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1951-02-07 第10回国会 衆議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月七日(水曜日)     午後二時六分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 中垣 國男君 理事 野原 正勝君    理事 足鹿  覺君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君       小淵 光平君    河野 謙三君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       平野 三郎君    八木 一郎君       山口 武秀君    横田甚太郎君  出席政府委員         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (畜産局長)  山根 東明君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房農林         金融課長)   富谷 彰介君         專  門  員 難波 理平君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度農林省関係予算に関し説明聽取  の件     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  昨日に引続きまして、農林省関係予算説明聽取を行います。  その前に本日の議事進行についてお諮りをいたしますが、本日は大臣官房農政局畜産局食糧庁関係説明を承る予定でありますが、一応各局よりその予算に盛られている諸施設、並びに関係法律の制定、改廃等につきまして説明を聽取いたしまして、その後に直接関係ある問題について質疑を行うことにいたしまして、個々の具体的な問題につきましては、先般議長の承認を得ました国政調査事項に基き、あるいは関係法律案が提出になりました際に十分な審議または調査を行うことにいたし、とりあえず予算説明聽取は本日を持つて終りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 原則は了承するけれども、一刻を争う緊急な問題があるから、そういうものはきようやつてください。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 ただいま非公式でありますが、緊急な問題はきようやらしてくれというような声も聞えたのでございますが、さような場合には適当にとりはからつて、原則的にはただいま提案したように進めたいと思いますから、どうか御承知を願います。それでは農政局長藤田巖君の発言を許します。
  5. 藤田巖

    藤田政府委員 昭和二十六年度予算といたしまして、農政局関係要求をいたしておりますものの大要を御説明申し上げます。御配付をいたしております昭和二十六年度農政局予算という一枚紙と、それから昭和二十六年度農業共済保險特別会計予算という一枚紙、それから昭和二十六年度農政局予算概要という印刷物がございますので、これを御対照の、上お聞き取りいただきたいと思います。  昭和二十六年度農政局予算は、その要求額の総計が、一般会計におきまして七十七億、二千三百五十四万円、これを前年度予算額に対照いたしますと、前年度は五十六億五千百八十九万五千円であつたのであります。もつとも前年度の予算額の中には、当初予算補正予算と両方入つております。それでこのうち二十五年度の当初予算といたしましては四十三億三千三百六十四万二千円、それから補正予算といたしまして十三億一千八百二十五万三千円、合計いたしまして五十六億五千百八十九万五千円に相なるわけであります。従つてこの二十五年度の補正予算のおもなるものを申し上げますと、二の主要食糧農産物種苗対策、このうち七千二百四十八万八千円、これが補正予算でございます。その内容は麦の一割増産運動を二十六年度産麦から開始をいたしましたので、それに関係いたします酸性矯正対策費補助あるいはまた災害関係の稲苗の輸送費補助、これが七千二百四十八万八千円であります。当初予算は四千三百四万八千円であつたわけであります。それから第三の農業委員会、これは当初予算が十六億六千五百四十五万五千円であつたのでありますが、これがベース改訂等伴つて補正予算として五千四百九十万円あとで追加に相なつております。それから七の農業協同組合でありますが、これは当初予算が四千百九十万七千円でございます。補正予算として七百七十六万八千円追加されておりさす。これは法律の改正に伴つて検査を年一回やらなければならぬということに伴つて事務費の増でございます。それから農業共済保險実施関係、この命が当初予算は二十億八百七十七万九千円であつたのであります。補正予算で八億八千七百六十万七千円追加になつております。これは昨年度災害が多かつたために再保險金の支拂い不足をいたしましたので、その追加でございます。それからちよつとさかのぼりまして一三の主要食糧農作物病害虫防除、これは当初予算はゼロであつたのでありますが、補正予算において二億九千五百四十九万円が認められております。この内容は麦の増産対策についての経費、これが七千六百七十五万円、それからいもちが非常に発生いたしましたために、いもち防除関係の命が九千七百八十四万円、それからジエーン、キジア颱風による災害跡地薬剤費補助として一億二千九十万円、これが合計されているわけであります。これが昨年度の当初予算及び補正予算の大体でございますが、それに対応いたしまして、二十六年度の要求は、大体各項目にわたつて増額に相なつているわけであります。  なおこの予算の中で特に二十六年度といたしまして重点的に考え、また特に御説明を要する点を補足いたしておきたいと考えております。この昭和二十六年度農政局予算概要の内訳について、ごらんをいただきたいと考えております。  まず第二の主要食糧農作物種苗対策でございますが、これは戦時から戦後を通じまして、供出制度等関係品種改良ということが非常に遅れて参つておりますので、われわれといたしましては、特に優良品種をつくることに重点を置きまして、主要な、作物の原種圃、あるいは採種圃等設置費について補助をいたすことを考えたのであります。このうち原種圃設置でございます。従来はとうもろこしとばれいしよについてのみ原種圃設置についての補助費があつたのでありますが、二十六年度の予算におきまして特に主要作物であるところの稲、麦及び雑穀、これは大豆が主であります。稻、麦、大豆につきまして原種圃設置についての予算が認められたのであります。これは大体作付面積の六割について、品種について隔年更新をして行くという計画をいたしまして、原種圃をつくらせ、原種圃経費がかかりまして、一般の耕地と同じには参りませんので、この経費の余分にかかりました分だけを補助するという考え方で、要求をいたしているわけであります。  それから採種圃設置費でございますが、これは二十六年度に初めて認められております純新規の部分でございます。原種圃でつくりましたものをさらに採種圃に移しまして、採種圃において十分いい品種のものをつくつて農家に配付することを考えているわけであります。これに伴いまして供出制度についても改善を加えることを考えております。従来は種苗についてもやはり供出割当があり、それは統制のわく内に入つていたのでありますが、今後は食糧管理法の一部改正をいたしまして、その中で特に種苗が一府県内におけるところの移動については一般の統制のわくからはずす、なおまた最初原種圃については供出割当から除外することにつきまして、つまり食糧管理の特例を法律で認めて行くということによつて優良品種ができるようにいたして参りたいということを考えております。  次の二ページの初めの災害対策用種苗予備貯蔵管理費全額補助、これが純新規でございます。これは種ばれいしよにいたしましても、大豆にいたしましても、従来は統制があり、政府買上げがあつたのであります。政府買上げにおいて、若干の特別会計において種については保存をしていただいておつたのでありますが、今度はばれいしよ、大豆等が全部はずれてしまいました。従つて災害が起りました場合に、種苗が不足して手当をしなければならないといいましても、国がこれをあらかじめ持つているということができませんので、これを特定の団体に持たせることにいたし、さらにそれを持つことについての予備貯蔵管理費について、金利、保管料等についての補助をして、災害時における種苗の手当に不足を来させないようにいたしたいということで、これは新しく認められました経費でございます。  