○立花
委員 共産党といたしましては、
政府提案の
改正案並びにその
修正案、本日提出されました社会党、民主党、
自由党の共同
提案になる
修正案、これを含めまして全部反対であります。
自由党の
龍野委員の
賛成討論の中にも、今度の
改正は技術的
改正で、
住民負担の
軽減にはほど遠いということを言われたのでありますが、やはりその
通りでありまして、ほど遠いどころか逆に二百億円の増税である。これはもはや明らかなことである。しかも
自由党自身が、これは
住民の
負担の
軽減にほど遠いと言
つておられる。また今社会党の
討論を聞いておりましても、この税の
改正は
根本に触れてないということを言
つておられる。ところがそれらのことがなぜ
実現できないか。私はやはりここに大きな問題を含んでいると思う。大体今度の
改正案が出されて参りました形は、
大臣の
説明によりましても、一応部分的な
修正であるというふうに言われておりますが、実はそうではございませんので、今度の
修正がなぜ部分的な、あるいは技術的な
改正にとどまらざるを得ないかということが問題でございますが、同時にそれが單なる部分的な技術的な
修正ではないということ自体が、大きな問題でなければならないと思います。すでに御承知のように、国際帝国主義は日本をアジアの侵略の拠点といたしまして再建しようという考えを最も露骨に現わしております。これに対しましては、すでに国内だけではなしに国際的な非難も巻き起
つておりまして、もはやこの事実はおおい隠すことはできないと思う。こういう政治、経済、
財政、税制までも含めまして、日本の一切のものを規定する
根本的な方針、これをわれわれは検討しなくては、今度の
税法それ自体を検討することはむずかしいのではないか。こういう
根本的なものが最も端的に現われますのが実は
税法であります。
税法は最も直接的な人民に対する收奪の
方法でありまして、これはごまかそうにもごまかされない。いかに言葉の上でごまかそうと、あるいはいろいろな点を通じてごまかそうとも、税の收奪の点においてはどうしてもごまかせない。だから
税法を見る場合に、そういう観点から見る必要があると思う。すでに現在日本におきましては、国際帝国主義のいろいろな政策が具体的に実行されようとしております。またされつつあります。たとえば日米経済協定の陰謀、あるいは日本再軍備の陰謀、あるいは講和後の日本における外国軍隊の駐屯、あるいは共産党の非合法化、あるいは平和運動の彈圧というふうな一連の日本の民主的な方向に対する弾圧の方向が行われておるのでありますが、これら一連の動きと関連して、今度の
税法の
改正案が出て来ておるということを深く私
どもは考えなければいけないと思う。そういう観点から、今度の
地方税法の
改正は明らかにそういう国際独占資本の
要望に沿つたものであるということが、まず第一に注目されなければならないと思います。もつと具体的に申しますと、現行の
地方税法は、中央における軍事予算の確保のためにつくられたと申しましても、私は過言ではないと思う。国際独占資本の要求が、日本にいろいろな軍事的な要求を押しつけ、それが最も露骨に現われておるのが軍事予算の編成でありますが、その軍事予算のしわ寄せとしての
地方財政の窮迫、それを救うものとしての
地方税制の
改正、従
つて地方税の増徴という形が明らかに現われておりまして、現行
地方税法の
改正は、明らかにこの日本の軍事予算の確保を
目的としておるということが言えると思います。であるからこそ、世界で最悪の税金であると言われておる人頭税が、すでに昨年の夏の
地方税の
改正で日本に
実施されました。このことが最も象徴的に、この
地方税の
改正自体が国際独占資本の要求に裏づけられておると言うことができると思う。現在提出されております
改正案ではなしに、
改正しようとする現行
地方税法そのものが、すでにそういう性格を持
つておる。去年の夏につくられましたシヤウプ
勧告に従うところの
地方税法の
改正、あれ自体がそういう要求を持
つておつた次第なのであります。その結果として、人民は大きな收奪——一挙に四百億という増税の圧力にあえぎ、また一挙に三倍、五倍になりました
住民税の圧力にあえぎまして、目下
住民は税金を納めようにも納められないという
状態に立至
つております。このことは
徴收率の低下そのものが明らかに示していると思う。東京におきましては、一月末日の
住民税の
徴收率がわずかに四八%で、半ばにも達しておりません。大阪におきましてはまだひどいのでありまして、これは大阪市役所の正式の発表でありますが、一旦三十一日の統計では、わずかに三二%・三分の一にも達していない。このことはいかに現在の
地方税が悪税であるか、人民にはたえがたい税金であるかということを明白に物語
