○
山根政府委員 私から
昭和二十六年度の
畜産局所管の
予算の
概要について御
説明申し上げます。お手元に
縦刷りにな
つている五枚ばかりの資料が差上げてあるはずでありますから、それに基いて御
説明を申し上げます。
最初の二枚は
総括表でありまして、
事項ごとに前年度
予算との
対比を一覧的に整えたものであります。一番右の欄にあります前年度
事項名、実は昨年度まではこうした
事項で相当不統一に
予算が計上されておりましたものを整理する
意味で、一番左の欄にありますような
項目にまとめたわけでありまして、この総額は二枚目にありますように、昨年度七億七千三百四万七千円でありました
予算が、二十六年度の
予算要求といたしましては、八億八千九百七十四万円ということにな
つております。この前年度
予算額の中には、前年度の当初
予算のほかに
家畜衛生関係で約一億
余りの
補正予算が含まれております。各
事項ごとに三枚目の紙から
概要を私から御
説明を申し上げます。
最初の
畜産局一般行政に必要な
経費は、
畜産局所掌の
一般事務を処理するため必要な
人件費、
事務費でありまして、特に御
説明する点もない
経費であります。次の
家畜の
改良増殖に必要な
経費として本年一億一千七百二十万二万円の
要求をいたしておりますが、その
内容のおもなものは、次に書いてさりますように、まず
種畜の国による
購入とその貸付の
経費でありまして
金額をここに書いてございませんので申し上げますと、四千五百万
余りの
金額を計上いたしております。この
事業は、御
承知のように国が
種畜牧場を経営いたしておりまして、
牧場で
種畜の
生産配付をや
つておりますが、あわせまして
民間の
種畜事業を刺激すると同時に、
民間の
家畜の
増産を確保する
意味で
民間の
優良種畜を買いつけましてこれを貸付する
事業でありまして昨年度も大体この
程度の規模で
事業をいたして来たわけであります。ここで特に申し上げたい点は、最近
人工授精の
技術がある
程度進みまして、
従つて種畜の
配付計画もそうした
人工授精施設計画とマッチした
計画を立てておる点であります。次に第二項の点でありますが、
人工授精施設を三百四十箇所増設して五百箇所として、
人工授精を普及上、
優良種畜の
効果的利用を期する。このために本年四千二百万円
余りの
経費を計上いたしております。これは過去たしか三箇年引続いてや
つておるわけでありまして、既設がすでに二百六十箇所できておるのであります。現在の私
どもの
計画としましては、
全国に
人工授精施設を五百箇所完備したいという
年次計画を持
つてお
つたのでありますが、三箇年の実績に照しましてこの
施設はできるだけ急速に完備を了する必要を認めましたので、
年次計画を繰上げまして、本年は特に残
つておりました二百四十箇所の
増設計画を気に完了したいというようなことで、
予算もその線に沿
つて計上いたしてございます。
内容は
人工授精施設に必要な畜舎であるとか、
飼料庫であるとか、あるいはサイロでありますとか、
備品費及びこで働きます
技術員の
設置の
経費の
助成であります。
次に、
優良種畜資源の
更新造成のため、外国からの
種畜を輸入するという
計画でありますが、これはまことに少い
金額でありまして、二百五十八万九千円ばかり計上いたしております。考えております
家畜は、
種めん羊を濠州から牝牡合せまして二十五頭、アメリカから
種鶏を五十羽輸入いたしたい。これを国の
種畜牧場で経営をいたしまして、原々種にいたしまして
種畜の
改良に資したいという
計画であります。
四番目の
家畜改良増殖法による
種畜の
検査でありますが、これも従来からあつた
経費で、本年は昨年に比べまして若干
増額にな
つておりまして、千二百万円ほどの計上をいたしております。
家畜改良増殖法によりまして、
種畜は国の
検査に合格したものでなければ
種畜として使うことができない、
種つけに供與することができないという
規定にな
つておりますので、国が
全国の
候補種畜について
検査を
実施する
経費であります。
次に、有蓄営農の奨励に必要な
経費といたしまして、二千四百十八万八千円を本年度計上いたしております。この
内容のおもなものをかいつまんで申し上げますと、これは立て続けに
説明書きしてありますので、私から
項目にわか
つて御
説明申し上げますと、
最初に
牧野改良費を計上いたしたのであります。昨年の国会で
牧野法が通過いたしまして、
牧野の仕事を国として取上げることにな
つたのに基きまして、
