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1951-03-14 第10回国会 衆議院 内閣委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員   内閣委員会    委員長 木村 公平君    理事 青木  正君 理事 江花  靜君    理事 坂田 英一君 理事 鈴木 義男君       井上 知治君    大内 一郎君       本多 市郎君    松本 善壽君       苫米地義三君    松岡 駒吉君       小平  忠君   建設委員会    理事 内海 安吉君 理事 鈴木 仙八君    理事 田中 角榮君 理事 村瀬 宣親君       淺利 三朗君    今村 忠助君       宇田  恒君    高田 弥市君       内藤  隆君    西村 英一君       中島 茂喜君    池田 峯雄君       寺崎  覺君  出席政府委員         特別調達庁長官 根道 廣吉君         総理府技官         (特別調達庁次         長)      堀井 啓治君         経済安定政務次         官       小峯 柳多君         経済調査庁次長 奧村 重正君  委員外出席者         経済安定事務官         (経済調査庁物         資調査部長)  司波  實君         会計検査院長  佐藤  基君         内閣委員会専門         員       亀卦川 基君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         建設委員会専門         員       西畑 正倫君         建設委員会専門         員       田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)     —————————————
  2. 木村公平

    木村委員長 これより内閣委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  本日の議題は経済調査庁法の一部を改正する法律案であります。先例によりまして、内閣委員長でありまする私が、委員長の職務を行います。それではこれより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。田中角榮君。
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 本日経済調査庁法一部改正法律案につきまして、内閣建設連合審査会を開かれたのでありまして、本日は経済調査庁及び特別調達庁会計検査院方々おいでになつておりますから、この法律案に対する私の考えを申し述べたいと思うのであります。  本法律案につきましては、私は原則的にまず反対意見であります。その原因理由を簡単に申し述べますと、本法律案が本国会提案せられる前に、去る国会経済調査庁法の一部を改正する法律案提案せられましたときに、当時の建設委員会といたしましては、これが改正に対して反対意見を表明しておつたわけであります。当時の建設委員長淺利三朗君であり、当時の内閣委員長鈴木明良君でありましたが、建設委員会からは連合審査会開催を申し込みまして、これがいれられ、昭和二十五年四月十八日に内閣委員長鈴木明良君の主宰のもとに連合審査会開催せられたわけであります。その席上私から改正案反対趣旨をるる申し述べまして、なお提案者である奥村政府委員との間にも十分な質疑がかわされておるわけであります。その反対理由は、簡単に申しますと憲法違反の疑いがあるということと、もう一つ行政機構権限紛淆を来すという問題が第二であります。第三は私たち自由党員といたしましては、自由党の党是であるところの行政機構簡素化行政の再編成という問題に対しては、全然逆行する法案趣旨であるということが、われわれのおもな反対理由であります。現行法になりまするところの昭和二十五年度における改正の要点は、今までの設置法趣旨にのつとりまして、経済調査庁前条規定する事務のほか、特別調達庁及び法令によるところの公団業務調査及び経理監査を行うことができるという、この中から特別調達庁を削らなければならない、削ることが妥当である、こういう趣旨を申し上げたのであります。これは御承知の通り経済調査庁設置せられた目的は、戦後における物資配給統制というような面から、こういう面の円滑、及び国費がいかに効率的に使用せられておるかという面を審査をするのが目的でつくられたのでありまして、行政官庁の一部であるところの経済調査庁が、行政官庁会計経理監査を行うということは、設置目的に根本的に反するというのがわれわれの主張であります。しかもこの対象になりましたところの特別調達庁は、当建設委員会の主管の官庁でありますので、これに対しては非常に大きな関心を持ち、建設委員会としては反対意見がまとまつたようなわけであります。その結果同日の合同審査会の後に建設委員会会議を開きまして、内閣委員長に対して次のごときことを申し入れております。これをちよつと朗読いたします。「経済調査庁法の一部を改正する法律案に対する申入れ事項目下内閣委員会に付託をせられている経済調査庁法の一部を改正する法律案について連合審査の結果に基き、左の通り当建設委員会修正意見を申し入れる。すなわち第一条の二「経済調査庁は、前条規定する事務外特別調達庁及び法令による公団業務調査及び経理監査を行うことができる。」とあるうち、「特別調達庁及び」を削除せられたい。理由。一、行政官庁たる経済調査庁行政官庁たる特別調達庁だけに限つて特に経理監査を行うことは妥当でない。二、国の行政機関に対して、会計検査院以外のものに会計経理検査または監査権限を付与することは憲法第九十条の規定に違反しないとしても会計検査院と重複するがごとき経理監査権限経済調査庁に付与することは重大な官庁権限紛淆を来すおそれがある。年月日。建設委員長内閣委員長殿。」以上のごとき結果を持つておるわけであります。当時の自由党内部及び内閣建設委員会といたしましても、これが反対に対しては非常に大きな賛成があつたのでありまするが、いろいろな御発言、特に経済調査庁憲法上に規定する会計検査院権能を侵し、しかも権限を侵犯する意図は毛頭ないという御返答、及び会計検査院国会に対して、歳出面決算に対して責任を負うのであつて、これは事後検査である、われわれは戦後の非常にむずかしい経済情勢に対処し、しかも効率的なる国費の使用の状況、予算執行面におけるいろいろな条項に対して、ころばぬ先のつえという意味で、いわゆる自省をいたす目的をもつてこれを行いたいのであるから、行政機構権限紛淆は来さない。