運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-03-12 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十二日(月曜日)     午後一時三十三分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 多武良哲三君 理事 中村 幸八君    理事 高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       江田斗米吉君    小川 平二君       澁谷雄太郎君    中村 純一君       永井 要造君    福田  一君       田代 文久君    河口 陽一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       首藤 新八君         工業技術庁長官 井上 春成君  委員外出席者         通商産業事務官         (工業技術庁熱         管理課長)   富松 四郎君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月十日  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  日用品検査所出張所設置に関し承認を求め  るの件(内閣提出承認第三号) 同月六日  中小鉱山育成対策確立に関する請願(小金義照  君外一名紹介)(第九三八号)  天然ガス総合研究所設置に関する請願丸山直  友君紹介)(第九五三号)  競輪運営制限緩和に関する請願多田勇君紹  介)(第九五四号)  産業用発電施設譲受に関する請願神田博君紹  介)(第一〇三一号)  病院、療養所に対する電力割当増加請願(多  田勇紹介)(第一〇三二号)  日韓貿易仲継港として舞鶴港利用に関する請  願(大石ヨシエ紹介)(第一〇三九号) 同月七日  定期船長崎寄港に関する請願岡西明貞君紹  介)(第一一六四号) の審査を本委員会に付託された。 同日  鉱業法中大理石掘採に関する陳情書  (第三二  七号)  電気事業再編成に伴う善後措置に関する陳情書  (第三四三  号)  同  (第三四四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会要求に関する件熱管理法案(中  村純一君外二十九名提出衆法第九号)  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、  日用品検査所出張所設置に関し承認を求め  るの件(内閣提出承認第三号)     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 ただいまより通商産業委員会開会いたします。  まず去る十日に本委員会に付託になりました政府提出の、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、日用品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。提案理由説明を求めます。首藤通産政務次官
  3. 首藤新八

    首藤政府委員 ただいま議題となりました日用品検査所出張所設置に関する提案理由を御説明申し上げます。  本件は地方自治法第百五十六條第四項の規定に基きまして、日用品検査所の四十張所設置について国会の御承認をお願いするものであります。  日用品検査所は、輸出品取締法による輸出雑貨臨検検査を行う国の検査機関でありまして、現在東京及び大阪に本所を、名古屋及び福岡にそれぞれの支所を設置してありますが、このたび新潟及び広島に出張所設置して、遠隔の生産地における輸出検査に便ならしめ、また雑貨主要輸出港であります横浜及び神戸に出張所設置して税関との連絡を密にし、輸出情報の入手を容易ならしめ、包装條件検査の強化をはかり、もつて検査の円滑かつ迅速な施行をはかろうとするものであります。  今回のこれらの出張所設置は、これによつて人員及び経費増加を必要としないで、検査能率的運営をはかり、輸出品の品質の向上と海外における声価の向上に資さんとするものでありますから、よろしく御審議をお願いいたします。
  4. 小金義照

    小金委員長 以上をもつて提案理由説明は終りました。質疑は次会においてこれを許すことといたします。  次に連合審査開会についてお諮りいたします。目下大蔵委員会において審議中の関税定率法の一部を改正する法律案は、通商産業委員会といたしましては、関係が非常に深い法律案であります。従つてこれにつきましては、ぜひとも大蔵委員会との連合審査を要求いたしたいと存じます。実はこの件につきまして去る八日大蔵委員会より、また農林委員会からも連合審査を要求して来ております。また審査予定等から考えましても、いろいろな都合から、来る十三日から十五日までの間に通産委員会との連合審査会を開きたいという申入れがございましたので、とりあえず理事各位とお打合せいたしまして、明日十三日午前に開かれたい旨を向うに申し入れておきましたが、この通り連合審査会を開くことに御異議はございませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小金義照

    小金委員長 御異議ないようでありまするから、そのように連合審査会を開くことに決定いたしました。日時は一応十三日午前と申入れてございますが、いろいろな都合でもし変更等が必要になつた場合には、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小金義照

    小金委員長 さよう決しましたから、適宜とりはからうことといたします。     —————————————
  7. 小金義照

    小金委員長 次に熱管理法案議題として審議を進めます。本日から内容審査に入りますので、いろいろ技術関係のこともありまするし、政府当局意見も参考として聞く必要があると考えまして、工業技術庁から井上長官及び富松熱管理課長をこの委員会に呼び出してございますから、政府側の御意見をも十分ただしていただきたいと存じます。質問がございますからこれを許します。中村幸八君。
  8. 中村幸八

