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1951-05-18 第10回国会 衆議院 通商産業委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 高木吉之助君 理事 多武良哲三君    理事 中村 幸八君 理事 高橋清治郎君       今泉 貞雄君    江田斗米吉君       小川 平二君    中村 純一君       眞鍋  勝君    金塚  孝君     早稻田柳右エ門君    加藤 鐐造君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商機械局         長)      玉置 敬三君  出席公述人         芝浦工業大学校         長       松繩 信太君         日本学術会議議         員       池田 正二君         度量衡工業連盟         副会長     小野 龍三君         京都府度量衡検         定所長     山本 榮吉君         茨城県度量衡検         定所長     横谷 忠政君         横浜市役所度量         衡係      八木 房雄君         神奈川県計量自         治会会長    堺田 秀敏君         郵政省官房資材         部用品研究課  朝見  光君         日新化学株式会         社大阪製造所技         術部検査課権度         係長      林  義一君         共同通信社社会         部長      高田 秀二君         尺貫法存続連盟         理事長     橋本 五雄君         佐藤製衡所顧問 佐藤 衡治君         東京商工会議所         理事      五藤 齊三君  委員外出席者         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大谷 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 本日の公聴会意見を聞いた事件  計量法案について     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会公聴会を開会いたします。  この際公述人各位に対して、一言ごあいさつを申し上げます。  本委員会計量法案審議にあたりまして、特に公聴会を開いて利害関係者学識経験者及びその他一般の方々より広く御意見を承ることといたしましたのは、御承知通り現行度量衡法は、明治四十二年その法律制定以来、幾多の改正を経たものでありますが、それにもかかわらず諸般の情勢よりこれを見るときは、なお取残された感があり、ために学界業界その他各方面より現行度量衡法改正の要望が高まつたのであります。そこで政府昭和二十一年以来法律改正に着手し、鋭意研究を重ね、種々検討を加えました結果、計量法の成案を得ましたものでありまして、去る三月三十一日本法律案が当委員会に付託となつた次第であります。  申すまでもなく本法案内容は広く経済及び文化に密接な関係を有するものであるのみならず、われわれ国民日常生活にも直結するものでありまして、当委員会といたしましては、法案付託せらるるや。ただちに公聴会を開くことに協議決定し、一方検討を続けて今日まで至つた次第であります。  公述人各位におかれましては、御多忙の中を貴重な時間をさいて御出席くださいましたことに対して、委員長におきましても厚くお礼を申し上げるとともに、以上申し上げました公聴会開会の趣旨を御了察の上、本法案につきまして、それぞれのお立場から、またあらゆる角度から十分忌憚のない御意見を御開陳くださるようこの席よりお願いいたしておきます。  次に議事の進め方について念のために申し上げておきます。公述人の御発言順序は原則としてお手元に差上げてあります名簿の順序によること。但し必要ある場合におきましては、委員長において随時変更をいたすこと。なお委員より公述人各位への質疑は最後に一括して行うことになつておりますので、万障お繰合せの上御着席のほどをお願いいたします。公述人各位発言時間はおおむね十五分以内とすること。御発言はその都度委員長より御指名申し上げること。御発言発言台でなされること。御発言の際は必ず御職業とお名前とを述べていただくこと。なお衆議院規則によりまして公述人発言はその意見を聞こうとする事件範囲を越えてはならないこと、及び公述人委員に対して質疑をすることはできないことに相なつております。以上お含みおきを願つておきます。  それではまず芝浦工業大学学長松縄信太君より御発言をお願いいたします。松縄信太君。
  3. 松繩信太

    松縄公述人 私はただいま御指名になりました芝浦工業大学学長松縄信太でございます。  多年の懸案でありました法律も今回国会提出運びになつたことについては関係各位に敬意を表する。一日も早く実施の運びになるように私は心から祈るものであります。なお詳細なことについては、それぞれの専門の方からお話があると思いますので、私は学界という、大所高所から見ておもなる点について述べてみたいと思います。そのおもなる点というのは、私の考えでは二つある。それは一つは、メートル法統一一つ科学基礎を確立する単位制定である、この二点と思います。メートル法を基本にしてやるということは、一ぺん相当に進んでおりましたのですが、それが中座して延び延びになつて、徹底的にできなかつたということはまことに遺憾でありまして、このメートル法実施の遅れたために、どれだけ日本損失をしているかということは、私ははかり知るべからざるものがあると思う。従つて今日の青年というものは、二重の負担で、非常にあえいでおる。これは一日も早くこういう損失をとるようにしなければならないと私は思うのです。英国でも米国でもメートル統一にしたいということは、これはもう疑いのないところで、常にそれを聞かされているところですが、周囲の事情のために、それができないので、その点から考えると、むしろ日本は恵まれた事情にあると言つていいと思います。これを促進せずしてどうしましよう。ところが私に忌憚なく言わせれば、このメートル法促進についての勧進元である通産省の熱意といいますか、この要綱なんかを見ますと、かなり私はやり方がなまぬるいと思うのです。これはやろうと思えば、私はずいぶん先へひつぱつて行けると思う。私は元鉄道に勤めておりましたのですが、実は大正十四年にすでに鉄道メートル法統一しているのです。この統一したときの経験をお話しますというと、私は初めは非常に懸念しておつたのです。まず懸念したのは車掌とか運転手とか線路工夫とか、下の方の人が非常に反対をし、困るだろうと思つてつたのが、あにはからんやそれが逆であつて、最も早くなじんだのはこの現業員であります。それから上の幹部は、これは苦くしてもそれだけの理解がある。一番やかましかつたの中間層です。たとえば駅長とか機関庫主任とかでした。それでも難なく、何らの故障なしに統一できました。今はありませんが、鉄道よりも一年前に満鉄がやはり同じ経験を話しております。それから見るというと、これはなさんとすれば、できると思います。やうぬでおけば―いつまでと期限をつけてやれば、だらだらになつてこれができないというのが人情だと思います。だからして私はせつぱ詰まるまでなんということを言わないで、―この要綱を見ますと、なるべく努めると、こうなつておりますが、これはやめるんだ、こういう気持で私はやつてもらいたいと思います。それで私は、これは通産省のこれに携わる陣容が弱体であるからできないのであろうと考えている。これはまずメートル法を早くやつてもらいたい。それからこの法令を見ますと、この法令の大部分というものは製作、販売、検定重点が置いてあるように見える、が実際はこの度量衡ほんとう活用から考えれば、この中の第一条と第二条、これが私はこの真意でなければならぬと思う。これがわが国発展国民生活一般に最も関連が深いのでありますから、これがむしろこの法律重点であると私は考える。この活用をはかるこそ、わが国民の発展のもとであると思うのです。まずメートル法統一について、その次は単位制定科学基礎の確立ということ、これは今申しましたこの第一条にその目的がはつきり書いてある。第二条には、これを活用してどういう方向に向うかという範囲方向を示している。これを活用するこそ、ほんとうに私は度量衡活用して、日本国民を生かす唯一の道であると考えるのです。ちよつと問題は外へ行くようですが、わが国民の生きる道には何があるかといえば、一般考えることは、海外移民産児制限優良品輸出して外貨を獲得すること、この三つでありますが、今申しました二つというのはしばらくおいて、優良品輸出して外貨を獲得するというそのもとは、実にこれにあるのです。―これにあるのです。私はかつて廣川農林大臣が麦の増配をする、こういうことを新聞で拝見しましたが、国民の聞かんとするところは、その増配をどこから持つて来るのでしようか、これを聞きたいのです。何によつて、たとえば輸入するといえば金はどこから持つて来る、増産するといえばどう増産する、これを聞きたいのです。またよく議論される海外輸出優良品輸出するというそのもとはどれかと言えば、やつぱり科学単位である。優良品をつくるのに、たとえば農産物であれぱいい肥料、いいものをこしらえるには材料、あるいはいい機械をこしらえるには機械、あるいは国民保健考え、るには保健、町民の合理生活、こういうことのもとはみな私は科学単位にあるとこう考えるのです。その大切なものをどうかというと、今までは忘れがちでありますが、今度は記憶を呼び起すようにこの法律の中に織り込んであるということは私は非常な一つ進歩だとこう考えるのです。この法律の各部のところについて軽車、順序その他についてはいろいろ議論があるでしようが、完全な法律をつくるということはなかなか不可能であるからして、一日も早くこういう法律を発表して、どんどん今日の国家進展の道にこたえて行くということが私は必要であると思うのです。ただ必要に迫られて外からひつばられて行くりではなく、うちから国民をひつぱつて行くようにしなければならぬと私はこう考えるのです。そこで私はいい法律ができて、あるいは重要な法律ができても、これを死蔵しておつては何にもたらない。いい法律ができても万人が知つておるというだけでは何にもならない。科学に貢献するところがなければ意味をなさない。そこで法律をつくつた以上は、それを活用して効果を百パーセント上げるということが、私は最もいい政治だと思うのです。ただこの法律審議するだけでなく、その活用に努められるように、私はお願いしたいとこう思うのです。  そこで私は少しまた実例を申し上げますと、こういうぐあいに強化しても仕事があるのだろうか、こういう考えがあるかもしれせんが、私は鉄道に長く勤めました関係から、鉄道でもこういうチャンスにたびたびあつています。勢力争い割拠争いをやつてつて、古い仕事一つ仕事をつつき合つている。そうして大事な仕事を忘れておる。そのために非常に進歩が遅れておつた。たとえば一番大事な鉄道輸送計画、そういうものを忘れて、元の古いからだけをつつき合つている。それを拔かしてたとえば今日の電車の十両運転、ああいうような重要なことを忘れておつたのを、大正年間にそれではいけないというので、鉄道がそういうような統一に乗り出して来て、今日あそこまで行つておるということは明らかな事実であるのです。鉄道のことを言いますと、鉄道というのは簡単に言えば経済的運転安全運転、これ二つしかないのです。それにいろいろな仕事規則を設けていますが、結局それを活用することはその機構いかんと人のいかんにあると私は思うのです。そういうことにおいて、どうかこの法律活用するように政治的に持つて行きたいというのが私の忌憚ない意見であるのです。  そこで私はひとつ一般度量衡の正常な活用によつてまず国民生活合理化指導、それから今申しました国民経済発展のもとであるこの科学技術を生かして、そうして輸出によつて外貨獲得基礎を育成するように、そういう政治の方にお向けになるようにお願いいたします。そうするには今申しましたように通商産業省設置法云々、この、中に、この計器に関する機構を強化して、どうか国民に引きずられないで国民を引きずつて行くように、ひとつそういう努力を願いたいと思うのです。厚生省も、元はただ内務省の一局だつたと思いますが、今日では省にまで発展しています。これはやはり時代の要求にこたえたものだと私は考えます。  なおここにつけ加えておきたいことは、この中の単位の中には電気単位が全然オミツトしてありますが、これはある機会をもつてこの中につけ加えて統一をはかつて科学発達をはかるべきだと私は考えます。  以上のことをまとめて申しますと、三つ結論がここに出て来ます。   一、メートル法促進のため政府は進んで積極的に計画を立て実行し、民衆にその範を示し、一日も早くその実行をすること。  二、生活合理化により国民経済保健をはかり、民族発展共調である計量重要性を自民に認識せしめ、科学発達文化の向上に寄與する手段を講ずることこそ真の政治と言える。  三、そのため通産省内における関係機構の強化をはかり、国民指導の役割を果すことにより、法令死蔵化を防ぎ、法の活用により外貨獲得の種につちかうことを忘れない。  この三つ結論です。なおつけ加えて申しますことは、適当の時期に電気に関する単位を追加すること。以上で私の意見は終ります。
  4. 小金義照

