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1951-02-16 第10回国会 衆議院 通商産業委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十六日(金曜日)     午後二時八分開議  出席委員    委員長 小金 義照君    理事 多武良哲三君 理事 中村 幸八君    理事 高橋清治郎君 理事 今澄  勇君       今泉 貞雄君    小川 平二君       神田  博君    澁谷雄太郎君       中村 純一君    永井 要造君       玉置  實君    福田  一君       南  好雄君    村上  勇君       河野 金昇君    風早八十二君  出席政府委員         大蔵事務官         (日本專売公社         監理官)    久米 武文君         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商化学局化         学肥料部長)  柿手 操六君         通商産業事務官         (資源庁鉱山局         鉱業課長)   手塚 保明君         日本專売公社塩         腦局長     村岡 信勝君         專  門  員 谷崎  明君         專  門  員 大石 主計君         專  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 二月十四日  電気事業再編成に伴う善後措置に関する陳情書  (第二二七  号)  同(第二二八  号)  同(第二二九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  重要物資需給に関する件     ―――――――――――――
  2. 小金義照

    小金委員長 これより通産業委員会を聞きます。  重要物資需給に関する件について調査を進めます。前回工業に関する小委員長中村純一君より、肥料の問題及び塩の問題について小委員会の研究の結果の御報告がありました。それを議題といたします。まず肥料の問題を取上げます。中村純一君。
  3. 中村純一

    中村(純)委員 前回の本委員会におきまして、科学肥料の問題についての工業に関する小委員会におきまする審議の経過並びに結果につきまして御報告を申し上げたのでありますが、前回申し上げましたように、小委員会におきましては、科学肥料の問題は、わが国食糧生産、また農業経済の安定の面から申しましても、あるいはまた輸出振興という面から申しましても、きわめて重要な問題であるのであります。しかるに今日国内におきまする肥料事情は必ずしも科学肥料生産の現況とマツチしたような情勢になつていない、はなはだ憂慮すべき点があると考えられるのであります。これは当面の配給面におきまする操作を改善いたしますことももとより必要なことでございますが、根本的にはあくまで肥料増産の面におきまして、さらに一般努力を検討すべき問題であると思うのであります。その意味におきまして、小委員会におきましては、本委員会一つ決議をもちまして、政府関係機関はもとより、業界当事者にも、雲としてわれわれとして意のあるところを訴えて、一般努力を望みたいということが小委員会の結論であつたのでございます。願わくは本委員会各位の御賛同を得まして、さようにとりはからつていただきたいと考えるのでございます。つきましては、この決議に関しますひとつの草案を準備いたしておりますので、読み上げてみたいと思いますが、よろしゆうございますか。
  4. 小金義照

    小金委員長 どうぞ。
  5. 中村純一

    中村(純)委員    化学肥料増産に関する件   現下内外情勢に鑑み、食糧自給度の向上が強く要望せられて居り、之が為め良質な化学肥料の充分な供給確保することは刻下の急務であるが、之と同時に共の原料の大部分を自給し得る化学肥料は好適な輸出品として海外からの引合も多く国内需要を充足した余力を以て之が輸出を行ふことは我国経済自立の達成上からも望ましいことであつて、斯くして本工業の負う任務は益々軍且つ大となるに至つた。   終戰以来我国化学肥料生産は比較的順調に恢復し来り、其の一部を除いては、戰前最高額を凌駕する実績を挙げるに至つたことは喜ぶ可き次第であるが、然るに拘らず、最近に於ける肥料事情を見るに、或は地域的に甚しく需給の均衡を失し、或は一部業者投機的買溜、売惜等の為め、其の価格の不当な騰勢を示しつつあることは主として配給面に於ける操作宜しきを得ない為であつて甚だ遺憾である。   政府公団手持品適時放出不良業者取締等に付き速かに適切な措置を講じて之等当面の需給混乱を拂拭すると共に基本的方策としては電力供給確保燐鉱石加里塩等海外資材輸入促進硫化鉱の如き豊富なる国内原料急速増産等に付き強力な施策を実施することに依り肥料生産拡充強化と之が価格の合理的安定を期す可きである。   尚化学肥料工業は元来医薬、染料等他化学工業と綜合的に経営せられ、共の増産に付ても之等脚注生産と切離しては考へられないものであるから、行政の面に於ても、経営の面に於ても之の特性を活かしつつ措置す可きであり、関係当事者の充分な理解と協力の下に之が飛躍的増産施策す可きである。  右決議する。以上であります。委員長よりお諮りを願いたいと思います。
  6. 小金義照

    小金委員長 本件について発言を求められております。順次これを許します。今澄勇君。
  7. 今澄勇

    今澄委員 今の肥料工業に四する決議案については、われわれも全幅的な賛意を表するものでありますが、その前に一応この際政府肥料に対する基本的な考え方をお伺いしておきたい思います。  そこで私は通産次官にお伺いしますが、大体日本肥料工業についてはどういうふうにお考えになつておるか。私は、肥料工業のねらうところは、少くとも国内農村需要に応ずるということももとより重要であるが、将来日本が、自立経済計画の中において東亜市場肥料を受持たなければ、これはイギリスか、あるいはその他の国が受持つであろうことは当然であるが、それらの大きな日本経済自立の問題から考えてみると、ただ單に国内における農村需要に応ずるのみというようなものの考え方で、肥料考えられるということは、当を得ないものではないかと思う。そのような東亜情勢日本経済自立の問題、国内における農村肥料需要というようなものをめぐつて肥料政策というものは、根本的に通産行政の中でどういう地位を占め、将来の方向を目指しておるかということを、通産次官からひとつ御説明願いたいと思います。
  8. 首藤新八

    首藤政府委員 肥料があらゆる産業の中におきまして、最も重要であることは私の申し上げるまでもないことであります。特に終戰後におきましては、当面の不足せる食糧をできるだけ増産いたしたい、それには必然的に肥料増産考えなければならぬのでありますから、過去五年間におきまする政府施策は、他の産業よりも肥料増産格段努力拂つて参つたのであります。これがために昨年度の生産量戰前最高記録を上まわるというような好成績を示しまして、内地需要に対しましても大体充足できる態勢となつたのみならず、ある程度輸出可能の余裕を示すに至つたのであります。そこで一応内需確保いたしましたならば、できるだけ輸出促進をやりたい。特に昨年は朝鮮事変によつて朝鮮にありました日窒の工場が全部破壊されて、その日窒から供給を受けておりました香港、あるいはタイ、仏印という広範囲の東洋各地市場から、非常な大量の引合いが入りましたので、ぜひともこれにも充足いたし、そしてこの機会東洋各地の販売の基盤をつくりたい。もつて今後実は肥料増産を安定させたいという構想をもちまして、あらゆる生産増強に対する施策を進めて参つたのであります。しかしながら昨年八月に内地肥料統制撤廃をいたしたのでありまするが、その当時の内地需給予想と、その後数箇月を経た後の、実際の需給バランス相当食い違いがある。統制撤廃いたしまする当時は、その後の生産量から見て、十二分に内地供給を充足し、相当輸出ができると考えたのでありまするが、案外その後の消費が多量に上りまして、従つて市価予想に反してだんだん上昇して参つた。そしてこれが農家経済相当の影響を及ぼすということから、農林委員会では輸出の問題につきまして、相当嚴重な制約を希望する要望があつたのであります。通産省といたしましては、先ほど申しましたように、内地需要を充足した以上は、できる限り輸出に振り向けたい。特に東洋各地よりせつかく日本肥料に対して買気が出ておるのでありますから、この機会にそれらの希望に応じて将来の販路を拡張いたしたい、そして日本肥料経営を安定ならしめたい、さらにまた一歩進んで、これによつて将来の増産態勢を整えたいという強い要望を持つておるのであります。
  9. 今澄勇

    今澄委員 先般アメリカ商務省関係のアンドリユース並びにウエスト両氏わが国肥料工業を視察に参られたことは御承知通りであります。これは極東経済調査団一つの仕事として、日本肥料工業を視察した結果、その報告書には、国際收支改善の最上の一つは、日本肥料が三百万トン程度生産に達するかどうか、これがここ二、三年の間にだめであるならば、東洋市場イギリスなりあるいはその他の欧米各国肥料生産のために確保せられて、日本肥料市場としては東洋市場確保できないであろうということが述べられておることを私はこの際一言申しておきたい。肥料に関する限りはこの原料が少くとも国内で調達ができるということ、かもこれがたとえばソーダを取上げると、なるほど重要であるが、ソーダ原料であるところの塩などは海外に依存せざるを得ない。私ども政府の言う、たとえば日本の今後の重要な産業一つとして、重化工業を取上げるとするならば、その軍化学工業の中で、ソーダあるいはアンモニア系統を並べて見ると、少くとも国内自給自足ができて、輸出余力を将来持ち得るものはアンモニヤ系統である、こういつたアンモニヤ系統の中に属しておるところの肥料工業というものを、通産省としてはきよう大臣の御出席はないが、もつと大きく本日の国家的な、視野の上に立つて考える必要はないか。肥料の問題が、ときに行政のなわ張り争いの問題になつたり、あるいはいろいろ問題になつておるが、少くともそういつた日本軍化学工業自給自足施策の上に立つて、将来に伸びるもの、こういうふうな立場に立つならば、肥料工業というものに対する認識はもつとはつきりしなければならぬと思うが、その点に関して一体通産省ではどういうふうなお考えを持つておられるか。
  10. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど申し上げましたごとく、肥料に対しましは格段の関心を持ち、できる限り増産施策を進めて参つたのであります。同時に御指摘の通り他産業はおおむね原材料輸入に仰がなければならぬ、換言すれば外貨を必要とするのでありまするが肥料に関してはこの原料の大部分国内確保できる、硫化鉱にいたしましても、その他全部が内地確保で、きる。従つて輸出をいくら増進いたしましても、外貨を必要としない原材料を使える、そこに大きな強味があるのであります。従つてその面からも肥料増産には特別の努力を拂つておりまするけれども、ただ問題は御承知通り磁力制約相当きびしいのであります。これ以上急速に肥料増産いたしますれば、電力の方を相当大量これに割当てなければならぬ。そういたしますことによつて他重要産業にまた思わざる圧迫を加えなければならぬというような、関連産業の面を考えた場合、肥料のみに特に増産の施設をこれ以上やるということは、国家経済全般から考えてはたして適当であるかどうかという点に多少の疑念が残されておるのであります。従つて電力余裕ができますれば、さらに増産方針を推進して参りたい、かように考えております。
  11. 今澄勇

    今澄委員 そこで私はいろいろな観点に立つて基本政策を伺いましたが、それらの重化学工業に対するアンモニヤ系統であるこれらのものに対する政府の基本的な見解について、見通しある御返答をいただけなかつたのは違憾でございます。されば昭和二十六年度の肥料計画並びにここ二、三年の日本肥料に対する通産省としての計画がございましたならば、簡單でけつこうでございますから、御報告願いたいと思います。
  12. 柿手操六