    中村(幸)委員 わが国におきましては熱資源がきわめて貧弱でありまして、比較的豊富であるといわれておりまする石炭におきましても、数十年を出ずして掘り尽さるべき運命にあるのであります。また石油資源至つては、国の需要量に対しましてわずかに一%程度生産しかないのであります。従いまして各企業におきまして、熱管理を強力に推進しまして、この貴重な熱資源節約いたしますことは、最も必要なことであると考えるのであります。また企業個人にとりましても、この熱管理を推進することによつて、この熱管理の面を通して企業合理化が達成せられるわけでありますし、ひいては生産コストの低下、国際競争力を増大する、こういう非常に有益な面が多々あるのでありまして、今回議員提出をもつて熱管理法案がこの国会に上程せられたということはまことにけつこうなことと考えるのであります。しかしながらいかに個人企業にとりましてよいことであり、利益をもたらすものであるとはいいながら、これを法制化して、そして国民に強制するのには、熱管理者の選任を命ずるとか、あるいはまた帳簿備えつけの義務を課すとか、あるいはまた臨検検査をするとか、あるいは報告の義務を持つというように、この法案を読んでみますといろいろの義務を課するようになつております。そこで私はまずもつてこの法案がはたして憲法違反でないかどうか、行き過ぎではないかどうかという点をはつきりさせておかないとこれ以上の審議は進められないと思うのであります。要するに、日本国民は自由を持つております。またあらゆる面におきまして、法律を乱さない限りにおいてのいろいろの自由を享有しておるのであります。この国民の自由を剥奪するということは、よほどのことでなければできない問題じやないかと思うのであります。従つてこの熱管理法案において、各種義務国民に、あるいは個人企業に課しておるのでありますが、これは行き過ぎではないか。この点を提案者よりはつきりと説明していただきたいと考えるのであります。この点がはつきりいたしまして後に、またこまかい点についてお尋ねいたしたいと思います。
  9. 中村純一

    中村(純)委員 ただいまこの法律案はまことにけつこうではあるが、各種義務を課することは憲法違反になるおそれはないかという御趣旨お尋ねでございます。一応ごもつともと思うのでございまするが、この法律案におきましてねらいとしておりまするところは、この法律案実施によりまして、直接に利益を受くるものはもとより個々企業でございまするけれどもわが国におきまする各般の重要なる工場事業場が、この法律の運用によりまして、その経営合理化ができますることは国全体の産業の水準を向上することになり、また各種製品コストを引き下げて、国民生活の安定にも資し、さらにまた国際的な競争力も増す、こういう関係に相なりますので、これは広く申しまして、わが国国利民福を増進することを終局のねらいとしておることは申すまでもないことでございます。のみならずただいまお話の中にもありましたように、わが国熱資源はきわめて貧弱なのでございまして、これの合理的な使用効率向上によりまして、貧弱な熱資源を合理的に消費の節約をするということは、国家経済の上から申しまして非常に大きな問題であると思うのでございます。かような意味合いにおきまして、この法律目的とし、またこれによる効果は広く国の経済国民生活向上ということに直接の関連を持つておりまするものでありますがゆえに、かような法律案を立案いたしますることは決して憲法に違反するものでないと確信をいたしておるのでございます。  法律論的にただいま申し上げましたようなわけ合いでありまするのみならず、実質的に申しましても、お手元にも資料として熱管理法制定に関する陳情書を差上げてあるのでございますが、かようにこの法律適用を受くるところの民間企業の側から、きわめて熱心な希望が従来からあるのでございまして、この熱意が盛り上つて法案提出ということに相なつた次第でありますので、かような意味合いにおきましても、実質的にもお尋ねのようなことには相ならないと考えておるのでございます。
  10. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいまの提案者の御説明で納得いたしました。  次に私二、三簡単に御質問いたしたいと思いますが、現在熱管理につきましては、臨時物資需給調整法規定がしてあるのでありますが、この臨時物資需給調整法は、聞くところによりますと一年間延長するということになつて、おるようであります。そうすると、わざわざ熱管理に関する規定だけを、臨時物資需給調整法から切り離して規定するということは、どういう差迫つた必要があるのか。また従来の熱管理規則との間にはどの程度の差異があるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  11. 中村純一

