまわす方のわくだけは畜産局飼料課に自由裁量によつてやらせるようにしてもらいたい。なぜならば今現にとうもろこしが約六千余トン残つております。この六千余トンのとうもろこし拂下げしようという連中は、約十万以上に上つておる。しかもこれがほんとうの実需者に参るならばよろしい。つまり実需本位の拂下げならばよろしいが、メーカーとか、何らか中間マージンのためにこれを流すということは、私ども畜産人の一人として指をくわえて見ておるわけには行かない。もつとも入札制度をやられると、これはまた困ることになるが、そういう面が非常に不明朗な点がある。だから昨日も私どもは、結局とうもろこしは国内産が二万トン出る。今輸入飼料が約六千二、三百トンある。これを一緒にして出す予定だという話を聞いておる。それは困る、もう食わなければ死ぬような動物が存在しておる限り、まず第一にあるものから救済策として出していただきたい、こういうことを相談しております。また食糧需給課の方からも、そのわくだけはやつてもさしつかえなかろう、しかし機構の点において幾らか不便な点がある、こういう説明を聞いておりますから、きようは幸いに食糧庁長官も御出席でありまして、大臣みずからその裁決を下していただきたい。これははつきりしていただけるかどうか、これを第二点としてお伺いしたいと思うのであります。  第三点は、個々になりますけれども……。
  19. 千賀康治

    千賀委員長 なるべく簡潔に願います。
  20. 原田雪松

    原田委員 大豆かすの問題がさつき出ましたが、これもまだ現在三万トンの残りがある。これはもちろん油糧公団とか何とかの関係もありますが、機分でもかまわない、三分の一でもかもわないから、濃厚飼料をやらなければいけない動物、御承知通り乳牛であるとか鶏であるとか、豚であるとかいうものは、ぜひ必要であります。しかも豚が最も主要食物としておりますのは米ぬかでありますが、その米ぬかのごときは、マル公の三倍、ヤミの二倍もいたしておる。それではいかに飼育をやつて販売しようと思つても採算がとれない。そうなりますと、おのずから畜産の衰退を来すことは火を見るよりも明らかであります。どうかその点に御留意を願いまして、ぜひこの際確実にそういうような面にまわしていただくように、お願いいたしたいと思うのであります。  なお最後にお願いしたいことは、五等麦の問題であります。これは大した問題ではないのでありますが、一万トンぐらいしかないそうであります。この一万トンもえさの方におまわしが願えれば、まことに幸いと存ずる次第でります。今いろいろ申し上げましたような、飼料事情によるところのからまつた問題がたくさんございます。だいま簡潔に話をせよという委員長の仰せでありますので、まだ申し上げることはたくさんございますが、なお最後にもう一つ大臣にぜひお願いしたいと思うことは、昨日まで各局の予算の内容の説明を聞いておりますが、今申し上げましたように、農業において畜産が重要性を持つておることを知りながら、予算の表を見ると、私はた違いじやないかと思つておる。実に少い。これではおそらく日本畜産の向上はできないと思う。すでに予算を決定した以上は仕方がありませんが、融資の面は間違いなく確保していただくように、重ねてお願い申し上げておきます。それに対するお答えもこの際承つておきたいと思います。
  21. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 えさのことについて、恒久対策をつくれということであります。これはそういうふうにしたいと思います。それから機構の問題について、食糧庁畜産局との間にうまく連絡がとれるように、しかも実需者にスムースに流れるようにしろということでありますが、これは相談いたします。五等麦を飼料として流せということでありますが、これも早急に相談いたします。飼料をまわしませんと、人間の食う米を動物にやらなければならぬようになりますので、われわれとしても、決して等閉視しておるわけではありません。必ずそういうようにして安心させるようにいたしたいと思つております。それから最後に融資の点ですが、これは十分考えて、そのようにする方針でおります。
  22. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 飼料問題につきまして、先般来いろいろ議論が出ておりましたが、今日本畜産が重大な危機に直面しておる。この問題について、実は昨日来小委員会を開いて検討して参つたのでありますが、小委員会におきましても、きわめて活発な意見が交換されまして、一応結論に到達して参りました。私はこの際、小委員会の経過の御報告を兼ねまして、小委員会で満場一致で決定いたしました飼料対策に関する件の決議案をここで朗読いたします。満場一致の御賛成をお願いしたいと存じます。    飼料対策に関する件   最近の飼料の供給は、極度に不円滑とたり、其の価格も急激な暴騰も来し、ために我国の畜産業は重大な危機に直面している。   政府は、畜産業の安定を図る為、大豆粕、玉蜀黍、屑小麦飼料輸入を促進すると共に、速かに飼料増産の拔本的な対案を推進しなければならない。   なお、現下の窮状を打開するため、政府は差当り左の措置を急速に実施されたい。 一、政府手持玉蜀黍を飼料用として拂下げること。   現在政府輸入玉蜀黍約六、〇〇〇トン、国内産玉蜀黍約二〇、〇〇〇トン、合計二六、〇〇〇トンを手持して居るが、これを速かに飼料用として拂下げること。   なお、其の拂下げに付ては畜産局に一任し、畜産局長の指示に従い飼料実需者に重点的に拂下げること。  二、油糧砂糖配給公団手持の大豆粕を飼料用として販売すること。   油糧砂糖配給公団手持の大豆粕は、現在三〇、〇〇〇トン程度であるが、差当り内一〇、〇〇〇トン程度飼料用として飼料実需者に対して限定入札制度に依り拂下げ措置をとること。  三、麩に付ては、畜産局長の指名する飼料実需者に対して売渡す様措置すると共に、小麦加工量の調節に依り飼料不足を緩和すること。   なお、特に低質小麦輸入を促進して、飼料増産を図ること。  四、政府手持五等麦を、飼料用として拂下げること。   現在政府手持五等麦が約一〇、〇〇〇トン程度あるが、右は各都道府県の実情に応じ、当該都道府県において、飼料として都道府県内実需者拂下げること。  五、米糠に付ても、食糧配給公団の処分する米糠については、飼料用の枠を決定し、これを飼料実需者に対して、限定入札制度又は随意契約に依り拂下げるよう措置すること。  右決議する。  なおこの決議に対しましては、事柄のきわめて重大なるにかんがみまして、本決議に対してとつた政府措置について、来週中、すなわち二月十七日まででありますが、文書をもつて委員会に報告をしていただきたい。どうぞ満場の御賛成をお願いする次第であります。(拍手)
  23. 千賀康治

