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1951-03-27 第10回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十七日(火曜日)     午後三時四十一分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 野村專太郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       生田 和平君    池見 茂隆君       大泉 寛三君    門脇勝太郎君       川本 末治君    佐藤 親弘君       田中 啓一君    床次 徳二君       久保田鶴松君    立花 敏男君       大石ヨシエ君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         地方自治庁次長 鈴木 俊一君         総理府事務官         (地方自治庁財         政課長)    奧野 誠亮君  委員外出席者         專  門  員 有松  昇君     ――――――――――――― 三月二十三日  委員佐藤親弘辞任につき、その補欠として平  野三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員平野三郎辞任につき、その補欠として佐  藤親弘君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十二日  旅館対象とする遊興飲食税撤廃に関する請  願外三件(畠山鶴吉紹介)(第一四五一号)  同(松浦東介紹介)(第一五三一号)  地方自治法の一部改正に関する請願野村專太  郎君紹介)(第一四七三号)  地方自治法施行令の一部改正に関する請願(野  村專太郎紹介)(第一四七四号)  地方税法の一部改正に関する請願野村專太郎  君紹介)(第一四七五号)  博物館に対する入場税免除請願若林義孝君  紹介)(第一四七六号)  私立博物館に対する固定資産税免除請願(若  林義孝紹介)(第一四七七号)  遊興飲食税撤廃に関する請願野村專太郎君  紹介)(第一四七八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  警察法改正等に関する陳情書  (第四四七号)  地方自治法の一部改正に関する陳情書  (第四四八号)  教育財政確立のため平衡交付金増額陳情書外  八件  (第四五一号)  狩猟者税軽減に関する陳情書  (第四五三  号)  地方行政調査委員会議勧告実現地方行、  財政確立に関する陳情書  (第四六八号)  教育財政確立のため平衡交付金増額陳情書  (第  四七〇号) を本委員会に送付された。 同日  地方財政法第十三条第二項及び同条第三項の規  定に基く意見書(その2) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九五号)     ―――――――――――――
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案一括議題として質疑を続行いたします。野村專太郎君。
  3. 野村專太郎

    野村委員 今回の地方税法の一部改正に関する法案に関して、従来委員会においても数次にわたつていろいろ論議中心なつておりました入場税遊興飲食税、これらに対しまして今日の状態は、まことに私らの納得妥当性を欠いておると考えておる。しかも年年両税とも相当税收増を見ておりますが、これに関しては、少くとも将来においては他に財源を求めて、文化国家としてふさわしい入場税、あるいはまた可能な、しかも内容に富んだ中小業者のための飲食税等については、適正なる改正を見られると思うのですが、これらの両税を通しての増收に対しては、少くともこれらの関係方面減税に振り向けることは当然であろうと考えております。また遊興飲食税のうちの甘味喫茶、こういつたような消費者対象にする税に対しては、百円程度免税ということは、前回委員会においても私は要望いたしたわけですが、この三点に対して大臣の御所見を伺いたい。それからまた科学日本として、これまた毎国会問題になつております電氣ガス税セメント——ほかの産業に対するこれらの税の非課税の問題、これらもいわゆる自然増相当考えられるので、これらははずすべきであると考えておりますが、これらの見通しに対しまして、大臣の御所見を承りたい。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御説しごくごもつともでございまして、先般来この委員会においてもそういう御質問もございましたが、なにさま今回の税法改正といたしましては、昨年の夏できました税法簡單なる手直しだけということのようにして出しまして、実はこの税法につきましては、御承知の通りに、今行政調査委員会議政府並びに国会に対して勧告いたしております通り、近い将来において地方自治団体の仕事のあり方が、はつきりときめられなければならぬということになつておるのであります。でございますから、私どもといたしましては、この地方公共団体の実体がはつきりときまりました上で、昨年通りましたところの税法根本的の改正をして、地方財政の強化をして行こう、こう考えておりますので、お説に出ましたようなことも、十分政府としても考えておりますし、また将来税法根本的改正をいたしますときに、これを十分尊重いたしまして、御趣旨に沿うようにしたい。こう存じておる次第でございます。
  5. 野村專太郎

    野村委員 ただいま岡野国務大臣のお話によりまして、大体了承することを得たのですが、特に都道府県税においては、この困難な両税を重要な税收対象にいたしております。これらに対しましては神戸博士勧告、この線に沿つて根本的な見解に立つて政府提案されんことを、強く要望いたして私の質疑を終ります。
  6. 床次徳二

    床次委員 この機会平衡交付金法改正に関しまして、一言大臣の御答弁を得たいと思います。それは平衡交付金法は、地方の自主的な財政運営を確保しながら、全地方団体を通じて、その必要なる財源を保障するというのが建前なつておりますが、この制度実施されまして以後、今日のところ、地方財政実情を見て参りますと、決して財政が強化されたというのではなしに、今日は非常に窮迫な状態にあると、私どもは見ているのであります。過般予算の審議の際におきましても、政府の考えておりまするところ、あるいは地方財政委員会、あるいは当委員会等見解から察しましても、およそ百九億に達する交付金の額に対しまして問題があるのでありまして、このことに関しましては、一面において地方税がいまだ確立せられておらない点もありますが、それと同時に、交付金法そのものの運用が、まだ法律の予期した通りに完全に実施されておらないというところに大きな原因がある。しかもその根本をなしますものはやはりいわゆる單位費用の算定が、確実にまだ固まつておらないというところに大きな原因があるのだと思うのであります。今度の改正法案におきましては、この單位費用計算は、事務の都合上さらに昨年と同じように地方財政委員会におきまして、暫定的に決定するごとくなつておるのでありますが、この点はただいまの地方財政現状から考えまして、私どもまことに遺憾と思うのです。ぜひ正しいところの、最も適切なところの單位費用法律によつて決定するという本来の建前によつて、私どもはこれを確立いたしたく考えておるのでありますが、何分にも時間的に間に合わない。また今後の再配分その他の問題がありますので、今日においてはやむを得ないということでありますならば、これまたいたし方ないのであります。ただわれわれ国会立場といたしまして、でき得る限り本来の趣旨におきまして、單位費用計算において十分責任の持ち得るように、財政委員会において決定されんことを望みまして、このためには地方財政委員会におきまして、單位費用を決定される際におきましては、あらかじめ国会、当委員会に対しまして、十分なる御連絡を得まして、国会意見財政委員会の決定に反映し得るがごとく、政府並びに委員会において処置をおとりになるようにお願いするのであります。この方法によりまして、今後でき得る限り地方財政の基礎におきまして、先ほど申し上げましたような大きな欠陷を生ずるというおそれのないように、私どもは確保いたしたいと思うのであります。この点に関しまして、岡野国務大臣の御答弁をお願いする次第であります。
  7. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問趣旨は、十分われわれも自覚しておる次第でございます。これをなぜ今回法律にしなかつたかと申しますことも、やはり御質問趣旨通りに、まだ平衡交付金法施行されましてから時日がなく、法律でちやんときめてしまうほどの自信がつかないような感じを持つておる次第でございます。でございますから、できるだけ実情に沿うように財政委員会の規則を改めて行きたいと存じます。またその改めますにつきましては、国会の御趣旨を十分尊重いたしまして御連絡もし、また御指導も受ける、こういうことにいたしたいと思います。
  8. 川本末治

    川本委員 本法律案はすでに連日長時間にわたりまして、各委員諸君から熱心な質疑がありまして、これに対しまして、政府委員からも相当詳細な答弁もありましたので、もはやこの程度質疑を打切られんことの動議を提出します。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま川本末治君より質疑終局動議が提出されましたが、本動議賛成諸君起立を願います。     〔賛成者起立
  10. 前尾繁三郎

    前尾委員長 起立多数。よつて川本君の動議のごとく両案に対する質疑はこれをもつて終局いたしました。  それでは引続き、まず地方税法の一部を改正する法律案に対する討論、採決を行いたいと思いますが、ただいま委員長の手元に自由党国民民主党及び社会党の各委員より共同して修正案が提出されておりますので、まずその趣旨説明を聽取いたします。床次徳二君。     —————————————
  11. 床次徳二