    柿手説明員 今のお尋ねは主として窒素肥料の問題でございますので、昭和二十四年の八月から二十五年の七月までの、昭和二十四肥料年度では硫安が百四十万トン、石灰窒素が四十万トン、合計百八十万トンの生産を上げました。昭和三十五年肥料年度、去年の八月から今年の七月までの実績及び今後の推定をいたしますと、昨年の十一月に需給推算をいたしましたときは、硫安百四十九万トン、石灰窒素四十二万トン合計百九十一万トンの計画を見込んだのでありますが、最近の情勢で申しますと——その当時は十月までを実績にいたしまして、十一月以後推定いたしておつたのでありますが、十一月、十二月、一月の実績がわかりましたので、当時見込んでおつた推定と比較して見ますと、硫安石炭窒素両方において約六万トンの計画以上の増産をいたしております。目下電力の非常な不足を来しておりまするが、これとても三月に入ればこの状態は解消すると考えられますので、現在の私ども推定では、硫安は百四十九万トンの計画が百五十五万トン程度石灰窒素は四十二万トンの計画が四十五万トン程度合計二百万トンになるのじやないかというように考えております。戰前における最高を御参考に申し上げますと、昭和十六年が最高でございまして、これは先ほど申し上げました肥料年度でなくて、物動年度で申し上げますと、硫安が石二十四万トン、石灰窒素が二十五万トン、合計百四十九万トン程度のものでございます。それから今後の計画でございまするが、これは私ども通産省といたしましては、昨年の十一月ごろでしたか、省内でも、先ほど政務次官から御答弁がありましたような全般電力関発との見通しをつけながら、ある程度希望的ではございましたが、昭和二十八年度におきまして硫安を二百十万トン、石灰窒素を五十万トン合計百六十万トン程度に持つて行きたいものだというような一応の内定をいたしたような事情があるのでありますが、先般——今年の正月の中ごろでしたか、安定本部自立経済審議会において審議されました肥料増産計画目標は、それほどまでに行くことは少し無理であろうが、大体二百五十万トン程度は行くのじやないかというような一応の推定をいたしております。昭和二十六物動年度計画でございますが、ただいま安定本部ともいろいろ協議いたしておりますが、まだ決定いたしておりません。私どもの現在の計画は、硫安百八十万トン、石炭窒素四十六万五千トンという案をつくりまして、目下安本協議を進めておる次第でございます。
  13. 今澄勇

    今澄委員 非常に詳細な数字でよくわかりました。そこで現在の政府計画しておる昭和三十六年度の肥料計画については、自立経済の第一歩として昭和二十六年肥料年度においては、素肥料が二百二十万トン、その内訳は内需が二百十万トンで、輸出が十万トン、燐酸肥料が百七十万トンで、内需百五十五万トン、輸出が十一万トンというような数字が巷間伝えられておりますが、このような数字安本なり通産省なり農林省と打合せて大体きまりそうでありますか、それともこれから大きく狂うようでありますか、御答弁願いたいと思います。
  14. 長村貞一

    長村政府委員 二十六年度の生産計画につきましては、先ほど肥料部長から御答弁申し上げた通りでありますが、それの相対します内地需要及び輸出向けにつきましてはただいま安本中心にしていろいろと検討いたしております。たとえば窒素肥料については昨年十一月に需給推算を行いました際に——やはりこれも安本中心関係当局に集まりまして行つたわけでございますが、当時国内消費窒素肥料二百十万トンという数字を抑えて一応の需給推算をいたしたわけであります。国際情勢の推移につきましては、その後かなり検討が進められておることと存じますが、私どもの方からのただいまの推定では、ただいま申しました数字にはなはだしく大きな動きはないのではないかという予想をいたしておるわけでございます。
  15. 今澄勇

    今澄委員 そこで農林省の方にお伺いをいたします。大体概数だということでございますが、農林省としては今の肥料内需輸出数字についてどのようなお考えを持つておられますか。
  16. 長村貞一

    長村政府委員 肥料需給関係については最近いろいろの問題があるのでありますが、昨年の十一月当時の需給推算はただいま通産省の方からお話になつた通りであり、全体の農家立場から考えますと、硫安及び石灰窒素二百万トンの生産でありますと、戰前統制時代需給バランスから申しましても多少の余裕ができるという計算に相なるのであります。昨年統制撤廃後に一時不足を生じたやの感じがありましたけれども、これは農家自身統制撤廃に対する買いあさりというような問題も多少含めておつたのではないかと思いますし、また二曲には統制撤廃によつて増産の意欲を満たすために、場合によつて硫安を過肥して稲熱病を起したというような実際もあつたようであります。現在のところでは生産が二百万トンということであれば、先ほど結論的に申し上げた通りで十分だと考えております。
  17. 今澄勇

    今澄委員 最近の肥料値上りやあるいは肥料農家庭先渡し問題等については、少くとも肥料配給公団を廃止した後の現在の配給機構の土に問題があるのではないか、すなわち問屋その他の思惑買いだめ、あるいは最近の非常に景気のよい一部特需産業部面においては将来の値上りを見込んで肥料買いだめをやりつつあるやにわれわれは聞いておるのであるが、少くともメーカー工場合に庫を見ると、ほとんど在庫は拂われておる、メーカー値段は御承知のように大体わかつておるものである。しかもそれが工場在庫を拂われておるにもかかわらず、そのように肥料値段が高いし、農家の不平が出るということは、これひとえに肥料配給公団を急激に廃止したけれども配給縦桁が今日まで何ら整備されておらない点にそれらの問題の根本原因があるというように思うが、農林政務次官の御見解並びに最近の肥料思惑についてのあなた方の材料がございましたら御報告を願いたいと思います。
  18. 島村軍次

    島村政府委員 最近の情勢お話通りであると思いますが、この原因についてはいろいろ考えられると思います。第一は国際情勢の変化に伴つて燐酸硫酸カリ輸入の減退があるのじやないかというような考え方一つと、これは直接国内産の硫酸アンモニア窒素肥料には関係のないことでありますが、一面昨年末の輸出上が多少刺激を與えて、先ほど申し上げたような農家自身の買いあさりとなつたようであります。最近の価格の騰貴は、お話通りで、一応公団廃止後において農業関係団体、全国では購買連合会が主としてこれを扱う体制を整えて参つたのであります。しかしそれ以外に肥料商方々が地方でも相当貰い込みをするということのために、いわゆる自由競争時代に入つたという考え方肥料値段の点に影響したことも事実であると思います。農林省としては主として農家団体である協同組合系統に扱わせるために、いろいろ指導もいたしておりますが、何分資金的にも不十分であつたし、相当体制を整えてたしか統制撤廃後においては六割程度のものを公団扱つたというような実績になつておると思います。そこで需給調節をはかり、価格高騰を紡ぐ点から申しますと、公団手持ち肥料を適当な時期に放出することが現在としては一番に考えられなければならぬ問題であると思います。関係省協議の上でその放出については時期を握れないように措置を構じつつあります。しかしお話のように必ずしもそれが十分の目的を達成していないと思いますが、今後においてもこれらに関しては十分な措置を講じたいと思います。その十分な措置とは適当の時期に放出するという以外にいろいろ指導的な部分もあろうと思いますが、現在のところでは朝鮮事変の問題がどうあろうとも、国内窒素質肥料においては一—七までの間にはそう不足はないのだということを農家自身が直接に知ることそれ自身も、相当有力な価格調節になるのではないか、われわれはさように考えて、農民団体指導にも当つておるようなわけであります。
  19. 今澄勇

    今澄委員 今のお話を承つて、この前当委員会において農林政務次官が述べられた御見解から、大分肥料需給について現実の状況を把握されておるように私は思うのです。今の通産省方々見解とあなたの答弁を総合すると、結局は日本農業政策の中で、わが国農業生産物値段並びにそれらのものの一切のフアクターを肥料の上に転嫁する。安い米価については、原価計算の中の肥料というものの要素は重大なものであるから結局肥料の値を安くする。一国の農業政策の上で肥料だけに重点を置いて、肥料が安くさえあれば採算がとれるのだということになると、今度は肥料工場コストに及ぶわけであります。それにはその国の経済の現状から割出したところの採算コストというものがある。しかるにその採算コストを無視して肥料低廉供給をやろうということは、根本にさかのぼれば、農業政策の中における他のいろいろの要素を取上げて解決することなしに、農業政策無為無策肥料の安い値段で解決しようという政府方針にあるのではないかと受取れる、さすれば肥料配給公団の上に立つた正確な配給以外にそういつた農業政策一貫性がないにかかわらず、肥料配給公団というものを廃止して、今日のような混乱を起した責任は、あげて農林当局肥料行政の上にあるべきものであると私は思うが、これに対して農林政務次官の御見解を承つておきたい。
  20. 島村軍次

    島村政府委員 前回あなたの御質問に対してたしか私もお答えしたと記憶いたしております。本来ならば肥料統制をはずすときに、今日のような事態のあることもある程度まで考えて、何らか根本的の手を打つべきであつたのではなかろうかと思います。しかしこれは諸般の情勢はそこまで行つていなかつたようでありますので、つまり今の段階では、なるべく公団手持ち肥料を多く持つて、それによつて七割アツプの一時の高騰を紡ぐという処置がとられて来たのであろうと思います。今後の農業政策の問題と肥料統制との矛盾というお話でありますが、私は矛盾はないと思います。何となれば米価の決定その他に対しましても肥料価格を織り込んで考えていることは当然でありますし、また農業政策全体から申しますと、肥料工場コストを引下げて、合理的生産によつてなるべく低廉な肥料生産していただくことは、これは国策としても当然考えるべきであると思うのであります。そういう点についてはわれわれの意見は必ずしも通産省と異つていないと思うのであります。しかして農業生産部面からさようなできるだけ低廉な肥料供給して、同時に農林政策としては、この窒素質肥料合理的施與ということをあわせて行うことによつて、初めて農林行政全体の考え方が一貫すべきものであると考えておりますし、またさような点で今日までやつてつておるのであることを御了承願いたい。
  21. 今澄勇

    今澄委員 私は今の窒素質肥料の三百万トンの生産ができれば、昭和十六年度当時の需給から見ても、今日国内需要を十分まかなつてなお余力があると思う。それらの余力については先般GHQのメモランダムも出ておるが、輸出にこれを充てて、日本肥料増大をはからなければならない。その肥料増大には電力割当等その他関連産業との問題があつて、これ以上にはやつて行けない。さすればおのずから国内需給国際情勢中心にこの肥料の値が上るだろう。この肥料値上りを食いとめる一つの道は、まずもつてマス。プロ以外にないと私は考えます。農林省当局としても、少くとも肥料生産の上に電力なりあるいは石炭なりその他の材料を重点的に供給し、こういう巧妙な政府考え方を応援し、極力これを推進するというふうな御意思がおありかどうか、この点をお聞きしたい。
  22. 島村軍次

    島村政府委員 国内生産を増強して、余裕があれば輸出にまわし得るのでありまして、お話通り農林省といたしましても極力肥料の合理化をはかり、かつ消費資材——消費電力その他をできるだけ肥料にまわしていただきまして、この上の増産を望むことに関しては御意見の通りであります。
  23. 今澄勇

    今澄委員 本日委員会にかけた肥料増産決議案の文面を見てみると、この中に最近の肥料事情云々というのがありまして、非常に価格の面において買いだめあるいはその他いろいろ業者の問題があります。一部業者の投機的買いだめ、売惜しみ等というこの問題は、現在の肥料工場をつぶさにわれわれが調査したその在庫ストツクから見ても、これは肥料生産業着にあらずして、肥料配給業者か、あるいはその他の配給部面を担当しておるものか、一部遊金をかかえておる節の思惑であろうと私は考えるのであります。これらに対する農林省の取締りなりあるいは方途がありましたならば、お聞かせを願いたい。
  24. 藤田巖

    ○藤田政府委員 御承知通り、先ほど政務次官からも述べられましたけれども、二十五肥料年度におきましても、需給推算から見れば、需要を満たすだけの数量は確実に確保され、生産計画より上まわつておる状況でありますけれども、先ほどいろいろ御意見の出ておりますように、その後の思惑あるいは一般の傾向からいたしまして、品がすれになつておる部分があり、またバランスがとれていないと考えておる。それでいわゆる一部売惜しみをしたりするような配給機関についての取締りの点について、農林省はどうする意向があるかというふうな御意見であろうと思いますが、私は率直に申しますと、肥料のようなたくさんの製造業者があり、しかもまた一方消費者としてはたくさんの農家がある、こういうふうな商品について、單に法律上の取締りというふうなことでは、これはなかなかその効果が上らないことは、これまでやつて来た前例からもはつきりしておると思います。率直に意見を申し上げますならば、肥料のごときものについては完全にこれを統制するか、しからずんばやはり自由にする。そうしてしかも生産を増す。生産が非常に増加することが私は根本だと思う。不足なものをいかにうまく法規その他の制度で割当しようといたしましても、そのときどきの経済事情からなかなかそううまくは参らぬのであります。従つてやはり基礎は生産を増強する。生産を増強してしかもコストを下げるのが私どもとしては根本だと思う。それからまた單なる形式的な操作ではなく、やるならばやはり現物を持つて、その現物の操作によつてこれをやることが、実効を上げるゆえんではないかと私どもは思う。従つてこういうふうな問題については非常に愼重に研究を要する部面がたくさんあろうかと思います。現在いろいろ研究いたしております。
  25. 今澄勇

