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田代委員 私は
日本共産党を代表して、ただいま上程されました諸
法案に対し、断固反対するものであります。この
法案の
内容自体はきわめて簡単でありまして、ただ
料金を少し上げるということにな
つておりますけれども、きわめて重大なる本質的な問題を含んでいるのでありまして、これが現在の
日本の
政治経済の実態を、ある
意味から申しますと集中的に表現しているというふうに考えざるを得ないのであります。
日本の現在の
政治経済の
実情から申しまして、徹底的に
産業を
発展させなければならない。特に
平和産業は無制限に
発展させなければならない、そういう場合に、この
科学技術の
発展、あるいは
発明というようなものは、決定的な
意味を持つものであります。
国家百年の大計から申しましても、あくまでも
予算面におきましても、あるいは人的な面におきましても、これが優遇されなければならない。ところがこの
法案自体というものがまつたくこれに逆行する
法案でありまして、端的に結論を申しますと、これは
発明家虐待法案であり、あるいは
日本の
平和産業の
破壊法案であるとでもわれわれは言える、また
言つて過言ではないのであります。また別の面から大きく申しますと、これは植民地的な
法案であるということにもなるのであります。申し上げるまでもなく
人類の
産業の
発展、あるいは
生活の
向上という面におきまして、いかにこの
科学技術の
発達ということが重要な
意味を持
つているかということは私が申し上げるまでもないのでありまして、この場合にわれわれがはつきり考えなければならないのは、現在この
科学技術、
発明に対して
世界に
二つの
行き方があるということであります。たとえば
日本なんかは、これは現在ほとんど問題になりませんが、
アメリカのと
つている
発明家、
発明に対する
考え方、あるいは
社会主義国、
共産主義を目標としいてるソ連あるいは中国などのと
つております態度、これに対するはつきりした
二つの線があります。この
二つの形を考えます場合に、どちらが
人類のために、
科学技術の
発展のために、有効であるかという点に関しますならば、私が申し上げるまでもなく個人の
発明に
重点を置き、しかも
利潤に
関係し、いかにもうけるかという
立場に
重点が置かれます
科学技術の
発展あるいは
発明というものは、当然限界を持
つているものでありまたそれが無限にまで
発展するという
可能性はないのであります。これは当然
国家社会、将来ののことを申しますならば全
世界がこういう
発明に対しましては責任を持ち、
人類の幸福のために全精力を集中すべきでありまして、たとえばこの
電気なんかにいたしましても、エヂソンが
発明してこれが全
人類のものにな
つております。こういうような
発明というものとして全
人類が
生活をよくする、楽しく暮せるというために
育成しなければならないのであります。ところが現在の資本主義的な
発明様式というものは、いかにもうけるかという
立場からなされます。たとえば現在
三井ならば
三井が
自分の会社である
発明をいたしますと、
三井で
発明された
発明は三菱には知らせない、あるいは住友には知らせない。そうしてこれを
自分の
工場だけに秘密にいたしまして、
自分の
工場が
利潤をいかにあげるかという
立場から
発明が
考慮されます。また
国家といたしましても、
日本の国の
発明は
外国には知らせない、
アメリカの
発明は
日本には知らせない、こういうふうな形になりまして、
人類の
発展から申しまして、これはゆゆしき決定的な
内容を持
つております。こういう
発明あるいは
科学技術の
育成というものは、これが
人類にとりまして、
行き方といたしましては非常に不幸なことである。われわれは当然こういうような
発明というものは、全
人類的な
立場、全
社会的な
立場から、無制限にこれを
育成し保護し
発展させなければならないことは、私が申し上げるまでもないのであります。そういう
発明家の
発明精神、あるいは
社会に対する協力というようなものは、無限に
育成すべきである。ところがこの
法案、また現在
日本の
政府のとられておるところの
考え方は何であるか。零細なちまたの
発明家の
発明したものに対して、
特許料を出せというような
行き方である。しかも前
委員会におきまして、次官は何と答弁されたかと申しますと、
発明家が
自分で
発明して、そうしてこれが
産業に結びつくということになれば、そこに非常にもうけが行くというようなところに非常に大きな魅力があるので、むしろこういう
法案なり
措置が正しいというように言われましたけれども、これはいかに時代醋誤のはなはだしいものであるか。私はこういう
行き方をするからこそ、
日本の
科学技術は
発展しない、
世界人類の幸福のための
発明はあり得ない、
従つてこういう
法案は徹底的に排撃すべきである、こつぱみじんに粉粹すべきであると思います。反対にわずか一億七千万円ばかりの金をこういう零細な
発明家から取上げてこれをまかなうというようなけちな
考え方を一掃いたしまして、数十億あるいは数百億でもよいと思うが、それくらいの
予算を組んで、どんどん
発明家を
育成するという体制にな
つてこそ初めて
日本の
産業も
発展するし、そういう
発明家も
育成することができると私は思います。ところが事実はまつたくこれとは逆行している。金はわずかの金で、いわゆる
物価が値上りに
なつたから、それにスライドさせて幾らかこれをとるのだ、そういうための一部
改正であるというきわめて簡単な
法案のようでございますけれども、実際におきましては、そういう本質的な問題を持
つておるのであります。しかももう
一つ重要なことは、現在
日本におきまして、
発明家、
技術者、あるいは
科学者というようなものは、えらく圧迫されますがために、当然そういう
科学が貧困となり、そのすきに乗じまして
外国の
発明、
特許品というものがどんどん
日本の国に入り込んで来る、いわゆる
技術による
外国の
日本支配ということが現在できつつあるのでありまして、そういう
方面から申しましても、真に
日本の国を考え、
日本の
産業の
発展を考えます場合におきましては、これは実にゆゆしき問題であるといわざるを得ないのであります。はなはだ簡單でございますが、かかる観点から
共産党は断固反対するものであります。