    中村(純)委員 ただいまのお尋ねもごもつともと存ずるのでございますが、元来臨時物資需給調整法はその壽命が一年間延期にはなりましたけれども、もともとこれは臨時的な、過渡的な法律であるのでございまして、この臨時的な過渡的な法律に根拠をおく規則をもつてかような措置をいたすことは、先ほど申しました本法律目的とするねらいから申しますれば、はなはだその間に食い違いがあるのであります。また臨時物資需給調整法は、その目的といたしまするところは、主として各種物資資源節約ということを目的として立案せられたものである。すなわち言いかえれば、消極的な面に主たる着眼を置いて立法せられておるものでありまするが、ここに御提案申し上げました熱管理法は、もとより熱資源節約ということは先ほど申しましたように非常に大切なことでございますけれども熱資源合理的使用によりまして、企業効率を上げる、企業経営合理化するという積極的な意図を持つておるものでありまするので、この点におきましても、臨時物資需給調整法考え方と大いに異なるところがあるのでございます。かような意味におきまして、これはこの機会において独立法として規定いたすことが適当であろうと考えまして、提案をいたした次第でございます。  なお現行の管理規則との相違点につきましてのお尋ねでございますが、こまかい点につきましては、御必要でありますならば政府関係当局から御説明をさせてよろしいと思うのでありますが、おもなる点は、現在の規則におきましては、この適用を受けますところの工場を、甲乙二つに区別をいたしておりまして、甲は年間千トン以上の燃料を必要とする工場であり、乙は年間五百トン以上千トン以下の工場ということに相なつておるのでありまするが、今日までの実施実情にかんがみまして、この法律におきましては、国が直接指定をし、指導をいたしまするところの工場は、年間千トン以上のものだけにいたしたいと考えておるのでありまして、それ以下の工場事業場につきましては、都道府県知事におきまして、本法律の精神に準じまして、適当なる措置をとらしめたいと考えておるのであります。これがおもなる相違点でございます。その他詳細の点につきましては、御必要がありますれば政府関係官から御説明をいたさせます。
  12. 中村幸八

    中村(幸)委員 この熱管理法議員提出になつておりまするが、そういたしますると二十六年度の予算に、この法案に基くところのすべての予算的措置というものが盛られておりますかどうか。もし盛られておるとするならば、その内容について、簡単でよろしいですからお尋ねいたします。
  13. 中村純一

    中村(純)委員 本法律施行に必要なる予算は、二十六年度予算に計上をいたしてあるのでございまして、その内容につきましては、政府関係官から御説明を申し上げさせます。
  14. 井上春成

    井上(春)政府委員 熱管理予算中央で三百三十五万円、地方で四百九十万円見込んでおります。人員中央で十五名、地方で三十二名、両方で連絡してやります。
  15. 中村幸八

    中村(幸)委員 ただいまの予算的措置は、これは役人の数のように思います。そのほかに物的施設その他の経費等も計上いたしておるかどうか。また役所以外で熱管理について協力する団体等がありますれば、その模様をお知らせ願いたい。
  16. 井上春成

    井上(春)政府委員 ただいまお話通りに人に伴う予算だけでございまして、そのほかの予算は含まつておりません。たとえばそれをやりますことによりまして、必要な経費等は見込んではないわけでありますが、しかしこれは会社自身が、事業場自身が、それによつて施設をいたしました以上に利益がございますので、それについて計上してないのでございます。それからそれの協力団体といたしましては熱管理協会というのがございまして、それは地方両方にわかれてございます。大体各通産局ごと協会があります。
  17. 中村幸八

    中村(幸)委員 先ほど提案者の御説明によると、五百トン以上を使う工場、千トン以上を使う工場とあつて、千トン以上を使う工場指定工場として政府いろいろ指導を受ける、それ以下のものは、郷道府県の監督にまかす、こういう御説明であつたように思います。従来の熱管理規則によりますと、五百トン以上の工場指導するということになつておりまして、むしろ今回の法律制定によりまして、適用工場が少くなる、管理がむしろ弱体化するのではないか、こういう一面の考え方もあるのであります。この点はどういうふうにお考えになるか。  またもう一つは、この熱管理事務は国の固有事務であるか、あるいは府県事務か、そこをどういうふうにお考えになつておるか。その点はつきりさせていただきたいと思います。
  18. 中村純一