もう一つは、長期にわたつて官庁会計検査経理監査を全面的に行うのではないし、ただに戦後の特殊な条件をもつて、特殊な任務のもとにつくられた経済調査庁にはとかくのことがあるので、まずこれに対して経理事前監査を行い、予算執行面に対する是正ができるならばこれを行い得るように、そのために私たちが行うのでありますから、委員の質問の意思と反対のものではないという、一面非常に合理的な御答弁があつたのであります。提案をする以上、その程度の御答弁を用意せらるることは当然であります。しかし私たちが当時申し上げましたのは、会計検査院国会に対してのみ決算責任を負うのであつて事後検査を行うのが会計検査院任務であり、事前検査が行えないというがごときことは、憲法の精神から考えても、会計検査院の真の目的から考えても、断じてさようなものではないという反論であります。これは私が申すまでもなく、旧憲法と新憲法移りかわりの間に、会計検査院権能というものに対して、特にはつきり規定しなかつたので、いろいろな疑義もあるようでありまするが、新憲法の建前から、会計検査院が当然会計監査を行う、しかもこれは執行面に対しても監査検査を十分行わなければならない義務を有するのであつて国会に対して最終決算に対し責任を負うことだけでもつて会計検査院の義務が足れりとは、断じてしておらぬのであります。会計検査院は、申すまでもなく予算合理的執行ということに責任を有するものであります。これは批難をするだけが任務にあらずして、本来の目的予算執行の是正、すなわち事前においても、執行途次においても、執行後においても、当然国会に対して責任を負う。それまで広義に解釈しなければならぬ。これは当然のことであると思うのでありまして、事前審査を行うという経済調査庁意図は、会計検査院権限を侵犯しなくても、少くとも類似の事項を行うという非難は免れない、われわれはこういうふうにこれを反論したわけであります。  なお会計検査院は、新憲法の建前から、国会に対して責任を負うだけではなく、決算国会最終確定を行うものだから、会計検査院はただいま経済調査庁が申しておられるような仕事をし、しかも決算を大体きめた場合には、これを国会に持つて来て、国会決算最終的確定を行うものであるという議論も私たちはしておるのであります。これは新憲法と旧憲法の間にあいの子的性格、いわゆるあいまい模糊とした性格を持たして来ただけに、一つの盲点ではありますが、われわれとしてはそういうことが正しいという意味から、権限紛淆憲法違反の疑義もあるというふうに反論して参つたわけであります。  なお特別調達庁に対しましては、当時内閣においても、いわゆる内容監査検査を行う必要があるのじやないかということでありましたので、われわれも実情を調査いたしましたところ、会計検査院から調査が行われ、なおかつ大蔵省から予算執行に関して検査が行われる、しかも経済調査庁から三重の監査を行われる場合に、問題が非常に複雑多岐になり、実際の予算執行面について、執行の適正を期するというよりも、事務的監査のために、かえつてめんどうが起るのじやないかということをただしましたが、全然違つた目的をもつて監査検査を行うのであるから、そのような紛糾は毫末も来さないというような御答弁があつたと思います。当時は自由経済に移行するときであり、実際において通貨も安定しつつあるときでありましたので、経済安定本部設置条件そのものについて、わが党内部においても議論をせられておるときでありました。もちろん外局であるところの経済調査庁もだんだん自由経済に移行するということになると、それを設置した本来の目的である物資監査という仕事がなくなつて来る。それで会計検査院権能を侵犯するこいう非難を免れることができなくとも、今のうちに何とか権限を拡大しておかなければ廃止になるぞ、というがごとき意図を持つて出しになつたと私に認定せられても、やむを得ないではないかということを私は言つておるのであります。あなた方がおやりにならなければならなかつた事項さえも完全に行つておらないではありませんかということを、私は軽い気持で申し上げたつもりですが、相当毒のある言葉を申し上げております。なぜならば、お互いに議論をすれば、——もちろん出して来るときには、それ相当のりくつをつけなくては出せるものではありませんから、当然その程度答弁を用意せられるし、私たちもその程度答弁があることは予期しておりましたが、衣の下のよろいとでも申しましようか、やはり意図するところは隠すことができないものである。しかも全然利害関係のない第三者がこれを直視したときには、一目瞭然であるとさえ私は極言をしております。あなた方が公団その他いろいろな物資面に対しても相当の監査を行わなければならないのであつたにもかかわらず、各種のもの、いわゆる経済調査庁から監査を受け、自粛をし、一つ批難事項も出さないでいなければならないその対象ものたちは、まつたく偉大な赤字を出しております。そうして第六、第七、第八というようないろいろなものに対して、相当な赤字を出している。だから特別調達庁に対して、あなた方がほんとうにこういうふうなことをやられるというならば、行政権限紛淆を来すという非難を受けても——特別調達庁という行政官庁の一部に入る前に行わなければならなかつた事務が、まだまだ相当あつた。それを世間がうるさいし、疑惑の対象になつておるので、官庁権限紛淆を来すと言われてもいいから、一応特別調達庁を行おうということがありました。私はそのときに、あなた方が権限拡大ということでもつてやらないのであつたならばいいけれども、そういう意図によつて改正法律案出して来たのだということが事実の場合は、次のような事柄が出るでしよう、特別調達庁監査終つても、それでやめないで、これに類する特別会計やいろいろなものの監査をまた必要とするということを言つて来るだろう、その次にはまたどこかへ来る、だんだんやつているうちに、行政機構の中の全般を監査する、すなわちまつたくの私設会計検査院ができ上るということは確実だ。私はこういうふうにまで極言をしておつたのですが、いろいろな事情——それは閣議で承認を得ておるし、オーケーも来ておるのだし、また現実の問題として、一応の紛淆はあつても、特別調達庁をやること自体は、それで国民の疑惑でも解ければいいではないかという常識論に負けて、その目的とするところを達成せしむるには一年間で十分である、便宜論をもつて大本を誤つてはならぬ、こういう結論を得て、一箇年という条件つきで、四月二十九日衆議院議決をしておるわけであります。ところが五月二日、これは運動があつたとは言えませんが、とにかく参議院においてまた政府原案修正議決になつておるのです。そうして衆議院に回付になつて来たのは五月の二日であります。