    小金委員長 次は池田正二君。
  5. 池田正二

    池田公述人 ただいま御紹介にあずかりました池田正二でおります。  私は現在日本学術会議国際度量衝連絡委員会委員をやつております。職業としましては、ただいま神戸製鋼所に関係をしておりますのと、東北大学の講師を勤めております。  このメートル法ということにつきまして、私が今日まで歩んで来ました仕事としまして、元鉄道技術研究所に奉職いたしまして、最近鉄道技術研究所を退いたのでありますが、その間東京大学の講師を勤めたりいたし、おもに学術方面関係の深い人間であります。そういう立場にいる私としまして、このメートル法につきまして、一言私の感ずるところを申し上げたいと思うのであります。  およそ科学技術基礎をなすのには、物をはかる基礎が必要であります。それには世界各国いずれもメートル基礎にしていることは皆さん承知通りであります。英、米といえども基礎科学研究にはメートルを使つていることは皆さんも特に御存じの通りであります。英、米といえども基礎科学メートルを使う方が便利であるということはよく知つているのでありますが、産業方面においては、長い伝統上、急にそれを捨てることができないというので、そのまま使われているという、こういう現状であります。さらに基礎科学の物理、化学のみならず動、植物その他の研究にももつぱらメートル法が利用されているのであります。将来この小さい日本の国土において八千万の人口を養つて行くのには、わが国はどうしても科学技術基礎に立たなければならないということになりますと、いよいよもつて将来科学進歩をはかる必要がありますので、この科学に最も関係の深いメートル法につきまして十分の御関心をいただき、ますますメートル法が広く用いられる方向皆さんの御努力を願いたいものと思つておるのであります。  次に私が一つ申し上げたいことは、産業度量衡についてであります。私は一九三六年、昭和十一年に当時の商工省の嘱託といたしまして、国際規格統一委員会がブタペストで開かれましたときに出席いたしました経験から申し上げますと、それはヨーロツパにおける国際規格統一委員会でありましたので、そこへ出席する国はみなヨーロツパ大陸諸国であります。それでいろいろ審議をしておるところを見ますと、そこへ出て来るのは、英、米からはわずか二名ないし三名しか出て来ていないのであります。このことはやはり度量衡に直接関係のある産業に結びつく関係上、メートル法を利用していない英、米から出て行つても、意義が少いということで、出ていないということがよく現われておるのであります。このことと考え合せますと、およそ世界人類の分布と、メートル法を利用しておる人間の数が、どちらが多いかということが重大な問題であると思います。わが国でも今次戦争の結果、英、米の影響が非常に大きいと思いますので、産業上いろいろなものを輸出して行く上に、ヤードボンド法が重要でありますが、もちろんこのヤードポンド圏内輸出されるということと、メートル法を利用しておる圏内輸出するということをあわせ考えますならば、どちらのウエートが重いかということは、今すぐにここで申し上げることはできない。相当多くの人類メートル法を利用しておるということをお考えいただくならば、必ずしも一時の現象をもつてヤードポンド法のみが産業関係する輸出に直結して、それのみが大事だと結論することは困難であろうと思うのであります。なおもう一つ産業関係しますのは、現在の日本工業施設、特に機械その他電気工業施設が、最近諾先輩努力によりまして、ほとんどメートル法をもつてやられておるのでありますが、これをますます活用して、わが国産業発展せしめるのには、一層このメートル法を徹底せしめて、産業発展に寄与したいと思うのであります。ただ先ほども申しました輸出その他の関係上、メートル法以外のものをときに必要とするので、この点につきましては、前公述人松縄信太博士がおつしやつたように、政府におかれましてはその指導よろしきを得まして、ヤードボンドその他も不便なくこれを使うようにされたいのであります。その指導誘致さえすれば、何ら支障なく行くように思いますから、その点につきましては、特に政府におかれましては考慮願われることを希望する次第であります。重ねて申し上げますが、科学技術進歩基礎をなすメートル法をますます普及発達せしめられるよう、皆さんの御努力を得たいことを希望する次第であります。
  6. 小金義照

    小金委員長 次は小野龍三君。
  7. 小野龍三

    小野公述人 私の職業大和製鋼株式会社専務取締役で、度量衡器計量器工業連合会の副会長をしております。このたび計量法改正していただいて、今議長に提出していただいたということは、われわれ長年期待しておりましたので、まことにありがたく感謝いたします。  同法案内容を拝見いたしますと、従来の法律は正確な器物を供給し、使用せしめるという理念に基いて立法されておつたよう考えますのに、このたびは正確な計量実施の確保をするということになつておりますので、計量目的を遂行する上において、一般民衆計量思想を啓発して、国家資源を有用に活用されるという点から、まことに進歩した法律のように拝見いたします。しかしながら日本度量衡制度強制検定を国が行うのが建前になつております関係上、しかもその強制検定を行われるのが、この法案によりますと、地方長官通産大臣とがおのおの度量衡器の種類に従つて区分してその権限をお持ちになるようになつております。そういたしますと、検定といいますのは事務的行為でございませず、そこに人の知識、人の労力が非常に介在いたしますので、統一性がなかなかむずかしい。それでこの法案には二百一十三条に、計量調査官を置かれて、検定に対する不合格あるいは合格処分、または行政行為に対する問題に対しての調査をされ、異議申立てを聞いてやる、こういうことになつておりますが、これはかねがね連合会から衆議院の方に修正案をお願いしておりますように、不合格になるとか異議申立てをするということは、処分つて後に行う行為でありまして、これは明らかに犯罪検挙ということに重点が置かれておりますように考えられますので、調査官が絶えず各都道府県知事なり通産省で行われておる行政手続に対しまして調査をされて、そして全国一様の水準における行政行つて行かれるというように、この法案に追加をお願いしたい。それは第二項に、計量調査官は、検定、再検査及び異議申立てに関する事務並びに計量に関する行政事務調査に当られるということを御追加願いたい、こういう希望を持つておるのであります。これはひとり製作業者だけではございません。この条項を見ますと、一般にはかりを使う方は検定、それから検査検査地方長官が行われることになつており、その検査定期検査立入検査というものがあります。定期検査はある周期をもつて一年とか三年に一度行われる検査でございます。立入検査は別に周期はきめられてございません。その検査官が使用者なり製造人なりのところに任意に検査おいでになり、そうして帳簿検査する、あるいは製品の品質検査、いろいろな必要に応じて立入検査をなさる。しかもこのたびの法律特定市町村というものがありまして、その特定市町村通産大臣に指定されました市町村はその立入り検査が自由になる。そうすると特定市町村の許可をされたその区域に居住する人民は、地方長官市町村長と二重の監督を受けることになりますと、それぞれ立入り検査おいでになる。それに対して適当な――一人おいでになつた人をほつたらかしにしておくわけには行かぬ。やはり帳簿検査すれば、それにお立会いするというようなぐあいで、相当煩雑でございますので、これを政令あるいは省令の方で――犯罪とかそういうようなもののために必要でおいでになるのは別でございますが、ただ単に情勢を調べるというのならば、やはり定期検査と同じようにある周期をおきめ願いたいと希望するのであります。  次に検定でございます。先ほども申しますように、検定がこれは強制検定になつておりますために、器物を――品物をこしらえる業者検定を受けなければ売ることができない。それでこの法令の第四章の検定、九十四条に検定は二十日間以内に検定を行わなければならない、こうなつておりますが、もし二十日より延びた場合に、業者は非常な損害をこうむるものでございますので、業界はこれの御修正方を願い出ておりますのは、この二十日を経過してなお検査が終了しないときには、その品物は商品として市場へ出すことはできないのですから、それに対する損害金を―公定金利損害金をひとつ政府は御弁償願いたい。この修正案を歎願しておる次第でございます。  次に手数料でございます。手数料検査に対して徴収されることになつております。これは調査をいたしまして、――こういう円グラフをちよつとつくつて見ました。これは二十五年の上半期と下半期の当社の決算の結果でございます。これを見ましても、検定手数料が、一昨年約四十五倍に上げられました。そうしてこのたびこの手数料は最高をおきめになつておりまするが、これは非常な高額になつております。物によりますと相当な倍率で上つているのでありますが、現在でさえも検定手数料が相当高率になつております。その中にまだ検定を受けます以外に、検定に出張される役人の旅費受検人は納めなければならぬことになつている。この旅費はきまりはございませんで、ただこれは地方官にいたしますとただいまは五十級くらいの給與階級になつております。どの階級の方がおいでになるかわかりません、それによつて旅費が非常にかわります。また役所によりますと、その役所の内規で実際本人がちようだいする旅費の五〇%を加算してわれわれがそれを納入するというようなことになつております。それで昔営業税制定当時は度量衡器は免税でありましたのが、終戦後営業税をかけられ、そのほかに検定手数料を現在かけられている。どういう割合に現在なつているかといいますと、税額が全部で八百万円、利益金は一千百六十万円、会社の売上金額は一億六千四百四十万円、その売上金額に対して、法人税は売上金額に対する二・五四%かかつております。それから検定手数料は〇・八七%、事業税は一・七人%、検定に要する費用が〇・八二%かかつております。この中に検定手数料というものは法律上ちつともきまつておりませんので、これはまことにむずかしい。おいでになる方の階級によつて検定手数料が二倍もたくさんかかるという状況でございます。これがこのたびこの法律によつてもつと上げられるということになりますと、これは度量衡器の普及上非常な障害になるだろうと私は考えますので、政令をきめられる際にはよほど慎重なお考えをもつてこれをお取扱い願いたい、こう考えておる。  それから検定中に破損をされます、これは割れ物でございます。体温器とかあるいはガラスでこしらえたものとか、いろいろなものが多種多様にございますので、その破損をされたときには検定料は、やはり検定中の過失で破損したものの検定料も徴収せられております。これは即時返還をしていただきたい。そういうことと、それから検定手数料を収入印紙で納入しておりますのをまとめて納入させていただくようにいたしますと、非常に事務的に手数も省けます。以上のような事柄をかねて衆議院の方へ修正意見をお願いしております。どうぞ慎重に御審議くださいまして、なるべくわれわれの希望を御採択くださるようお願いいたします。  それから次にまことに度量衡行政は今日この法をおきめになるとしましても、政令細則でせつかくのこのわれわれの使用者なり、はかりをつくる人の自尊心を尊重していただきましたが、政令省令のきめ方がよろしきを得ませんと、その精神を殺されるきらいは多分にございますので、どうぞ政令、省令をおきめになります際にも、よほどその根本精神をこわさないようにお考えくださつて御立案を願いたい。それから度量衡行政通産大臣が行われることになつてつて先ほども申します通り通産大臣地方長官に委任をされておるのではなくて、並立にその権限をお持ちになるような形になつておるように拝見いたします。しかも検定技術は今月通産省を拝見しますと、検定技術の方は、これは技術庁長官が行われておる。検査と生産行政は、機械局長が行われておる。そうして地方庁においての行政はこの両方の行政をやつておる。しかも機械局の中の農林民生機械課の度量衡班というので、全国の度量衡行政を見ていられるようなことで、昔は地方の度量衡官吏の任免、推薦その他は商工省で行われておりましたが、地方自治の関係上、今日そのひもをきられまして、任意にあちらで任命せられます。その関係上なかなかむずかしい。それと商工省でさえ二つの監督官がそれをつかさどつていられる関係上、地方庁はまたそれになろうて日本に権度課という課を持つております県は徳島県と大阪府だけでございます。ほかは商政課とか商工課とか、そういうところに付随しておる度量衡検定所というものがございます。そうして商工課の中におられる事務専任の事務官が事務的のことを行われております。そうして検定行為はやはり検定所主任とか所長とかが行われている県もありますし、また検定所長がその事務と両方の検定の権限とを持つていられる県もございます。ひどいところになりますと、検定所と本庁との間が二十里も三十里も離れておる。それがために、しかも検定を受けるのは絶対検定でありますので、われわれが手続をしてやりますのに、事務的のことは本庁に行つて手続する、検定はこつちへ行つてやる、そうすると非常にその間に連絡がむずかしくて必要以上の手数がかかるのでございます。どうぞこの際法令改正と同時に、商工省においても権度局とか、あるいは計量局というようなものを設けていただいて、そうして検定行政と生産とを一人の人にまとめてみていただくということを――これは法律以外になるのでございますが、運営上どうしてもそうしていただければ、各府県におきましても権度課というものを置かれまして、そうして行政の一貫性を見ることができる、初めてこの法の立法の精神は活用ができるということになるのだと私は思いますので、どうかこの行政機構について、ひとつ国会の方から政府の方へ御要望くださいますように、あわせてお願いする次第でございます。  はなはだ簡単でございましたけれども、いずれまた次の機会にこの地方税と二重の税金を負担して、度量衡器は火薬や危険物のように行政官のやつかいものではないのですから、事業税をとつて、しかも検定手数料を徴収される、これをひとつ一方にしていただく。そうしますと、きまりましたときに自治庁の方へ参りましたら、萩原という徴税の課長さんがおられて、その方のお話では、検定料をこちらへよこしたら検定料をまけてやるけれども、事業税はまけられぬ。率直に申しますと……、そういうことになると言つておられますが、この検定料の収入は、われわれ民間人の外目で見ておりますと、どうも検定料の収入によつて国の度量衡行政を全部まかなつておられるというようなぐあいで、しかも各府県に平等にこの検定料を納入する機関、すなわち製造人が分布しておりますものでございませんので、少い検定料の上る県と、多い検定料の上る県といろいろございますので、はなはだ不平均になるものと私は思います。
  8. 小金義照