    中村(純)委員 これまでの規則にあります熱管理実施状況から考えてみますと、なるほど、先ほど私が申し上げましたように、甲乙二つにわけてはおるのでありますが、大部分は甲に属しておるのであります。実は乙の部分につきましては、なかなか国の指導機関も数が少いものでありますから、わくの中には入つてつても、実際上こまかい指導が行きわたりかねておつたような実情であるのでございます。従いまして今回立案にあたりましては、従来の甲に該当いたしますものにつきましては十分に徹底的に指導もし、管理もして、模範的なものをここにつくり上げて行く。またそれ以下の従来の乙に該当いたしますものにつきましては、これはやや規模の小さい部門に属しますので、むしろ各府県当局をして本法に準じて具体的な指導をさせますことの方が、より一層効果が上ると考えておる次第なのでございます。さようなわけでありまして、決して従来のやり方に対しまして逆行する行き方ではなく、両方をわけることによつて、実質的には指導管理が徹底して行くものと私ども考えておる次第であります。それから府県でやります事務は、これは府県固有事務考えておる次第であります。
  19. 中村幸八

    中村(幸)委員 熱管理法案によりますと、この法律において燃料とは、石炭、亜炭及びコークス並びに加熱の用に供するガス及び重油をさすようになつておりますが、熱資源といたしましては、このほかにもまだ貴重な資源がたくさんあるように考えるのであります。たとえば電力のごとき、非常に現在需給が逼迫いたしておりまして、各方面で困つておることは御承知の通りでありますが、この電力熱管理法対象からはずしたということはどういう意味であるか、この点をお尋ねいたします。
  20. 中村純一

    中村(純)委員 まことにごもつともなお尋ねでございますが、電力はなるほど工場におきまして非常にたくさん使うものであります。今日電力不足逼迫をいたしておる状況でありますが、その電力使用は、その大部分は実は動力使つておるのでございまして、熱に電力使用いたしておりまする部分は非常に少いのでございます。そこで電力対象として熱管理と申しますか、広く電力工場等における使用管理考えます場合には、単に熱に使つております部分だけを切り離して考えますよりも、動力として使つております部分も含めて、電力総体についての使い方の管理考えて行く方が、より実情に合うものと考えておるのでございまして、従つてその点につきましては別途に私どもは考究しなければならない問題であると考えておるのでございます。さような意味合いにおきまして、この際の問題といたしましては、一応本法律からはずして考えたのでございます。
  21. 中村幸八

    中村(幸)委員 この法案によるガスというものの中には、天然ガスも入つておりますか。
  22. 井上春成

    井上(春)政府委員 普通申します場合には、やはり天然ガスも入れた方がよろしいかと思います。
  23. 中村幸八

    中村(幸)委員 重油を入れておりまするが、重油のほかに、油としては石油製品があるわけです。この石油製品を入れなかつた理由はどこにあるのですか。
  24. 井上春成

    井上(春)政府委員 石油製品の中で加熱用使用せられておりますのは、現在はほとんど重油だけでございまして、最近軽油を少量重油に入れて加熱用使つてはおりますが、これは特別の場合でございますので一応除外いたした次第であります。
  25. 中村幸八

    中村(幸)委員 薪炭については、どういうふうにお考えになつておるか。また薪炭といえばおもに家庭で使うわけですが、薪炭のほかにも家庭熱管理というようなことは、この法案の管掌するところであるかどうか、その点御説明願いたい。
  26. 井上春成

    井上(春)政府委員 薪炭家庭用燃として重要なものでございまして、相当量的にも多いのでございますが、これは個々にわかれておりまして、これを一々指導するということもなかなか困難でございます。これは燃料研究所等が、そういつたような指導に関する会合を開きまして、かような問題についてはただいま別個に指導しようとしております。また工場使つておりまする薪炭と申しますのは、ほとんど廃材、おがくず等が大部分でございまして、そのほかにもないことはないのでございますが、量的な面から、一応はずしておいても大して支障はないかと私どもの方では考えております。
  27. 中村幸八

    中村(幸)委員 この熱管理は、わが国の貧弱な熱資源節約いたしまして引延ばすという意味においても非常に大事なことでもあり、また企業合理化を推進するという意味から申しましても、非常にウエートのあるものでありますので、ぜひともこの法案を至急可決せられました上で、強力に今後実施せられるよう特に要望いたしまして、私の質問を終ります。
  28. 小金義照

