○立花
委員 自治庁ですか、この
修正案を見ますと、どうもこれは自治庁がお出しに
なつたものではないんじやないか、大蔵省の
修正案じやないかというふうに思われるのです。だから覇然大蔵省の方が出て来られたのかと思
つてお
つたのですが、自治庁だとすると、自治庁はもはや非常に性格がかわ
つて来ておる、大蔵省の
立場に立
つてものを言
つておるのじやないか、大蔵省の
立場に立
つてこんな
修正案を出して来たのではないか、そういうふうに思われるくらいなのです。根本的な点を申し上げますと、私
どもは現在でております
地方税の
改正の場合にも、非常に大きな疑問を持
つております。それはあの
改正案が、片一方において
資本蓄積の擁護であり、片一方においては、人民に対する收奪である。人民があまりに收奪を受けるために、生活が破壊されて、納税ができない。結局
地方自治体は非常に困窮して来るということから言いまして、あの
改正案自体に不満を持
つてお
つたのですが、さらにこの
修正案を見ますと、その心配を一層深めるものがはつきり出て来ておるわけです。
修正の第一点ですが、これは
徴收猶予の問題が書かれてありますが、一箇年
徴收を延期するということとな
つております。従来におきましても、
所得税な
ども、
資本家が
勤労者から
源泉徴收いたしました場合に、その
所得税を国家に納めないで、
資本家の運転資金にまわしているということが常識です。ところが今度は住民税も
源泉徴收いたしまして、
資本家の運転資金を増加せしめる、しかもさらに必要な場合は、一年間
徴收が延期されるというようにな
つておるわけです。これはどういたしましても
地方住民の
立場に立ち、あるいは
地方自治体の
立場に立
つておるとは言えないと思う。
事業上に厖大な
損失等があ
つた場合は、
徴收を延期するというのでありますが、これは
資本家自体がその利潤の中から拂う税金であれば、そういうことはいいかもしれませんが、
勤労者所得から預か
つて資本家が持
つておる金です。それを
資本家の
事業が損害をこうむ
つたから、その金の
徴收を延期するということは、私は成り立たないと思う。この点が私一番ふしぎで、ふに落ちない点であります。
徴收の
猶予を認めるのであれば、直接
納税者と
徴收義務者を別に
考えるべきである。しかるにこの二つを一緒にしまして、
徴收猶予の理由も同じ理由でや
つておる。これはま
つたくおかしいと思う。片一方は自分の生活費の中から当分の給與の中から拂うべきものを、特別の事由によ
つて延期
猶予してもらう、これは話はわかります、しかし片一方は、人から預か
つたものである、預か
つたものを、これを同じ理由で
徴收を
猶予するということは、これはま
つたく不合理である。しかもさいぜんから申しておりますように、従来におき出しても、
所得税自体をそういうふうに運転しておる
資本家が大多数である。この事例から見まして、さらにそういう
資本家のずるいやり方を助長するのが、この
修正案なのである。そういう点から
考えますと、私はこれは自治庁のお出しに
なつたものではなしに、大蔵省のお出しに
なつたものではないか、だから
説明されておる方も、自治庁の方でなく、大蔵省の方だと思
つておたつら、そうじやないと言われるのだが、そうでなければ、自治庁の心構えを、ひ
とつかえていただきたいと思います。
それからもう
一つ重要なことは、これと関連しておるのですが、
源泉徴收がありまして、莫大な税金を
資本家が握り、しかもそれもいろいろな事由によ
つて、
徴收の延期ができることにな
つて参りますと、自治体と大
資本家との間に、いろいろな紛争が起こるわけです。いろいろな取引といろいろな情実
関係が出て来るわけです。最近のように自治体が資金上あるいは金融上困
つております場合には、特にその納めます莫大な税金を手元に抑えております
資本家と、その村あるいはその町、その市の大企業の
資本家との間には、いやが応でも取引
関係が起るわけです。そうなりますと握
つている方が強いので、たださえ従来におきましても腐れ緑があります土着の
資本家あるいはその地域の大産業と、その自治体の
理事者との間に、悪因縁
関係が生れることは当然なんです。悪因縁
関係が生れないといたしましても、多かれ少かれ、そういう面からの行政に対する干渉と申しますか、あるいは容喙と申しますか、陰に陽にの作用あるいは圧迫が加わることは、当然
考えられるわけです。こういう状態を自治庁は予想されないのかどうか。従来におきましても
地方の財政の困窮から、
地方起債等の不如意から、
地方金融機関に金融を仰いでおる自治体は、やはり
地方のこの
資本家階級に頭が上らない。それに左右されておるわけです。これはもうはつきり出て来ております、こういう場合に、それをまた税金の面で助長するような形が、この
修正案ではつきりとられておる。これは
地方自治を確立するといいながら、かえ
つて資本家の手に
地方の政治をゆだねるものである。
地方の自治がここから腐敗するのではないか、こう
考えるのですが、常日ごろ
地方自治を口になさ
つておる、
地方自治の拡充の先頭に立
つておられる
地方自治庁といたしましては、こういう問題をお
考えにならないのか、この二点を
小野さんに承
つておきたいと思います。