    今澄委員 今の農政局長答弁は非常に重要な点を含んでおつて、私も同感であります。そこで肥料増産して自由販売にするか、あるいはそれができなければ徹底的な統制をいたすか。将来の日本肥料増産の上に、さつき通産政務次官が言つたような、電力あるいはハイライト、石炭その他の数々の関連産業によつて規制されるものがあるとしても、その増産というものは一定の計画以外には行けないということになれば、輸出問題を考えるときに、東亜市場日本自立経済の上に握るということは、将来の日本民族独立のために重大な問題であつて、この際等閑にできない。国内における肥料配給もこれまた重大な問題であつて、等閑にできない。この二つの問題を考えるとき、肥料配給公団の廃止は時期尚早であつて、少くとも今後こういつた通産次官の御答弁のような情努のできぬ限り、肥料は将来徹底的な統制というか、そういつたものでなくとも、何か需給調整の方式をもつて進まなければ、東亜市場確保国内需要確保という点において確信が得られないように思いますが、農林政務次官の将来の肥料統制の問題、あるいはそれに関係した問題に対しての率直な御見解をこの際承りたいと思います。
  26. 島村軍次

    島村政府委員 前回もたしか、お答えを申し上げたと思いますが、農林省といたしましては、価格の変動で農家経済に惡影響を及ぼすものに対してはなるべくさようなことのないようにいたしたい、かような念願から、需給調節の方法をぜひとも政府として取上げてもらいたいという考えを持つて、いろいろ今案を考慮いたしております。まだ成案に至つておりませんけれども、さような考えを持つておるということを申し上げたいと思います。
  27. 今澄勇

    今澄委員 農林当局肥料配給部面に対するいろいろな施策というものは、一つの目標と合理的な基礎の上に立つておらないということが、今日の肥料問題が紛糾する最大原因であるということを、今の答弁で確認をいたしました。だからもし当面それらの肥料の自給の方策もできない、それから輸出輸入についての基礎的な数字に立つた計画もむずかしい。莫然と輸出はだめだ。輸出すれば国内肥料不足するという考え方から、素朴な農民感情の上に立つた反対論が国会を動かして日本の重要なる基礎産業の将来における自立経済へ大きな惡影響を及ぼすということは遺憾であると思います。少くともこれらの点について農林省は十分啓蒙されるとともに、そういつた計画の上に立つた肥料値段でなく、めちやくちやに需給を強圧してつくり出した低肥料価格——需給関係を押えて安く提供すれば、これは肥料産業の荒廃である。いわゆる肥料産業の設備の改修、新設、将来に備える技術の研究等において、大きく諸外国に引き離されるから、結論としては東亜市場を放棄し、日本の農民が高い肥料を将来買わなければならない、こういう結論になると私は思うのであります。  そこで抑圧、農林両省においてはこれらの肥料問題の根本を十分認識されて、重化学工業の中のアンモニア系統の将来の肥料というものは、国際的にも国内的にも日本自立経済の大きな支柱であることを確認いたしておるわけでありますから、十分これらの点について御努力、御戒心を願うように希望してこの問題は打切ります。  もう一つ輸出の問題でございますが、今年度の香港向け七千六百トンというものが一応御破算になつて、このわくは現在放棄されておるのか。この輸出つてはいどういうふうな措置を講ぜられる趣であるか、通産省の方にお伺いしたいと思います。
  28. 長村貞一

    長村政府委員 輸出の問題につきましては、先般も申し上げましたように、昨年末安本におきまして供給需要とをにらみ合せまして、一つの見込みをつけて輸出の可能限度を推定したわけであります。ただいま御指摘の香港向けのものもその一部であるわけであります。私どもといたしましては、当時の需給推算から申しまするならば、いずれにしてもその程度のものは輸出いたしましても、内地需要を充足するにいささかも欠くるところはないと存じておつたわけであります。この状態は先ほど御説明申し上げましたところによりましても、その後の生産状況から見ても当然かわらぬわけであります。従いまして香港に予定しておりましたものが諸般の事情から輸出しがたいことに相なりましたならば、すでに定められておる限度内におきましては、これを非常に希望しておりまする他の地域に振り向けるようなことをいたしたらどうか、かような見地で今検討を進めておるわけであります。
  29. 今澄勇

    今澄委員 今の七千六百トンの問題についても、いろいろ議論がされておるようであるが、そういつた需給計画の上に立つてできた数字であるならば、これは化学局長の答弁通り処置さるべきのであるとわれわれ通産委員として思いますので、これも質問を打切ります。  残つた問題は、現在の電力を除いて肥料のネツクとしては硫化鉱がございます。これが非常に統制廃止の意見が出ているにもかかわらず、肥料は急激に統制を解除され、徹底的な自由販売でなければいかぬと農政局長が言われておるようになつて来たが、この硫化鉱だけはそういうふうにならない理由と、最近の硫黄の不足に対する通産省としての対策並びに将来の見通上についてお聞かせ願いたいと思います。
  30. 首藤新八

    首藤政府委員 肥料増産を促進させるためには、どうしても硫化鉱増産を絶対的條件とするのでございます。しかしながら今日までの情勢から見ますると、大体肥料増産とマツチしまして硫化鉱増産が行われておりまするから、硫化鉱不足によつて肥料生産が抑制されたという事実はないのであります。しかしながら昨年もプール計算を一応撤廃いたしまして、それまでにあつた一部の脇路は実は打開したのでありますが、根本的にはやはり硫化鉱統制撤廃いたして、自由に各公団の意欲をできるだけ発揮させたいという気持を持ちまして、関係筋に対しては極力統制撤廃を要請いたしておるのであります。いろいろの事情からまだ了解を得ていないのでありますが、しかし今後といえども引続いて統制撤廃の問題につきましてはあらゆる努力を拂つて、できる限り早期に統制撤廃のところまで持つて行きたい、かように考えておるのであります。
  31. 今澄勇

    今澄委員 一応概略の質問はいたしましたが、ただ硫化鉱の問題については、統制撤廃だけが硫化鉄に対する対策ではない。統制撤廃をすれば硫化鉱はうんと出るかというと、私はそうじやないと思う。鉱業課長が見えておられるようですが、少くとも硫化鉱の今後の増産対策と、それから硫黄の産業需要に対する見通しについて、係の課長さんからもう少し詳しく資料があれば御説明願いたいと思います。
  32. 手塚保明

    ○手塚説明員 私からお答え申し上げます。ただいま御質問のございました、今後の増産に対してどういう方策をとるかということでございますが、これは先ほど政務次官から御説明されましたように、まず中途半端を統制ははずして行こう、そうしてかねてから業者も希望いたしておるところの自由なあり方において増産をやりたい、こういうことで、すでに御承知のように硫化鉱終戰後長足な増産をいたしまして、これは昭和三十一年に比べましても三倍強の増産をいたしておる。当時月に五万トン程度出るか出ないかでずいぶんもんだのでありますが、現在十八万トンの線に達しておる。これは需要の面から申しますと、先ほど肥料部長、化学局長から御説明ございましたように、もし窒素肥料二百万トン必要という場合におきまして、私どもは一応来年度百七十万トンの硫定が必要である、このほか過燐酸が百五十万トン、それに工業用の硫酸が八十万トン、これだけいるといたしましてこれに要する硫酸の総量が三百七十五万トンいるわけであります。これに御承知のように今までむだに捨てられておりましたところの製錬所の排ガスの回收を最近極力やつております。これは二十五年度におきましても、見返り資金を大幅に出していただきまして、佐賀関並びに日立の硫酸工場もすでに先月完成いたしまして副成硫酸を大幅に生産する態勢を整えました。この結果来年度は三十万トンの副成硫酸が出まして、これを引きますと三百四十五万トンの硫酸があればいい。これに要する硫化鉱は三百十二万トンになる。これに対しましてただいまでも月に十八万トンは出ておりまして、このピツチをそのまま続けて行きましても、これを上まわる二百十六万トンは出るというような状態になつおります。しかしながら鉱山関係におきましては、先ほどからもるる御説明のありましたように、單に国内の自給だけでなく、さらに輸出するという面から行きまして、この際鉱山側といたしましはこれらの諸般の統制その他の隘路を拂拭いたしますれば、来年は二百二十九万トンまで出そうという強い決意を持つております。この点におきまして大幅な増産計画をいたしたわけでありますが、各位の御協力をまつてこの線に到達いたしたいと思います。ただいま申し上げましたように、單に鉱山の増産ばかりでなく、今まですたれていた資源を活用することの点におきまして、さらになお排煙硫酸の設備といたしまして、目下安中の硫酸工場もつくつておるというような状態でございます。この点お含み置きを願います。  次に硫黄の問題でございますが、この問題は化学繊維関係の大幅なる増産関係いたしまして、最近需要がとみに増しておるわけであります。これは終戰以後ずつと引続き常に不足の状態を示しておりまして、この面につきましては、硫化鉱ほど大きな問題が今まで表には出ておりませんが、内実においてはむしろそれ以上に苦しい状態がしばしばあつた考えております。これは御承知のように昭和十九年に、当時の政府の命令によりまして、硫黄の鉱山を九鉱山を残して、あと全部廃止いたしてしまいました。これは当時御承知のように硫黄の鉱山と申しますのは、大概不便な地域にございます。従つてこれには索道もいり、かつまたその精錬に要する多量の銑鉄その他の供給ができないということから、やむを得ずこれらの供給を断つ、そのかわりただ殺したのでは気の毒だというので、それを整理して国家が補償したのであります。さようなわけで、多数ございました、鉱山をつぶしてしまいまして、わずか九鉱山にいたしました。そのために過去においてマキシマム年間一十四万トン出しましたのが非常に下つて来まして、三万トン程度になつてしまつたという状態で、ございました。そこで終戰後極力これの復活をはかつたのでありまするが、何にいたしましても硫黄鉱山と申しますのはいわゆる大鉱山会社がやつておらない。それから非常に不便な所にあつて、住宅から索道からすべての設備をつくらなければならない、こういうようなことで資金的にもなかなか自由に行かない。しかしながら逐次増産をいたしまして、現在では月に九千トン程度のところまで行つておりました。本年度は十万トンは出し得るという見込みでございますが、なお明年度におきましてはこれを三割増産して、少くとも十三万トンは出すということで、極力当局といたしましてはその手を打つております。できますことならば見返り資金もこれに入れたいということで、来年度の見返り資金も全部ではございませんが、一鉱山を一応省内では認めていただいておるという状況でございます。その点お含み置きを願います。
  33. 今澄勇

    今澄委員 大体今の硫化鉱並びに硫黄の問題——硫黄の問題はさらに堀り下げて重大な問題であると思いますが、本日は直接肥料の問題になつておりますので、またの機会に譲るといたしまして、大体私の決議案関係した肥料の質問は終りました。  最後に私は結論としては、そういうことであるならば、この決議案は本委員会において決議するのはもうおそきに失するくらいなものであると思うのであります。特にこの中で、ここに業者とうたつてあるが、私は最近の肥料産業労働組合から出た資料を見ても、全国合成化学工業労働組合から出た資料を見ても、現在肥料産業自体がかけ引をして価格をつくり上げておる点は全然ございません。これは少くとも在庫料によつても明らかである。われわれは中間配給業者の思惑なり何なりという点を、この決議案においてもいま少しく明確にする必要があると考えるものであります。これらのいろいろな問題を突き詰めてみて肥料生産行政的な主管官庁の問題については、先般この委員会において私が農林政務次官にお伺いをしたときにいただいた答弁を今日でもなお私は覚えておるのでありまするか、その後のこういつた肥料情勢の推移から考えて、大体行政管理庁の新しい行政機構の研究が進んでおるようでありますが、もう一ぺん農林政務次官から肥料行政についてあなたの考えておられる考え方がその後かわつておるのか、それともそのまま農林省で一元的におやりになりたいとお考えになつておるのであるか、お伺いをしておきます。
  34. 島村軍次

