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1951-05-14 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十四日(月曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 野村專太郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君       石原  登君    大泉 寛三君       門脇勝太郎君    小玉 治行君       佐藤 親弘君    堀川 恭平君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       山手 滿男君    河田 賢治君  出席国務大臣         法 務 総 裁 大橋 武夫君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         国家警察本部警         視         (総務部長)  加藤 陽三君     ――――――――――――― 五月十四日  委員生田和平君、中島守利君、福田一君、牧野  寛索君及び中西伊之助君辞任につき、その補欠  として堀川恭平君、石原登君、門脇勝太郎君、  吉田吉太郎君及び河田賢治君が議長の指名で委  員に選任された。     ――――――――――――― 五月十二日  地方行財政確立に関する陳情書  (第六九五号)  行政事務再配分に関する勧告に対する陳情書  (第六九六号)  地方税法改正に関する陳情書  (第七〇二号)  遊興飲食税撤廃に関する陳情書  (第七〇六号)  地方行財政確立に関する陳情書  (第七二一号)  地方行政調査委員会議勧告の実現と地方行財  政確立に関する陳情書  (第七二二号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第七二五号)  地方税法改正に関する陳情書  (第七二八号)  住宅復興事業費起債に関する陳情書  (第七三九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四二号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第一四二号を議題といたします。本日より一般質問を行います。まず山手滿男君に質疑を許します。
  3. 山手滿男

    山手委員 警察法改正につきまして、いろいろ世間もやかましく議論をしておるようでありますが、私どもの党の方の関係もありますし、一般的なものを、まずお聞きしてみたいと思うのであります。  法務総裁にお伺いしたいと思うのでありますが、この警察法改正を一時は出されないのじやないかというふうなことが言われておりましたのに、さらに極力奔走されまして、急遽御提出なつ理由、特に現在こういうものを出さなければならないほど、治安状況が緊迫をしておるのかどうか、そういう点についてお伺いをしたいのであります。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察法改正につきましては、今期国会の当初より今会期中に提案をいたしたいという趣旨のもとに、政府といたしましては研究を進めて参つた次第であります。その後今月の一日にリツジウエイ声明が出まして、それによりまして、占領政策につきましても、ある程度の緩和を期待できるというような状況に相なりました関係上、その以前におきまして立案をいたしておりましたる本法案につきましても、再検討をする必要がないかという意見が、政府部内においてもあつたわけでございます。これらをいろいろ研究いたしたのでございまするが、本改正案はできるだけこれをすみやかに実施に移すような運びにいたす方が適当である。その要点といたしましては、御承知の通り弱小自治体警察の非能率性、また非経済性というものにつきましては、これは相当どもといたしましても痛感をいたしておる次第でございます。今日朝鮮動乱以来国内治安につきまして、できるだけ警察力拡充ということが要請せられておる際でありまするから、この非経済的なまた非能率的な弱小自治体警察というものを、国家地方警察に改編いたしますることによりまして、警察力の総合的な、全体といたしましての能率化をはかつて行く、このことは今日の治安状況から見まして、きわめて緊急な事項である、こう考えられた点が一点でございます。  それから従来国家地方警察並びに自治体警察管轄区域相互にはつきりいたしておりまして、この間におきまする共助の関係というものは、きわめて限られたものでございました。これが全国的な規模をもつて行われまする特殊な犯罪の捜査にあたりまして、捜査上の盲点を形成いたしますることが少くなかつたのでありますが、この点を今回の改正案においては是正をいたす措置を講じてございます。これもまた現在の実情から見まして特に緊急を要する、かように考えておる次第でございます。  それから第三点といたしましては、国家地方警察が現在三万の定員を擁しておりまするが、しかし警察民主化その他の関係上、常に警察官に対しましては再教育を必要といたすのでございまして、大体五千人程度は常時学校において教養をいたしておるという関係がございます。この関係上、国家地方警察配置のうち、約五千人程度配置は常に学校へ行つておりまするために、配置としては欠けておるというような実情でございまして、これは特に地方におきまする地区警察署ばかりでなく、駐在所等におきましても、これがため警察官が常駐していないという部分相当あるわけでありまして、これらを補充するということも、また特に緊急な事柄である、こう考えておるわけであります。今後におきましても、もとより警察制度につきましては、政府といたしまして強化拡充につきまして研究を重ねる考えでございまするが、さしあたり成案を得ましたるこの案につきましては、この際に御審議をいただくことが適切である、かように存じた次第でございます。
  5. 山手滿男

    山手委員 ただいまの御答弁にありましたが、現在の実情より見まして、こういうものを早急に審議し、実施に移すことが適当ではないかというふうに考えたというお話でございます。現在の実情治安状況そういうものからも、いろいろ割出して考えてということでございますと、いろいろな問題が考えられるのでありまするが、現実にはどういうお考えであるのか、現に治安力が非常に不足した点がある。どういう点が不足しているのか、そういう点をもう少し掘り下げてお話願いたいと思います。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察といたしましてこれを急ぎまする理由は、朝鮮動乱の結果といたしまして、特に国内治安につきましては、万全の措置を講ずる必要がある。それにつきましては自治警国警間連絡を一層緊密にする必要、あるいはまたできるだけ人員を補充する必要、また弱小自治体警察を能率的な国警に改編でき得るものは改編して行く、そういう必要を考えたわけであります。
  7. 山手滿男

    山手委員 この改正法案に盛られておりまする条項のうち、北海道などに関します部分を除きまして、現在国内において特に今まで非常に人員が不足しておるというような事態によつて不都合を来した、あるいはこうもすべきであつたということが、できなかつたというような事態があつたのかどうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一昨年特に全国的に共産主義者が介在すると認められますところの騒擾事件が各地で起つております。かような際におきまして、国家地方警察自治体警察連絡が不適当である、あるいはまた人員が不足であるというようなことが痛感されたのでございます。昨年におきましても、日立等の争議の際におきましては、相当警察制度の改善の要ありということを痛感いたした次第でございます。
  9. 山手滿男

    山手委員 人員配置そのほかについて、部分的にはいろいろの問題があつたであろうと思うのでありまするが、われわれ国政調査で昨年も関西地方に行つたことがあるのでありますけれども、全体的に考えて、それらの各個の警察署そのほかについては、むしろ平素人員をもてあましておるという傾きの所が相当あるのじやないか。たとえていいますと、先般国政調査で、私は警察署の名前はあげませんが、ある地方警察署に行きまして尋ねましたところが、平素一般署員訓練、維持、管理について、なかなかややこしい問題がある。遊ばしておくわけにも行かぬし、勉強ばかりさせるというような建前にするわけにも行かないので、現場に出して主として交通取締りに重点を置いて訓練せいというようなことにしておる。ところが大阪とか東京のような大都市でございますと、自動車なんかの交通も頻繁でありまして、交通中心訓練をするというふうなこともできましようが、地方の都市ではそう大して自動車なんかもたくさん通らない、交通量が多くない、そういうところに警察の若い連中を第一線に出して交通中心取締りをやれとか、訓練をせいといつても、なかなかぴんと来ないで困つておるのだ、こういうふうな話もあつたのでありますが、われわれ考えてみましても、どうも警察法改正でねらつておられるところが、少しわれわれの考えておることと違つた点があるのではないか、もちろん警察力強化については私どもは賛成でありますが、一般的に考えて、單なる人員増加だけで、警察力増強ということが実現されるかどうか、言いかえると、ばかにされるような、権威のない警官をいくらふやしても、それは大した警察力増強にはならないのではないかというような考え方なんですが、現実にそういう自然的な警察力増強人員増加というような問題を、特に必要とするという事態をもう少し具体的に御説明願いたいと思う。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 形式的に申し上げますと、今回の人員増加というのは、国家地方警察におきまして、従来三万の定員のうち、約五千が学校に行つておる、それがために実際各府県村等におきまする駐在所の巡査が、一応定員配置いたしてありますが、配置してあるその人が学校に行つておるために、常駐しておらないというような所が相当ございます。これらがいろいろ警察機能の上から支障を生じておりますので、これを補充するという意味の五千名が形式的に増員になるわけであります。そうしてそのほかに強化になると申しますのは、町村におきまする警察官の数が約一万九千ございます。この一万九千は千三百の自治体警察に分属いたしておりますので、大体平均して十二、三名ということに相なつております。これが従来の制度から申しますと、一町村におきまする警察官の数は、常時配置されるものは一、二名であつて、それである程度地方警察としての必要な事務を処理いたしておつたわけでございますが、独立の自治体警察に相なりました結果、署長であるとか、あるいは外勤であるとか、いわゆる警察といたしましては、対外的な活動に向けられるものばかりでなく、家事的と申しますか、庶務的なそういつた事務が、各自治体警察それぞれに固有のものが生じましたので、こういつた関係上他の有効な活動に向け得るものが、自治体警察、特に小さな自治体警察におきましては、家事的な方面に忙殺されておる。これを国家警察に改編いたしますると、相当数自治体警察の庶務的な、いわゆる家事的な仕事から解放されまして、対外的な警察活動それ自体の方に、利用できるという意味におきまして、警察力全体といたしましては、非常に能率的に再編成が可能である、こういうふうに考えられるわけでございまして、そういう点におきまする警察力強化ということが、今回においては五千名の増員のほかに、強化相当大きな部分を占めておるわけでございます。
  11. 山手滿男

