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石川参議院議員 お答えいたします。私はこの資金面におきましては、今御質問のように
相当大きな資金を要しますことはやむを得ないと
考えておりますが、今
利根川の
開発法案が
通りましたら、
利根川にのみたくさんの予算が必ず来るものである、こういうふうな観点にのみとらわれることは、
国会議員といたしまして愼しむべきことだということもよく自覚しておるつもりであります。私は今の
公共事業費なるものが一定不変のものでない、あの
公共事業費なるものは、決して私
どもが満足する額ではない。六千五百七十億円の大きな予算のうち、
公共事業費一千百億円、そのうちから
河川費はわずかに百三十九億余円、七十三本の直轄
河川があり、八百本にも近い県負担の中小
河川を擁して
河川費がわずかに百四十億円弱、砂防を入れましても二百億円に達しません。かりに二百億円といたしましても、そのパセンテージは予算全体から見ると
ほんとうにわずかのものであります。それはわずかに三・六、七%でありましよう。五分にも達しないもので
全国の
河川改修の費用に充てようとするところに大きな無理がある。それは各
河川が、私はあまりにも奮起をいたしませんから、国の予算のあんばいが
かくの
通り、失礼ですが貧弱である。これは国論が起らないことに原因する、国を再建するためにはいろいろの費用を必要としましようが、少くとも今荒れ切
つておる
全国の
河川を見ましたときに、こういう三・五%ぐらいの予算では、
全国の
河川の
改修を夢見るなどということはどだい無理だ。要は大きく
公共事業費を
国家の支出から求めまして、できるだけ早く
全国の
河川を
中心とする
総合開発を実現すべきだ、かように
考えております。今は占領下に置かれておりますから、もちろんわが
日本政府の自由になりませんので、遺憾でありますが、講和でも成立いたしましたあかつきには、民論は活発に私は
国会に反映して来ると思うのであります。かようになりますれば、必ずや
日本の財政のうちで
相当程度この
河川を
中心とする政策、あるいは
食糧増産を
中心とする用排水
事業等に、大幅な
公共事業費の増額が要求せられ、また実現せられねばならぬと思います。こういう
見地に立ちますれば、今私
どもが與えられたあの
公共事業費は、決して満足すべき額でない。これを基準にして
政治を論ずべきでない。かような
見地に立
つておるのでありまして、明年度、明後年度の
公共事業費は、
相当飛躍的に増額してもらわなくてはならぬと思うのであります。こういう観点から
考えましたときに、
利根川のこの予算が必ずしも厖大とは
考えておりません。この予算は御
承知の
通り建設省、農林省、公益
事業委員会、その他の各県等の
計画をしております
利根川総合開発に寄與するあらゆる資料を集めて、その集計をしましたものが二千四百五十億円という厖大な数字にな
つたのであります。しかし二千四百五十億円は、各省各県がか
つてに出して来ましたところのいわゆる理想案であります。これは
総合開発の建前からいいまして、一本化することによ
つて、そこに起
つております各省独自の割拠的な予算の使い方をあんばい、
調整いたしますれば、一割ないし二割の予算は圧縮し得る、かように
考えまして、かりに一割圧縮するとしましても二百五十億円圧縮します。さらに第二十三条のは、実は御指摘になりました特別の法人の問題でありますが、一部五県の一般の
住民層から
投資していただこうとするこの法人の予算等をもちまして、
電力事業は大体三百億を要するとしておりますが、これらの
電力事業あるいは
東京都の水道の
確保に関する問題、あるいは
干拓事業等、バランス・シートのとれますようなものは、いわゆる特別な法人の力によりまして、民間資金と
府県の資金、国の資金、さらにできますれば外資の導入を考慮のうちに入れまして、これらのものをやりますならば、これによ
つて三百億ないし四百億の予算はこれから削れる、かように
考えます。そういたしますと残りは千九百億
程度であります。これは三分の一は大体県負担になりますから、財政支出は大体において一千二百億であります。さらに私
どもが
考えておりますことは、今
利根川改修計画などが、二十二年九月のキヤスリン台風以来
建設省におきましてこの調査の全貌が発表になりましたが、その
計画は七百六十四億七千万円ということにな
つております。
河川改修だけで七百六十四億七千万円、この立案の根底を私
どもいろいろ
検討しておるのでありますが、もし
利根川開発法案が
通り、
開発審議会ができましたならば、さらに再
検討を加えまして、これらからも
相当大幅な圧縮ができることであろうことを、私
どもはある
程度まで確信を持
つておるのであります。これらのものをやりますのにも、やはり
総合開発法案のような強い
法律によりまして、そこに大きな発言権を持ちまして、
国会あるいは知事あるいは県会議長その他エキスパート等が集まりまして、真劍に
検討いたしますならば、その技術者がつくりましたものを、必ずしも理想ではないかもしれませんが、
相当私は圧縮できるであろうという実は見通しをつけておるわけであります。従いまして大体におきまして一千億はかからない、
ほんとうにうまくやりますならば、八百億ないし九百億でできるのではないか、かようにすら実は
考えておるのであります。これは
開発庁が発足いたしましてから、真劍に
調査研究をいたしまして得ましたところの案によ
つて決定するのでありますが、見通しといたしましては、私
どもは一千億ありますればこれは可能である、しかもそれは二十一年から二十五年までの、
利根川に関する国並びに各
府県が負いましたところの財政支出は、約百三十余億円にな
つております。年額二十五億円
程度も使
つております。さらにこれを農林省あるいは公益
事業委員会あるいは農林省の林野局等の経費等を加えますれば、少くとも四十五億ないし五十億は今日も支出しておると思うのであります。私
どもは二十八年度において大体六十億ないし九十億というふうに見まして、四、五年後に百四、五十億円の予算を必要としますが、四、五年後における
日本の
経済は
相当大幅に発展するであろう、
日本の財政も大きくな
つて行くであろう、かように将来の望みを持
つておりますので、今ただちに過分の金を要求するのではないのでありまして、
昭和二十八年度において大体六十億、今と大差ない
程度であります。それで逐次国の財政と
地方の
経済力とを勘案いたしまして、大体十年を見通しまして、この
法案の完結を見たいということにしておるのであります。もちろんそのときの情勢、あるいは時局の緊迫、急変等によりましては、この工事自体も打切ることがあるかもしれませんが、もし支障がなければ十年間になし遂げ得るのではないか、さまで他の
地区の方々に御迷惑をかけることがなくてできるのではないか、かように
考えておるわけであります。要はこれから先の財政の見通しでありますので、これは何人にもわかりませんが、しかし私
どもは現在が最も困
つたときでありまして、これから三年、五年の後に、
日本の民力、
経済力の発展は
相当のものが期待できる、またそうせねばならぬ、こういう
見地に立
つてこの
計画を立てておるわけであります。今の
財政状態を十年間續けることによ
つて言うならば、これは意味がないと思うのでありますが、洋々たる
日本の
経済を
考えつつ、この
法案をその軌道に乗せて行きたいという
考え方であるのであります。たいへん抽象的な言い分でありますが、
考え方は以上の
通りであります。