    小金委員長 時間が大分超過いたしております。簡単にお願いします。
  9. 小野龍三

    小野公述人 それでは失礼させていただきます。
  10. 小金義照

    小金委員長 次は山本栄吉君。
  11. 山本榮吉

    ○山本公述人 私がただいまご紹介にあずかりました山本栄吉であります。地方公務員でありまして、現在京都府の度量衡事務を担任いたしております。  計量法案は、施行法案を含めまして三百条近い大法典になつておるのでございますが、その内容といたしますところは、従前の度量衡法の消極的な取締り制度から一歩を進めまして、指導行政に移つているところに、特質があると考えられるのであります。度量衡法が明治四十二年に制定せられました当時の計量単位といたしましては、数種にすぎなかつたのでありますが、またその数種をもつて、その当時といたしましては事足りたことと存じます。しかしながら科学経済進歩に伴いまして、計量単位が増加することは当然であり、また個々に計量法に取入れられたことも、当然であろうと考えられます。この計量単位は、単に経済取引の関係のみでなく、学術上、文化上あるいはまた国民生活上に密接な関係があるのであります。そういたしますと、われわれはここに学術上の問題、あるいはまた産業上の問題、あるいはまた各国との関係におきまして、メートル法を採用するのが最も適切じやないかと考えるのであります。従前におきまして、メートル法のやかましく言われました当時においては、相当メートル法国民生活上に食い込んでおりまして、商取引に対しましても相当メートル単位を採用していたのであります。しかるところこのメートル法が延期されることに退歩をして行くような状態になつて来たのでありまして、メートル法の問題を政府が推進して行くことによつて、民間におきましてはメートル法の問題を十分やり遂げられると考えているわけでございます。  次に計量法案の眼目とするところは、結局計量の安全の確保でございますが、地方におきましても取締り行政より漸次指導行政に移つて行つているのでございます。この指導行政におきまして、地方の役所指導行政をいたすわけでございますが、前よりも一歩を進めまして、工場あるいは事業場におきまして、計量管理ということをやつているのでございます。この計量管理は自分のところで使つている計測器を十分正確なものを使つていい製品をつくろうと努力をしている会社が相当数に上つているのでございます。この点におきまして、今度の計量法案の第七章に計量士という項目を加えられておりますし、また第八章に計量士を置いた事業場の指定ということも掲げられているわけでございます。しかしながらわれわれの指導よりか一歩を進めて、会社、事業場が計量士を置き、またそういう仕事内容をやつているところに対する利益というものは非常に少いのでございます。この点指定事業場に記載しておりまする内容以外に、もつと法益を付與すべきものじやないかと思います。これによりまして、わが国産業上に寄與するところが非常に多いと考えられます。工業技術庁も、最近計測管理ということを非常にやかましく言つておられます。これは合理化の一環といたしまして、当然取上げられるべき問題でありますが、そういう計量単位をきめられる、あるいは計画事業をきめられているこの法案に対しまして、この計測管理が取入れられていないということが多少問題だろうと思います。もつとこの計測管理というものは、この計量法案に取入れらるべきものであると考えております。  次に、検定の問題でございますが、検定におきましては、先ほどからの方も述べられましたが、通商産業大臣と知事とが並んで行つておるというお話でございますが、こういう製造事業者あるいは修理事業者の面から考えてみますと、その土地でできた品物はその土地でなるべく検定をしてやるということが、その事業者の活動を容易にするばかりではなく、また国民器物を提供する上から考えましても、最も必要なことではないかと思います。  次に、この計量法は、省令、政令あるいはまた施行法案計量法を含みまして、非常な大法典になると考えられるのでございます。この点におきまして、私は、これを推進して行くために、円満なる遂行を期するためには、政府部内において適当な部局をこしらえる必要があると考えでいるのでございます。先ほど申しましたように、メートル法の問題におきましても、推進すれば推進して行くだけその効果が見えて来るのであります。こういう点におきまして、政府部内に適当な部局をこしらえるということが最も必要なことであろうと考えるのでございます。  要約いたしますと、私は、メートル法の問題は大いに推進して行かなくちやならない、それから計量管理の問題におきましては、もつと法益を付與してやらなくちやならない。検定の問題におきましては、地方の製造業者の活動を容易にするために、できるだけその場所で検定をしてやるという方法に持つて行かなくちやならない。四番目に、計量法施工のためには、政府におい適当な部局をつくらなければならないという四つの問題であります。
  12. 小金義照

    小金委員長 次は横谷忠政君。
  13. 横谷忠政

    ○横谷公述人 ただいま御指名をいただきました府県代表の横谷忠政でございます。地方公務員でありまして、茨城県度量衡検定所の者ございます。今回の計量法に対しましては、大体において賛意を表するものでありまして、でき得る限りすみやかに本案の国会通過をこいねがうものでございます。しかしながら本法案に対して希望する点がございますので、ここに申し述べます。  ただいままでに各公述人が申されました通りメートル法は進んで実行していただくようにお願いいたします。なおメートル法は猶予期間というものがございまして、これが非常に今までに害をなしておつたように思われるのであります。猶予期間というものは、現在まで大体におきまして、一般の人たちはこれを実行延期の期間というふうに心得ておるように思われるのであります。ですから猶予期間を長く置いたからといいましても、結局期限満了になるまでは手をつけないというようなものが多々あるように見受けられますので、猶予期間はでき得る限り短くしていただきたい。全然ないということは、また実行する面においても支障がございましようが、猶予期間を幾分なりとも短縮して、そしてメートル法専用に進んでいただきたいと存ずるものであります。  次に今回の法案によりますと、取引、照明を明確かつ広範囲に定義づけておりまして、計量単位が大幅に時代の要求によりまして増加しておるのでございますが、電気単位や取引を除外しておるのは、だれが考えましても非常に奇異に感ずるところでございます。水道、電気、ガス、こういうふうなものは、われわれの経済生活と密接不離たものでございまして、一日もわれわれの日常生活からそれをオミツトするということはできないものになつております。今回の計量法案は画期的な大改正でございまして、この法案目的にもございますように、この機会におきまして、計量単位統一検定統一というふうなものをはかるべきではないかと考えます。なお検定についても同様であります。電気メーターは何分別の法律によつて運営されておるからというようなことでございましたならば、法案を片ちんばにすることもいなめないのでございます。何とぞ電気計器の単位検定というふうなものを本案に追加していただくように希望いたします。  次に計量課の設置の問題でございますが、計工法を見ますと、法令、政令を加えまして、千八百条余りになるように伺つております。なおこれに関係する法令は三十数種に及んでおり、計量法案の求める点は、日本科学の振興、国民経済の安定にほかならないと存ずるものであります。かかる理想の実現は一にこの法律の運用いかんにかかつおるのであります。ここにおきまして、計量行政の全国的統一と、計量の適正円満たる施行をはかるためには、通商産業省に一課を設けまして、その衝に当られんことを切に希望する次第でございます。  次に計量管理の問題でございますが、工場、事業場、店舖その他計量器を使用する場所におきますところの計量器の整備、計量の正確の保持、計量方法の改善、その他適正な計量実施を確保するために、必要な措置を講ずるため、計量士の制度を設けたのはまことにけつこうなことでございまして、賛意を表するものでございます。しかし事業場に山けるところの計量士は、計量行政の円満な施行の協力者でございます。計量管理を職務とするところの計量士を設置して、設置したところの計量器使用事業場の指定を受けるのに手数料をとるというようなことも、はなはだ了解に苦しむところでございます。これらの計量理事業場には、むしろ国におきまして、補助金を交付してでも慫慂すべきではないかと考えられます。あまりに計量理事業場に特典が少いという点を御考慮いただきたいと思います。  大体これをもつて私の意見は終ります。
  14. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして午前中の公述を終了いたします。初めに申し上げました通り、全部の公述が終了いたしました後に、当委員会委員の質問があるかと存じますので、現在まで公述を終られました方々におかれましては、お忙しいととろまことに恐縮とは存じますが、最後まで御着席をお願いいたしたいと存じます。  それではこれにて休憩いたします。午後は一時半から開会いたします。     午後十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十四分開議
  15. 小金義照

    小金委員長 これより午前中に引続き公聴会を開きます。  この際お諮りいたしますが、東京商工会議所理事五藤斉三君を一般公述人に追加選定いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 小金義照

    小金委員長 御異議ないようであります。それでは東京商工会議所理事五藤斉三君を公述人として追加いたします。  これから公述人の公述を求めます。八木房雄君。
  17. 八木房雄

    ○八木公述人 私はただいま御指名にあずかりました八木房雄であります。私は市町村の代表といたしまして、本日公述人としてこちらへ参りました。職業横浜市役所度量衡の係でございます。  この法案を拝見いたしますと、大体におきましてこの計量法案は、市町村の側から申しますと、ほぼ賛成であります。しかし市町村でこの法案を見ますと、市町村の側に直接関係のあるところは、第六章の取締りの面でありますので、私の公述人としての意見も、主とし市町村関係ある取締りの面についてのみ述べたいと思います。  この計量注案を拝見いたしますと、前の現行度量衡法と同じように、メートル法がやはり基本として採用されておりますことは、私もこの趣旨に賛成するのであります。しかしこの取締りの条項の中に、従来現行の度量衡法になかつた特定市町村というものが出て参りまして、これが定期検査をも主体となつて執行することは、これは大きな変革でありまして、市町村の側といたしましても、府県知事同様に取締りを単独に執行できることは、この計量法案の非常な一進歩であろうと私は考えております。しかしながら従来市町村が府県なりあるいは国家から一銭の補助金もなく度量衡法の取締りをば執行して参つたものでありますが、今度の法案のようにはつきりと取締りの面をば担当することになりますと、当然ここに非常に莫大な人員なり、設備なりあるいはその他の面が必要になつて来るのであります。従いまして当然これにかかる経費も莫大なものであります。この法案を拝見いたしますと、いろいろな面で手数料その他が納入するようになつておりますが、これは全部国家の収入になるように考えられるのでありますが、しかしこれだけの取締りをば市、町あるいは村がやる場合、少くともある程度の財政の裏づけがなければ、この法律の万全の執行は望めないのであります。従いましてあるいは検定の収入あるいはその他の免許の手数料、そういつたものはもちろん国家の収入ではありますが、最小限度定期検査にかわる検査というのがございますが、これもやはりある程度手数料を徴収するようになりますので、せめてこの面だけでも府県なり、あるいは市町村なりの直接の収入としていただきたいと私は考えております。  次に、この取締りの条項を拝見いたしますと、先ほどどなたか公述人の方がおつしやいましたように、定期検査のみ特定市町村が執行するのでありまして、その他の取締りは府県知事なり、あるいは特定市町村なりが二重に行うようになつております。これでは市町村の側から申し上げますと、片手たり片足だけをいただいたようなもので、やはり取締りをやる以上は、定期検査のみでなく、その他の取締りも一元的に市町村にできる範囲内はやらしていただきたいと思うのであります。ということは、国民あるいは市民なりが、きようは県から取締りに来た、あしたは市から来るというように応接にいとまがない。この面ができ得るならば、特定市町村なら特定市町村だけにまかして、取締りの面は担当するようにしていただきたいと思うのであります。  次に、これはごく卑近な例でありますが、横浜と川崎は隣接しております。こういつたような場合、量目の取締りをいたしますと、横浜はパンの目方を非常にやかましく言う、川崎はそれほどやかましく言わない、あるいは川崎ではかりの検査が非常にやかましく、横浜ではそれほどやかましくないというふうに、やはり手心がまちまちでおります。これはひつきようするに、本省ではもつと大きく、せめて課ぐらいにしていただいて、全面的に統一していただければ、やはり度量衡行政も一元的にできるのではないかと思うのであります。こういつた面で私は――これはこの法案に直接関係がございませんが、通産少の中に、現在の度量衡班というようなわずかな人数でなく、計量課あるいはそういつた課程度のものをこしらえていただければ、市町村としましても、非常に仕事がやりやすくなると考えます。  以上要約いたしますと、この法案に盛られておりますところのメートル法を基本とすることは、これは従来も市町村メートル原器により取締りを執行して参りましたので、この点は賛成であります。と何時に、取締りをやる以上は、これにしつかりした財政の裏づけがほしいのであります。次に取締りは、特定市町村となりましたときには、定期検査ばかりでなく、その他の面でも特定市町村なら特定市町村だけができるようにしたい。  以上でございます。
  18. 小金義照