    山手委員 そういう人的な問題は部分的にはいろいろあるでありましようけれども、どうも私どもには納得が行かないのでありまするが、厖大な国費を使つて、現に九万五千の自治体警察あるいは三万の国家地方警察というものがあつて、それには自治体警察の方では一万六千人ばかりの一般職員が含まれておる。さらに国家警察の方でも一万何ぼという一般職員がおりますから、警察機能の全体におきましては、相当な数があるということを、われわれは考えるのでありますが、さらにそれをどんどんふやして行こう、当初の総裁のお考えでは、二万人を増員するという御予定であつたように思うのでありますが、それが何か大蔵大臣の方のお考えで五千名に減つた、こういうふうにわれわれは承知しております。この大蔵大臣反対をしておるというのは、財政的な見地から、六十億もいるということで反対をしておつたのだろうと思うのでありますが、われわれは單にそういう財政的な見地だけでなしに、総合的な警察力の充実という点からいたしまして、必ずしもこういうふうなことだけに專念をしなければならないのじやないというふうなことが考えられる。たとえて言いますと、警察力増強という問題と並行いたしまして、現在持つておるところの特審局あるいは警察予備隊というふうなもの、こういう問題をプールして、総合的に考えて行かないと、この警察力強化ということには効果的な実効が出て来ない、こういうことを考えております。それについてどういうふうにお考えになつておるのか、お伺いをしたいと思います。
  12. 大橋武夫

    大橋国務大臣 五千名の増員ということに相なりまして、前に二万と伝えられたものが、五千名の増員なつた、この点の経緯について、ちよつと御説明申し上げたいと思います。  当初の案におきましては、国警におきまして二万名増員する、そうしてそのかわり自治警一万九千名から九千が——国家地方警察人民投票によりまして移管されます際においては、その全員を移管せずに、そのうち半数程度にとどめる。他の半数は切り捨てる、こういう考えであつたのであります。従いましてそのトータルを申しますと、大体二万九千になる。今回の考え方は、できるだけ自治警全員をそのままとる、そのかわり国警として別に新しく定員は、そうたくさんはいらない、こういう考えでございまして、今回は五千人のほかに自治警一万九千、これを加えました二万四千というものが新しく国警に付加されるべき総員数ということに相なつたのでございます。当初の計画からは五千人だけ節約したということになります。  それからただいま警察法改正について、警察法改正と同時に警察予備隊あるいは特審局との有機的な連絡ということを考える必要がありはしないかという御質問でございましたが、この点はまつたく同感でございまして、従来とも警察あるいは特審局また警察予備隊、これらは同じような治安の面につきまして、それぞれ別の分野によつて協力すべきものであるという考えのもとに、緊密な連絡をはかるという方針指導をいたしておる次第でございまして、この点は警察法改正するといなとにかかわらず同じことで行くべきものである、かように考えております。
  13. 山手滿男

    山手委員 ただいまの総裁の御発言は、こういうふうに解釈してよろしいのでしようか。市街地的な町村の持つておりまする自治体警察、そういうものは今度の法律改正によつて全面的に解消させて、国警が継承する、従つて五千以上の町村自治体警察というものは、全面的にこれでなくなるものである、こういうふうに解釈してよろしいものでありましようか、どうですか。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 住民の多数の意向が、これを廃止することになりますれば、全面的になるのじやないかと思います。しかしこれは地方自治というものの範囲でございまして、政府としてさしずすべきものではない。ただ政府といたしましては、いろいろ現在の町村自治体警察というもののあり方から見まして、相当部分国家地方警察の方に切りかわるのじやなかろうか、こういうふうに予想いたしております。
  15. 山手滿男

    山手委員 今の点でありますが、市街地的な町村、そういうものが持つております自治体警察、そういうものは今度のこういう改正案が通りますと返上しようというふうな空気を見せて来ておるところも相当ありますし、返上されるところも相当あるであろうと思います。しかしよく考えなければならぬことは、いきなり頭からそういうふうな傾向に持つて行くような指導をする法律をつくるというのか、あるいはまたこういうふうなところも国家平衡交付金その他で相当な助力をするならば、さらにその近接した町村なんかと一体となつて組合警察というふうなものをつくつて、負担の軽減をできるだけはかりつつ、合理的な自治体警察というものを持ち得るという可能性もある、そういうふうな程度の余地を残したような改正というものも考えなければいけないのでありますが、どうも総裁のさつきからの答弁を聞いておりますと、そういうものの一万九千、それに今度のわくの増加五千を足して二万四千というものをプラスするというふうに期待をしておられるようでありますが、その点をもう少しはつきりしていただきたいと思います。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府といたしましては、この法律の成立いたしましたあかつきにおきまして、特に自治体に対して返上すべきものである、そういつた指導をする考えはもとより毛頭ございません。ただ現在の自治体警察というもの、特に小さな町村におきまする自治体警察というものは平生は数が十分である。しかし一朝何かありますと、きわめて不十分である。これは警察あり方といたしまして、経済的に申しまして、非常に不経済でありますし、また能率的な面から行きましても、必ずしも望ましくないという点が多々あるわけであります。従いまして多くの町村におきましてはこれらを勘案した結果、相当部分自治体警察の返上ということに傾くのではなかろうかと予想いたしておるような次第であります。しかしさようにすべきものなりという政府方針によつて、これを指導するという考えは毛頭ございません。
  17. 山手滿男

