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1951-03-30 第10回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十日(金曜日)     午前十一時四十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 江花  靜君    理事 青木  正君 理事 坂田 英一君    理事 船田 享二君    飯塚 定輔君       大内 一郎君    田中 萬逸君       松本 善壽君    本多 市郎君       山口六郎次君    千葉 三郎君       松岡 駒吉君    加藤  充君  出席政府委員         総理府事務官         (新聞出版用紙         割当局長)   鈴木 政勝君  委員外出席者         海外同胞引揚に         関する特別委員         長       若林 義孝君         議     員 宮原幸三郎君         專  門  員 亀卦川 浩君         專  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 三月三十日  委員河田賢治君辞任につき、その補欠として加  藤充君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)(参議院送  付) 同月三十日  引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法  律案中山マサ君外三名提出)(衆法第三三  号) 同月二十八日  陸地測量師に対する恩給復活に関する請願(高  木章君外一名紹介)(第一五六〇号)  戰傷病者に対する恩給増額請願苅田アサノ  君外一名紹介)(第一五八五号)  公務員の新恩給制度確立に関する請願武藤嘉  一君紹介)(第一五八七号)  同(川西清紹介)(第一五八八号)  同(塩田賀四郎紹介)(第一六五二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)(参議院送  付)  引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法  律案中山マサ君外三名提出)(衆法第三三  号)     —————————————
  2. 江花靜

    江花委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事の私が委員長の職務を行います。新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  この際お諮りいたします。宮原議員より委員外の発言を求められておりますので、これを許したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江花靜

    江花委員長代理 御異議がなければこれを許します。宮原幸三郎君。
  4. 宮原幸三郎

    宮原幸三郎君 私は本法案に関しまして、御出席政府当局簡單質問をいたしてみたいと思います。私の手元に持つております調査資料を見ますと、昭和二十三年ないし二十六年の四箇年間に新聞用紙割当新規申請の合計が千二百二十四件あるのに対して、割当件数は同期間百五十四件、わずか一二%と相なつております。またその期間における新規申請件数を考えてみますと、四年前には七百九十四件であつたものが、二十六年には四十二件というふうに激減いたしておるのであります。割当が少く、申請もますます減つているという状態であります。また同期間増配申請件数は三百二十七件でありますが、これに対する割当は、その六三%の二百六件という高率になつております。また継続申請件数の千四百八十八件に対し、これは全部割当になつておるのであります。一面府県別日刊新聞数及び割当基準部数調というのが当局の方から出ておりまして、私人手いたしておりますが、それによりますと、各府県に、常識判断をしますと、終戰後のどさくさで申請したものが割当を受けたままに存続し、新規申請の道が断たれたために、新規申請受付許可が困難であつたためにというようなことで、そこに不均衡という感じを与えることが相当多いように感じられるのであります。これらの事実は、新聞出版用紙割当審議会有力メンバー機関紙代表者であるがために、まさか職権濫用もないでありましようが、幾分我田引水的なことになつていないであろうかというような印象を受けるように思うのであります。まずこれらの点について、政府当局の御意見を伺いたいと思うのであります。
  5. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 お答えをいたし手。いろいろ終戰後新聞用紙に対する申請件数に対しての非常に詳細なお尋ねでもありますし、また最後割当審議会に対しての御疑問の点もございますので、この際その間の事情を御説明申し上げたいと思います。  終戰後用紙需給状況というものが非常に悪い状態で今日まで来たことは御承知通りでありまして、特に一昨年の五、六月までの状況は、ほとんど新しい新聞を認める余裕のないような用紙事情でございました。従いまして先ほどお話がありましたように、昭和二十三年の申請件数というものは、七百九十四というような非常に大きな数字でございますが、これはむしろ終戰後からの新規申請積り積つて昭和二十三年の数字というふうに上つているわけで、その意味で非常に新規申請件数としては多いような状況になつております。ところがまだ二十三年には新規申請が全然認められないというような用紙事情で、割当てられたものが全然なかつたのでありますが、翌年の二十四年になりまして、かなり用紙事情も明るくなりましたので、新らしい新聞を認めるというような段階になつて来たわけであります。そこで私ども割当当局といたしましては、審議会に原案を諮りまして、新しい新聞を認めますいろいろな基準を作成いたしまして、たくさん参ります新規申請に対しまして、その割当認むべきかいなか決定して参つたようなわけでございます。今日までそういつた新しい新規申請を認めました数は、大体百五十見当相なつておる次第でございます。最近になりまして、非常に申請件数が少くなりましたのは、御承知通り、過去二年間の間に相当新聞界がいわゆる自由競争段階ね入りまして、用紙統制がありながら、かなり統制外の紙を使いまして、新聞が自由な活動の段階に入りました。従つて相当新聞社相互の間に競争が激しくなつて、今日の状態では新しい新聞というものが経営的にほとんど成り立たないような状況になつております。従いまして最近新規申請が減りましたのも、つまりこういつた事情を反映いたしまして、新しい新聞をつくつて出して行くという、いわゆる新規申請というものの数が非常に減つて来たというような状況なのでございます。  次にこういつた申請決定いたしまする審議会構成メンバーが、既存新聞社代表によつて構成されておる。従つて何らかそういつた新しい新聞に対する影響——悪い意味影響力があるのじやないかというふうなお尋ねでございますが、この点につきましては、ただいま議題になつております新聞出版用紙割当に関する法律によりましてこの審議会がつくられておりまして、なおこの構成にうきましては、新聞出版用紙割当審議会令という政令をもつて、この構成がかなり詳細にわたつて規定せられておるのであります。その点から見ますると、新聞界代表という面も、できるだけ公平に代表されるようにという考慮から、新聞部会五名の委員のうち、大新聞が一名、地方新聞が一名、週間新聞が一名、機関紙業界紙という面の代表が一名、それから最後新興新聞、つまり終戰後できました新聞の面を代表する委員が一名、こういうふうになつておりまして、決して既存新聞といいますか、そういう面だけを代表するという意味じやなく、特に新興新聞終戰後できた新聞どいう面も代表するメンバーもあるわけでございまして、組織的に見ましても、さような御懸念のないような組織に相なつておる。また業界委員だけでこの割当をきめるのではなくて、なお五名の非業界委員も加わりまして審議をいたすような仕組みになつております。従いまして御懸念のようなことは決してないとはつきり申し上げられると思うのであります。御質問にございましたような、そういう御懸念なり疑惑なりというものを与えたような事例は、今日までございません。かような状況相なつております。
  6. 宮原幸三郎