つていると思う。一月末におきます全国の統計も、わずか五〇%内外でありまして、もはや人民が払うにも払えない税金であるというところまで行
つております。これはいかに
国会で
政府、与党が多数を頼んで通しましても、決して民主的に決定されたものではないということは、もはや半分の人間が納めようにも納められないということが明白に物語
つておると思う。こういう
状態でありまして、しかもさらにこの納められない税金に対しまして、最近
政府は官憲を動員し、あるいは徴税機構を強化いたしまして、非常に無理な徴税をや
つております。たとえば先般京都におきましては、勤労者の月給袋を
地方税のために差押えた。現在のサラリーマンあるいは給料取りがその給料で生活できないのは、もはや衆目の見るところ疑いのない事実でございます。しかもそれをすら税金が納められないという理由のもとに、断固として差押えをや
つておるのでございますが、ここまで参りますと、もはや税金をとりますためには、国際独占資本の收奪の
要望にこたえますためには、人民の生活を顧みない、勤労階級の生活を顧みないで、月給袋そのものを差押えるという、最も端的な悪いところが最も露骨に京都の例が出ておるのであります。さらに東京におきましては、東京警視庁管下の警察署は、税金を批判する一切の人民の集会を禁止しておる。悪税反対の会合を禁止しておる。こういつた事実が現われておりましてもはや税・金に対しては人民の批判の声も許さない。このことは逆に申しますと、いかにこれが悪税であるか、現在の税に対する人民の批判を
政府・与党が恐れておるかということを、明白に物語
つていると思います。しかし人民は生きて行かなければなりませんので、こういう税金、こういう收奪に対しましては、人民は断固として闘争に立ち上
つております。たとえば私の故郷であります淡路の福良におきましては、不当なる税金、あるいは払えない税金に対しまして、全町の
住民が徹底的に反抗に立ち上りまして、徴税吏員を追つ払い、あるいは警官を追つ払い、あるいはジープを追つ払
つております。これは人民が実はそこまで追い込まれている、立ち上らざるを得なく
なつているということを最も端的に現わしていると思う。こういう
状態が現実の姿でございます。しかもなお
政府はこういう
状態に立至るような前年夏の
地方税法の
改正に対しましては、この
税法の
改正が
通りますならば
地方財政が
確立する、これによ
つて地方は
財源を与えられて、
地方行政もまつたく円滑に行くというようなことを言われたのですが、それが事実によ
つて裏切られていることは明瞭であ
つて、いまや
地方財政自体こういうとれない税金、払えない税金のために破綻しつつあります。今二十六年度の予算の編成に当
つておりますが、この二十六年度予算はもはやまつたく普通の予算が組めませんで、暫定予算あるいは骨格予算を組まざるを得ないのが、
一般的な全国の自治体の状況であり、さらに前年度予算の一割天引、あるいは二割天引というような、まつたく予算の体をなさないような予算が組まれておる、また組まざるを得ないというのが
地方自治体の
財政の
状態でございます。これが、去年の夏
政府がこの
地方税の
改正案が通れば、
地方の
財政は
確立し、
地方の行政は円滑に行くんだと言われたその
改正案の結果なんです。私は幸い
岡野国務大臣がおられますので、十分この現実の姿に立脚していろいろな施策をお考え願いたいことを
要望しておきますが、しかも
政府はこういう
地方の
財政の困難につけ込みまして、言葉をかえて言いますと、
地方の
財政をこういう困難な
状態に追い込んでおきまして、その弱点を利用いたしまして、
地方を操縦しようというふうに受取れるような施策をなさ
つておられます。それの
一つには、せつかく
実現いたしましたところの警察
制度の民主化、警察の
地方自治体への委譲、こういうものが、
地方の
財政が困難だという
見地から、自治体警察の返上論が起り、それを国家警察に統合して行くというふうなことで、これはまつたく
地方の
財政の困難につけ込みまして、再び国家警察を再現しようという陰謀であると言
つても言い過ぎではないと思うのです。あるいは最近道州制の問題が問題に
なつておりますが、これ自体も、
地方の
財政の困難を理由として、
幾多の特殊な伝統を持
つておりますところの数箇町村を一挙に併合いたしまして、一定の人数をそろえて、それによ
つて財政的な裏づけをはか
つて行こう、こういうふうなことは、いたずらに
財政の困難に籍口いたしまして、
地方の独自性も、自主性も、特殊性も認めないというような、まつたく日本のこの歴史ある、由緒ある
地方自治体の存在を認めないというような考え方でありまして、
政府は明らかに
地方の
財政を困難に追い込みながら、その弱点を利用いたしまして
政府の思うままに中央集権的な、あるいは軍事国家的な方向に持
つて行こうとしておることが看取されると思うのですが、そういうことは明らかに
