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1951-03-17 第10回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十七日(土曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 江花  靜君    理事 青木  正君 理事 坂田 英一君    理事 船田 享二君       大内 一郎君    田中 萬逸君       橋本 龍伍君    本多 市郎君       松本 善壽君    山口六郎次君       苫米地義三君    松岡 駒吉君       河田 賢治君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         総理府事務官         (新聞出版用紙         割当局長)   鈴木 政勝君         大蔵政務次官  西川甚五郎君  委員外出席者         参議院議員   木下 辰雄君         専  門  員 亀卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ――――――――――――― 三月十三日  委員加藤充君辞任につき、その補欠として河田  賢治君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月九日  水産省設置法案木下辰雄君外八十三名提出、  参法第四号)(予)  水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関  する法律案木下辰雄君外五名提出参法第五  号)(予) 同月十二日  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九六号) 同月十六日  外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一一号)(予) 同月十二日  公務員恩給制度確立に関する請願加藤充君  外一名紹介)(第一一六五号)  同(大石ヨシエ紹介)(第一二六二号) 同月十六日  公務員の新恩給制度確立に関する請願堀川恭  平君紹介)(第一三四八号)  同外一件(岡田五郎紹介)(第一三四九号)  元軍人老齢者恩給復活に関する請願村上勇  君紹介)(第一四〇五号)  戦傷病者に対する恩給増額請願淵上房太郎  君紹介)(第一四〇六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  昭和二十三年六月以前の退職官吏に対する恩給  増額陳情書  (第三九二号)  傷い軍人恩給増額等陳情書  (第四三一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  本委員補欠選任  連合審査会開会に関する件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九六号)  新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)(予)  水産省設置法案木下辰雄君外八十三名提出、  参法第四号)(予)  水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関  する法律案木下辰雄君外五名提出参法第五  号)(予)     ―――――――――――――
  2. 江花靜

    江花委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、理事の私が委員長職務を行います。  本日の日程に入ります前にお諮りいたしたいことがあります。委員河田賢治君が去る三月七日委員を辞任せられ、三月十三日再び委員に選任されました。つきましては河田賢治君は行政機構改革に関する小委員でありましたので、再び河田賢治者を小委員に選任いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江花靜

    江花委員長代理 御異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  4. 江花靜

    江花委員長代理 次に、経済調査庁法の一部を改正する法律案について、経済安定委員会より連合審査会を開きたい旨の申入れがありますので、経済安定委員会との連合審査会を開きたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 江花靜

    江花委員長代理 御異議なければさよう決定いたします。なお連合審査会は来る二十日火曜日午後一時より開会いたす予定でありますが、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 江花靜

    江花委員長代理 それではこれよりまず水産省設置法案及び水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案議題とし、提出者木下辰雄君より提案趣旨説明を求めます。参議院議員木下辰雄君。
  7. 木下辰雄