    床次委員 地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、修正提案をいたしましたところの提案者にかわりまして、修正趣旨を弁明いたしたいと存じます。なお修正案を朗読すべきでありまするが、長くなるので、この点はお手許に配付いたしました書面によりまして御了解を得たいと存じます。簡單修正趣旨について御説明申し上げたいと思います。  この趣旨の一におきましては、遊興飲食税非課税範囲を拡張いたしたいと思うのでありまして、道府県は大学を除きましたところの各学校修学旅行の場合の、その旅館宿泊飲食に対しましては、従来は遊興飲食税を課しておつた形なつておりますが、今回これを非課税とすることにいたしたいと思うのでありまして、この規定を特に加えた次第であります。  それから第二点は、市町村民税におけるところの改正であります。第二百九十六条におきまして、ここに各種団体の名前を掲げてありますのは、非課税団体を、これだけ追加いたさんとするものであります。従来は土地区画整理組合あるいは耕地整理組合のごとき法人が入つておりましたが、健康保險組合あるいは農業協同組合、その他共済組合等組合が今日まで除かれておつたのでございまして、この点に関しましては、すでにしばしば当委員会等におきましても、論議なつたところでありまして、この際これを非課税対象に加えんとするものであります。しかしながらこの協同組合等におきましては、その活動が本来の事業範囲を逸脱する場合におきましては、他の一般中小企業者に対する影響もあるのでありまして、今日組合に対する補助育成と申しますか、その限度において非課税にいたします範囲は、政令をもつて定めたいと思うのでありまして、すなわち健全な運営ができるようになりましたときにおきまして、課税を開始するという取扱いにいたしたいと思うのであります。これによりまして無用の摩擦を避けんとすることを考慮しておるのであります。  それから第三点は、市町村民税における改正のうち、個人均等割に対する金額が、従来相当重きに失するという議論があつたのでありまして、実際昨年以来市町村民税に対する最も大きな怨嗟の声は、この市町村民税が高過ぎるというところにあつたのでありまして、この際まことに一部とは考えまするが、均等割の意味におきまして、おのおの百円ずつ減額いたしまして、その要望にこたえるということにいたしたいと思うのであります。  第四点はこれに対応いたしまして、法人に対する所得割の増徴になつております。政府原案におきましては百分の十の所得割を課することになつておりますが、この際これを百分の十五に上げる。なおその制限率を百分の十六に改めることによりまして、所要の増收を期待しておる次第であります。  第五点は事業税に関する改正でありまするが、これは第七百四十三条に関係しておりますが、各種協同組合並びに新聞業に対しましては、これを課税いたしておつたのでありまするが、今般かかる協同組合並びに新聞業に対しましては、その事業の性質上これを非課税にすることが適当であると認めまするので、これまた修正実現を果し得たわけであります。なお協同組合等に関しましては、先ほど同様政令で定めるものの行う事業といたしまして、やはり健全な運営ができまするに至りまするまで、非課税対象とするということに取扱つておるのであります。  第六点はただいまの協同組合その他の非課税に関連する条文の整理であります。  以上簡單修正案の大要を申し上げました。本来でありまするならば、地方税改正に対しましては、まだいろいろと私ども改正をいたしたい点が残つておるのであります。しかしながら根本的な改正に関しましては、来るべき行政事務の再配分その他地方税実施経過ということを十分考慮いたしまして、近い機会におきまして、本質的な改善をいたしたいと考え、今日はさしあたり実現のできまするところの、しかも最も緊急やむを得ないというようなものに対しまして、この程度改正を行わんとするものでありまして、どうか皆様方の御賛成を得たいと存ずる次第であります。
  12. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付します。龍野喜一郎君。
  13. 龍野喜一郎

    龍野委員 私は自由党を代表いたしまして、本案並びに修正案に対し賛成の意を表せんとするものであります。賛成の論旨をきわめて簡單に申しますならば、政府提案にかかる今回の地方税法の一部改正案は、昨年八月一日から実施せられました新地方税法施行の結果にかんがみ、住民負担合理化し、税務行政運営を効率的ならしめるため若干の改正をなさんとするものであつて政府の言うところによれば、シヤウプ第二次勧告趣旨を尊重して、その示唆にかかる諸点を参考とし、地方税負担均衡化地方税徴收制度改善をはかることを目的としたものであります。申し上げるまでもなく地方税法は、新しい地方自治の裏づけとなるべき地方財政制度根幹的支柱をなすもので、従来のわが地方税制を総合的かつ根本的に変革したものでありましたため、そもそもその成立の当初から、幾多の問題を包蔵しておりまして、朝野至るところで盛んに論戰が行われました。国会における審議並びにこれが成立するに至つた経過におきましても、また大いなる波瀾曲折のありましたことは、われわれの記憶に新たなところであります。かようにして新税法は、その成立以前から多くの改正意見や、希望を向けられておつたのであります。もとより今回政府提案にかかります改正案は、新地方税法実施後、日なお浅く、今日として右の見地から当面なし得る改正限度、すなわち主として税務行政上の改革にとどまり、地方税法の持つ一切の実質的欠陷を是正し、これをもつて地方財政確立を保障し、地方住民負担合理化軽減を約束する底のものでないことは当然でありまして、かかる根本的かつ徹底的な改正は、行政事務の再配分や、地方財政全般にわたる地方制度根本問題とも関連を有することであつて、その実現にはかすになお歳月をもつてせねばならぬと存ずるのであります。よつてかかる大改正は他日の機会を待つことにいたしまして、現実に現状に即してでき得る限りその理想に向つて改善の歩を進めることは、必要なことであり、かつなさなければならぬことであると存ずるのであります。これが本案賛意を表するわれわれの根本的態度であります。改正されます諸点は、附加価値税市町村民税固定資産税事業税に関する若干の改正及び国民健康保險税創設及び税務行政執行に関する諸点を含んでおるのでありますが、これらの一つ一つの点について触れることは省略いたします。そのおもな問題となつております点について、われわれの意見を申し上げますならば、市町村民税について新たに法人税割を設けたことであります。今日の法人課税相当重いということはわれわれも同感でありますが、しかしながら今日の市町村民税の中にありまして、法人の占めております負担は、個人の場合に比較しまして、相当軽いではないかということは、先般の前国会においても、相当論議中心になつたのでありまして、われわれはその沿革から見ましても、この法人に対して相当地方税を分担してもらうことは必要でないかと考えておつたのでありますが、今回この法人税割を設けまして、個人及び法人間の課税上の不均衡を是正するということは、われわれはしごく同感であります。またその徴收方法について、源泉徴收方法を採用するということについては、われわれは双手をあげて賛成であります。この問題につきましては、あるいは異論もありましようけれども、われわれが地方をまわりました実見によりますれば、特に勤労所得階級におきましては、この住民税を一度に納めるということは苦痛に耐えられない、相なるべくはこれを源泉課税として徴收してもらいたいという声が、一般であつたようでありまするが、この声を率直に取上げられまして、今回の改正案として提出せられましたことに対しましては、われわれはしごく賛成をいたす次第でございます。  さらに年齢六十五年以上の者で、前年中に十万円を越えざる所得を有しなかつた者を免税するという取扱いは、社会政策的に申しましてまことにけつこうと申すべく、前回におけるところの地方税改正案に、未亡人に対して同様の措置を講じておつたのでありまするが、未亡人及び年齢六十五年以上の者を同様に取扱うということは、まことに適当な社会政策的措置であると断ぜざるを得ないのであります。  その他固定資産税に関しましては国民要望を聞きまして、公営の庶民住宅居住者のごとき固定資産使用者に対する固定資産税の本税を廃止するとか、あるいは償却資産に対する本税の免税点を、三万円に引上げるというようなことは、われわれのまことに賛意を惜しまざるところであります。  国民健康保險税創設は、これは新税ではありまするが、その実質は従来の保險料にかえて創設されたものでありまして、住民の新たなる負担増加とはならないのであります。ただ税の形をとるということは、何としても強制力を伴うこともあり得ることでありまするが、しかしながらそれあるがために、今日保險財政がとかく窮乏に降りまして、地方自治体はこれがために非常に困つておるという現状にあつてみましては、どうしても国民健康保險事業の完璧を期する上におきましても、そうした税の形にして、そうして、社会保障制度確立をはかることは、万やむを得ない筋合いではないかと存ずるのであります。  国税地方税との徴收関係につきまして、その歩調を一にして、そうして徴收方法及び租税特別措置法の一部改正をなすということは、これは徴收せらるる国民立場より見ますれば、国税地方税との徴收方法その他にデコボコがあるということはたえられないことであります。この点にかんがみまして、今回その歩調を一にせんとする改正でありまして、これもまたわれわれのしごく賛成するところであります。その他脱税防止のために適当なる措置を講ぜられましたことも、これまたやむを得ぬ点であると存ずるのであります。  かようにいたしまして政府改正案は当面即応の、いわば主として徴税技術上の改正にすぎず、真の住民負担軽減均衡化理想からは、はなはだ遠い点もあるようでありまするが、前述のごとく根本的な大改正は他日に期待いたしまして大局的見地から本案成立希望して、賛意を表する次第であります。  次に修正案に対して賛成の要旨を申し述べたいと思います。前々国会あたりから、地方税の問題として取上げられました幾多の問題のうちで最も大きな問題は、すなわち先般も申し述べました市町村民税における法人個人との負担の調整の問題及び協同組合に対する事業税市町村民税免税の問題、新聞事業に対する事業税免税の問題、あるいはまた遊興飲食税における学校の生徒、兒童の修学旅行のための宿泊に対する免税問題等があつたのでありまするが、先ほど提案されました修正案が、この点を率直に取上げられまして、一挙に解決をはかられたことは、まことに同感の至りであります。この点につきまして少しく意見を申し述べますれば、先ほど申しましたこれらの免税あるいは減税をなすためには、約二十億の收入減となるわけでありまするが、この緊急やむを得ざる減税措置のために、二十億の財源をどこに求めるかという問題について、修正案はこれを法人税割政府提案にかかる一〇%を一五%に引上げるという点に、その解決点を求めているようでありまするが、この点につきましては、あるいは相当異論もあろうかと存じます。今日の法人課税国税において三割五分、それに政府原案によりますれば、それの一〇%、また修正案によりますれば一五%という結果、法人所得の四〇%強が税金としてとられるということになりますれば、資本蓄積が刻下の急務として考えられておる今日、相当の問題ではあろうと思いまするが、先般も申しました通りに、法人の市町村における住民税負担は非常に軽きに失する。しかも法人はこの程度の税率の引上げは、われわれは負担にたえるのではないかと考えるのであります。と申し上げますのは、今日のこの修正案市町村民税均等割を百円引下げるというふうにやるのでありまするが、今日の国民の個々の所得から考えますれば、あの均等割相当重いと、われわれは考えざるを得ない。今日の国民所得はほとんど最低生活を保障するにようやくである、その中からさくということは、百円でも、五十円でも相当の困難を感ずるというのが、今日の国民実情ではないかと考えるのであります。そのことはこの所得税徴收成績において、申告所得相当未納が多いということが、それを雄弁に物語つておるのではないかと考えるのであります。これに反しまして法人徴收状況は、すでに一〇〇%を越しておる。これは何も法人負担が軽いという説明にはならぬかもしれませんが、しかしながら徴收成績が非常によいということは、ある程度負担力があるというふうに見ても、さしつかえないのじやないかという一つの論拠にもなるのではないかと考えるのでありまして、以上の修正案は、現下の、われわれが長い間叫んでおりました点を、一拳に解決したことであるといたしまして、敬意を表する次第でございます。また営利を目的としない協同組合に対して、事業税及び市町村民税免除するというがごときことは、これはまことに同感しごくでありまして、かくすることによりまして、地方中小商工業及び地方農村の振興は、期してまつべきものがあろうと存ずるのであります。同じく公益事業である新聞事業に対する事業税免除は、これも当然の措置であろうと存ずるのであります。  以上のような点から考えまして、われわれは修正案に全面的に賛意を表するのでありまするが、この際私は若干の希望を付したいと存ずるのであります。それは本委員会においても、しばしば問題になつておりました入場税の問題でありまするが、入場税前回改正案によりまして、今までの十五割が十割になつた。これは一応敬意を表すべきことでありまするが、しかしながら入場税が十割というがごときことは、全世界に類例のない高率でありまして、文化国家建設を使命としておるわが日本としては、まさに恥ずべきことではないかというふうに考えるのであります。われわれはこの入場税のごときは、どんなに多くてもこれは五割程度にすべきであるというふうに考えるのであります。しかしながら財源関係その他によりまして、今回は間に合わなかつたのでありまするが、この問題は政府におかれましても、全国の希望並びに国会のこの空気をよく察知せられまして、適当なる機会に、入場税軽減について勇敢なる改正案を提出せられんことを要望いたすのであります。  また遊興飲食税についても同様でありまして、遊興に関する税のことはとにかくといたしまして、飲食あるいは宿泊に対してでも税金をとる、しかもそれが四割もしくは二割をとるというがごときことは、国民生活を著しく圧迫するものであると考えるのでありまして、これもひとつ適当なる機会にぜひとも軽減せられんことを要望する次第であります。  次に電気ガス税でありまするが、これは今日生産増強につきまして、最も支障になつておる一つの点でありますが、これらを産業の育成、あるいはまた輸出の増進という点から申しまして、非課税対象にすべきことは、今日日本の国情からいつて、当然であろうと存ずるのでありまするが、これも財源関係で今日間に合わないことは非常に残念でありまするが、政府におかれましても、適当なる機会に、すみやかにこれを非課税にされんことを要望する次第でございます。  最後に私は軍人遺家族について政府においても、深甚なる考慮を払つてもらいたいということであります。軍人遺家族に関する問題は非常にデリケートでありまして、ここに軽々に論ぜられない問題であるということは、十分承知しておるのでありまするが、すでに占領治下六年にもなる今日であります。ことに遺家族がいかに悲惨なる境遇にあるかということは、私が申し上げるまでもなく十分御承知と思うのでありまするが、この問題につきましては、前国会において未亡人に対しての非課税扱いをしたことによりまして、一部解決を見ておるようであります。しかしながらこういうような微温的措置では、まだまだわれわれは満足することができません。この上におきまして、遺家族についても地方税の減免の措置を講ずることについて、今からその用意をいたされんことを要望する次第でございます。  以上はなはだ簡單でありまするけれども政府提案改正並びに修正案に対して賛成の意を表する次第でございます。
  14. 前尾繁三郎