    宮原幸三郎君 新規申請激減事由の半面はよくわかりましたが、現に私どもの関知しているところでは、申請後の処理が、何年申請を続けても、その処理について何らの照会も回答もないというために、その新聞社申請継続をあきらめて中止をしたというのも、私の関知している範囲にございます。そういうようなものもありまするから、おそらくただいま政府当局の御説明以外に、申請者に対して非常に同情すべき事由のあるということを私はなお考えざるを得ないのでありますが、御答弁によつて一応半面的には了解しました。  次にお尋ねしたいことは、審議会の結果が、明白な判断があつたものについては、それぞれ御通告があることはもちろんでありましようが、審議会にかかつたものについての処理には、申請者は鶴首して、一日千秋の思いで、実はその御照会を待つておるのであります。申請者の方から言いますと、新聞協会の方へも、審議会の方へも、また割当局の方へも、毎日のように見本をお送りしたりして、申請者の心情というものは、われわれの知つている範囲内でも、実に涙ぐましい努力を続けております。それでありますから、申請者に対しては、その処理がたとい明白にこれが拒否であろうと採用であろうといずれなる決定であろろとも、御通告になるべきことが、政府割当事務局が、存置せられておる一つの職責じやないかというふうにわれわれは考えるのでありまするが、それについての御処理はどうなつておりますか。
  7. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 お答えをいたします。審議会決定いたしましたあとの処理の点でございますが、私ども事務処理の準則といたしましては、審議会で明白に決定いたしましたものは文書なり、あるいは申請者御本人なりその関係者口頭お話する場合もございまして、それぞれそういつた方法でその間の事情お話して御通達する、かようなことが原則的な取扱いになつております。しかしながら、ある場合によつては、審議会で一応の決定をいたしましたけれども、なお若干ほかの条件も考慮して、次の機会にはあるいは申請が認められるのではないかといつたような事情がある場合には、明白にこの申請が認められないということをはつきり申し上げないで、若干の時日を置いて、当事者お話をした上で、またあらためて申請するとか、そういつた余地を残す場合が、実は若干今日まできわめてまれな例でございますがございました。従いまして、そういつた事情のものに対しましては、あるいは私どもの方の事務手違い等によりまして、御連絡が悪い場合もあるいはあつたのではないかというふうに懸念されるわけでございますが、ただいまお話のように、新しい割当をまだ認められない新聞というものは、非常に経営的にも御苦心をなさつておることでもありますし、できる限り私どもの方といたしましては割当が認められるようなことにしてあげたい、そういう気持で事務を扱つて曲るわけでございます。従つてそういう手違いで御不満の点があるようなことがあるいはあつたかもしれませんが、それは決して悪意、そういうな意味ではなくて、むしろ私どもとしては好意的に、はつきりとこれは認められなかつたんだと言うにはあまりにお気の毒でもあるし、何とか今後御相談をして次の機会を待つてあげた方がいい、まあこういう意味の場合であつたんではないかというふうに想像いたされるわけでございます。
  8. 宮原幸三郎