次は、三の農業委員会経費でございます。これは従来御承知の農地委員会農業調整委員会改良委員会という三つの委員会があるわけでございますが、合同新しく一本の委員会にまとめまして、農業委員会として総合的に各種の施策を進めて行くということに相なつておりまして、これについては別途農業委員会法を提案する予定でおるわけでございます。それに関係いたしましての予算であるわけであります。これは従来三つの団体がございました当時とは事情も大分かわつて来ておりまするので、予算的には相当削減を受けております。従来農地委員会及び農業調整委員会の大体の予算は、二十五年度におきましては約三十億であつたわけでありますが、それに対応いたしまして、二十六年度は農政局関係においては十八億六千万円の予算が計上され、さらに農地局関係において四億二千万円、合計いたしまして、二十二億円見当の予算が計上されて要求をいたそうとするものであります。  次の單作地帶対策でございますが、これは従来とも実施をいたしております。北海道における温床苗しろ及び内地の積雪高冷地帶の保温折衷苗しろ、この設置費をさらに二十六年度には拡充するというふうなことで要求をいたしておるわけでございます。温床苗しろの設置費は、これは北海道の分でございますが、本田七万五千町歩を対象といたしまして、約三百万坪の苗しろにつきまして坪当り三十三円六十銭の助成、これは大体二十五年度と同様でございます。保温折衷苗しろの方は、二十五年度に比べまして約三倍強の増加に相なつております。二十五年度は大体坪にいたしまして四百二十万坪見当かと思います。それが二十六年度におきましては、千五百万坪ということに相なつておる。これは本田十五万町歩を対象にいたしております。  なお紫雲英採種圃設置費、これは裏作物としての油脂資源の導入をはかつて行くということで、特殊な品種について、雪に耐え、あるいは寒さに耐える品種についての採種圃をつくらせて行くための設置費であります。これにつきましても、二十五年度に比べまして約二倍の増額になつております。それから菜種の共同育苗施設費、これは二十六年度において純新規として認められたものでございます。これは地方維持用の作物の改良増殖をはかりますために、やはり東北方面の特殊な品種のものにつきまして、菜種の共同育苗圃をつくるについての設置費補助いたして行くという考え方でございます。  そのあと事務的なものはずつと飛ばしまして、十一でございますが、北海道農業振興北海道におきましては、特に心土耕混層耕施設費がきわめて必要である、これによつて大いに増産を期待されるというふうな特殊な地帯がございますので、特殊な土壌地帯約一万六千町歩を対象にいたしまして、心土耕混層耕をいたしますために、トラクターあるいはトラクター用プラウトラクター用デスクハロートラクター用カルチユヴエーター、こういうようなものの購入費につきましての助成ということを考えたわけでございます。これも二十五年度は若干ございますが、ほとんど純新規と見てもよろしいかと考えております。  次は十二の植物防疫関係でございます。病害虫防除食糧増産運動の大きな項目として取上げておるわけであります。そのために必要な機動的な防除機具、これは個々の農家が持つわけには参りませんので、大きなものについてはむしろ国が持つ、さらに県が持つ。そうして病害虫が発生いたしましたときに、防除班を組織いたしまして機動的に防除する、こういう態勢を整えて参りたいということでございます。一番初めの機動防除機具購入費、この防除機械の七千万円は大体一千台でございます。二十五年度は動植物の検疫所で約二百三十台の大型の噴霧機等を持つてつたのでありますが、これでは足りませんので、これをさらに千台国において購入し、各地方に分散配置いたしまして、機動的に必要があれば無償で貸すという態勢をとろうといたしております。最後の動力防除機具購入二分の一補助、これは各府県が防除態勢を整えますために、動力防除機具購入いたします場合に、国が半分持つという経費で、約一千台を予定いたしておるわけであります。  薬剤の関係はどうかというと、薬剤は次の十三、主要食糧農作物病害虫防除というのに入つております。これは全量種子消毒をまずいたす。八ページの終りのところにございますが、米麦の種子については全量種子消毒を実行せしめる、このための薬剤の購入費、それから常時病害虫が発生いたします地帯、これを大体稻については、病害については二十万町歩、害虫については十一万二千二百町歩、合計いたしまして三十一万二千町歩、及び麦については防除面積を約二十万町歩、これについて農薬が一回散布分につきまして、国が半額の補助をいたして行くという考え方に相なつておるわけであります。  次は十四の農業共済保險の実施の関係でございます。これについてかわつておりまする点は、特に重要な点は、農業共済組合事務費三分の二補助の点であります。従来は共済組合の一組合当り職員一名分しか計上されておらなかつたのでありますが、二十六年度におきましては二名分、三分の二の補助をいたすごとになつたわけであります。さらに基金勘定特別会計繰入れの中に二十五億というものが認められておるわけでありますけれども、従来基金勘定というものはなかつたのであります。災害長期バランス関係保險料率が算定されておりますが、非常に災害の多い年になりますと、従つて手持ち保險料では政府の支拂うべきところの再保險金が支拂われないというような風情ができて来ておりますので、基金を設定する場合に、迅速に再保險金を支拂い得るようにしたいという考え方からいたしまして、特に二十五億というものが基金勘定として認められたのであります。そのほかの点は、若干ベースがかわつておりますで、金額の異動はありますが、大体来と同じような考え方で計上されてるわけであります。農政局関係予算につきまして、あとは事務的な予算もございますが、むしろ政策的に非常に重要視いたしまして折衝し、これが予算の上に現われております点を申し上げれば、大体さような点であるわけであります。  そのほかに農業共済再保險の特別会計予算というものがございます。これは先ほども申しましたように、二十五億の基金を設定されておるという点が特殊なものであります。そのほか備考に、若干金額が減つておりますが、算出の基礎が若干かわりましたので、変更いたした程度でございます。それから国からの消費者負担分は、従来食管特別会計を通じて一般会計から繰入れをいたしておりますが、その金額は、二十五年度は二十七億であつたのでありますが、これは米価の基礎であるパリティー指数が上りました関係上、食管特別会計からの消費者負担分としての繰入金が四十一億計上されておるわけであります。これは農業勘定の内訳の数字に相なるわけであります。以上が大体農政局関係のおもなる事項であります。  農政局といたしましては、食糧増産関係上、当初要求をいたしました数字は相当大きな数字であつたわけでありまして、一番初めにそのときに考えておりましたのは、一般会計特別会計を通じまして二百二十億見当の要求を当初予算としては出したのであります。このうち農業共済関係が百五十億、その他が約七十億ということで、一番初めに大蔵省との折衝を開始いたしたのであります。農業共済の、百五十億というのは、基金がその当時の原案といたしましては三十八億であつた。それからまた国庫負担区分の変更を要求した。従来国の負担区分と農家の負担区分が大体半分々々になつておりますのを、むしろ国が三分の二持つ、それから農家が三分の一持つというような考え方からいたしまして国庫負担区分の変更を要求した。それから共済組合事務費負担といたしまして、一組合当り約三人ということを要求いたしたのでありますが、それが最終的に決定いたしましたのは、先ほど申し上げた通り基金が二十五億、国庫の負担区分については従来通りでこれを変更することを認められませんでした。事務費負担が当初要求が二十六年三人のものを二人に減額をされて認められたのでございます。  その他の七十億の内容につきましては、このうちの半分が農業調整委員会経費であつたのであります。われわれといたしましては、当初は約三十三億円見当を要求いたしたのであります。農政局関係の分といたしまして三十三億要求いたしましたのが、約十八億ということに相なつております。そのほか農業倉庫の新築、改築の助成の問題、あるいは農業協同組合の債権に対する利子補給の問題、あるいはまた一割増産関係活動費というものを要求いたしましたが、これはいまだ実現を見ておらないわけであります。しかしながら食糧増産関係を通じまして、食糧増産興農運動を展開いたしますに必要な、直接結びつきます経費といたしましては、昭和二十五年度と二十六年度と対比をいたしますと、約八億円見当の増加に相なつておるわけであります。  以上予算概要を御説明いたしました。
  6. 千賀康治