    木下参議院議員 水産省設置法案並びに水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案につきまして、発議者を代表いたしまして簡単に提案理由を御説明申し上げます。  水産省設置問題は最近に起つた問題ではありません。数十年来の問題でありまして、かつて水産省設置に関する建議案あるいは決議案が幾たびか貴衆両院を通過しております。また水産庁設置法案国会提出されたとき、永江農相は本案は水産省設置前提であると、委員会及び本会議において再々言明されております。一昨年アメリカのエドワード・アレン氏外二名の漁業使節がわが国に来られまして日本水産を詳細に調査されましたが、その報告等水産省設置を主張されております。またカナダ漁業大臣W・メイヒユー氏も日本に来られまして、水産省設置の必要を唱えられたのであります。最近に至りまして、水産省設置の運動が水産界全般に勃発しまして、七十万の漁民が署名して、衆参両院請願書提出しましたことは御承知通りであります。これに呼応して衆参両院の過半数の議員水産省設置法案に署名されたのであります。以上申し述べましたような経過をたどりまして、今回参議院水産委員会中心に各派八十四名の発議をもつて三月七日に国会提案した次第であります。  かくのごとく水産省設置を必要とする理由は二つあります。第一は水産業が特殊な重要産業であることであります。私どもの推定によりますと、全農業生産高は一年間に約七千五百億円といわれております。しかるに漁業生産は二千五百億円と推定され、農業生産の三分の一に達しております。しかもこれが限られたマツカーサーライン内での生産でありますから、制限を撤廃されましたならば生産はさらに増加することは明らかであります。これに加えまして、国民に対し、唯一とも称すべき動物質蛋白供給源として、国民保健上からも重要な役割を演じております。さらに水産物重要輸出品として、現在すでに百億円に達する水産物輸出いたし、外貨獲得に寄与しておるのであります。かような重要産業で、将来進展の度がきわめて大きい産業に対し、現在の水産行政はあまりに貧弱であります。  第二は水産業国際的産業であるという点であります。ダレス特使に送られた吉田首相書簡にもあるように、国際的な漁業協約を締結せねばならぬ面も多々あるのであります。また一九四〇年に日本漁船が出漁しておつた実績は、ダレス特使も認めておるのでありますが、この一九四〇年ごろは日本漁船世界海洋を縦横無尽に横行闊歩いたした時代で南北両洋はもちろん、南洋、印度洋、南米その他の海洋にも勇敢に出漁いたしておつたのであります。今後これらの遠洋漁業が以前のように略奪漁業とか、酷漁、濫獲とかの悪評を受けぬよう行政的に監督しなければならぬのであります。かような国際的産業を助長発展せしめるためには、現在の水産行政はあまりに貧弱であります。これが水産省を設置する理由であります。しかしながら経費多端の場合でありますから機構人員経費は現在の水産庁のままといたしたのであります。  何とぞ御賛成あらんことをお願いいたす次第であります。  その法案内容は、現在の水産庁とほとんど同一でありますから、内容の御説明は省略させていただきたいと思います。  それから水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案提案理由を簡単に申し上げます。  水産省設置法が成立いたしまして施行いたすということになりますると、農林省設置その他関係法律改正を必要とするのであります。いろいろの法律農林大臣というような名前がありますのを、水産大臣に直すというような訂正が、この法律案のおもなる趣旨であります。新たな省を設置することは時代に逆行するとか、いろいろな御意見があると思いますけれども、現在講和条約に当面いたしまして、いろいろと国際的水産行政の強い施策を要する面が多々あるのでありますから、特にひとつ慎重御審議の上、御賛成あらんことを切望する次第であります。
  8. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑はありませんか。
  9. 松本善壽

    松本(善)委員 ただいま水産省設置法案並びに水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案提案理由を聞いたのでありますが、先ほどのお言葉にもあつたように、水産というのは非常に重要性がある。ことに現在の日本再建のためには、どうしてもこうした方面から進めなければいかぬというようなお考えでありますが、かつて必要性と現在の必要のあり方というものは、おのずから限度がかわつておると思うのであります。従いまして、この設置法案が一、二年前に出ておつたというのならいざ知らず、われわれとしては行政簡素化ということをひとまず前提として考えなければならない。予算面においては、現在の水産庁におけるところの予算をもつてこれに充当しておるから、その御心配はないと、先ほど木下さんからお話があつたようでありますが、その内容が同じであるならば、ことに一省をつくるということになると、その運営という面は、予算によつて裏づけられるという場合が多いと思うのであります。予算がそのままでよろしいというならば、なぜ長官大臣にかえるということによつて可能となるか、かつてつた大きな疑問を解決することができるかということが、まず私どもとしては疑問とせざるを得ない。なぜなれば、長官にその人を得たならば、あるいは同じ予算でやるならば、これはできるのじやないか、こうも考えられるわけでございます。また特殊的なるところの水産というもののあり方を考慮いたしました場合においては、現在はその官庁の実在によつて明らかなるがごとく、農林省の外局として発足しておる。従いまして農林省自体におきますところの自主的な運営という面においては、その責任長官がとつておられると思う。従つて早急に一省を設けるということについては、私どもはにわかに賛成することはどうか、もう少し研究する必要があるのではないかと思う。  次にその行政改革内容を見ますると、先ほども言われたようであるが、現在までは漁政部生産部調査研究部という三部がある。これが今度新たに省になるから、漁政局ができ上る、生産局ができ上る、調査研究局ができ上る、かような部を局に置きかえるというような形である。またその内容は、聞くところによれば、農林省の所管しておつたところの輸出農林水産物検査所というような機構が、今度の省においては、付属機関として輸出水産物検査所というものに置きかえられるというような内容である。こういうふうなことであれば、その部あるいはその検査所のポストに、もしも練達堪能の士が入ることになれば、おそらくこれは可能ではあるまいか、かようなことも、第二として細部的な考え方から考えるのである。またその内容についても、水産というものは非常に大切である。衆議院においてもそれなるがゆえに、水産委員会というものを設けておることもわれわれは承知しておるのでありますが、これがためにこの提案理由によつてわれわれは賛成すべきであるかということは、他の党の委員諸君意見もあることと思うから、この点については私どもにわかに賛成できないのであります。従つて先ほど言つた二点についてまず御説明を承りたいのであります。
  10. 木下辰雄