    山手委員 今一朝事つた場合には、きわめて弱体化するものであるというところが、非常に大切なわけなのでありますが、それは私は三万程度の市の自治体警察においても、その一朝事つたというふうな場合には、今の自治体警察でどの程度の働きができるか。これはもう全面的に考え直さなければならぬことであつて、この警察法のこの程度改正そのもので解消すべき事態ではないように思う。それだからこそ私は警察予備隊、あるいは特審局との完全な相互関係を調整した上での警察法改正でなければ、意味がないのではないかということを考えるのであります。私どもは單に権威のない人員増加、現在でもいろいろ新聞をにぎわしておるような事態が、相当見受けられるのでありますが、権威のない、国民からあまりありがたがつて見られておらないような警官相当ある、質の悪い警官、あるいは権威のない、大勢のものをただ頭数だけをそろえることによつて治安力強化されるのではなしに、筋金の入つた警察力というものをつくり上げるということが、警察法改正のねらいでなければいかぬのではないか。この警察法改正の中に情報の交換をうんとやるとかいうふうなことが出ておりますが、私は戰前持つておりました日本の警察の、何といいますか、特高的なもの、情報を確実に握つて行くというふうな特高的なもの、そういうふうなものをやろうとしておるのが、やつておるかどうか知りませんが、特審局というようなものである。情報の完全な把握、背後においてウイークポイントができたときに、そのウイークポイントに全力をあげて警察力を集中して行ける態勢をつくることが、私は警察力強化のねらいでなければいかぬと考えるのであります。單にこの警察力増強にからんでの警察法改正というものが、私はなわ張り争い、あるいは頭数だけの拡張というふうに考えられる節が多いのでありますが、この点についてどういうふうにお考えでありますか。
  18. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今回の警察法改正主要点といたしましては、五千人の国家地方警察人員増加というようなものが、むろんこれも主要点には違いありませんが、私どもが特に眼目といたしておりますのは、住民投票によりまして、町村警察の廃止ということが可能になるという点でございます。この点が一つと、もう一つは、自治体警察区域内に国家地方警察府県知事の要求によつて活動できる。この二点が主要な点であると考えておるわけであります。これらの点は、いずれも国家地方警察並びに自治体警察相互関係をできるだけ調整いたす。これによりまして自治体警察のうちでも特に非経済的であり、非能率的なものは、その住民の希望によつて、より能率的な国家地方警察に改変するという点が一つ。それから全国的な事件につきまして、でき得る限り国家地方警察が、地方自治体警察範囲内においても活動できるような措置を講じて行く。これによつて両者関係を調整して行くという点が第二点でございまして、これらの点はいずれもただいま山手委員のお述べになりましたような自治体警察、それから国家地方警察関係を調整するということによつて能率化して行く、決してこれは單なる頭数をふやすという問題ではない、こう考えております。
  19. 山手滿男

    山手委員 頭数の問題と、今の二重的な操作を調和して行うというような意向も認められるのでございますが、どうも警察法改正のねらいというものが、私は大きな見地に立つてやられるのであるならば、われわれも賛成するにやぶさかでないのでありますが、どうも警察官僚的な姑息ななわ張り争いのような雰囲気が見られるのじやないか、こういうふうなことを気にするのであります。ことに私は、今一朝事つた際ということと関連いたしまして、警察予備隊存在というものと、自治体警察あるいは国家警察存在との調和というものが、非常に重要になつて来るのではないかと思うのでありますが、警察予備隊は現在すでにいつでも出動できるような態勢になつておる、こういうふうに総裁はいつか言われたと思いますが、全国的な配置を完了いたしまして、すでに部署につくような状態になつておるのかどうか、あるいは警察予備隊機能は、十分満足すべきものに仕上つておるのかどうか、配置あるいは装備その他についてどういうふうになつておるのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  20. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま山手君のお述べになりました中で、今回の改正案について、警察官僚的ななわ張り根性が見られるのじやないか、こういう御感想をお述べになりましたが、なるほど警察法改正案の立案される過程におきまして、あるいは一般からさような感じを持たれるようなことがあつたかと存じますが、しかしこの案ができます最後の段階におきましては、自治体警察あるいは国家地方警察、それぞれ單なる自己の立場を離れて、国家的な見地に立ちまして、双方の考え方を調整されたわけでございまして、この案の内容につきましては、私はさようなお疑いはないはずであるという考えを持つております。  それから次に御質問になりました、警察予備隊配置でございますが、これは今日一応全国的な配置計画を終了いたしました。また訓練につきましても、個人的な基本訓練から、部隊單位基本訓練が進んでおりまして、そういう意味におきまして、ただいま第二期の訓練をいたしておるところでございます。それから裝備といたしましては、全部隊に対しまして、カーバイン小銃が装備されておりますが、そのほかに若干の軽機関銃を裝備いたしておるのであります。
  21. 山手滿男

    山手委員 予備隊関係でありまするが、朝鮮事変が始まりました当初、この警察予備隊が設置されますときに、国会が開かれておりましたけれども、あの当時の状況からいたしまして、これは国会審議することなしにこの予備隊は設置されて、今日に及んでおります。リツジウエイ声明がありまして、いろいろな政令の改廃その他について、是正すべきものは自主的に是正してもいいということになつたのでございますが、警察予備隊の問題も、あの当時予算も、二百億が国会を素通りしておりますが、警察法改正がこういうふうに出されたのでございますから、これも取上げて国会で法制化する意図があるかどうか、法制化すべきが当然であると思うのでありますが、どういうふうにお考えになつておりますか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  22. 大橋武夫

    大橋国務大臣 予算につきましては、本年度からは国会の御審議をいただきまして、本年度予算国会の御審議なつ予算に入つたのでございます。それからリツジウエイ声明に関連して、ただちに警察予備隊の政令を法律化するかどうかという御質問でございますが、この点はただいま何ともお答えを申し上げる段階になつておりません。
  23. 山手滿男

    山手委員 自治体警察国警関係だけを取上げていて、警察予備隊の問題を一向に取上げて法制化をされようとしないところに、この警察法改正全般について、まだまだわれわれが承服しがたいいろいろな点を持つておるように私は考えておるのであります。どうしてもこれは取上げて法制化をし、さらにこれを恒久的なものに持つて行かれるか、あるいはそのほかのいろいろな措置を具体的に早急に明示されて行かなければいかぬ、こう考えておりますが、この点いろいろ法務総裁のお考えを、さらにあとからゆつくりお聞きしたいと思つておりまするが、警察予備隊は、今お話を聞きますところによると、一応配置を完了し、第二の段階に入つておるようでございますが、何といつても私はさつきから御説明のありました自治体警察なんかによつて治安が維持されておる市署におきまして、一朝事あるような場合は、やはり警察予備隊というものが、ものというような事態ではないか、こういうことが考えられるのでありますが、警察予備隊が出動する場合、それはどういう場合であるか、あるいは出動させようというふうな認識をお持ちになるような事態というのは、具体的にどういう事態か、あるいはどういう情報によつて判断をされるのであるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  24. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊の出動いたしまする場合といたしましては、国内におきまして相当大規模な暴動等が発生いたしまして、しかも普通の警察力をもつていたしましては、とうてい処理し得ないという段階になりました場合に、警察予備隊を出動させる、こういう考えでおります。
  25. 山手滿男

    山手委員 その警察予備隊が出動いたして参りまするような状態、それはすでに相当大規模な暴動が起きてしまつて、現に收拾がつかないような状態になつて出動するのであるか、あるいはそういう状態が起きるかもわからぬというような正確な情報に基いて出動するのであるか、警察がすでに起きたものに対して手当をして行くという考え方で行くのか、あるいは予防的な措置で、いろいろ配置をさらに進めて行くという意味で出動して行くのか、そういう情報というのはどこからおとりになつて、どういうふうに処置しておりますか。
  26. 大橋武夫

    大橋国務大臣 情報機関といたしましては、政府といたしましてはあらゆる機関を通じて、絶えずそういうものは判断をしておりますので、特にどういう情報でということはないわけであります。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長 床次徳二君。
  28. 床次徳二

