○奥野
説明員 昭和二十六年度の、現在において
考えられますところの
地方財政計画を、昨年度の当初計画と比較してまとめたものであります。そうしますと財政需要の増加いたしますものとしては、給与改訂による増として五百八十四億八千百万円というものが見込まれるのであります。そのうち第一次分としては三百五十四億二千九百万円。これは今年の一月から一人当り月千円ずつ引上げられるという案が出ておつたわけでありますが、その計画に基くものであります。この方も最初は二百億円ぐらいに
考えておつたわけでありますけれ
ども、給与改訂の関係法令を実施してみたところ、一般職員で千五百円内外、学校の先生になりますと二千円から二千六、七百円もふえるという結果にな
つて参りましたので、百五十億円くらい増加して参つたわけであります。月千円の引上げと言われておつたものが、法令の中身と、予算をつくる上において言われておつたこととが食い違
つておるということを発見して、非常に困
つております。第二次分というのは、この八月からさらに給与改訂を行いたいという計画がございますので、その計画が一人当り千五百円ずつ実施されるとした場合の、
地方公務員における財政需要の増加額であります。すなわち千五百円に、
地方公務員の給与単価を、
国家公務員の給与単価で除したものを乗じまして算定いたしております。
二番目は政府施策に伴う増四百六十億三千百万円でありまして、これは大体さきに
国会に提案しておりましたところの教字を、そのまま使
つておるわけであります。ただ災害復旧費国庫負担に関します
法律は、さきの
国会に
地方財政の計数として出しておりましたときとは、中身がかわ
つて参りましたので、成立いたしました法案に
従つて、
数字に改訂を加えております。その結果若干の動きがあるわけであります。そのうちの
一つが国庫補助公共事業にかかる増であります。第二は法令の改廃、普通補助金の増減等の政府施策に伴う増であります。こういうふうな政府施策に伴う増に対しましては、右側に書いてあります
ように国庫補助金の増加もあるわけであります。国庫補助金の増加として国庫補助公共事業に対しますものが、公共事業の関係の補助金の増加として五十億五千三百万円、その他は法令の改廃、普通補助金の増減等の政府施策に伴う増に対応するものが百三億八千八百万円ということにな
つておるわけであります。この財政需要の増加額から財政収入の国庫補助金の増加額を差引きましたものが、
地方負担の純増になるわけでありましてこの政府施策に伴うものだけでも、約三百億円の
地方負担の純増を来しておるわけであります。
次に財政需要の増加額の三でありますが、単独公共事業にかかる増を百億円見ております。これはさきの
国会には
地方財政委員会としては三十億円という
数字を出しておつたわけであります。ところが御
承知の
ように昭和十二年以来起債抑制政策というものを強行いたして参りまして、小学校の校舎の建築でありましても、二部教授できる範囲においては増築は
認めない。三部教授をしなければならない
ようなところにおいてのみ、起債の詮議をするという、非常に強い
方針をと
つて参りました関係上、われわれが予想しないほど、たくさんな単独起債の要求額が出て参
つておりまして、現在単独の公共事業費につきましては五百二十五億円という起債の申請がございます。これに対しまして約四十五億円——九%程度しか起債が許可できないという状態にな
つておるわけであります。四十年以上経過いたしました、かなり老朽した小学校の校舎だけでも、百六十万坪に達しておる
ようであります。坪当り二万円を要するといたしましたならば、それだけでも三百二十億円という巨額な資金を要する
ような状態にな
つておりますので、三十億円という
ような
数字を、そういう
ような実情から改訂をしてみたいという
ように
考えたわけであります。
四番目が物価騰貴による物件費の増二百億円余りであります。これは現在の
地方財政の計画は、昭和二十四年度を基礎にして
考えておるわけであります。ところが昨年
朝鮮事変の勃発から物価が非常に
上つて参
つております。そういう
ような状態を勘案いたしまして、また
地方財政の計画の一般物件費の中に占めておりますところの、あるいは資材費でありますとか、あるいは運賃でありますとか、あるいは電気代、そういう
ようなものを分析いたしまして、現在の物価で加重平均をと
つて参りますと、二四%ばかりの増になるわけであります。そこで一般物件費に二四%を乗じますと、四百億円余りになるのでありますけれ
ども、補正予算として
考えておるわけでありますので、その二分の一の二百億円くらいと見ております。逆に比率で言いますと、一二%増くらいを見込んだということにもなるわけであります。
五番目は富裕
団体における通常規模超過経費四十七億九百万円、これは右の一番上を見ていただきますと、
地方税の増として昨年度よりも四百六十一億四千七百万円というものを見込んでおるわけであります。さきの
国会に出しておきました
数字は約百八十億円くらいであります。それがその後の法人の増収等の
状況から勘案いたしまして、百八十億円ではなしに、四百六十億円余りも増収が得られるという
ように、われわれは最近の経済情勢から見直して参
つておるわけであります。ところがこれらの増収は、たとえば八幡市でありますとか、あるいは川崎市でありますとか、従来から平衡交付金の計算におきましては、基準財政収入額が基準財政需要額を超過しておる
ような
団体にも、さらに相当の増収が得られて参
つておるわけであります。言いかえれば、通常の財政経理を
行つて行くなら、独立税収入がむしろ余
つて来るという