    木下参議院議員 お答えいたします。予算がそのままであり、機構がそのままであるならば、水産長官にその人を得れば、あえて省にする必要はないじやないかというお尋ねでございます。これは私ども今日までいろいろの水産行政推進状態を見ますと、まず次官会議が開かれる。次に閣議といふものが開かれる。現在次官とかあるいは農林大臣というような人は、こう申しては失礼かもしれませんが、どうしても農政重点をおく。水産のごときはほとんど顧みられないというのが現状であります。従つて次官会議でも、あるいは閣議でも、水産がきわめて過小に評価されて今日まで来つておる。私ども常にこの点を遺憾といたしておりまして、両院水産委員会ができまして後は、委員会中心となつて、極力その方面の支持をいたしますけれども機構はそのままで、予算はそのままで、どうしても閣議に列席し、あるいは次官会議に列席して、そして水産行政を強く推進することにならなければ、水産行政はレールに乗つて行かないというような状態であります。  なお各国と折衝いたしまして国際漁業協約を結ぶ、あるいは世界のあらゆる方面に進出して行く漁船を監督し、かつ他国信用を得て、堅実なる遠洋漁業進展をはかるためにも、どうしても強力なる筋金の入つた行政機関が必要である。そのためには、現在の水産行政ではどうしてもいかぬ。どうしても省があつて、専任の水産大臣水産次官がおつて国会と相まつて強力に行政機構推進する必要が、非常にあると思います。そこで私はただいまは済費多端の場合でありますから、あえて予算を膨脹させたくないのですけれども、御承知通り農林省農政局というような局は、水産庁全般の十倍も人員がおり、済費も十倍であるというような状態で、水産庁の方は何ら顧みられておりません。かつて林道開発その他に十六億円も出しておつた。ところが漁港、船だまりのような船の根拠地に対して、昨年度あたりはわずか七億五千万円で、年々数千隻の船が港内において沈没いたしており、そのための国の損失は非常に大きいのであります。そういう点も水産に理解ある大臣が出まして十分働けば、別に予算をふやさなくても、公共事業の方からの割当も非常にうまく行くと思います。きのう例の農林水産金融特別法が出ましたが、あれで六十億という金が今度農林漁業交付金のかわりに計上されております。この六十億の使途はどうかというと、水産はわずか三億円、農業は三十九億円、それから林業は十一億というわけで、六十億のうち三億円しか水産金融にまわされないというような実情でございます。こういうことは、水産がいかにみじめに扱われておるかという一つの証左でありまして、この点もう少し水産に理解ある行政官が出ましたならば、あるいは閣議においても強く予算を支持し得ると私ども考えております。  それから第二点の問題ですが、水産省においては、漁政部漁政局にし、生産部施設局にし、調査研究部調査研究局にするというように、部を局に名前をかえただけであります。その他いろいろな試験研究機関、あるいは現在水産庁に付設してあるものを水産省に持つて行きますので、この方面に有能な士があれば何も省にせぬでもよいというお話でありますが、これはごもつともであります。あるいはこういう局長とか研究所長というものは、たとい省にしなくても、有能な士があればその与えられた仕事に対しては十分やると思いますが、私は研究機関試験機関推進する根本的な行政機構はどうしても現在の水産庁ではその目的を達し得ないと思います。  それで一言申し添えますが、私二、三日前でございましたか、GHQに呼ばれまして、水産省設置法の進行ぐあいはどうかということを聞かれましたので、今参議院において本審議している、衆議院はやがて内閣委員会において審議を開始されるだろう。通過する見込みがあるか。それは何とも申し上げられないが、参議院においては大体通過する見込みである、と私は申し上げました。そのときアメリカカナダではその他世界と言いましたけれども水産省設置の問題を非常に興味を持つて見ておる。また日本が今後国際漁業協約あるいは遠洋漁業に対してどう推進をするかということについて、非常な興味を持つて見ているということを言つておられました。そういうぐあいで、外国でも日本水産省ができたということになれば、交渉相手としても非常に便宜じやないかと私ども想像したのでございますが、いろいろの理由で、講和前に至急水産省をつくつて他国信用もかち得たいというわけでございます。去年の暮でありましたか、吉田総理大臣に対してこの問題を申しましたるところ、総理大臣は、自分は水産省設置には賛成だ、しかし漁区拡張が先決だ、漁区拡張さえできれば水産省設置には異議はないと申されました。漁区拡張は、講和ができればもとより、書簡にもありますように、一九四〇年の形は認めるということでありまして、これは漁区拡張も同じであります。かつ水産省ができますのには、農林省から予算の分離、その他いろいろ補正予算なんかありますので、そう速急には水産省という看板は上げ得ない。よしんば両院を通過いたしましても、補正予算その他がありますので、この法案にもありますように——昭和二十七年の三月三十一日から遅れてはならない、かように示してありますので、それまでにはおそらく講和もでき、漁区制限も撤廃されるだろうと私ども確信しております。
  11. 松本善壽