    前尾委員長 門司亮君。
  15. 門司亮

    ○門司委員 私はまず共同提案になります修正案に対しましては、賛成の意を表するものであります。但し政府提出の原案に対しましては、遺憾ながら賛成をするわけには参らぬと考えておるのであります。  その理由といたしますところを、きわめて簡單に申し述べたいと思いまするが、附加価値税が従来控除法にのみよる算定をいたしておりましたものが、今回これに加算法が適用されることに相なつておるのでありまして、控除法と加算法との得失はおのおの見る人によつて異なるとは考えておりまするが、しかし少くともこの税が流通税であるということに間違いはないということを考えて参りますると、控除法によりましても、これは最後に消費いたします者が累積された課税を、全額支弁しなければならないということになつておるにかかわらず、もし加算法が適用されるということになりますと、従来の控除法による、事業に直接関係をしておりましたものが、事業の一切の收支によつて算定されるということになつて参りますると、控除法を適用するものと、あるいは加算法を適用するものとの間に、おのおの選択制にはなつておりますが実質上の問題といたしましては、利害が相反する場合があるかと思いまするので、納税者の方の立場から申し上げまするならば、ここに迷わざるを得ない形ができて来て、従つて納税をいたしまする者の煩雑性が生れて来るということに相なつて参りまするので、この点については税が累積されて来るということが一つの理由と、さらにもう一つは、先ほど申し上げました直接事業の用に供しない、いわゆる売上高といいまするか、それが税の中に織り込んで参られることになりますると、帳面の計理の上だけは便利でありまするが、実際はそれだけ余分な税金がかかつて来て、それが累積されて、従つて最後の消費者が累積された分だけをよけいに支払うというような形に相なつて参りますので、この点につきましてはわれわれは賛成はしがたいのであります。  次に市町村民税の問題でありまするが、市町村民税の問題を論じまする前に、一応政府原案に対するわれわれの態度を明確にしておきたいと思いまする点は、政府は今度の地方税全体を通じまして、自然増收を相当見込んでおるのであります。ところが実際提出されました改正法案の内容を検討して参りますと、ことに市町村民税におきましては、従来課税していなかつた法人に対して、所得税の一〇%をかけておるのでありまするが、この総額は大体四十一億に相なつて参るのであります。従つてこれは明らかに自然増收でございませんで新しい増税を示しておるということが、はつきり言えると思うのであります。この税法の中に四十一億の増税が含まれておりながら、これが説明の際には、自然増收という形で説明されておるということにつきましては、われわれはきわめて遺憾の意を表するものであります。同時にまた国民健康保險にいたしましても、これは従来保險料として徴收をいたしておつたものであることには間違いはありませんが、しかし一応の税額というものが、新しい税種目としてここにあげられました以上は、これだけやはり表面上は増税に相なるということには間違いはないのであります。従つて市町村民税の内容を検討いたしまする前に、政府の言い分である自然増收というものの中には、そういう当然増税であるべきものが、四十一億以上含まれておるということが、はつきり言えると思うのであります。従来法人所得割が現行法においてはなかつたということ、ところが政府は御存じのように従来の住民税の形をとつて参りまするならば、法人の納めまする額が、東京あるいは神奈川等の実例を見ますると、税の中の三七%はこれらのものにかけておつたということは、間違いなかつたのであります。ところがたまたま地方税法改正されましたときに、法人に対しまする所得割一切を、あるいは資産割等もかけないということに相なつておつたのでありまするが、この点につきましては、とかくの異論がありましたために、今回わずかではありまするが、一〇%の税金がかけられる。しかしこれもまだ個人所得税の百分の十八から見ますると、約八%程度の不均衡状態を示しておる。従つて政府にほんとうの誠意があつたとして、従来ここで議論されましたことを、政府当局が十分にお考えになつておつたといたしまするならば、たとい一〇%でありましようとも、あるいは四十一億の増税でありましようとも、これは当然個人所得割なり、あるいは個人均等割で、それだけ下げられるということが、われわれとしては従来の本委員会のいきさつとして考えられなければならなかつたはずだと思うのであります。しかるに政府はこの点に対して何ら考慮するところがなかつたということについては、われわれはきわめて遺憾に考えておるものであります。同時に先ほど申し上げましたように、個人に対しては百分の十八の税率をかけ、法人に対しても今回かけるとはいつても、それが百分の十ということは、やはり法人個人との同じ所得に関係いたしまする税率としては、きわめて不均衡であるということが言えると思うのであります。  次に源泉徴收の問題でありまするが、なるほどただいまの龍野委員のお話の中にもありましたように、一部におきましては、源泉徴收は月々納めることになつて参りまするので、納めいいという点から考えますならば、一応そういうことはうなずけるのであります。しかし税の建前から申し上げますると、納税というものは、国民が納得いたしまして、みずからの所得の中からこれを支払うということでなければならない。それがみずからの所得を自分の手に納めないうちに、源泉徴收として徴收されるということは、いかがかと考えておるのであります。それと同時に、源泉徴收をされまする勤労階級というものは、捕捉において百パーセントの捕捉が容易に行われ、徴税において百パーセントの徴税が行われる。もとより税は捕捉を百パーセントいたしまして、徴税も百パーセント行われるということが、正しい原則であるということは言い得るのでありまするが、しかしこの税法の算定されておりまするものを見て参りますると、やはり市町村民税法においては、徴收額というものは大体九〇%程度しか見てありませんし、さらに徴收額は徴税額の九〇%しか見てないということは、予算と政府が出されました税法の資料に明確になつておりまするので、これを考えて参りまするときに、ひとり源泉徴收者のみが百パーセントの捕捉と百パーセントの徴税をされるということは、理論上は別といたしまして、実際上の問題において納税者間に、不均衡が当然現われて来るということが言い得るのであります。これらのことに対しまして、われわれは当然現実的に徴税をされておりまする額まで、これを控除することが正しいのではないかと考えておるのであります。こういう点がこの税法の中に認められていないということであります。  次に固定資産税の面でありまするが、固定資産税の点につきましては、一応免税点を設けましたことにおいて進歩したような形は示しておりまするが、しかし但書の中に、これも財政の都合においては免税点以下も徴收することが、できるという、きわめてあいまいな規定になつておるのであります。今日の地方財政は非常に行き詰まつておりまして、各市町村あるいは都道府県におきましては、法定外独立税の設定を今望んでおるときであります。従つて別個に法定外の独立税を起さなければならないというほど、行き詰まつておりまする財政の窮迫の状態から考えて参りますると、ここに免税点を設ける、しかしその免税点財政の都合によつては、その以下にもかけることができるという規定になつて参りますと、免税点というのは、表面上きわめて体裁のいいものであつても、実際は行われ得ないだろうということが、われわれには当然考えられるのであります。従つてもしこれを真に親切に三万円以下の者に対しては、課税しないということがいいというならば、当然これは基礎控除に改むべきではなかつたかと考えておるのであります。  最後に修正案の中に書いてありまする国民健康保險税の問題でありまするが、国民健康保險税の新しい創設は、現在の国民健康保險の保險料徴收がきわめて困難であるという一つの理由から、長い問これを税金の形において徴收することがいいという議論もあつたということは事実でありまするし、また実際行つておりまする町村におきましては、そういうことが考えられるかとも思いまするが、しかし国民健康保險は、これを政府説明されておりまするように、一種の目的税によつて考えるべきであるか、あるいは国民健康保險の本来の目的でありまする社会保障制度の一環として、これを処置すべきであるかということについては、多大の疑念をわれわれは持つものであります。もちろん国民健康保險は、社会保障制度の一環であるということに間違いはないのでありまして、従つてこれが社会保障制度の一環であるといたしまするならば、これを目的税として課税をすることは、国民健康保險自体の本質から考えて参りまするならば、多大の疑問を持つと同時に、われわれはこれを税金の形で目的税として徴收することについては、賛成しがたいのであります。便宜上こういう取扱いにおいてこういうことがなされるというが、しかし税でありまする以上は、やはりこれに罰則がついて参りまするので、当然社会保障制度として認むべきものについて、これが取扱いの便宜上、目的税という形で現われて来たことによつて罰則をつけるということは、われわれといたしましては賛成しがたい点であります。  なお国民健康保險の従来の保險料徴收から考えますると、従来は資産割あるいは所得割が五〇%を占めておつて、残りの五〇%の中が被保險者割と、さらに世帶割というふうにわかれておつたわけであります。今回は所得割と資産割は、保險料徴收いたしておりましたときと同率になつておるのでありまするが、個人の世帶割と被保險者割の場合になりますると、従来被保險者割は少かつたものが、今度は五%ふえておりまして、従来多かつた所得割の方が、反面に五%減額されております。こうなつて参りますると、なるほど目的税の観点から申し上げますると、被保險者が多いから当然賦課率が多くなるということはりくつに合うのであります。しかし実際の問題といたしまして、これを社会保障制度という観点から考えて参りますと、やはり被保險者の多い家族ほど、実は生活も困難であろうと思いまするし、また出費も多いということを考えて参りますると、これはやはり従来の保險料金を徴收しておりましたときの割合であることが、正しいのではないかとわれわれは考えるのであります。のみならず所得割と資産割にかけておりました料金の徴收の場合には、制限額がなかつたことのために、あるいは三万円納める人もありまするし、また所得の非常に多い人、資産の非常にある人は五万円も納めた人があつたかと思いまするが、今回これを全部一万五千円以上はとつてはならないという規定を設けたということであります。これはなるほど目的税の観点から申し上げますると、あるいはそういうことが言い得るかもしれない。しかしながら、実際の保險というものが相互扶助の関係に置かれておりまするものであり、さらにこれが社会保障制度でありまする以上、少くともやはり持てる者に多くの負担をしてもらうということが、国民健康保險の本来の趣旨ではないかと私は考えておるのであります。しかるにこれを一万五千円に限定したということは、先ほど申し上げましたように、よく言いまする貧乏人の子だくさんというところに、これが目的税という観点から課税の率をふやして行き、さらに同じような理論の上に立つて考えたことから、従来三万円あるいは五万円程度まで納めた人に対して、一万五千円でこれを打切つたという、この大きな矛盾を指摘しなければならないと思うのであります。従つてこれらの点に対しましては、私どもは反対の意見を申し述べるのであります。同時に概括的に申し上げて参りまするならば、先ほど龍野委員も申し述べておつたのでありますが、従来本委員会においてしばしば議論になつておりまする税法改正の要点というものが、ほとんど取入れられていなかつたということについては、われわれきわめて遺憾の意を表するものであります。  以上きわめて簡單ではございましたが、政府原案に対して反対の意思表示をいたしたいと考えておるものであります。
  16. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花敏男君。
  17. 立花敏男