    ○床次委員 大臣の提案説明に述べられておりますが、本来警察法は、警察運営の民主化、その地方分権を基盤とする民主的警察制度として現在まで運営せられております警察制度に対しまして、警察力強化して、それをさらに能率化して行くというところに、今回の改正の重点があるように思うのでありますが、今後の警察問題を論じます場合におきまして、民主的警察というものが、はたしていかような方角に向けられるかということについて、私どもは十分検討を要すると思うのであります。元来警察法の特色は、自治体警察というものが設けられたということが、現在の警察法の一番大きな特色と思うのでありますが、この警察制度におきまして、警察力強化するという場合に、自治体警察をいかように取扱つて行くかという点におきまして、今度の改正案を見て参りますと、自治体警察そのものに関しましては、実は非常に縮小されているという形が見えると思います。どちらかと申しますれば、本来の警察制度における大きな変革がやはり行われるのではないかという疑いを持たせると信じております。先ほど大臣が具体的にお述べになりました二つの改正の要点、一つ弱小自治体警察に対しまして、これをもつと能率化するために、これを国警に編入するという問題、第二の問題といたしましては、全国的の犯罪に対処する特別な手段を考慮されるという点、この二つの点を具体的な例としておあげになりましたが、自治体警察がその機能を十分果し得ないということが、はたしてあるかどうかということに対して、大臣の御意見を承りたいと思います。  なお大臣の具体的にお述べになりましたのは、弱小自治体警察に対しましては、非能率性がある、また経済性に欠けるものがある、そのために非常に弱体であるということを言われたのでありますが、これは自治体警察の本質であると、大臣は認めておられるかどうかという点について、これは検討を要するものと私は考えておりますので、もう少し自治体警察に対する大臣のお考え伺いたいと思います。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現行警察制度におきまして、自治体警察というものが創設せられたることは、これは警察民主化ため警察地方分権という趣旨から出ておるのでございますが、この趣旨は、今後におきましても、民主主義日本の再建ということを考えます場合におきましては、当然根本的にこの精神を維持する必要がある、かように考えます。ただこの警察地方分権ということにつきましても、これはおのずからニユアンスのある問題である、こう考えるのでございまして、特に市制施行地のごとき、これらは自治体といたしまして、最も完全なる自治体でございまするので、かような自治体におきましては、地方自治権に当然伴うべき自治体警察権というものを欠くことは、適当でないと考えます。しかし町村というような場合におきましては、同じ自治体ではございますが、しかし市とはその自治体としての規模等も違いまするので、さような関係から、おのずからどういう程度事務自治体として現実に処理するかということは、また別に考えて行くべきものであろうと考えるのであります。現に現在の町村の中におきましても、町村のすべてが自治体警察を持つのではなく、ただ人口五千以上の市街地的な町村にのみ、これを置くという制度に相なつておるわけでございまして、かような場合におきまして、その警察というものが、能率において、あるいは経済性において不完全である。このことは現在のように、警察費の相当部分が国の財源から間接的にまかなわれておりますような場合におきましては、やはり国家としても相当関心を持つわけでございます。従いまして、この警察力をできるだけ拡充強化して、そうして国全体の警察力としての能率的な運営を期待する、こういう立場からいたしますと、自治体住民が納得をいたします場合において、これを国家の能率的な運営が可能であるところの国家地方警察に改編する、これもやむを得ざる措置であると考えるのであります。
  30. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御答弁がありましたが、最後に、やむを得ざる措置であるという御言葉によつて総括されたのでありますが、大体大臣自体は、自治体警察という今度の新しい制度によつて行われたものが、今日までしばらくの間の経験によりまして、はたしていいものか悪いものかという大体の御判断がおつきになると思うのであります。ただいまの御答弁によりますと、市における自治体警察においては大体満足すべき状態にある。しかしそれ以外のものは、どうも能率性において欠けるところがあるし、経済性において欠けるところがあるというお考えのように察せられるのでありまするが、その能率と経済という問題に対しまして、はたして政府においては、ほんとうに自治体警察というものの立場に立つて、これを育成されたかどうか。育成と申しまするか、あるいはこれに対して十分な措置をとられたかどうかという点について、私ども疑いなきを得ない。御答弁の中にも費用の問題が出ておりまするが、元来市町村に與うべきところの交付金等におきまして、著しくその額が足らないばかりに、警察の維持においても不完全であるということを認めざるを得ない。こういう予算の点を無視いたしまして、しかも自治体警察が非経済性である、あるいは能率が上らぬということを言われることは、はなはだ片手落ちであると私は考えるのであります。今日までの大体の経過から見まして、少くとも政府としては予算において十分手を盡していないのじやないか。もつと予算において考慮いたしましたならば、自治体警察が健全な発展をなし得たのではないかという点が第一にあげられる。それから人口五千以上ということになつております関係上、かなり組織の小さい自治体警察があつたことも当然であります。しかし今までの経験によりまして、あまり小さいところは都合が悪い、やはり市以上のものがよろしいという結論になることも、これは一応私どももうなずけるのでありますが、しかし市の自治体警察といえども経済的には非常な損失を受けておる。現在はむしろ国費で負担すべきものを、自治体が負担しているという形になつておるのではないかと思うのでありまするが、そういう結果に対しまして、政府当局としていかように今後これに対処せられて行くかということを承りたいのであります。自治体警察というものに対して、十分能率的な、しかも本来の自治体警察の特色を発揮し得るようなことを、やはり政府としては考うべきじやないか。自治体警察が弱つておりまするから、その機会にこれを国家警察に振りかえて行くというような考え方を持つといたしましたならば、警察法の本来の精神から申しますと、これは非常に大きな問題であると私は考えておるのでありますから、自治体警察そのものを維持して参りますために、いかようなお考えをお持ちになつておるか、この機会に承りたいと思います。
  31. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私が非経済性と申しましたのは、自治体の財政上の立場からいつて、非経済的であるということを申したわけではございません。国民経済の立場からいつて経済的であると申したわけでございます。従いまして、これは国費が現実地方財政における警察費の負担の全部をカバーいたしました場合におきましても、自治体警察、ことに弱小自治体警察の非経済性ということは、おおいがたいところであるというふうに私は考えております。
  32. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの御答弁では、その点ははなはだ不十分だと思うのでありますが、小さい自治体警察経済的に効果の薄いことは、当然だと思うのであります。しかしこれは運営の部面ばかりでなしに、自治体そのものに対しましても、非常に経済的に迷惑をかけておるという事実は、これはおおいがたいことであると思うのであります。そこで私は特に伺いたいのは、今日までの経済によりまして、どの程度自治体警察ならこれが十分にやつて行けるか、また自治体警察を置いたところの趣旨を全うし得るのかということをお答えいただければいいと思うのですが、あるいはその場合には、市の自治体警察ならまあまあやつて行けるだろうということをお考えになるだろうと思う。しかしこの点に関しましても、私は政府としましては、なお警察費の負担という問題を考慮すべき余地が、ずいぶんあると思うのですが、この点を大臣は無視しておられるのではないかと思います。しからば自治体警察としましては、どの程度の企画によつて、どの程度の大きさなら自治体警察として本来の使命を全うし得るか、またそういう自治体警察なら、むしろ従来の警察組織よりもよいのだという結論が出ると思うという前提で考えてよろしいと思うのでありますが、いかがでありましよう。
  33. 大橋武夫

    大橋国務大臣 いかなる程度ならば自治体警察としてやつて行けるかという問題でございまするが、これは必ずしも能率及び経済性の問題だけでなく、一面におきまして現行警察法の精神となつておりまする警察民主化という立場から、地方分権ができるだけ奬励されておるということも考えあわせますると、單に経済あるいは能率の点から、これ以上の自治体ならばやつて行けるという標準を政府として申し上げることは適当でないような気がいたします。
  34. 床次徳二