    千賀委員長 次は畜産局関係につきまして山根局長説明を願います。
  7. 山根東明

    山根政府委員 私から昭和二十六年度の畜産局所管予算概要について御説明申し上げます。お手元に縦刷りになつている五枚ばかりの資料が差上げてあるはずでありますから、それに基いて御説明を申し上げます。  最初の二枚は総括表でありまして、事項ごとに前年度予算との対比を一覧的に整えたものであります。一番右の欄にあります前年度事項名、実は昨年度まではこうした事項で相当不統一に予算が計上されておりましたものを整理する意味で、一番左の欄にありますような項目にまとめたわけでありまして、この総額は二枚目にありますように、昨年度七億七千三百四万七千円でありました予算が、二十六年度の予算要求といたしましては、八億八千九百七十四万円ということになつております。この前年度予算額の中には、前年度の当初予算のほかに家畜衛生関係で約一億余り補正予算が含まれております。各事項ごとに三枚目の紙から概要を私から御説明を申し上げます。  最初畜産局一般行政に必要な経費は、畜産局所掌一般事務を処理するため必要な人件費事務費でありまして、特に御説明する点もない経費であります。次の家畜改良増殖に必要な経費として本年一億一千七百二十万二万円の要求をいたしておりますが、その内容のおもなものは、次に書いてさりますように、まず種畜の国による購入とその貸付の経費でありまして金額をここに書いてございませんので申し上げますと、四千五百万余り金額を計上いたしております。この事業は、御承知のように国が種畜牧場を経営いたしておりまして、牧場種畜生産配付をやつておりますが、あわせまして民間種畜事業を刺激すると同時に、民間家畜増産を確保する意味民間優良種畜を買いつけましてこれを貸付する事業でありまして昨年度も大体この程度の規模で事業をいたして来たわけであります。ここで特に申し上げたい点は、最近人工授精技術がある程度進みまして、従つて種畜配付計画もそうした人工授精施設計画とマッチした計画を立てておる点であります。次に第二項の点でありますが、人工授精施設を三百四十箇所増設して五百箇所として、人工授精を普及上、優良種畜効果的利用を期する。このために本年四千二百万円余り経費を計上いたしております。これは過去たしか三箇年引続いてやつておるわけでありまして、既設がすでに二百六十箇所できておるのであります。現在の私ども計画としましては、全国人工授精施設を五百箇所完備したいという年次計画を持つてつたのでありますが、三箇年の実績に照しましてこの施設はできるだけ急速に完備を了する必要を認めましたので、年次計画を繰上げまして、本年は特に残つておりました二百四十箇所の増設計画を気に完了したいというようなことで、予算もその線に沿つて計上いたしてございます。内容人工授精施設に必要な畜舎であるとか、飼料庫であるとか、あるいはサイロでありますとか、備品費及びこで働きます技術員設置経費助成であります。  次に、優良種畜資源更新造成のため、外国からの種畜を輸入するという計画でありますが、これはまことに少い金額でありまして、二百五十八万九千円ばかり計上いたしております。考えております家畜は、種めん羊を濠州から牝牡合せまして二十五頭、アメリカから種鶏を五十羽輸入いたしたい。これを国の種畜牧場で経営をいたしまして、原々種にいたしまして種畜改良に資したいという計画であります。  四番目の家畜改良増殖法による種畜検査でありますが、これも従来からあつた経費で、本年は昨年に比べまして若干増額になつておりまして、千二百万円ほどの計上をいたしております。家畜改良増殖法によりまして、種畜は国の検査に合格したものでなければ種畜として使うことができない、種つけに供與することができないという規定になつておりますので、国が全国候補種畜について検査実施する経費であります。  次に、有蓄営農の奨励に必要な経費といたしまして、二千四百十八万八千円を本年度計上いたしております。この内容のおもなものをかいつまんで申し上げますと、これは立て続けに説明書きしてありますので、私から項目にわかつて説明申し上げますと、最初牧野改良費を計上いたしたのであります。昨年の国会で牧野法が通過いたしまして、牧野の仕事を国として取上げることになつたのに基きまして、改良費を一千万円ばかり計上いたしたのであります。実は改良費につきましては、工事費の面も助成いたしたいという計画予算要求いたしたのでありますが、都合によりまして、助成対象管理規定指導費補助保護牧野調査費補助、立入り検査経費管理規定設定費というような、主として調査、測量的な経費のみに補助金を本年度は認められたわけであります。工事費につきましては、実は何らかの金融的措置でこれを補完して行くという建前をとつたわけであります。しかしながらこの問題は将来の問題としまして、もとより金融的な措置を考究する必要もあるのでありますけれども、私どもとしましては、改良工事に対する助成金も、予算的な措置によつてこれを実施して参りたいという気持を持つております。それから次に、こまかい問題でありますが、有畜営農指導指定地経費、これは昨年も若干あつたのでありますが、本年は計画を約十倍にいたしまして、百三十万円ばかり計上いたしております。それから次に、有畜営農実態調査費でありますが、これは特定部落を指定いたしまして有畜営農実態調査実施しておるのでありますが、昨年は五十部落実施いたしましたのを百部落に拡充いたす計画をいたしております。それからもう一つ自給飼料増産確保経費というのがございますが、これは本省の人件費事務費でございまして、これは百八十万円ばかりでございます。それから酪農振興経費が二百九十万円ばかりこの中に含まつております。それからもう一つ飼料生産指導並びに品質保全経費といたしまして、五百三十七万二千円を計上いたしております。これは飼料統制を廃止いたしましたけれども、私どもとしましては、引続いて飼料施策を重要視いたしておるわけでありますので、たとえば消費実態調査であるとかそういうようなものを中心にいたしまして、人を伴いまして、この経費を計上いたしたわけであります。  次に北海道畜産振興に必要な経費といたしまして、九百四十八万九千円。これはここに書いてありますように、人件費事務費補助と、北海道種畜場の復旧費の補助——復旧費の補助が大部分でありまして、八百万円はそれでございますが、これを国費でもつて計上いたしておるわけでありまして、項目としては前年に引き続いてこうした項目を計上いたしておるわけであります。  その次の家畜衛生に必要な経費が三億七百五十三万円ございます。これは最初に(1)にありますように、家畜疾病の予防及び治療をはかり、家畜資源の損耗を防止するとともに、獣医師法及び裝蹄師法の円滑なる運営を図る必要がある。獣医師、裝蹄師の国家試験に要する経費であります。これは事務費的なものでありまして、金額もきわめて少い金額でありますので、その次の家畜衛生の整備改善をはかるために必要な本省の人件費事務費及び家畜保健衛生所法を運営するためと、家畜伝染病予防法に基き、家畜伝染病の予防、制圧のための旅費、消毒薬品、血清類の購入費、斃殺棄却手当及び評価人手当等を地方公共団体補助するもめに必要な経費である。これが大きな金額になるわけでありまして、これをさらに若干こまかく分類いたしますと、最初家畜保健衛生所法を運営するための経費といたしましては、衛生技術指導施設費としまして八千百万円五箇年計画で、衛生技術指導所——正確な名称はここにあります家畜保健衛生所でありますが、これを全国五百箇所に完備する計画をもつて年次計画で進んで来ておつたのでありますが、人工授精施設費と同じ歩調をとりまして残つております二百四十箇所を二十六年度に一気に完成いたしたいという計画で、前年に比べますれば、経費も従いまして、相当巨額になつ事項であります。次に伝染病予防法による伝染病の予防制圧のための経費と申しますのは、府県の職員に対する旅費の補助、消毒薬品費の補助と、このほかに斃殺手当がございます。これは伝染病にがかりました家畜を強制屠殺いたします、それに対する手当金でありまして、金額総額は一億二千五百三十万円あまりであります。これについて、特にここで申し上げておきたい点は、多年本委員会でもいろいろ問題になりました馬の伝染性貧血、伝貧の問題であります。これはこの際ある程度徹底的な殺処分をして行かないことには、これの及ぼす弊害が非常に大きいという見地から、馬につきましては、合後五箇年間にある程度きれいにいたして行きたい。伝貧をきれいにしたいという計画のもとに、頭数を増加いたしておるのであります。牛につきましても、特に問題であります乳牛の結核でありますが、これにつきましても、一刻もすみやかにこれを撲滅したいという見地から、この予算におきましても牛の頭数等も一つの全滅計画のもとにおける頭数を計画いたしておるわけであります。  次に家畜薬事に必要な経費、これは説明に書いてありますように、薬事法に基き動物用医薬品及び用具の取締りと、家畜用生物学的製剤の検定に必要な本省の人件費事務費及び特定の都道府県に対する補助費ということでありまして、〔委員長退席、野原委員長代理着席〕 薬事法ができまして家畜薬は国家検定を受けたものでなければ売り出してはいかぬという規定に基きまして、私     〔委員長退席、野原委員長代理着席〕 薬事法ができまして家畜薬は国家検定を受けたものでなければ売り出してはいかぬという規定に基きまして、私どもの方で薬事の検定を実施いたしております。そのために人件費事務費のほかに、いろいろな器具機械類、あるいは動物の購入費等が含まれております。それから特定の都道府県に対する補助費と申しますのは、家畜薬の製造所がある程度まとまつてあります東京、大阪、兵庫、北海道、この四都道府県に対しまして、人件費補助をいたしておるのであります。  次に家畜衛生試験場に必要な経費、一億五千二百六十七万三千円でありますが、家畜衛生試験場は、すでに私どもの管下の試験場として本日まで運営いたして来ておるわけでありまして、ここでは各種疾病の調査、試験、研究をやつておりますと同時に、家畜に応用いたします血清類の製造配付をやつております。そのための経費であります。このうちで特に申し上げておきたいことは、これも多年国会で問題になつております伝貧の研究の拡充の問題でありまして、伝貧、が今日までなお病源体もわかりませんし、また従つて治療予防の方法も実はわからない病気でありますので、相当根本的に研究を進めたいということで、これの拡充を計画いたしたのでありまして、本年度は六百八十九万円のほかに、人件費を入れますと約八百五十万円でありますが、これだけの経費要求計上いたしております。前年度に比べますと相当大幅の増額でありますけれども、これは見方によりましてはなお不十分であるという御批判もあろうかと思うのでありまして、私どもの気持といたしましては、将来さらに拡充をはかつて行きたいという気持を持つております。  それから次に家畜衛生試験場北陸支場設置に必要な経費でありますが、家畜衛生試験場の支場は全国に幾つかあるわけでありますけれども、新しく新潟県の柏崎の市外に、従来の馬事訓練所の古い設備がありましたので、これを利用いたしまして、主としてここに書いてありますように、応用面の研究、臨床の研究を主体といたします支場を来年度から設置いたしたいということで、必要な人件費あるいは建物その他の設置費を合せまして、一千万円計上いたしたいのであります。  最後に種畜場に必要な経費でありますが、最初に申しましたように、ただいまのところ国営牧場を経営いたしまして、ここで優良種畜を生産いたしまして、それを原々種的な役割を果させているわけでありますが、全国に十四箇所ございます。経営をいたしております家畜は、あるいは鶏だけの牧場もありますし、また乳牛、めん羊、あるいは馬、それぞれの地帶に即応した計画で経営をいたしているのでありますが、これにつきまして、昨年度より若干増額いたしました経費を計上いたしております。これはかねて司令部側から、この牧場を国が経営することは逐次縮小すべきであるという意見が実は出ている問題でありまして、私どももある程度経営の不合理な面はこれを合理化したいというような見地から、この表にもありますように、本年は定員は約百名ばかり減らしております。ただ事業面におきましては、充実した計画事業をして行きたいというようなことで、事業経費が若干ふえておりますので、総額といたしましては若干増額になつております。  以上が畜産局所管一般会計予算でありますが、このほかに私どもの方では御承知の国営競馬をやつておりますので、国営競馬の特別会計一つつているのでありまして、二十六年度四十九億の歳入、歳出がそれに応じまして四十九億、これは実は資料を差上げておりませんので、はなはだ恐縮でありますが、あと追加してお届けいたします。以上で私の説明を終ります。
  8. 河野謙三