    ○立花委員 共産党といたしましては、政府提案改正案並びにその修正案、本日提出されました社会党、民主党、自由党の共同提案になる修正案、これを含めまして全部反対であります。自由党龍野委員賛成討論の中にも、今度の改正は技術的改正で、住民負担軽減にはほど遠いということを言われたのでありますが、やはりその通りでありまして、ほど遠いどころか逆に二百億円の増税である。これはもはや明らかなことである。しかも自由党自身が、これは住民負担軽減にほど遠いと言つておられる。また今社会党の討論を聞いておりましても、この税の改正根本に触れてないということを言つておられる。ところがそれらのことがなぜ実現できないか。私はやはりここに大きな問題を含んでいると思う。大体今度の改正案が出されて参りました形は、大臣説明によりましても、一応部分的な修正であるというふうに言われておりますが、実はそうではございませんので、今度の修正がなぜ部分的な、あるいは技術的な改正にとどまらざるを得ないかということが問題でございますが、同時にそれが單なる部分的な技術的な修正ではないということ自体が、大きな問題でなければならないと思います。すでに御承知のように、国際帝国主義は日本をアジアの侵略の拠点といたしまして再建しようという考えを最も露骨に現わしております。これに対しましては、すでに国内だけではなしに国際的な非難も巻き起つておりまして、もはやこの事実はおおい隠すことはできないと思う。こういう政治、経済、財政、税制までも含めまして、日本の一切のものを規定する根本的な方針、これをわれわれは検討しなくては、今度の税法それ自体を検討することはむずかしいのではないか。こういう根本的なものが最も端的に現われますのが実は税法であります。税法は最も直接的な人民に対する收奪の方法でありまして、これはごまかそうにもごまかされない。いかに言葉の上でごまかそうと、あるいはいろいろな点を通じてごまかそうとも、税の收奪の点においてはどうしてもごまかせない。だから税法を見る場合に、そういう観点から見る必要があると思う。すでに現在日本におきましては、国際帝国主義のいろいろな政策が具体的に実行されようとしております。またされつつあります。たとえば日米経済協定の陰謀、あるいは日本再軍備の陰謀、あるいは講和後の日本における外国軍隊の駐屯、あるいは共産党の非合法化、あるいは平和運動の彈圧というふうな一連の日本の民主的な方向に対する弾圧の方向が行われておるのでありますが、これら一連の動きと関連して、今度の税法改正案が出て来ておるということを深く私どもは考えなければいけないと思う。そういう観点から、今度の地方税法改正は明らかにそういう国際独占資本の要望に沿つたものであるということが、まず第一に注目されなければならないと思います。もつと具体的に申しますと、現行の地方税法は、中央における軍事予算の確保のためにつくられたと申しましても、私は過言ではないと思う。国際独占資本の要求が、日本にいろいろな軍事的な要求を押しつけ、それが最も露骨に現われておるのが軍事予算の編成でありますが、その軍事予算のしわ寄せとしての地方財政の窮迫、それを救うものとしての地方税制改正、従つて地方税の増徴という形が明らかに現われておりまして、現行地方税法改正は、明らかにこの日本の軍事予算の確保を目的としておるということが言えると思います。であるからこそ、世界で最悪の税金であると言われておる人頭税が、すでに昨年の夏の地方税改正で日本に実施されました。このことが最も象徴的に、この地方税改正自体が国際独占資本の要求に裏づけられておると言うことができると思う。現在提出されております改正案ではなしに、改正しようとする現行地方税法そのものが、すでにそういう性格を持つておる。去年の夏につくられましたシヤウプ勧告に従うところの地方税法改正、あれ自体がそういう要求を持つておつた次第なのであります。その結果として、人民は大きな收奪——一挙に四百億という増税の圧力にあえぎ、また一挙に三倍、五倍になりました住民税の圧力にあえぎまして、目下住民は税金を納めようにも納められないという状態に立至つております。このことは徴收率の低下そのものが明らかに示していると思う。東京におきましては、一月末日の住民税徴收率がわずかに四八%で、半ばにも達しておりません。大阪におきましてはまだひどいのでありまして、これは大阪市役所の正式の発表でありますが、一旦三十一日の統計では、わずかに三二%・三分の一にも達していない。このことはいかに現在の地方税が悪税であるか、人民にはたえがたい税金であるかということを明白に物語つていると思う。一月末におきます全国の統計も、わずか五〇%内外でありまして、もはや人民が払うにも払えない税金であるというところまで行つております。これはいかに国会政府、与党が多数を頼んで通しましても、決して民主的に決定されたものではないということは、もはや半分の人間が納めようにも納められないということが明白に物語つておると思う。こういう状態でありまして、しかもさらにこの納められない税金に対しまして、最近政府は官憲を動員し、あるいは徴税機構を強化いたしまして、非常に無理な徴税をやつております。たとえば先般京都におきましては、勤労者の月給袋を地方税のために差押えた。現在のサラリーマンあるいは給料取りがその給料で生活できないのは、もはや衆目の見るところ疑いのない事実でございます。しかもそれをすら税金が納められないという理由のもとに、断固として差押えをやつておるのでございますが、ここまで参りますと、もはや税金をとりますためには、国際独占資本の收奪の要望にこたえますためには、人民の生活を顧みない、勤労階級の生活を顧みないで、月給袋そのものを差押えるという、最も端的な悪いところが最も露骨に京都の例が出ておるのであります。さらに東京におきましては、東京警視庁管下の警察署は、税金を批判する一切の人民の集会を禁止しておる。悪税反対の会合を禁止しておる。こういつた事実が現われておりましてもはや税・金に対しては人民の批判の声も許さない。このことは逆に申しますと、いかにこれが悪税であるか、現在の税に対する人民の批判を政府・与党が恐れておるかということを、明白に物語つていると思います。しかし人民は生きて行かなければなりませんので、こういう税金、こういう收奪に対しましては、人民は断固として闘争に立ち上つております。たとえば私の故郷であります淡路の福良におきましては、不当なる税金、あるいは払えない税金に対しまして、全町の住民が徹底的に反抗に立ち上りまして、徴税吏員を追つ払い、あるいは警官を追つ払い、あるいはジープを追つ払つております。これは人民が実はそこまで追い込まれている、立ち上らざるを得なくなつているということを最も端的に現わしていると思う。こういう状態が現実の姿でございます。しかもなお政府はこういう状態に立至るような前年夏の地方税法改正に対しましては、この税法改正通りますならば地方財政確立する、これによつて地方財源を与えられて、地方行政もまつたく円滑に行くというようなことを言われたのですが、それが事実によつて裏切られていることは明瞭であつて、いまや地方財政自体こういうとれない税金、払えない税金のために破綻しつつあります。今二十六年度の予算の編成に当つておりますが、この二十六年度予算はもはやまつたく普通の予算が組めませんで、暫定予算あるいは骨格予算を組まざるを得ないのが、一般的な全国の自治体の状況であり、さらに前年度予算の一割天引、あるいは二割天引というような、まつたく予算の体をなさないような予算が組まれておる、また組まざるを得ないというのが地方自治体の財政状態でございます。これが、去年の夏政府がこの地方税改正案が通れば、地方財政確立し、地方の行政は円滑に行くんだと言われたその改正案の結果なんです。私は幸い岡野国務大臣がおられますので、十分この現実の姿に立脚していろいろな施策をお考え願いたいことを要望しておきますが、しかも政府はこういう地方財政の困難につけ込みまして、言葉をかえて言いますと、地方財政をこういう困難な状態に追い込んでおきまして、その弱点を利用いたしまして、地方を操縦しようというふうに受取れるような施策をなさつておられます。それの一つには、せつかく実現いたしましたところの警察制度の民主化、警察の地方自治体への委譲、こういうものが、地方財政が困難だという見地から、自治体警察の返上論が起り、それを国家警察に統合して行くというふうなことで、これはまつたく地方財政の困難につけ込みまして、再び国家警察を再現しようという陰謀であると言つても言い過ぎではないと思うのです。あるいは最近道州制の問題が問題になつておりますが、これ自体も、地方財政の困難を理由として、幾多の特殊な伝統を持つておりますところの数箇町村を一挙に併合いたしまして、一定の人数をそろえて、それによつて財政的な裏づけをはかつて行こう、こういうふうなことは、いたずらに財政の困難に籍口いたしまして、地方の独自性も、自主性も、特殊性も認めないというような、まつたく日本のこの歴史ある、由緒ある地方自治体の存在を認めないというような考え方でありまして、政府は明らかに地方財政を困難に追い込みながら、その弱点を利用いたしまして政府の思うままに中央集権的な、あるいは軍事国家的な方向に持つて行こうとしておることが看取されると思うのですが、そういうことは明らかに地方の自治の逆行であるということを、つけ加えておきたいと思うのであります。従つて地方の自治体は、こういう状態のもとにおきまして、とうてい完全な地方の行政が行えるはずはありません。まつたく腐敗し、あるいは混乱し、あるいは破壊されつつあることは事実なんです。で、すでに京都あたりにおきましては、二十六年度の予算におきまして、法律で新しくきめられました八千円ベースが、正当に予算に組めないので、六千三百円ベースで予算を組まざるを得ないというような状態に陷つております。あるいは私のおります神戸市におきましては、二十六年度の一般予算は、大体五十五億でございますが、驚くなかれ競輪、競馬に対しまして、市は十億の予算を組んでおるわけです。明らかに一般予算の二割内外の金がこういう植民地的な、まつたく不生産的な面に使われておる。十億という金が神戸市では競輪、競馬のために予算に組まれておるのです。こういうことでは決して私は健全な予算ではないと思うのであります。そういう結果であるからこそ、地方事業、特に單独事業などが行われるはずはありません。事業の繰延べ、あるいは中止、こういうことが続々起つております。事業ができないくらいでございますから、地方公務員の給料は完全には支払われていない。従つて給料の遅配欠配が慢性的になろうとしております。これも事実でありますが、すでに去年の末におきまして、日本で一番富裕な市だと言われております芦屋市におきまして、給料の遅払いが起つておる。昨年の暮れの年末資金に至りましては、関東におきましても銀行から金を借入れて払わなければならないというような状態が起つておる。あるいは地方公務員の超過勤務手当につきましても、もう払えないのが常識である。幾ら超過勤務をいたしましても、それに対する手当はもらえないのが当然であるというふうな考え方すら、地方公務員の中には起りつつあります。こういう状態におきましては、地方公務員は安んじてその職を全つとうすることができないのが当然であると考えます。しかも政府は、こういう地方財政の困難に対しまして、何ら具体的な救済の方法、と申しますか、これに対する中央からいたします財政の裏づけを考えていないということ、その一番明らかな例は、この間政府並びに与党は、消防組織法という法律を通してしまわれましたが、これに対しては何ら財政的な裏づけをなさつていない。このことは明らかに地方財政法根本的な趣旨に反するんじやないかと思う。今でさへ困つておりまして、地方自治体警察の返上論すら起つている地方の困難な財政の上に、何ら財政的な裏づけなしに、消防組織法を必須事業として押しつけておる。これは政府が何と強弁されようとも、自治体の財政の問題を考えていないと言われてもやむを得ないと思うのです。また平衡交付金の問題にいたしましても、自治庁は、平衡交付金の増額を要望する、希望するということを口に言われながら、実際は、少くともこの問題はサボつておられる。岡野国務大臣は、地方財政委員会要望があるにもかかわらず、閣議におかれましてはちつとも努力されていない。しかもこの委員会におきましても、これは与党の方、あるいは委員長に申し上げたいのですが、最近一週間ばかり、この地方税法修正案関係方面に交渉するんだという口実のもとに、完全に委員会をサボつております。この地方税法改正と同時に、地方財政平衡交付金の問題が委員会で取上げられておるということ、地方財政平衡交付金法改正案自体すらが、私ども審議の途中であるということであります。こういう問題を放つて置いて、いたずらに委員会を開くべくして開かない。毎日の公報には、午前十時から開くと書いてありながら、一週間ばかり開かない。これは委員会の大きな責任問題だと思う。委員長委員会委員長であつて、党の委員長ではないはずなのである。委員長が必要と認めて委員会を公示して置きながら、單に党としての修正案のために走りまわつて委員会を開かない。しかも重大な平衡交付金の問題を今に至るまで決定しない。これは重大な責任であると思う。私は地方税法改正案が出て参りましたときに、政府並びに委員長に対しまして、平衡交付金と関連して審議すべきであると思うが、その関係はどうするかと言つたときに、委員長は並行的にやるんだとはつきり明言された。しかるにかかわらず、事実の問題といたしましては、この重要な期間中に一週間も空白の状態で、この問題を放置しておるということは、政府並びに与党の人たちが明らかに地方財政に関しましては、何ら考えるところがないと申しても過言ではないと思うのです。  さらにこの問題についてつけ加えて申しますと、預金部資金の問題、資金運用部の資金の問題、これは……。
  18. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、討論ですから……。
  19. 立花敏男