    小金委員長 次は堺田秀敏君。
  19. 堺田秀敏

    ○堺田公述人 私は昭和産業株式会社と日東化学工業株式会社横浜工場の計量管理員を勤めておりまして、神奈川県計量自治会の会長をいたしておる者でございます。計量法案昭和二十一年十一月以来四箇年半の長きにわたりまして、各方面の権威者、有識者、関係者等から意見を徴されて、慎重審議研究を遂げられまして立案せられたにもかかわらず、なお幾多の瑕瑾手落ちがあるのはまことに遺憾でありますが、現行度量衡法が時代に沿わない多くの不備欠陥があるというので、計量界に多年の要望がございました。それにこたえて現代の社会に即するよう、全面的に改廃すべく懸命に努力せられた当局の御苦労に対しまして、私は深甚なる敬意と感謝の意を表するとともに、総体的に見ましてこの計量法案に対し賛成の意を表明するものであります。ことに私ども計上管理員の立場から見ますと、本決に計量士制度を取入れられまして、民間事業所の計量自治管理普及促進の第一線当務者たらしめたことは、私どもの職員の市大なることを痛感いたしまするとともに、これによりまして法第一条の目的達成に大いに役立つものがあると確信するものであります、従来の国是によりましてメートル法計量の基本単位とすることを再確認したことによりまして、工業上の重複、設備のむだを排除し、作業工程を合理的に簡素化し、教育上のやつかいな諸等数の計算を追放して、学徒研学上のむだな苦労を軽減し、社会生活にも無用な負担をなくし、もつて文化の進展、国民経済の安定に寄与せしめるように措置されましたことは当然のことと存じまして、私は大賛成であります。国家社会のため大いに祝福してしかるべきと思います。法案内容につきましては、私は一通り検討はいたしましたけれども、本法付属の政令とか省令とかいうものを見せていただかないと、確かな意見は申し上げかねるのであります。しかし、ここに法案中若干の事項を取上げまして、批判的に意見を申し述べさしていただきたいと思います。  一、計量法制度の目的を明らかにしたこと、一、計量の基本を現行法通りメートル法によることとしたこと、本法にいう取引、証明の意義を明らかにしたこと、計量器なるものの定義をきめたこと、これらは私どもの進むべき道を指示されたものでありまして、まことにけつこうと存じます。本法に現在実用化されておりますところの大部分の計器を取入れられましたことはよろしいと思いますが、近代の文化計量施設に欠くことのできない関係にある電気計器を除外したのは遺憾と存じます。計器の構造及び公差のわくが旧法では非常にきゆうくつに規定されていたのでありまするが、新法ではこれを緩和いたしまして相当程度幅を打たせ、用途に応じた新案計器の出現の道を開いたことは賛成であります。容器の容量検査制度を設けたことは正量確保の面からけつこうだと存じます。計量照明事業を認めまして、使用計器を登録せしめ、計器の精度保持の義務を負わしめたことは、取引、証明の公正明朗化を期待する上から適当と存じます。計量士の制度を設け、工場その他の計量自治管理に当らしめ、計器の整備、適正計量指導計量方法の改善、正量の確保、器物の精度保持等に従来せしめることといたしましたことは、産業上の能率増進、製品の品質向上もしくは均斉化、取引の公正、安全を期する上においてしごくけつこうと存ずるものであります。但し計量士という名称は、ただ単に物をはかる仕事に従来する労務者であるかのようなきらいがありますので、適当でないと思います。よつてその職務内容にふさわしい計量管理士なる名称を与えるよう修正せられんことを要望いたします。事業場の指定につきましては、その筋が勧告し得るような道を開いた方が有効と存じます。なおこれを計量器使用事業場というのはおかしいのでございまして、生産工場であつて計量器を使用しない工場はないはずであるから、計量自治管理実施事業場というような実質に伴うごとき名称に改むべきだと思います。計量士を置いた指定事業場に一定範囲の無検定修理を許すことはけつこうでありますが、無検定修理の範囲が省令でいかなる程度にきめられるかが問題であります。なお右範囲外の自家用器物を自家修理した場合における検定は、定期検査の場合と同じく使用公差を適用するように定められんことを希望いたします。再検査及び異議申立ての道を開きましたことは、検定取締りの均斉化、明朗化、民主化をはかつたことでけつこうだと存じます。基準器検査制度を設け、基準器の統一、精度の確認、正確保持を期せしめられたことは当然と思います。計量行政審議会、公聴会及び聴聞の制度を置きまして、計量行政の民主化をはかつたこともよろしいと存じます。計量士国家試験制度を設けたことは、自治管理を実施しようとする会社工場の希望の線に沿うたものでありまして、まことにけつこうと存ずるのであります。計量教習所を畳きまして、計量関係の官公署職員の養成と計量士志望者に対し、必要な学問及び実務を授ける機関とし、なお計量士の技術研修を行う所といたしまして、これを計量法上に認めたことはしごくけつこうと存じます。検定手数料が大幅に増額されておりまするが、これはただちに器物の価格及び修理費等に附加されまして使用者の負担となるので、計量士がせつかく努力いたしまして会社工場の能率を上げようとする場合に、器物に要する経費が著しくかさみますので、首脳部において、器物の整備購入または修理が手控えがちとなり、ひいては適正な計量産業の振興にも累を及ぼし、計量法目的にも反するものと考えられます。よつてこれが料金を政令でおきめになられる場合、相当程度緩和せられんことを考慮せられるよう希望いたします。計量器使用事業場の指定を受けようとする者より千円の指定手数料を徴することに相なつておりまするが、これは計量法制定の精神から見ましてはなはだ矛盾した措置と思われます。すなわち指定事業場は計量士がおつて検定所のお世話にならないで、自治的に計量管理を実施しておりまして、いわば検定所の仕事の側面的援助をしているようなものでありまするし、なお検定所や市役所方面と違いまして、基準器、附属用具等一切貸付はしていただけないのでありますから、むしろ国家より相当の奨励金なり補助金なりの交付があつてしかるべきものと考えます。これは断然削除せられんことを望みます。この点につきましては先刻横谷さんからも強調になられたようでございまして、大いにわが意を強うするものがあると思います。  それからもう一つ申し上げたいことは、先般全国度量衡検定所主任者会議の決議といたしまして、本省に対して計量課を設置するように建議をせられましたが、計量行政を運営する機関といたしまして、計量管理も計測管理も包含し得るような計量局あるいは計量部とかいうくらいの大きな規模でなければ、あるいは処理しきれないのではないかと思うのでございます。この点につきましては委員長さんから特に当局に意見を聞いていただきたいと思います。  以上ははなはだ概略でございまするが、意見として申し述べさせていただいた次第であります。要するに計量法案は部分的には不満足な点が多々ありますけれども、それは各人各様の立場によりまして、利害関係が相反する場合もあり、見解の異なる場合もありましよう。とうてい四方八方満足にできるはずがないのでありまして、私は大体において賛成することを妥当と思つて、右のように申し述べた次第であります。何とぞ本案がすみやかに国会を通過するよう祈つてやみません。私の公述はこれをもつて終ります。
  20. 小金義照

    小金委員長 次は朝見光君。
  21. 朝見光

    ○朝見公述人 私は郵政省官房資材部用品研究過の朝見であります。今回のメートル法基礎とする計量法案内容検討いたしました。まことに画期的な、そうしてまた進歩的なものと私は考えております。すなわち法案中、計量単位及び計量器を従来よりも広範囲法律の中に取入れたということであります。言うまでもなく、近時日本科学技術のやかましく叫ばれておるときにあたりまして、まことに意義のある最も適切なものと考えるのであります。それからまた府県で行われますところの定期検査の省略に伴いますところの一定範囲の無検定処理も、相当広範囲に認められております。とりもなおさずかようなことは郵政事業の経費の面に、また業務の能率の上に、相当の貢献をもたらすものと、われわれ郵政省の人間といたしまして、これまた今から期待しておるわけであります。その他行政処分におけるところの異議申立て、あるいはまた計量行政審議会というふうな制度も、時代に即したきわめて適切なものであろうと私は考えます。  大体かような事柄から、郵政省と申していいかどうかちよつと何ですが、大体郵政省としては、この法案については賛成の意を表明しております。郵政省におきましては、大正十年のメートル法単一制の改正法律施行に伴つて昭和三年の四月に、メートル法単一に切りかえたわけであります。そして今日に及んでおるのでありまするが、これまた単一化したために、いろいろと事業面に相当な便益をもたらしておるということも事実あります。御承知の方もあろうかと思うのですが、大体郵使用のはかりというものは、民衆と密接な関係、重大な関係を持つておるわけであります。そこで昭和十二年以来、郵政省としては自治管理を実施して、今日なおやつておるわけであります。そうして今回の計量法の施行に伴いまして、従来は郵便用のみに限つておりましたが、来年度からはこれを郵政事業用の全般の計量器にわたつて、すなわち医療用であるとか、あるいは厚生用のものであるとか、あるいは対外的関係のある物品の受払い用のもの、そういうものまでも全般にわたつて自治管理の計画を現在進めておるわけであります。これも法案の施行いかんにかかわるものでありまして、実はそういうふうな計画をもつて進んでおりますが、何分にも法案の公布がありませんと、いろいろな面にさしさわりもありまするので、来年度から実施するはずでありますが、来年度の予算を組む上においても、できるだけ早くこの法案は通過さしていただきたい、これを郵政省として切にお願いする次第であります。私のお話は以上でもつて打切ることにいたします。
  22. 小金義照