    河野(謙)委員 緊急の問題だけを拾つて私はお尋ねいたします。まずこの畜産の問題ですが、来年度の予算についてはよくわかりました。またこれについていろいろお尋ねしたいこともありますけれども、これとは離れて、今日の問題、明日の問題でえさの問題です。まず第一に政府が持つている、特に食糧庁の関係ですが、持つているとうもろこしその他大豆かす、こういうものの拂下げについて、今までに畜産局長は経過をお聞きになつているかどうか。お答えをいただく前に私から申し上げます。今まで、たとえばこの間やりました二万一千トンのとうもろこしの拂下げは、聞くところによりますと、養鶏組合に七千トンやつた、えさの配合工場に七千トンやつた、残りの七千トンを商社にやつた、そのうち一番問題になつている商社にやつた七千トンが、どういうふうな経路をたどつて一般の養鶏家の所に届いているかということについては、御存じのはずでありますが、私が承知している範囲で申し上げますと、いまだに相場の暴騰を予期してかかえておつて出さない。いわゆる売惜みをやつている、買だめをやつている事実がある。しかもその一部売つているのは、七十五円程度で拂い下げたものを百五十円で売つている。しかもその元は政府のものである。こういう事実がありますが、一体これらの事実についてお聞きになつているかどうか、これをひとつお伺いいたしたいと思います。
  9. 山根東明

    山根政府委員 前回拂い下げましたものが、末端までどういう価格でどういう流れ方をしたか、実は詳しく知りたいと思つて、当時配給をいたしました組合、団体等についていろいろ資料をとつているわけでありますが、今日までのところ、正確に全部の数量がどういうふうにどこへおちついているかということを、実はつかんでおりません。ただ御指摘のように、七十五円前後で拂い下げたものが倍近くで今日市場に出ているという話は、私も地方へ行つて直接聞いたわけではございませんけれども地方から上京いたしましたいろいろの人たちから聞いておりまして、はなはだ遺憾に思つております。
  10. 河野謙三

    河野(謙)委員 そこでまた近く拂下げが行われるようでありますが、そういう事実を認めておられる、聞いておられるということであれば、この次の拂下げには、再び前の轍を踏まないようにという準備は当然あるはずだと思うが、どういう方法で拂下げをやつて行かれるか、これを私は伺いたい。一度だまされたのならばかとは言われないが、二度だまされるとばかと言われますよ。この前商社にやつたときに、必ずしもそういうことを予想してやつたのではないでしよう。商社と政府との間に少くとも紳士協約的なものがあつたはずだ。ところがそういうものを踏みにじつて、いわゆる糸へんとか金へんとかいうものが出て来て買だめをやる、そうして一般農民からしぼり上げるということが現に行われたのでありますから、この事実の上に立つて、今度の拂下げは、私の考えでは、少くとも農業団体に随意契約をするとか、また農業団体に準ずる機関にやるとか、そういうことにすべきだと思う。  もう一つこの拂下げの問題で申し上げますが、配合飼料のえさの工場に拂下げになるというが、一体農林省は、方針としては、えさは單味で有畜農家に與えるという方針になつておるのか、それとも配合飼料でやるのが方針なのか。私は少くとも最近の進んだ有畜農家のえさの知識の程度からいえば、單味でやるべきだと思う。また知識のない者は、進んで協同組合の指導によつて、單味でどこまでもやるべきだと思いますが、莫大な七千トンというようなものを配合の工場、配合の資本家に渡すというようなことについては、非常に私は疑問があるのです。商社に拂い下げることについて疑問があると同時に、また弊害が非常にあつたということについて、この配合か單味かということに関し、畜産局長の御見解をひとつ伺いたい。
  11. 山根東明

    山根政府委員 実は午前中の畜産小委員会で、政府手持ちのとらもろこしを飼料用として配給することについての、非常な強い御要望が委員各位からあつたのでありまして、大部分のお方が、ただいま河野委員のお話のように、畜産団体に流すべきだというお話のようでありました。私も列席いたしましたし、また食糧庁からも需給課長、油脂課長等が参つて、十分御意見のほどは承つたのであります。実はただいま食糧庁の長官も見えたようでありますが、私ども今日までほとんど連日のごとく、食糧庁とこの問題で折衝をいたしておるわけでありまして、きようの午前中のそうした御要望につきましても、それを元にしまして、さらに食糧庁長官と十分協議いたしました上、善処いたしたいと考えております。  それから單味か配合かというお話でありますが、配合を認めるべきではないという、あるいはそういう強い御意見ではないかと思いますけれども、農林省としては、ただいまの段階では、配合飼料を排撃するという立場はとつておりません。むしろ配合飼料工場がその製品の不正なものを出さないようにという点には、十分な注意は持つておりますけれども、今日の段階では、配合飼料そのものを否定する立場をとつてはおりません。
  12. 野原正勝