    島村政府委員 農林省考え方にはかわりはございませんが、いろいろ折衝を趣めておりまするけれども、まだ結論的に出ておりませんので、なお研究を進めた上で適当な機会に結論を出したい、かように存じております。
  35. 今澄勇

    今澄委員 この問題はまだ結論が出ておらないが、この前の考え方はかわつておらないという答弁で、しごくはつきりしませんが、少くとも私ども農林委員会とも合同審査をいたし、あるいは肥料の問題については農林委員会とも打合せて、本会議の決議といたしたいと考えております。その根本的な考え方は、まずこの決議案にうたわれておる関連産業との問題もあるが、もう一つ私は、消費者がすべてその生産物の生産を管理しなければおさまらないという考え方は、産業に対する大きな反逆であると思う。国民全体が米を消費する、されば厚生省が農業生産行政をも握りたいという考え方とも似ておるのであつて消費者がすでに一切の生産を握らなければ済まないという考え方は、一つのセクシヨナリズムであり、一つのとらわれた考え方であり、ことに硫化工業のごとく国連産業の多い部面においては、私どもはこれは問題にならない考え方であると思いますが、もう一ぺん重ねて農林政務次官に伺いたい。農林省としてはやはり肥料農林省が一元的にやりたい、かように考えておられるのかどうか、内閣全体の見通しとしては、これは行政審議会においてどうあるべきかというふうに結論がつきそうなのか、その点あわせてもう一度御答弁願いたい。
  36. 島村軍次

    島村政府委員 農林省といたしましては、消費者の立場からということでなくして、過去の歴史なり、あるいはまた生産部面についても、別に農林省の所管になつたということで不都合はないという前提のもとで考えておるのでございますが、しかしこの問題については謙虚な気持で研究も進めておりますし、また話合いをする点に対しましては、なお十分お互いに納得の行くような検討を進めてみなければならぬと考えておりますので、この程度でお許しを願いたいと思います。
  37. 今澄勇

    今澄委員 了承いたしました。この問題についてはこの程度で打切ります。私は最後に本決議案委員長においてはひとつ採択せられて、本委員会決議案とされることを希望するとともに、なお農林委員会も折衝の上、これらのアンモンニア系統の硫化工業の、日本におけるほんとうの基礎的な問題であり、国内自給の原料である肥料増産決議については、衆議院の農林委員会とも会議の上、これを本会議にのせて、全院の決議案として強力に化学工業行政の推進に当られるよう切望して、私の質問を終ります。
  38. 小金義照

    小金委員長 承知いたしました。次は風早八十二君。
  39. 風早八十二

    ○風早委員 この決議案政府のものでなく、われわれ通産委員会としての共同の決議案になるわけであります。その意味で小委員会においてこれを作成されたものだと思うのであります。従つて直接この決議に参加するかしないかという問題を前にいたしまして、私は小委員長に若干の質問をしてみたいと思います。  まず第一点といたしまして、これは先ほど今澄君も出された問題でありますが、この化学肥料生産根本的な考え方はどこにあるのか。今澄君の主張を要約すれば、農業用の肥料を潤沢にするということよりも、むしろ輸出第一主義というか、單なる輸出というわけではないでしようが、これで外貨を獲得し、さらに日本の全体の経済再建に資するという意味を主としておられるように私は受取つたのであります。しかし私の考え方としては、これは現在の輸出の行先、あるいはまたそれによつて得た外貨によりましてその他の生産をやる、その生産の内容を具体的に検討いたしました結果、現在何といつても一番大事なことは、農業用の肥料をいかにして確保するかという点ではなかろうかと思う。この決議案にはその二つが——最初に食糧自給度の向上ということを強くうたつて護るわけでありますが。とにかく両方出してある。しかしながらもちろん両方とも満足させ得るような、それだけどんどん無制限に増産ができるならばそれは問題ではありません。しかしながら電力需給問題もあり、なかなかそこに制約があるわけです。その制約の中ではたしていずれに重点が置かれておるか、この点について提案者たる小委員長に御見解を承つておきたいと思います。
  40. 中村純一

    中村(純)委員 今読み上げました決議案におきましてはかように述べておる。すなわち「国内需要を充足した余力を以て之が輸出を行ふことは我国経済自立の達成上からも望ましい」、かように述べておるのでありまして、ただいまお尋ねの点は、むろん国内需要を充足することが第一義であると私は考えております。しかしながらもし幸いにいたしまして、肥料増産がどんどん順調に伸びて参りました場合におきましては、あるいは分量的に見ますると輸出の方が多くなるというような数字になるかもしれません。しかしここに申し上げておりますることは、やはり国内需要の充足が主である、かように考えておるわけであります。
  41. 風早八十二

    ○風早委員 今の小委員長の御説明はまことに同感でありまして、まさに農業用の肥料確保が先決問題であるということは私ども銘記しておきたいと思います。しかるに実際を見ますと、肥料が絶対的に不足いたしておる場合にはもちろんでありまするが、その場合に初めて農業用の肥料不足するというのではなくして、実際には肥料が余つておりましても、なかなか農民の手には渡つておらない。これは農政局長もよく御承知と思います。そういう状態で肥料増産々々といつてみましても、これは余つておるということよりむしろ——それは先ほどの小委員長の趣旨ははつきりしておると思いますが、しかしながら実際には趣旨に反して、余らない分までも輸出に振り向けるような傾向が起らないとは限らないわけです。実際に農業用の肥料確保するという点で、先ほどからも、いろいろな形で御答弁はあつたようだが、しかしながら余つてつても、実際に農民の手に渡らないという点についてどういうふうにしてやつて行くか。これがいかに大切であるかということは、外貨獲得という点からいいましても、先ほど今澄君が言つておられるが肥料をどんどん増産し、どんどん輸出すること、そうして外貨を獲得してこれでやるといつても、片方食糧の方がお留守になつてしまう、今食糧輸入の問題が大問題になつておる。その場合においてこれはまつたく主客転倒というか、むしろ農業増産には肥料に主力を注いで、国内の自給度を高めるとここにうたつてある、この考え方を実際貫くためにはどうしたらよろしいか、こういう点で農政局長に明快な御答弁を願いたい。
  42. 藤田巖

    ○藤田政府委員 本来自由にはずされました肥料を、数量的には足りておりながらこれをどうしてうまく配るかという問題は、私はやはり先ほど申しましたように、一方増産するかたわら、需給事情農家によく徹底せしめて、そして思惑によつて非常に買急ぎをしたり、また各農家がわれわれ勝ちに手当をするというようなことのないように、つまり肥料事情は安定しているのだからということの認識をよく高めて、いたずらに農家が思惑買いをするとか、あるいは買急ぐというようなことをみなしないで済むようにすることが根本だと思う。  それからもう一つは、現在は制度は何もないのであるから、結局公団が持つておりますところの手持肥料をできる限り有効に放出をいたしまして、それによつて、少くとも足りているということをよく知らせると同時に、最も不足している面にこれを流すことによつてつて行きますならば、その事情がだんだんわかり、やがて四月、五月の施肥期になつて——おそらくこれは施肥の時期が来れば出て来るであろうと思います。そういうことによつてつて行く以外に方法はないと思います。今後の問題といたしましては、先ほど申しましたように、現物を把握いたしましての何らかの措置考えることが適当かと思います。
  43. 風早八十二

    ○風早委員 今のお話では、依然としてやはり農家そのものに責任を転嫁される考え方がまだこびりついておるのじやないかと思う。農家に安定しておるということを徹底させるといいますけれども、そのもともとの需給が安定しおらないのです。もともとの需給が安定してない。安心していようとしても、また先行きに対して安定感を得ようとしても、安定することができないような需給関係になつておる。私はむしろ遡つて、最近の需給混乱原因は一体どこにあるのか、ただ單に公団手持ち肥料配給関係が、放出上の非常な手落ちがあつたために混乱があつたというような問題ではなかつたと思います。根本は、日本肥料生産が何ものかによつて左右せられる。都合のよいときにはアメリカから高い硝安でも硫案でもどんどん入つて来る。そして日本生産が押えられる。またアメリカの方が今度は軍需転換で、さつぱり入つて来なくなる、というよりも、むしろアメリカからまわしておる地域へもまわすことができなくなると、今度は日本にそれをおつかぶして来るということになりますから、いつでも外から左右されて、それによつて動かされるというようなことをやつておるから、安定なんかがありつこない。そういう点で、今後一体どういうふうにお考えであるか。
  44. 藤田巖

    ○藤田政府委員 問題になつておりますのが主として窒素質肥料考えまして、御答弁をいたしております。従いまして、たとえば外国に原料を仰がなければならぬところの過燐酸石灰、あるいはまたその全部が海外に依存しておりますカリの問題は、これは別でございます。ただ窒素質肥料につきましては、少くとも国内生産を増強することによつて海外から入れないで十分にやつて行けると私ども考える。従つてそういう方面にますます国内生産の増強をはかつて行くということが必要であろう。それで、最近なぜこういう事態になつたかということは、本肥料委員会決議にも出ており、またたびたびの御質問等で明らかでありますように、物は足りておるけれども、たとえば海外での需要が非常に旺盛であるとか、あるいは一般のものが上つておるとか、つまり先行きの非常に強い含みが極度に反映し、それに自由になつておりますから、配給業者が自由にたくさん出て来た、これを阻止する方法がございませんために、そこにいろいろの思惑等が入ると思う。値段も実際あるべき価格よりも高くなつて来ている、そういう現状であろうと考えております。
  45. 首藤新八

    首藤政府委員 ただいま風早委員から、アメリカの操作によつて日本硫安市況が波瀾を起しておるということを言われましたが、これはまつたく根拠のない風早委員だけの想像でありまして、事実とまつたく相違しておるのであります。なるほど過去におきましてはアメリカから硫安輸入をいたしましたが、これは内地生産需要にマツチしない、しかも食糧増産が緊急である、どうしてもこれだけの肥料確保しなければならぬが、内地生産がこれに伴わないということから、その不足分だけを輸入したのでありまして、昨年来内地生産が十二分に需要を充足するという態勢になりましたから、輸入は当然必要ないというところからやめたにすぎないのであります。そこで、最近の市況の波瀾といいますか、上昇といいますか、いろいろ御意見があり、また一部の不良商が思惑的に買つたということも大きな原因かと考えますけれども、それよりもわれわれの見るところによりますと、昨年の肥料統制撤廃した当時における内地需給予想数字、それは大体内地硫安消費を百七十万トンという仮定をつくりまして、そしてそれに対して十二分に供給があるという想像のもとに統制撤廃したのであります。そこでこの百七十万トンの需要の想定をした根拠は、要するに公団が長い間肥料配給をやつてつた。その公団の販売量から推定して、大体百七十万程度でよいのじやないかというふうに決定したものであろうと想像しておるのであります。ところが御承知のように自由経済になりました結果、戰前全国に何千とあつたところの肥料の問屋がここに来て全部が復帰したのであります。要するに戰前肥料屋が、統制によつてつたく閉店の余儀なきに至つてつたものが、いよいよ統制が解除になつたもので、この機会にというので、昔の商売に復帰した。そうして問屋が復帰するに従つて、どうしても商売上相当数量のものを庭先に確保しておかなければならぬ。これが私はその後における需給予想に大きな狂いを生じた一番大きな原困だと思うのであります。かりに一つの問屋が五十俵手持ちいたしましても、その数量なるものは相当大きな数字であります。しかもその後海外からの引合いが来たというようなことで、精神的に肥料が高くなりはしないかといつたときに、問屋の方の手持ちが相当大量に消化された、ここで需給バランス予想と大きな狂いを生じた。従つてそれがその当時における市況を硬化した一番大きな原因ではないか。しかもその後においていわゆる国際物価が非常に上昇して参つた従つて肥料だけ安いはずはないといつたような、また精神的の一つの思惑でありますが、これらも手伝つて、そして十俵買うところは三十俵、あるいは五十俵買つても損じやないというような仮需要がふえたことによつて一層需給バランスが狂つてつた。そして市況が硬化したという結論に到達しておると考えられるのであります。むろんほかにもいろいろの條件がありましようけれども、こういう点が、一番大きな原因ではないか。そこで、しからば一体将来はどうなるかという点でありますが、結局これらの仮需要は限度がある。そう全国の問屋が、相場が高いからといつて量を次から次へふやして行けるものではないのであります。これらの需要には一定の限度がありますから、現在は少高くなつておりますけれども、大体これらの仮、需要も一段落したのじやないか。しかも一方においては漸次増産が行われておる。かりに今後も若干の仮需要があつても、十分にそれらの需要に応じ得る態勢にあるのでありますから、この供給不足という方面における肥料価格の上昇というものは大体峠を越しておるのではないか。ただ国際価格が引続き高い関係上、これが精神的に、肥料も高くなりはしないかという思惑買いが若干なお続くかもしれませんが、しかしもう大したことはないのじやないか。それより一方には増産がどんどん実現いたしますれば、十二分にこれをカバーし得るであろう、かようにわれわれは考えておるのであります。
  46. 風早八十二