地方の自治の逆行であるということを、つけ加えておきたいと思うのであります。従
つて地方の自治体は、こういう
状態のもとにおきまして、とうてい完全な
地方の行政が行えるはずはありません。まつたく腐敗し、あるいは混乱し、あるいは破壊されつつあることは事実なんです。で、すでに京都あたりにおきましては、二十六年度の予算におきまして、
法律で新しくきめられました八千円ベースが、正当に予算に組めないので、六千三百円ベースで予算を組まざるを得ないというような
状態に陷
つております。あるいは私のおります神戸市におきましては、二十六年度の
一般予算は、大体五十五億でございますが、驚くなかれ競輪、競馬に対しまして、市は十億の予算を組んでおるわけです。明らかに
一般予算の二割内外の金がこういう植民地的な、まつたく不生産的な面に使われておる。十億という金が神戸市では競輪、競馬のために予算に組まれておるのです。こういうことでは決して私は健全な予算ではないと思うのであります。そういう結果であるからこそ、
地方の
事業、特に單独
事業などが行われるはずはありません。
事業の繰延べ、あるいは中止、こういうことが続々起
つております。
事業ができないくらいでございますから、
地方公務員の給料は完全には支払われていない。従
つて給料の遅配欠配が慢性的になろうとしております。これも事実でありますが、すでに去年の末におきまして、日本で一番富裕な市だと言われております芦屋市におきまして、給料の遅払いが起
つておる。昨年の暮れの年末資金に至りましては、関東におきましても銀行から金を借入れて払わなければならないというような
状態が起
つておる。あるいは
地方公務員の超過勤務手当につきましても、もう払えないのが常識である。幾ら超過勤務をいたしましても、それに対する手当はもらえないのが当然であるというふうな考え方すら、
地方公務員の中には起りつつあります。こういう
状態におきましては、
地方公務員は安んじてその職を全つとうすることができないのが当然であると考えます。しかも
政府は、こういう
地方の
財政の困難に対しまして、何ら具体的な救済の
方法、と申しますか、これに対する中央からいたします
財政の裏づけを考えていないということ、その一番明らかな例は、この間
政府並びに与党は、消防組織法という
法律を通してしまわれましたが、これに対しては何ら
財政的な裏づけをなさ
つていない。このことは明らかに
地方財政法の
根本的な
趣旨に反するんじやないかと思う。今でさへ困
つておりまして、
地方自治体警察の返上論すら起
つている
地方の困難な
財政の上に、何ら
財政的な裏づけなしに、消防組織法を必須
事業として押しつけておる。これは
政府が何と強弁されようとも、自治体の
財政の問題を考えていないと言われてもやむを得ないと思うのです。また平衡
交付金の問題にいたしましても、自治庁は、平衡
交付金の増額を
要望する、
希望するということを口に言われながら、実際は、少くともこの問題はサボ
つておられる。
岡野国務大臣は、
地方財政委員会の
要望があるにもかかわらず、閣議におかれましてはちつとも努力されていない。しかもこの
委員会におきましても、これは与党の方、あるいは
委員長に申し上げたいのですが、最近一週間ばかり、この
地方税法の
修正案を
関係方面に交渉するんだという口実のもとに、完全に
委員会をサボ
つております。この
地方税法の
改正と同時に、
地方財政平衡
交付金の問題が
委員会で取上げられておるということ、
地方財政平衡交付金法の
改正案自体すらが、私
どもの
審議の途中であるということであります。こういう問題を放
つて置いて、いたずらに
委員会を開くべくして開かない。毎日の公報には、午前十時から開くと書いてありながら、一週間ばかり開かない。これは
委員会の大きな責任問題だと思う。
委員長は
委員会の
委員長であ
つて、党の
委員長ではないはずなのである。
委員長が必要と認めて
委員会を公示して置きながら、單に党としての
修正案のために走りまわ
つて委員会を開かない。しかも重大な平衡
交付金の問題を今に至るまで決定しない。これは重大な責任であると思う。私は
地方税法の
改正案が出て参りましたときに、
政府並びに
委員長に対しまして、平衡
交付金と関連して
審議すべきであると思うが、その関係はどうするかと言つたときに、
委員長は並行的にやるんだと
はつきり明言された。しかるにかかわらず、事実の問題といたしましては、この重要な期間中に一週間も空白の
状態で、この問題を放置しておるということは、
政府並びに与党の人たちが明らかに
地方財政に関しましては、何ら考えるところがないと申しても過言ではないと思うのです。
さらにこの問題についてつけ加えて申しますと、預金部資金の問題、資金運用部の資金の問題、これは……。