    ○立花委員 討論しております。衆議院あるいは参議院の本会議におきまして、この金は地方から集まつた零細な金であるから、当然地方に還元すべき金であるということを決議されておる。ところがこの問題も、この委員会では取上げられたことがないわけである。ほんとうに政府地方財政の困難を救い、あるいは地方住民負担軽減しようというならば、こういうような問題は当然取上げられなければいけないのですが、こういう問題を取上げようとしない。
  20. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、討論をやつてください。今は討論の時間ですよ。
  21. 立花敏男

    ○立花委員 討論しています。
  22. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それは討論範囲外です。
  23. 立花敏男

    ○立花委員 じやどうです、中止しますか。私は討論だと思つてつておるのですが、委員長討論じやないと思われるなら……。そういう状態に置いておいて、何ら改善しようとせずに、それを逆に今度はなおさら改悪する改正案を出して来ておる。さらにその改正案審議されておりました最後の日に至りまして、突如として厖大な修正案を出して参りました。それに対しまして、何ら根本的な質疑も行わないで一挙にやろうとしておる。またきように至りまして厖大な修正案を出して参りまして、これに対しましては、今ここでやつたことですが、質疑も何も行わない。こういうような形でこの議事を進めようとしておりますが、こういう手続自体が、今度の改正案が、改正ではなくて、実は改悪であるということを最も明瞭に表わしておると思うのです。よろしくこの委員会運営はもつと民主的に、言論の自由を尊重して行わるべきだと思います。出された修正案に対して質疑も行わないというようなことでは、私ども審議することはできないわけです。  今度の改正案の改悪の要点は、大きく見まして、二つの点があると思います。まず第一には、この改正案は明らかに、最近最も露骨に現われて参りました、国際独占資本の世界制覇の改革への一部であるということ。(「またか」と呼ぶ者あり)これは特に注目しなければならない問題でございまして、自由党の人たちから、またかという意見がございましたが、またかと言われるほど、この問題は重要な問題でございまして、実は最近に至りまして、私がさつき述べました傾向が、一段と飛躍的に高められまして、非常に重大な段階に立ち至つております。これは私が前の委員会におきまして意見を述べました際に、私の意見が不穏当だといつて自由党の方から発言がありまして、委員長が適当に処置するという言葉が言われたやに私は承つておりますが、この重大な問題を、自由党委員は御存じないのじやないか、だから、またかというような意見が出て来るのじやないか。
  24. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、討論ですから、討論をやつてください。
  25. 立花敏男