    ○野原委員長代理 ちよつと河野君に申し上げます。河野君の質問の問題は明日の委員会でやりますから、きようは一応予算説明を聞くという……。
  13. 河野謙三

    河野(謙)委員 一言言わしてください。飼料とか何とかは非常に急ぐ問題ですから……。
  14. 野原正勝

    ○野原委員長代理 それでは簡單に願います。
  15. 河野謙三

    河野(謙)委員 研究して善処するということであるならば、私は食糧庁長官もお見えになつておりますから、このことははつきり御答弁いただけると思うのです。その研究の結果の具体案ができるまでは拂下げを延ばす——商社に押下げて、百害あつて一利ないような、ああいう事実の上に立つて今お考えになる場合に、これを一方において研究し、一方において拂い下げるというようなことは、あなたの方はなさらぬはずである。ところが研究中なるがゆえに時日が間に合わぬために一方で拂い下げることはできぬはずである。ですからこの場合御研究を十分なさることはけつこうです。少くともこの機会に、その方の今後の拂下げ方針についての具体案ができるまでは、拂下げを一時延ばすということはお答え願えると思うのです。私はえさの配合をやめろと言うのではない。農林省が單味か配合か、どちらに指導方針があるか、單味ということに指導方針があるなら、政府の持つておる手持ちの物は、直接農家に單味で行くようにやつたらいいじやないか。私は配合がいけないと言うのじやない、農林省はどちらに指導方針を置いておるかという点をお尋ねしておる。  それからもう一つ農政局長に開きたいのは、えさと同様な肥料の問題なのです。これはやはり農家のきようの問題なのです。一体われわれは昨年の十二月、肥料の小委員会を設けて、この正月の期間に肥料が非常に暴騰することをおそれた。ところがそういう心配はないということで、われわれは政府を信頼して今日まで来た。ところが不幸にして非常に肥料が暴騰しておる。とりわけここで聞きたいのは、燐酸肥料が非常に暴騰しておる、これに対して今燐酸肥料の原料たる燐鉱石は補給金がついておりますけれども、今回のこの予算を見ますと、来年度においての燐鉱石の補給金が予算に載つていない。そういたしますと、農政局長御存じのように、わずか一かますで二百円以上の暴騰になる、この事実は農民は知らぬようでもみな事情を知つておる。そこでこの春の間に一かます二百円もの燐鉱石の補給金がなくなりますと、過燐酸が上るということで、今から農家は肥料の取つけをやつておる。従つて春だけの需給関係で行けば十分間に合うのに、見込買いして肥料の取つけをやつておるために肥料が非常に上つておる。これについて、何とか農林省は燐鉱石の補給金は続いて予算を補正してつける。従つて春に次いで夏秋の肥料も、過燐酸につきましては同様の値段で行くのだという方針を明示されるか、さもなければ、補給金を削るなら削る、その場合に二百円の開きができる、思惑買いが起らぬように過燐酸については公定価格制をしくとか何とか、そこで方法を立てなければいかぬと思う。なお公団が持つております肥料の拂下げの問題につきまして、えさと同様に、肥料におきましても糸へん、金へんがあばれまわつて買いだめをやつておる、この事実はえさとまつたく同じなんです、肥料も引続き最近のように拂下げがあるそうですが、これも政府の方針がはつきりきまるまでは拂下げを一時延ばしてもらいたい。いかに出しましても、途中で糸へん、金へんの所で思惑買いされて、かかえておつては何にもならぬ、農家の手元にちつとも渡らない。だからこれについてもえさと同様に善処していた、だきたい、これについてはつきりした御答弁を願いたい。
  16. 藤田巖

    藤田政府委員 燐鉱石の問題でありますが、私どもといたしましても、燐鉱石の繰上輸入の問題、緊急貯蔵の問題、それからフレートが非常に上つておりますので、これを放任して置けば肥料価格が二倍以上にも上つて来るということはよく承知しておりますので、非常にむずかしい問題だとは存じておりますけれども、農林省といたしましては、やはり春以降の燐鉱石につきましても、何とか補給金をつけてもらいたいという態度で極力進みたいと考えております。それから公団の拂下げ物資につきましてこれが自由になつており、しかも一月三十日に拂下げいたしましたものは一般競争入札、こういうふうな関係がございますので、いろいろの商社その他の団体がたくさん参加をいたしておりまして、お話のような点もうかがえるのでありますが、私どもいろいろさような思惑買いということがあるかないかを愼重に調べておりますが、大口に買つておるものについては、さようなものは現在までのところでは見られなかつたわけであります。しかし今後においても、この問題については十分注意をいたしますと同時に、第二回と申しますか、二月以降の拂下げ分につきましては、一回の一月拂下げの結果から考えまして、何らか方法を是正する必要がないかということを考えております。至急にこれは関係各省集まりまして協議を進めまして、御懸念の点のないようにできるだけやつて行きたいと考えます。
  17. 河野謙三

    河野(謙)委員 拂下げをする前にすつかり具体案ができて、この次の拂下げの場合には、第一回、第二回の拂下げの場合において起りました弊害を是正して、これこれこういう方法で行くのだという案ができるまでは拂下げを延ばすということを、この機会に伺わなければ困る、今までのようにずるずるべつたりでは困る。今農政局長は買いだめとか売惜しみとかいう事実がないとおつしやるけれども、現に丸紅とか何とかいう糸へんの会社で、二百二十円で拂下げられた石灰窒素を三百何十円で売つた事実がある、であるから私は黙つておられない。どうぞこの場合に、あとの具体案ができて、農業団体等に随意契約によつてスピイーデイーに、しかもその間においての買いだめ、売惜しみもなく、農家に適正な価格で渡るというように、政府の手持ちのものでやるのだという安心の行く入札方法がきまるまでは、または随意契約の方法がきまるまでは、拂下げをやめてもらいたい。これを私はこの機会にどうしてもあなた方から伺わなければ、こういうことで一部の金持があばれまわる姿を見て、その陰に農民が犠牲になるということは断じて私は承服できない、委員長は非常に急がれるけれども、これは非常に緊急な問題で大事な問題であります。笑いごとではない、きよう、あしたの農民の問題です。最近の農民経済は非常に悪くなつておる。あなた方御存じのように、貯金の預け入れの状態は非常に悪くなつておる、しかもその悪くなつておる内容が、中以下の下層の農民経済が極端に悪くなつて、大農と小農との間の経済の開きが非常に大きくなつておる。この傾向が顕著に現われるのは今年中です、これを是正するのは政府の責任です。その第一歩として、えさとか肥料とかいう農村の重要な資材については、急いでしかも真劍に考えてもらわなければいけない、私は実際不満がある。もう一ぺんもどりますけれども、えさの場合、去年三万トンも日本から有機肥料を外国に輸出しておるではありませんか、しかもあなたの方のえさの課長がちやんと農林時報に書いておる、しかもこれに対して不満の意を表しておる。ところが不満の意を表しておる畜産局のえさの課長が知らないで輸出ができるはずはない、農林大臣が許可を與えたから輸出をしておるわけである。これだけ足らないで困つておるのに、ついこの間ですよ、昨年の秋に足らないものを二万トンも輸出しておる、許可を與えておる、農林大臣の判を押しておる。そうしておいて年が明けたらもう困つて手を上げておる。こういうふうに肥料といい、えさといい、終始一貫した——少くとも半年ぐらい見越した方針が農林省には少しもないのです。この輸出の問題もあわせて、——今後は輸出は絶対にしないでしようけれども、さらに私は念を押して、今後は有機肥料の輸出はやらないということも、この際ひとつ伺いたいと思うのです。
  18. 藤田巖

    藤田政府委員 公団の拂下げは、御承知通り関係各官庁会議の上決定をいたしておりますので、必ずしもわれわれの考えておる通りには決定をしておらないうらみがあるわけでありますが、御趣旨はよくわかつておりますので、今後の分についても、はつきりとその方針を決定いたし、さらにこれは司令部方面の御了解も得なければ出せないことに相なつておりますので、さようなことをはつきりいたしました上でこれを放出する、かようにいたしたいと思います。
  19. 山根東明

    山根政府委員 飼料につきましても、次回の放出は、先ほど申しましたように今協議いたしておりますが、具体的な方針がきまつた上で拂下げの手続を開始したいと思つております。
  20. 原田雪松