    小金委員長 次は林義一君。
  23. 林義一

    ○林公述人 ただいま御指名になりました日新化学工業の技術部の権度係長をしております林であります。  木計量法案を見ますると、現行の度量衡法に比しまして、はるかに民主的でかつ合法的でありまして、まことにけつこうな法律案であると存じますが、しかしこの法律案をよく読んでみますると、何だか物足らぬような、木に竹を継いだような感じがいたすのであります。メートル法実施にあたりましても、七年間の猶予期間を與えられておりますが、これは現行法の三十三年というのを踏襲する意味において、七年とせられたと思うのでありますが、これなんかも計量法案としては、五年ぐらいに縮めてもらいたい、こう考えておつたのであります。また電気単位もなぜこれを一つにして計量法案に入れなかつたか、この点におきましては、通産省の方の委員の方が何らかほかの省の方に遠慮でもしてやつておられるのではないかというふうに国民としては考えられるのであります。この法案をこのまま施行されますと、われわれ失業界におきましては、かえつて産業の助長発達を阻害するおそれがあると考えますので、どうしましても、次の二、三の点について修正をお願いしたいと思うのであります。  その第一は、第八章の事業場の指定であります。百七十三條を見ますと、「計量器を使用する者は、計量器使用事業場について、通商産業大臣の指定を受けることができる。」と、単にこの指定を受けることができるということにとどまつておるのであります。この事業場の指定については、現在われわれ実業界におきましては、度工衡の自治管理というものを二十数年前からすでに実施しておるのであります。この度量衡の自治管理、すなわちこれが計量管理でありまして、この計量管理が完全にできるかできないかということによつて産業の助長発達ができるかできないかがきまるというても過言でないと思うのであります。現在この自治管理をやつておりますのに、単に第八章のような事業場の指定で、指定を受けることができる、こういうふうな弱い法律案を出されますと、かえつて指定を受けるというような事業場が現在よりも減るんじやないか、こう考えるのであります。この指定を受けるには、いろいろの設備をしなくてはならぬ、計量士を置かなくちやならぬ、また基準器を備えつけなければならぬ、あるいは検査の設備もしなければならぬというふうないろいろの条件が備わつて、そうしてこれを変更した場合には一々届け出なければならぬ。もしそれに違反すると罰則が適用される、そういうようなむずかしいことならば、一一指定を受けなくてもいいのじやないか、こういうふうに考えるのが当然であります。事業者というものは、何かその設備あるいは資本を投じて、それによつて利益を得て初めて資本を投じ、経費もかけるのでありますけれども、何らこの公益というものがなかつたならば進んで指定を受けるというふうなことがない。そうすると、現在この自治管理をやつておるのが、かえつてこの法案のために指定を受けなくなるようなきらいがあるのであります。それでこの第八章は、計量管理というふうに改めて、そうしてこの第百七十三条の前に計量管理の定義をはつきりとし、その次に計量管理の勧告として、通商産業大臣は、計量が公共の利益に影響を及ぼすおそれがある場合において、計量の適正を確保することが生産能率の向上、製品、品質の改善等に有効であると認めるときは、工場、事業場、店舗その他経営者または計量器の使用者に対して、計量管理の実施を勧告することができる、少くとも勧告ができるというふうな、法文してもらいたいのであります。現在われわれ名前が違いますけれども、この計量管理、自治管理をやつておりまして、この度量衡の現在行つておる自治管理は、単に計器の管理だけではありません。計量の管理、すなわち会社、工場におきましては、資材、原料の計量、生産工程中の計量、製品の計量等、どの部門を見ましても、この計量管理ということをやつていないものはないのであります。私どもの大阪の工場は、従業員が千五、六百人ほどおりますけれども、この計量管理に従事している者が、その一〇%、百五、六十人はかかつております。これから見ましても、この計量管理がいかに重要であるか。それが単に百七十三条において「指定を受けることができる。」とあるが、これはわれわれ使用者としては非常に不満に思うのであります。だから少くともこれは、勧告することができる、そうすると大いに政府の方でこれは必要であると思つたならば、会社、工場に対して勧告をして、どしどしこの計量管理を行わしむるということが必要でないかと思うのであります。ぜひともこの第八章をそういう計量管理として修正願いたいのであります。  次に第二は、第四章の比較検査及び基準器の検査であります。これにも第九十四条の検定の期限をきめたように、その期限を定めるべきもので、現在のように検査に提出しまして、二箇月、三箇月、のみたらず半年もかかる、こういうふうな状態におきましては、今後の比較検査、基準器の検査においては、現在同様に取扱われると使用者としは非常に迷惑をするのみならず、産業の助長発達をかえつて阻害するのじやないかと考えるものであります。それで検定と同じように、この検査の期限を定めて、その期限内には必ず比較検査なり、あるいは基準器検査を行うというふうに定めてもらいたいのであります。  第三は、百五十四条の立入検査及び質問及び収去の条文であります。本条は第三項において、この「権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」と特に明記してありまして、工場、事業場その他倉庫へ立ち入り、その設備、正味量表記商品、品質表記商口もしくは計量の方法を検査することで、どこまでも調査でありますけれども、その主体は都道府県または特別市町村の長となつております。特別市町村内は道府県知事は立入検査ができないかというと、そうじやない。地方自治法の第百五十八条には、明らかに道府県の知事は、その行政区内は調査を行う権限があるのであります。そうすると、どうしましてもこの特別市町村内の事業者は、特別市町村の長と道府県知事との二重の監督を受けなければならぬ、はなはだ迷惑をする次第であります。これはどちらか一方にして、本法は「又は特別市町村の長」この文字を削除願いたいのであります。もしこの必要があつた場合には、その委任の規定でもこしらえて、特別市町村に行わすというようにすればよいのではないかと思います。  第四には、第二百二十二条の手数料の点でありますけれども、別表を見ますと、最高の手数料として相当高くなつておりまして、度量衡の事業者は、以前は事業税というものは免税になつてつた、現在は課税されておるので、検定手数料というものは何だか重複しておるような観があるのであります。手数料が高くなれば、従つて計量器の価格が高くなる、これは当然であります。そうすると会社工場なんかでは、そう高くなつたならば、それはなくて済むのではないかということになる。近ごろはトラック試験とかあるいは貨車がけというものが非常に重要視されて、原料の受入れなんかの数量はどうしてもはつきりしなければならぬという時代になつて来ておりますけれども、この価格から見ますと、現在のこの案では、手数料の最高を見ますと、トラック試験なんかは最高二十万円ということになつておる。そうすると器物手数料が相当高く加算されるものだから、そう高くつくなら見合そうじやないかということで、自然に計量器を使うことが少くなつて来る、それがために産業発達が阻害されるのじやないか、こう考えるのであります。だからこれはどうしましても、できるだけ安くして、検定に必要な程度の金額にとどめてもらいたいと考えるのであります。  第五は、第二百二十三条に計量調査官があります。本文のごとく「計量調査官は、再検査及び異議の申立に出する事務に従事する。」こういうことに限られておりますけれども、現在通産省と都道府県の検定取締りが十分行われておるかというと、先ほど公述人が申されたように、横浜と川崎と隣合せでも統一できないというようなことがあるというお話のように、通産省検定と、それから都道府県の検定との不統一ということが現在認められておる。今度はその上に計量器の種類が二倍以上にふえる、また特別市町村というものが入つて来る。これではこういう計量調査官で、単に再検査とか異議の中立ぐらいやつてつただけでは、とてもこの検定検査取締りの統一ということが行われないのであります。少くともこれはもう少し強くこの従事する職務の範囲を広めて、検定検査取締りの統一をはかるということにしてもらいたい。それにはどうしても通産省内計量局とか、あるいは権度局とか、少くとも局ぐらいの機構が必要である。先ほど来いろいろ公述人から計量課という御意見を拝聴しましたけれども、一計量課だけではならない。少くとも計量局として、その中に計量課なり、あるいは計量管理課を設置して、そうして終戦後のわが産業の助長発達ということに貢献せられることを希望するのであります。現在計量管理あるいは計測管理ということも、技術庁からそういう案は出ているということも聞いておりますけれども、計測管理と計量管理と、その差がどこにあるか。とどのつまりは計量管理に含まれているんじやないか、こう考えるのであります。あるいは能率管理という言葉もありますけれども、品質管理――私の工場の方でも昨年から品質管理を非常にやかましくいつて、すべて管理部をつくつてみまして、何が原因するかというと、計量器が原因しておることが非常多いのである。品質管理をやる上においては、どうしても計量管理を完全にやらなければならぬ。計量管理を完全にやれば、会社も自然にもうかつて行く。一割の配当が二割、三割とできるのである。だからどうしてもこの計量管理をもつと政府国民、事業者指導してくれなければならぬ。会社や事業者の相当な人にこの計量管理をよく説明すると、なるほどそうだと言いますけれども、実際としては、いや計量器を買つて計量管理をやるよりも、金があつたら原料を買つて製品の一つもこしらえたらいいじやないか。こういうふうに考えるのであります。そういうふうに考える事業者が多いのであります。だからこれは会社が間違つておる、計量管理を完全にやらなくちや品物もできないということは、政府の方から国民指導して行くというように、もう少し通商産業省の方で計量管理ということに重きを置いて、そうして産業の助長発達、品質向上ということを指導するというお考えを持つてもらいたいと思うのであります。この計量法案は、まことに現在の度量衡法に比較しますると、合法的で非常にけつこうであると思うのでありますけれども、この第八章を見ますると、何だか非常に物足らぬような気がいたすのであります。この第八章を事業場の指定というような、何だかへんてこな名前にせずに、もう少し強く計量管理ということに力こぶを入れて、わが国産業の助長発達ということに、通商産業省において大いに指導して行くという立場で、この法案を修正して、一日も早く実施してもらいたい。こういう希望でおるのであります。はなはだ簡単ですが、私の公述はこれで終わります。
  24. 小金義照

    小金委員長 次は高田秀二君、
  25. 高田秀二

    ○高田公述人 私は高田秀二であります。共同通信の社会部長を勤めております。公述をする前にお断り申し上げたいのは、新聞には必ずしもみなメートル法というものに賛成している新聞社ばかりでもないのであります。私は言論界の代表というようなことになつておりますが、決して新聞界全部を代表しておるものでないということだけは、御承知おき願いたいと思います。  今度の新計量法案においてメートル法が再確認されたということは、私としては非常に喜ばしいことであります。しかし考えてみますと、戦前までは一時メートル法が非常に普及して軌道に乗つた時代があつたかのように見られるのでありますが、終戦直後全然これが放任されたような形になつて残されているのではないか。米、英のヤードポンド法が、尺貫法と一緒になつてメートル法をつつつきまわして、全然無秩序に、まるであらゆる計量単位が横行しておる。そういうふうな感じを受けるのであります。われわれ新聞としましても、これに非常に悩みまして、それに括弧を入れて、何ヤードは何メートルのことであるとか、そういうふうなことを括弧をつけて註釈しておるような次第で、非常に困つておるのでありますが、現在の世の中を見ましても、主食の生産高が政府から発表されるときには、相かわらず何千万石というように発表される。米の一人当りの配給量は何合何勺というようなことで発表されるのでありますが、それを米屋さんから受取るときには何キロ何グラムというようなことで受取つております。それからまた酒は一升で買つておるけれども、しようゆはリットルでもらつて来なくちやいかぬ。そういうように非常にややこしいことが、政府当局においても行われておる。メートル法が採用されてから三十年にもなるのでありますが、いまだに尺貫法を政府が使つておるというようなことでは、今後何年たつたらはたしてメートル法というものが国民に周知徹底できるか。そういうことについて私非常に心細い考えを持っておるのであります。ことに最近はやつております洋裁というようなものは、中高等学校における初級洋裁といいますか、こういうものはすべてメートル法、つまりメートル、センチでやつておるようでありますが、学校を卒業して洋裁学校に通うとすれば、大部分の洋裁学校がヤードポンド法の、いわゆるヤード、インチというようなことになつておる。また和裁においてすら、今子供はセンチで学校で習つておるが、母親はまだ尺でやつておる。どんな家庭にでもものさしが二種類、三種類となくてはならない。こういうようなことは、日本としても困るんじやないか、そういうふうに考えます。つまりこうした考えから見ますと、終戦後においては、メートル法を周知徹底させる、メートル法日本の基本単位とするというようなことに対する積極的な努力が少しも行われなかつたんじやないか、そういうふうに考えるのであります。あるいは官僚統制というもので上から押しつけたんではだめだというような逡巡が見られるんじやないかと思われますが、現状のように非常に入り組んだ、いろいろな単位が入つて来ておるのでは、実際われわれ国民としても非常な困惑を来しまして、これは国民の代表である国会あたりが中心の推進力となつて、何らかの啓蒙運動をやつてもらいたい。先ほど公述人のある方が、あまり猶予期間というものを先に置いたのでは実行がむずかしいというようなことを言われました。あるいはまた現在日本の置かれている立場から、簡単にヤードポンド法というものを切離すこともできないということもあるでしようが、しかし何らかの形でこれを推し進めるというふうな努力がなかつたならば、ますます戦前よりも混乱したような状態が日本の中にできやしないかということで、啓蒙運動をやると同時に、できる範囲から早急にメートル法に入つて行く。政府が率先垂範してメートル法をやつて行く。ことに政府の発表などは、でき得る限り―併用されることはかまいませんが、主体は常にメートル法である。そういうような考えで、何キロというようなものを先に遣いで、括弧して何合何勺というようなことでもいいのじやないか。そういうように具体的に少しでも一歩々々進まなければ、三十三年ですか、そういう時代が来ても、一歩も前進しないのじやないかと思います。その点国会における慎重なる御審議とともに、啓蒙運動に邁進せられるように、国民の一人として希望いたしておきます。
  26. 小金義照