しかも私はよく覚えておるのですが、五月二日の午後三時半ごろ、本会議開催中にこの法律案が回付になつて来た。それで当時はもう人が非常におらないで、民主党及び社会党の協力がなければ、三分の二の多数をもつて議決をするわけには相ならぬので、参議院修正案をのもうという議論があつたのです。しかし、そのようないわゆる便宜論をもつて大本を誤つたならばたいへんだ、それで社会党民主党諸君に御賛同を願つて、三分の二の多数をもつて衆議院の原案、すなわち現在の一年間というものに五月二日再議決になつておるのであります。参議院修正案は否決をせられておるのであります。そういう事情をたどつた法律案でありまして、この法律案の実際の運営その他に対しては、私は一年間だまつて見守つてつたわけであります。その意味においては、経済調査庁にすつかりお面一本をとられた形になりながら、一年間ずつとその実績と行くえを見守つてつたわけでありますが、この一月ごろから、私が考えておつたと同じことが現実に現われつつあつたということは否定できないことであります。それは、国の予算面で千億以上というものは大体何かというと、一つ特別調達庁であるということで、特別調達庁がやられた。ところで第二は何かというと、今度は公共事業監察法でもつくつて公共事業の監察を経済調査庁で行おう、こういうことを言わぬということは言いがたいのであります。少くとも巷間にこの説が流布せられたことは事実であります。私たちもその流説に対しては反対をした。これはもう完全なる会計検査院否定論であるということで反対をやつたわけであります。ところがこれは日の目を見ず、現在ではにぎりつぶしの状態であります。そうして経済調査庁はこの期間を延ばすことと相前後して、千億円以上の公共事業監査を行おうという意図を持つてつたのですが、それが障壁にぶつかつたために——私は悪く解釈することは好まないのですが、もつと悪く解釈すると、そういうふうにわれわれ反対者意見をそらしておきながら、その間隙を突いて、当分の間という、この特別調達庁に対する監査の期間の延長を願う法律案出して来ております。私は閣議内容をとやかく言うのではありませんが、これだけ大きな条件をつけ、これだけもんだ法律案提案するに際しては、より慎重でなければいけないということだけは一言申し得ると思います。しかも閣議は持ちまわり閣議であつたそうであります。しかも特別調達庁所管の大臣は、ほとんどこれが内容の説明を聞くいとまもなくして判こを押したというようなことであつたならば、われわれはこれをのむわけには相なりません。この「当分の間」というものは、一日でも当分の間、二、三日でも当分の間、三年、五年、百年でも当分の間なんです。だから一年間として、参議院議決を否決し、再議決をしなければならなかつたほどのこの問題に対して、「当分の間」という、場合によつては相当瞞着もでき、抜け道もあり、逃げの手も打てるというような法案出し方でなく、六箇月延ばしてくれ、三箇月、一箇月延ばしてくれ、あるいは百歩を譲つて一年間延ばしてくれというような法案であつたならば、また考える余地はあつたと思います。これこそ私はあえて言うが、これは実にこまかな感覚とこまかな神経で、みつかつたときにわれわれから駁撃せられるということを承知して、「当分の間」と出して来た、まつたく悪い意図に出て提案をせられたと私に解釈をせられても、しようがないと私は思います。犯罪が発覚した場合には、こういうことを用意しておこう、しかしまず犯罪は発覚しまいということで、この第一の関門であるところの閣議を通つて提案されたということであつたなら、これは実際国会議員を瞞着しておることであり、私は少くともこれだけの記録を持ち、これだけの紛糾のあつた法律案を出すには、当然こういうことを言われてもやむを得ないだろうと思います。ただ「当分の間」ということに対しまして、建設委員会において、どのくらいの所要時間を必要とするのですか、「当分の間」の定義をひとつ提案者にお聞きしたいという質問に対しては、一箇年間ではむずかしいと思います。一年二、三箇月かかると思いますという、こういうことになると、これは私になお反論を与えたようなものであると私は考えておる。それは、二十五年度の予算執行面に対する監査検査を、ふなれなあなた方が少くとも一年間において四七%完了しておつて、あと五三%しか残つておらない、それを、相当ピッチが上つて、今度は専門家になり、ポンとあした会計検査院に身売りをしても、もう検査官になれるほどのエキスパートになつた方々が、どうして五三%のものを一年間をもつてあげられないと言うかという問題が、私には申し上げられると思うのであります。しかも特別調達庁事項というのは、昭和二十年から二十四年の末ごろまでは非常にむずかしい事項であつたと思いますが、二十五年度においては、法律百七十一号が適用されなくて、一般公開入札をもつて行われておる。しかも特に二十五年後半期においては、朝鮮事変によつて物価が騰貴して、政府執行予算でははとんど仕事ができない、あらゆる公開入札が不調に終つておるというようなときに、しかもあなた方が前半期に認めたような批難事項はほとんどない、第三者考えても、なかろうというものに対して、なお一年数箇月を調査に要するであろう、その一年数箇月を「当分の間」とあなた方が考えてお出しになつたということは、そのまますなおにのむわけには相ならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。「当分の間」の定義は、私は最高裁判所から聞いて参りました。当分の間というものの一番長いのには、約六十年の当分の間が現行の法律に残つております。刑法施行法、明治四十一年法律第二十九号第二十五条(効力を有する旧法の規定)「左二記載シタル旧刑法ノ規定ハ當分ノ内刑法施行ト同一効カヲ有ス」という規定があります。現行法です。これに対して最高裁判所は、昭和二十四年四月、本法律について判例をつくつております。六十年間かかつて、なお当分の間の法文が生きておるのです。こういうことであるならば、当分の間ということを私たちはのむわけには相なりません。しかもそのような意図によつて、われわれの衆議院議決権さえも非常に軽く考えられてお出しになつたと見られる節の多い本法律案に対しては、われわれは単に賛成を申し上げるわけには行かぬ、こういうのであります。  もう一つだけ申し上げますと、問題は特に国家の予算執行面に対するものでありますので、いろいろな発表等に対しては十分慎重審議をしなければならないわけであります。私はあえて申し上げたくないのでありますが、予算執行職員等責任に関する法律というものが通つております。これはまつた会計検査院権限法ともいうべきものであつて、それがしつかりした場合には、会計検査院から一々批難せられるであろというような事項に対しては、あらかじめ会計検査院の承認を受けて予算執行に当つておるわけであります。