    宮原幸三郎君 次に第三ですが、お尋ねしたいことは、私の関知した申請者のうちで、紙面内容体裁十分ならざるもの、それから経営的に疑問あるものというような理由で、口頭伝達で保留になつておるものがあるのであります。紙面内容体裁の十分ということになると、どの程度のことを考えたらよろしいのであるかということについて、私も割当局に参りまして、担当当局にも伺つたのでございますが、どうもよくわからない、この内容体裁が十分整え得るだけのものということが、もしもこの機関紙のうちの有力新聞のごときところまでの段階に達しなければいけないものであるとするならば、これはもう用紙申請をしないでもやつて行ける多くは実力のあるものであります。経営の疑問ということでありますが、その申請者は、その当該市長また市議会の市会議長または商工会議所の会頭の裏書き的陳情書も添えて出しているのでありますから、経営的に疑問といえば、これもまた疑問だと言うのでありますか。そういう点についてもかなり疑問があるのであります。そういう点について、簡單に会得の行く御説明が聞かれれば伺いたい。
  9. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 割当審議会といたしまして、新らしい新聞を認める場合のいろいろな基準というようなものがあるわけでございます。たとえば一例を申しますれば、新らしい地方新聞を認める場合には、全国のいわゆる新聞普及率新聞を読んでいる人たち状態がどうか、たとえばある県の人口が幾らある、世帯数が幾らある、そこに新聞が一体何部売れている、こういつたような数字からいわゆる普及率というものが出て参りますが、そういつた普及率が非常に低い県に対しては、まだ相当新聞を認める余地があるだろうというような点から、ある地域に対して申請があつた場合にはかなり優先的に認めるとか、そういつたようないろいろなこまかい基準があるわけであります。そういつた基準一つ考え方として、大体、今日一般日刊新聞、つまり組合の機関紙とか業界新聞とかいつたものでなく、いわゆる一般市民に対して購読料をとつて読んでもらう一般日刊新聞というもののある種の体裁といいますか、そういつたようなものは、大体私どもが毎日読んでおりますあの型の二ページの新聞、つまり最近四ページにふえましたが二ペーージの新聞程度体裁のものが、今日の新聞界のいわゆる一般日刊新聞としての基準である、かように考えられております。但し例外的には、今日認められている新聞の中には、非常にいなか交通状況の悪い町であつて人口その他もせいぜい二、三万というような土地には一、二そういつた小さい、現在の二ページあるいはB三、二ページとまあ私ども言つておりますが、そういう型の半分くらいの、タブロイド二ページというような小さい型の新聞を認めた例は一、二例外的にあるようには記憶いたしております。人口十万以上二十万といつたような都会では、そういつた小さい新聞というものは、常識的に新聞界一般日刊新聞としての価値がない、というのではないのですが。まだ用紙がそういつたものにまで割当てられるような実状でないという考えのもとに、もう少しそういつた体裁を整えていただくことが必要ではないか。かようなことに大体相なつております。
  10. 宮原幸三郎