    小金委員長 次は今澄勇君。
  29. 今澄勇

    今澄委員 私も提案者の一人でありまするから、この法案の概略については賛意を表し、大いにこれが実施希望するものでございます。但し簡単に、この法案政府実施面についての点を二、三点お伺いをしてみたいと思います。  第一番に、本法案実施による方が、従来までの物調法に基く熱管理規則でやつたよりも一段と効果を上げ得るというふうに考えて、提案者はこれの提案をしたものだと思うが、この点について、政府は具体的に実施するにあたつて問題等をこの際御説明をしていただければ仕合せと思います。
  30. 井上春成

    井上(春)政府委員 ただいまお話のように、物調法に基く規則だけでやつてつたのでございますが、こういつたものができますと、各民間業者の方方から熱烈な御希望がございますように、この仕事が非常にやりやすくなり、あるいはまたこれが相当重要性を持つているということになりますれば、新しい管理方法等があります場合には、これに対してその新しいものに対する試験、研究についての補助をするといつたような面も取上げることが楽になりまして、この仕事を有効適切に実施するのに非常に都合がよくなるのではないか、かように考えております。
  31. 今澄勇

    今澄委員 それでこの熱管理指定工場は、年に千トンくらいの石炭使用する工場以上等いろいろ大きなところにしておるようですが、政府の調査によると、それは全国の工場の何パーセントくらいになるか、またそういうふうにした方がどういう便宜があるか、ひとつ長官からお願いしたい。  それから提案者には、そういつた大きなものだけに一応限つた理由を簡単にお聞きしたいと思います。
  32. 井上春成

    井上(春)政府委員 それでは初めのことについてお答えをいたします。全体といたしましては、千トン以上といたしまして千八百工場ございます。それで全体から申しますと、数からいいますれば二・五%くらいでありますが、使用数量からいえば二千三百万トンくらいになりまして、大部分を占めることになると存じます。
  33. 中村純一

    中村(純)委員 ただいまお尋ねの後の部分についてお答えを申し上げます。先ほどもちよつとこの点に触れたのでございますが千トン以上を使用いたしまする工場の数はただいま申し上げた通りでございますが、この種のものにつきましては直接に十分に指導もし、徹底的に管理もする、そうしてこの種の熱管理の模範的なものをここにつくり上げて行きたい、かように考えておるのでございまして、それ以下の五百トン以上の程度のものにつきましては、従来は国が直接やることに建前はなつてつたのでございますが、指導機関の数が少いので、十分に手がまわりかねておつた点もあるのでございます。従いましてこの種の比較的小規模のものにつきましては、都道府県をして直接指導管理に当らしめる方がより具体的であり、より実際的な効果が上ると考えまして、さような措置に、いたしたいと考えた次第でございます。  なおまた実際の面を申しますと、都道府県の側にありましては、現在の熱管理実施以来、この事柄の重要性につきまして非常な強い認識を持つてつておるのでございまして、ぜひ自分たちのところでも十分なる指導に当りたいという強い熱意を示しておるような状況でありまするので、かたがたさよういたしまする方が、個々の具体的な指導が十分に行き渡ると考えておる次第であります。
  34. 今澄勇

    今澄委員 大体御趣旨の点は、数量的な面から見ると一応納得ができるわけでございますが、どうもやりやすいところだけやつて、やりにくいところが残されておるというような感じがします。工場数にしてあとの九十何パーセントというような数の多いこれらのものが、全部この法律実施からはずれるという点は、先刻の中村委員の御質問通り、私どもも将来この点については十分考えなければなるまい、かように思います。そこでこれらの中小工場ほど、熱管理については政府むしろ助成指導ということが必要であつて、これらのものに対する政府そういつた政策が必要だが、この法律の中の助成というふうな部面については、大蔵省方面の意向でこれが大体原案から削り落されて少くなつているのですが、私どもは、やはり将来できればこういう助成方面にも国の資金を入れて、中小工場指導するようにひとつ提案者に望みたいのです。これに対する提案者の御見解と、それからこれらの指導助成について、政府として——もつとも予算に縛られるがいろいろ考えているところがあればこの際御説明を願いたいと思います。
  35. 中村純一

    中村(純)委員 ただいま御指摘の点は、まことにごもつともに存ずるのでございます。そこで今後この法律の運用の状況に徴しまして、その助成方面予算の獲得につきましたも、政府関係当局はむろんでありますが、われわれ国会議員の一人といたしましても、十分に皆様とともに努力をいたして参りたいと考えている次第でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  36. 井上春成