    千賀委員長 畜産委員長の動議を、本委員会は了承することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。これを了承することに決しました。その他これに関します諸般の手続は、委員長に御一任をいただきたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。さよう決します。横田君。
  26. 横田甚太郎

    ○横田委員 簡單に申しますと、動物人間えさを奪い合う、これは戰時から今日に続いたことであります。これは大体私は農村からとり過ぎるのだと思う。たとえば五等麦です。五等麦が足りなければカナダへ買いに行く、またとうもろこしを買いに行くという。とうもろこしといわず、すべてこれは農村から出たものです。これに対してとり過ぎる、とり過ぎるから、農村で、農民が生活の内容として、また政府自身も言つているように、有畜農業の一環として、それに與えるえさがなくなつてしまうと私は思う。この点に対して、今あるところのわずかの飼料を、消費者に渡さず店屋に渡す、これもいいでしよう。しかし、根本的に経済の仕組みをかえていただく。それに、対して相当施策を持つておられるかどうかということを承りたい。なぜかと申しますと、町では労働者の賃金が安い。だから非常に質の悪い、値段の安いみそが欲しくなる、値段の安いとうもろこしを食つてつた、あるいは、悪い、配給辞退になるような品質のものを配られて、それをがまんして食つてつたというような状態が起る。従つて、労働者の内容といたしましては、購買力が非常に薄いがために、豚が高くなつたら売れない。売れないから、その豚の生産費を低く切り下げなければならないために、しようゆ屋、みそ屋と競争するような單価によるところの飼料は買えない、こうなると思う。これは根本的な問題だと思う。だからこういう意味合いにおいて、今の経済の仕組みにおいて、もし畜産に対する計画があるのだつたら、畜産五箇年計画の推進というような、夢の国のようなことを考えずに、根本的に考え直してもらいたいことが一つと、それから具体的なことといたしましては、ぬかの問題でもそうなんです。これをしようゆ業者に渡さずに農民に返してもらいたい。従つて農民に白米供出なんかうんとやらされるようなお考えがあるかどうか。白米供出をやるためには、非常な施設がいるのですから、それに対して金をどんどんと出してやるお考えがあるかどうか。それから供出に強権を用いるというような考えをやめていただきたい。今日の段階において、農民が、町の人が飢えるという理由のもとにおいて供出をする理由はないと思う。占領数年間を通じまして農民が受取つたものといいますのは、土地をもらつたかわり税金をむちやくちやにとられて安い値段で米麦をとられた。農村は非常に疲弊して来ている。百姓は非常に困つている、この占領五箇年間を通じて、農村の收奪の結果として、日本の労働者が低賃金で働いて、日本の資本の蓄積ができたのであります。だから農民は非常に困つただけだ。供出に対して農民は同調し得なくなつておる。こういうようなときに、去年朝鮮に出すところの麦があり、米があるにもかかわらず、農村においては、外国人を雇つてジープに乗つてまで、強権をもつて供出をやつておられる。こういうようなことはやめられたらいいと思う。  要約すると二つの問題、白米供出を考慮される御意思があるかないか、これに対する施設の費用をお出しになる方策があるかないか。また飼料になる外に方法のないような麦を農民からかり集めるために、農民自身が供出をしなければならないからといつて、悪い麦を買い集めて困るような供出をさせるむちやなことをしないという御意思があるかどうか。この二点だけ伺います。
  27. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 白米供出につきましては、貯蔵その他を勘案いたしまして、全面的にこれをやるという意思は持つておりません。これは貯蔵等において非常に不適当でありますので、適当な範囲において白米の供出は認めますが、これを全面的にする意思はないのであります。  それから供出のことでありましたが、供出は初めて今年から農民の自主的な意思によつて供出をされたのであります。それから特に特定なある種の団体等の示唆によつて、供出を阻害するような者に対しましては、断固たる処置を講ずる考えでおります。それから今後そういつた五等麦みたいなものを供出させるかどうかというお話でありますが、これは御存じの通り、七月から強制供出を廃止いたしまして、自由にする考えでおります。それからまた米の供出につきましても、本年の米の供出を見ればわかるのでありますが、農民が喜んで出し得るようになつておる次第であります。  また朝鮮等にやつた米のことでありますが、これは同量の同質のものが日本に返されるという約束でやつたのでありまして、決して農民から掠奪して朝鮮にやつたということじやないのであります。さように御了承を願います。
  28. 千賀康治

    千賀委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせ申し上げます。     午後零時四十八分散会