    小金委員長 次は橋本五雄君。
  27. 橋本五雄

    ○橋本公述人 私はただいま紹介されました橋本五雄であります。私は尺貫法存続連盟理事長をしております。また全国市町村長会、大日本農会、同水産会、同林業会、日本生糸協会、日本紡績協会、かつ全国多数の商工会議所、各種宗教団体、日本美術協会及び各種婦人団体、その他多数団体または有志者の加盟賛成あり、全国六千万ないし七千万の同胞を網羅すと評せらるる、大有志団体たる当連盟を代表して、ことに僭越ながらその一致せる意見を陳述するの光栄を有します。  もつともその大体は先般議員諸君のお手元に差上げておきました小冊子で書きておりますが、誤植脱字もあり、言葉も足らぬところがありますので、今般この機会に、それらを訂正補足しつつ、時間の都合上大急ぎで述べさせてもらいます。政府提出の計量法案を左のごとく修正ありたしというのであります。  一、わが国度量衡は古来の尺貫法と、メートル法と、ヤードポンド法の三者を同格に併用すること。その理由は、今般政府提出の計量法案に、きわめて膨大なる内容を有するも、その骨子ははたせるかな、尺貫法及びヤードポンド法を疎外せるメートル専用法であつて、この法案が成立すれば、昭和三十四年以降、尺貫法、ヤードボンド法は取引や証明に種々の制限を付せられ、またそれらの計量器の製造販売はすこぶるきゆうくつとなり、これに違反するときは、一々多額の罰金を課せられることになつております。けだし取引や証明に、自由に役立たぬ計量法はあつてもないと同然である。政府はどうしてかかる非民主的、非実際的の法案を提出したものでありましようか。  顧みれば大正十年、夢のごとき国際連盟の大波に乗せられ、忽卒の間に法律第七一号をもつてメートル専用法を制定した。しかるところ国民はたちまちその不可なることを認め、こうごうたる非難の声は天下に満ち、昭和八年遂にわが尺貫法存続連盟は油然として雲のごとく起り、メートル専用に反対して、尺貫メートル両方併用を主張するに至つた。しかもこの連盟の主張には、天下の民衆翕然として共鳴し、衆議院においても、これを放任するあたわず、昭和九年第六十五議会と、同十年の第六十七議会において、現行度量衡法政班法律案を提出して、二度とも大多数をもつてこれを通過した。また貴族院は、昭和九年第六十五議会において、メートル専用法の不適当なることを認め、調査会を設けてわが国情に即したる度量衡法を制定すべしという趣旨の建議をなし、満場一致通過した。ここにおいてか、政府昭和十年勅令により、朝野斯界の権威者多数を網羅して、有力なる調査会を設立し、前後四年の長きにわたりて慎重審議せる結果、現行度量衡精度は、メートル法の専用を企図しおるも、これが実施の成績にかんがみ、すみやかに同法のほか、尺貫法を併用することに改むるを可と認むという答申をなし、特に祭祀を初め農地関係等は、尺貫法による要ありと強制附記するに至つた。されば政府は、その答申に基いて、当然根本的に現行度量衡法を改め、尺貫、メートル両法併用の改正案を草し、もつてわが国情に即せしめ、かつ国民生活基準たる計量観念を明確にすべきであつた。しかるに姑息にも昭和十四年一月、わずかに勅令をもつて一時を糊塗するにとどめた。すなわち、特別の由緒ある用途に供せられ、その他特別の由緒ある建造物、宝物その他の物件に聞しては、従来の慣例に従い、尺貫法を用うることを得。土地建物に関しては、当分のうち、その他のものに関しては、今後二十年間すなわち昭和三十三年十二月末日まで尺貫法を用うるととを得とした。しかしこれでは、かえつて国民度量衡観念は、ますます漠然たらざるを得ず、かつ政府は、三十年かかつても、五十年かかつても、わが古来の尺貰法を廃滅せしめずんばやまずとする意図のごとくであるから、もしこのままに放置すれば、政府の随策通り、ついに第二、第三の国民には尺貫法の観念は消滅し、たとい祭祀のみは尺貫法によるも、かえつて外国風のごとき感覚をさえ與え、わが国の歴史についても、文化についても、固有の信念と熱情を失うはいうまでもなく、日常の生活及び取引上多大の混乱を招くべきは自明の理である。たとい現行法が二十年間休止停頓の状態にあつても、なお厳存しておる限りは、学校の教科書を初め、政府の公文書及び事物の標準をメートル法で表示されても、国民はわからぬながらに黙従せしめられ、家庭及び社会における混乱は依然として免れがたく、かつこれに乗ずる不正好商の跋扈はなはだしく、諸事力端不便、不利、不都合きわまりなき状態に置かるるのである。ゆえにわが連盟の同志は、あくまでも現行度量衡法の根本的改正をはかり、わが国度量衡の建前は尺貫法を主として、メートル法その他外国の度量衡法は、これを必要とする方面にのみ使用せしむることを要望し、国民度量衡知識と計数観念を明確にし、もつて国体観念の強化はもとより「科学進歩経済の円滑発展を企図していた。  試みに終戦前すなわち昭和十七年の、衆議院議員選挙後、尺貫法存続連盟は、当選議員一々につき、当連盟の主張せるメートル、尺貫併用是か、または現行法のメートル法専用是か、賛否ともに理由を付して回答ありたしと質問せるに対し、驚くなかれ、連盟の主張に、賛成三百十名、反対十四名、研究中の者十一名の結果を得た。賛成者の中には現存国会議員星島二郎、犬養健、芦田均、一松定吉、三宅正一等の有力なる諸君もあり、おのおの熱意を込めたる長文の賛成意見を寄せておられます。また反対者は尾崎行雄翁のみ一人残つておられますが、翁といえども刑罰まで課してメートルを強制するは行き過ぎであると喝破しておられます。爾来政府は、巨億の財を費して、メートル法の宣伝にこれ努めたるにもかかわらず、なおかくのごとくなるをもつてしても、およそ輿論の帰趨を察すべきでありましよう。すなわちこれがわが国度量衡法に関する過去三十有余年の明白な歴史であります。しかるにそれをまつたくむしして、またまた今般メートル専用法を提出せるは、いかにも非常識で、非民主的、非実際的ではないか。むしろその無謀に驚かざるを得ません。  もつとも仏、独のメートル法は、国際間、一部の学術界、技術界に用いられており、米、英のヤードポンダ法は産業上及び貿易上、世界に多くの貢献をなしておることは周知の事実である。もちろんわが国もこの両者に負うところはなはだ多い。しかもわが国古来の尺貫法は、歴史上、文化上、かつ国民日常生活の上に寸時も離るべからざる重要なる役目を果しておる。ゆえにわが国においては、この三者併用が最も妥当な計量法であるとは、識者のひとしく唱道するところである。しかるに、度量衡法を簡単化するため、単一専用制をもつてせんとするは、空想であり実際的ではない。しかのみならず、わが国民の日常生活に欠くべからざる古来の尺貫法を廃棄し、また現在経済上及び貿易上、すこぶる取引交渉の多き米、英のヤードポンド法を第二次的に遇せんとするは、これ何たる愚かしきことでありましようか。もしそれ広く世界に用いらるる計量法を主とすべしというならば、メートル法よりはむしろヤードポンド法が可ならん。またそのいずれを主とするも外国法にて不可なり、日本日本の一定せる度量衡法を必要とすといわば、やはりわが国古来の尺貫法を主とし、他は随意に各業者の必要とするところのものを用うべきであろう。かくのごとく二本建、三本建にして、運営よろしきを得ている国は世界に少くない。現に米、英両国のごときは、国内にてはもつぱら自由の計量法を用い、国際間の学術、技術等にのみメートル法を用いてかの綽々たる富と燦然たる文化をなしておる。さすがに内外、自他、本末を識別せる賢明なる大国の襟度としてうらやましき限りであります。しかるにひとりわが日本のみが、一種のメートル法だけを固執専用して、計量上のきゆうくつ不便を忍ぶ必要がいずこにありましようか。よろしく三者を適当に併用して、科学文化の向上、経済発達に寄與すべきである。なお尺貫法は単にわが国のみならず、支那本土はもちろん、朝鮮、満州、蒙古、台湾及び南支諸国の漢字国、約六億の民衆は、ことごとくこれを使用しおることを知らねばなりません。  政府の新計量法案は、「計量の基準を定め、適正な計量実施を確保し、もつて経済発展及び文化の向上に寄與することを目的とする。」との理由を付しておるが、メートル法計量基準は定まつても、その他は一々換算せねばわからぬ。また適正な計量実施を確保すというも、尺貫法及びヤードポンド法を疎外しては、とうてい適正なる計量実施は確保できません。従つて経済発展及び文化の向上に寄與するどころか、おそらくは反対の結果を招来するでありましよう。  メートル法を金科玉條のごとく過信しておる者は、これが専用時代をつくるためには、現代人の不便不利などは無視して、もつぱらその教育をなし、現代人の死を待てば可なりと、臆面もなく放言しおるも、これほど恐るべく、憎むべき思想はありません。すなわち他国の慣習伝統を破棄せしむるに、陰謀術策至らざるなき赤魔の思想とほとんど酷似しております。もしそれ人はすべからく現代を超越すべしというも、これはある種の哲学者や思想家の理想であつて、現実に立脚する政治家もしくは経世家のいやしくも念頭に上すべきことではない。ましてメートル法には長所のあると同時に幾多の短所もあると、専門学者間に唱えらるる今日においておやであります。ゆえによろしく上述の三者を併用して、円滑なる推移と、適者生存の理法に従い、自然の淘汰にまつべきでありましよう。  世には、もはやメートル教育の進める今日において、また尺貫法その他の計量法を併用せんとするのは、かえつて計量界を混乱に陷れしむべしと言う者あるも、はなはだ浅薄なる論議であります。もつぱらメートル教育を始めたのは、わずかに三十年前後なるも、尺貫法は少くも千三百年以上の教育を継続しております。前者は少年時代学校の狭き教室内において、少数の教科書により学ぶにすぎませんが、後者は人生の大半、家庭的、社会的広き四囲の環境を無限の教室とし、教科書として四六時中学びもし、応用もしておるのであります。よつて学校を出でて、メートル使用の方面に就事する者は別としまして、その他の多くは一、二年にしてメートル法の大部分は忘れてしまい、各自必要方面計量法を新たに習熟するのでなければ、一日も生活ができぬという実情であります。これすなわち今日の教育が不具者をつくる不具教育とか、かたわ製造教育と言わるるゆえんである。かかる実際界に遊離せる不具教育こそ、すみやかに改革する必要はあるなれ、今日の教育のために三者併用を躊躇するやうな理由は毛頭ない。政府は今後メートル教育に一段と拍車をかけ、映画、演劇、浪曲放送等、あらゆる宣伝機関を総動員して、メートル法の普及に努め、来る三十四年に至りても、新計量法がなお不可なぞときは、またこれを改革し、かつこの実施を延期すれば可なりと伝えておりまするが、何ぞその言の軽卒不謹慎なるやであります。そもそも法律の改廃が国民の休戚に至大な影響あることは、いまさら言うまでもありません。まして国民生活の基準をなす計量法のしばしば変改されることの利害は、あげて数えることはできぬ。もつとも法律は必ずしも千古不変とは言わぬが、少くも百年くらいの見通しをつけて制定せられねばならぬ。吾人の三者併用の立論はこの見地に立ちましてなしおるものなれば、識者はこれを了としてもらいたい。  わが国においては、国際連盟決議前は吾人の主張する通り、各自随意に必要の計量法を用いて、学術界、実業界ないし国民大衆も、何ら業務上また生活上支障なく円滑に運営利用していたものである。ゆえに端的にいえば、国際連盟の夢想以前に復活すれば、何ら議論はなく、実行もまた容易であらう。これすなわち経済界、実業界にもつとも権威ある都下の日本経済新聞が、本年二月二十八日の社説に、「メートル法専用を御破算にせよ」と絶叫せるゆえんである。  本案は元来超党派的国民生活上の大問題でありまするから、国会の議員諸君は、各自所属の党派を超越し、国会はよろしく日本民衆立場に立ちて、虚心坦懐、過去三十余年間の度量衡法論戦の跡と、その実際に徴し、メートル専用法を改廃し、民主的、実用的に、尺貫、メートル、及びヤードポンド法の三者同格併用に修正して、もつて民主政治の真価を発揮せられんことを切望してやみません。  私の述べた資料は、昭和十九年八月より二十年までに記してあるところの表がことごとくありますゆえに、必要でありまするならば、これによつてごらん願つてもよろしい。ただ私ここにこのうちから一つだけ参考に申し上げてみたいと思いまするのは、諸君も御存じの世界的大科学者、赤痢菌の発見者として有名なる志賀潔博士が、私は毎日試験室に入つて試験管をのぞいて、自分の専門の研究をしておる。その計量法はことごとくメートル法である。だが家庭に帰れば全部尺貫法を使つておる。尺貫法はいかなる科学もこれによつてできぬことはないが、それだけでなくて、日本の歴史上、文化上実に豊かしものであつて、このありがたさは忘れられない。私はメートルを使いつつ、尺貫のありがたさを知つて併用を可なりと思う。ただこのごろメートルがいいからといつて、ほとんど尺貫を無視してやめてしまえばいいという論者が、メートル論者のうちにあるが、これはまことに情ないと思う。私はメートルを愛用するだけに、メートルがそれでは日本国民全体から忌避せられるような場合がないであろうか。どうかメートル論者、よろしく考えてくれということの論文がありますが、実に私はこの先生のごときこそ真にメートルを愛するメートルの識者だと思いますので、先生の説を拝見しましてから、そんじよそこらにメートルをやかましく言う方があるならば、私はメートル活用し愛用するにあらずして、むしろメートルに使われる人ではいかと思います。これはまさしく日本がかかる破滅に至りますまでの軍部と同じことで、軍部の効力もあるときは国家の干城として実にとうとぶべきものでありますけれども、それがこれに限るというので、文部省にも、商工省にも、司法省にも、どこでもここでも跋扈し切つた結果は、遂に日本をかくのごとき破滅に陷れたものであります。殷鑑遠からずでありますから、どうかこの辺はよろしく議員諸君は十分に御考慮に入れて、そしてやはり政治技術に先行せねばならぬということを念頭に入れて御審議を願いたいと思います。  私の公述はこれで終ります。
  28. 小金義照