    井上(春)政府委員 資料としてお配りしてございます「戦後における熱管理の概況」というものにも詳しく書いてございますように、燃焼機を改造するとか、あるいはスチームトラツプをつくるとか、保温の実施といつたようなことだけでも、二百万トンからの節約になるというのでありまして、まず第一着としては、こういつたようなものをすでに知られているような方法で、できるだけ各工場がこの方式にのつとるようにして行きたいと考えております。しかしそれだけではやはり足りませんので、最後にはさらに新しい問題に入る、かように考えております。新しい問題に入りますれば、その新しい方策をとります際には、ただいま提案者から御意見のございましたように、何とかこれに対してもできるだけ奨励と申しますか、あるいは助成と申しますか、そういつたような方策をとつて行きたいと考えております。
  37. 今澄勇

    今澄委員 大きな工場などは、これらの機械の改良その他今あなたの言われたようないろいろなことをやるのに、資金の面についてもある程度恵まれているから大した困難はないが、小工場においては、やはりこれは指導を十分にしてやり、資金面についてもこれらのめんどうを見る、あるいは政府としてもいろいろ奔走してやるということにしなければいけないと私は思う。しかるにこれが都道府県にまかせてあつて、先ほどの御意見では、都道府県も非常に熱意があるというような御答弁でございましたが、実は都道府県としては、資金的な問題その他についても政府から予算をもらえるわけでもないし、まことにこれは都道府県としては迷惑であろうと思います。だからわれわれは、この都道府県のこういつた中小工場に対するそれらの問題に対しても、政府がやはり予算をとつてこれらの裏づけをしてやる、小さな工場の資金の面とか、その他について、十分これらのことをやつてやることが必要だと思う。そういうふうにしないと、将来の問題になりますが、この熱管理の有終の美をなすことはできぬであろうと思いますが、これらのことについての構想をお聞きしたい、こういうわけであります。
  38. 小金義照

    小金委員長 ちよつとお諮りいたします。工業技術庁の熱管理課長が見えておりますので、同課長に説明いたさせますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 小金義照

    小金委員長 それでは富松説明員。
  40. 富松四郎

    富松説明員 今までの政府でやつて参りました点、今澄委員からお話のありました点の御説明を申し上げたいと思います。今まで中小企業につきましては、戦前物調法によります熱管理規則がございませんでしたので、物調法に基く熱管理規則は国の事務ではないというようなことで府県も手が出せなかつたので、新しく法案をつくるときには、ぜひ府県事務であるということを明示してもらいたいということで、府県事務として規定を入れたわけであります。今まで政府といたしまして、こういう中小企業熱管理につきましては、中小企業庁と連絡いたしまして、資金のあつせん等に努めて参つております。最近になりまして、各都道府県におきましてもこういう問題を取上げて、府県としても十分に活躍できる範囲で、中小企業のこういう熱管理の改善をやつて行きたいということが非常に強くなつて来ております。われわれもこの府県とタイ・アツプいたしまして、今後大いにやつて行きたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  41. 今澄勇

    今澄委員 将来これらの法案の運営にあたつては、私どもは、先ほどの提案者趣旨を十分生かすように今後大いに努力をいたしますが、政府としてもよく留意して、特に中小工場助成については、少くとも大蔵省との交渉によつて予算面にこれを計上するという努力をしてもらいたいと思います。  それから指定工場以外の工場はこの法案対象になるのかならぬのか。もしこの法案対象にならぬとすれば、指定工場以外の工場に対する都道府県熱管理指導は、何によつて行うかという点が疑問になるわけですが、これらの点についても、もし実施上明確な態度がきまつておるなら、御答弁を願いたいと思います。
  42. 井上春成

    井上(春)政府委員 熱管理法案の三條、四條等を拝見いたしますと、やはりそういうのも野放しにするというのではなく、一応それに対して、こちらの方でも十分よく考えて行くということになつておるようでございます。  それから先ほどのお話の点につきましては、政府としてはできるだけ御希望に沿うようにして行きたい、さように考えております。
  43. 小金義照