    宮原幸三郎君 よくそれではわかるのでありますが、そういうことならば、二年も前から続けてそれが申請をしておるのだから、ちよつとそういうことを注意してやつたらよかりそうなものじやないかと思います。ただいま私のところへ申請しておりますのはタブロイド版申請であります。二年も続けておるのに、それくらいなわかりやすいことを通知もしてやらないということは、先ほど申しましたように、割当事務局新聞課は、課長が九箇月も休んでいるというありさまで、行つて見ると、わけのわからない課長代理がいる、そこを私は言いたい。なぜそれならば親切に今の局長の御意見のようなことを言つてやらないか、これを私は申し上げたい。いずれにせよこの改正案に決して反対するわけじやありません。審議会現行法の規定は決定機関になつておるようでありますが、極端に言えば、これでも運用いかんによつたらいいんじやないかとまでも考えられないことはありません。またこの改正案も運用よろしきを得ればなお一層けつこうでありましよう。しかしいずれにせよ、割当事務局決定機関であるから、はれものにさわるようにしてその機関に対する協力が不徹底であるというようなことがあつたならば決定機関であつてもまた諮問機関に直しても、依然として不安の状態が続くのではないか、こういうことを心配のあまり実は私は質問をしているわけであります。この警告をいたしまして、そうして今最後に申し上げましたことについての御答弁をいただいて、私の質問は打切ることにいたします。
  11. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 先ほど御説明申し上げました新聞の型の小さいものにつきまして割当が認められない、こういつたような事情について、それならばもつと早くそういつた事情当事者お話願つたらというようなお話でございますが、実は絶対的な普遍の基準は私どもにもないわけなんでございまして、多少でも用紙事情がよくなれば、できるだけ型の小さいものであろうと————これは非常に内容の悪いものは別といたしまして、できる限り割当をやることが私ども仕事でもありますので、そういつた時期が来れば差上げられるというような意味でありまして、その間の事情等当事者のお耳にも入らないでおつたことは、私としてはなはだ残念に患います。今後そういつた点は十分気をつけまして扱つて行きたい、かように考えております。
  12. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑はありませんか。
  13. 加藤充

    加藤(充)委員 提案理由にありますように、文化資材としてまことに重要な紙類統制するのは、やはり用紙供給不足原因になつておるようでありまするが、ここでお尋ねしたいのは、需要がふえるというだけで不足して来るのか、もちろん需要がふえれば不足するのはあたりまえですが、不足するものが文化資材不足でありますので、需要がふえたから不足するのだというだけでは、その無為無策をわれわれは見過するわけには行かないのであります。どういう原因不足しているのか、そうしてそれに対する対策はどうなのか、また対策が、先ほどの質問にもありましたように、長い間とられておつて、なお続けなければならないような、こういう不足状態を招来しているのですから、その対策実現のための障害というものはどういうところにあるのか、その点を承りたいと思います。
  14. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 用紙不足しておりまする原因は、終戰後特にはなはだしい状況であつたわけですが、つまり需要はたくさんある、しかし紙の生産がそれに追いつけない、こういつた事情が最大の原因でございます。もう少し具体的に御了解願えるように御説明申し上げますると、終戰直後紙生産状況は非常に悪かつた、ところが最近の状況を見ますると、新聞用紙は大体終戰の当時の倍近くにまで生産が上つて来ておる、また印刷用紙の面も同様に非常によくなつて来ておる、こういつたような状況であります。最近需給関係が非常によくなつて参りましたのは、主として生産が非常に増強して参つたというふうに考えられるわけであります。  一方需要の面から参りますると、終戰直後は御承知通り、とにかく印刷をすれば何でも売れるといつた事態相当続いたわけですが、昨今は相当一般大衆購買力も影響いたしておりますし、なかなか印刷物が売れない、特に書籍、雑誌というようなものが売れないという状況も出て来ておる。従つて今日では一応そういつた需要が頭打ちのような状況になつておるというふうなことが一般的に言えると思うのであります。しかしながら新聞用紙につきましては、なお若干の今後需要増加が考えられます。それは昨今毎日私ども読んでおります新聞ページ数相当ふえて参りました。私どもの方の計画では、大体この三月には日刊新聞が四ページが常態になることを目標にして、主として生産関係担当当局に対して生産を増すようにいろいろと努力をして参りました。しかしながら遺憾ながら、遂に三月、毎日四ページという線には到達できませんでしたが、しかし週五回四ページの域にまで達したわけであります。従いまして、なお週に二回分の四ページが今後の需要として残つておる。  それからもう一つ、今後の新聞界競争によつては、現在夕刊朝刊とが別個な新聞形態をとつておりますが、これがもう少し事態が進みますると、おそらく昔のように朝刊夕刊が一本の形のような新聞形態になる。そういたしますると、新聞部数と申しますか、現在の夕刊発行部数よりもなお多くの夕刊を刷らなければならぬというような点から、若干の新聞用紙に対する需要増というものが出て来る。従つて主として今後の需給関係から見ますると、むしろ需要増が考えられますのは新聞用紙のみであつて、ほかの印刷用紙の面は、需要増は現在の状態ではあまり大したものではないだろう、かように考えられておるわけであります。
  15. 加藤充