    ○床次委員 この問題に関連しまして、さらに検討を続けたいと思うのであります。先ほども山手委員からお話がありましたが、地方分権という立場から見て参りますと、やはりある程度までの市町村の組合による経営ということも、当然自治体警察については考えてよろしい。むしろ民主化という立場から見まして、こういう制度も奨励した方がよろしいのだと、私は考えておるのでありまするが、これに対しまして当局はいかように考えられておられますか。市の周囲にありまする町村が、将来当然市に合併されるということを予想される場合におきましては、そういう町村は市と一体になりまして自治体警察を営むことも、適当と思うのであります。あるいは数箇村におきまして、将来それが一つの大きな自治団体になるということが予想せられる場合におきましては、やはり組合的の自治体警察を営むことも適当なことと考えるのであります。特に現在地方制度の立場から見まして、小町村をできる限り合併しようという機運がすでに地方自治の上に現われておることを考えますると、警察につきまして組合経営という考え方を排するという理由は全然ない。むしろ数箇村集まりまして一定の規模になり得るところの団体としまして、初めてただいま総裁の言われましたような経済性を持ち、また能率を持ち得るものになし得る余地があるのだと思うが、かような自治体警察を奬励するという考えを何ゆえ政府が持たれなかつたかということをお聞きしたい。
  35. 大橋武夫

    大橋国務大臣 組合警察といたしましては、本来自治体警察を持ち得るところの資格を持つておりまする町村が、相連合して組合をつくつて、数個の自治体警察を一個の組合自治体警察としてやつて行かれる、この点につきましては、政府といたしましては、別にこれを制限する意図もなければ、特に奬励しなければならぬと考えておるところもございません。しかしながら、それが近接いたしておりまして、特に相隣接しておるというような場合におきましては、これによつて警察の規模を大きくするという意味合いにおきましては、能率あるいは経済性の面からいつて、適切であるということは同感に存じております。その他に、将来の合併等を予想いたしまして、特に現在のところ自治体警察を持つ資格のない町村が、他の自治体警察を持つ町村と組合をつくつて、そこに一つの組合の自治体警察をつくるということにつきましては、政府といたしましてはただいま考えておりません。
  36. 床次徳二

    ○床次委員 自治体警察国家地方警察とは、警察官に対する経費の関係が非常に違つておる。自治体警察におきますると、自治体自体では、国から参りまする経費だけでは足らないので、地元では実際の面においては相当負担しておる数字になつておりますが、当局といたしましては、自治体警察国家地方警察との間に、一体どれくらい費用が違うものか、この参考の数字がおありだろうと思いますので、数字をあげていただきたい。また同時に幹部の組織におきましてもかなりの相違がある。国家地方警察におきましては、いわゆる幹部要員が比較的多くて、第一線の警察官が比較的少いということがあるのではないかと思う。警察全般の能率、機能という立場から考えてみまして、その利害損得もいろいろ考究を要すべきものと思うのであります。これの具体的な数字はあとでもつてお示しいただきたいと思いますが、大体の考え方についてこの際御答弁を承りたいと思います。
  37. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいまの御質問は具体的な事実ですから、私の方から御答弁いたします。  国家地方警察自治体警察の費用の比較でございますが、国家地方警察自治体警察はそれぞれ職分が違つております。従つて一人当りの費用は、どう違つておるかというその数字は、後刻書面としてお目にかけたいと思つておりますが、それだけをもちましては判断がむずかしいのではないかと考えております。国家地方警察の方におきましては、自治体警察を何どきでも応援に出かけるという職分を持つておりますので、従つて裝備にいたしましても、あるいは車輛、機動力、またその他の施設にいたしましても、自治体警察の持たない施設を多分に持つております。通信の施設、犯罪捜査研究所の施設、あるいは鑑識、そういつたものを持つておりまして、自治体警察ために奉仕をする部門が非常に多くありますので、従つて総経費を一人当りで割りました場合は、国家地方警察の方が多くなるのが当然だと考えておるのであります。ただ俸給給與という点だけから考えますると、中以上の都市の自治体警察官の俸給給與は、国家地方警察よりも相当上であります。ことに大都市の警察におきましては、国家地方警察よりも格段の俸給、給與が支給されております。中小の警察になりますると、俸給、給與は小さくても、国警並あるいは国家地方警察よりも上まわつておるところもありますが、概略して申し上げますと、国家地方警察よりも、若干少いというところもあるやに聞いております。従いまして何をもつて比較いたしまするか、総経費を総人員で割つたもので比較いたしますると、その基礎において相違がございますが、給與だけの面から申しますると、大体私がただいま述べたような数字でございます。また自治体警察費がその当該自治体の総予算のうちで何割くらいを占めておるか、平均いたしまして一五%前後であろうかと思いますが、これも市町村によつて相当の開きを来しております。同じ自治体警察でありましても、警視庁のようなところ、それから非常に小さいところ等におきましては、またそれらも非常に違つておる、こういうまちまちな状況でございます。
  38. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま国警におきましては、裝備その他に対して自治体警察よりも相当重視しなければならぬからというお話でありますが、今日の自治体警察の裝備そのものを見て参りましても、相当なお充実を要するものだと私は見ております。国家全体から考えますると、この際人員増加も必要でありましようが、裝備を充実せしむるということが、さらに今日においては重要なのではないか、その方が能率をさらに上げ得るのではないかと思うのでありますが、この裝備の充実という点に対しまして、いかように考えておられるか。なお現在の自治体警察に関しまする費用という問題は、先ほども話が出ましたが、自治体経済力に影響することが大きいのでありまして、この点に関しましては平衡交付金その他の問題が大きな関係を持つておるというふうに、私どもは認めておりますが、裝備の点に対しましては、政府においては今日どの程度充実するお考えがあるか、承りたいと思います。
  39. 大橋武夫

    大橋国務大臣 自治体警察に関しまする地方自治体の負担につきまして、これが軽減をはかるということは、もとより政府といたしましても大なる関心を持つておるところでございまして、地方財政平衡交付金におきましても、警察官の費用のための交付金額の算定につきましての單価の引上げということに努力を続け、またある程度引上げをいたしておるわけでございます。  それから次に自治体警察についての裝備の問題をお話になりましたが、大都市におきまする裝備は、今日相当できて参りましたが、しかし弱小自治体警察におきまする裝備は、現在の状況といたしましては経済的に見まして非常に困難であり、また現状において決して満足すべき状態ではないわけであります。しかしこれは車輛その他の裝備にいたしましても、各自治体ごとに裝備する、こういう点を考えますと、現在のようなきわめて小さい自治体警察がたくさんあるということは、裝備を完全にするという上からいつても、大きな困難性を持つものである。従つてこの点も今回の改正案におきましては、住民投票によつて、でき得るものは国家地方警察に統合するという措置を考慮するに至つた重要な理由一つであります。
  40. 床次徳二

    ○床次委員 地方自治体の警察費の負担の問題に関しまして、平衡交付金の單価の引上げ等を考慮せられておるようでありますが、この問題は警察法の運用の上に、非常に大きな問題を示すものでありますので、どの程度の引上げをなさるかどうかということにつきまして、具体的な資料がありますならば、なるべくすみやかに明瞭にしていただきたいと存じます。  なお次にお尋ねいたしたいのは、今度の国家警察増員によりまして、職員の相当配置をいろいろ考えられておると思うのです。配付いただきました資料等を見ましても、たとえば北海道のごときは一人当りの管轄区域が非常に広く、しかも人口は稀薄であるというような、警察的に申しますと困難な地点である。従つて北海道に相当つて行きたいということを、この前述べておられたのでありますが、依然としてさような考えを持つておられるかどうか。なお北海道方面の警察を充実するということに対しまして、同時に私どもとして御質問申し上げたいのは、ある部分警察予備隊の職分をもつてもかえ得るかもしれないし、警察予備隊警察の職務権限と申しますか、その職能の範囲をいかように考えて、その配置をきめられるかということに対して、御説明いただきたいのであります。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 平衡交付金の増額の問題は、過去において増額に努力をいたしておつたということを申し上げたわけでありまして、今年度平衡交付金はすでに予算において決定いたしておりますから、これについて増額するという考えは持つておらない次第であります。  それから北海道についての配置でありますが、これは北海道の特殊性といたしまして、非常に面積が広い。ことに従来の定員は主として人口を基準にいたしまして配置された関係上、警察力といたしましては、きわめて稀薄になつております。これをある程度補正をするように努めたいという考えは持つておりますが、ただいま具体的にどの程度ということまでは、きめておりません。  それから警察警察予備隊配置をどうするか、こういう御質問でございますが、警察予備隊につきましては、常時の警察としての平生の仕事は、これはあくまで警察自体によつて処理をいたして参りたい。警察予備隊警察力をもつてして処理できない性質の騒擾事件等の処理に当らせる、こういう考えをいたしておるわけであります。従いまして警察予備隊配置につきましては、特に警察予備隊のそういつた特例の性格という見地から、配置をいたしておりますので、必ずしも普通の警察の足りないところを警察予備隊によつて補うというような見地から配置はいたしておりません。
  42. 床次徳二