    ○風早委員 今首藤次官の御答弁の中で、アメリカの市場によつて日本肥料生産操作されておるという点につきまして、それは私一個の見解だと言われましたが、これは決してそうではなくして、明らかに客観的な事実を言つただけなんです。あなたは先ほどそれは需給がアンバランスであるときには入れたと言われますが、しかしながら先ほど農政局長の言によりましても、十分に今日のこの生産水準をもつてしましても、りつぱに国内でその原材料をまかなうことができる。そういう前提である。しかももう一つの前提は、これは配給から価格からすべて統制下にあつた。そういう統制力を政府が一応持たされた。そのときにおいてどうして需給のアンバランスを生ぜしめ、莫大なる硫安、特に硝安を輸入したか、これによつて日本硫安事情を人為的に他律的に攪乱しておる。価格をまた切下げておる。そういうようなことはこれは客観的な事実なんです。そういう事実に基いて私は言つておるのでありまして、一方的な見解でも何でもない。こういう点に目をおおうところに問題がある。率直に日本増産日本の平和と独立という見地に立たれるならば、何も言うことはない。はつきり日本食糧増産をどんどんやるための肥料確保して、そのために必要なあらゆる操作政府はやれた。やれた時代にどんどんと外国から入れて攪乱する。今度入らなくなつて極力輸出もしなければならなくなつたという新しい事実がある。それは決して日本国内事情じやありません。その事実を私は言つておるわけです。  そういう点に根本的な問題があるのでありまして、この輸出という点について特に私がここに注目を引きたいのは、九万二千トンの輸出の問題でありますが、これなんかも台湾、沖繩、ハワイ、こういうようなところへ出しておるわけでありまして、ことにハワイには尿素三千トン出しておる。こういうふうな点を見ましても、やはり輸出の仕向け先というものが非常な問題になる。これも明らかに一つの方向を持つた取引先に対してのみ輸出が行われる。私はこの際念のために通産次官にはつきりお答えを願いたいことがある。それは輸出々々と言われるが、今後その行先はどちらであり、どういう用途のものであるか。
  47. 首藤新八

    首藤政府委員 過去におけるアメリカからの輸入が人為的に行われたという風早委員のお説でありますが、これはまつたく事実と相違しておるのでありまして、先ほども申し上げましたごとく、日本生産が伴わなかつたということが最大原因でありまして、やむなく輸入したのであります。現にそのよつて来た原因と申しますと、戰争中肥料の各メーカーが大部分設備は破壊され、さらにまた電力の設備も破壊されまして、その供給力も非常に激減しておつたのであります。しかも食糧が国民経済の第一義的に考えなければならない問題でありますから、肥料増産につきましては、政府は過去五箇年間、最重点方針をとり、資金の面におきましても、巨額な見返り資金その他を融通して、できる限り増産に努めて参つたのであります。現にこの表を見ましても、二十年における、終戰当時の硫安生産はわずかに二十四万三千トンにすぎなかつた石灰窒素は二十七万トンにすぎなかつた。それが二十一年では硫安が四十八万トンになり、二十二年では七十二万トン、二十三年では九十一万トンになり、二十四年で百十九万トン、さらに三十五年では百五十万トン、こういうような驚くべき増産をいたしましたのは、政府が特にこれを最質点産業といたしまして、格段増産施策をとつた結果でありまして、しかもここまで参ることによつて、先ほど申し上げました輸入を必要としないという段階になりましたから、輸入を中止した、むしろ余裕ができたから輸出に振り向けよう、こういうふうな構想のもとに進んで来ておるのであります。  そこでただいまの輸出の問題でありまするが、本年は一応現在のところは九万二千トンに押えてあるのであります。それは先ほども申し上げましたごとく、統制撤廃後におけるところの肥料の市況が予想外に硬化して参つた、そして出家経済に重大なる圧迫を加え、しかも一方では海外から非常な引合いがありますので、メーカーの方では輸出を希望する。メーカーの希望に応じて輸出をいたしますれば、さらに内地の市価が上るおそれがある、そこで一応本年度の需給数字を慎重に検討いたしまして、そして各メーカー増産と相まつて九万二千トンくらいの輸出は可能であろうという想定のもとに、一応九万二千トンの輸出を決定しておるのでありまして、それ以上の輸出は現在構想していないのであります。そして九万二千トンのうち、現在五万トンが台湾に出しおりますが、これはいわゆる食糧とのバーターであります。要するに日本食糧をどうしても海外に依存しなければならぬ現状でありますので、できる限り外貨を必要としない食糧確保いたしたい。それには台湾が最も適当である。向うもそれを希望しておるということから、台湾に重点を置いて、そしてこの五万トンの輸出を敢行したわけであります。従つて今後もなおそういう方面に重点を置きまして、輸出をやりたいと考えておりますから、台湾の方の輸出は今後一段とふえる可能性があると思うのであります。しかしそれは少くとも食糧関係のバーターを前提とするというふうに御了解を願いたいと存ずるのであります。同時に先ほどもしばしば申し上げましたが、通産省といたしましては、できる限り増産をいたしたい、そして一台湾に限らず、その他の東亜地域にも輸出をいたしたいという念願を持つておるのでありますけれども、現在のところ最も大きなネツクは電力であります。これの制約を受けますることによつて予想通り増産を上げにくい。従つて目下のところでは、内地需要には十二分にマツチし得るけれども輸出の方へはあまり期待できないという状態にあることをあわせて御了解願つておきたいと存ずるのであります。
  48. 風早八十二

    ○風早委員 今のお尋ねした中で、特に一点に過ぎませんが、大体台湾、沖縄、ハワイ等への行先にしておるということはかわりない。これからますますと言われますが、その他中国及びスターリング地域、オープン・アカウント地域、こういう方面に、特にスターリング地域に対して輸出考え方があり、またその見逆上があるということが言えるかどうか。その点について現在の見通しをひとつ通産次官にお尋ねしたいと思います。
  49. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほども申し上げましたごとく、本年度の需給数字から考えた場合、九万二千トンの輸出が限度でありまして、それ以上は困難ではないかというふうな見通しになつておるのであります。しかし先ほど肥料部長から申し上げました、ごとく、十一月、十二月におきましても、予定以上の増産をしておりまするから、今後内需の市価がこの増産によりまして上昇がとまつたということに相なりますれば、ある程度輸出の方に余裕ができるかもしれない。またぜひともそういう状態に立ち至つてもらいたいという強い念願を実は持つておるのであります。そこでかりにそういう輸出余力ができた場合に、どこに仕向けるかということでありますが、それは先ほど申し上げましたごとく、第一義的にはよく食糧のバーター等を考慮いたしまするが、その他の地域に対しましても、スターリング・ブロツクも当然考慮される、こういう時期があると思うのでありますが、ただ中共に対しましては、現在のところ余裕ができましても困難である、かように考えております。
  50. 風早八十二

    ○風早委員 中共についてはあとで塩の問題についても触れたいと思うのでありますが、日本で最も必要としておる塩についても、最近に、つまり禁止以後にもオツフアーがあるわけでありまして、こういうものに対して日本から何を出すかという一点にかかつておるわけであります。これは決して何も鉄鋼の資材に限つたものではない、肥料もまたそのほか日用雑品でもかまわないわけであります。そういうふうな点で頭から中共との貿易はもう禁止なのだ、こういう前提でやられますと、これは私がさきほど言つたように、あなた自身が他国の経済操作あるいは政治的な操作によつて動かされるということをみずから認めることにならざるを得ないと思うのであります。その点はどうでありますか。
  51. 首藤新八

    首藤政府委員 他国の政治情勢に支配されるという御説でありますが、われわれはまつたく反対な思向を持つておるのでありまして、この際中共にいろいろの物を輸出して、中共の戰力を増強することが日本の将来のためにいいか惡いか、この際経済的には多少マイナスになつても、むしろ中共の戰力を増強しない措置をとることが日本のためである、かような考え方のもとに輸出を禁止しておるのであります。
  52. 風早八十二

    ○風早委員 今の御発言はきわめて重大であります。この前に横尾通産大臣もそれに似たような御思見であつたと思いますが、中共に送る物はどんな日用雑品でもこれが中国の戰力増強になり、日本に来る物はどんな軍需品であつても平和的な目的のものになるのだ、こういうような実に珍奇きわまる御説があつたわけでありますが、今日もまたそれと符節を合する説を承つたわけでありまして、これはきわめて重大だ、少くとも冷静に日本の国民経済、また業者立場、その利益、こういうものを考えた場合におきまして、中日貿易の禁止というものは明らかに重大なる損害を與えておるのだ、またこれらの回復ということにひとしくみな望んでおるのである、そういうものを無視してはこれはやれないことなのです。それがやはり今は損だけれども、結局は得になると言われるその根拠は一体どこにあるのですか。これは今の重大な御発言にかんがみてあらためて承つておきたいと思います。
  53. 首藤新八

    首藤政府委員 先ほど申し上げましたごとく、要するに中国の戰力増強に役立つ物資の輸出を禁止した方が日本の将来のために得である、かような見解からそれらの物資の輸出を禁止いたしておるのであります。
  54. 風早八十二

    ○風早委員 それはあとからはどうにでも言うことはできると思いますが、しかしながらこれはあなた方、次官も含めて、おそらく十二月六日のその当日においては重大なるシヨツクを受けられたことは事実ではないかと私はあえて申したい。たびたびここでも申しておる通り、あの日にとにかくあなた方の本省の課長連中でも朝新聞を見て初めて知つて愕然とした、これではもう通産行政はやれない、将来の日本の貿易の打開の見通しはとうてい立たない、こういうことはひとしくあなた方下僚の諸君が認めておるところです。おそらく次官も、知つておられたか知らないか知らぬが、同感であつたはずだと思うのです。それは今になつてどうにでもりくつは立つかもしれませんが、私は率直にこういう日本の国民の利害の上に立つて、それを守つて行くのが政府の役目であり、特に通産行政の役目であろうと信ずるものでありまして、これはその立場から申しておる次第なのであります。あなたはどんな肥料を出して中国の農村の潤しておるか、また日常の雑品を送つて中国の民衆に利益を與えておるか、それらはすべて戰力増強になつてそしてそれでどうなるというのです。これは初めから中共を日本の敵と考えるその考え方以外の何ものでもない。それを前提にしなければこれは考えられない。そういうことはアメリカにとつては通用するかもしれません。しかも日本の国民にとつては通用しないことなのです。そういうことを日本の国民の実際の利害関係、その気持を無視してやれるというところに私はこのすべての混乱の根源があるということを申し上げたいのです。幸いにこの法議案そのものは、先ほど小委員長の明快な御答弁によりまして、どこまでも肥料生産あるいは化学肥料増産の第一の目標は国内農業肥料確保にある、日本肥料自給度の向上にある、この点をはつきり認められておりますので、私はその意味においてそれに必要であるあらゆる施策を盛つたこの決議案に対してはもちろん賛成の意を表したいと思う。しかしながらしいて私ども根本考え方をさらにつけ加えれば、この全体の決議案にはしんが拔けておると思う。そうでなければ幸いでありますが、私は事実をもつてつておるつもりです。日本経済がたとい占領国であつても、その経済によつて操作せられ、左右せられる、そういう前提のもとではなかなか公団の手持肥料を安定させようといつても安定しつこない、また農民に定定感を持たせようと農政局長は言われますけれども、安定感を持ち得ない。そういう点を今後われわれ委員会としては十分に検討して根本的に是正するという意味において、そういう点をここに織り込んでいただきたいわけでありますが、これらの希望條件を付して私はこの決議案の第一條にある根本の趣旨には全幅の賛意を表しておきたいと思います。
  55. 小金義照