    加藤(充)委員 そういうような二ページを四ページにするというようなことが、私はそもそも重要だと思うのでありますが、何か巷間伝えられるところによりますと、今の新聞紙は記載すべき内容見当違いである、あるいはまたこういう内容記事をうんと記載しろ、そうすれば用紙割当はそれに追いつけてやりもするし、大体もつとこういうふうな宣伝内容を持つたものをうんと出せというような、いろいろな圧力や、意向が内外から加わりまして、そういうように無理でもしやりでも四ページのものを出さなければならぬ、じやんじやん戰争の問題を書き立てなければならない、写真も出さなくてはならぬというようなことになつて、結局不足しながらもだんだん生産を回復した用紙供給量を、むちやくちやに踏みにじりながら、それを無視しながら、やはり一定の宣伝が強化される、そして四ページに増大しなければならぬというようなことのために、この紙使用新聞出版方面相当の混乱が巻き起こされておるということを聞いておるのですが、そういうことになりますと、どうも不足しているのがどうだ、需要がふえたから不足したのだというようなことだけでは、私はごまかしの説明であると思うのでありまして、むしろ足りないものであるならば、足りないものの中から、しかも日本の将来の民主的な再建、平和的な再建というような方向に向つて、私は一段と進んだ統制をし、そういつたようなつまらぬ宣伝に対しては、チエツクをして行くというような積極策がむしろ望ましいのではないかと思うのであります。しかもまた最近のやり方は、私どもから見るとまことにずるいのでありまして、中味官報一本と同じようなものなのですが、官報一本では民主主義の看板上どうもぐあいが悪い、それで相当多数の出版新聞業をつくつて行くが、その中味だけは同じだ、こういうようなところにインチキな、しかも濫費の傾向がある。そしてその濫費した結果は、日本の民主的な文化的な、平和的な再建と反対の方向に持つて行く、こういうような大きな方針、大きなやり方というものが、戰後の今日徐々に回復しつつある用紙生産というものを非常に破壊し、ぶちこわしたことになつてつていると思うのでありますが、今の御説明では、二ページを四ページにするから、せつかく用紙生産量がふえて来たけれども、どうも不足で困ります。だから統制を続ける必要があるというのでは、私はまだ隔靴掻痒の感を感ぜざるを得ないのでありますが、この点ははいかがでありますか。
  16. 鈴木政勝