そうするとこの責任をほとんど会計検査院が全面的に負うのであつて、しかも支出負担行為責任者というものがはつきり明記せられておる現在、そのようにしてまで第二にも第三にも重複して監査を行わなければならぬかということは非常に問題が多いのです。しかもその結果経済調査庁が、まずその功罪の功の方は相当あるということを考えても、罪の方がないかというと、やはりあるのです。これは会計検査院は特に慎重過ぎるのであつて——検査院長を前に置いて少し悪いかもしれませんが、これは退嬰的なということは免れません。会計検査院がぼやぼやしているからこそ、こういうことをまつたくしろうとにやられるのであつて、これは国自体も大いに会計検査院のあり方、権限の拡大、組織の強化ということには私は力をいたさなければならぬと思うのでありますが、少くとも国の予算執行面におけるところの内情というものを世間に公表し、この善悪、功罪を発表するには相当慎重にしなければいかぬはずです。なぜならばその及ぶところが非常に重大であるという問題を考えなければいかぬ。だから国会に対して会計検査院が証言をなさる場合も、会計検査院検査官会議の決定に基くもの以外はほとんど御発言ができないというほど強い法規で縛つておられます。ところが経済調査庁は、みなこれを時勢であるから何でも出せ、何でも出せ——これは池田君もおいでですが、共産党諸君がよくやられるので、悪いことは何でもかんでもみな出せ、どかどかつと出してしまえばそのうちによくなるだろう、こういうのと何らかわらない。私は経済調査庁方々が皆共産党員だとは申しませんが、共産党をおまねになつたという事実は否定することはできない。なぜならば政府の出す内容に対して、なまのままとは申し上げませんが、とにかく会計検査院が発表をしておるごとく、慎重な態度をとらずして、調査経過そのものをすぐ国会に対して報告をしております。参議院内閣委員会の要求に対して、いろいろな材料を提供しております。提供することが悪いとか何とかいうのではありません。こういうことをやるために思わざるマイナスをもたらしておらぬか、マイナスをもたらしております。それはなぜかというと、第三者がお考えになつてもすぐおわかりになる通り、このようなことを、しかも国の機関であるところの経済調査庁行つた場合は、一般大衆は、経済調査庁というのはこれは新しい会計検査院かもしらぬ、その考えでぼんぼんとデータを出された場合、一体吉田内閣は何をしておるのだ、講和会議が間近になつておるのに、こんなことをやつておるのかということを第三者は特に考える。だから私は今になつて考えてみると、共産党諸君などが非常にどんどんと説明をしたのは、そういうのにもきつと原因があつたのかしらとさえ極言すれば言い得るのです。私はこういうことを共産党を排撃するわけで言うのでは絶対ありませんが、とにかくなぜ私がこのようなエゲツない言葉まで言わなければならぬかということは、この法律案に対してはお出しになつたところの奥村さんとも約束しておるのです。この間奥村さんもおいでになつて知つた仲でありますし、こういう協定もあるのですから、どうです、かつこうはよくないがひとつお取下げになりませんかとさえも私は申し上げた。しかしこれは私があまりものわかりが悪くない議員であるからこそこう申し上げるのであつて、私がこれほど面子をつぶされて、これほどの大道論を、少くとも事務系統の異なる政府方々が私を言いくるめる自信があるような口吻でもしお語りになるのであつたならば、私は今よりももう二歩、三歩も飛躍して爆撃するだけの用意を持つております。私は言いたいことも相当言わないで、当時は自由党の中においても、もし否決になつた場合、衆議院の会期の最後の日でありましたので、会期一ぱいにもし社会党諸君民主党諸君がこれに同調してもらえない事態が起きて、参議院議決を否決した場合どうなる、経済調査庁はなくなつてしまうのですよということを言われたときも、絶対にまとめる自信があるからおれにまかしてくれということを言つて、議場内の交渉を行つたわけであります。それで私は経済調査庁意図するところのいわゆる予算執行に対する調整という面については強力な協力をして来たつもりでありますが、その協力をした私を「当分の間」といえばまたやつものむだろう、一度あることは二度あるだろうということになれば、三度あるということになつて、この次には公共事業に対する監察も行うから、そのときもまあ認めてくれというおそれが十分あるということで、大体この程度でもつて芽をつんでおかなければならぬ、こういう非常に強い意思をもつて私は自分の考えを披瀝しておるわけであります。特に私は、もう申し上げなくとも委員諸君及び同僚議員の諸君も十分おわかりであろうと思いますので、あえて政府側に答弁を求めるとかいうことをする必要はないと思うのでありますが、あまり私の反論をする——田中君はそう言うけれどもそうじやないのだというような意見ではなく、あなたの御説ごもつともですという御発言があつたら、どうぞおつしやつてください。あなた方が私に対して反論をいたすならば、私も何時間でも反論をいたします。これは一年間私がげたを預けて待つてつた法律案が出て来たので、しかも私の思うつぼにはまつて、当時こうじやありませんか、そうじやありませんと言つたのが、私がありませんかと言つた通りになつて来ただけに、これは私もしやべる商売であるからいくらでもやるつもりでありますが、あえて議論のための議論を好むわけではありません。  ただ最後に申し上げることは、吉田内閣といたしましても、自由党員といたしましても、党是たるところの行政簡素化という線をはずしたくないということと、またいろいろな法律改正をしなければならないような状況にはありますが、少くとも事行政機構に関する問題に対する法律の解釈は、今まで通りでありたい。私らは古い観念といわれるかもしれませんが、紛淆を来すような解釈を起さないようにやつて行きたい。そして次の機会にこの行政機構の変革が行われた場合、行政機構に対する定義というものをはつきりしてもらいたい。それまでは私たちの在来の感覚をもつて律して行きたいことと、もう一つ便宜論をもつて大道をあやまつては相ならぬ、こういう結論から本案に対して反対を申し上げたわけであります。  特に最後に内閣委員長に対して一言お願いをいたしたいことは、このようにして衆議院は院議をもつて参議院修正案を否決し、再議決をしたような経緯を持つた法律案でありますし、特にこれは官庁機構、官庁権限というものと重大なる関係を持つものであつて、このような解釈がもし政府委員が言われるような解釈に是正せられるものであると、これからの行政機構という問題に対してもいろいろの紛淆を来すおそれがあるという意味から、本法律案につきましては、そのお取扱いに慎重に、万遺憾なき処置をとられたいことを希望しておきます。
  4. 木村公平