    ○原田委員 肥料とえさに詳しい河野言から、いろいろお話があつたのであります。ただそのうちに、見通しがつくまでは拂下げを延ばす、こういうことでありますが、実は午前中の小委員会では延ばしては困るなぜあるものを死なんとする家畜に早く與えないかというのが、総合的輿論の結果であつたと思います。現在政府が持つておりますのは六千トン余であるが、これを第一次としてさつそく拂下げをしてもらい、そうして国内産の二万トンがそのうちに出るから、それを一緒にまとめてやることがいいだろう。こういうことで、食糧庁の需給課長と飼料課長の天の課長さんがいろいろお話になりました。私どももその中に入りましていろいろ懇談を遂げたのでありますが、結果においてつまり一応食糧として確保せられたものを飼料に流していただくのであるから、食糧庁の親心であることを私どもは感謝をしておる。しかしどうせえさにまわすものならば、食糧庁の需給課でやらないで、特に畜産局飼料課があるのだから、その飼料課の手を通じて、一日も早く、拂下げをしてもらいたい。これが要求である。その点からすると、延ばすということと早くということの食い違いがありますので、記録に残ると困るから、河野委員の御意見に反駁するのではありませんが、午前中の会議では、一日も早くこれをやつてもらいたいということであつたことを申し上げます。それと同時にこの所管の問題でありますが、機構の上において、どうも需給課の方で押えられておるけれどうも、今後は長官なり大臣なりがお話合いになりまして、不適格品で、飼料に適合するものはただちに飼料課の方におまわしを願いたい。また団体も、需要者、つまり実利本位でとる団体にお流しを願いたい。話に聞きますと、六千トン余りのとうもろこしに対して、申込みは十万トンあるという話であります。これはあらゆる面から食い込んで来ておると思いますが、はたしてこれを細分化してやる場合には、飼料の方には流されぬのじやないかという心配があります。なお近ごろ入札が非常に盛んになつておりますが、えさの団体と、あるいは工場の団体との入札ということでは、実に太刀打ちができません。だからえさの方には一定のわくを前提的にまわしていただいて、そうしてそれを特殊配給になさるか、あるいはいろいろな入札の形をとられるか、これは非常に重大なところと思いますが、そういうふうなわくを一応お定め願いたい。この点は局と食糧長官とよくお話合いの上、窮迫した飼料事情の緩和にお努め願うように一言付け加えて、お願いを申し上げます。答弁はいりません。
  21. 横田甚太郎

    ○横田委員 今河野君の言われた質問は非常に正論だと思うのですが、一点非常に不可解に思いますのは、丸紅という所が、石灰肥料二百二十円のものを三百何十円で売つたというのですが、こういう事実があつたのか、なかつたのですか。もしあつたならばそれを知つてどういう手を打たれたかということだけ々承りたいのです。明らかにしてください。
  22. 藤田巖

    藤田政府委員 御承知通り、肥料は全部自由に相なつておるわけであります。ことにカリについては、七割アップという停止的なものがついておりますが、それ以外のものはついてはおらないのであります。従つてわれわれといたしましては、現実にこれを幾らで買い、幾らで売つたという場合に、これを幾らで売らなければならぬと、はつきり押えるところの法的根拠がございません。従いましてその点は非常にむずかしい問題であろうと思つております。ただそれがいわゆる暴利取締りとかいうような点にひつかかりますならば、その面においてはある程度やれると私どもも思いますが、その点については、やはりその売り方というものをよく研究いたさなければ、結果だけを見ましても転々に結論は出ないものと思つております。
  23. 横田甚太郎

    ○横田委員 麦をつくるのにも、米をつくるのにも肥料がいるということは御存じでしよう。そしてせつかくつくつたところの米も麦も——そこに安孫子長官がおられますが、実にひどいことをやつてつておられる。日本の政府がとらなかつたら、外国人がジープを持つて来てとつておる。こんな事実が日本にあるのですよ。つくつたものは全部奪つておきながら、そのつくる基礎になる肥料の代価に対してもつと責任はとれないのか。法がなかつたならほうつておくというのですか、その点をはつきり承つておきたい。後ほど農林大臣も来られましようから、本質的なことはそのときにお尋ねいたしますけれども、法的に処置を講じられないから、暴利の点が現われるまではほうつておくというようなことで、農林省はよいのですか。米や麦をどうしてぬすんだのですか。そこをはつきりしてください。
  24. 藤田巖

    藤田政府委員 これは肥料を全面的にはずします場合に、さような事態は当然予想されておるところであります。さればとて、それが全部それでよいということは考えておりませんが、現在の法制において、統制撤廃をいたしました現状においては、おのずからこれを取締る限界が存する、かように考えております。
  25. 横田甚太郎

    ○横田委員 数量だけを聞かしてください。この丸紅が扱つたというところの——農民には非常に必要な肥料を、丸紅がおもちやにした、その数量だけ聞かしてください。そうしてその金額を知らしてください。
  26. 藤田巖

    藤田政府委員 手元に詳細な資料がございませんので、あとで詳しく資料をつくりまして御報告いたします。
  27. 野原正勝

    ○野原委員長代理 それでは肥料及びえさの問題に関しましては、いろいろ御議論もありましたが、また適当な機会になおはつきりさせて行きたいと思いますが、本日は予算説明を聞くことになつておりますので、引続いて大臣官房の農林金融課長富谷君から、農林漁業金融に関する御説明を聞きたいと思います。
  28. 富谷彰介

    ○富谷説明員 お手元に一枚刷りの紙で、農林漁業資金融通特別会計説明書というのがございます。同じく一枚刷りの紙で、農林省所管昭和二十六年度農林漁業融資計画案というものがございます。この二枚を、ごらん願いたいと思います。  土地の改良でありますとか、造林でありますとか、こういつたような長期かつ低利を要します事業に対する資金の供給は、二十五年度は、対日援助見返り資金がございましたが、総額わずか十億で、とうてい需要を満し得なかつたのであります。二十六年度におきましては、ただいま申し上げました説明資料にあります通り一般会計から三十億、見返り資金から四十億、合計いたしまして六十億の出資を得まして、農林漁業資金融通特別会計設置いたしまして、これがもう一つの紙にあります多極の用途に、そこに書いてありますような利率によつて貸し付けるという計画をいたしております。つまり法案の最後の仕上げに入つておりますので、遠からずこちらの御審議をお願いする段階が来ると思つております。で特別会計自身といたしましても、全然新しく二十六年度から起る問題でございますが、内容は六十億の資金を貸し付けまして、これによつて上つた利息收入で特別会計の支出、つまり事務費をまかなつて行くという建前になつております。特別会計は職員を二十五名持つておりますが、二十五名程度ではとうてい審査はできませんので、最後の貸付の決定だけを特別会計、つまり政府がいたしまして、申請書の受付から内容の審査、これはすべて既存の市中の金融機関にお願いします。市中の金融機関の審査を受けて通つて来たものに対して、特別会計が貸付表するかいなかの決定を行う、こういう考えでございます。特別会計から金融機関に対する手数料の支拂いは、現在最高三分で、大体三分以内というふうに考えております。これが歳出部面の手数料という項目でございます。  それから本年度は予算費がたまたま九千百万円余つておりますが、これは当初この予算案をつくります際に、大蔵省預金部資金の借入れを計画したわけでございます。ところが現在まででは具体的に幾らこの特別会計に借入れを許されるかということがきまりませんので、予備費をとつてございますが、おそらく何がしかの預金部資金の借入れが許されると思います。預金部資金は御承知のように国民の郵便貯金、それから簡易保險基礎になつてできた金でございまして、これを運用するためには、特別会計が借ります場合でも利息を拂うことになつております。大体年利六分程度の利息を拂うことになります。この予備費はただいま申し上げました通り、預金部資金からの借入れができました際の利息の充当分というつもりで考えております。この九千百万円というものを利息に充当いたしますと、約六十億の預金部資金を借り入れましても、この特別会計としては現在の案の利率で貸出しが行われ、しかも特別会計としては独立採算がくつがえされないという段階でございます。簡單でございますが、御説明といたします。
  29. 野原正勝