    鈴木(政)政府委員 私ども用紙割当仕事につきまして、おそらく何か新聞内容について、私どもが指導しておるのじやないかというふうな、いつも御注意なり、御懸念なりを聞くのでありますが、私どものこの仕事は、新聞政策といいますか、新聞の指導という面には全然タツチいたしておらないのでありまして、憲法で保障されております言論、出版の自由ということをあくまで尊重し、その前提に立つて紙が不足しておるから統制する、こういう建前でいたしておるわけであります。従いまして先ほどお話がありましたように、何かこう記事を載せろというような意味で、四ページの回数をふやしたり、さようなことは決してないわけであります。考え方といたしましては、紙の生産量がふえたから、二ページの新聞が四ページになる、その回数もふえて行く、かようなふうに考えておるわけであります。また一面新聞の実際の面から見ましても、二ページの新聞というものは、御承知通りあの当時非常に活字も小さくて、少し電気が暗いと読めない、こういうような新聞であつたという意味からも、できるだけ早い時機に四ページにして、活字も大きくし、段数も減らして、読みやすい新聞にするということも一つ考え方であつたわけであります。これも決して私ども仕事として、そういうふうにしろと言つて四ページにしたわけではなくて、新聞界の全体のひとつの行き方として、かような傾向にもなつて参りましたし、また用紙の関係も生産が向上して、そういつたことが達成せられるような状況なつた、かような次第でございます。また用紙不足という問題につきましては、最近の用紙需給関係は、大体新聞用紙と、印刷用紙という両者を含めまして、需給関係はバランスがとれて来ておるというような実情から、一時終戰後ありましたような不足するというような状態ではなくて、むしろ今後は統制が撤廃できるという可能性が、最近強くなつて来ておる。従いまして、政府としてはできるだけ早い時機に、こういつた紙の割当統制というものは撤廃して行きたい、かような方針で行つておるわけであります。
  17. 加藤充

    加藤(充)委員 ぬすつとにも三分の理ありというようなことがありまして、あなたの方から見ればそういう口実でしようが、今の御答弁では得心いたしません。これは今の新聞に関係しております事業家、あるいは気のきいた記者から聞けば一番わかることなのですが、これ以上質疑問答を重ねてもいたし方ありませんから、やめておきます。
  18. 江花靜

    江花委員長代理 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許します。加藤充君。
  19. 加藤充

    加藤(充)委員 本法案に反対いたしますことを、共産党を代表して述べると同時に、簡單にその理由を申し上げます。  本法案はもともとその基礎になつております法律新聞出版の、ひいては思想言論の統制を目標にしたものであります。結局民主的な平和的な、そういう意味では民族的な、従つて全面講和への思想言論出版統制圧迫であり、半面におきましてはフアツシヨ的な戰争的な売国的な、同時に單独講和論的な思想と言論の出版統制援助を目的にしたものであります。このことは戰後と最近とではやや違うようなことであり、私の言つたことが言い過ぎであるような感じが、表面は、現象上はいたしますけれども、そういうような本質を持つたものが、結局において世界の、あるいは国内の情勢の進展ということについて、その本質がますますはつきり明確に、隠すところなく現われざるを得なかつたというだけにとどまるものであると私どもは主張いたします。このたびの改正案の要点は二つのようでありますが、まずこれを一年延期するということについて私どもの反対の理由を申し上げますが、今日までわれわれは臨時的だ、一時的だ、やれ一年限りだ、やれ三年だけだというようなことで、いろいろな戰時立法あるいは戰時的統制法がなされたり、施行されたりして来たことを忘れることはできないと思うのであります。私どもは以上申し上げたような性格と本質を持ちましたこの新聞出版用紙割当に関する法律が、ここにおいて表面上、さらに一年こういうふうな延期を必要にするものは、やはり私は朝鮮動乱を中心にしたこの内外の情勢、戰争的な条件、事情がこれを要求しているのだということを指摘せざるを得ないのであります。  なお改正の第二点の割当審議会の性格の変更についてでありますが、これは重要な問題だと思うのであります。  先ほど申し上げましたような性格を持つた法律、またそれの実施の形を通じまして、当局民主主義的な口吻と手口で審議会というものをつくり、そしてその審議会には、いわゆる売国的な独占資本の経営する出版新聞業界の代表をこれに入れ、そうしてそれに決定機関的な権能を与えまして、終戰後の市場を再編成し、彼らにその独占支配をさせて来た。そしてその言論統制を巧みに指令し、巧みに統制しながら、結局そういう手口で当局日本の言論統制をやり、思想と言論、出版の活動を、きわめて巧妙にコントロールして来たものなのであります。しかもこういうことをやり続けて、朝鮮事変の勃発、内外情勢のきわめて著しい変化、この中に処しまして、今度はさらにその決定機関たる役割を、民主的な手口と口吻でやり終せた審議会というものを、いよいよ官僚の手に、当局のじかの支配にこれを移して行くというような意図、としてますます戰争に向つて売国的な政策をとり、輿論なり国論なりを統制するという建前において、その決定機関たる性格を審議機関たる性格にこれを変更して行く意図を、この法案ははつきり現わしたものだと私どもは理解せざるを得ない。  以上のような観点と以上のような理由をもちまして、簡單ではありまするが、わが党の反対討論を終ります。
  20. 江花靜