    松本(善)委員 ただいま木下さんから一応御説明をいただきましたが、日本はかつて漁業関係国際条約にも加盟しなかつたという汚名を着ておるので、今後水産重点を置く場合は、どうしても国際的な条約に参加する必要がある。また外貨獲得の一助ともすることができるという御説も承り、そういう点については私ども賛成でありますが、独立機関としては水産省だけが必要であるかどうかもこれまた考えなければならぬことだと思う。他の省、たとえば治安省のことについても同様である。水産省が非常に必要だということはわれわれも同感でありますが、しかし水産省だけが講和条約前にどうしてもできなければならぬということは、どうも私ども受取れないので、この点についてもう一度御説明を願いたい。
  12. 木下辰雄

    木下参議院議員 もとより講和条約及び漁業条約に対しては、表面においては日本外務省がその主体であろうと考えます。しかし漁業に関する限り、大体今までも水産庁が立案しておりましたので、将来もその根本の問題については水産省が立案して、そうして外務省と協力し、その他保安当局とも協力してやらなければならぬかもしれませんが、今言つたような水産庁でありますれば、根本的な問題について主張することが非常に弱いかもしれないが、水産省になつて、ほかの機関も動員して立案をし、また水産大臣外務大臣と手を握つて国際漁業協定に乗り出すということになつて、初めて私は日本水産が大きくクローズアップされるではないか、かように考えております。
  13. 松本善壽

    松本(善)委員 まだ尋ねたいことがあるのでありますが、私だけ時間を費していいかどうか私も疑問に思うので、まだ聞きたいことがありますが、一応これで質疑は終ります。
  14. 木下辰雄

    木下参議院議員 いつでも私参りまして、私のできるだけの御説明をいたしますし、またいろいろ今資料もたくさんつくつておりますので、委員の方にお配りいたしまして、十分御研究をお願いいたしたいと思います。
  15. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑ありませんか。——質疑がなければ、次に移ります。     —————————————
  16. 江花靜

    江花委員長代理 次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題といたし、政府提案理由説明を求めます。西川大蔵政務次官
  17. 西川甚五郎

    西川政府委員 ただいま議題となりました大蔵省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昨年五月、大蔵省機構等に関し、大蔵省設置法改正が行われたのでありますが、その後事務配分等につきまして若干の改正を加える必要が生じましたので、本法律案提出いたした次第であります。  その改正点のおもなるものを申し上げますと、その一は、従来主税局において取扱つておりました大蔵省所管税外諸収入の事務大臣官房所掌事務といたしたことであります。  その二は、会計制度統一的運営と国の会計事務職員の資質の向上をはかるための研修を、本省主計局において行うことを規定の上に明らかにしましたこと、並びに法令改正等に伴うものといたしまして、管財局及び銀行局の所掌事務に関する規定を実態に即して整備したことであります。  その三は、国税徴収事務の増加に対応いたしまして、国税庁に新たに徴収部を設け、内国税及び価格差益徴収事務を管理することとし、総務部を廃止して、長官官房並びに直税部間税部徴収部及び調査査察部の四部を総轄する次長一名を置くとともに、国税庁監察官を六十名増加いたしまして、合計百二十名とし、より一層職務の厳正を期することにいたしたのであります。  以上本法律案についてその概要を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  18. 江花靜