    小金委員長 次は田代文久君。
  44. 田代文久

    ○田代委員 これはこの前のときに私は聞きたいと思つたのですが、「戦後における熱管理の概況」の三十一ページに輿論調査の結果表が出ております。つまり熱管理をやることによる利益あるいは不利益、実際にこれをやる工場と、しては都合がよいかあるいは悪いかという点について、輿論調査をされた結果が出ております。これはきわめて不十分だと思うにもかかわらず、その中では、たとえば現行の熱管理規則についてというような調査の中でも、その管理規則を強化すべきであるというもの、それから現状でよいというもの、三番目には廃止すべきであるというものがあるが、こういう調査にあたつて、現状でよい、また廃止すべきである、つまりこういう熱管理規則はどうも困るというような意見の方が、むしろたくさん出ているような調査の結果も出ております。それからまた第一番目の問では、熱管理規則施行によつて工場の受けた影響として、損をしたというようなところとか、それからまたあなたの工場指定を受けた場合にどうだつたかということについて、結果が悪かつたというような数字も出ております。こういう悪かつたとか、廃止すべきであるとか、やめた方がよいとかいうような結果が出ておるのですが、この内容をひとつ説明していただきたいと思います。大体一般的には熱管理をやることによりまして産業合理化され、生産力が高まるということは、一般論としてはだれも異議ないことだと思いますけれども、こういう結果が出ていること自体が、あるいは産業の規模なり、あるいは内容なりによりまして制約を受けるわけであります。この点をはつきりしないと、われわれは賛否を決するわけには行かないのですが……。
  45. 富松四郎

    富松説明員 私から説明させていただきます。今お話のございました点は、輿論調査は無記名でやりましたので、はつきりとどういう理由で損をしたとか、悪かつたということが言われているのかわかりませんが、先般お話がありましてからいろいろ報告書を調べてみますと、大体五百トン以下の小さい工場熱管理士を置けとか、あるいは報告を出せというようなことは非常に煩雑であるというような意味で書いたことと思います。そういう意味で、今回もそういう五百トン程度の小規模の工場熱管理規則施行するのが無理だと思われるような工場を、千トンに標準を引上げて落しております。そういう意味で落しているわけでございます。それと現行の熱管理規則について強化すべきである、それから現状でよいというのは非常に多いのですが、強化すべきであるというのは、そういう熱管理士を置けとか、報告を出すというような義務を強化しないで、現状程度でとどめておいてくれということでございまして、そういう意味で今回提案になりました法律も、大体今までの熱管理規則と同じ程度義務しか課していないようになつております。
  46. 田代文久

    ○田代委員 大体私たちはしろうとなんですが、法律づくめで、あるいは罰則までつけてやらないでも、大体各工場熱管理をやることによつて自分の工場合理化され、あるいは生産力が高まるということは、言わずとも自主的に工場経営者は計画するわけです。そういう立場に立つて、これを無理にこういう形で法文化してしまうというような形をとらないでも、現在までのやり方で成果が上がるのではないかというふうにわれわれは考えるわけですが、その点はどうですか。つまりこれを法律としてはつきりした方が、より効果があるという点の方が強いわけですか。
  47. 中村純一

    中村(純)委員 ただいま御指摘の点ごもつともと思うのでありますが、実は先ほど中村委員からの御質問の際にもお答えしたのでございますが、この法律実施によつて、直接その利益を受けるものは当該企業であります。しかしながらこの法律のほんとうのねらいというものは、当該金業の利益を増進するばかりではなく、わが国の千トン以上とかあるいは五百トン以上とかいうような主たる工場熱管理実施によつて、その工場生産能率が上つて来るということは結局国民経済の改善になる。またわが国の貧弱にして貴重なる熱資源の合理的節約をはかるということも、これまた国家的な利益である、こういう大きなねらいに立つておるわけなのでございます。従つて工場から各種の報告をとるということは、実はこれらの実施の結果によります報告をまとめまして、これをまた科学的に調査をし、さらに新しい熱管理の段階に進んで行くとか、さらにまた進んだ合理化の段階に持つて行く、そういう資料を集めることが一つのねらいになつているのでありまして、従つて報告を出すとか何とかいうことは当該企業の利害だけでなく、結局この法律のねらいとしますところの全般的な利益につながる問題であると私は考えているわけであります。さような見地において報告義務を課しているのでありまして、義務を課する以上は、その義務の不履行に対してはある程度の罰則をつくらざるを得ない、従つて最低限度のそういう義務違反に対する処置を規定いたしたのでございます。
  48. 田代文久