    ○立花委員(続) その一つの例を申し上げますと、私は決してこれは……。
  26. 前尾繁三郎

    前尾委員長 討論範囲内でやつてください。今は、地方税法の一部を改正する法律案に対する討論をやつてもらつているのですから、その範囲でやつてもらいます。
  27. 立花敏男

    ○立花委員(続) その範囲でやつています。それは最近特に日本が決定的にアメリカの産業、経済、税制の一部に吸收されようとしていること。これが最も必要な問題だと思うのです。このことは、先般日本に参りましたアメリカのダレス特使のトルーマンに対する報告の中に、明らかに現われておりまして、これはもう日本のブルジヨア新聞が一斉に報道しておることでありますから、御承知かと思いますが、読み上げておきたいと思います。それは、マツカーサー元帥は西欧の再軍備計画に役立つために、ただちに日本が何を生産できるかを示す……。
  28. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、簡單に願います。
  29. 立花敏男

    ○立花委員(続) リストをできるだけすみやかに作成し、これを米政府に提出する必要についても意見が一致した。たとえば砲の照準器、双眼鏡、パラシユートなどを製造するために、日本の労働力と生産設備を利用することは、西欧にとつて重要なことであり、このような日本の軍事的寄与の基礎となる日本の経済力は、できるだけすみやかに復興させるべきである。」また同じころの産業経済新聞にも、はつきり載つておりますが、とにかく問題は日本の産業、経済、税制、財政、政治、こういうもの一切がアメリカの圏内に取入れられ、しかも軍事的目的のために利用されようとしておるということ。これが明白な事実である。だからこそ、日本の税制自体も明らかにアメリカの税制の一部として、アメリカの納税者の負担を、日本の納税者の負担に転嫁する。そういうことがはつきり言えると思う。これが今度の改正案で注目されなければならない第一点だと思う。それから次は、こういう傾向に便乘いたしまして、日本の反動勢力がその一部の犠牲を、日本の人民大衆に転嫁しようとしている。この二つのことが、私は特に注目されなければならないと思います。この一般的な傾向が最近の物価高となつて現われ、あるいは低賃金となつて現われ、しかもそれが税金の面では増税となつて現われて、勤労大衆がそのためにまつたく塗炭の苦しみに陷つております。こういうことを一般的に申しましても御承認ないかと思いますから、つけ加えておきますが、たとえば、これは三月二十三日の新聞ですが……。
  30. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君、討論ですから、その範囲外のことをお話になつて、これだけ注意して聞かなければ、中止いたしますよ。
  31. 立花敏男

    ○立花委員(続) こういう状態でございまして、具体的にこの法案の内容について指摘いたしますと、たとえば附加価値税の改悪の問題、附加価値税につきましては、この控除方式を加算方式に改めておるということ。あるいは償却資産に対する償却を、課税対象から免除するということ。この二つの方法がとられておるのでありますが、これは明らかにアメリカの要望いたしますところの資本の蓄積、ことに軍需資本の蓄積に一役買うものでございまして、このことは私どもといたしましては絶対に賛成ができない。たとえば現在のいわゆる特需産業におきましては、厖大な利益を社内に留保いたしておりまして、紡績あたりにおいては、一億の資本で一年間に十二億の利益がある。しかもそのうち八億ばかりはいろいろな名目で社会に留保いたしまして、課税対象になるのは四億ばかりである。こういうような形が公然と行われております。そういうことを今度の地方税改正で、合法的なものにしようというのが、今度の附加価値税の改悪だと思うのです。こういうことはどういたしましても納得できませんので、もし資本の蓄積をはかられますならば、小野政務次官の言われましたように、資本の蓄積は日本の万人の望むところであると言われるならば、その蓄積されました資本は、軍需産業に使われることなしに、日本の人民の生活のために使われなければいけないのですが、遺憾ながら現在の蓄積されました資本は、さいぜん読み上げました、軍需的な、砲の照準器をつくるための資本の蓄積である。
  32. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花君の今のお話は、もう再三注意しておるように、討論範囲を逸脱しておりますから、中止いたします。
  33. 立花敏男

    ○立花委員(続) そんなものじやない。次に住民税の……。     〔「中止と言われておるじやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  34. 前尾繁三郎

    前尾委員長 中止いたします。床次徳二君。
  35. 床次徳二

    床次委員 私は国民民主党を代表いたしまして、ただいま上程せられました地方税の一部を改正する法律案、並びにこれの修正案を含めまして賛成するものであります。しかしながらこの改正案並びに修正案に関しましては、ただいまもお話がありましたごとく、根本的な改正というものに対しましては、これを将来にまちたいという考えでございます。しかし今日の現状におきまして、この程度まで修正並びに改正ができたことに対しましては、まことに喜ばしいことと思つておるのでございます。しかしながら将来の地方自治という立場を考えまして、なお注文をいたしたい点を二、三述べてみたいと思います。  各税に対する意見に対しましては、先ほど龍野委員あるいは門司委員からお話がありましたので、省略させていただきます。根本的に考えますことを一つお願いいたしたいと思うのでありますが、それは今日地方自治が非常に窮迫に陷つておるという点であります。この点政府は、予算の均衡上やむを得ない、必要な経費も出せないというようなお話でありますが、しかしこの状態はあまりにも大きな事実となつて現われておるのでありまして、本年度予算におきましても、すでに補正予算において五十三億平衡交付金において不足があり、また地方債においても百五十億の金が要望せられておるのであります。なお二十六年度予算におきましても、百九億の平衡交付金地方債におきまして百八十五億という数字が要望せられておる。これはいかにいたしましても、現実と、政府のとられております取扱いとの開きが大き過ぎるのでありまして、この点は今日地方財政の危機として、私ども非常に痛歎にたえないところであります。これに対する対策に対しまして、われわれといたしまして、何と申しましても、地方自治がほんとうに民主的に運営せられるように、また地方団体が、こういう理由ばかりでなしに、その住民の向上のために盡し得るがごとく、いわゆる地方団体の固有事務について——国家の固有事務に限らず、相当な配慮が望まれるのであります。これに対しましての根本的対策は、第一に平衡交付金の増額という問題、これは先ほども論ぜられておるのでありますが、第二は地方財源の付与という問題、この点は今日の地方税法改正において、十分考うべきことなのであります。しかしながら今回の改正におきましては、この点は遺憾ながら十分でなかつたのであります。私どもといたしましては、今後の地方財源に対しましては、やはり相当財源を国庫から委讓するとか、あるいは今日の地方税について、しかも非課税なつておるものに対しまして、これを徴收する余地が残されておると思うのであります。今回の改正並びに修正の際におきましては、十分この点は論議いたしたかつたのでありますが、何分にも予算がすでに提案せられておる今日におきまして、数字を動かすということは、技術問題においてなかなか困難があつたのであります。来るべき時期におきましては、予算を提案せられると同時に、やはり地方税に関しましても提案をせられまして、十分国家予算と関連いたしまして、地方税の問題を審議し得るような配意を政府要望するものであります。  次に、今回特に感じました重要な点だけ二、三申し上げてみたいと思うのであります。源泉徴收に関しましては、趣旨としてはまことにけつこうだと思うのであります。しかしながら源泉徴收を受けます者は、大部分いわゆる勤労者の立場にありますものでありまして、これを他の納税者と比較した場合におきましては、もつとこれを尊重すべきもの、これに対して優遇の措置を講ずることが適正ではないかということを申し上げたいのであります。  第二に、地方税のうちに大衆課税と目せられるもの、すなわち入場税遊興飲食税、あるいは荷車税、自転車税、こういうものの軽減も、当然これは一考いたさなければならないのでありますが、今日におきましては、いまだ実現ができなかつたのであります。この点は私どもはなはだ遺憾に思うのであります。これは来るべき議会におきましては、これにかわるべき財源というものを地方に与えつつ、ぜひ実現するように政府の方も考慮せられたいのであります。  なお次に国民健康保險税でありますが、先ほど門司委員からもるるお話がありましたが、現在の国民健康保健法の実情を見て参りますと、これはまつたく憂慮にたえない状態であります。確かに若干のものにおきましては相当実績をあげておるものもありますが、これはきわめて例外でありまして、大部分は困難な経営をいたしておるのであります。しかもこれを他の健康保險法と比べますと、その内容において著しく差があることを私ども認めるのであります。今日社会保障制度実現要望せられております際におきまして、とりあえず国民健康保險法によりますものが、この際目的税として市町村税に現われたということは、まことに一時的なものでありまして、私どもは必ずしもこの行き方に対しましては、満腔の賛意を表するわけに行かないのであります。政府におかれましてもこれは十分研究せられ、一日も早く社会保障制度実現し得るような措置を講ぜられたい。先ほど門司委員から指摘されておりますような欠陷を持ちましたところの国民健康保險税というものが、実施せられることによりましていろいろの問題が生ずると思うのであります。この点に関しましては十分愼重な留意を要望するものであります。  なお特に固定資産税実施につきまして要望いたしたいと思いますが、われわれといたしましては、固定資産税償却資産非課税範囲に対しましては、いささか疑義を持つておるのであります。もつと非課税範囲を拡張すべきものと考えておるのであります、これが改正に対しまして努力はいたしたのでありますが、その実現を見なかつたことはまことに遺憾であります。それと同時に、この固定資産税の評価に関しましても、これは今年からいよいよ実際的に実務に入るわけでありますが、いろいろ問題が少くないと私ども予想しておるのであります。政府におきましては、固定資産税実施につきまして十分遺憾のないように、法文に書いておりますがごとき真に適正なる評価を行いまして、地方税運営におきまして欠陷の生ぜざるよう、留意を願いたいのであります。  以上私ども地方税に対して要望しております意見を申し上げた次第でありますが、政府におかれましても、ただいまの要望事項を十分留意せられつつ本法の実施に当られまして、来るべき地方税根本的改正を目途として、われわれの希望に沿われんことを要望して、ここに賛意を表して終る次第であります。
  36. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいま委員長の手元に、立花敏男君より、委員長不信任の動議が文書をもつて提出せられましたので、委員長の職務を野村理事に行つていただきます。     〔委員長退席、野村委員長代理着席〕
  37. 野村專太郎