    小金委員長 本件についての御発言の通告はこれにて全部終りました。ほかに御発言はございませんか——御発言がないようでありますから、本件に関する質疑はこれをもつて終りといたします。そこで先ほど工業に関する小委員長中村純一君の朗読せられました化学肥料増産に関する件について御異議は、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます、よつてそのように決しました。     —————————————
  57. 小金義照

    小金委員長 次に塩の問題でありますが、これについて中村委員長から発言を求められております、これを許します、中村純一君。
  58. 中村純一

    中村(純)委員 塩の問題につきましても、前会の本委員会におきまして、小委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申し上げました通り、この問題もわが国ソーダ工業を初めといたしまして、その他の多くのきわめて重要な関連産業の死命を制する根本的な問題でありますがゆえに、小委員会におきましてもきわめてこれを重視いたしまして、この問題につきしても、塩の輸入の促進並びに国内自給体制の強化につきまして、本委員会といたしまして決議をもつてそれぞれ関係方面にこれを申達し、またこれを督励すべきものであるということに決したのでございます。つきましてはこれについてもまた一案を準備いたしておるので朗読をいたしたいと思います。    塩の輸入促進等に関する件   我国の曹達工業は、豊富低廉な地下の岩塩暦に立脚する欧米諸国のそれと異り、原料塩の全部を挙げて海外遠隔の地に依存しなければならないと云う宿命的制約の下に置かれて居る。  従つて原料塩の輸入確保は曹達工業自立のための根本條件であり、若も此点に於て欠くる所あらんか、斯業自体はもとより、広汎多岐に亘る開通産業も亦此一角より終には全面的崩壊を余儀なくせられることとなる。  就ては我国経済再建のため、特に最近の国際情勢上一層要度を加えるに至つた此種産業の使命に鑑み、其必要量を随時それぞれの地域より最も有利に入手出来る様諸般の態勢を常に整備して置かなければならない。 然しながら先般来中共よりの輸入杜絶、欧米諸国の軍備拡張に伴う船腹の競合等による著しい供給逼迫のため、曹達工業及び関連する各種重要産業の前途は頗る憂慮せられて居る。  依つて当面の不足量を緊急補填することはもとより、明年度の生産に要する原料塩の確保をはじめ、食糧塩の充足、更に国際情勢上必要なりと思われる備蓄等合計約二百万トンの輸入を促進することが刻下の急務である。  之が県体策としては、近海塩の獲得を努めるはもとより新供給地の開拓をはじめ、生産地の供給能力に即応する外貨資金の充分なる割当、求償貿易方式の欠陥に対する輸入決済方法の改善、並に輸送船舶の優先確保など此等一連の措置に就てそれぞれ遺憾なきを期す可きである  尚之と同時に、一方に於て国内に於ける自給度を高めるため、生産の増強、操業の合理化に就ても亦一層積極的に努力す可きである。    右決議する。   以上であります。委員長においてよろしくおとりはからいを願います。
  59. 小金義照

    小金委員長 塩の問題に関して発言の通告があります、順次これを許します、玉置實君。
  60. 玉置實

    ○玉置(實)委員 中村委員長のただいまの御朗読によりまして、塩の現在の需給状況から判断をいたしまして、政府におかれましても、また業界におきましても、早急に手を打つべき諸般の事項があろうと思うのでありますが、私は角度をかえまして、原料塩の立場以外の点、つまり食料塩の立場におきまして、数点にわたりまして御当局の御所見を伺いたいと思います。  国内塩の問題につきましては、本決議案におきますると、最後の二行で簡單に片づけられておるような調子でございますが、私といたしましては原料塩と並行いたしまして、国内塩の問題は実にゆるがせになし得ない喫緊の問題だと考える次第であります。いろいろの点があるのでありますが、ごく簡單に要点を要約いたしまして御意見を伺いたいと存じます。  ただいま中村委員長の御朗読なさいました本決議案によりますと、二十六年度におきましては、少くとも備蓄を合せまして三百万トン前後の塩の確保が必要である。われわれとしてもまことに御同感の次第でありますが、最近の国際情勢の激変から判断をいたしますと、内地塩業の重要性と申しますのは非常にその比重度が高まつて来たように考える次第でありますが、現在の国内製塩はどんなに私たちがひいき目に判断をいたしましても、国内需要の全部を満たすことはできないと思いますが、この点につきまして大蔵省なり專売公社当局の御意見を率直に承りたいと思います。
  61. 村岡信勝

    ○村岡説明員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。現在の国内生産設備をもつていたしますと、能力をフルに動かしました場合に、大体六十万トン程度が限界ではないかと考えますが、実際問題としてはいろいろな労働條件とか諸般の要素のために実生産で六十万トンまで参つておりません。大体五十万トン前後がまずまず一ぱいのところじやないかと思つております。特に昨年秋の台風災害のために相当程度の減産を余儀なくされまして、今年度一ぱいの生産量は公社の国営工場も合せまして四十二、三万トン程度がせいぜいのところではないかと思います。
  62. 玉置實

    ○玉置(實)委員 ただいまの御所見によりますと大体七割から八割程度の自給度があるようでありますが、昭和二十三年以降岩塩の輸入が比較的順調でございましたので、私はそれに反比例をいたしまして国内塩業が外塩圧迫に対して比較的措置をとらなかつたためであろうと考えられるいろいろな現象があります。たとえて申しますと、製塩の買收価格の点あるいは石炭の入手の点において政府措置が非常暖漫であつた。こういういろいろの点から判断をいたしまして、二十三年度においても、二十四年度においても、私はおそらく公社あるいは大蔵省の御計画なつ生産目標からはるかに下まわつてつたと思いますが、最近ようやくその生産実績をあげて参つたことは御同慶にたえないのでありますが、どうも政府御当局の内地塩業の施策を再見いたしておりますと、何となく私は近視眼的な趣が多分にあると思うのであります。最近の国際情勢の激変から、特に船腹の問題、あるいは船賃の問題、こういう点から判断をいたしまして、岩塩の輸入が非常に困難を告げるであろう、その結果岩塩の転入の困難が内地塩の生産促進へと向つて来た、こういうふうに判断をいたすのでありますが、公社といたしまして、あるいは大蔵省といたしまして、一体内地塩業の根本施策についてどういうようなお考えを持つておられるか、はたして国際情勢がとどの詰まり激変をして食料塩さえもまかない得ないという窮極の状態に立ち至りました場合、どういうような打開策をお持ちであるか、ひとつざつくばらんな御所見を承りたいと思います。
  63. 村岡信勝

    ○村岡説明員 ただいまの玉置さんのお話通りでありまして、最惡の事態を予想いたしますれば、国内生産の増強の問題はきわめて深刻な問題と相なります。すでに昨年もこの間の事情をよく考えまして、少くとも国内において食料塩として必要な数量だけは確保すべきであるということで、閣議の決定としてもそういうラインで、そのために必要な資金なり、資材なりについては極力これが確保をはかるということで爾来その線に沿つて、現在設備の改良、たとえば平がま式でやつているものを真空式の設備に切りかえるというようなこともだんだんやつてつております。現に昨年中でもそういう設備の改良のために注ぎ込んだ資金も相当ございます。わが国の塩の主産地たり香川県を中心として、だんだんとさような設備改良の処置が進んで参つておりますが、それにしても先ほど申した通り、現在の設備をもつてしても、その供給力には実は限界がございます。現有塩田というものを背後にして、現在の煎熬設備を極力今申したような合理的なものに改良した結果、期待し得る生産量というものはやはり七十万トン程度最高供給量じやないかと思います。現在わが国の食料塩としての需要量は人口の増加につれて逐次ふえて参つておりますが、大体百万トンに近い数量が必要であろうかと思います。さような数量をまかなうためには、ただいま申し上げましたような現在の設備の最大活用ということになつても七割程度ということになりますので、やはり根本的にはこの際思い切つた増産設備をいたすということが必要であろうと思います。そのために目下いかなる方法をもつて国内生産を増強すべきかということでいろいろ検討を進めております。その際に問題になるのは、過去のようにやはり塩田を土台として、それから排出される鹹水を元としてこれを煎熬する方法と、全然新しい方法として海水から直接電力によつてこれを煎熬するという科学式製塩方法の二つの方法がありますが、あとの方の海水直煮の方法は、まだ今までのところ実は工業化の段階に至つておりません。試験的にはすでに成功を見ておりますので、将来電力問題がこの海水直射の方法において一番ネツクでございますが、その辺について特段の処置をいたすことによつていわば飛躍的な国内における塩の生産増強も可能であろうということで、目下これが具体的な実現方について研究を進めているような状況であります。
  64. 久米武文

    ○久米政府委員 ただいまの玉置さんからの御質問に対しまして大蔵省としての御答弁を申し上げます。ソーダ工業のための原塩の確保が重要であることは本決議案に書いてある通りでございまして、まつたく御同感であります。それと同時に国内の塩業の問題につきましても、国内塩の生産を増強して行くという点につきましては、大蔵省としてその増産の急務であることを前から考えておりますし、今後もそう考え、その面であらゆる施策を講じて行きたいと思つております。先ほど專売公社の塩脳局長から申されました通り、昨年の閣議決定におきましても、国内で使う食料塩は全量、百パーセント国内確保するということが根本的な方針となつております。その根本方針に向つてあらゆる施策を講ずる考えでおります。たとえば塩田その他塩の生産施設の改善向上をはかりまして、鹹水の採取量をふやす、それによつて塩の増産をはかる、そういうライン、あるいは近く政府から提出いたしまする予定の農林漁業資金融通法におきましても、国内増産のために必要な塩田の補修改良等の資金、あるいは塩田のまわりにあります堤防のかさ上げをするという面に必要な資金も、農林漁業資金融通法で予定しておりますような政府資金を使つて増産に寄與するような考えでおります。国内増産の緊急であることにつきましては、まつたく御指摘の通りで御同感でございます。
  65. 玉置實