    江花委員長代理 討論はこれにて終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  21. 江花靜

    江花委員長代理 起立多数。よつて  本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  22. 江花靜

    江花委員長代理 次に本日付託されました引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案議題といたし、提出者若林義孝君より提案の趣旨説明を願います。
  23. 若林義孝

    ○若林義孝君 ただいま議題と相なりました引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案提案理由並びにその要旨を御説明いたします。  お手元にありますように、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正すると申しますが、第七条の「施行の後三年」を「施行の後四年」に改めるというのであります。公布の日から即日施行するということに改めるのでありまして、その理由といたしましては、昭和二十三年にこの審議会が設置せられまして、引揚げ同胞対策に関しまして適切妥当なる施策の献策をして参りましたのであります。しかしなお十分とは申せない現状にあるのでありまして、より以上審議会の機能の進展を希望すること切なるものがあるのであります。たまたま国際連合におきましては、本年の五月に特別委員会を設置いたしまして、抑留されております日本人あるいはドイツ人の送還問題の解決に当ることになつたのでありますが、わが国といたしましてもこれに対応いたしまして、引揚げ問題に関する懸案の解決を急ぐために、本法の有効期間をさらに延長する必要があるのでありまして、これがこの法律案提出する理由なのであります。各派外務関係の者、引揚げ特別委員会の関係の意見を総合いたしまして、ここに提出するに至つたのであります。何とぞ御審議の上成立し得ますよう御協力をお願いいたします。
  24. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれより討論に入ります。討論の通告がありますからこれを許します。加藤充君。
  25. 加藤充

    加藤(充)委員 提案者の理由一つにあげられました点で、われわれはもつと吟味しなければならないことがあるのでありまして、それは国論がどうだこうだということを言つたのでありますし、またこの問題を国連が取上げてくれたから云々ということを言つておるのでありますが、これはよほど考えて見なければならないと思うのであります。なるほど表決の上では必ずしも過半数というわけには行かないかもしれませんが、現在ソ同盟、中華人民共和国、並びに欧亜の人民民主主義諸国というようなものを加えますならば、それだけでも八億の人口であり、これは世界総人口の四割を占めるのであります。そのほかに先ほどの朝鮮問題について、中共を侵略者として制裁を加えるかどうかというようなことが国連で審議されましたときに、アラブ十三箇国でしたか、これらのある国の意図する懲罰動議に絶対反対し、あるいは棄権をしたこの人々の数というものは、おそらく七億ほどもあるでありましよう。こういうふうなことを加えてみますならば、今や国連に加盟の人間の数の中で、その過半数が、そうして全世界の人間の過半数が、国連の運営なり、国連の最近の仕事ぶりなりについて特定国の傀儡の機関になつてしまつたというようなことを言つておるのであります。私どもはこういう国連の実体、国連の実情というような問題、そうしてそのことは一部少数の者が言うのでは断じてなしに、世界の輿論がこれを指摘しておる。世界の人間の大多数がこれを確認しておる。そうして確認するばかりではなく、それに抗議しておるというような事情のときに、国連がどうだこうだというが、今の国連にそのまま協力する、肩入れして行くということ自体が、日本のためにいいことか悪いことか、あるいは正しいことか、正しくないことかというようなことをわれわれは嚴重に批判検討しなければならない段階に立ち至つていると思うのであります。こういう意味合いにおきまして、私は今の提案の理由が少し検討不十分であり、わが党としてはその点については賛成しがたいということであります。  そしてなお私はこの法案はきわめて非科学的な、きわめてよからぬ——この引揚対策審議会というようなものはきわめて間違つた仕事をしておると思うのであります。大体におきまして抑留同胞三十七万どうだこうだというが、三十七万というようなものは、まつたく架空なものであり、仮定なものだと論定しなければならないのであります。またそれを架空ならずとする科学的ないわゆる合理的な基礎資料というものはないのであります。にもかかわらず、こういう問題をもてあそぶということは、幽霊は出るものだというようなことを、国家の責任を持つ機関が肯定し、そのためにこういう看板を出し、幽霊は出ないとは聞いておつたけれども政府機関がそう言うならば幽霊は出るかもしれぬというような考え方をいつしか遂にみんなに持たせることであります。この幽霊対策というようなものを国家が持つ必要はないのであります。幽霊対策というようなものは神霊学者や坊主にまかせるべきであると思うのでありまして、こういうふうなやり方をやります中で、片一方におきましては自分たちの責任において殺してしまつた戰争の犠牲者、あるいは戰争のための不幸がいまだになおいやされきれずして苦しんでおる人々の不満と反抗をよそに向けて、責任を回避するという、まことに卑怯下劣なやち方を含むものであります。また一方にはそれにも増して反共・反ソの宣伝をやる。そして戰争への道具にこの機関を運営して来たことは今までの実績に徴してまことに明らかだといわなければなりません。まつ先に申し上げました最近の国連というものは何をしておる、国連は何のために活動しておるというような国際的、世界的な批判と相まちまして、われわれはそれの日本型的なこの引揚同胞対策審議会というようなものの存置延長ということに対しましては、反対せざるを得ないものであります。
  26. 江花靜