ような
団体において、非常に多くの増収が得られて参
つておるわけであります。昨年度の平衡交付金の配分の結果に徴しますと、昨年度の
地方税の収入見込額が千九百八億円であつたわけであります。ところが今申しました
ような、税収入が財政需要に超過しておりました
団体の超過税収入額が約五十三億円であります。しかしながら今年度におきましては、市
町村民税につきまして、新たに法人税割を創設しております。
従つて昨年固定資産税が非常にたくさん入つた。
従つて収入が余るくらいにな
つておつた
団体において、かえ
つてまた市
町村民税の法人税割の増収が相当入
つて来るのじやなかろうかと
考えられるわけであります。もう
一つは四百六十一億円と見込んでおります増収分のうちに事業税の法人分が非常に大きな額を占めておるわけであります。いずれも偏在する
ような
状況にあります関係上、歳入額が歳出額を超過する
ような額というものは非常にふえるのじやなかろうか。大体百億円くらいに達するのじやなかろうかという
ように
考えておりますけれ
ども、そのうち昨年度の規模の中に五十三億円入
つておつたわけでありますから、差額の四十七億円をこういう形で上げたわけであります。ある
団体に非常にたくさんの収入が入
つて来る、それはやはり通常の財政支出以上に支出を上げて利用されて行くということになるわけでありますが、そういう
ような財政需要の増加は見ておらぬわけでありますので、右の一番上の増収額から、一般的な財政需要の増加額に充当し得る
ような額を差引きませんで、左の方の財政需要額の五番目に掲げてあります
ような形で上げることにしたわけであります。六番目がその他の経費の増加として八十五億円ほど見込まれておるわけでありますが、この中に大きなものとして、たとえば保健所の職員費について、国が二分の一の補助金を出します場合にも、かりに一人当り十万円かかるものでありましても、六万円か七万円しかかからない。その二分の一というふうなかつこうでしか補助金を出していないのであります。そこで六万円か七万円だと、十万円かかりますとそれより三万円ほどよけいかかるわけであります。そういうものもこの中に六十億円内外含めてあるわけであります。しかしながら財政支出はそれだけ紙の上で計算がふえて参るわけでありますが、国の補助金もそれだけ増額されなければなりませんので、裏の欄の一、二の同上措置の一番上に、国庫補助金の増加四十四億六千四百万円というものを掲げております。
従つて地方の事務負担は、その他の経費の六十億内外のものと、この補助金の四十億内外のものとの差額の十数億円というものを掲げたという結果にな
つて参るわけであります。そのほかこの中には前の
国会のときからあげております選挙費の増という
ようなものも掲げられておるわけであります。あるいは反面公債費の減という
ようなものも入
つておるわけでありますが、差引きましてそういう
ような
数字になるわけであります。右側の財政収入の増加額については、
地方税の増は今申しました
通りで、また国庫補助金の増も今申し上げた
通りでございますが、三番目の
地方財政平衡交付金の増が、昨年当初は千五十億円でありましたのが千百億円にな
つておりますから、当初から比べますと五十億円だけ増加しておるわけであります。
地方債の増が昨年の当初に比べますと九十五億円、その他収入の増が四十一億八千四百万円、使用料、手数料等の増加額であります。その結果財政需要は千四百七十七億九千万円ふえるわけでありますが、財政収入は八百二億七千二百万円しかふえません。裏のページに行きまして差引きますと財源としては六百七十五億一千八百万円が不足して来るわけであります。これに対する措置として国庫補助金の増加所要額は四十四億六千四百万円、
地方債の増加所要額は二百五十五億円とな
つております。そういたしますと、差引財源の不足いたしますのが三百七十五億五千四百万円という大きな
数字になるわけであります。これにつきましては、四の同上措置のところに、国税総額に対し
地方財政平衡交付金の占めていた割合だけを国税の増収分から
地方財政平衡交付金に増額するものとし、なお不足する額は
地方団体の節約にまつものとするという
考え方をと
つておるわけであります。現在
地方財政の歳出を支えております大きなものといたしましては、
地方税がありますし、また
地方債がありますし、
地方財政平衡交付金、さらに国庫補助金、こういう
ような四つのものをあげることができるわけであります。物価が高騰いたして参りまして、給与費等も増額しなければならないことにな
つて来るわけであります。言いかえれば、歳出の自然的な増加というものが相当巨額に
上つて来ておるわけであります。それに
伴つて国の税収入にも相当大きな増収が得られるわけでありますし、
地方税につきましても四百六十億円からの増収を見て参つたわけであります。歳出を支えるものといたしまして
地方債、
地方税を見ております。また国庫補助金もございます。国庫補助金も相当増額にな
つて参
つて来ておりますが、平衡交付金全体の二十二、三パーセントを占めておるわけであります。この平衡交付金と
地方債がまた増額にならなければ、伸びて参りましたところの
地方財政の歳出を支えるわけには行かないという
考え方を持
つておるわけでありまして、
地方財政平衡交付金は国税からわけられて来るものでありますので、国税の伸びた割合だけは、やはり増収分を
地方財政平衡交付金に増額して参りたい、同じ
ように国庫財政と
地方財政は苦しみをわかち合い、また増収分をわけ
合つてや
つて行きたいという
考え方を、この財政計画の骨子にいたしておるわけであります。