    木村委員長 他に御発言はありませんか。池田峯雄君。
  5. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私はこの合同審議会でこの問題を取上げるごとになつたいろいろな経緯については若干承知しておりますけれども、まだ納得の行かない点があるのであります。と申しますのは、先ほどの田中委員がいろいろ申されました点、これはまた一応ごもつともな点があろうと思うのでありますが、第一に政府経済調査庁法の一部を改正する法律提案した理由をもつと詳細に本委員会説明される必要があるのではなかろうかと思うのであります。すなわちこの経済調査庁の査察権といいますか、そういうものを存続しなければならないほど、特別調達庁の中には非常な不正がある。これをそのまま看過することはできないのであります。会計検査院特別調達庁のことに関して報告していることは、これはわれわれ共産党ばかりでなくて、全国民としてはなはだ疑問を持たざるを得ない事件がたくさんあるのであります。たとえばカーテン取付工事費の精算に当り処置当を得ないもの、特別調達庁昭和二十二年十一月横井産業株式会社に請負わした進駐軍の家族住宅のものでございますが、カーテン取付工事の代金として約一千万円を出しておる。右は家族住宅千二百六十戸の窓にカーテン及びドレープをとりつけ、その数に応じて代金を支払うもので、二十四年六月に精算したものであるが、これは会計検査院調査したところ、二戸建の家屋についてその窓数を一戸建の同種家屋の二倍に計算したものなどがあり、その代金を支払つた窓の数はカーテン及びドレープを合せて三万一千八十四であるのに、実際とりつけたのは二万六千二百七にとどまつておる、こういうようなことがたくさん報告されております。このように特別調達庁に対して会計検査院調査したところによつても、相当不正あるいは不行き届きな点がある。従つて経済調査庁は特別な観点から、特別調達庁のいろいろな面を調査したところによれば、こうこうこういう不都合があつた。またこうこうこういう不都合があるように考えられる。従つてわれわれは経済調査庁法の一部を改正する必要があるのだ。こういつた事実に基いての御説明が当然あらねばならないと思うのであります。そういう点につきまして経済安定本部次官からとくとその理由を御説明あらんことをお願いしたいと思います。
  6. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 提案理由は前にもお聞き願つたのでありますが、いろいろいきさつはありまして、今田中委員の御指摘のようないきさつもありまして、前の国会で実は辛うじてそれは通つたのです。ただ仕事を始めてみますと、事務的に完結しない面もある。そういう意味事務的な完結を期するため当分の間御延期願いたい、そういう以外に深い意味はないのです。
  7. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういたしますとそれほど強い意味でこの法律提案されたわけでもないのですね。その点はどうなんですか。
  8. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 強さ弱さと言われるといろいろ問題があるのですが、私たち事務的にいろいろ完結しないものがある。従つて前に御審議いただいた精神に基いて、事務的に当分の間延ばしたいと考えただけであります。
  9. 池田峯雄