    江花委員長代理 坂田英一君。
  27. 坂田英一

    ○坂田(英)委員 私は自由党を代表しまして、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案に全面的に賛意を表するものであります。  申し上げますまでもなく、まだ三十七万の未帰還者が残されておるのであります。これらの家族の人々、遺族の人々の思いを思い合せまするときにおいては、何としてもこれらの送還の問題に、あるいは送還後における援護の各種の問題、特に住宅の問題その他に関連して、本対策審議会は非常な熱心さを持つて調査その他対策についてのいろいろの事柄行つて参りましたことは、国民とともにこの審議会に対して感銘いたしておるわけであります。かような実情にあるのでありまして、それらの理由をごたごたとたくさん申し上げる必要もない。われわれは一日も早くこれらの未帰還者の送還に努力するとともに、これらの引揚者の援護についてはより一層の努力を払わなければならぬ情勢にありまするので、こまかい理由はいろいろありますけれども全面的にこれに賛成するものであります。
  28. 江花靜

    江花委員長代理 船田享二君。
  29. 船田享二

    ○船田委員 私もまた国民民主党を代表いたしまして本法案に賛成するものであります。  昭和二十三年の八月この審議会がつくられますときに、われわれとしては三年もすればこの引揚げ同胞に関する問題は解決もつくだろうし、また解決つけなければならないというような考えでおつたのでありますが、不幸にして今に至るもソ連地区及び中共地区に抑留されております同胞の帰還の問題等はほとんどまつたく解決されておらないようた状態が続いておるのであります。またことにこれは人数から申しますと比較的少い、また小さな問題とも言えるかもしれませんが、昨年朝鮮動乱が勃発して以来のことでありますが、朝鮮におきまして、日本婦人にして朝鮮人と結婚した人たち相当多数あるのであります。これが朝鮮事変勃発以来その夫が共産軍に捕えられ、あるいは殺されたために、生活の道を失つて、やむを得ず故国に帰ろうとして釜山にまでたどり着いておる人が相当多数あるのでありまして、私はその一、二の人たちから通信を受けましたので、各方面と連絡をとりまして調査いたしましたところが、現在では五百七、八十人のそういう女性が釜山においてさんたんたる生活を送つておるような次第であります。こういう人たちをいかにして送還するかということにつきましても、いろいろと困難な問題がある現状でありまして、こうした問題があと二月や三月の間には、残念ながらとうてい解決されないとしか考えられないのでありまして、こういうような状態のもとにおきまして、またことにただいま提案者からも御説明がありましたように、この五月からは国際連合において特別委員会が設けられるというような情勢のもとにおきましては、こうした特別委員会と連絡をとり、十分引揚者のための対策を各方面から論議し、その対策を実行に移すために、こうした審議会がさらに少くとも一年延ばされなければならないということは当然なことといわなければならないのであります。こういうような理由から、わが国民民主党は本法案に全面的に賛成するものであります。
  30. 江花靜

    江花委員長代理 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  31. 江花靜

    江花委員長代理 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。本日議決いたしました二案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 江花靜

    江花委員長代理 御異議なければさよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十九分散会