○木内
政府委員 ただいまの御
質問でありますが、非常に外貨の手持ちが減
つてしまつた、非常に何か外貨が足りない足りないという印象さえ
見えるのでありますが、これは必ずしもそうでないのでありまして、むしろバイイングとしまして、実力以上の
輸入が一—三月にされて、四—六に使うものがない、こういう
状態でありまして、
日本全体の
輸入物資の消費能力、それを使
つて輸出品をつく
つて出して行くという能力から見まして、ずいぶん思い切
つた大きな
輸入が行われておるのであります。ですから今の
状態から見まして、いかにも外貨が足りなくて、これでは自動承認制のごときものはや
つて行けないという御印象が世間には自然伝わるのでありますが、これは少し是正を要するのだと思います。一—三の
輸入というものは、まだその品物が全部来たわけではございませんが、契約とすれば八億にも及ぶのであります。八億の
輸入というものは、もしそのままで行くならば、年間三十二億ドルの
輸入になります。これは明らかに現在の
日本としてはいささか消費能力を余る
輸入なのであります。ですからそういう
輸入の約定をして
しまつたあとの数箇月というものは、非常に
輸入契約が少くても、これは別に意とするに足らないことであります。
従つて自動承認制をやるだけの資力が
日本にあるかどうかという問題は、全体の姿から見なければならないのでありますが、全体の姿としましては、輸出というものが存外伸びているのでありまして、大分前にこの国会にも御
説明の材料になりました輸出計画・
輸入計画というものは、さまで大きい
数字ではありませんが、その後の様子を見ておりますと、それよりも
相当ふえているのではないか。少し大げさに言えば、援助なんか全部入れますと、手取りにすれば年間二十億ドルの手取りがありはしないかと思われるくらいであります。そうしますと、昨年は十億を少し越したのでありますが、その前の年は五億だ
つたと思います。五億、十億、二十億と、大きな発展をしているのであります。でありますから、それらの
状況からい
つて、自動承認制というものは今の
日本としては少し過ぎた
制度であるかのごとき言葉を私は使いましたが、それはスタートした後の話であります。今としては必ずしもそうではないのでありまして、かかる
制度は十分にや
つて行けることになるだろうと思うのであります。
〔
委員長退席、
中村委員長代理着席〕
なお
品目は今のままで行けるかどうか。今は大体の
品目はすべて自動承認制で、自動承認制でないものは例外であります。その中で非常に大きな
品目は、アメリカ以外の綿花が自動承認制でありますが、それが大部分の商品でありまして、それに綿花一商品の分量は非常に多いのであります。ですからもし綿花を自動承認制から、はずせば、あとの自動承認制はすこぶる安泰なのであります。しかし綿花が自動承認制であ
つたことが過去において実に大きないいものをもたらしたのでありますから、私
どもはこれははずさないで行くことができればそれに越したことはない。またできないことはあるまいという目をも
つて現在ながめております。この点はまだ何ら
結論めいたものは出ておりません。大体気分としてはそういう気分で経過をながめております。こう御承知願いたいと思います。
それからなお前後いたしますが、小川さんの御
質問の一番初めに、
政府の
貿易政策は一貫したものが何ら認められないというお言葉があ
つたのでありますが、これはま
つたく私
どもも同感でありまして、相済まぬと思います。しかしこれは
政府に一貫した政策がないのではなく、
新聞紙上から受ける印象がそう
見えた、こういうことだと思います。実は参議院において、おとといですか、同じような御
質問にもそのことを申したのでありますが、私
ども為替管理、
貿易管理の仕事を、始めまして、まだ一年と少ししかならないのでありますが、その間多少ともよく
なつた点もあると思います。しかしまだまだ悪いのは
政府の方針のパブリシテイーの
方法でありまして、
通産省の一角においては、たとえば輸出を担当している方は、輸出インフレ——
輸入奨励が叫ばれていたから輸出を統制しようとい
つたものではなく、輸出インフレという声があ
つたから輸出は統制すべきかなということで御研究に
なつたことは事実である。その担当の方が研究をしたことはいいことだと思いますが、その研究がなされると、それがあたかも
通産省の御方針、
政府の方針であるかのごとく世間に伝わ
つてしまう。
備蓄輸入という言葉を私も使いましたけれ
ども、これは単に研究的な意味で使
つたので、それが成り立つとすればどうすればいいかということを研究しましたが、先ほど
澁谷委員からもご指摘がありましたように、いろいろな
事情からこれは取下げにな
つたのであります。そういうことをしたけれ
ども、
政府資金をも
つて備蓄輸入をせしめようという
ところまで来なか
つたのが、そうであるかのごとく伝わ
つた。これらのことは私
ども見ていてはらはらするのですが、この点は早く改良しなければならぬと思
つております。ことに今の御
質問をずつと一貫して
伺つておりまして一番いけない点は、そもそも輸出が盛んに
なつたときに輸出から起るインフレ的要素を当時
考慮しなか
つたということで、今度は
輸入が多くなればそれから受けるデフレ的金詰まり及び物価下落というものを非常に強く受けなけばならないようになるのであります。ですからそこらの点に一番問題があるのでありますが、そういう点の問題として伝わらずに、
政府はあたかもきようは輸出に狂奔し、きようは
輸入に狂奔し、その結果また驚いて騒いでいるというような印象しか
新聞紙は伝えないということは非常に残念であります。その点大いに改良を要する点であります。しかし
政府はそうぐらぐらしていたものでない。一貫しで輸出はもちろんしなければならず、輸出のある限り、できるだけ多く
輸入したいという方針にかわりはなか
つたと思います。