    小金委員長 次は佐藤衡治君。
  29. 佐藤衡治

    佐藤公述人 私は佐藤衡治であります。ここには佐藤製衡所の顧問としてありますが、実は老齢になりまして今退任しております。  今度の度量衡法については私も非常に賛意を表しておりまして、実は私はまだ業務に従事しておる持分から、明治四十二年の度量衡法のそのままになつており、非常に不便を感じつつありました。このたびいろいろの議を経てこの度量衡法ができましたが、この度量衡法についても、まだ幾分改良していただきたいという点もありまするが、まずこの順序をもつて行かなければならぬかと思つております。  私の望みますることは、大半ほかの公述人の前々からお述べになりましたことで書きてはおりまするが、私は私の立場として、いわゆる製作者でもあり使用者でもあるという立場から、皆さんに望みたい点を申し上げたいと思います。それは本法の七十八条でありますが、この七十八条に、今まではものさしの使用制限がありまして、鯨は物をはからなければならないという制限が設けてございましたが、今度初めて量器、はかりの使用制限というものがきまりました。しかしながらこれを拝見いたしますると、一回の取引量が十キログラム以下のものであつたら、てんびんを使用する場合のほかは、その使用量の十分の一以下の最小目盛を有するはかりを使用しなければならないという規定がありますが、この十分の一では少し荒過ぎはしないかと思つております。今は百匁幾ら、一貫目幾らとなつておりますが、今度はまた一キロ幾らという値が出て参りましようと思います。一キロをはかりますのに、一キロの十分の一、百グラムの公差では非常に荒くなるかと思います。外国の例を見ますと、イギリスでもアメリカでもこういうことが出ております。小売業に使うはかりは、必ず一オンスの最小目盛をもつてはからなければならない、こういうことが出ております。つまり一ポンド幾らというものに対して、一オンスは一ポンドの十六分の一になつております。私はこれを二十分の一に改めたいと思つております。それでこれがためにちよつと問題を起しますのは、たとえば郵便の問題であるとかあるいは鉄道の問題ですが、これは一種別のものであつて、この点については、私は外国と同じように小売業者という文句をこの中に入れていただきたいと私は思つております。そうしましたならば便利になることかありはせんかと思います。これは先年あつたことでありますが、よくちよつと物を載せますスプリングのはかりがありますが、あれはたしか十キロのはがりであります。三貫目のはかりでありますが、それを煎茶屋の方が持つて来て、どうもこのはかりを使うとお客が文句を言つてしようがありませんということでした。それで私は、あんたそれで幾らはかつているのですかと言うと、これで百匁、二百匁をはかつていると言う。そのはかりの目盛は一目十匁です。百匁や二百匁のものを一日十匁のはかりではかるというのは間違いのもとで、なおその上に使用の公差というものは二倍でありますかり、二十匁くらい違つてもさしつかえないようになつております。そういうことですから、これは商取引に非常に問題を起すもとであるから、いわゆるイギリスあたりのように使用の目的ですね――茶とかああいうものをはかるものと普通のものをはかるものとははかりの種類が違つておりまして、日本にはその制限がございませんが、おつてはそういう制限も設けられることでございましようと思いますが、この点はひとつ十分の一を二十分の一にしていただきたいと思います。ただし八百物だとか魚だとかいつたものは、これはこの限りでございませんから、この点をひとつここへ入れておいていただきたいと思います。  それから先ほど公述人のある方がおつしやつた二百二十二条の手数料の件でありますが、この件は製作者ばかりでございませんで、使用者も自分でこしらえたはかりだとかあるいは自分の都会のいいはかりだとかの検査を受ける場合に、検定官のあやまりのためにこわれたりなんかすることがございましよう。この場合にやはり手数料というものは返還していただくことが必要ではないかと思います。それと同時に、いわゆる立入り検査の場合に、そのために器物をこわしました場合には、それに損害賠償をやるということが出ておりますが、この場合にも検定官の故意あるいは重大なる過失から起つた場合には、これはやはりそれに対しての損害は補償していただかなければならぬかと思います。これは特に検定官のうちにはちよつと非常識な方がありまして、無理にはかりをこわしたり何かする方もあります。こういうような点もありますから、この条項はひとつ入れておいていただかたければならないかと思います。  それから第九十条の二項にございます計量器の部品の検査ということが入つておりますが、これは非常にけつこうなことでございます。現在、大戦後できております計重器を見ますと、非常に戦前より悪くなつております。それはどういうことかというと、今は製作業者がみずから部分品をつくるのではなく、その部分品は方々の製作業者から買い集めて、これを組み立てるだけでありますから、検査というものはただその品物検定当時においての合格のあれを持つておるというだけで、保証されているものじやないのにかかわらず、検査さえ受ければはかりでも何でもいいものだと思つておられる方がある。そういう部分品を使つておるために大分間違つておることがあるようであります。ですからこの場合は、これから政令なりでおきめになる場合に、部分品の検査ということについて十分御協力を願いたいと思つております。  それからもう一つ、これは百五十四条の品質表記商品についての規定がございますが、私はどうしてガスや電気の熱量についての規定がないであろうかと思つております。イギリスの度量衡あたりにはこのことがあります。ついこの間まではガスがちよつとつけても火力がなくていけなかつたとか、電気のボルトが違つておりて暗くてしようがなかつたのですが、あれも電気を幾ら幾らで売つておるのですから、やはりその電気の熱量ということもそれに伴わなければならない。これ取締りは十分していただかないと、今度は電燈会社も分離されて大分完全になるようでございますが、この点は将来ひとつやつていただきたいと思つております。  それからもう一つ申しますのは、取引、証明の問題です。この取引、証明というのは今度は規定ができましたのですが、今までずいぶん困りました。この取引、証明が担任官の考え次第で始終かわつておる。ことに今度、先ほどお話の技術庁とあれとの見解が二箇所の証明を受けるようになりますけれども、この問題もなかなかむずかしい問題ではないか、この点についても先ほどお話の第二百二十二条の検定の方の場合ばかりでなく、取締りについての統一もはかつていただくことが必要じやないかと思つております。  それからもう一つは、この前議員の方のお話がございましたけれども、取引、証明に使わないということになると、家庭用のはかりとか、あるいは学校用に使いますものさしだとかは、これを取引、証明に使わないのだから、割合に検定がいらないことになりやしないか。その場合にそれがために粗造のものができやしないかというお尋ねがありましたが、これに対して私は電機や何かと同じように、これは政府やあるいは公共団体で検定をしないで、社団法人だとかいうようなところでこういうものを検査するというような仕組みができましたらいかがでございましようか。これは前もこの問題がありましたのですけれども、どうも府県の方があまり賛成されませんでしたが、今度は今までの甲種、乙種の検定がかわりまして、大分甲種の検定が乙種に入るようになりますと、地方の検定が非常にせわしくなるのでございましようけれども、そういう点について今度ひとつこういうことをやつていただいたらいかがでございましようか。こういうようなことで私の考えを申し上げました。これをもつて私の公述といたします。
  30. 小金義照

    小金委員長 次は五藤斉三君。
  31. 五藤齊三

    ○五藤公述人 私は東京商工会議所理事後藤斉三であります。本日は午前、午後にわたりまして、たくさんの方々から新しい計量法案に関しまして、賛否両論が多々おありになつたことと存じますので、私は商工業者の総合団体であります商工会議所を代表いたしまして、大局的の意見を申し述べさしていただきたいと存じます。  メートル法を基底といたします新計量法の精神に関しましては、すでに学術的、理論的にはもう論値上盡されたことのように考えておるのであります。メートル法はすべて十進法によつておりますので、その取扱い方の簡素さと、それによつて来りますところの高い精度を保つことができる、こういう二つの点からも、理論的には私ども全面的に賛成でありまするが、戦後当局におかれましてこの計量の制度に対しまする政策がはなはだ私はなまぬるかつたではないかと存ずるのでありますが、その結果せつかく戦前、戦時中を通じまして、よきメートル法が非常に普及をいたしておりましたのに、戦後非常にこれが逆行した、こういうことを痛感するのであります。先日来数回にわたりまして、商工会議所におきまして、この問題の懇談会を開いたのでありますが、本日多くの方がお述べになりましたでありましようように、やはり私どもの会合でも賛否両論がごうごうとあるのであります。実際社会生活に密接な関係を持つて商工業に従事をしておられる方々は、とかく即時施行を反対せられる傾向が多いのであります。また機械工業的、あるいは学術的な方面関係あります方々、あるいは言論、思想的な方面の方々には賛成の御議論が多いように思うのであります。  戦後の実情ははなはだ混乱をいたしておるように思うのであります。たとえば百貨店協会などの意見を、実は昨日も聞いたのでありますが、百貨店におきましてはメートル法に古くから賛成をして、メートル法の普及に盡力をいたしておつたようでありまするが、戦後にたりまして、どうもこれが混乱をいたして参りまして、尺貫法によつての取引が非常に多くなつて来た、たとえば布地の生地の取引におきましては、製造元からはメートルで送つて来る、お客様はどうもそれをヤールでお買いにならなければ承知をしない、こういう状態でありますので、店では非常に取扱い上困る。それでせつかく戦前、戦時中を通じてとりそろえました新しいメートル法による計量器も、現在では多くの百貨店では裏の方にごみにまみれて放置してあるような状態でありまして、戦後、さらに尺貫法を併用した新しい計量器を、新しく仕入れてそれを使わなければならぬというようになつておる。そういう方面からいえば、便利の点からいえば、統一せられる方が非常に望ましいが、顧客本位からいうと、急激にこれを使わなければならぬということになると、お容様に非常に不便をかけるので、たいへん困るのではないかというような反対論もありましたようなわけであります。さらに最近の、例の日米経済協力等が論議せられております今日、昨年の朝鮮事変の発生以来日本経済的に大きな恵みを垂れました特需の面から、日本に発注せられます機械、器具類は、大体メートル・システムではないのでありまして、いずれもインチ制をとつたものが発注せられておるようでありますが、機械のネジなど、自動車工業に関するものは、もとよりでありまするし、かつて日本の軍国はなやかなりし時代に、いろいろ模倣をしたくて、向うのものを取寄せましたものでも、アメリカから参りましたものは、飛行機でも、その他の機械でも、何でもネジはインチ制である。ただドイツのものがフランスの亜流をくんだメートル制でありまして、理論的にはメートル制が非常に合理的であり、糖密度を保持することができるというので、日本の軍部はメートル制に統一をしたいというので、非常に努力をしたのであります。ところで終戦まぎわになつて参りまして、軍の生産が非常に足らなくなりまして、中小工業、いわゆる町工場を利用することになりますと、町工場にはメートル制の機械がない、古くからインチ制の機械ばかりを持つておるということで、どうしても軍需生産が進まぬということで、せつかく制式をかえたものでもインチ制にして軍の制式をあともどりをさせたというようなこともあつたのであります。戦後におきましては、この制度が比較的放置せられておりました間際に乗じまして、と申しますか、非常に逆行いたしまして、先ほど申しましたように、ヤード、ポンド法と尺貫法とが使われておる実情であります。ことに特需、新特需におきましては、インチ制のものをどんどん発注をせられて、日米経済が将来その方向に大きく伸びて行かなければならないと考えられます今日、非常に、理想的にはいいと思われますが、メートル法を急速に施行を強行せられますことは、一考を要するところではなかろうかと思うのであります。こういう社会情勢にかんがみまして、なるべく摩擦を避けて、漸進的にメートル法に転換せられますような施策が法案の中に盛込まれることが必要ではないかと存ずるのであります。この法案を拝見いたしてみますと、土地、建物に関しましては、昭和三十三年末日限りの併用期間をなお保留せられてあるようでありますが、たとえば機械のネジ山等のような特殊のものに関しまして、それらを測定いたしまする計測器等に関しましては、この保留期間を土地、建物に準じまして、なお保留をする必要があるのではないかと思います。救済規定といたしまして、学術用のもの、あるいは輸出産業に関するものは、この規定から除外する、あるいはそれらのものの基準になります基準計器に対しては、三十三年以後においても検定をするというふうになつておりまするけれども、日米経済協力が進みまする結果、国内において多数の機械が使われて、その機械を使うためにいろいろの計測をいたしまする必要があることから考えますと、できた品物の除外例だけではいかぬのではないかと考えるのでありまして、これらの点についてひとつ思いをいたされまして、十分なる御審議をなされませんと、せつかくの日米経済協力も、ただ日本産業の衰退というような結果に終るのではないかと懸念をいたすものであります。その他の大局の面におきましては、私はこの法案に賛成を申し上げるものでありまするが、これの適用のやり方に関しまして、先ほど佐藤さんでありまするか、お触れになりましたように、現在の度量衡検定のやり方は、これにかかりまするものは、ロー・クラスのものもハイ・クラスのものも一律に検定を受けなければならぬことになつておるのでありまするが、学校教育等に使いまする、ごく低精度のもの、すなわち取引、証明に使いませんことがわかつておりまする品物は、私はよろしく検定から除外すべきではなかろうかと思います。今日度器の中に、デパート等へ参りますと、セルロイド製品に目を盛りまして、そこに数字を書いてありませんものが除外せられておるものがたくさん出ておりますことは、御承知通りでありまするが、これらも決して非常にいかさまなものが横行しているということはないと思うのであります。大体ミリの目盛でありましたり、あるいは貫の日盛をつけたものでありますが、これに数字を入れてないということで除外をせられておる、こういうことから考えまするならば、それらに準ずる教育用の計量器は、教育用に使用をして取引、証明には使用することができないということを明示せしめて、これを検定から除外するということが望ましいのではないかと思います。今日の検事制度におきましては、非常にたくさんのものを検定なされますので、ややともすると、精度そのものはよろしいのでありますが、実際ははなはだしいインチキの行われておることをよく耳にするのであります。すなわち低精度のものになりますと、多量を持ち込みますと、めんどうがられまして、検定せられる人が、持ち込んだ人々に、お前が検定印をついておけというようなことで済まされる、あるいはそれらを長く預かつておいていただくうちに、一束紛失したというようないろいろな弊がありまするように開き及ぶのでありますが、これはみそもくそも一緒にして検定するということから起る弊ではなかろうかと思うのであります。よろしく低精度のものは、この用途を明示して除外をするということが望ましいと思うのであります。その反面におきまして、また非常な高精度のものも一律の検定を受けることに今度の計量法案がなつているように思います。すなわち新計量法案に盛られました度器の中に、経緯儀とか六分議、八分儀というようなものがあります。これは光学的な高情度の測定器であるのでありますが、おそらくこういつたものの精度を測定するような設備は、今日の度量衡検定所にはないと、私は確信をいたします。これらのものは単に角度の目盛が正確であるばかりでなく、それを構成している機構全体の精度が非常にものをいうのでありまして、たとえば軸の振度がどうであるとか、あるいは光学的なレンズの精度がいいとか悪いとかいうことによりまして、その器械全体の器差が生じて来るのでありまして、これらはむしろ現在の度量衡検定のそとに置かれまして、アメリカにおけるビューロー・スタンダードのような他の非常に高情度の検定をする機関をつくられまして、これらによつて高度の検定をせられますか、あるいはドイツ等で行われておりますように、その製造工場の検査設備を厳重に検査せられまして、特殊の高精度のものに対しては、その工場の自主的検査に信頼をしてまかすというような、二つの方法が必要ではないかと思います。すなわち現在のような度量衡検定制度におきましては、社会の汎用の計量器に対しまして、一定精度の正確さを保持さすということが望ましいのではないかと思われるのであります。それ以下のものは除外し、それ以上のものは特別の精度保持をはかられるような高度の検定をする、こういうことが望ましいと思うのであります。この法案を拝見いたしますと、多くの制裁規定等も盛られておるようでありますが、先ほど尺貫法の保存の御意見を承りましたときにも感じましたことでありまするが、国民生活に長年月にわたつてしみ込んでおりまする尺貫法を、早急に強権をもつてこれをかえようといたしましても、なかなかうまく行かぬと思うのであります、たとえば暦の例を申し上げまするならば、明治四年に太政官布告をもつて、今後太陽暦を使うということを示されまして以来、今日まで七十有余年を経過したと思われますか、いまだにいなかに参りますと、農耕のための種まきや収穫にはやはり陰暦を使う方が便利だとして、これが使用せられておることは御承知通りであります。でありまするが、お前は陰暦で種をまいたからいけない、陰暦で刈入れをしたから、これは反則であるから処罰するというようなことを考えますると、これは社会の混乱を来すことでありまするので、尺貫法の存続の面におきましても、相当の長い目でこれを啓蒙教育の上から、だんだん簡素であり新しい高性能であるメートル法にかえて行くということを、政府みずから努力せらるべきで、はないかと考えます。
  32. 小金義照