    ○野原委員長代理 それでは次に食糧庁長官から食糧庁の予算関係説明を聞きたいと思います。
  30. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 最初食糧管理特別会計の方から申し上げますが、拔き書をしたものをお手元に差上げてありますけれども昭和二十六年度特別会計予算の方でごらん願つた方がはつきりいたすかと思います。お手元に配つてあります資料は、食糧管理特別会計歳入歳出予定額、すなわち歳入の方から見て、食糧管理の收入が、昭和二十六年度予算額が五千五百四十三億四千四百六十二万五千円、前年度は四千九百十億一千七百八十四万七千円でありましたために、差引いたしまして六百三十二億二千六百七十七万八千円の増になつております。これは大体單価の値上の等がおもなる原因でございます。事項別に見ますれば、食糧売拂い代が最も大きな数字で、ございまして、二十六年度の予算といたしましては四千三十六億六千二百三十一万九千円でありまして、前年度に比較いたしまして五百二十四億六千七百七十五万四千円の増になつております。これは單価増に伴う原因で、そのほか收入といたしましては格別のものはございません。雑收入として物品拂下代、違約金、弁償金、小切手支拂未済金收入、恩給法納金、雑入というようなほとんど例示的な実績もあまりないものが多数になつてつて、その次に一般会計からの受入れといたしましては、二百六十六億六千百六十四万五千円、これは大体補給金が主に相なります。前年度が百五十三億九千四百二十八万五千円でありますから、百十二億六千七百二十六万円、それから食糧証券及び借入金收入がその次になつております。歳入を会計して五千五百六十三億四千四百六十二万五千円でありまして、六百二十億六千八百三十二万五千円前年度から増になつております。  歳出の方は食糧管理費として事務費が五十億五千五百七十八万四千円、前年度が四十五億五千三百八十七万四百円でありまして、結局合計五億百九十一万三千六百円の増になつております。大体職員の基本給の増等が原因になつております。次の各目をごらんになれば、職員の基本給が三億余の増になつております。これはベース・アップの関係でございます。それから特殊勤務手当、超勤そのほかの諸手当、雑給與旅費、物品費は節約をすることによつて若干前年度から減つております。役務費、食糧費、宣伝委託費、それから輸入食糧市場調査委託費というのが百二十五万円増になつております。今までのところ盲貿易の形になつて偏りましてそのためにいろいろと不利な取引が行われていると思われますので、できるだけ海外市場の調査を十分いたしまして、市況を敏速に把握いたして取引したいという点からして輸入食糧の市場調査委託費をとりまして、その種目をやつて参りたいと思つている次第でございます。施設費、国家公務員共済組合負担金、農林省共済組合短期給付費補助金、賠償及び償還金。  その次が食糧買入費であります。買入れ、保管運送等、今日中間費の問題で問題になるものが、買入費とその次の管理費になるわけであります。国内食糧の買入費が二千三百八十五億二千三百九十九万五千円でありまして、前年に比較いたしまして二百五十二億八千八直一十六万七千円の増になつております。これは数量は若干減つているかと思いますが、單価が上つておりますので、このたびの買入費の増になつております。その次に外国食糧買入費千五百八億九千五百七十六万三千円。バツク・ペイも一応想定いたしましてはじいておりますが、三十四億見ております。麦については、前年度に比べて減つておりますのは、二十五年産の麦についてのバツク・ペイは見ましたけれども、二十六年産のものについてはバツク・ペイは見ておりません。これは自由買付というような方針をとつて予算を編成いたしておりまするので、計上しておらないわけであります。その関係からいたしまして、二十二億の減になつております。包装資材費、これは値上り等から来ておると存じます。早場米奨励金は、いろいろな事情からいたしまして、昨年度六十億でありましたものを三十億程度減らして半分になつております。  それから管理費であります。これは二十六年度の予算額が二百二十億四千十六万八千円、前年度に比較いたしまして九十八億四千四百六十七万六百円の減になつております。運搬費が百四億五千七百五十七万円でありまして、前年度より十五億の減になつております。運搬費については、本年度から相当圧縮をいたしております関係上、前年度より切詰めて計上しております。それから集荷手数料が二十六億九千八百七十二万五千円でありまして、これも前年度から比較いたしますと五億三千二百三十二万一千円の減になつております。これは数量等の見込みから来た減であると思います。加工費でありますが、前年度は百十七億七百四十五万二千円でありましたが、二十六年度は二十七億二千四百七十二万三千円ということで、八十九億八千二百七十二万九千円の減になつております。大体米は別ですが、麦の加工等についてのいろいろの問題もありまして、一応この予算は十月までの分を見込んでおります。従来は全面的に一次加工、二次加工ともおおむね政府加工でやつておりましたが、この辺は統制方式の改変に伴いまして手をつけてよかろうと考えております。従つて二次加工等については全面的に落す、一次加工等につきましても、漸次委託加工方式に切りかえて行くというような想定のもとに、加工費の圧縮を考えたので、ありまして、そのために約九十億の減になつておるわけであります。次は保管料でありますが、これは六十六億七千百九十六万三千円で、前年度よりも十二億三千八百八十三万六千円の増になつております。これはいろいろ食糧がたくさん入つても参りまするし、それの相当長期貯蔵というようなことも加味されました結果、保管料の増が出て来ておるわけであります。次は保存手入費でありますが、貯蔵いたしたものの減耗をできるだけ防止することが、食糧確保の上において非常に重要な問題でありまするので、この点に相当努力をいたしたいということで、保存手入費が一億九千十八万円ということで、前年度よりふやした予算を計上しております。集荷委託費、これは二億九千七百万円でありまして、これも前年度よりも一億五千万円ほど減らしております。  そのほか他会計への繰入れ、これは一般会計への繰入れと国債整理基金特別会計への繰入れ、農業共済再保険特別会計への繰入れというものが従前通りあるわけであります。  そのほかに予備費を三十億とりまして、歳出合計が五千五百六十三億四千四百六十二万五千円という予算を編成した次第であります。以上が特別会計であります。  次に一般会計であります。事項を簡單に申し上げますと、食糧庁一般行政に必要な経費千四百八十六万四千円、これは大体本庁の、現業をあまりやらぬ方面の人件費というようなものであります。大体中間経費の節約等について、食糧管理特別会計に関する事務費、先ほどお話申し上げました職員基本給その他の旅費、物品費等を食管特別会計から一般会計に移しかえるべきであるという意見は、この七十九の食糧庁一般行政に必要な経費特別会計から持つて来てふくらますということをやればいいわけでありますが、そこまで至らないで、本年度予算はこういう形でできております。  その次は食品行政運営に必要な経費、人員が三十九名でありますが、これは旧食品局関係、現在で申しますと、食糧庁の第二部関係の人員の経費でございます。  次が食糧管理に関する諸調査に必要な経費、主要食糧購入通帳等作成に必要な経費、これは主として印刷費が内容になつております。  次に北陸震災地農業倉庫復旧資金利子補給に必要な経費、これは福井の農業倉庫に対しまして、震災の際に農業倉庫を再建いたしましたものの利子を、当時の特殊事情から考えて補給することにいたしましたその補助金でございます。  次は食糧管理特別会計へ繰入に必要な経費四十一億六千百六十四万五千円、次は食料品配給統制に必要な経費、それから物資需給の連絡調整に必要な経費、これは主食以外の各種の雑品に要する経費になつております。それで食糧庁の一般会計経費合計が四十三億一千三百九十九万円、そのうちの四十一億が食管特別会計への繰入れの経費と相なつております。ほかのものは大した金額になつておりません。  そのほかに、食糧庁としては食糧研究所を持つておりますが、この経費が二千四百七十九万二千円、人員は前年度と同様でありますが、若干待遇改善等のためにふえました。概要以上の通りでございます。
  31. 千賀康治

    千賀委員長 それでは食糧庁長官及び大臣官房の方に対する質問がございましたら……。
  32. 河野謙三

    河野(謙)委員 長官御多忙のようですから、ひろつて二つばかりふに落ちない点をお尋ねいたします。まず補給金について、原案は大分前に出たのですが、相かわらず二百何十億になつております。これはおそらく倍の四百五十億ぐらいいるのじやないかと思いますが、現在ただいまのところでも、このままで補給金は間に合うとお思いですか、これが一つ。それから加工賃は前年度との比較では非常に下つております。これはたとえば製粉のごときは、加工賃は赤になつて逆に政府の方でもらえる。精麦も同様です。精米にしても、最近におけるぬかの高騰等から、これはむしろ政府の方がもらえるのじやないかと思います。それを非常に下つたと言つてもまだ二十七億からの加工賃が出ておりますが、これがちよつとふに落ちないのでありますが、御説明願いたいと思います。
  33. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 補給金でありますが、これは今の買付の状況から申しまして足りなくなると思つております。今二百二十五億の補給金を組んでおりますが、当時の想定といたしましては、たとえば米は百四十ドル、小麦が九十ドル、大麦が七十二ドルというような基礎で單価を出しております。しかし最近の見通しとしては、米はどうしても百五十ドルを上まわるだろう、あるいは小麦が百五ドル大麦が七十二ドルと想定したのが九十五ドルというようなことに相なつて参りますので、そうした單価を修正して、数量は動かさないで米が九十ドル、小麦が七十ドル、大麦が六十ドルという現在の單価をとつて押えてみまして、概算はじいてみますと、約四百億近い補給金を必要とすることになると思います。そうしますと、百七、八十億の補給金の増ということが考えられます。それをこの際予算更正をするか、あるいはこの二百二十億五を使つて、この次の機会に予算更正をするかとい点については、財政当局のいろいろな技術的なやり繰りの問題もあろうかと思いますので、この点は今十分に打合せをいたしておりますが、私どもとしては、現在のままもつてすれば、補給金は今の二百二十五億では足りないという結論に達しております。それから加工賃の問題で、副産物の収入が相当に上るために、むしろ政府の方で加工賃を支拂わずして、受取り勘定になつてしかるベきであるという点はごもつともだと思います。この点は十分に見込みましてやつて、おるのでありますが、受取ることが現実にないのは、一つは包裝資材を向うが買取る形になつておりますので、それを差引きますと、政府が收入にあげるものがなくなるという形になつておるわけであります。副産物の値上りについては、先ほどもお話がありました、ように、実は農林省全体としては非常に矛盾した問題があります。私どもとしては、加工賃はできるだけ切り下げて参るという方向で進みますと、加工工業といたしましては、公定価絡のない現状において、副産物を相当上げてカヴァーして行く。それが結局よその価格等に悪い影響をもつて、まわりまわつて食管特別会計で引継いだものが副産物の收入の値上りになる一つの因子にもなるわけであります。その点は農林省全体として調整をとつて参らなければならないと思つております。
  34. 河野謙三

