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木内政府委員 日銀工ーザンスができまして以来、
輸入がはかど
つたことはお説の
通りと思います。その意味におきまして、あの制度は
相当な効果を現わした制度であると言えるのであります。ところが新聞に散見しますように、それを改正しようということを、私どもの
委員会から
日銀の方に提案していることは事実でありまして、若干の改正をもくろんでおります。それと、これも新聞にもちよいちよい出ますが、外銀の
ユーザンスというものを別途起すべしという
意見もあります。今の
日銀ユーザンスと私どもの提案は、
為替銀行がみずから
ユーザンスをやるといえばいえる制度でありますから、これを市中銀行の
ユーザンス——いろいろな術語ができることはあまりありがたくないのですが、市中銀行の
ユーザンス、つまり市銀
ユーザンスという言葉がときどき使われますが、そういうものが私どもの提案であります。それにプラスするに外銀
ユーザンスで、今三つのものがありまして、やや混乱を起しているかと思いますので、御
説明をさししいただきます。
現行
日銀ユーザンスが、せつかくうまく行
つておりますものを改正しようと思いますわけは、いろいろな点があるのであります。概括して申しますと、今の
日銀ユーザンスは、私どもの持
つております
外貨を
日銀に売りまして、
日銀がそれを
為替銀行に貸しまして、
為替銀行はそれを私どもの勘定にまた預けもとして金が返
つて来るのであります。そのもどしたものをも
つて先方の
輸出業者には払
つてしまう。しかし払
つたときに、こちらのインポーターは円を払わないでも済む。何となれば市中銀行は
日銀から貸付を受けておりますから、貸付の返済を要求されるまでは、円を私どもの会計に払い込んで、
外貨を取得した形にして事を済ませるという必要はないわけであります。それで最長四箇月たちましたあとにおいて、
輸入業者が支払いをいたしますと、その金で
為替銀行は私どもから
外貨を買
つたことにします。私どもは
外貨を売るのであります。同時に私どもは円を取得しますから、その円でも
つて、最初に
日銀に売
つた外貨を買いもどすという、初めとちようど逆な三魚形の取引をして決済をしておるのであります。
この短かい
説明でおわかりに
なつたかどうか、ちよつと疑わしいほど込み入
つておりますが、かくのごとき制度を持
つた国は、おそらく
世界中にないので、時によ
つてその制度は非常にいい制度ではあ
つたのでありますが、あまりにも常道とかけ離れておりますので、何かと不便が多いので、今後もつとすつきりした形にして行く
ためには、これを普通のやり方に直すがいいと思
つて、それで私どもは提案するわけでありますが、普通のやり方と申しますのは、先方の
輸出業者に、
輸出する取引先の
外国銀行が
外貨を払
つてくれるのでありますが、その払
つてくれる必要な
外貨というものを、
日本におけるところの市中銀行が私どもから買いまして、その買
つたものを向うに渡して決済を済ませる。決済を済まして、市中銀行が
輸入業者から
資金を取立てるのは、最長四箇月で、今の
通りにしよう、こういう制度であります。
従つて市中銀行は、私どもから
外貨を買う
ための円
資金を必要とするのでありますが、その円
資金は、
日銀から今ちようど
外貨を借りておりますと同じように、円を借りたらばいいのではないか、こういうことを骨子にしたものであります。つまり
日銀からの貸出しを
外貨にする
ために、非常に複雑なことになるのでありますが、それをやめて、円の貸付にしてしまえば普通のことでありますから、それで初めてこの
関係がすつきりするのであります。詳しく申しますと、先方において
輸出をしたときにおいて、
外貨の支払いが起りますが、その前に先方の銀行が確認してくれる
ために五〇%のマージン・マネーというものを積むのが今のやり方であります。その必要はマージン・マネーをどうして調達するか、これもやはり
日銀から貸していただいて
為替銀行が買取るということにしますと、
為替銀行はほんとうに自分の足に立
つたということになるのであります。
為替銀行がほんとうに自分の足に立
つたことにな
つてこそ、
為替銀行の力というものはほんとうについて来るのでありまして、
為替銀行間の競争というものも常態の競争にな
つて来る。みなが競争することが、すなわち社会の
ためにも、なるという論理に従いまして、そういうふうにかえたいと思
つております。ですからこれは御心配のような、そうかえた
ためにせつかく順調に行き出した
輸入というものが乱されるということは、万々ないつもりでありまして、それなしに行くにはどうしたらいいかというようなことを、
日銀当局その他と今まだ相談中であります。それが私どもの提案の内容であります。
次にまたそれと別個に、外銀
ユーザンスというものがあるわけでありまして、この外銀
ユーザンスというものは、先方の
輸出業者に払います
外貨を、外銀が立てかえてくれる形になるのであります。その立てかえてくれる期間が最長四箇月であるならば、今と同じになるのでありまして、外銀
ユーザンスを、今申しました市中銀行
ユーザンスなり、
日銀ユーザンスなりと並用しますことは、何らのさしつかえないことでありまして、必要あらば並用したいと思います。その必要あらばと申しますことは、これは
外貨の
不足に対処する必要でありまして、インポーターが若干の期間金融を受けるという必要からいえば、市中銀行
ユーザンスであろうと、
日銀ユーザンスであろうと、その効果は同じでありますが、それに加えて
外貨がもし足りないという
関係にな
つて来ますと、外銀が自分の金で払
つてくれるのですから、
外貨を借りた行為と同じことでありまして、
外貨の
不足を補うことになります。これは
輸入業者にフアイナンスを与えるということのほかに、
外貨の
不足も感ぜられるから、その方も補いたいという必要が生じましたときには、それでやるべしであります。しかしその必要がいつ起るかわかりませんから、先ほど御指摘の
通り、
値上りがありまして、
数字的には貿易が
発展しているが、物量的には必ずしもそう思えないということもありますから、多々益々弁ずるということが今後の国策であるならば、必要の場合今の外銀
ユーザンスができるように、その下地工作は常に怠らずにしております。現にポンド
資金におきましては、その
不足が痛切に感ぜられましたので、それをやることにいたしまして、すでにそれが入
つておりますが、それが現行の
日銀ユーザンスと何ら矛盾なく並立することはすでに実験済みでありまして、そういうようなことに移
つて行くからとい
つて輸入が一層
促進されこそすれ、かき乱されることはないつもりでおります。これが
ユーザンス問題の
説明でございます。