改良費を一千万円ばかり計上いたしたのであります。実は
改良費につきましては、
工事費の面も
助成いたしたいという
計画で
予算を
要求いたしたのでありますが、都合によりまして、
助成の
対象は
管理規定指導費の
補助、
保護牧野の
調査費の
補助、立入り
検査の
経費、
管理規定の
設定費というような、主として
調査、測量的な
経費のみに
補助金を本年度は認められたわけであります。
工事費につきましては、実は何らかの
金融的措置でこれを補完して行くという建前をとつたわけであります。しかしながらこの問題は将来の問題としまして、もとより金融的な
措置を考究する必要もあるのでありますけれ
ども、私
どもとしましては、
改良工事に対する
助成金も、
予算的な
措置によ
つてこれを
実施して参りたいという気持を持
つております。それから次に、こまかい問題でありますが、
有畜営農指導指定地の
経費、これは昨年も若干あ
つたのでありますが、本年は
計画を約十倍にいたしまして、百三十万円ばかり計上いたしております。それから次に、
有畜営農実態調査費でありますが、これは
特定の
部落を指定いたしまして
有畜営農の
実態調査を
実施しておるのでありますが、昨年は五十
部落を
実施いたしましたのを百
部落に拡充いたす
計画をいたしております。それからもう
一つ、
自給飼料増産確保の
経費というのがございますが、これは本省の
人件費、
事務費でございまして、これは百八十万円ばかりでございます。それから
酪農振興の
経費が二百九十万円ばかりこの中に含ま
つております。それからもう
一つ、
飼料の
生産指導並びに
品質保全の
経費といたしまして、五百三十七万二千円を計上いたしております。これは
飼料の
統制を廃止いたしましたけれ
ども、私
どもとしましては、引続いて
飼料施策を重要視いたしておるわけでありますので、たとえば
消費の
実態調査であるとかそういうようなものを中心にいたしまして、人を伴いまして、この
経費を計上いたしたわけであります。
次に
北海道畜産振興に必要な
経費といたしまして、九百四十八万九千円。これはここに書いてありますように、
人件費、
事務費の
補助と、
北海道の
種畜場の復旧費の
補助——復旧費の
補助が大部分でありまして、八百万円はそれでございますが、これを国費でも
つて計上いたしておるわけでありまして、
項目としては前年に引き続いてこうした
項目を計上いたしておるわけであります。
その次の
家畜衛生に必要な
経費が三億七百五十三万円ございます。これは
最初に(1)にありますように、
家畜疾病の予防及び治療をはかり、
家畜資源の損耗を防止するとともに、獣医師法及び裝蹄師法の円滑なる運営を図る必要がある。獣医師、裝蹄師の国家試験に要する
経費であります。これは
事務費的なものでありまして、
金額もきわめて少い
金額でありますので、その次の
家畜衛生の整備改善をはかるために必要な本省の
人件費、
事務費及び
家畜保健衛生所法を運営するためと、
家畜伝染病予防法に基き、
家畜伝染病の予防、制圧のための旅費、消毒薬品、血清類の
購入費、斃殺棄却
手当及び評価人
手当等を
地方公共
団体に
補助するもめに必要な
経費である。これが大きな
金額になるわけでありまして、これをさらに若干こまかく分類いたしますと、
最初の
家畜保健衛生所法を運営するための
経費といたしましては、衛生
技術指導
施設費としまして八千百万円五箇年
計画で、衛生
技術指導所——正確な名称はここにあります
家畜保健衛生所でありますが、これを
全国五百箇所に完備する
計画をも
つて、
年次計画で進んで来てお
つたのでありますが、
人工授精施設費と同じ歩調をとりまして残
つております二百四十箇所を二十六年度に一気に完成いたしたいという
計画で、前年に比べますれば、
経費も従いまして、相当巨額に
なつた
事項であります。次に伝染病予防法による伝染病の予防制圧のための
経費と申しますのは、府県の職員に対する旅費の
補助、消毒薬品費の
補助と、このほかに斃殺
手当がございます。これは伝染病にがかりました
家畜を強制屠殺いたします、それに対する
手当金でありまして、
金額総額は一億二千五百三十万円あまりであります。これについて、特にここで申し上げておきたい点は、多年本
委員会でもいろいろ問題になりました馬の伝染性貧血、伝貧の問題であります。これはこの際ある
程度徹底的な殺処分をして行かないことには、これの及ぼす弊害が非常に大きいという見地から、馬につきましては、合後五箇年間にある