    池田(峯)委員 事務的に完結しないと申しますけれども、そういう事務的に完結しない内容はいかなるものなんでございましよう。たとえば一年間とにかく特別調達庁調査をやつた。その結果どういう結論が生れて来たのか、その調査は全然やつてもやらなくてもいいような調査であつたのか。それとも特別調達庁調査した結果、相当今後も継続しなければならない、さような疑問点を発見して、そのためにこの法律を出されたのか。従つて問題はきわめて具体的になると思います。抽象的な御答弁では、私の質問に対する答弁にはならないかと思うのであります。具体的にいろいろな例を上げて答弁されたいと思うのです。
  10. 小峯柳多

    ○小峯政府委員 答弁にならないとおしかりを受けるかもしれませんが、そういう意味の結論を出しますまでにはなお相当の時間がいるという意味でお諮り願つておるわけであります。
  11. 木村公平

    木村委員長 他に御発言ありませんか。
  12. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 委員長にお尋ねいたしますが、会計検査院長お見えになつておりますか。
  13. 木村公平

    木村委員長 来ております。
  14. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 会計検査院長にお尋ねいたします。検査院のなさる検査と、それから経済調査庁のなさる調べ、後者の方は主として経済性といいますか、法規には必ずしも触れぬにしても、もつと国費の使い方が有効にできる道がないかということを主眼点にして調べをしておる、こういうお話があつたのでありまするが、今のままの制度、または制度の一部の改正、あるいは人員の増加というものによつて、今経済調査庁がやつておるような点にまで会計検査院として検査を拡張といいますか、綿密にする方法はあるとお考えになつておるのでありましようか、ないとお考えになるのでありましようか。
  15. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 ただいまの御質問、実はちよつとむずかしいのであります。と申しますのは、経済調査庁がどういう検査をやつておるかということを実は私あまり詳しく存じません。それで私の方のやつている検査のことを申しますから、それによつて御判断願えれば非常に幸いだと思います。と申しますのは、私の方の検査は法規に基いている検査、すなわち違法かどうかという検査もいたします。しかしながらそれだけではなくて、法規にはかりに違反しないにしても、経済性と申しますか、事業の能率性と申しますか、そういうふうな経済的な検査もいたしておるのです。但しその検査は従来の人員その他の関係で、必ずしも十分と私は思つておりません。そこでそういう点をなるべく上手に検査できるようにというので、職員の養成については少からず努力しておるつもりです。それですでに今度の国会に出ておりますが、今度の検査報告をごらんになればわかりますが、経済性といいますか、要するに不経済なことをやつたという批難もあるのでありまして、決して私どもは違法をやつたことのみを検査しておるのではありません。その点御了承願います。
  16. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 事務紛淆を来すという田中委員の問題は、非常に根本的な大事なことでありますが、主としてこれは会計検査院において非常な信用といいますか、権限といいますか、普通の今までのセクシヨナリズムからいえば、こういうことはとても既設の官庁が許すはずはないと思うのです。自分たちのやり方に信用がないからこういう新たなことをお始めになるのかといつて、これはもう議論百出になるであろうと思うのですが、今会計検査院長は、調査庁の方でどういうことをやつておるかはつきりわからないけれども、しかし法規だけではない、経済性をも加味してやつておるのだという。それが相当完全に行つておれば、当然経済調査庁で調べを始めるなんという必要はなくなるわけです。その点につきまして、人員が足らぬから国民が期待するような調査ができぬのだとお考えになりますか。制度の上で経済性をあまり深く掘り下げることはできない、こうおつしやるのでありますか、もう一度伺いたい。
  17. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 ただいまのお話でございますが、あるいは別な方面から御説明した方がわかりやすいかと思いますが、たとえば郵政省の経理局におきまして、その職員が郵政省部内の経理検査をやつております。その経理検査というものはある意味においてわれわれの検査とダブる点もあるのでございます。しかしながらある行政機関がその内部監査をやるということは、必要とあれば何もやつて行かぬということはないだろうと思います。私たちの立場は政府から独立した機関でありますから、独立した目でやる、こういうことなんです。従つて検査それ自体としてはダブるということはあり得ると思います。ことに最近国鉄等におきましては、御承知の通り非常に国鉄は機構も大きい。私の方の国鉄の検査をやつておる職員の数というものも限定されておりますし、そう完全に隅から隅までは行かないのであります。それで国鉄の方におきましても、郵政省と同じような内部監査の制度がありまして、内部監査をやつております。そういうものがむしろ私の方とタイ・アツプしてやると申しますか、こういう点を気をつけてくれ、こういう点を気をつけてくれといつて、われわれの方と円満な連絡をもちましてやつておる実情でありまして、お話の通り検査院の機構を非常に大きくしてやれば、あるいは今よりももつといい検査ができるかと思いますが、会計検査というものは、実はある程度熟練工でなければできないのであります。ただ人を増したからすぐできるというものではないので、人を増しても検査するまでに大分訓練に時間がかかりますし、ことに政府の御方針として、行政機構はなるべく簡素にやつて行きたい、国民負担をかけてはいかぬという御方針のように総理大臣からも伺つておるので、そういう見地も加味しまして——検査院のみの立場からいえば、人を無限にふやしてやればもつといいことができると思います。しかしながらやはり国民負担のことも考えなければならぬし、かりに人をふやしてもすぐ役に立つという問題でもないので、私といたしましては、検査院の検査能力をさらに拡充するというところに重点を置いております。その結果今度の検査報告をごらんになればわかると思いますが、だんだん検査報告の内容が、従来のごく単純な形式検査よりも実質的検査、いわゆる経済性の検査という方にもよほど進んで来ているものと私は思つております。  なおこの機会に、田中委員の先ほどから検査院に対して非常に御同情のあるお言葉を承つたことを感謝しております。
  18. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの御答弁を承りますと、郵政省では自己監査をやつておるし、いろいろ他にもあるということであります。その通りでありまして、国税庁にも監察官というものがちやんとあるのでありまして、それぞれやつておるわけであります。しかしこの範囲ならばほかにもあるのでありますから、特にこの現在の経済調査庁の問題がやかましくなるはずはないと思うのでありますが、会計検査院長は、今の経済調査庁調査は、いわゆる自己監査会計検査院との中間に位するものであるというふうにお考えになるのでありますか。さらに結論として、機構を拡充し、人員を整備するならば、経済調査庁がやつておるくらいなことは十分自分の方でできるとお考えになつておるか、おらないか承つておきます。
  19. 佐藤基