    ○床次委員 経費の問題についてお答えがありましたが、先ほどお述べになりました中に、住民投票によつて自治体警察を廃して、国家警察に変化し得る道を開くことを改正のうちの大きな眼目にしておられるのでありますが、負担の関係について十分な考慮が佛われずして、住民投票によつてこれが決せられるということが、はたして民主的な判断になり得るかどうかという点について、かなり疑問があると思うのでありますが、この程度の前提のもとに住民投票を行つて、はたして民主警察というものが維持できるかどうかということについては、大臣は確信を持つておられるかどうか承りたいと思います。
  43. 大橋武夫

    大橋国務大臣 現在の平衡交付金というものは、現在の財政事情から考えられまして決定いたしておるものでございまするから、この前提のもとにやはりやつて行く以外に現状としてはないと思います。
  44. 床次徳二

    ○床次委員 一言別の観点からお尋ねいたしたいと思います。今回の改正案に対しまして、これは現在話のできたものから改正して行くという立場において、改正案を提案されたように承るのでありますが、なお警察法そのものに関しまして、本質的に改正をしたい、もつと全面的な改正をしたいということも、前から強い希望のように承つておるのであります。政府当局が持つておられます全面的な改正の方向というものは、どういうものであるか。この際改正審議の際に一つの重要なる資料と思いまするので、政府当局が考えておられまする本質的な改正というか、要望の案がありましたならば、こういう内容を考えておるのだが、この際はできなかつたという点がありまするならば、お述べをいただきたい。
  45. 大橋武夫

    大橋国務大臣 当初政府といたしましては、自治体警察というものにつきまして、もう少し思い切つた整理をいたす方が適当であろう、こう考えておつたこともございます。しかしその後いろいろ研究をいたしました結果、この程度改正案をもつて一応進んで行くものである。そうしてこの程度改正によりまして、警察法改正については相当の効果を上げ得るし、また効果の上るように努力をすべきものである。そうしてその結果は相当効果を上げ得るであろう、こう考えているわけでございまして、ただいま政府といたしましては、この改正案をもつて警察法改正とこう考えております。
  46. 床次徳二

    ○床次委員 そういたしますと、とりあえず改正しておくということでなしに、現在の改正をもちまして、当分の間やつて行ければこの程度をもつてつて行きたいとう御意思と解釈してよろしゆうございますか。
  47. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御質問の趣旨の通りに解します。
  48. 藤田義光

    ○藤田委員 まず私は第一番にお伺いいたしたいのは、現在の警察法の立案時代の情勢からしまして、地方分権に歩調を合せた法案であるというふうに了解いたしております。従いまして警察の能率等をやや度外視いたしまして、日本の警察国家を解体するということにあまりに急であつたということから、今日の警察に対するいろいろな批判が生れたのではないかと思います。ことしの正月、マツカーサー元帥は年頭の声明で、情勢が一変すれば、防衛のためには日本憲法の理想である戰争放棄の規定すら、その道を譲らなくてはならないということを言われております。われわれの認識としましては、現在の情勢はすでに一変して、防衛の問題は非常に深刻化しておるというふうに判断いたしておりますが、この点に関しまして、大橋法務総裁は今回の改正に当り、現在の情勢をどの程度に分析されておりまするか、マツカーサー元帥の年頭声明と歩調を合わせたくらいに情勢は一変しておるという認識で、改正されたかどうかを伺いたい。
  49. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察法の制定せられましたる当時の警察制度改革の基本的な精神といたしまして、従来の警察国家的な警察制度を打破して、警察民主化をはかり、これがためには中央集権的な警察制度をやめて、できるだけ地方分権の警察を取入れなければならない、こういうふうに一面において考えられる。と同時に他の面におきましては、警察の能率並びに経済性という面からいたしまして、国家治安の要請に適応するものでなければならぬ。こういう二つの一見相矛盾した言辞を総合いたしまして、今日の自治体警察並びに国家地方警察という二本立ての警察ができたわけでございます。情勢の一変ということも考えられまするが、しかし今日の日本の警察制度といたしましては、やはり根本的にはマツカーサー元帥の指示せられました警察制度改正についての書簡の趣旨にありまする地方分権、従つて警察民主化、この精神はあくまでも維持されなければならぬものでありまして、これを特に本質的に阻害しない範囲内におきまして、できるだけ能率的な警察力強化をはかつて行くということが、このたびの警察法改正の主眼点と相なつておる次第でございます。情勢の一変ということについては、いろいろお考えもありましようが、私といたしましては警察法改正に関する限り警察民主化、それがため地方分権、この根本精神はできるだけ維持して行きながら、国内治安情勢の要請に適合するような改正を行いたい。こういう考えで立案をいたした次第であります。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 ただいまの御答弁によりまして、警察民主化の方向だけは堅持する、その範囲内の改正であるということで、御答弁の印象では非常に微温的な、過渡的な改正であるというような気がいたしますが、講和会議が目睫に迫つておりますが、講和後におきましても大体今度の改正案実施しておけば、これ以上の改正は必要でないかどうか、朝鮮動乱、あるいは講和条約というような客観的な大きな情勢の変動がありますので、はたしてこの程度改正でよろしいかどうかということを、われわれは懸念するのでございますが、この点に関しましてはどういうお考えでありますかお伺いしたいと思います。
  51. 大橋武夫

    大橋国務大臣 私自身の考えといたしましては、講和後におきましても今回の改正でもつてやれるように極力努力をいたしたい、こういう考えでございます。
  52. 藤田義光

    ○藤田委員 次にお伺いしたいのは、自治警察の本質と申しますか、加藤総務部長もおられますが、地方自治体の本質の中に警察という観念は本来入るものかどうか、この点が非常に重大な問題でございます。これは終戰後の新しい地方分権、地方自治にみずからの治安というものが附加されたものであるかどうかあるいは元来地方自治体はその本質として警察を持つておるのかどうか、この点に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  53. 大橋武夫

    大橋国務大臣 元来国家には、その主要な目的の一つとして治安の目的があるわけであります。国家自体が国内におきまする治安を維持する、これは国家として当然そういう目的を持つておるものでありまするから、国家警察を行うことはあり得ることであると考えます。しかしながら一面におきまして、現在の地方自治体についての新しい考え方に従いますると、地方自治体としても、地方自治体の存立並びにその区域内の治安を維持することは、やはり当然の任務の一つである、こう考えられるのでありまして、警察制度あり方といたしましては、地方自治体にも警察権があり、また国家にも警察権があるべきものであるが、これをいかなる程度に両者に配分をして行くかという配分の問題である、こう考えております。
  54. 藤田義光