    野村委員長代理 ただいま立花敏男君より、委員長に対する不信任の動議が提出されましたので、これについて議事を進めます。  まずその趣旨の弁明を許す順序でありますが、その発言時間を五分以内とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 野村專太郎

    野村委員長代理 御異議がなければ、時間は五分間、といたします。  それでは立花敏男君から不信任の趣旨弁明をお願いいたします。
  39. 立花敏男

    ○立花委員 五分間と限定されたようですが、承服できません。と申しますのは、何らこの際二十分や三十分、一時間や二時間の時間は問題になつていないはずであります。と申しますのは、与党の人たちは、すでに今日まで約一週間、五回の委員会を無断でサボつておられるわけです。決してきように始まつたことではございません、私どもは何らの理由も説明されないで、委員長から一回の弁解も聞かないで今日までたえ忍んで来たのですが、ここまで無為に延ばしておきながら、今に至りまして五分や十分の時間の問題ではないと私考えます。従つて当然私の発言は許さるべきであるし、しかも私のさいぜんの発言は、すでに具体的な案の内容に入つておりまして、住民税のところまで行つておつたわけです。それを突如として打切られるということは納得できませんし、しかもそれに対する委員長不信任の動議を、五分間に限定するということは、なおさら私は納得できません。  委員長不信任の理由を申し上げますと、実は今起りました私の意見を打切る問題、それから本日の修正案に対して質疑を許さなかつた問題、あるいは本日に至るまで一週間の間何らの弁明もなしに委員会をサボつて来た問題、その間におきまして、平衡交付金の問題、あるいは預金部資金の問題、あるいは地方財政の問題、こういう問題について何ら真劍な検討を委員会で行わず、従つて地方住民要望、あるいは地方自治体の要望に何らこたえるところがなかつたという問題、こういう問題で私は委員長不信任、さらにさかのぼつて申し上げますと、共産党を警察小委員会から除外いたしまして、すでに委員会におきましては明らかに言論の抑圧が行われておる。これは何ら委員長におきましても解決いたしておりませんし、今委員長代理になつております警察小委員会の野村小委員長も私に確言されておりながら、今に至るまで一箇月以上たつのですが、この問題を解決していない。こういうことは委員会自体が明らかに言論の抑圧を行つておる証拠なんです。しかもこの問題に対しまして、私は前に委員長不信任案を出しました際に、委員長はつきり言つてあります。こういう状態が続く限りは、私どもは議会の言論の自由を守るために、何回でも委員長不信任案を出す、それを今私は実行したにすぎないので、委員長はそのことは了承されておつたと思う、私はこういう点から委員長は、絶対に信任することはできません。
  40. 野村專太郎

    野村委員長代理 これよりただいまの不信任案に対しまして、討論をいたしたいと思いまするが、討論の御希望はございますか。
  41. 門司亮

    ○門司委員 今の立花君の提案でありますが、立花君が説明いたしました提案理由のすべてに、われわれは賛成をするものではありませんが、ただ問題となつております、本日に限られた問題につきましては、——委員長は再三注意をされたとは言つておりまするが、その再三注意をされたことについて、立花君は一応了承したとわれわれは考えておるのであります。それは注意をされたことにおいて、ただちに本論に入つておつたことは、後日速記録を調べても、私ははつきりした事実だと思います。従つて本論に入つております以上は、やはり本論に基いて十分意見を述べるということは、正しいのであります。ことに個人意見というよりも、党を代表した一つ意見であります以上は、従来の質問等とは異つて、案の採決をいたしまする、きわめて重要な発言でありますことのために、やはり一党の意見というものは、われわれは尊重すべきだと考えおります。従つて本論に入つておるにもかかわらず、それが前回何回かの注意をしたということは、——私は注意をしたということ自体が理由にはならないと思います。本論に入つて、なおかつ逸脱する点があるならば、これはそのときに再び注意をさるべきである。従つて私は委員長のとられた処置につきましては、この際それを承認するわけに参りません。立花君の動議に対して、賛成の意を表するものであります。
  42. 野村專太郎

    野村委員長代理 ほかに御発言はございませんか、——ほかに御発言がございませんければ、討論はこれをもつて終局いたしたいと思います。  これより採決をいたします。前尾委員長に対する不信任動議賛成諸君は御起立を願います。     〔賛成者起立
  43. 野村專太郎

    野村委員長代理 起立少数。よつて前尾委員長に対する不信任の動議は、否決せられました委員長の復席をお願いいたします。     〔野村委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それではこれにて討論は終局いたしました。これから採決いたします。  まず自由党国民民主党及び日本社会党の各委員共同提出の修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  45. 前尾繁三郎

    前尾委員長 起立多数。よつて修正案は可決されました。  次にただいまの修正部分を除く原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  46. 前尾繁三郎

    前尾委員長 起立多数。よつて地方税法の一部を改正する法律案修正可決されました。     —————————————
  47. 前尾繁三郎

    前尾委員長 次に地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対し、討論に付します。門司亮君
  48. 門司亮

    ○門司委員 今議題になつております地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対しまして、日本社会党といたしましては、反対の意思表示をいたします。反対の趣旨をきわめて簡單に申し述べたいと思います。  この改正法案は、現行の地方財政需要額を算定いたしまするものが、地方公共団体財政の百分の七十を目安に置いておりますものを、百分の八十に改めようとする案であります。これは見ようによつては、きわめて簡單な案でありますが、実質的にこれを考えてみますると、地方財政の標準財政需要額というものは、言いかえますならば、ほとんど経常費であつて、いわゆる地方公共団体が普通の場合において事務あるいは事業を遂行いたします場合にのみ、これが適用される部分であつて、しかもそれが従来の地方公共団体の予算の中の七〇%であつたということについてすら、われわれは多少の不平を持つてつたのでありますが、これが八〇%になつて参りますると、地方財政というものと、地方の行政というものは、まつたく平衡のとれないものが出て来ると思うのであります。言いかえまするならば、その財政の八〇%までが、平衡交付金の算定の標準額になつて来るということになりますと、残りの二〇%だけが、地方公共団体の自由の裁量によつて行われるという形になつて参る。こうなつて参りますと、新規事業であるとか、あるいは従来の事業改正であるとかいうようなことにつきましては、財政上きわめて窮屈な状態が出て参ります。そうして新興都市等に対しましては、その都市の、あるいは自治体の発展を阻害する、殻も大きな原因となると同時に、これは百分の七十でありました際においても、平衡交付金配分につきましては、いろいろ不公平、不平が唱えられておりましたものが、なお八十に改められて参りますと、財政標準需要額と地方財政との間におきまするひとつの大きな不均衡といいまするか、それがただちに平衡交付金に影響を持つて参りまして、そうして地方自治体は、従来も平衡交付金の争奪戰が行われておりましたものが、より以上深刻になつて来るということが一応考えられ、同時にきわめて少数の町村におきましては、平衡交付金が非常にふえて来るという形が出て参りまして、現在ですら不均衡であるということが唱えられておりますものが、なおさら不均衡なつて来る危險性を持つておるわけであります。それからもう一つの大きな原因は、かくいたしまして、地方財政の需要額がだんだん大きく見積られることによつて、平衡交付金対象となるものが、だんだんふえて参れば参るほど、中央の財政に対する権限が非常に大きくなつて参りまして、財政面から来る中央集権的の現象が現われて来ると同時に、また半面にこれが大きくなればなるほど、地方の自主性が失われて来ると同時に、また平衡交付金の額が実際上の問題として減少されて行く危險性が、ここにあると考えておるのであります。従つて法案改正は、地方自治体にとりましては、まつたくの改悪であつて地方の公共団体財政に及ぼしまする影響と、それから従来われわれが考えておりました地方公共団体の自主的自律性の上に、きわめて大きな影響を持つということは、先ほど述べました通りであります。従つてきわめて簡單ではありましたが、以上の理由を申し述べまして、本案に対しては、反対の意思表示をするものであります。
  49. 前尾繁三郎