    ○佐藤会計検査院長 ただいま申しました、いわゆる政府の内部監査という問題でありますが、これは経済調査庁の場合は若干違うということは認めます。と申しますのは、普通の場合の政府の内部監査というのは、ある行政官庁がその行政官庁のものをしてやらせる、ところが今度の場合は、甲の行政官庁仕事を乙の行政官庁監査をするという問題だから、普通の場合とは大分違うということはわかるのであります。しかしながらある見方によりましては、検査院という政府から独立した機関から見れば、それはやはり広い意味内閣監査ということも言えるのじやないかと思います。ただ私の方は政府から独立した機関でありますから、他の独立機関のことを批判することは案はあまりやりたくないのであります。それでありますから、その経済調査庁特別調達庁に対するところの検査がいいか悪いか、どう思うかということはごかんべん願いたいと思います。
  20. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 もう一点だけ伺いますが、田中委員の先ほどからの御意見並びに質問等は、これは私はまことにその通りだと同感なのであります。しかるにもかかわらずなお政府が、当分であるか六箇月であるか一箇月か、さらにこの経済調査庁調査というものを存続しなければならないという原因は、一口に言いますならば、会計検査院だけにはまかしておけぬ。そういうことがない以上は、もう田中委員の言う通り、ずつとこの場できまつてよいはずなのであります。そういう点につきまして、これはお答えできにくいことかもわからぬと思うのでありますが、現在の法規の範囲においては、やはり経済調査庁調査というものは必要であるとお答えになるのでありますか。
  21. 木村公平

    木村委員長 ちよつと村瀬君にお尋ね申し上げたいと思うのですが、経済調査庁権限は、本院の立法に基いて附与されたものでありますが、これを独立官庁である会計検査院長から、本院の立法せるものに対する批判なりあるいは感想なりを特にお尋ねになりたいのですか。
  22. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 いや、私はそれを明らかにせねばこの案は審議ができぬわけなのであります。田中委員の説に賛成なんです。だからこれは一議に及ばず政府もまたこういうことをやめてしまわなければならぬ。しかるに田中委員の説には何らの反駁なくして、しかもこの案を何とかして、「当分の間」として、六十年続けることはとにかくとしても、一年か半年は続けなければならぬという理由について、会計検査院のもう少しはつきりした御意見がわかれば、われわれの判断の非常に重要な資料になるので、一ぺんにきまつてしまう問題であると思うので、質問しておるのであります。
  23. 木村公平

    木村委員長 ここで村瀬君にもう一ぺんお尋ねしたいのですが、あなたの質疑目的は、佐藤会計検査院長に対して、経済調査庁の現在問題になつているところの権限に対する疑惑を解明するためにお尋ねになるのか、それとも他に別の目的があるのですか。
  24. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 私の質問目的は、今出ているこの議案というものは、田中委員の言うがごとく、当分の間というのが不都合であると思うのであります。ところがやはりこれを通してくれということが、これは議員提出でなく、政府提案で出ておるのであります。それがために、その原因はどこにあるかということを明らかにするために質問いたしておる。目的はそこにあります。
  25. 田中角榮

    田中(角)委員 村瀬君の質問とうらはらになることでありますが、私が申し上げておるのは、いわゆる一つ官庁が自粛のために内部監査を行うということは一向さしつかえない。但し佐藤検査院長が言われたように、併立する行政官庁の中で、一つ官庁が各官庁、いわゆる自分と同格の行政官庁に対して、会計経理監査を行うことが、官庁権限紛淆にならないかというと、私は紛淆になる、こういう認定をしておるのです。だから現在の村瀬君の発言の要旨を実質的に裏づけるためには、特別調達庁だけではなく、赤字出しておるもの、違法を指摘せられておるもの——私は決算委員に席を連ねておるのでありますが、各省ともこれはたくさんある。中でも問題になつておるものは、現在にしてやつと昭和十五年から十箇年分の決算をしたところの各種特別会計、なかんずく林野特別会計、食糧特別会計、それから薪炭特別会計、これは国民の前に、与野党を問わず解明しなければならないような問題であるのです。こういうものをまず自粛するためならばやつてもらいたいと、私は実は考えておるのです。それと同時にそういう特別会計方々、もしくは各行政官庁方々を全部ひとつお呼び願つて、そうして経済調査庁諸君会計経理監査を行うことに賛成であるか反対であるかということも、本法律案を審議の途次、ぜひともそういう意見を尊重していただきたい。その結論が村瀬君に対する答弁になり、私が発言しておることの裏づけになる、私はこう考えております。
  26. 木村公平

    木村委員長 他に御発言はございませんか。
  27. 池田峯雄

    池田(峯)委員 私は特別調達庁長官質問したいと思うのですが、この昭和二十四年度決算報告を一読いたしまして、私は非常に驚いたのです。なるほど特別調達庁というのは、うわさにたがわずたいへんなことをやるところであるということを感じたわけございます。会計検査院が少人数で調査してもこれだけの問題が出て来るのでありますから、経済調査庁が別な角度から調査いたしますと、さらにたくさんの問題が出て来るのではないか。私は確信をもつてそういうことが言い得るのではないかと思うのであります。そこで先ほど田中委員が、そういうふうな資料を経済調査庁が出すと、吉田内閣に対して思わざるマイナスを招くということを言われましたけれども、しかし国民全般の立場から申しますと、吉田内閣にはマイナスではあろうけれども、国民全体にとつてははなはだ幸福な結果を招くようなことになるのではなかろうか、こういうふうにも考えられるのであります。そこでこれらの一つ一つの問題について、煩雑なきらいはありますけれども、特別調達庁の方は、これは私の方には責任はなくて会計検査院の方がこういう問題をでつち上げたのだ——そうはおつしやらぬでしようけれども、あなたの方にも弁解もあるだろうと思う。こういう問題を少し特別調達庁の方に御説明願いたいと思うのです。たとえば特別調達庁で、株式会社間組に請負わせた横田地区——これはおそらく飛行場がある軍事基地だと思うのですが、横田地区維持管理工事の昭和二十三年七月から二十四年八月までの間の工事費精算額に仮設建物損料及び撤去費として、四百七十七万八千九百八十七円が積算されているが、本工事における仮設建物はいずれも同会社が請負い施行した同地区建設工事等の仮設建物として、二十一年及び二十二年に設置したものを使用しているもので、これに対しては、すでにその撤去費を含め償却費等として大部分の支払いを行い、二十三年六月末の末償却額は約百七十五万円にすぎなかつたものであるから、本件工事について新たに仮設建物を設置するものとして、その損料及び撤去費の全額を支払う必要はなかつたものである。百七十五万円払えばよいものを、四百七十七万円出しておる。こういう問題を今ごろになつて会計検査院出して私どもが知るようでは困るのでありまして、経済調査庁権限において、こういう問題をその現場において捕捉して、こういうことはけしからぬではないかということが言われるならば、これは国民の税負担の軽減、あるいは終戦処理費の減額という点において、非常に国民に利益をもたらすことになるのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。こういう点について、安本の人と特別調達庁の方から、納得の行くような御説明を得たいと思うのであります。
  28. 田中角榮