    河野(謙)委員 加工賃につきまして重ねてお尋ねしますが、今御説明のありましたように、非常に副産物の価格が高騰しております。ここで加工賃についての改訂をおやりになる意思があるかどうか、これがまず第一点であります。それから何と申しましても副産物の発生場所は、政府の指定する委託加工工場から発生するのでありますから、一般の自由経済市場におけるものとはちよつと別な考え方政府は持たなければいけないと私は思います。一つの例が、大蔵省の所管でありましたか、樟脳等はたしか大蔵省は価格を指示しております。こういう方法で、農林省指定の加工工場から発生する副産物については、樟脳と同様な措置を今後とる御意思があるかどうか、これをひとつ伺いたい。私は補給金の問題について、この国会に、おいて予算の補正をするか、それとも次の国会にまわすかということについてはおのずから財政当局の意見があると思いますが、加工賃の問題については、この際明らかに事実がわかつておるのでありますから、さつそく補正予算としてお出しになるべきではないかと思いますが、この点をひとつ伺いたい。
  35. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 現在は委託工場になつておりますから、副産物の暴騰については昨今の情勢からいたしまして、ただいまのお話がありましたような措置をとるべき段階にあると思つております。それに基いてただちに予算を更正するかどうかという点については、もう少し研究を進めて行きたいと思つております。
  36. 横田甚太郎

    ○横田委員 国内食糧の買入費が非常にたくさん出ていますが、私たちが部分的に見た農村におきましては、これが逆であります。これはアメリカ食糧に金をたくさん拂うので、上つているのではないかと思う。たとえて申しますと、新潟県の亀田のごときは米所でありますが、二十四年には大体一億一千万円の米代がとれた。それが今年は逆になりまして、七千二百万円しか入つていない。ここでは三町程度つくつている百姓さんで十五万円損だと言つている。それから一町四反つくつている百姓さんで四万円から五万円損だと言つている。これはここだけではない。全国一律です。こういう意味合いにおきまして非常にわかりにくいと思うのでありますが、予算面では非常に大きくふえている。  もう一つわからないことは、このごろ故意に検査で等級を落している。検査しない前から三等というような判を持つて行かない。四等と五等を持つて行く。こういう例はほかにもたくさんある。かような点から予算は少し狂つているのではなかろうか。こういうようにうまく書いてありますけれども、その点にも大きなからくりがあるのではないかということを考えるので、ちよつとお伺います。
  37. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 おそらく新潟の例をとると、こういうことになるのではないかと思います。この予算には載つておりませんが、従来は超過供出奨励金が三倍で、農家の手取り、特に新潟、東北のある地借帶に参りますれば、基本米価のほかに超過供出奨励金の收入が相当多かつた。それが超過供出奨励金が今年などは〇・二五倍になつたという関係からいたしまして、基本米価は上つたけれども農家全体の手取りが少くなつたという事情はあろうかと思います。この全体の比較をするとすれば、食糧の買入費のほかに、つまりバツク・ペイと、それから早期供出奨励金、それから従来ありました特別超過奨励金というものを総計したものを比較してみることが、農家全体の手取りの上から見れば必要であろうかと思います。それからそれをいたすについても、全国的に均分されるか、あるいは超過供出奨励金というような制度があれば、比較的早場地帶、あるいは單作地帶に多く落ちておりますから、そういう地域的な分布もやはり加味して判断しなければならぬかと思います。基本米価の買入費だけ上つている——これは米価を上げているから、その通りなのであります。今指摘のような例が出て参りますのは、以上申し上げたような点からの、違いが現実の問題として出て来るかと思います。
  38. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは部分的に米代を普通にもらつているのや、少いところもある。しかし全国的には多いという意味ですか、もしそうであるとすれば、どういうところが多くなつて、どういうところが少くなつたのですか。
  39. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 私の言うのは、つまり三倍の超過供出奨励金を廃止することによつて、どの地帶が一番その面からの打撃があるかということの概定をいたしますれば、北陸、東北地帶が比較的よけいに超過供出奨励金が落ちておつたと思います。従つてそれを廃止することによつて、その地帶に比較的金の落ち方が少くなつたということは言えると思います。
  40. 横田甚太郎

    ○横田委員 もう一つお尋ねいたします。きようの日本経済だと思うのですが、あれには、アメリカの大麦が非常に割高になつたので買いにくくなつた、だからアメリカの低質大麦の買付にあせつておられる、こういうことが出ておつたが、あれは一体どういう目的で、どういうふうにお使いになるのですか。そういうことは新聞記事だけですか、やはりそういう動きがあるのですか。
  41. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 日経は実は読んでおりませんが、アメリカではなくて、カナダについてはそういう問題も私どもございます。カナダの麦が昨年は霜の害のために不作であつた。それで非常に下等品が多くなつたのです。日本でいえば五等麦というものが相当多い。これを買いますと歩どまりが非常に落ちまして、食糧としてはどうかと思う点がある。しかしえさその他の用途には充当されるわけです。日本の外貨資金とにらみ合せまして、カナダの、五等と申しますか、等外の麦が相当ありますが、これをどうするかということは、私どもとしてはいろいろ検討しおります。アメリカではなくてカナダの問題ではないかと思うのですが……。
  42. 横田甚太郎

    ○横田委員 同じカナダでも、その麦の値段と普通の麦の値段とどのくらい違うのですか。
  43. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 これはまだオツフアをとつておりませんので、どれくらいの値段になるかということはちよつと申し上げかねます。
  44. 横田甚太郎

    ○横田委員 もう一つこのことについて質問いたしますが、これは食糧その他に不向きだと今おつしやいましたが、しかし入れた限りにおいては、食糧として配るつもりでお買いになるのか、それともまたえさにおきまわしになるのですか。
  45. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 入れるということは今のところ考えておりません。
  46. 横田甚太郎

    ○横田委員 これを入れるといたしまして、きようの畜産小委員会飼料の問題にもあつたのですが、大体日本ではふすまが非常に足らない、普通ふすまが入る所は中共地区くらいしかない、こういうようなことを言われておるのが、そこがだめだ——仮定の問題であなたもこういうようなことを答えるのはいやでございましようが、これを飼料にまわす場合と、それから中共からふすまを買う場合とは、一体どれくらいの値段の開きがあるでしようか。
  47. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 ちよつとそういう計算をやつておりませんので、何とも申し上げかねます。
  48. 横田甚太郎

    ○横田委員 中共のふすまが入つて来ないのですから、これはやがて現実の問題となると思うのですが、今計算していないのだつたらいつか計算してもらえますか。計算してもらえるのだつたらいつごろこれをもらいに行けばいいか。
  49. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 中共貿易が一応ストップしておりますので、その辺の材料も実は私のところではありません。材料が收集できるような段階になりましたならば計算をしてみます。
  50. 野原正勝

    ○野原委員長代理 それではこの問題は、いずれ横田君からひとつゆつくり研究してもらうことといたしまして、本日のところは会議はこれで終ることにいたします。     午後四時四分散会