    ○藤田委員 そうしますると、大体自治体の理想としては、警察を併設することが妥当であるというふうに、われわれは解釈できるのでございます。従いまして先ほど来大橋さんが答弁されている中に、弱小自治警、つまり財政的に弱い自治警ということを繰返し言われておりますが、これはおそらく政府の施策が国家財政中心主義のために、こういう自治体の基本的な権利ともいえるような、警察が維持できないという結果になつているのじやないかと思います。従いまして弱小自治警の財政問題は過渡的でございまして、もし大蔵大臣等の認識が根本的に改まりましたならば、弱小自治警は自然解消するんじやないかというふうに考えております。従いまして現在の財政面のみをとらえて恒久的な自治警の存廃問題を、ここで改正案に盛ることは非常な危険がありはしないか、むしろいましばらく地方の財政の動きを見ておりまして、しかる後に決断を下した方が正しいのではないかという声もございます。この点に関してはどういうふうに考えておられますか。
  55. 大橋武夫

    大橋国務大臣 今回の改正案におきましては、弱小自治体警察権を、全面的に国家に接收するというような意図ではございませんので、住民が希望すればこれを国家において一時お預かりしてもよろしい、将来住民がまたみずから警察権を持ちたいと希望をいたしました場合には、自治体に返えす場合がある、こういうわけでございます。今後の住民意向がどうなるかということにつきましては、お説の通り財政士の点が非常に住民意向を支配し、影響を與えることはあろうと思います。しかしその場合におきましても、やはり装備の強化という点、それからまた経済性というような点を考えますると、国家全体の見地からいたしますると、あまり小さいものはむしろ国家においてやつて行く方が、国民経済として適当ではないかというふうに考えられるわけでございます。
  56. 藤田義光

    ○藤田委員 少し古くなりますが、二月末の東京新聞の論説によりますと、全国千三百の自治警察を持つ町村のうち、四百五十の町村について調べました結果、そのうちのわずか十五箇町村のみ自治警察の存続に賛成であるという状態でございまして、規定で住民投票ということになりましても、おそらくほとんど全面的に自治警が廃止という方向に向うのではないかと、われわれは想像いたしておりますが、大体今度の法律が施行されましたならば、どのくらい自治警は廃止になるであろうか、事務当局で見通しがありましたならば、お聞きしたいと思います。
  57. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このごろ警察の方では、あまり選挙のようなものの取調べもいたさぬことになつておりますので、従いまして将来の投票の予想等について、今取調べをいたしておりません。
  58. 藤田義光

    ○藤田委員 いずれにしましても、廃止する町村警察官の数というのは、現在の九万五千の四割を越すであろうというふうに、われわれは想像いたしておりますが、今度の改正案によりますと、わずか五千人だけが国家警察定員のわく外として認められまして、これに対する財政措置も用意されているようでございます。ところが、はなはだ具体的で恐縮ですが、池田大蔵大臣が在任中は、おそらくこの五千人という新たに増員されます警察官に対する給與に対しましても、この法律案と同時に予算案が出なければ、国民が安心してこの法律案を受入れられぬのであつて、むしろこういう増員をやることによつて、また再び地方財政にしわ寄せが加わりはしないかという懸念も相当ございます。五千人はかりに大蔵省から予算をくれましても、そのほかに廃止されたことによつて失職する警察官に対する身分の保障ということが、全然考えられておりません。この点は、むしろ治安強化するため警察の能力を引上げるために、せつかく大橋総裁考えられました改正案の結果によりまして、全国的に相当大きな治安の悪化を引起す、警察官自体が相当不安を感じておるという状態でございますが、この点に関しまして何かはつきりした財政措置のお見込みがありますかどうか。廃止された警察官の退職金、あるいはその後の身分保障の問題が、全部自治警察を持つ町村に負担せしめられることになりますると、おそらく財政的にも大混乱が起るのじやないかと、われわれは憂慮しておりますが、この点に関してお伺いしたいと思います。
  59. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず今回の自治体警察のうちで廃止の可能性のあるものは、町村だけでございまして、町村警察官の総計は、九万五千のうちで、約一万九千ということに相なつております。ただいま四割とお述べになりましたが、正確には一万九千となつておりまして、約二割であります。そうしてこれらの警察官はすべて国警定員に切りかえをいたすことに相なつておるのでございまして、この点は改正案の六十七条の三、これは警察の廃止を決定いたしました日におきまするその警察吏員の定数を、そのまま将来長く国家地方警察定員として附加されることに相なつております。従いまして特に希望によつて退職をいたしまする者のほか、法律上失職しなければならぬ者は一人もないということになつております。
  60. 藤田義光

    ○藤田委員 その点に関しましては、逐条審議の際詳細お伺いする予定でございます。この改正案を通覧いたしまして、われわれが最も遺憾に思いますことは、これは戰争の理論等を引出す必要もございませんが、自治警察と国家警察に力がわかれておる。合力をもつて分力を撃つべしということは、これはもう戰理の原則でございます。従いまして全国的な組織を持つ反社会勢力と闘つております警察というものが、これに勝つためにはどうしても自治警国警の合力を完成するということが、焦眉の急ではないか、特に一部過激思想に関しましては、全国民の関心も特にこの点が非常に深刻でございますが、改正案を見ますると、その点に関しまして何ら進歩の跡を認めないのでございますが、この点に関しまして何かこの法案の裏に名案がございますかどうか。改正案を表面から見ますると、何らこの点に対する懸念が解消されておりません。この点をお伺いしたいと思います。
  61. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まことにごもつともな御質問でございます。今回の改正案におきましては、自治体警察並びに国家地方警察におきまして、犯罪に関する情報の交換ということを、特に明文をもつて規定をいたしました。これは双方の協力を緊密ならしめたいという考えの一端が現われておるわけでございます。従来からも国家地方警察と、自治体警察相互に協力をすべきものである、こういう明文の規定があつたわけでございまして、この協力につきましては、非常にいいときはうまく行くのでございますが、何かありますというと、協力関係が阻害されるというようなことがあつたのでございまして、私といたしましても、就任以来御趣旨のような点から見まして、かような協力が阻害されるようなあらゆる事情を調べ、これを根本的に解決する必要があると考え研究をいたして参つたわけでございます。今回の改正を機会にいたしまして国警自治警連絡協調ということを、できるだけ緊密にするような具体的な措置を講じて参るようにしなければならぬと考えておるのであります。すでに共産党員の幹部の逮捕の問題につきましては、昨年来一部考えまして、協力のための機関を設けておるというようなこともございますので、かような点はぜひこれをますます推進いたしまして、御趣旨に沿うように努めたいと考えます。
  62. 藤田義光

    ○藤田委員 樋貝前国務大臣時代には、一行の改正すら実現しなかつたのに対しまして、数歩の前進であるということは、われわれもはつきり認めます。ただ巷間のうわさでは、現在の段階においては、客観情勢がこれ以上の改正は絶対に許さないというふうなことも言われております。その客観情勢の限度につきまして、当委員会でもし総裁から具体的にお話ができれば、われわれの審議の参考になりますのでお伝え願いたいと思います。最初申し上げました通り、非常に過渡的な案であるというような印象を與えますので、その一部のうわさがあるいはほんとうではないかというふうに、われわれも想像いたしておりますが、この点に関してお聞きしたい。
  63. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この警察制度改正の問題は、当初の警察法の制定の経緯から考えましても、司令部関係当局とせられましては、日本民主化の根本に触れた重要な問題である、こう考えておられるわけでございます。これが改正につきましては、きわめて重大なる関心を持つておられることは事実でございます。そうしてこの改正案の立案につきましても、司令部関係当局と緊密な連絡をとりまして、そうしてかような案を出した次第でございます。これは私どもといたしましては暫定的なものであるというような考えではなく、現在の警察制度改正として、これだけやれば所期め効果は上げ得る、他の点は実行上の努力と相まちまして、相当効果を上げ得るという考えのもとに、提案をいたしておる次第でございます。なおその折衝の経過等につきましての詳細な点は、適当なる機会に、御質問があれば御説明申し上げたいと思います。
  64. 藤田義光