    ○玉置(實)委員 ただいまの塩脳局長並びに大蔵御当局の御意見を拜聽いたしましたが、昨年三月十七日の閣議決定によりまして、少くとも国内におきまする食料塩は全部国内塩業をもつてまかなうということは、私まことに事宜を得た措置と思うのであります。その後の各御当局の打つておりまする手を考えて見ますと、私たちといたしましては非常に微温的な感じを受けるのであります。ただいま塩業資金の問題についての御答弁があつたのでありますが、企業の合理化と申しますか、技術の改善の見地からいたしまして、従来の非常に素朴的な製塩方式から真空式の製塩方式に進出している状態から考えますと、これに要します資金手当と申しますのは実に莫大なものがあろうと思うのであります。正確な数字ではございませんが。さしあたり塩業資金といたしまして業界において要望いたしておりまする金額は、少くとも二十億円を算するともいわれておるのでありますが、この資金の手当につきましても、大蔵省なりあるいは專売公社の方面におかれましては、まだまだ私は不十分な点が多々あるように見受けられる次第であります。先ほど大蔵省監理官からのお話によりますと、本国会に付議されました農林漁業資金融通法案におきまして、相当程度の金額を塩田の設備改良にまわすという御意見があつたのであります。この点につきまして私一言だけ農林政務次官にお尋ねをいたしたいと思うのであります。この法案の内容を見てみますと、農地の改良造成、あるいは復旧等に必要な資金と塩田に対するそれとが政府の貸付け利率の点において非常に格段の相違の点があるのであります。たとえて申しますれば、法案の内容でありますが、農地の改良の点については年六分五厘、塩田の場合においては年一割と一応の原案となつている次第であります。しかもこの法案は農林省においてほとんど主管したような様子も見受けられるのでありますが、この点について原案を作成なさいました農林省におかれて、どういう見地で見地の方が年六分五厘で、塩田の方が年一割かというこの不合理性は、私は客観的な意見によると思うのでありますが、本件に関して御所見を承りたいと思うのであります。
  66. 島村軍次

    島村政府委員 現在閣議決定により提案されんとしております特別会計並びに融通法案は、お話通り土地改良その他農業に関する問題を主体にしております。政府資金は二十億とその他から四十億というので六十億の予定をいたしておりますが、この六十億の資金をもつと拡充したいというのが農林省の念願であります。ただその場合には預金部の資金を出してもらうということをやらなければならぬと思うのでありますが、しかしこれは未知の問題であります七今お話の利率の問題についてはいろいろ御覧のある点も私よく承知しておりますので、なるべく低利に出したいという見解をもつて検討を進めて来ているのであります。農業の土地改良の場合にはお話通り六分五厘という予定にしておりますが、農業関係の中でもやはり一割程度のものはあるわけであります。そこでこの率をどこに持つて行くかということに対しては、相当いろいろな議論がありまして、現在原案としては塩田その他は農地関係よりは利潤その他から考えまして、一割程度が適当であろうということで提案をされることになつておりますけれども、なお御意見の点もありますので、これは国会において十分御聽講を願うべき筋合いのものだ、かように存じております。
  67. 玉置實

    ○玉置(實)委員 ただいまの農林政務次官の御答弁は、塩田の年一割の利率は農地に比較をしておそらく利潤が多かろう、その結果土地改良に比較して利子が行いのであろう、こういうような御意見と私は思うのでありますが、本件に関して大蔵省当局として、あるいは專売公社としていかなる御見解を持つておられますか、その点を伺いたいと思います。
  68. 村岡信勝

    ○村岡説明員 まず專売公社側として考えているところを申し上げてみたいと思います。塩田と一般の農地と比較した場合の利回りにつきましては、現在の国内製塩の收納価格のきめ方難から換算いたしまして、塩田が農地に比して利回りがよいという結論は持つておりません。従いまして少くとも塩田については、貸付利率は利回りの点からの見当からいえば農地等と少くとも同一であるべきだと考えております。そういうふうに決定いたしますことを公社として熱望いたしております。
  69. 玉置實

    ○玉置(實)委員 ただいま專売公社の御意見でありますが、この点は大蔵省から農林省の方へ正式に御交渉いただきまして、ただいま農林政務次官の御所見も伺つたのでありますが、農地と塩田との比較較量の問題、これに伴いまする利率の問題、本件はいろいろの点におきまして大蔵御当局の打つべき手がちよつとまずかつたのではなかろうかという意見もあろうと思いますから、ぜひこの点十分なる御解明をいただきたいと存じます。  なお最後に一、二の点について伺いたいのであります。国内塩業の増産につきまして緊急を要することは申すまでもないことでありますが、これに伴いまして従来いろいろの施策政府はやつてつたのでありますが、特に戰時中増産奨励金あるいは昭和二十三年ごろまでございました塩田の施設、あるいは煎熬設備の新設改良に対する国庫の補助金制度があつたのでありますが、急速に国内製塩を三割程度増産する場合におきましては、こういうような政府からの補助的な措置をお考えになつておりまするかどうか、この点を伺いたいと存じます。
  70. 久米武文

    ○久米政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘になりましたまず第一点について先にお答えいたします。すなわちこの法案に盛られた利率の点について大蔵省と農林省との間の打合せの問題にお触れになりました。この点につきましては、国内の塩業の増産のために、あゆる考慮からいたしまして必要だと思われる適当な利率につきまして大蔵省と農林省と両主務当局間でいろいろ打合わせをしております。私まだ十分にこの席で、確認をいたしておりませんので、あるいは間違つているかもしれぬと思いますけれども、この法案はただいま司令部の方の了解を求めるために出ておりまして、そこで国会にも多分提出になつていないのではないかと私は了承いたしております。この利率の点につきましては、先ほど農林政務次官から御答弁がありましたように、国会におきまして十分御審議を願いまして、実情に印するようなものにいたしたいと考えております。  次に第三段の問題でございますが、終戰後にやりました政府からの補助金の問題、この国庫補助の問題につきましては、一般の補助金政策との関連りございますので、実情に即し慎重に検討した上で何分のお答えをいたしたいと存じます。御趣旨はよくわかつております。
  71. 玉置實

    ○玉置(實)委員 最後にもう一点お伺いいたしたいと存ずるのであります。最近の塩業者のその企業組織を検討いたしてみますと、比較的中小以下の業者が非常に多いように見受けられるのであります。しかも買收価格はくぎづけになつておりまして、トン当り九千七百四十五円というふうな数字をもつていたしましては、とうてい利潤どころか赤字経営になると思うのでありますが、このためかどうかわかりませんが、最近の国内塩業の趨勢を達観いたしまするならば、地方税の過重、あるいは富裕税、あるいは買收金の低額、こういういろいろの原因のために、塩田が廃止せられて競馬場になり、あるいは競輪場になるというような状態が起きておると思うのでありますが、御承知のように最近の製塩業界の不振から判断をいたしまして、政府といたしまして、みだりに坂田を廃止されることを防ぐために何かの御措置と申しますか、法的な措置を講ぜられる御意思があるかないか。たとえば戰時中にございました塩田等管理令のようなものをこの際公布いたしまして、みだりに塩田を他のものに転換することを防ぐような御意図があるかないか、この点を伺いたいと存ずるのであります。
  72. 久米武文

    ○久米政府委員 まず塩の買收価格の問題でございますが、現在の九千七百四十五円という買收価格はいろいろコスト計算その他をいたして定まつておるものでございます。ただいまのところはこれでもつて大体いいのではないかと考えておりますが、今後相当増産をして行くためには、この点についてさらに新しい角度から検討をする必要も起つて来るかと思います。ただいまのところこれを引上げるということまでは申しかねますが、検討は必要になると思います。   次に塩田が、たとえば競輪場になるようなことを防止するために、つまり塩田がみだりに廃止されるのを防止するために塩田等管理令のようなものを考えないかというお尋ねでございます。塩の国内増産のために塩田の面積を維持し、あるいはその面積をふやす必要があるという点につきましては、まつたく同じ意見でございますが、これのために今ただちに法令的措置を講ずるというところまでは考えておりません。もちろん專売公社の内部におきましても、われわれ大蔵省といたしましても、そういうふうな必要があるかどうかということについての研究は進めております。
  73. 玉置實

    ○玉置(實)委員 大体私のお尋ねいたしたいことは、ただいまをもつて盡きたのであります。小委員長の作成なさいました決議案につきましては全幅の賛成をいたすものでありますが、ただ欲を申しますと、国内塩業の振興の点につきまして十分業界の実情と、その振興措置を御考慮の上で、單に最後の二行をもつて解決されるほど簡單なものでないということを十分委員長におかれましても、あるいは小委員長におかれましても、御認識の上で今後の措置をお願いいたしたいと思います。これをもつて私の質疑を打切ります。
  74. 小金義照

    小金委員長 次は風早八十二君。
  75. 風早八十二

    ○風早委員 今玉置さんの方から非常に詳細な御質問がありました。私もまつたく御質問の趣旨に同感でありまして、同様なことを要望しておきたいのでありますが、それに関連しまして、政府当局に伺いたい。大体国内塩は主として食料塩と了解いたしますが、その食料塩になるべきものも国内生産の塩であると、輸入の塩であるとは問いません——輸入の問題はあとで申しますが、国内塩をいよいよになつた場合に、背に腹はかえられないというので、その方を削つて工業塩の方にまわすという可能性があると思いますが、その点についてどういう見通しを持つておいでになるか。
  76. 村岡信勝

    ○村岡説明員 現在の国内生産塩でもつて国内の食料塩全量をまかなうに足りませんので、その不足の分を国外から輸入いたして補つておるということは先ほど申し上げた通りでありますが、さればといつて逆に工事塩の需要のために、国内生産された塩あるいは輸入された塩であつて、本来食料塩として予定しておつたものを工業塩にまわすというようなことは目下のところ考えておりません。将来もさような事態が起るとは考えておりません。
  77. 風早八十二

    ○風早委員 そうするとわれわれは楽観していいと思うのですが、しかしながら事実過去においても、食料塩の非常に不足した時期があつたことは御承知通りでありまして、みんな塩がなめられないで非常に苦痛をなめた。そこでそういうふうな状況がまた来ないとはちよつと保証しがたいのです。その点で、方針としては考えておらぬが、そういう危險がありはしないか、われわれの塩の消費量は大体どの程度まで確保されるかということについて、もう少し安心の行く見通しを與えていただきたい。
  78. 村岡信勝

    ○村岡説明員 終戰前後におきましては、ただいま御指摘の通り国内においては労働力の非常なる低下あるいはまた資材、資金等の関係で手持ち等もできなかつたために、生産力自体も低下しまして、最惡の年には三十万トンを割る状況でありました。もちろんまた輸入の方もきわめて逼迫いたしまして、非常に心細いような状態になつたのであります。そのためにお話のような苦境になつて、いろいろな苦しい策を用いたのでありますが、今後はさようなことのないように、前もつて十分な用意をいたして、国内の食料塩につきましては、最低限度百パーセント確保し得るように持つて行きたい。それで本日の御決議案もさようなことのないようにするためにおやりになつておると考えておるのでありますが、この前のような事態は今後においては万あるまいと考えます。
  79. 風早八十二

    ○風早委員 あなたは政府委員として、今のお答えは少し筋が違いやしないかと思う。われわれは国会議員といたしまして、こういう決議をむろん要望しておるわけです。しかし政府としてそれに対する確たる見通しと、確たる保証を與えてもらわなければならぬというのがわれわれの決議案でありまして、これがはたして実際に政府でまじめにやつてもらえるかどうかということについてお尋ねしておるわけです。あなたの誠意は十分にわかりますが、この点については何といつても実際問題として少くとも、国内製塩において、国内の食料塩をまかなうという、閣議でもきめられたこの線が実際に実施に移される、それについてのいろいろな方策は、先ほど玉置委員からも出ておりますが、政府の方でもまじめに取上げてやつていただきたいと、同様に私は強く希望しておきたいと思います。  そこで小委員長に二点ばかりお尋ねしたいと思います。大体われわれがこういう決議案を必要とするに至つた事情は、いうまでもなく中日貿易の禁止です。しかもこの禁止というのは、百四十万トン輸入という大事な問題についての確たる見通しなくして行われておる。これはおそらく通産次官としても、他から命令上れたのじやない、自分たちの考えでやつたのだ、こういうお話だと思いますが、事実こういう結果になり、われわれはこのために決議案を出さなければならない事態に立至つておるのであります。この問題についての政府の無責任といいますか、見通しなくして中日貿易の禁止をやつたことについて、私は政府の無責任をここで指摘したいと思うのでありますが、そういう点は小委員長としては御同感であるかどうか、イエスかノーかお伺いしたい。
  80. 中村純一