程度きれいにいたして行きたい。伝貧をきれいにしたいという
計画のもとに、頭数を
増加いたしておるのであります。牛につきましても、特に問題であります乳牛の結核でありますが、これにつきましても、一刻もすみやかにこれを撲滅したいという見地から、この
予算におきましても牛の頭数等も
一つの全滅
計画のもとにおける頭数を
計画いたしておるわけであります。
次に
家畜薬事に必要な
経費、これは
説明に書いてありますように、薬事法に基き動物用医薬品及び用具の取締りと、
家畜用生物学的製剤の検定に必要な本省の
人件費、
事務費及び
特定の都道府県に対する
補助費ということでありまして、〔
委員長退席、野原
委員長代理着席〕
薬事法ができまして
家畜薬は国家検定を受けたものでなければ売り出してはいかぬという
規定に基きまして、私
〔
委員長退席、野原
委員長代理着席〕
薬事法ができまして
家畜薬は国家検定を受けたものでなければ売り出してはいかぬという
規定に基きまして、私
どもの方で薬事の検定を
実施いたしております。そのために
人件費、
事務費のほかに、いろいろな器具機械類、あるいは動物の
購入費等が含まれております。それから
特定の都道府県に対する
補助費と申しますのは、
家畜薬の製造所がある
程度まとま
つてあります東京、大阪、兵庫、
北海道、この四都道府県に対しまして、
人件費の
補助をいたしておるのであります。
次に
家畜衛生試験場に必要な
経費、一億五千二百六十七万三千円でありますが、
家畜衛生試験場は、すでに私
どもの管下の試験場として本日まで運営いたして来ておるわけでありまして、ここでは各種疾病の
調査、試験、研究をや
つておりますと同時に、
家畜に応用いたします血清類の製造
配付をや
つております。そのための
経費であります。このうちで特に申し上げておきたいことは、これも多年国会で問題にな
つております伝貧の研究の拡充の問題でありまして、伝貧、が今日までなお病源体もわかりませんし、また
従つて治療予防の方法も実はわからない病気でありますので、相当根本的に研究を進めたいということで、これの拡充を
計画いたしたのでありまして、本年度は六百八十九万円のほかに、
人件費を入れますと約八百五十万円でありますが、これだけの
経費を
要求計上いたしております。前年度に比べますと相当大幅の
増額でありますけれ
ども、これは見方によりましてはなお不十分であるという御批判もあろうかと思うのでありまして、私
どもの気持といたしましては、将来さらに拡充をはか
つて行きたいという気持を持
つております。
それから次に
家畜衛生試験場北陸支場
設置に必要な
経費でありますが、
家畜衛生試験場の支場は
全国に幾つかあるわけでありますけれ
ども、新しく新潟県の柏崎の市外に、従来の馬事訓練所の古い設備がありましたので、これを利用いたしまして、主としてここに書いてありますように、応用面の研究、臨床の研究を主体といたします支場を来年度から
設置いたしたいということで、必要な
人件費あるいは建物その他の
設置費を合せまして、一千万円計上いたしたいのであります。
最後に
種畜場に必要な
経費でありますが、
最初に申しましたように、ただいまのところ国営
牧場を経営いたしまして、ここで
優良種畜を生産いたしまして、それを原々種的な役割を果させているわけでありますが、
全国に十四箇所ございます。経営をいたしております
家畜は、あるいは鶏だけの
牧場もありますし、また乳牛、めん羊、あるいは馬、それぞれの地帶に即応した
計画で経営をいたしているのでありますが、これにつきまして、昨年度より若干
増額いたしました
経費を計上いたしております。これはかねて司令部側から、この
牧場を国が経営することは逐次縮小すべきであるという意見が実は出ている問題でありまして、私
どももある
程度経営の不合理な面はこれを合理化したいというような見地から、この表にもありますように、本年は定員は約百名ばかり減らしております。ただ
事業面におきましては、充実した
計画で
事業をして行きたいというようなことで、
事業経費が若干ふえておりますので、総額といたしましては若干
増額にな
つております。
以上が
畜産局所管の
一般会計の
予算でありますが、このほかに私
どもの方では御
承知の国営競馬をや
つておりますので、国営競馬の
特別会計を
一つ持
つているのでありまして、二十六年度四十九億の歳入、歳出がそれに応じまして四十九億、これは実は資料を差上げておりませんので、はなはだ恐縮でありますが、
あとで
追加してお届けいたします。以上で私の
説明を終ります。