    江花委員長代理 以上をもつて政府提案理由説明は終了いたしました。質疑次会において行うことといたします。     —————————————
  19. 江花靜

    江花委員長代理 次に新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、政府説明を求めます。菅野官房長官
  20. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいま議題となりました新聞出版用紙割当に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  現在行われております新聞出版用紙割当制度は、昭和二十年十月二十六日付連合軍最高司令官より日本政府あての覚書に基いて、国内的措置がとられまして、今日まで実施せられているところでございます。これを法制上から申しますと、臨時物資需給調整法基ぐ指定生産資材割当規則によつてその基本が定められまして、新聞出版用紙割当に関する法律は、具体的な割当の基準、方法等につき、これを規定している建前となつておるのでございます。元来この制度は、この法律の第一条に規定せられている通り用紙供給が不足する国家経済現状にかんがみまして、臨時に行われるものでありまして、用紙需給状況が改善されれば当然廃止しなければならない性質のもので、ことに言論自由の精神からいたしましても、この種の統制事情の許す限りすみやかに撤廃されることの望ましいことは、ここに申し上げるまでもないことと存じます。最近用紙生産事情は、国内経済の回復に伴つて逐次好転し、需給関係は著しく改善されて参つたのであります。従つて政府といたしましてはかかる状況を判断いたしまして、かつ紙が文化的資材である特殊性をも十分に考慮いたしまして、逐次種類別に紙の割当統制撤廃し、現在統制を続けておりますのは、新聞用紙、印刷三十五・三十六号及び教科書用紙であります。これらの用紙につきましてもでき得る限りすみやかに、かつ適当なる時期に統制を撤廃し、新聞出版活動を本来の自由な姿に復帰せしめたいと考えております。しかしながら最近の用紙事情は、輸出その他の関係からただちにこれを実現することは困難なる事情にありますので、さしあたり四月以降も統制を継続することとし、新聞出版用紙割当に関する法律の附則第三項を改正し、その存続期間を一年延長し、今後の事態に応じ機宜の処置をとつて行くようにいたしたい所存でございます。  なお、右の改正と同時に、最近政府におきまして、全般審議会等性格職務権限等につきまして、種々検討をいたしました結果、行政責任を明確にするため必要な調整をする方針を定めました。これに従つて新聞出版用紙割当審議会につきましても、現在の決定機関たる性格諮問機関たる性格に改組することとなりまして、今回これに関する所要の改正をいたしたい次第でございます。  以上が本法律案提案理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられるよう希望いたします。
  21. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑はありませんか。
  22. 松本善壽

    松本(善)委員 ただいま提案理由説明をいただいたのでありますが、私どもが根本的に考えますというと、臨時物資需給調整法に基くところの指定生産資材割当をする、こういう根本的な事情が現在からいうと再検討しなければならぬ情勢に相なつていると考えるのであります。その結果として、政府では新聞出版用紙、そういつたものに対する一つ統制をやろうじやないというような観点は一応わかるのでありますが、新聞出版用紙割当審議会というようなものがあり、これによつてある程度まで決定し得るというような段階のものであつた性格を、諮問機関性格とした。なるほど諮問機関にしたならこういうものが非常にスムースになる、ことに自主的なる統制の段階にこれが運営されるだろうというような感はいたすのでありますが、しかしその結果においてどうなるかは、次の来るべき段階において事実として現われて来るのでありますが、私ども審議会の形式でやつた方がいいか、あるいは諮問機関としてやつた方がいいかということについて、もう少し説明がなければ納得できないのである。従つて現在までの割当審議会というような審議の仕方、いわゆる決定権の内容についてはどうしていけないか、この理由をまず御説明いただきたいと思う。
  23. 菅野義丸

    菅野政府委員 お話通り、現在新聞出版用紙割当審議会は決定機関でございまして、この審議会が決定するところに従いまして事務局は紙の配分をするごとになつているのでございますが、これはそれぞれ関係の仕事をしておる民間の代表の人たちが入つておりまして、そういう人たちが国の非常に重大な仕事であるところの新聞出版用紙割当を決定してしまうということは、内閣の責任の上からいつても非常におかしいことになるのでございます。こういう大きな割当の仕事というようなものは、どうしても政府責任によつてなされなければならないのでございまして、この点につきましては、一応政府と独立したような審議会が決定するということは、政府責任との調整上いかがかと存ずるのであります。しかしながら政府がこういう割当をする場合におきまして、一歩その方法なり内容を誤りますと、これの影響するところは非常に大きうございますので、できる限り広く這般の事情に通じた人たちの御意見を伺つてやるのが最も妥当であると考えますので、これを審議会といたしました、一応政府の考えについて意見を聞いて、そうしてその意見を尊重して、政府の全責任において決定をしよう、こういう考えでございますが、ただいまの御質問の何がゆえに決定機関ではいけないかという御質問に対しましては、これはあくまで政府責任としてやつて行くために、それと独立した審議会が決定機関であるということはおかしいという意味で、ここに改正提案した次第でございます。
  24. 松本善壽