    ○田代委員 今の御説明のように、個人企業が自分の利害関係だけでなくて社会的な、国家的な観点からという点でございますが、それであれば非常に経営が困難になつている企業、あるいは金融上非常に困つているようなところでは、これを管理するためにいろいろ資金がいることに当面するわけですが、そういう場合に国家的な利益、社会的な利益からこれを解決するという原則を貫きますとするならば、私は金融上の合理化のための補助とか、助成というものを当然なさるべきだと思います。しかし先ほどの今澄さんその他の質問によりましても、それに対して裏づけが大してないということになりますと、非常に困つている中小企業というような面では、その面で一つの圧迫を受けまして、こういうものができたためにかえつて苦しくなる。行く行くは利益になることはわかつておりましても、当面金がないためにどうにもできない。従つて規則に触れて罰せられるということになりますと、かえつてそういう産業を破壊する結果にもなるのであります。その点で私は非常に不満に思う点は、助成とかあるいは育成という物質的な裏づけをなぜやられないか、またそれに対する今後の意図はどうであるかということを重ねて質問いたします。
  49. 井上春成

    井上(春)政府委員 ただいまの御質問はごもつともな御質問だと思います。先ほどの今澄さんからのお話につきましても、私御返答いたしましたように、熱管理というものをその個人会社それ自身の利益のためにやる、こういう趣旨になつておりますので、先ほど提案者から御説明のように、大蔵省の方との折衝の結果が裏づけになつておりませんのでございますが、しかしこれがいよいよ実施される場合には、中小企業等についてはできるだけ資金等につきましてもあつせんをするように、先ほど富松説明員から申しましたように、今までもそういつたような方法をとつておりますので、私どもとしてできるだけその方向を強化して行きたいと考えております。  それから罰則につきましては、罰則という言葉は非常に強く聞えますが、この届出によつてその工場指定することになつております。指定いたしまして、そしていろいろな届け出に間違つたことがあつた場合には、これに最小限度の罰則がついているように考えております。従いまして今までのデータをとるというようなことは、当然その工場としては普通になさねば、その熱管理はできないことになつておりますので、そのデータを政府提出することになつているかと思います。その罰則にいたしましても、私は物調法の罰則がどういうふうになつているか現在存じませんが、物調法の罰則よりも決して重くはなつていない、むしろ軽くなつているということであります。
  50. 田代文久

    ○田代委員 これはしろうとでよくわかりませんが、これを実施いたしました結果わかる点は、最近資金の面とか、試験を受けるので、今までよりはきゆうくつになる。資格者がないために監督を受けるとかいう点もありましよう。労働者の保護に労働強化の面が出るとか、そういう面の心配はございませんか。
  51. 井上春成

    井上(春)政府委員 今の問題は全然御懸念はないように考えます。むしろこれをやることによりまして仕事の面がはつきりし、責任の限界がはつきりするかと考えております。
  52. 小金義照

    小金委員長 以上をもちまして、本日の通告による発言は全部終了いたしました。他に御発言がないようでありますから、委員長から一言質問を申し上げます。  この法律適用を受ける工場燃料を千トン以上使うとか、千トン千トンという言葉が出ておりますが、これは石炭を千トン使うという意味ですか。もし亜炭、コークスの場合はどうされますか。ガス重油の量については、どういう基準を設けられますか。この運用機関に当られる通産省の御意見を承ります。
  53. 井上春成

    井上(春)政府委員 これをやることにいたしますと、政府といたしましては石炭換算千トン、こういうことにいたしたいと考えております。
  54. 小金義照

    小金委員長 わかりました。次にわれわれ議員の提出いたしました法律案の附則の施行の期日に関して、われわれは公布の日から起算して六箇月を越えない期間内において政令で定めるというふうに規定いたしましたが、政府は現在の物資調整法に基く規則との振りかわりをいつごろにするお見込みですか、政令の準備等がどの程度まで行つているか、一応聞かしていただきたいと思います。
  55. 井上春成

    井上(春)政府委員 大体ただいまのところは十月一日と考えております。それくらいの間には準備ができるかと考えております。
  56. 小金義照

    小金委員長 それまでは現在の物資調整法で、一応廃止されないという見込みでそうなつているわけですね。
  57. 井上春成

    井上(春)政府委員 御説の通り考えております。
  58. 小金義照

    小金委員長 わかりました。  以上をもつて質疑は終りましたので、本件につきましては質疑を打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 小金義照

    小金委員長 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。明日は午後二時半から開会いたします。     午後二時三十五分散会。