    前尾委員長 藤田義光君。
  50. 藤田義光

    ○藤田委員 私は国民民主党を代表いたしまして、ただいま審議中の地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に、賛成の意を表する次第であります。この平衡交付金制度に関しましては、現在実施されております国家の幾多の補助金制度とともに、私は本質的な疑問を持つております。平衡交付金法の第一条には、この法律をつくりまして地方自治体の独立性を確立するということがうたつてございまするが、本法律施行以来の実情その他を勘案いたしまして、でき得ればこの制度に該当する国家予算というものをあげまして、地方自治体の独立財源にするということも、将来考えられる大きな問題ではないかということを考えております。特に地方行政調査委員会議事務の再配分と関連いたしまして、この点に関しましては、本質的な解決をまたねばならぬ時期が、近い将来に来るのではないかと私は思つております。この本質的な問題はさておきまして、本国会審議実情にかんがみまして、政府改正は技術的に大体において無理のない改正であるという結論に到達いたしております。もちろん経費の種類あるいは測定單位等に関しましては、当面根本的な検討を要する点もあるのでございます。また附則にありまする特別平衡交付金制度に関しましても、二十六年度より本制度実施するという規定がありまして、三十七年度以降いかにするかという規定がございません。従いまして地方財政運営の衝に当る人たちに、多少の不安を与えておりますので、でき得れば一年前の今日におきまして、この制度の将来に対しましても、何らかの法文化の措置をとつたらどうであつたかという気持がいたすのでございます。またこれも根本的な問題になりますが、今回の地方平衡交付金のわくの決定にかんがみまして、将来国家財政地方財政の円滑なる運営を期するために、平衡交付金のわくというものを、一応はつきり法文でうたう必要があるのではないかというようなことも考えられるのでございます。この平衡交付金運営する官庁の問題に関しましても、一つの案を持つておるのでございます。もちろんこの点に関しましても、いまだ時期が熟しておりませんので、われわれは計画にとどまつておるわけでございますが、少くとも現在の地方財政委員会と自治庁、あるいは地方行政調査委員会議、人事院、選挙管理委員会等を統合いたしまして、全国一万数千の自治体のほんとうのよき相談相手としての一つの官庁の設置、たとえば自治省のごときものを、ぜひとも近い将来に考えるべきではないかということを、平衡交付金のわくの決定の経緯にかんがみまして、痛切に感じておる一人でございます。この点に関しましては、小野政務次官からも非常に丁重なる御答弁をいただいておりまするが、将来われわれとしてもぜひとも真劍に研究すべき問題の一つであるということを、はつきり感じた次第でございます。以上申し上げました今後の施策についてはいろいろ希望がございまするが、今回の改正案は大体において時宜に適したものとして、われわれは賛意を表する次第でございます。
  51. 前尾繁三郎

    前尾委員長 立花敏男君。
  52. 立花敏男

    ○立花委員 私は議事進行の方法といたしまして、最初に文句を申し上げておきたいと思うのであります。私ども理事会からボイコツトされております。従つて運営がいかに行われるかということは私は知らない。本日は地方税を採決するということは聞いておりましたが、平衡交付金に対する採決までやるということは、私はどこからも、どの委員からもお聞きしたことはないのです。こういう方法委員会運営が行われておるということは、これは明らかに少数党に対する一方的な言論の圧迫であるということを、最初に申し上げておきたいと思うのであります。もし理事会でおきめになつたならば、各小会派の委員にも徹底するように、本日はどういう議事の進行をやるのだということを、前もつて明らかにしておいていただきたいと思うのであります。  それで平衡交付金の問題ですが、今度の平衡交付金改正につきましては、大体二つの点が出ております。一つは標準徴收率の問題、それから測定單位の問題、しかも測定單位の問題は、法律ではきめられないで、財政委員会規則にゆだねられております。しかもその具体的な内容につきましても、何ら私どもは知らされておるところがないのです。これにつきましては、地方自治体あるいは地方財政委員会におかれましても、非常に困難な問題で、まだとかくきめにくいということを申されております。一方にこういう測定單位の問題が困難であり。確定的なものがきまらない、そういう状態においてこの標準徴收率だけを、百分の七十から百分の八十に上げるということは、明らかにこれは合理的でない、片手落ちであるということを考えざるを得ないのです。しかもこういう片手落ちなやり方が、相当つて来たということが問題だと思います。これはさいぜんの地方税法討論でも委員長が禁止されましたが、こういう根本的な問題に触れておかないと、実はそのことの本質がわからないと思う。百分の七十が百分の八十になつただけでは一〇%上つただけで、それだけを見ますと何のことかわからない、これが上つた理由がどこにあるかということを、私どもは深く見ておく必要があると思うのです。私どもの考え方によりますと、これもやはり国家の財政の必要から、平衡交付金の標準徴收率を上げる必要が生じて来た、こういうふうに見ております。これは国家財政の必要に応じて、あるいは平衡交付金を削減することがあるかもしれないということを、大蔵大臣自身が言つておりますので、明らかに今度の標準率の引上げは、国家財政の必要から起つて来たのであつて、今後ますます国家財政に対するところの軍事化の要求というものが、一層はつきりして来る、そういう場合に備えまして、この平衡交付金の減額をやらざるを得ない。そういうためには、どういたしましてもこの標準徴收率を引上げておかないと困るということが、私問題だと思うのです。これをはつきりしておきませんと、徴收率の引上げそのものは、私どもは幾らいじりまわしても、根本的なそれの本質はつかめないと思うのです。従つてさいぜんも地方税討論の際に申し上げましたが、現在の日本の国家財政に対する国際独占資本の要望、日本の国家財政を準軍事的なものに確保するための国際独占資本の要望、こういうものが結局平衡交付金の削減となり、あるいは地方起債の抑制となり、あるいは預金部資金の軍事資本への融通となり、あるいは金融債の肩がわりとなり、こういうことになつてどんどんとあがつて参りました、その一つの現われがこの平衡交付金の削減の問題であり、平衡交付金の標準徴收率の引上げの問題に現われておると思うのです。この結果といたしまして、中央から地方に渡されますところの教育費、あるいは文化費、あるいは衛生費、こういうふうな直接人民の生活をゆたかにし、あるいは明るくし、あるいは向上さして行くところの費用は、どんどん国家予算から削られて参りまして、結局におきましては、国家予算は準軍事的なものだけしか残らない。これを助長するのが今度の平衡交付金の標準税率の引上げであるというふうに私ども考えております。しかもこのことは地方税法と関連いたしておりますので、地方税法がなぜ現在のような改正を必要として来たか、しかもそれがさいぜんから私が申し述べましたように、非常にひどい改正であつて、現在でも人頭税を課しておるのに、その人頭税を百パーセント徴收するというふうに、なぜこのひどい人頭税を課して来たかと申しますと、片方には平衡交付金の減額の要求が嚴然としてありますからこそ、この地方税の改悪が行われているのであるというふうに私どもは見ております。従つて平衡交付金の減額はこれだけ切り離して考えるのではなしに、ますます軍事化されて行く国家予算の関連と、それが人民の收奪となつて現われますところの地方税の改悪、この二つをにらみ合せて考えませんと、平衡交付金の標準税率の引上げがわかりませんし、またさいぜん申し上げた測定單位の問題をあいまいにほうつておいて、標準徴收率だけを引上げたという問題もわからないと思う。私ども共産党といたしましては、こういう観点から、明らかに今度のこの地方財政平衡交付金法改正は、国際独占資本の要望にこたえるものであり、それを一般人民大衆の收奪に転嫁するための一つのそこである、こういうふうに考えまして反対の意思を表明しておきたいと思います。
  53. 前尾繁三郎

  54. 龍野喜一郎

    龍野委員 私は自由党を代表いたしまして、提案されました地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案に対して、賛成の意を表するものであります。  これに対する反対論のおもなる点は、基準税率について標準税率の百分の七十を百分の八十に改める点でありますが、御承知の通り平衡交付金は、全国における自治体の財政の平衡をその目的といたしておるのであります。しかるに今日の税の実際を見てみますれば、たとえば都市税、いわゆる入場税、あるいは遊興飲食税というものを中心としておる府県税のごときは、人口が稠密しておるところの都市方面に、多くの財源が片寄るのであります。この結果地方自治体は給与改善、その他によつてますます財政需要がふえるにもかかわらず、その税收入が確保できない、そうなりますればどうしてもこの平衡交付金によつて、これを補うという以外に道はなかろうと存ずるのであります。こういう観点から、とかく都市に集中されんとするところの財政收入の状況を、これを農村あるいは地方にまで流して行こうというのには、どうしてもこれをある程度引上げることは、やむを得ないだろうと存ずるのでありまして、この百分の七十を百分の八十に引上げるのは刻下の情勢から見まして、まことに適当な処置であると、われわれは存ずるのであります。その他この改正案は、規則によることが二十五年度でもつて終り、二十六年度は法律でもつてやらなければならぬのを、さらに二十六年度においても、これを規則をもつてやるということにつきましては、とかく平衡交付金の算定につきましては、いろいろな問題を含んでおるのでありまして、政府におかれましても実情に即し、あくまで用意周到なる研究を重ねて、その上で法律案として、出されるものであるというふうに、われわれは信じておるのであります。従いまして一箇年間規則によることを延期することも、またやむを得ない次第であろうと存ずるのであります。はなはだ簡單でありますけれども、以上賛成の理由を述べまして、討論といたす次第でございます。
  55. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これにて討論は終局いたしました。これより採決いたします。原案賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  56. 前尾繁三郎

    前尾委員長 起立多数。よつて本案原案通り可決されました。  この際お諮りいたしますが、両案に対する衆議院規則第八十六条による報告書作成の件は、委員長一任に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 前尾繁三郎

    前尾委員長 御異議なしと認め、さよう決します。   本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十四分散会