    松本(善)委員 しからばお尋ねしたい。ただいまのお話によると、審議会というものは非常に能のない人たちばかり集まつていたように考えられる。次に生れるところの諮問機関の人たちというものは、しからばそれと匹敵して自主性のある答申をなし得るようなものの考え方をあらかじめしておるのかどうか、あるいはそういうようなサークル団体としては、現在のものはどういうふうに不適当であるか。いわゆる審議会の構成メンバーまでもあるいは不適当だという意味の一つとしてあげらるべきものであろうと思う。従つてどうしてもそういうようなものが不適当であるとしたならば、メンバーをかえた方がいいのじやないかと考えるのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
  25. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど、私の答えの言葉が足りないために誤解を招いたかもしれませんが、私はそのメンバーの方々について言つているのではないのでございまして、あくまでその審議会の性質、性格について申し上げたのでございます。政府と独立しておるところの審議会が決定するという性格は、政府責任との間の調整においていかがかと存ずるのでありまして、決して現在までの決定が妥当であつたとか、妥当でなかつたとか、そういうことではないのでございまして、政府は今までのこの審議会の決定したことにつきましては、非常にけつこうな決定であるということはもちろん考えております。しかしながらその性格が、そういうふうに政府の全責任において行つておらないという点において改正の必要がある、かように考えた次第でございます。
  26. 松本善壽

    松本(善)委員 従来のやり方を一応お聞きしたいのでありますが、ただいまお聞きしている点だけで申し上げるならば、今まで審議会で決定した事項は、政府の意向でないようなものが決定されてしまつて政府の意図するところのもの、あるいは実際に即応した方法がなし得なかつたというように受取れるのでありますが、さようなことがあつたのかどうか。
  27. 菅野義丸

    菅野政府委員 私は実例に基いて、かような不都合があつたからということは、一言も申しているのではありませんで、理論上性格的にこの審議会が決定機関であるということは、内閣責任制の上からいつておかしい、こういう意味でございまして、今までの決定が、政府の意図するところと違つてつたからというようなことは申し上げてはいないのでございまして、先ほど申し上げました通り、今までの審議会の決定は、政府の企図する通りでありまして、これに対してとかくの批評をして、それによつてこの改正提案するというようなことでは決してないのでございます。
  28. 松本善壽

    松本(善)委員 言葉を返すようではなはだ恐縮でありますが、米国におけるところのいわゆるサークル、委員会制度に対しても、これがいいと言う者が半分あれば、悪いと言う者も半分あるというようなことでありまして、現在の審議制度がいいか悪いかということは、現実の実情に徴して問題とさるべきものであつて、従来そうしたことがないというならば、ことさらこれを問題にする必要はないと思う。  次に、はたして諮問機関にしたならばどういう点がいいか、われわれから考えるならば、統制というものは、自主的な統制でも国民に影響するところ大なるものがあるであろうというような考え方を一応はいたすのでありますが、しかしそういうふうな諮問機関みたいなものができ上る。ところがそういうものの意見が尊重されるかされないかわからぬ、政府政府でかつてに決定する権限を持つておるというならば、その諮問機関性格としてまことに熱の入らぬものができ上るのではないか、かようにも考えるのであります。議論はそこで十分尽すといわれるが、その意見というものは答申という姿であるから、審議会においていかに審議されようとも、取上げるのは政府であるから、あるいは坂上げないことがあるかもしれない。そういうようなことについて政府責任を持つておるということであれば、その自主的な統制機関たる諮問機関の存在意義はどうなるのでありますか、この問題についてもわれわれは納得しがたい点がある。従つてこの諮問機関についてどういう夢を見ておられるか。夢といつてははなはだ失礼でありますが、どういう構想のもとに諮問機関がよろしいのか、もう少し親切に御説明願いたいと思います。
  29. 菅野義丸