    ○藤田委員 もう一点お伺いして打切りたいと思いますが、従来警察の能率の問題に関連して、常に話題になつたの自治警察の人事の澁滞でございます。これを何とか打開しないことには、自治警察の能率は向上しないということが常識になつておりますが、これは非常に全国的な大きな問題であるにもかかわらず、この改正案に全然考慮されていないようでございますが、援助の規定その他の類推解釈ででも、この一般の輿論というものを何とか反映できないかどうか、お伺いしておきたいと思います。  予備隊との関係その他に関しましては、いずれまた後日お伺いしたいと思います。
  65. 大橋武夫

    大橋国務大臣 自治体警察の人事の澁滞という問題は、自治体警察というものの規模が小さいために、人事の異動が円滑に行われない、こういうことであるのでございまして、これが解決の方法といたしましては、他の自治体警察との人事の交流、あるいは特に国家地方警察との人事の交流、こういつた問題が、従来からいろいろ研究の題目と相なつておる次第でございます。しかしながらこれらの問題は、いずれも警察法の法文自体から来る問題ではございませんので、運用上の実際の問題でございまするから、今回の改正は法文の改正という趣旨でございまするので、この問題を取上げておりません。従いましてこれは警察法改正とは切り離して、別個に研究を続けたい、かように考えております。
  66. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 この際法案審議に入る前に、大臣にお伺いいたしたいと思いまするのは、先ほど山手君もおつしやつた通りに、治安というものの総合的見地から、警察法改正というものは見るべきであるという御説明には、われわれほんとうに同感でありまするが、今日の治安関係の作用は、御承知の通りに国家地方警察自治体警察あるいは法務府の特審局、あるいはまた海上保安庁、鉄道に関しましては鉄道公安官、麻薬に関しては厚生省といつたぐあいにそれぞれわかれているようであります。そこでこういうものはいずれもそれぞれ有機的な一体をなしておりまして、その総合的見地から、それぞれの改正考えてみなければ、あとで非常に困難な問題が起りはせぬかということが懸念されるわけであります。ことに今度の警察法改正をめぐりまして、いろいろな問題が起こりましたうちで、この警察法改正を一体だれが企画立案したのか、これを、警察全体を主管する大橋国務大臣が、企画立案するのは当然であるかもしれぬけれども、しかしながら国家地方警察が、これを企画立案するということは、われわれ地方自治体警察をばかにするものであるというような誤解も、相当つたようでありますが、このたびの警察法改正は、もちろん事実上といたしまして、大橋国務大臣が総合的見地から、いろいろ指示されておるとは存じまするが、他に適当なるスタツフがないために、結局国家地方警察と緊密なる連絡のもとに、改正案考えたのであろうと、われわれは想像いたすのであります。しかしながら国家地方警察は、何も自治体警察の上にあるものではなくて、並行的立場にあることは、皆さん十分御承知の点であります。従いまして今後警察に関するすべての改正案その他の企画立案は、こういう総合的な見地から見るべきであるということになりますれば、大橋国務大臣といたしましては、適当なるスタツフが必要じやないかというふうに考えるのでありますが、これらについて国務大臣はどういうふうにお考えになつておりますか、その点のお考えを承りたいのであります。
  67. 大橋武夫

    大橋国務大臣 法案の立案ということにつきましては、事実上準備の仕事は国家公安委員会並びにその所属の機関にお願いいたしたということ、これは事実そうであります。しかし同時に法案を決定いたしますにつきましては、自治体警察を代表する諸君に対しましても、全面的な協力をお願いいたしまして、主要な項目というものは、すべて国家公安委員会並びに自治体公安委員会の双方の代表者が集まつてきめられたというわけでございまして、その決定せられたる方針を印刷するとかいつた、そういう雑務については、特にこれは自治体警察から援助するという方法も実行上困難でございますので、公安委員会所属の機関にお願いした、こういういきさつで進んだわけでございます。特にこれがために特に別のスタッフを持つというようなことは、必ずしも必要はなかろう、こう私としては考えておる次第であります。
  68. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 このたびの改正案によりますれば、とりあえず五千名の国家地方警察に対する増員考えておるようでありまするが、まあまことにけつこうと思います。しかしながらわれわれが地方におつて実情を見てみますと、例の管区警察本部というものが、全国に幾つかあるようでありまするが、これがはたして絶対に必要であるかどうかということにつきまして、はなはだ疑念を持つておるような次第でございます。この管区警察本部に勤務する警察官の数、あるいはこれの費用等は、あとで資料としてお届け願いますが、大臣は、こういう不必要とまでは言えないかもしれませんが、廃止すべきものは廃止するというようなお考えのもとに、率直に管区本部の存廃可否について御研究なつたことがありますかどうか。もし少しでもこういうものは今日の財政難の折から、あるいはその他人員難の折から、いろいろな問題を考えまして、それほど必要でないと思うならば、この際思い切つて管区本部のごときも廃止すべきじやないかというような気持がいたしますが、これに対して大臣の御所見を承りたいと思います。その理由等は時間がありませんから、申し上げません。
  69. 大橋武夫

    大橋国務大臣 管区本部がはたして必要かどうかという問題であります。これについての人員は、約全国を通じて警察官三百名おりますが、経費等につきましては後で資料をもつてお答えいたします。これが必要であるかどうかという点でございますが、従来の警察制度におきましては、府県知事地方警察の責任者でありまして、そのもとに警察部長がおる。ところが今回は府県公安委員会が責任者となり、そうしてそのもとに府県国家地方警察については隊長がある、こういうあり方でございます。しかも府県の公安委員会というものは、運営管理については責任を負うのでありますが、行政管理についてはまつたく責任を負わない、こういうことでありまして、行政管理はまつたく中央におきまする機関の責任でございますから、その中央の責任となつております行政管理についてのいろいろな補助をいたすという意味から申しまして、中間機関を設けることが、私は今日必要であると考えております。これは従来府県知事というものがやつてつた、それがなくなつたのでございますから、どうしても中央と各府県との間に、中間機関を設けるということが適当であろう、こう考えております。ことにまた関係機関でありますところの警察予備隊におきましても、管区というものがあるわけでありますし、また最も緊密に連絡をしなければなりません検察庁といたしましても、全国八箇所に高等検察庁を存置しております。こういうような状況でもございますので、かたがたこれらの他の機関との連絡という意味から申しましても、現在の管区本部を維持するということは適当であろう、こう考えております。もとより行政整理その他の際におきましても、現在のごとき人員がはたして必要かどうか、これは十分検討しなければならないと思います。またでき得る限りこれを節約いたしまして、第一線に振り向けるということは、むろん必要でありますが、現在の警察制度のもとにおきましては、かような中間機関は必要であり、有益である、こういう考え方をいたしております。
  70. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 いま一点簡單に結論だけ伺いたいと思います。これはこの前齋藤国警長官にお伺いいたしたのでありまするが、あらためて大臣にお伺いをいたしたいのは、首都警察の問題であります。首都というものの性質が、完全なる自治体のままで置いておくべきであるか、あるいは国家的な意味を持つべきものであるかということについては、いろいろ考え方は違うであろうと思いまするが、少くとも治安上の観点から、これを完全なる自治体として、国家はこれに対して格別の指揮権も持たなければ、干渉権も持たないという制度が、はたしていいかどうかという問題について、首都警察についての大橋国務大臣のお考えを承りたいと思います。
  71. 大橋武夫

    大橋国務大臣 首部警察についての龍野君のお考えにつきましては、まことにごもつともだと存ずるのでございまするが、何分にもこれは非常に大きな警察組織でありますので、十分愼重に研究しなければならぬ、こう考えておる次第でございまして、ただいまのところでは現状についてはつきりと、こうすべきであるという結論に到達しておらないのでございます。
  72. 前尾繁三郎

    前尾委員長 龍野君いいですか。
  73. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ありません。
  74. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ほかに御質疑はありませんか。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十二分散会