    中村(純)委員 はなはだむずかしい御質問でございますが、私ども委員会といたしましては、現実の事態を基礎にいたしまして、それについて将来かくかくであるべしという意味合いにおきましてこの決議案を作成いたしたのでございます。そこでこの決議案の中にも、先ほど申し上げましたように、中共との貿易がどういうわけで杜絶したのか、これは政府の方からお聞きくださつた方がいいかと思いますが、われわれといたしましては、近海塩の獲得にも、事情が許します限りこれはとれるものはとつた方がいい、かように考えておるのでありますが、基本的なことは先ほど申しましたように、現実の事態を基礎として、その上において委員会としてはこういうことを希望するということを決議案に盛つたわけであります。
  81. 風早八十二

    ○風早委員 あなたからイエスかノーかをお聞きすることはやめます。そこで第一だ、小委員長にぜひただしておきたい点があります。それはこういう重大な前提ができまして、その現状に基いてやると言われますが、そのためにはどうしても非常に高いものを——高いといつてもはなはだしく高いのでありまして、現地で二、三ドルのものが大体二十ドル前後だと思つて間違いないのでありますが、工業塩の引受け値段が莫大になつておる、もう七十円になつておる。こういうべらぼうなものを買うわけでありますが、それは大体船腹の不足関係しておる。そこで舩腹を増強しなければならぬ。ところが專売公社のこの方面に対して予定されておる費用というのはこれで足るかどうかわからない。これで足りない場合には補正予算を要求したいのだ、こういうことをこの前御説明の際にたしか言われたと思うのであります。今日の決議案にはそのことがうたつてないのです。しかし政府はこの重大な無責任なる大失態をやらかしておいて、そのしりぬぐいを国民の税金負担でやることにわれわれ絶対反対です。でありますから今日補正予算をもつて船腹増強をはかると言われるが、塩の輸入についてそういう点をどう考えておられるか。われわれはそういうことをするくらいならば、中日貿易の打開をまつしぐらにはかつた方がよほどすべてが解決する。そういうよけいな負担か必要としない、おつりが来るぐらいに考えておるわけでありますが、そういう点で補正予算云々の問題は取下げられたのかどうか、この点をはつきりしておきたい。
  82. 中村純一

    中村(純)委員 ただいまお話のありましたように、塩の輸入原価はフレートが向いために非常に古くなつておるということは事実でございます。しかしながらこれはこのまま現在のフレートの状況で続くかどうかということは未定の問題でございまして、昨年開くところによりますと、船賃は頭打ちの状況になつておるやにその道の人から話を聞くのであります。さらにまた近くリバテイ型の船が相当多数日本に譲渡せられる、あるいは用船せられることが可能であるように外電等が報じておるのでございまして、かような船が動き出すことになれば、フレートの問題も下向きになつて行くのてはないかということも想像せられるのでございます。過日の本委員会におきまして、補正予算の点について私から御報告いたしたのでありまするが、それはこの前の小委員会におきまして、今後の情勢いかんによつてはそういう問題が起きるかもしれないという話が出たのでございます。また政府側におきましても、状況によつてはかようなことも考慮しなければならないかもしれないという話が出たのでございまして、その点も後報告申し上げたにとどまつておるのでございます。従いましてただいまの御質問の点は、今後の船腹の情勢いかんにかかつておる問題でありまして、今日においてただちにこれがかくあるべし、あるいはまたかくあるべき、かような結論をもつて決議案に盛るべき本態でないと考えましたがゆえに、その点は将来の問題に残しておいた方がいいのじやないか、かように考えておるのでございます。
  83. 風早八十二

    ○風早委員 多少私の考えとは食い違うよでりまあすが、われわれは一応この決議案の現われたその点だけについて、こちらの態度を決定するという意味におきまして、今お話程度で大体了解したと思います。しかしながら補正予算云々ということは、私どもは問題のほんとうの解決策を他にそらすものである。補正予算に反対ということは、何も大蔵当局の肩を持つ意味では毛頭ないのでありまして、問題は解決のほんとうの趣旨があるわけです。そういう趣旨を抜きにして、しりぬぐいをすぐまた安易な形で国民から取上げるということは、これは問題が無限に困難になつて行かざるを得ないという意味で、補正予算云々には反対であります。そういう趣旨においてこの額面通り決議案に賛成したいと思います。  そこで政府委員にお尋ねいたします。この決議案では言葉がはなはだはつきりしないのでありますが、近海塩の獲得に努力するはもとよりで、第一番にその具体的な基本策として、近海塩の獲得ということをうたつておるわけであります。従つてこの点についてお尋ねいたしたいことは、現に中共貿易禁止以後、御承知のように五十万トンの塩を入れてもよろしいというオツフアーが中共来局からあると聞いておるわけでありますが、これに対してどういう措置をとられるつもりであるか、この点を政府にただしておきたいと思います。
  84. 村岡信勝

    ○村岡説明員 今回中共から現実に入りました塩は、実は契約といたしましては二十万トン程度いたしましたが、このうち入りましたのは八万余りであります。最近になりましてからは、すでに他の方面からの塩の輸入はすつかり絶望ということで、推移いたしております。実は事実問題として、さような正式のオツフアーばでございませんが、話が一、二ございます。しかしながら最近は中共からの塩は一応絶望であるということで——ただ現在のわれわれといたしましては、塩が一トンでも多く輸入されるということは、これは歓迎すべきことでありますので、中共からの塩についても、塩の数量がふえるという面においては歓迎いたすわけでありますが、われわれとしては中共からの塩は一応計画のわくの外に考えまして、もし塩の入手が実現いたしましたならばこれは観迎するが、一応計画としてはわくの外に考えるということで計画しております。
  85. 風早八十二

    ○風早委員 向うから入らないというのは、こちらから出さないから入らないのでありまして、何も向うもただでくれるわけじやないのです。そういう点は、あたかも今聞いておりますと向うがくれないというのでありますが、向うはくれようというのです。絶望ということを今言われましたが、絶望というのは、日本事情に応じて絶望なのか、あるいは特別な指示があつて、どうしても向うから塩は入れられない、あるいは言いかえれば、塩に対する見返り——どんなものでも出せない、こういう御趣旨であるのか、絶望というのがちようとよくわかりませんのでもう一度お尋ねいたします。
  86. 村岡信勝

    ○村岡説明員 見返りの品物の品種でありますとか、その方の話がなかなかととのわないために出ないというようような問題につきましては、実は專売公社の私といたしましては正確なことは責任をもつてお答えいたしかねるのでありますが、塩の輸入という点だけを取上げて申しますと、昨年からの輸入の実情からいつて、どうも中共からの塩についてはこれを期待するのが困難ではないかという意味で申し上げたのであります。
  87. 風早八十二

    ○風早委員 その点が、すなおな頭で聞いておりましてもさつぱりわからないのです。何で困難であるか、向うからはオツフアーがあるわけでありまして、それを受けられない事情をもう少し納得の行くように説明をしてもらいたい。これをただ絶望というふうな言葉で一概に言われましても、それではこれをまた前提してわれわれは進まなければならない。ますますわざわざ困難な道をたどらざるを得ない。いくら決議案を出しても、こうい調子では、これは政府に期待することははなはだ困難ではないかと考えるのでありまして、せつかくこのオツフアーがある、しかもこの見返りについては、われわれの聞いておる限りでは、決してこれは何もいわゆる戰略物資、鋼材とかそういうものに限らない、相当広い範囲に物資を要求しておる。それは何でもかんでもそれらがみんな向うへ行けば有害であるということであれば別問題でありますが——昔は共産党員に対して飯を食わせることも、共産党に対する支援行動だというようなことを言われた時代もあるのですから、そういつたような理論で来るならばこれは別問題です。しかしながらもう少しおとなしくこの問題を扱つてせつかく向うで雑品でも何でもいい、そういうものでも受取ると言つておるわけです。そういう点でも少し具体的に言うならば、今私どもは、こういう他からの制限を一体そのまま受取る必要はないと思いますが、一応受取つても、その制限外の品物で出して塩をもらうという手もまだ残つておると考える。現に顕微鏡であるとか、そういつたようなものも出ているわけです。いろいろなバーターの品物はまだあると思う。そういう点をどこまで政府は真剣に考えておられるか。つまりこれはできないものという最初からの絶望感で進んだのでは問題は解決されたいのではないかという点で、私はもう少し政府努力の内容をお尋ねしたいと思います。
  88. 首藤新八

    首藤政府委員 御承知通り中共貿易に対して、日本からの輸出禁止品が一応決定いたしておるのであります。しかし禁止していない品種とのバーターは一応可能であります。従つて最近そういう面との若干の交渉があるということは聞いておりますけれども、先ほども專売公社塩脳局長から申し上げたように、昨年も二十万トンの契約に対して十万トン上り入らない。今日までの成績を見ますと、とかく中共の方で契約を履行しない事実も相当あるのであります。かれこれ現実の情勢とにらみ合せまして、かような不安定な輸入計画に入れるということそれ自体が、将来に非常な不安を残しますので、一応中共というものは入らないものと前提しまして、そうして他の方面から確保した方が日本経済のために安全である、かような考え方から中共を一応除外しておるのであります。
  89. 風早八十二

    ○風早委員 もう首藤次官は先ほどのような考え方ですから、これはそれ以上伺つたところで、別に新しいものが出て来るとは思いませんが、しかしながらもしも政府がほんとうにそういうような考え方であるとすれば、これは先ほどもつたように、日本の具体的な利害関係政府が全然度外視される——実際もうそろばん勘定からいつてもだれが見ても得であるという、そういうマーケツトとの取引を全然やらないでおるのですから、これぐらい明明白々たる問題はない。そういう点で、これはもうだめなものだという方向でものを片づけるか、そこに努力のしようがあると思うのですが、とにかくまだ残つているものもやる。そうやつてだんだんにこれを回復して行く。そのことが必ず何も中共とアメリカとをけんか同士にする必要はないし、ましてや日本がアメリカと一緒になつて中共とけんかしなければならない何らの事情はないわけであります。でありますから、これはそれらを結び合せる大きな契機にもなるわけであります。そういう点につまりわれわれの政治の要諦があるのではないかと私は思うのであります。政府がその点でせいぜい一辺倒でやられるというなら、これは今の政府としてみずから自滅の道をたどつているという以外には私はないと思う。しかしこれは吉田内閣だけの問題ではないのでありまして日本自身をそういうことによつてぐんぐんと——もう敵と見なして、あすこに出すのはみんな敵性であるというような、そういう考え方のもとに結局この日本を中共と敵味方の関係に引きずり込んで行くという大きな危險を冒しておられるものと認めざるを得ない。しかしこれは政府は、それによつて生ずる実際の責任を持つておるものと私ども考えるわけでありますが、そういつたような政府考え方とはまつたく反対の考え方に立脚して、そうしてこの決議案にうたつてあります近海塩の獲得に努力するというこの点に、私は特に重点を置き、並びに先ほど玉置委員からるる説明のありました国内製塩の助成保護という点をあわせ、この決議案に賛成の意を表しておきたいと思います。
  90. 小金義照

    小金委員長 ほかに御発言は、ございませんか——別段御発言がないようでございますから、塩の問題に関してはこの程度で打切ります。  この塩の輸入促進等に関する件、これまた中村委員長の朗読せられました内容の通り委員会の意思表示として決議することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小金義照

    小金委員長 御異議が、ございませんから、さよう決定いたしました。  なお化学肥料増産に関する件及び塩の輸入促進等に関する件、この二つの決議の送り先は、化学肥料増産に関する件については、大蔵大臣、農林大臣、通商産業大臣及び経済安定本部長官、また塩の輸入促進等に関する件につきましては、大蔵大臣、通商産業大臣、経済安定本部長官、日本專売公社総裁、以上の通りそれぞれ送りたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 小金義照

    小金委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたしました。  衆議院議長に対する報告その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 小金義照

    小金委員長 御異議は、ございませんからさような決定いたしました。  本日はこの程度にて散会いたします。次会は来週の水曜日と予定いたしております。いずれ公報をもつて御通知申し上げます。     午後四時五十三分散会