    田中(角)委員 池田君の発言の中に、私の発言を非常に曲解されておつて発言をしておるようでございますので、御答弁の前に私のことをただして、池田君はその発言の真意をくまれてから再質問をせられたいと私は希望します。私が申し上げたのは、いろいろな事実を出しますと、吉田内閣が傷を負うとか、そういうことを申したのではありません。私が申し上げたことを申しますと、会計検査院、大蔵省のごとくには、会計法規の解釈について権限を有さない経済調査庁が、自己の判断に基いて会計法規を解釈するときは、権限のある機関の解釈と相違し、妥当でない結論を導く危険性がある。しかも経済調査庁特別調達庁業務に対する見解中には、きわめて妥当を欠くものが多いようであるから、それが公表される結果、一般国民が無批判にそれを信用し、単に特別調達庁のみならず、政府全般の会計事務に対し不当の不信を買う結果となつては相ならぬ、こういうのでありますから、誤解のないようにひとつ……。
  29. 池田峯雄

    池田(峯)委員 そういう問題を経済調査庁が、どういう資料に基いて、どういう自信をもつて国会等に提出されたか、その辺のことはわかりませんけれども、しかし経済調査庁がたとい結論は得なくとも、今日までのわれわれの調査の結果判明したものはこれこれであるということを国会に報告することは、これは何ら不当でないばかりでなく、これは政府機関としてきわめて当然しごくのことであろうと思うのであります。これが正しいものであるかどうかということは、会計検査院なり、あるいは所定の法的機関においてこれを裁くでありましよう。国会国会独自の立場においてその判定をいたすでありましよう。それに基いて国民が判断をくだすのでありまして、一経済調査庁が今日までのその業績の一端を国会に報告することによつて思わざるマイナスを招き、国民に疑惑の念を抱かしめ、吉田内閣に何らかの傷がつくというようなことは、考えられることではないと思うのであります。これはたとえば農林委員会などにおきましても、今後食糧の見通しはどうであるか、こういう場合に、食糧の見通しについて、農林大臣にいたしましても、大蔵大臣にいたしましても、全然見通しはないのでありますけれども、しかし私どもといたしましては、現在のところは食糧の見通しは何ら不安がないものと存じます、こう言う。しかしこれから半年先に不安が出た場合に、その責任はどうかと問われても、大蔵大臣あるいは農林大臣としては、それは責任は負いません。負えないような客観情勢なんです。だから今日まで経済調査庁が調べたところこういう結論が出た、あるいは結論はまだ出ないけれども、こうこうこういう問題が今われわれの手によつて明らかになりつつある、こういうことを国会に報告することは何らさしつかえないことだろうと思うのでありまして、そういう点を私は申し上げたわけであります。
  30. 木村公平

    木村委員長 池田君、君の今の発言の中に、農林大臣、大蔵大臣が食糧の見通しがないという言葉がありましたが、それは何を根拠に言われたか知らぬけれども、その点はもう少しはつきり……。
  31. 池田峯雄

    池田(峯)委員 はつきり申し上げましよう。たとえば今後食糧の不安がないか、こういうふうに大蔵大臣や農林大臣に質問いたしました場合に、輸入食糧については万全を期しておりまして、そういう不安は現在のところないと思います。こういうふうにはつきり言つております。ところが将来あるいは食糧の不安を来すような客観情勢の変化があるかもしれない。あしたのことはわからない。
  32. 木村公平

    木村委員長 さつきの君の発言とは違つておる。大蔵大臣並びに農林大臣は食糧の見通しを立てておらないと発言しておる。従つて万一私の記憶にして誤りなくんば、議事録を調べて御訂正あるよう今から申し上げておきます。
  33. 池田峯雄

    池田(峯)委員 あとで言つたのが正しいのであるから、そういう意味に訂正されてさしつかえありません。——これは派生的な問題ですが、そういうことで、何ら政府機関として結論は出なくとも、自分たちの今日までの調査の結果出た資料はこれこれということを国会に提出することは、何らさしつかえないことだ、こういうふうに考える。それを提出したから国民が惑わされる、こういうことは結論づけられない。とにかく問題を最初にもどしまして、特別調達長のいろいろな業務関係について関係検査院が今国会に報告をしておる。これは昭和二十三年六月末から昭和二十四年にわたつての問題でありますけれども、こういうふうに遅くなつて報告されるよりも、経済調査庁が適当に、そのときそのときにおいてそういつた問題を発見し、そしてこれを未然に防止するならば、国民の得る利益というものは相当大きなものがあるのではなかろうか。だからこういう点について経済調査庁は今日まで何をやつて来たか。また特別調達庁としてはそれに対してどういう考えを持つておるか、こういう点をお伺いしたい、こう私は言つておるわけであります。
  34. 木村公平

    木村委員長 他に発言はありませんか。     〔「答弁々々」と呼ぶ者あり〕
  35. 木村公平

    木村委員長 答弁はありませんか。——答弁はありません。  他に御質疑がなければ、連合審査会はこれにて散会いたします。     午後二時五十二分散会