    小金委員長 五藤さん、大体十五分の限度になつておりますから……。
  33. 五藤齊三

    ○五藤公述人 結論を申し上げます。これを要しまするのに、政府におかれましても、土地、建物等に対しては税務その他によつてこれを保留しておられまするようでありまするが、啓蒙教育の面から考えまするならば、これらも政府が率先してメートル法にかえられまして、そうして他においては強権をもつて強制せられることなく、教育啓蒙に努力をせられまして、この新しい有利な制度が一日も早く国民全体にしみ込みまして、社交生活になじみますように一段の努力をお払い願いたい。その間になるべく摩擦による故障が起りませんように、特別の御考慮を願いたいと存ずる次第であります。  たいへん長くなりましたが、これで終ることといたします。
  34. 小金義照

    小金委員長 以上で公述人の御発言はすべて終りました。ただいまから公述人の方々に対する委員諸君の質問を許します。なお公述人の御発言に対する御質問に関連して、政府委員より意見を聴取されることはさしつかえございません。御質問ありますか。
  35. 眞鍋勝

    眞鍋委員 私は質問というよりも委員長に申し上げたい。私は法務委員でありますが、委員外の質問をお許し願えれば簡単にしようと思つたら、きようは委員外ではいかぬというので、わざわざ委員をかえていただいたわけです。谷崎専門員から委員長に敬意を表してくれというようなお話でもあつたが、それはあとにします。私どもの公聴会を開くときには、賛成、反対というように、お互いに賛成をする人、その次には反対というので、聞いておりましても、まことに納得が行くのであります。そんならきようは納得が行かぬかというと、そうではありません。従来メートル法を主張しておつた方、あるいはまたそれを専門的に研究されておる方、あるいは権度課長であるとか、あるいは市役所度量衡係であるとか、十三名中十名ばかり専門の方であります。もとより通産委員会の各委員の方といたしましては、専門的の方が多いのでありましようから、専門家の意見を徴するという点からいうと、大いに御参考になるでありましようが、今度の計量法というのは、専門家ばかりでなくして、これの支配を受けるのは八千三百万国民全体であります。これらの国民全体の中の代表者の意見を聞かれるのが、法務委員会の方もそうであるし、おそらくこれは初めてであろうと思いますが―実は私は徳島県であります。知事の決選投票があるので、最後の一日をやろうと思つてつたのでありますが、この公聴会にぜひ帰つて来いというので帰つて参りました。賛成の方、反対の方の御意見を徴して、大いに参考にしようと思つたところが、専門家の方ばかり、ほとんどメートル法を主張されるお方ばかりで、それぞれの立場から大いに傾聴をいたしました。ところが私ども尊敬をしておる、ことに戦時中におきましても侃々諤々の御議論論をして、多くの言論は東條内閣のときには影をひそめておつたが、前読売社長の馬場慎吾氏が、むしろ日本国民というか、日本の将来をおもんばかつた論議をせられておつたので、私は少からず敬意を表しておつた。常にやかましく言つていた先生方も、あの戦時中には何ら言うことがなかつたが、わずかに馬場慎吾氏ばかりが、ほんとうにわれわれと同じ主張をしておつた。その馬場慎吾氏が、平地に波乱を生ずる案であるとなし、閑人のやることであるとして、この公聴会に出席して御自分の意見を吐露したいというお申出があつたということを聞いておる。また、これまた言論界の雄である日本経済新聞社長の小汀利得氏が、百害あつてわずかに二、三の利あるのみという主張のもとに、この公徳会に出席をしたいというお申出もあつた。なおもう一人は工学博士で東大の名誉教授であり、ことにわれわれの尊敬をしている伊東忠太博士は原案に反対して、現メートル法と尺貫法との優劣は述べないが、尺貫並びにメートル、ポント、ヤード三者併用論者であるところの博士は、進んでその主張をこの公聴会に吐露せられたいというお申出があつたと聞いておるが、これはとにかく全国的の代表であるにかかわらず、お取上げがなかつた。これは委員長の責任ではないでしよう。いずれこの公聴会の人たちをきめるのは、通産委員の承認を得ておられるのでありましようからして、委員会がそういうようにおきめになつたのでありましようが、私は一般公聴会と同じように、全国的にいろいろ利害関係が多いのでありますから、私らが法務委員会において公聴会をするときの公述人の選択法だろうと思つてつたのでありますが、そうでなくして、専門家を十にして、一般公述人は二名というようにおきめになつたそうで、二名とするとこれらの人が選に漏れる。但し私が申し出てあつたから、尺貫法存続連盟理事長である橋本五雄君が私の推薦というので取上げられたので、遺憾ながら前申し上げました馬場慎吾氏、小汀利得氏、伊東忠太博士が選に漏れたということでありますから、通算委員会公述人には一般からは二名ということである。さつき申し上げましたごとく、谷崎専門員からお話があつたような次第でありますから、きようは私の意見を申し上げるというよりか、この委員会に対する私の私見を述べまして、しかしてまたついでですから申し上げますが、今橋本君や東京商工会議所の五藤さんから私らの言わんとするところをお述べくださつたから、重ねて申し上げません。私の意見はまた後日に譲りまして、これはだれが言つたのであつたか、私記憶しませんが、支那の偉い人の話に「天下本無事、小人擾之耳」というのがあります。天下木無事―およそ日本なら日本国民が人知人道を盡して考えておるならば天下は無事であるというのであります。しかしながら、ときにまた同時にと申しますか、知恵のある人、権力のある人が出て来て、いろいろなことをこうでもないああでもないと言つて来ると、天下これがために乱れるであつて、今申し上げましたように、この馬場君は平地に波瀾を生ずるといいますか、無事であるのを政府みずからこういう案を強行せんとしまして、天下に波瀾を起すのじやないか。これを支那に見ましても、あの蒋介石あたりが日本との戦争のときはえらい苦労をしておつたのが、終戦で蒋介石も安心したと思つたならば、御承知のごとく今は台湾の一角に入つておる、これも考えてみますと、あの夫人宋美齢はアメリカ仕込みで、すべてアメリカ仕込みの生活をしておる、支那の東洋生活とアメリカの機械生活とは違うのでありますからして、こういうような東洋思想と西洋思想の見地から支那人にきらわれたのじやないかと思うように、事はまことに小さいようでありますけれども、この計量法というのは千何百年来あつておるのを、これを法律でもつて厳刑酷罰とは申しませんが、権力をもつてこれを押えるということは、政治家として考えなければいかぬ、なるほど皆さんも専門家を公述人にきめておりますが、これをきめるところの国会議員は全国津々浦々から出ておるからして、全国民を代表しておるという見地から見たならばいいかもしれぬけれども、少くとも以上申し上げました馬場君のごとき千万人といえどもわれ行かんと言論界においてただ一人侃々諤々の論議をした、あるいは小汀君のごとき伊東忠太氏のごとき、工学博士として工学に携わつており、計量法には最も関係多い人が、進んで述べられるということは、聞く方も参考になると私は思うのであります。しかしこれは通産の委員方の議を経てきめたのでありましようから、かれこれ申し上げるのはいかがかと存じます。すなわち、天下本無事なのです。事ないのですが、小人これを乱すのみ、これを大きく言えば、朝鮮においても北鮮から起つておる金日成、あるいは中共には毛沢東、ソ国にはスターリン、こういうのは、すなわち天下本無事であるのを、小人これを乱すという感がいたします。こういう点を検討すると、大いに衆議院、参議院の国会議員もお考えになると思いますが、私の意見は後日また申し上げることといたしまして、選択された公述人はみずからの立場においてみずからの信ずるところを申し述べたのでありますから、私は傾聴しました。しかしそればかりではいかがかと存じましたものですから、わざわざ委員を変更しましてこれだけのことを申し上げる次第であります。
  36. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言はございませんか。―別段御発言もございませんようでありますから、本日の公聴会はこれをもつて終了いたしますが、この際一言ごあいさつを述べさせていただきます。  公述人各位におかせられましては、きわめて御繁忙の際にもかかわらず、長時間にわたつて御出席をいただきまして、貴重な御意見を開陳していただきましたことは、まことにありがたく厚くお礼を申し上げます。当委員会におきましては、本法案審議にあたりまして、各位の御意見ないし御陳述の御趣旨の存するところを参考に供し、十分慎重審議を期したいと存じます。この席から委員会を代表いたしまして、委員長より厚くお礼を申し上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時五十五分散会