    菅野政府委員 現在政府にも政府と独立した会議制の機関がたくさんございます。たとえば何々委員会というようなものはおおむねそういうものでございまして、決定機関をなしておるのでございますが、これはその決定事項に影響される業界とか、そういう方面の代表者でないものが組織しているのでございます。しかるところ、こういう新聞出版用紙割当審議会というような制度は、その業界の事情によく通じた人から選んで審議をしてもらわなければならないようなことになつておるのでございまして、政府が今般全般的にこの審議会の検討をいたしておりますのも、そういう業界の代表者が入つておるようなものは決定機関にすべきではなく、これは諮問機関にすべきであるということを決意いたしまして、さしあたりこの新聞出版用紙割当審議会につきまして、決定機関諮問機関に直す提案をいたしたようなわけでございます。  次に諮問機関としても、意見を尊重しなければ何にもならないではないかというような御質問でございますが、これはもつぱら運用上の問題であると存じます。御心配のところはわれわれ十分御意見を尊重して運用して行きたいと思います。しかしながら法律面におきましても、この改正案にございますように、内閣総理大臣及び関係大臣に建議することもできますし、また内閣総理大臣は、一般的な新聞出版用紙割当の方針及び基準につきましては、必ずこの審議会の意見を聞かなければならないというふうに義務づけております。その他いろいろ一般的事項については、内閣総理大臣の諮問に応じて審議をするようになつておりますので、この点は今後の運用と相まちまして、諮問機関として十分に意見を尊重して、業界の事情あるいは希望等を行政の上に現わして行きたい、かように考える次第でございます。
  30. 松本善壽

    松本(善)委員 しからば結論としてお伺いしたいのであります。お言葉の中にもありましたように、業者側は入つていない、業者側は入らない方がいいというようにお聞きしたのでありますが、その点はいかがでしようか、一応確めたいと思うのであります。
  31. 菅野義丸

    菅野政府委員 業者の入らないというのは、この審議会のことではないのでありまして、決定機関である何々委員会というようなものは、おおむね業者の代表をもつて組織しておるものではないようでございます。あるいはまつたく専任にその仕事をする国家公務員と同じような立場の者があつて、ただその形が会議機関であるというふうな形態を備えておるということを申し上げたのでありまして、この審議会は新聞出版用紙割当という、一歩誤れば国の文化に非常に大きな影響を与えるような大事な仕事でございますので、這般の事情によく通暁した人にぜひ参加していただいて、その御意見を伺うのが適当であると思いますので、従来と同じように業界の代表の方にも参加していただきたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 松本善壽

    松本(善)委員 一応私としてもわかつたようでありまするが、もう一応お聞きしたいのであります。現在までの審議会の委員は、全部この諮問機関としての性格を負うところの委員たり得るかどうかということは、将来の問題であるという考えもあるのでしようが、しからば今までの審議会のメンバーにもさような者があり、またどうしても審議会のメンバーとしてかえなければならぬというようなことも、私どもはちよつと受取れないのであります。ただ機関と構想のみもてあそぶということは、学者ならいざ知らず、現実の問題を取り上げようといるわれわれ政治家は、その論断はとりたくないと思うからして、簡単でよろしいから、この改正案で、どうしても決定機関性格諮問機関にしなければならないという理由をお答え願いたいと思います。
  33. 菅野義丸

    菅野政府委員 決定機関であるということは、責任上内閣が最後の責任を持つてこの決定をするという形でなければならぬ。審議会が独立した決定をするということになつておりますならば、これは内閣の責任制の上からいつて妥当でない。こういうふうに考える点が今回の改正の要点でありまして、それ以外の何ものでもないのでございます。
  34. 松本善壽

    松本(善)委員 どうもこういうことはわれわれはちよつ苦手でありまするが、さようなことが世の中にあるといたしますならば、われわれも非常に明朗でないと思うのであります。いわゆる審議制度そのものに対してもつと研究した後にその改正をせられるならいざ知らず、いかなる形態においても、政府にその責任があることは当然であります。国警の問題も、公安委員会の問題も、この問題の前に取上げた一つの問題でありましたが、またこういうものができ上るということは、われわれはこの委員会制度審議制度というものに対しても、もつと研究して、特に新聞の出版に関するところの審議会だけの問題を取上げる性質のものでなかろうと思うのでありまするが、この点については、いくら質問しても切りがないと思いまするから、一応私はこれで打切ります。
  35. 江花靜

    江花委員長代理 御質疑ありませんか——質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五分散会